「世界の終わりだよ」
世界の敵、絶望王はあっけからんにそう言った。
その宿願は、奇しくももう一人の世界の敵と同じもの。
世界を終わらし、人間の長年に渡る罪を浄化する。それがリーゼロッテのひいては、ヴェラードという魔王にして魔女が愛した男の願い。
その宿願は、奇しくももう一人の世界の敵と同じもの。
世界を終わらし、人間の長年に渡る罪を浄化する。それがリーゼロッテのひいては、ヴェラードという魔王にして魔女が愛した男の願い。
「それさえ見れれば、後はどうだっていい。
殺し合いも、暇潰しみたいなもんだよ。あのガキ共みたいな連中を見てれば、そこそこ退屈しないで済むしな」
殺し合いも、暇潰しみたいなもんだよ。あのガキ共みたいな連中を見てれば、そこそこ退屈しないで済むしな」
「暇潰しね。
なおの事、傍観者を気取るなら、私の邪魔をしないで欲しいわ。盤上に上がる自称傍観者ほど冷めるものはないでしょう?」
なおの事、傍観者を気取るなら、私の邪魔をしないで欲しいわ。盤上に上がる自称傍観者ほど冷めるものはないでしょう?」
「悪い悪い。だから、お詫びにお前には手を出してないだろ」
「まるで、見逃してやっていると聞こえるわ」
「ああ、そうだよ」
紅の瞳が蘭紫色の眼光に染まり、二人の視線が交差した。
「───ッッ!!?」
まさしく、騏驥過隙の差だ。リーゼロッテが炎の魔術を行使するタッチの差で、彼女は全身に奇妙な浮遊感を覚えた。
水を入れて膨らませた風船が破裂したかのように、湿り気を交えた破裂音が轟く。
少年の───絶望王の頭上数mを浮かんでいたリーゼロッテの矮躯が、血肉と共に弾けて爆ぜた。
赤黒いシャワーを撒き散らし、絶望王は軽やかな笑みを絶やさない。
水を入れて膨らませた風船が破裂したかのように、湿り気を交えた破裂音が轟く。
少年の───絶望王の頭上数mを浮かんでいたリーゼロッテの矮躯が、血肉と共に弾けて爆ぜた。
赤黒いシャワーを撒き散らし、絶望王は軽やかな笑みを絶やさない。
その肉片が蠢く。
独りでにうねり、粘土のように固まって蛇や羽虫を形作り生み出す。群れを成して絶望王を取り囲む。
蛇はしなやかに地を這い、絶望王の足へ巻き付き、羽虫共は首元目掛けて飛来する。
空腹に飢えた獣のように、絶望王を入れた器、その生肉を欲し牙を突き立てた。
見えぬ障壁が、牙を圧し折る
瞬きの刹那すら置かず、不可視の魔手が蛇を持ち上げ引き千切る。生き血が飛び散り、それらが地に降り注ぐコンマ数秒の合間に、暴風が吹起し、羽虫共を八枚に卸した。
蛇はしなやかに地を這い、絶望王の足へ巻き付き、羽虫共は首元目掛けて飛来する。
空腹に飢えた獣のように、絶望王を入れた器、その生肉を欲し牙を突き立てた。
見えぬ障壁が、牙を圧し折る
瞬きの刹那すら置かず、不可視の魔手が蛇を持ち上げ引き千切る。生き血が飛び散り、それらが地に降り注ぐコンマ数秒の合間に、暴風が吹起し、羽虫共を八枚に卸した。
「おっと」
絶望王が背後を一瞥、後頭部へと翳された漆黒の鉄爪が砕け、リーゼロッテの右腕が捻じれて、肩ごと乖離した。
リーゼロッテの首から下の胴は八割方消し飛び、残された胸上は宙に浮き、切断部から血が滴る、絶叫物の景色が拡がっている。
どっかで見た光景だなと、何処ぞの異界の王を想起して、絶望王は苦笑した。
リーゼロッテの首から下の胴は八割方消し飛び、残された胸上は宙に浮き、切断部から血が滴る、絶叫物の景色が拡がっている。
どっかで見た光景だなと、何処ぞの異界の王を想起して、絶望王は苦笑した。
「大層な石っころをお持ちじゃねえか」
消失した筈の肉体は、悍ましくすらある程に、細胞分裂を高速で誘発し、損傷部から骨と肉を形成し、筋肉繊維まで再現してから少女の柔肌の表皮でコーティングされる。
限られた生命には許されない、命の無駄遣いだ。
リーゼロッテの体が再生し、その胎に収まっていた宝玉、虚無の魔石の価値を絶望王の審美眼は見抜いていた。
漆黒を浴びた魔石から齎される無限の魔力、永遠の命という人類の永劫の夢の具現が目の前に成されている。
限られた生命には許されない、命の無駄遣いだ。
リーゼロッテの体が再生し、その胎に収まっていた宝玉、虚無の魔石の価値を絶望王の審美眼は見抜いていた。
漆黒を浴びた魔石から齎される無限の魔力、永遠の命という人類の永劫の夢の具現が目の前に成されている。
「ぶっ壊すには、骨が折れるな」
正攻法に限れば、ハンデを負わされたとはいえ絶望王を以てして、那由多の可能性を網羅して、虚無の魔石の破壊という結末に至るのは不可能に近いと言わしめた。
だが、ハンデを強いられているのはあちらも同じ。
このまま殺し続ければ、いずれはリソースの強制枯渇に及び、死に絶えるだろう。
虚無の魔石の破壊に拘らずとも、バトルロワイアルのルールに則れば、殺し方なんてものはいくらである。
首輪爆破の誘発、枷たる首を嵌めた頸部の切断、いずれもルール違反に触れればあれは死ぬ。
だが、ハンデを強いられているのはあちらも同じ。
このまま殺し続ければ、いずれはリソースの強制枯渇に及び、死に絶えるだろう。
虚無の魔石の破壊に拘らずとも、バトルロワイアルのルールに則れば、殺し方なんてものはいくらである。
首輪爆破の誘発、枷たる首を嵌めた頸部の切断、いずれもルール違反に触れればあれは死ぬ。
「あのガムテのガキのダメージも抜けてないのに良くやる」
ガムテの振るった歪刀の影響もあり、あの時ほどの再生力も速度もない。
平気そうな顔で体を再生させているが、あれでも相当に限界に近いだろう。
平気そうな顔で体を再生させているが、あれでも相当に限界に近いだろう。
「ネモ達から聞いてたよ。お前、あれだろ? 世界と一緒に心中したい自殺願望者」
「先ずは、貴方から道連れにしてあげましょうか?」
リーゼロッテは絶望王の思案を読むように、悠々舒舒的な声色で口を開いた。
不敵な笑みとは裏腹に、絶望王は僅かに肩で息をしている。
また絶望王も魔神王との交戦の後遺症が、未だ後を引いている。
戯れ程度の念動力の行使ですら、こうも疲弊し新鮮な酸素を求めてしまう。
不敵な笑みとは裏腹に、絶望王は僅かに肩で息をしている。
また絶望王も魔神王との交戦の後遺症が、未だ後を引いている。
戯れ程度の念動力の行使ですら、こうも疲弊し新鮮な酸素を求めてしまう。
「言うじゃねえか、人間」
膨大な炸裂音が鳴り渡る。不可視の力の波が二つ、激突し相殺されたのだ。
一寸光陰の間、台風が限定的に吹き荒れ局所のみを破壊し尽くしたかのように、二人を取り囲む木々が一斉に薙ぎ倒される。
大木が圧し折れ、根を残し幹が地に落ちていく激突音と轟いた後、世界は暫し静寂に包まれた。
一寸光陰の間、台風が限定的に吹き荒れ局所のみを破壊し尽くしたかのように、二人を取り囲む木々が一斉に薙ぎ倒される。
大木が圧し折れ、根を残し幹が地に落ちていく激突音と轟いた後、世界は暫し静寂に包まれた。
「やれるもんならやってみな」
地に張った根が蒼く燃焼する。空に揺らぎながら燃え立つ炎は、絶望王という燕巣幕上の危殆にリーゼロッテが陥っていることを示していた。
しかし、魔女は笑みを絶やさない。絶望を冠する13王の一人に対し、不遜に冒涜的な嘲りを浴びせる。
相手は、依り代に縛られてはいるものの、安く言えば神とも呼ばれる高次の域にある神性存在の一つ。
悪魔とも、東洋では鬼とも呼ばれる魔王の一柱。
であればこそ、やはりリーゼロッテが退く道理にはならないのだろう。
しかし、魔女は笑みを絶やさない。絶望を冠する13王の一人に対し、不遜に冒涜的な嘲りを浴びせる。
相手は、依り代に縛られてはいるものの、安く言えば神とも呼ばれる高次の域にある神性存在の一つ。
悪魔とも、東洋では鬼とも呼ばれる魔王の一柱。
であればこそ、やはりリーゼロッテが退く道理にはならないのだろう。
「人類鏖殺の前に、先ずは愚かなる偽神の一柱に引導を渡してくれるわ」
既に、絶望王の放つ炎がこの世に存在する物理世界の物でないと、リーゼロッテは見抜いていた。
それは神格が持つ、不浄の炎。自らを神と騙る偽神だ。
ならば、不完全かつ、邪悪な偽神を焼き払う事に、何の憚りもない。
世界の前に先ずはお前から、真なる神に変わり裁きを下す。
リーゼロッテの眼光は、復讐の炎を帯びて絶望王へと注がれる。
魔女の復讐の怨嗟を受けながら、絶望王は懐古するかのように、遠くを一瞬見つめ、思わず苦笑した。
異端(こういうやつら)は、飽きるだけ、ずっと見てきたのだから。
それは神格が持つ、不浄の炎。自らを神と騙る偽神だ。
ならば、不完全かつ、邪悪な偽神を焼き払う事に、何の憚りもない。
世界の前に先ずはお前から、真なる神に変わり裁きを下す。
リーゼロッテの眼光は、復讐の炎を帯びて絶望王へと注がれる。
魔女の復讐の怨嗟を受けながら、絶望王は懐古するかのように、遠くを一瞬見つめ、思わず苦笑した。
異端(こういうやつら)は、飽きるだけ、ずっと見てきたのだから。
「ククッ……不死身のグノーシス主義か。なんて、悪い冗談だよ」
悪により創造されたこの穢れた肉体と物質世界から、いずれ、いずれはと非物質へと解放たれる時を待ち続けた信仰が、己の不死の肉体に永劫囚われ続け、無限の罪科を重ねていく。
質の悪い、それでいて皮肉の効いた悪趣味なジョークだった。
腹を抱えて笑いそうになるのを、絶望王は必死で堪えて跳躍する。
黒炎が先まで絶望王が居た場所を抉り、極小規模の焦土と化す。
飛躍した絶望王を、地上から漆黒の魔力弾が数発撃ち上げられる。
絶望王は上昇を止め、跳ね返るように地表へ滑空した。魔力を圧縮した、破壊という概念をを濃縮した弾が弾けた。
雷のように、濁り曇った黒の紫電が迸り、絶望王を覆い込む。残り一秒も待たずして、絶望王ごと、入れ物の肉体を貫き焼き焦がす。
絶望王は不遜な笑みを絶やさず、蒼炎を螺旋状に独楽のように自身を基点に拡散させる。
炎は魔力弾を焼き尽くし、絶望王は驀進し、リーゼロッテへと肉薄した。
質の悪い、それでいて皮肉の効いた悪趣味なジョークだった。
腹を抱えて笑いそうになるのを、絶望王は必死で堪えて跳躍する。
黒炎が先まで絶望王が居た場所を抉り、極小規模の焦土と化す。
飛躍した絶望王を、地上から漆黒の魔力弾が数発撃ち上げられる。
絶望王は上昇を止め、跳ね返るように地表へ滑空した。魔力を圧縮した、破壊という概念をを濃縮した弾が弾けた。
雷のように、濁り曇った黒の紫電が迸り、絶望王を覆い込む。残り一秒も待たずして、絶望王ごと、入れ物の肉体を貫き焼き焦がす。
絶望王は不遜な笑みを絶やさず、蒼炎を螺旋状に独楽のように自身を基点に拡散させる。
炎は魔力弾を焼き尽くし、絶望王は驀進し、リーゼロッテへと肉薄した。
「悪趣味な造物主(デザイナー)だよな」
槍の機鋒のように、絶望王の右手がリーゼロッテの胎内へと刺し、刳る。
手を媒介に魔蒼の炎を顕現させ、体内から燃焼させた。
絶望王の掌の中、清廉な神の信徒を禍々しい怪物へと成り果てさせた暗黒の宝玉が握られている。
虚無の魔石。
炎の源である自身の仮初の入れ物から、直に炎を流し込み、破壊を試みていた。
魔神王すら、その魂にダメージを与えてこの島で初めて、決定的な痛手を負わせた神格の炎。
リーゼロッテは内側から燃やされ、眼球が沸騰し眼窩から液状化したそれが垂れ落ちる。
表皮が赤く染まって、全身から血液が煮え立ち、端正な容姿は焼き溶けていく。
手を媒介に魔蒼の炎を顕現させ、体内から燃焼させた。
絶望王の掌の中、清廉な神の信徒を禍々しい怪物へと成り果てさせた暗黒の宝玉が握られている。
虚無の魔石。
炎の源である自身の仮初の入れ物から、直に炎を流し込み、破壊を試みていた。
魔神王すら、その魂にダメージを与えてこの島で初めて、決定的な痛手を負わせた神格の炎。
リーゼロッテは内側から燃やされ、眼球が沸騰し眼窩から液状化したそれが垂れ落ちる。
表皮が赤く染まって、全身から血液が煮え立ち、端正な容姿は焼き溶けていく。
突如として、絶望王の腹部に衝撃が迸る。鉄球を正面から打ち付けられたかのような、圧迫された事で刺激された痛覚。
目に見えぬ衝撃波という豪球を放ったのは、人型だけを留めた焼き焦げた黒い炭のようになったあの女だ。
目に見えぬ衝撃波という豪球を放ったのは、人型だけを留めた焼き焦げた黒い炭のようになったあの女だ。
絶望王は後方へ退く。
紅の瞳は瞼が細く閉ざし、隙間から見えた眼光は怪しく光る。
見下すように、蔑むように、侮辱するように、そして慈しむかのように。
紅の瞳は瞼が細く閉ざし、隙間から見えた眼光は怪しく光る。
見下すように、蔑むように、侮辱するように、そして慈しむかのように。
炭になった人皮の下から、陶器のようなシミ一つない白い瑞々しい柔肌が再生され、ポロポロと炭が落ちていく。
リーゼロッテは全身が焼け爛れた、人型の黒い物体から再び人としての容姿を取り戻す。
見ようによっては、神の御業、不可思議な奇跡と賞賛し喝采し、そして新たなる信仰すら始まりそうな神々しい光景だが。
絶望王にとって、それはこの世界でこれ以上なく、憐れむべき惨めで愚かしい悪夢染みた地獄の一片に過ぎない。
リーゼロッテは全身が焼け爛れた、人型の黒い物体から再び人としての容姿を取り戻す。
見ようによっては、神の御業、不可思議な奇跡と賞賛し喝采し、そして新たなる信仰すら始まりそうな神々しい光景だが。
絶望王にとって、それはこの世界でこれ以上なく、憐れむべき惨めで愚かしい悪夢染みた地獄の一片に過ぎない。
「分からないわね」
絶望王に対する苛立ちも、また憎しみも怒りもない。
ただ腑に落ちないと訝しげに、炎の中からリーゼロッテは眉を歪ませた。
ただ腑に落ちないと訝しげに、炎の中からリーゼロッテは眉を歪ませた。
「貴方、本当に世界の終わりが見たいのかしら。
あのコメディアンの坊や達を逃がして?」
あのコメディアンの坊や達を逃がして?」
絶望王から笑みが消えた。
「それとも収める器の方に未練が残っているの?
どれだけ、羨望しても貴方はああはなれないのに」
どれだけ、羨望しても貴方はああはなれないのに」
「口が回るじゃねえか。お前」
「そうでしょう? 貴方には無理よ。未来永劫、絶対に人間にはなれない。
だからこそ絶望したのよ。だから、終わらせたかったのでしょう?」
だからこそ絶望したのよ。だから、終わらせたかったのでしょう?」
それとも、何処かで変われると嘯かれたの?
そう言って。
そう言って。
「貴方……満たされたの?」
かわりに笑みが移ったように、リーゼロッテがにこやかに微笑む。
「命限りある者よ、そのなんと愚かな事か!!」
死ではなく、消え去るという事は。
何処にも行く当てがない。
天国にも昇れず、地獄にも落ちれない。
何処にも行く当てがない。
天国にも昇れず、地獄にも落ちれない。
「忘れて、消え去るか。光の粒になるか。泡になって消えるか。
……それか、眠りにつくか。死に忘れられた俺達の末路なんて、こんなもんだ」
……それか、眠りにつくか。死に忘れられた俺達の末路なんて、こんなもんだ」
人間にとっての悲劇も、人外にとっては美しいハッピーエンドだ。
死に忘れられた男にとっては、特にこれ以上なく。
死に忘れられた男にとっては、特にこれ以上なく。
「妖精なんてガラに貴方は見えないけれど」
「馬鹿言え。あいつらも大概、不条理そのものだろ」
「馬鹿言え。あいつらも大概、不条理そのものだろ」
リーゼロッテからすれば、思ったよりもファンシーな男だった。
勿論、妖精という概念が一般に知られる愛らしい種とは、程遠いのは長年に渡って蓄えた知識から心得ていたが。
芝居掛かった会話も、含めて一人で演劇をこなしているかのよう。
思わず、苦笑交じりで呟いてしまう。
勿論、妖精という概念が一般に知られる愛らしい種とは、程遠いのは長年に渡って蓄えた知識から心得ていたが。
芝居掛かった会話も、含めて一人で演劇をこなしているかのよう。
思わず、苦笑交じりで呟いてしまう。
「肉の衣から逃れても、別の衣を見付けては、また囚われ続ける。
同情してあげるわ。そこだけは。
その入れ物は、何個目なのかしら」
同情してあげるわ。そこだけは。
その入れ物は、何個目なのかしら」
「名前なら、腐る程あったよ」
「意外なものね。普通、中身が衣を選ぶものだけれど、衣に中身が呼ばれてしまうだなんて」
物質世界という悪魔の作り上げた偽世界に、永劫輪廻転生を繰り返し。
絶望に誘われ、また新たな絶望を生み出し直視する。
絶望に誘われ、また新たな絶望を生み出し直視する。
「ああ……マーダーやってるのも、俺が選んだんじゃない。
最初、乃亜が手品みたいにガキを生き返らせた時だよ。あの時から、選んだのはずっとあいつだ」
最初、乃亜が手品みたいにガキを生き返らせた時だよ。あの時から、選んだのはずっとあいつだ」
失いたくない、だがもう救う術がない。
それならば、いっそ、世界なんてどうだっていい。世界に比べれば、極少数の犠牲で済むのなら。
初めて彼女を救う方法が、手を伸ばす先に現れた。例え、偽りであったとしても、それに縋らない理由はない。
どうせ、幾ら奇麗事を口にしても、他の奴等が殺すに決まっている。だから。
それならば、いっそ、世界なんてどうだっていい。世界に比べれば、極少数の犠牲で済むのなら。
初めて彼女を救う方法が、手を伸ばす先に現れた。例え、偽りであったとしても、それに縋らない理由はない。
どうせ、幾ら奇麗事を口にしても、他の奴等が殺すに決まっている。だから。
例え、太陽のような希望の光を目の当たりにしようとも。
それは世界を照らす日光でしかなく。全てを平等に照らしてしまう。
ただ一人の手を引いて踏み出すような、特別扱いはない。
だから、絶望を受け入れた少年が、救われることはない。
それは世界を照らす日光でしかなく。全てを平等に照らしてしまう。
ただ一人の手を引いて踏み出すような、特別扱いはない。
だから、絶望を受け入れた少年が、救われることはない。
世界の存続という意味では、まさしくヒーローであったとしても。
ただの一人を救うには、大きく遠すぎる。
ただの一人を救うには、大きく遠すぎる。
義眼の少年は、真の待ち人はここにはいない。そして、未来永劫来ることもない。
この世界のブラックは、あまりにも普通過ぎるヒーローに出会えてすらいないのだから。
その前に運命を捻じ曲げられたのだ。
この世界のブラックは、あまりにも普通過ぎるヒーローに出会えてすらいないのだから。
その前に運命を捻じ曲げられたのだ。
ホワイトを救う為ならば、世界だってぶっ壊せる。
何時ぞやの、愛に飢えた天使に語ったそれは偽りでも虚言でもない、心からの本心だった。
「美しかったよ。
己を構成する価値観や概念、全ての感情が覆されるような眺めだった」
己を構成する価値観や概念、全ての感情が覆されるような眺めだった」
具体性もなく夢想を語る、根無し草の女のヒモをやって食い繋ぐかのような男の虚言。
はっきり言えば、大それただけの聞く価値もない妄言にも等しく。
はっきり言えば、大それただけの聞く価値もない妄言にも等しく。
「大崩落。俺の世界で起きた……俺が見た終わりの始まり」
だが、この一瞬のみ。
目当ての玩具に目を輝かせるような、子供染みた無邪気で無垢な笑みに。
この先に、望みがあるのだと確信させられてしまう。
腹正しくも、あの終焉(おわり)に救いを見出したあの眼には、既知感があった。
目当ての玩具に目を輝かせるような、子供染みた無邪気で無垢な笑みに。
この先に、望みがあるのだと確信させられてしまう。
腹正しくも、あの終焉(おわり)に救いを見出したあの眼には、既知感があった。
「俺が満たされたかだって? まだ、あんなもんじゃ足りねえよ」
背後にあった東京タワーを蒼炎が伝い、333mを誇る巨大な鉄の建造物が一瞬にして燃え盛る。
最上部の航空相街灯が崩れ、燃えカスになって没落する。
地響きを立てて、倒壊し崩れていく東京タワー。巨大な鉄の塊が、ものの数分もせず炭化し壊れていく。
悪夢染みた光景を背に、王は魔女を見つめ佇む。
最上部の航空相街灯が崩れ、燃えカスになって没落する。
地響きを立てて、倒壊し崩れていく東京タワー。巨大な鉄の塊が、ものの数分もせず炭化し壊れていく。
悪夢染みた光景を背に、王は魔女を見つめ佇む。
「───チッ」
指揮者のタクトを振るように、絶望王の腕が靡く。
不意に突風が吹く。灼熱を伴った台風のような豪風、それは絶望王の背後ある東京タワーを基点に巻き起こる。
タワーが建造された根元から、あっさりと圧し折れると真横へと傾き水平のまま横薙ぎへ薙ぎ払ったのだ。
子供が木の枝を折って、振り回しながら遊ぶという場景を、巨人の規模で再現した。
全長300m以上の物体を軽々振り回せば、四方周辺を軽々破砕せしめる。
妖炎を纏った魔具と化した東京タワーは、自らごと燃やし尽くし灰燼へと帰した。
リーゼロッテは足元を蹴り、空へ飛び上がる。灼熱の棍棒を避け、下方の地上は一瞬で焼き上がる。
このエリアにこの二人以外の参加者が居れば、朝生暮死の如くたちまち蒸発し、その命を散らした事だろう。
火の海になった、原始の世界へと時間を巻き戻した大地から、絶望王も飛翔する。
不意に突風が吹く。灼熱を伴った台風のような豪風、それは絶望王の背後ある東京タワーを基点に巻き起こる。
タワーが建造された根元から、あっさりと圧し折れると真横へと傾き水平のまま横薙ぎへ薙ぎ払ったのだ。
子供が木の枝を折って、振り回しながら遊ぶという場景を、巨人の規模で再現した。
全長300m以上の物体を軽々振り回せば、四方周辺を軽々破砕せしめる。
妖炎を纏った魔具と化した東京タワーは、自らごと燃やし尽くし灰燼へと帰した。
リーゼロッテは足元を蹴り、空へ飛び上がる。灼熱の棍棒を避け、下方の地上は一瞬で焼き上がる。
このエリアにこの二人以外の参加者が居れば、朝生暮死の如くたちまち蒸発し、その命を散らした事だろう。
火の海になった、原始の世界へと時間を巻き戻した大地から、絶望王も飛翔する。
「そろそろ体も限界か?」
元の制限に重ね、ガムテのルールブレイカーは虚無の魔石への接続を断ち、従来の不死性は失われている。
絶望王の目には、魔力の流れが塞き止められるように、魔石から肉体への供給が遮られているのが見て取れた。
ここまでの肉体への損壊とその回復で、肉体に蓄えた魔力も僅か。
あと一発、一撃を入れれば肉体を維持できず、魔女を屠り去れるだろう。
絶望王の目には、魔力の流れが塞き止められるように、魔石から肉体への供給が遮られているのが見て取れた。
ここまでの肉体への損壊とその回復で、肉体に蓄えた魔力も僅か。
あと一発、一撃を入れれば肉体を維持できず、魔女を屠り去れるだろう。
「じゃあな、魔女サマ。一足先に消えてくれ」
山紫水明の山紫の美しい情景がリーゼロッテの目に写る。彼女の頭上、青空の真っ只中に小山が天を翔け、日光の照らされていたのだから。
絶望王が念動力で、山岳地帯にあった一座の山を持ち上げたのだ。
数百トンを越える物量を羽すら生やさず涼しい顔で浮かばせて、リーゼロッテに影を落とす。
雲一つない晴天にただの一座、大地から抜き上げられた小山が騏驥過隙の速さで投下された。
下は生命が生き残る事の叶わぬ灼熱の火の海、上空からは隕石のように墜落する数百m以上有り余る岩石の塊。
焼けて炭になるか、潰れてミンチになるか。
いや、潰れた肉片がそのまま消し炭になるのかな? 絶望王はくつくつと笑う。
絶望王が念動力で、山岳地帯にあった一座の山を持ち上げたのだ。
数百トンを越える物量を羽すら生やさず涼しい顔で浮かばせて、リーゼロッテに影を落とす。
雲一つない晴天にただの一座、大地から抜き上げられた小山が騏驥過隙の速さで投下された。
下は生命が生き残る事の叶わぬ灼熱の火の海、上空からは隕石のように墜落する数百m以上有り余る岩石の塊。
焼けて炭になるか、潰れてミンチになるか。
いや、潰れた肉片がそのまま消し炭になるのかな? 絶望王はくつくつと笑う。
だが、騎虎の勢いに乗った投下は止まらない。火の海に山がぶち込まれる。
炎が波立ち、火炎が山を包んで燃え盛る。轟音が響み、地割れが唸りを上げた。
炎しか存在しない炎光の中に投棄された山は爆散し、罅割れた大地と火中に沈む。
炎が波立ち、火炎が山を包んで燃え盛る。轟音が響み、地割れが唸りを上げた。
炎しか存在しない炎光の中に投棄された山は爆散し、罅割れた大地と火中に沈む。
「───?」
突如として絶望王の腹が青く輝き、破裂した。
右の腹に血が滲み、そこは張り裂けたのだと痛覚が刺激される。
僅かに半身になって逸れていなければ、今頃は脇腹を飛び散らしていた事だろう。
右の腹に血が滲み、そこは張り裂けたのだと痛覚が刺激される。
僅かに半身になって逸れていなければ、今頃は脇腹を飛び散らしていた事だろう。
「…………案外、しぶといじゃねえか」
光芒が山を貫き、天高く煌めき差し昇っていた。
「未練タラタラってとこだな」
「お互いにね」
「お互いにね」
火の海の上で、絶望王の前に薄汚れた細長い棒のような物が浮かんでいた。
だがそれは、よく見れば人間であったと分かる。
顔があり、片腕だけが残されていた。しかし、それ以外の部位は擦り切れたように摩耗し消失している。
リーゼロッテは押し潰される寸前、模倣したゾルトラークを使用した。
貫通に長けた殺人魔法はあらゆる防御を障壁を突破する。巨大な山を貫き、トンネルを作り上げたと同時に片腕と顔だけを庇い、それ以外の部位を全て捨て去る覚悟で、通常であれば人間の通れぬ狭小の穴から山を通過。
だがそれは、よく見れば人間であったと分かる。
顔があり、片腕だけが残されていた。しかし、それ以外の部位は擦り切れたように摩耗し消失している。
リーゼロッテは押し潰される寸前、模倣したゾルトラークを使用した。
貫通に長けた殺人魔法はあらゆる防御を障壁を突破する。巨大な山を貫き、トンネルを作り上げたと同時に片腕と顔だけを庇い、それ以外の部位を全て捨て去る覚悟で、通常であれば人間の通れぬ狭小の穴から山を通過。
「くたびれたツラしてたから、望み通りにしてやろうと思ってたのにな」
あまりに狭い穴を通り過ぎる為に、全身を擦り下ろし摩耗し、狭いトンネルのサイズ故に、体格も細長く変動していた。
それで再生を終えるには、時間が必要だろう。少なくとも絶望王ならば、数度殺せるだけの長すぎる時間が。
それで再生を終えるには、時間が必要だろう。少なくとも絶望王ならば、数度殺せるだけの長すぎる時間が。
「貴方と違い、私はもう眠り飽きたのよ。
退屈なレディをエスコートする甲斐性はないの?」
退屈なレディをエスコートする甲斐性はないの?」
残された右腕を振るい、握られた鉄紺の杖から斬撃が放たれる。
妖精國の主、冷徹の女王モルガンが保有する魔槍の杖。
独力でレイシフトを可能とし、異聞帯すら王として納めた天才的な魔術の技量を持つ、モルガンが操る魔術触媒。
繫がりを断たれた魔力供給の量は依然回復しないが、技量だけならば現状のリーゼロッテでも相応に融通を利かせられる。
モルガンの考案した全ての術式を解き明かし、再現するのは欧州最強の魔女であっても不可能だが、一定の品質を保った上での疑似模倣であれば、然程の手間ではない。
妖精國の主、冷徹の女王モルガンが保有する魔槍の杖。
独力でレイシフトを可能とし、異聞帯すら王として納めた天才的な魔術の技量を持つ、モルガンが操る魔術触媒。
繫がりを断たれた魔力供給の量は依然回復しないが、技量だけならば現状のリーゼロッテでも相応に融通を利かせられる。
モルガンの考案した全ての術式を解き明かし、再現するのは欧州最強の魔女であっても不可能だが、一定の品質を保った上での疑似模倣であれば、然程の手間ではない。
「ッ───!!」
黒光の斬撃と不可視の魔手が撃砕し合う。
大気を震わし、木霊するような爆竹音が鳴り猛る。
数十の斬撃と魔手が鬩ぎ合い、先にリーゼロッテが半身になった。
一手、手数で絶望王が競り勝った。
ダンという空を蹴り上げる音を鳴らし、絶望王が驀進する。半身になり隙の生じたリーゼロッテの頭部へ掌を翳す。
しかし掌の影の下で、リーゼロッテは妖しくほくそ笑む。右手の槍を弧を描くように回転させ、穂を下に逆に返す。矛先が紫檀色に輝き魔力が収束した。
互いに必殺の間合い。どちらが先に脳髄を砕くか、最後のデッドヒートが幕を上げる。
大気を震わし、木霊するような爆竹音が鳴り猛る。
数十の斬撃と魔手が鬩ぎ合い、先にリーゼロッテが半身になった。
一手、手数で絶望王が競り勝った。
ダンという空を蹴り上げる音を鳴らし、絶望王が驀進する。半身になり隙の生じたリーゼロッテの頭部へ掌を翳す。
しかし掌の影の下で、リーゼロッテは妖しくほくそ笑む。右手の槍を弧を描くように回転させ、穂を下に逆に返す。矛先が紫檀色に輝き魔力が収束した。
互いに必殺の間合い。どちらが先に脳髄を砕くか、最後のデッドヒートが幕を上げる。
「……なに」
絶望王が瞠目する。
「しま───」
同時にリーゼロッテが忘我した。
二者の視線の先に、リーゼロッテが背負っていたランドセルが飛ばされている。
一手勝った絶望王の魔手を避けた時、ランドセルが持って行かれたのだろう。
それだけならば、百戦錬磨の手練れが気を取られる事などない。
ランドセルの蓋が開き、中身が上空に乱雑に放り出される。その中で一際、異彩を放つ眼鏡のような器具。
偏執王アリギュラが用意した、神々の義眼を奪える魔具その物だ。
二者の視線の先に、リーゼロッテが背負っていたランドセルが飛ばされている。
一手勝った絶望王の魔手を避けた時、ランドセルが持って行かれたのだろう。
それだけならば、百戦錬磨の手練れが気を取られる事などない。
ランドセルの蓋が開き、中身が上空に乱雑に放り出される。その中で一際、異彩を放つ眼鏡のような器具。
偏執王アリギュラが用意した、神々の義眼を奪える魔具その物だ。
「ハハッ……マジかよ!!」
絶望王の眼前から、それ以外の全ての存在が消失した。全てが意識の外で、それだけに注視される。
魔槍の矛先から生成された魔術の刃が転送され、体勢を傾けた絶望王の左腕を掠る。
皮一枚切れた程度だが、切り口は深い。多量の血が吹き出し激痛が走ったが、絶望王は構う気すら起きない。
念動力で周囲の大気を圧縮させ、一気に破裂させる。殺意も何もない、ただの鬱陶しい邪魔者を退かす為のものだ。
豪風の風上で、絶望王は目一杯に手を伸ばし、それを掴み取る。
魔槍の矛先から生成された魔術の刃が転送され、体勢を傾けた絶望王の左腕を掠る。
皮一枚切れた程度だが、切り口は深い。多量の血が吹き出し激痛が走ったが、絶望王は構う気すら起きない。
念動力で周囲の大気を圧縮させ、一気に破裂させる。殺意も何もない、ただの鬱陶しい邪魔者を退かす為のものだ。
豪風の風上で、絶望王は目一杯に手を伸ばし、それを掴み取る。
「あっぶねぇ……!」
下は未だずっと火の海だ。こんな場所に、落としたら一瞬で故障してしまう。
「ククク、ハハハハハッ!!
全く、天下の13王様も大した事ねえな? 1人は捕まって、もう1人は物パクられてんだからよ。
アリギュラの奴、怒ってんのか気付いてもないのか、どっちなんだ? アハハハ!」
全く、天下の13王様も大した事ねえな? 1人は捕まって、もう1人は物パクられてんだからよ。
アリギュラの奴、怒ってんのか気付いてもないのか、どっちなんだ? アハハハ!」
満面の笑みで、歳相応の少年の明るい声色で喜んだ。
フランドール・スカーレットは、最期を迎える前に。
紛れもなく、絶望王という超越体の破壊をその目に捉えていた。
本来であれば、十全に制限され見れない筈の破壊の目を。
地縛神との戦闘で、衰弱したその内面の本質を見抜いていた。
紛れもなく、絶望王という超越体の破壊をその目に捉えていた。
本来であれば、十全に制限され見れない筈の破壊の目を。
地縛神との戦闘で、衰弱したその内面の本質を見抜いていた。
フランドール・スカーレットは吸血鬼としては若輩だ。
長年の引き籠り生活と元から備わった十分すぎる強力さの弊害もあって、だから、身に宿る力を高めようなどと考えもしていない。
天敵がいなければ、それ以上の強さを求めようなどと考えるのは、余程の酔狂な戦闘狂位なもの。
長年の引き籠り生活と元から備わった十分すぎる強力さの弊害もあって、だから、身に宿る力を高めようなどと考えもしていない。
天敵がいなければ、それ以上の強さを求めようなどと考えるのは、余程の酔狂な戦闘狂位なもの。
「フハハハハ…あーあ……怖いぐらいに巡り合わせが良いや」
だから、あのありとあらゆるものを破壊する程度の能力は、まだ引き出せる先がある。
例えば、絶望王という埒外のハードにあのソフトを搭載出来れば。
例えば、絶望王という埒外のハードにあのソフトを搭載出来れば。
「あんたの顔をまた拝むのも、そう遠くはないかもな。孫悟空」
世界ですら破壊できる。そう思わせる程に。
「見てな。ありきたりな、世界の危機を。バカ騒ぎを起こしてやるよ」
あの街では、よくあったことだ。
おあつらえ向きのヒーローだって、偶然いる。
やはり、気付けばあの街に自分も染まっているのだなと、絶望王は苦笑した。
おあつらえ向きのヒーローだって、偶然いる。
やはり、気付けばあの街に自分も染まっているのだなと、絶望王は苦笑した。
【一日目/午後/C-5 東京タワー跡地】
【絶望王(ブラック)@血界戦線(アニメ版)】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(中 時間経過で小まで回復)、空腹、高揚感(大)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×2(フラン、ジャック)、神々の義眼の視界を奪える道具@血界戦線(アニメ版)
[思考・状況]基本行動方針:殺し合いに乗る。
0:シカマル達を探しに行く。
1:気ままに殺す。
2:魔神王とは“四度目”はない。
3:気ままに生かす。つまりは好きにやる。
4:シカマル達が、結果を出せば───、
5:江戸川コナンは出会うまで生き伸びてたら、な。
6:シカマルと逸れたが…さて、どうしたもんかね。
7:道具も手に入ったし、頃合いを見て梨沙(メスガキ)からフランの目玉を取り立てる。
[備考]
※ゲームが破綻しない程度に制限がかけられています。
※参戦時期はアニメ四話。
※エリアの境界線に認識阻害の結界が展開されているのに気づきました。
[状態]:疲労(大)、ダメージ(中 時間経過で小まで回復)、空腹、高揚感(大)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×2(フラン、ジャック)、神々の義眼の視界を奪える道具@血界戦線(アニメ版)
[思考・状況]基本行動方針:殺し合いに乗る。
0:シカマル達を探しに行く。
1:気ままに殺す。
2:魔神王とは“四度目”はない。
3:気ままに生かす。つまりは好きにやる。
4:シカマル達が、結果を出せば───、
5:江戸川コナンは出会うまで生き伸びてたら、な。
6:シカマルと逸れたが…さて、どうしたもんかね。
7:道具も手に入ったし、頃合いを見て梨沙(メスガキ)からフランの目玉を取り立てる。
[備考]
※ゲームが破綻しない程度に制限がかけられています。
※参戦時期はアニメ四話。
※エリアの境界線に認識阻害の結界が展開されているのに気づきました。
(……未練ね)
豪風に煽られ、絶望王から遠ざけられる中、リーゼロッテは己の未練を悔いる。
あの魔具は魔眼の保有者から、その視界を奪い去れる力がある。
故に、まだ取り戻そうとしていた。
皐月駆の眼窩に宿る、劫の眼を。そこに眠るヴェラードの魂を。
こんな殺し合いで特段役立つかも分からない酔狂な道具を、後生大事に保持して、いざという場面で気を取られ絶望王を刺す好機を逃してしまった。
あの魔具は魔眼の保有者から、その視界を奪い去れる力がある。
故に、まだ取り戻そうとしていた。
皐月駆の眼窩に宿る、劫の眼を。そこに眠るヴェラードの魂を。
こんな殺し合いで特段役立つかも分からない酔狂な道具を、後生大事に保持して、いざという場面で気を取られ絶望王を刺す好機を逃してしまった。
(何故、あの男もあれを?)
考えるまでもない。何者かの魔眼を奪おうと画策している。
それ以外に、あの道具の使い道なんてない。
それ以外に、あの道具の使い道なんてない。
───世界の終わりだよ。
そういうことか。
得心を得て、リーゼロッテは口許を吊り上げた。
最低でも、この島すら終わらせる術が何処かに眠っている。
その力を奪取するのに、あの道具が必要なのだ。
得心を得て、リーゼロッテは口許を吊り上げた。
最低でも、この島すら終わらせる術が何処かに眠っている。
その力を奪取するのに、あの道具が必要なのだ。
「そう……死ねない悪魔さんの最後の手段ってワケ?」
死に忘れられた哀れな男が死ねる唯一の手段。
傍迷惑な無理心中を、全世界に強いて死のうとしているわけだ。
傍迷惑な無理心中を、全世界に強いて死のうとしているわけだ。
「待望の死を間近に、それを奪われる貴方の絶望も見てみたいわね」
燃え盛るC-5から出て、体の再生具合を確認する。
足はまだ引き摺り、左腕はまだ再生しきれていないが、徐々に次の戦闘が可能なコンディションになってきている。
今から引き返し、あの道具を奪い返しに行くのは聡い選択ではない。
だが、あのまま人の道具で好きにされるのも面白くなかった。
足はまだ引き摺り、左腕はまだ再生しきれていないが、徐々に次の戦闘が可能なコンディションになってきている。
今から引き返し、あの道具を奪い返しに行くのは聡い選択ではない。
だが、あのまま人の道具で好きにされるのも面白くなかった。
「貴方がどれだけ、この罪深い世界を見てきたのかは知らない。
古往今来、私よりも生きてきたのかもね」
古往今来、私よりも生きてきたのかもね」
何世紀にも渡り、あれは世界の行く末を常に見守り続けてきたのだろう。
「けれど、結局は傍観者の貴方に、世界の罪を雪ぐ資格はないわ」
だが、所詮は傍観者に過ぎない。人の世の盤上に立ちすらしない、不遜な偽神。
あれが救われる為に、世界を穢れた炎が犯される位ならば。その前にこの手で、不浄の世界を葬り去る。
あれが救われる為に、世界を穢れた炎が犯される位ならば。その前にこの手で、不浄の世界を葬り去る。
神の名の下、正義という侵略を受け故郷を焼き払われ、愛おしい世界を踏み躙られる。
槍に突き上げられた人肉から、一面に降り注ぐ血の雨を浴びたか。
大河のように拡がり、山のように積み上げられた同胞の死体の上で、肉と血で纏わりつくような汚泥の道を走り、踏み付ける触感を味わったか。
同僚が隣人が友が家族が、老若男女問わず、等しく惨殺され人ではない物言わぬ肉塊と化した光景。
人の遺体ですらなく、薄汚れた肉へと変容する失墜感を。
体を腐るまで犯され、蛆が集り生きながらに貪られる嫌悪感を。
信仰すら穢され、主の御名を叫ぶこと一切の救いすら、根こそぎ剥奪された事があるのか。
槍に突き上げられた人肉から、一面に降り注ぐ血の雨を浴びたか。
大河のように拡がり、山のように積み上げられた同胞の死体の上で、肉と血で纏わりつくような汚泥の道を走り、踏み付ける触感を味わったか。
同僚が隣人が友が家族が、老若男女問わず、等しく惨殺され人ではない物言わぬ肉塊と化した光景。
人の遺体ですらなく、薄汚れた肉へと変容する失墜感を。
体を腐るまで犯され、蛆が集り生きながらに貪られる嫌悪感を。
信仰すら穢され、主の御名を叫ぶこと一切の救いすら、根こそぎ剥奪された事があるのか。
人類史に腐る程ある悲劇。
いくつ、その場に当事者として、舞台上で役者として立ち会った?
いくつ、その場に当事者として、舞台上で役者として立ち会った?
あれは所詮、傍観者という名の部外者に過ぎない。肉体という入れ物に、目という窓越しにしか世界を見ていない。
どれだけ一方的に絶望しようと、高みの見物を決め込むだけのデミウルゴスに類する悪神。
何処にも属せず、眺め羨望し、勝手な帰属意識を持った人外の独り者。
どれだけ一方的に絶望しようと、高みの見物を決め込むだけのデミウルゴスに類する悪神。
何処にも属せず、眺め羨望し、勝手な帰属意識を持った人外の独り者。
「人は人の手で終わらせる」
あれの帰する場所など、物質世界にも霊的世界にも、全次元にも存在しない。
死に嫌われた哀れな悪魔は、未来永劫ただの一人でこの悪しき世界を味わい、彷徨い続けていろ。
死に嫌われた哀れな悪魔は、未来永劫ただの一人でこの悪しき世界を味わい、彷徨い続けていろ。
「私が全ての終止符を打つのよ」
【一日目/午後/D-5】
【リーゼロッテ・ヴェルクマイスター@11eyes -罪と罰と贖いの少女-】
[状態]:ダメージ(大)、疲労(大)、左腕欠損(ゆっくり再生中)、虚無の石との接続不良(大 時間経過で回復)、再生能力低下、魔力出力減少
[装備]:モルガンの杖@Fate/Grand Order
[道具]:基本支給品、羽蛾のランドセルと基本支給品、寄生虫パラサイド@遊戯王デュエルモンスターズ(使用不可)
[思考・状況]基本方針:優勝する。
0:虚無の石との接続を 回復させる。
1:野比のび太、フリーレンは必ず苦しめて殺す。
2:ヴェラード、私は……。
3:目の前の少年に対処する。
4:絶望王ではなく、私こそが世界に終止符を打つ。
[備考]
※参戦時期は皐月駆との交戦直前です。
※不死性及び、能力に制限が掛かっています。
※幻燈結界の制限について。
発動までに多量の魔力消費と長時間の溜めが必要、更に効果範囲も縮小されています(本人確認済み)。実質、連発不可。
具体的には一度発動すると、12時間使用不可(フリーレン戦から数えて、夕方まで使用不可)
発動後、一定時間の経過で強制解除されます(本人確認済)。
※虚無の石との接続が初期化されました。時間経過や支給品によって回復しますが無尽蔵の魔力の制限と、再生能力が下落しています。
[状態]:ダメージ(大)、疲労(大)、左腕欠損(ゆっくり再生中)、虚無の石との接続不良(大 時間経過で回復)、再生能力低下、魔力出力減少
[装備]:モルガンの杖@Fate/Grand Order
[道具]:基本支給品、羽蛾のランドセルと基本支給品、寄生虫パラサイド@遊戯王デュエルモンスターズ(使用不可)
[思考・状況]基本方針:優勝する。
0:虚無の石との接続を 回復させる。
1:野比のび太、フリーレンは必ず苦しめて殺す。
2:ヴェラード、私は……。
3:目の前の少年に対処する。
4:絶望王ではなく、私こそが世界に終止符を打つ。
[備考]
※参戦時期は皐月駆との交戦直前です。
※不死性及び、能力に制限が掛かっています。
※幻燈結界の制限について。
発動までに多量の魔力消費と長時間の溜めが必要、更に効果範囲も縮小されています(本人確認済み)。実質、連発不可。
具体的には一度発動すると、12時間使用不可(フリーレン戦から数えて、夕方まで使用不可)
発動後、一定時間の経過で強制解除されます(本人確認済)。
※虚無の石との接続が初期化されました。時間経過や支給品によって回復しますが無尽蔵の魔力の制限と、再生能力が下落しています。
※東京タワーは倒壊し消し炭になりました。
【神々の義眼の視界を奪える道具@血界戦線(アニメ版)】
アニメ本編でアリギュラが用意し、絶望王に渡した道具。
終盤、レオナルドに被せ絶望王が神々の義眼を使用し、HLの結界を破壊した。
このロワでは神々の義眼以外にも装着した相手の視界を奪える。
アニメ本編でアリギュラが用意し、絶望王に渡した道具。
終盤、レオナルドに被せ絶望王が神々の義眼を使用し、HLの結界を破壊した。
このロワでは神々の義眼以外にも装着した相手の視界を奪える。
【モルガンの杖@Fate/Grand Order】
モルガンが武器にする杖。
このロワでは魔術に心得があれば、ある程度モルガンの技が使えるようになっている。
モルガンが武器にする杖。
このロワでは魔術に心得があれば、ある程度モルガンの技が使えるようになっている。
129:SYSTEM | 投下順に読む | 131:きみの善意で壊れる前に |
時系列順に読む | ||
127:遠くへ行け遠くへいけと僕の中で誰かが唄う | 絶望王 | 138:ラフ・メイカー |
リーゼロッテ・ヴェルクマイスター | 137:殺人考察(前) |