「怖い……怖いよっ、お姉ちゃんっ……!」
薄紫色の髪を持つ10代前半ほどの少女が、身を震わせて怯えていた。
彼女の名はソルティーナ。魔女と呼ばれる、不思議な力に目覚めた存在だ。だがソルティーナの世界では魔女は世界を滅ぼす原因であるとして迫害を受けている。
ソルティーナも力に目覚めた途端に両親に捨てられた。
それでも彼女が生きていられたのは、姉……ルナリンドが守ってくれたからだ。
それでも彼女が生きていられたのは、姉……ルナリンドが守ってくれたからだ。
両親に追い出された後、追いかけてきてくれた。抱きしめてくれた。お誕生日おめでとうって、手作りのぬいぐるみをくれた。
──魔女じゃないのに、私なんか見捨てて家にいれば、普通に生きられたのに、私のせいで……っ!!
姉妹二人の生活は貧しかったが幸せだった。けれどある日、魔女狩りからソルティーナを庇うために、ルナリンドが自らを魔女と偽って捕まってしまった。
だからソルティーナは、今度は自分が姉を助けるのだと決意を固め、それでも姉の囚われる教会の本部の壁は高く遠く、どうしようもなくて絶望していた所に……この殺し合いに招かれた。
「そうだ、こんな所で止まってる場合じゃない……今度は私が、お姉ちゃんを助けるんだっ!」
こんなことに巻き込まれたのは予想外だったが、やることは変わらない。姉を助けるのがソルティーナの目的だ。
ソルティーナは魔女としての力で氷の魔法が使える。教会の異端審問官には叶わないものの、戦う力は持っているのだ。
ソルティーナは魔女としての力で氷の魔法が使える。教会の異端審問官には叶わないものの、戦う力は持っているのだ。
「でも、人を殺すなんて……できないよ……」
目に涙を溜めながらも立ち上がったソルティーナだが、再びシナシナと座り込んでしまう。泣いているだけじゃ駄目だ。祈るだけじゃ何も変わらない。分かってるけど、だからって殺し合いに乗れるわけがない。
「どうしたらいいんだろう……やっぱり私、強くなんかないよ。お姉ちゃんがいないと、なんにも……」
ソルティーナはギュッと虚空を抱きしめる。
いつも勇気をくれた、ルナリンドの手作りのくまのぬいぐるみはない。あのぬいぐるみを抱きしめればどんな時も勇気が湧いてきたけど、今はもう、姉もぬいぐるみもいない。
「お姉ちゃん……私には、無理だよ……」
姉を助ける為ならあったはずのなけなしの勇気は、殺し合いという状況において萎んでしまった。
「君、大丈夫?」
「え?」
近くに人が来ているのにも気づかずに俯いていたソルティーナに、優しくかけられる声。
顔を上げたソルティーナの前にいたのは……赤いコートを着た、金髪碧眼の、ソルティーナと同じくらいの男の子だった。
「それじゃあアルフォンスくんは、お兄さんを探す旅をしてるんだ」
「うん、きっとどこかで生きているって……僕は信じてる」
アルフォンス・エルリック。母親を蘇らせるために禁忌の術、人体錬成に手を出し、肉体を失って鋼の鎧に魂を宿していた少年錬金術師だ。
だが今の彼は10を少し越えたくらいの年齢の普通の少年に見える。
というのも、紆余曲折あって彼は、鎧の肉体から元の体に戻るために「鋼の体になってから手に入れたもの」を対価にしたのだ。
それは記憶や経験……最愛の兄エドワード・エルリックと旅していた頃に得たもの全てだ。
気づいた時、アルフォンスは人体錬成を試みる直前の頃の10歳の頃の肉体で、記憶もそれまでのものしかなかった。
というのも、紆余曲折あって彼は、鎧の肉体から元の体に戻るために「鋼の体になってから手に入れたもの」を対価にしたのだ。
それは記憶や経験……最愛の兄エドワード・エルリックと旅していた頃に得たもの全てだ。
気づいた時、アルフォンスは人体錬成を試みる直前の頃の10歳の頃の肉体で、記憶もそれまでのものしかなかった。
幼馴染のウィンリィはいきなり成長しているように見えたし、師匠のイズミは明らかに前より体調が悪そうだったし、ロゼという知らない女性と友人だったと言われて困惑した。
そして何より……エドワードが死んだ可能性が高いなどと言われても、信じられるわけがなかった。
「兄さん……」
今アルが着ているのは、元々エドが着ていた赤いコート。死んだなどと信じられない。感じるのだ。夢を見るのだ。
ドイツという国のミュンヘンという街で、病気がちな自分がエドと共に、宇宙へ旅立つ為のロケットを作っている夢を。
ドイツという国のミュンヘンという街で、病気がちな自分がエドと共に、宇宙へ旅立つ為のロケットを作っている夢を。
「夢を見るんだ、僕が住んでいた世界とは違う世界の夢を」
「違う世界?」
「ソルティーナ、実は君の言ってた魔女とか魔獣とか、僕の世界にはいないんだ」
「え?」
「今まで夢だと思ってたけど、やっぱり門の向こう側には、別の世界がある……ならもう一度門を開けば、兄さんは帰ってこれるんだ!」
「あ、アルフォンスくん……」
ソルティーナから見てもアルフォンスはどこか地に足のついていないような危うさがあった。というのも、過去の旅で得た苦い経験を失くした今の彼は、年齢相応に幼く浅慮なのだ。
この殺し合いに巻き込まれなかった場合の彼は、兄がどう思うかを考えずに自らを犠牲に門を開こうとしたり、目の前で人が死んだら禁忌であることを忘れて人体錬成をしそうになるなど、本来のアルフォンスに比べて浅はかな行動が目立った。
この殺し合いに巻き込まれなかった場合の彼は、兄がどう思うかを考えずに自らを犠牲に門を開こうとしたり、目の前で人が死んだら禁忌であることを忘れて人体錬成をしそうになるなど、本来のアルフォンスに比べて浅はかな行動が目立った。
「こうしちゃいられないよ!早くこんな殺し合いなんか抜け出して、兄さんを助けに行かなくちゃ!」
「うん……私も、早くお姉ちゃんを助けたい!」
だがそこを諫めるにはソルティーナもまた幼すぎた。彼女も、姉に会いたい、助けたいという想いがどうしても先行してしまっている。
だから、きっと大丈夫と、自分たちならなんとかなると思ったまま、本当の意味での覚悟も決まらないままに、二人は殺し合いからの脱出を目指す。
……二人の歩き方は歪かもしれない。まっすぐじゃないかもしれない。
だが、それでも二人は、それぞれの立派な足で、立って歩いていた。
だが、それでも二人は、それぞれの立派な足で、立って歩いていた。
【アルフォンス・エルリック@劇場版鋼の錬金術師 シャンバラを征く者】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:早く脱出して兄さんに会いに行く
0:ソルティーナと行動を共にする
1: ひとまず他の人を探す
[備考]
※参戦時期は砂漠で旅をしている途中。
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:早く脱出して兄さんに会いに行く
0:ソルティーナと行動を共にする
1: ひとまず他の人を探す
[備考]
※参戦時期は砂漠で旅をしている途中。
【ソルティーナ@メメントモリ】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:早く脱出してお姉ちゃんを助けに行く
0:アルフォンスと行動を共にする
1: ひとまず他の人を探す
[備考]
※参戦時期は領主に出会う前……と言いたいところだがメメントモリの時系列なんてどうせないようなもんだしその辺は適当で。
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:早く脱出してお姉ちゃんを助けに行く
0:アルフォンスと行動を共にする
1: ひとまず他の人を探す
[備考]
※参戦時期は領主に出会う前……と言いたいところだがメメントモリの時系列なんてどうせないようなもんだしその辺は適当で。