あの日、僕の日常は全て壊された。
お父さんの知り合いを化け物に殺された。
僕とお父さんは逃げようとしたけれど駄目だった。
霧の濃い夜に、車を真っ二つにされて。
握りしめた剣から血を滴らせる化け物と、お父さんは必死に戦った。
銃を撃った。数秒後に殺されるとわかっていても化け物に飛びついた。
僕に逃げろと叫んだ。走れと叫んだ。
叫んだ大きな口を横半分にされて一瞬で殺された。
...父さんは、きっと自分のことが嫌いだった。
父さんはいつも、僕に対して「俺はゴミみたいな人間だ」「お前はちゃんと勉強して俺とは違うマトモな人間になれ」って言っていた。
きっと、世間からしたら褒められた人じゃなかったのは僕でもわかる。
酔いの勢いとはいえ、子供(ぼく)に「俺が殺されたらお前が仇を取るんだぞ」って言葉と一緒にナイフをプレゼントする親なんてそうはいないだろうから。
でも、それでも僕は父さんが好きだった。
僕を見る時の優しい眼が好きだった。
だから、父さんを殺した化け物が憎かった。殺してやりたいと思ってる。
なのに...怖くて震えが止まらなかった。
殺されるかも、死ぬかもしれないって思うだけで涙も震えも止まらない。
いまもそうだ。
見知らぬ二人の少年が殺された。首輪を嵌められて言うことを聞けと脅された。
僕は彼らの死に悲しむでも怒るでもなく、言うことを聞いて生き残ろうと心を殺すのでもなく。
どうにもできない。ただただ情けなく震えて怖がっているだけだ。
あの怪物とは違う迫る『死』に、僕はどうすればいいんだろう。
膝を抱えて震えていたそんな時。
『―――』
歌が聞こえた。
こんな状況には似つかわしくない、可愛らしくて、でも力強い誰かの歌声が。
しばらく聴いていると、なぜだか僕の足は立ち上がっていた。
歌に惹かれるようにそちらへ足を運んでいた。
ほどなくして、歌い手は見つかった。
その人は、瓦礫の上に立っていた。
フリフリとした可愛らしい衣装とはミスマッチの舞台の上で。
観客のいない閑散とした空間の中で。
それでも腐らず、弾けるような笑顔で、彼女は踊り、歌っていた。
僕はそれをただ見つめていた。
食い入るように。死と隣り合わせにあるこの世界を忘れさせるほど輝く彼女に、ただ魅入っていた。
気が付けば、震えも涙も止まっていた。
そして―――気が付けば、僕は彼女に拍手を送っていた。
「応援ありがとう!」
彼女の煌めくような笑顔を向けられると、僕の心臓が思わずドキリと跳ねた。
「ねえねえ、どうだったかな?僕の『恋せよエクスカリバー』!ちゃんと可愛かった!?」
ステージから跳び下りて一気に距離を詰めてくる彼女に僕は思わず戸惑ってしまう。
距離が近すぎとか、明らかに人間が跳べる距離じゃなくないとか、色々とツッコミたいところはあるけれど、それ以上にドキドキと胸が熱くなり言葉が出なくなってしまう。
距離が近すぎとか、明らかに人間が跳べる距離じゃなくないとか、色々とツッコミたいところはあるけれど、それ以上にドキドキと胸が熱くなり言葉が出なくなってしまう。
「あ、あの...可愛かったと思うよ?」
「本当!?よかったぁ!僕、ちゃんと可愛かったんだぁ!」
「本当!?よかったぁ!僕、ちゃんと可愛かったんだぁ!」
絞り出したような苦し紛れの僕の返事にも彼女はぱぁっと満面の笑顔になり、オーバーすぎやしないかと思う程、大げさに喜んでいた。
「僕はKRT13のアーサー!きみのお名前は?」
「え?あ...正人...」
「正人くんかぁ!これからよろしくね!」
「え?あ...正人...」
「正人くんかぁ!これからよろしくね!」
絶やさない笑顔のまま、僕の手を握りしめて更に顔を寄せてくる彼女に気圧されつつも僕は問いかける。
「あの...アーサーさんは、どうしてこんなことをしているの?」
思わず突いて出た言葉。
けれど疑問に思わないはずがない。
だってここは殺し合いの場だ。
誰かを殺さなくちゃ生き残れないし、それが脅しじゃないのも理解させられている。
そんな中で、こんな人を集めるような真似をするなんて信じられない。
けれど疑問に思わないはずがない。
だってここは殺し合いの場だ。
誰かを殺さなくちゃ生き残れないし、それが脅しじゃないのも理解させられている。
そんな中で、こんな人を集めるような真似をするなんて信じられない。
「?そんなの決まってるよ」
僕の問いかけの意味がわからない、と言わんばかりに可愛らしく小首を傾げ疑問符を浮かべる。
「だって僕は『アイドル』だもん」
そして、微塵も躊躇うことなく真っすぐに言い放った。
「いまがどういう状況かはわかってるよ。みんなが落ち込むのも当然だと思う」
その時、初めて彼女から笑顔が消えた。
拳を眼前で握り、目を伏せて、最初に死んでしまった少年たちのことを想っているのだろうか。
拳を眼前で握り、目を伏せて、最初に死んでしまった少年たちのことを想っているのだろうか。
「だからこそ...だからこそだよ!」
拳を更に強く握りしめ、眼を見開き顔をあげると再びアーサーさんの笑顔と輝きを取り戻す―――いや、増していく。
「みんなが沈んじゃう時こそ、僕が笑顔にしてあげる!元気にしてあげる!男の子も女の子も関係ない、誰かを感動させたいのが『アイドル』なんだよ!!」
そう、強く語る彼女に僕は、あの人の姿を重ねてしまう。
情けなく泣いていた僕に力強く『君の気持ちがよくわかる。だから殺させない』と言ってくれた。
僕のためにボロボロになってでも化け物と戦ってくれた。
父さんを失った辛さや憎しみを否定せず、僕のナイフを受け取ってくれた。
僕のためにボロボロになってでも化け物と戦ってくれた。
父さんを失った辛さや憎しみを否定せず、僕のナイフを受け取ってくれた。
どこまでも誰かの為に戦える、ヒーローみたいな人―――佐神善さんの姿を。
そして、僕はまた震えてしまう。
「え?ちょ...僕なにかやっちゃいました!?」
そんな僕の様子を気遣い、わたわたと困惑してしまうアーサーさん。
「...違うよ、アーサーさん」
そう、これは恐怖や悲しみの震えじゃない。
「なりたい」
たぶん、一番近い感情は感動と憧れ。
僕もなりたい。
善さんやアーサーさんみたいに誰かの為に戦える人に。
父さんみたいに大切な人を護ろうとできる人に。
僕もなりたい。
善さんやアーサーさんみたいに誰かの為に戦える人に。
父さんみたいに大切な人を護ろうとできる人に。
「僕も、あなたたちみたいになりたいんだ」
この血と灰色の世界にも負けない彼らのようなヒーローになりたい!
アーサーさんは僕の告白にきょとんとした表情を浮かべ、けれどすぐにあの輝かしい笑顔を取り戻した。
「ええ、なれますよ!」
アーサーさんは最初のように僕の手を取り―――そのまま僕の身体をくるりと横回転させる。
「熱い思いさえあれば誰だってなれる」
僕の背中とアーサーさんの腹部が密着し、右手を自分の腰に添えさせられ、左手をピースサインに象られ、左目あたりに持ってこられる。
「キミも今日からKRT13のメンバーだよ!」
そして、ビシッ☆とでも効果音が付きそうなほどにアイドルのようなポーズを決めさせられ僕は思った。
...あれ、なんか違くない?
☆
うわ~!やったぁ!やったよプロデューサー!!
早速アイドルになりたいって子と出会えちゃったぁ!
早速アイドルになりたいって子と出会えちゃったぁ!
アイドルとして殺し合いなんて許せないし、舞台は変わっちゃったけど、それでも僕はめげないよ!
いつだって全力でぶつかってみんなを感動させる、キラキラした可愛いソウル!それがアイドルだもん!
いつだって全力でぶつかってみんなを感動させる、キラキラした可愛いソウル!それがアイドルだもん!
プロデューサー、ファンのみんな...僕は殺し合いなんて止めて、ここでKRT13新メンバーに相応しい子を見つけ出す!
そして世界一の男の子アイドルグループを作ってみせるよ!
待っててねファンの皆!プロデューサー!ガウェイン!お義兄ちゃん!
待っててねファンの皆!プロデューサー!ガウェイン!お義兄ちゃん!
【廃墟】
【血と灰の女王@正人】
[状態]:健康、困惑
[装備]:普段の服
[基本支給品]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:誰かを助けられる人になる。
1:アイドルになるの?ぼく...
2:善さんやアーサーさんみたいなヒーローになりたい
※参戦時期は善にナイフを渡した後
※アーサーを女の子だと思っています
[状態]:健康、困惑
[装備]:普段の服
[基本支給品]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:誰かを助けられる人になる。
1:アイドルになるの?ぼく...
2:善さんやアーサーさんみたいなヒーローになりたい
※参戦時期は善にナイフを渡した後
※アーサーを女の子だと思っています
【アーサー・ペンドラゴン@ローゼンガーテン・サーガ】
[状態]:健康
[装備]:アイドルの服
[基本支給品]:基本支給品、ランダム支給品0~2 マイクとスピーカー@現実
[思考・状況]
基本方針:アイドルとして殺し合いを止める
1:殺し合いを止めた後、KRT13の新メンバーをスカウトする。もちろん主催の子も参加したいなら歓迎するよ!
2:早速新メンバーが増えたよ!やったねプロデューサー!
[状態]:健康
[装備]:アイドルの服
[基本支給品]:基本支給品、ランダム支給品0~2 マイクとスピーカー@現実
[思考・状況]
基本方針:アイドルとして殺し合いを止める
1:殺し合いを止めた後、KRT13の新メンバーをスカウトする。もちろん主催の子も参加したいなら歓迎するよ!
2:早速新メンバーが増えたよ!やったねプロデューサー!
※参戦時期は予選終了~本戦開始直前まで