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  • 決闘バトルロイヤル @ ウィキ
  • You say…絆 ―死者と生者、零にて交わりし時―

決闘バトルロイヤル @ ウィキ

You say…絆 ―死者と生者、零にて交わりし時―

最終更新:2022年09月02日 16:44

匿名ユーザー

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マサツグ様が刃王剣十聖刃を構え、ニノンもまたデイパックから緑色の剣を取り出す。

風双剣翠風――仮面ライダー剣斬へ変身するためのツールであると同時に武器としても使える聖剣だ。
みかげを魔物から助けた際もこの聖剣を武器として扱い、倒している。ニノンは武器を用いた戦闘を得意としており、徒手空拳で魔物を倒すのは難しい。

もっともこの聖剣が仮面ライダーという戦士に変身する機能があるというのは、魔物を倒した後に知ったことなのだが。あの時はとにかく魔物を倒すことを優先して、ロクに説明書も読んでいなかった。

そしてマサツグ様とニノンは奇しくも似たような――というより同じ世界の聖剣を支給されていた。
スタート地点の近さ、支給品の類似点。
まるで最初から二人はこうして戦う運命が定められていたかのように。
全て神の掌の上で転がされているかのように――。

だがそんなこと二人には知ったことじゃない。特にニノンはこの状況でそんな悠長なことは考えていられない。

「ふん。お前も聖剣使いか?」

マサツグ様は支給品の説明書を読んでおり、刃王剣十聖刃が聖剣だということを知っている。
変身能力なども把握済みだが――未だ使っていないのは、慢心ゆえか。

「――ッ!」

ニノンが返事をするより先に、マサツグ様が容赦なく聖剣を振るう。ニノンはこれを己が聖剣で防ぐが、冷や汗が垂れる。
回答なんて元から期待してない。わざわざ聞く気もない。

ニノンを襲う前に軽く目を通した名簿に記載されていた、直見真嗣とマサツグ様――。
並行世界の自分もまたこの殺し合いに参加していることが、ほぼ確定したと判断しても良いだろう。

なんとも気持ち悪いことだ。
ハーレム要員のエリンがやけに馴れ馴れしいツンデレ気取りになっていたように、並行世界の自分もまた気持ち悪い存在なのだろう。
考えるだけで寒気がする。本当に気持ち悪い話だ。
だから一刻も早く並行世界の自分を見つけ出し、この手で殺す。ナオミ・マサツグはこの世に一人で良い。

(……?思ったより威力が低いデスね)

マサツグ様が刃王剣十聖刃を振り、ニノンが風双剣翠風でそれを防ぐ。そんなやり取りが幾度か続いた。一瞬でも気を抜けば殺されかねない、命のやり取り。
だからニノンは決して気を抜かないし、マサツグ様の相手に集中しているが――なんというか、思ったよりは強くないというのが率直な感想だった。

マサツグ様の攻撃はニノンでも難なく対処出来るし、実際いまのところ傷一つ付けられていない。
それどころかマサツグ様の剣の動きはよく見ればそれほど大したことがない。同じギルドのモニカの方が技術ならよっぽど上だろう。

――これはマサツグ様の「守る」スキルが発動されていないことが原因なのだが、ニノンはそんな情報を知るわけもない。

ナオミ・マサツグは大切なもの。守りたいものを守る時に強い力を発揮する。
そしてマサツグ様は己を守る際に力を発揮する。
だが今は暫くマサツグ様が一方的に攻めるのみの状況が続き、彼はニノンを虫けら程度にしか思っていない。これでは守るスキルが発動されないのも必然だ。

(これなら……いけそうデス!)

聖剣を振るわれるのは、これで何度目だろう。
ニノンは風双剣翠風を握る腕に力を込め、刃王剣十聖刃の刀身へぶつけることで軌道を逸らす。
当然マサツグ様の胴体はがら空きになり、そこへ風双剣翠風の峰を叩き込もうとする。

「峰打ちデース!」

ニノンは魔物こそ退治するが――目の前にいるこの不気味な男は、これでも人間だ。
だから殺さず、とりあえず思いっきり腹を殴って気絶させる。生き残るために戦う覚悟は出来ているが、だからといって人間を殺す覚悟までは出来ていない。

この時点で殺し合いのプレイヤーとしてはあまりにも甘すぎるが――それだけならまだ良い。
それ以上にニノンは運が悪かった。

「――がっ!?」

――ニノンの腹に、刃王剣十聖刃が突き刺さる。
不意打ちのように切られたせいで、急所を避けるのがやっとだ。それが出来ただけでもニノンは褒められても良いだろう。

「ど……どういうことデスか……?」

ニノンの目は現実を捉えていた。
だがニノンの頭は理解が追いつかない。
何故なら彼女はたしかにマサツグ様の聖剣の軌道を逸らし、反撃に出たはずなのだ。
それなのにいきなり刃王剣十聖刃がマサツグ様を守るかのようにその手を離れ、ニノンの腹に突き刺さった。

理解不能。
ただ一つわかることは、自分はおそらく助からないであろうこと。
急所こそ避けたが、血が止まらない。目の前の男は応急処置すらも許してくれないだろう。

ぐらり――。
ニノンの身体がよろけ、無様にも倒れる。

(ショーグン、モニカさん……)

二人の姿が脳裏を過る。
ここで死ねば自分はもう二度とショーグンやモニカと――ヴァイスフリューゲルのみんなと会えない。

(せめてスモーク玉があれば良かったのデスが……)

アクダイカンから逃げる際に使用した忍法・スモーク玉。忍法なんて名付けているが要するにただの煙玉で、当然ながら道具を主催者に没収されている今では使えない。

(ミカゲさんは大丈夫でしょうか……?)

ふとこの殺し合いで出会った少女を思い出す。
我が道を往く団員ばかりのヴァイスフリューゲルとは程遠い、普通に拘る存在を。

致命的に相性が悪いと言わざるを得ないが――それでもやっぱり彼女と別れてしまった後悔はある。
戦う力を持つプレイヤーならともかく、彼女は明らかに無力だ。単独行動に出るなんてあまりにも危ない。

だがもしもみかげがこの場に居たら、きっと真っ先に殺されていただろう。そういう意味では、みかげがどこかへ行ってくれたのは好都合かもしれない。

(ショーグンみたいな人に会ってるといいデスが……)

あんな別れ方をしてしまったのだ、色々と思うことはあるし何より心配だ。
だが今は――――。

「やれやれ。足元を掬われたのはお前だったようだな」

力なく倒れ伏したニノンをマサツグ様は見下す。

これぞマサツグ様。紛うことなきハーレム王であり、チート能力を手にした者。

ちなみに刃王剣十聖刃は今再び、マサツグ様の手にある。ニノンを一突きした後、自動的に戻ってきたのだ。まるでマサツグ様を守るかのように。

「まだ、デス……っ!」

ニノンはなんとか立ち上がるとバックステップして、マサツグ様との距離を取る。
身体が重い。少し動いただけなのに、激痛が走る。
それでもニノンは目の前の巨悪に負ける気はない。

「あなたみたいなヤツをノサバラセるわけにはいかないデス!」
「……で?羽虫のお前に何が出来るというのだ?」

羽虫。
マサツグ様にとってニノンなんて本当にその程度の存在でしかない。
圧倒的なまでの力の差だ。こんな時に考えるのもおかしなことだが、アクダイカンを倒した時のことを思い出す。
あの時は白翼の絆で強敵を打ち破ったが――今は一人だけ。そしてアユミも、この世にはもう居ない。

「ワタシにはまだ切り札があります……!――変身!!」

そしてニノンは風双剣翠風によって忍者のようにも見える緑の剣士――仮面ライダー剣斬に変身した。

「第二ラウンジの始まりデス!」
「ふん。小賢しい羽虫が」

卍


神を自称するゲームマスターはテストプレイの終了を告げると、次々と真のルール説明や残酷な映像を流し始めた。

テスト――僕にとっては大嫌いな言葉だ。まさか無自覚のうちに『テスト』を受けさせられてたなんて思わなかったけど……今はそれどころじゃない。

「貴様は人の命をなんだと思っているのだ……っ!」

女の子が殺された光景を見せ付けられて、モニカちゃんの表情がどんどん険しくなる。
その時のモニカちゃんの姿は本当に軍人みたいで。拳を握りしめて顔を顰めるその表情は、戦士という言葉がピッタリ似合うな……なんて思った。

そんなことを考えていたら、いつの間にか男の人が駆け付けて、特殊なベルトで変身した。
ゲームマスターの言葉を信じるなら、彼の名前は葛葉紘汰。仮面ライダー鎧武。たぶん仮面ライダーっていうのは、ああやって変身して戦う人のことだ。

変身――。
僕もゆきさんに出会って、女装を始めて――変身した。
ゆきさんが居なければ僕は勉強に抑圧された、つまらない人生を送っていたはずだ。
現実を壊すことすら出来ず、夢を見ることも出来なかった。

なによりゆきさんは、僕にとって――――。

そんなことを呑気に考えていた時。

『ぐぅわぁあああ!!』

――仮面ライダー鎧武の絶叫に目を見張る。

え?
今、何が起こったんだ……?

僕は正直、紘汰さんが乱入した後は少し楽観的に放送を見ていた。
あそこまで辿り着けるということは、きっとすごく強いに違いない。僕みたいなガリ勉野郎よりも頭だっていいと思う。

それに仮面ライダー鎧武はヒーローに見えた。
紘汰さんなら、ゲームマスターの野望を止められる気がした。

それなのに紘汰さんはいつの間にか大怪我を負って、仮面ライダーじゃなくなっていた。
一定のダメージを受けたら強制的に変身を解除される?
もしそうなら、鎧武はいつ攻撃を受けた?

昔は勉強だけが取り柄だった僕だけど……今の状況を理解出来ない。
……でも紘汰さんが何か攻撃を受けたことだけはわかる。

『君をリプログラミングして普通の人間に戻した。さあ、神の前に跪くがいい!』
『ふざ、けんな!力なんて無くても、変身出来なくても―――俺は最後まで戦う!!』

こんな状況なのに紘汰さんは諦めようとしなかった。
諦めの悪さは僕も多少は自信がある。……ゆきさんのことをずっと諦められないから。
でも紘汰さんの諦めの悪さは――僕とは明らかに違うものだ。

『それが俺たち―――仮面ライダーだからだ!』

ガリ勉野郎だった僕にはあまり理解出来ないけど――仮面ライダーという言葉に誇りを感じる。
あの人は何があってもきっと絶対に諦めない。女装が家族バレして、家族会議で女装を諦めかけた僕とは全然違う。

「コウタ……!」

険しかったモニカちゃんの表情が、勇ましいものに変わる。
紘汰さんの言動に影響を受けたのか?
僕も何も思わないわけじゃないけど――そんなカッコいい表情は出来ない。

『戒斗……みんな……。俺の代わりにこいつを、檀黎斗を……止めてくれ……』

こうして紘汰さんは――僕たちが見ている放送の中で死んだ。
檀黎斗。それがゲームマスターの名前だろうけど、紘汰さんでも勝てないのにどうやって――――。

「うむ。――コウタ、貴公の意志は私に届いたぞ!」

うじうじ悩んでる弱気の僕とは正反対に、モニカちゃんはやる気を出してた。

すごい……。あんなに強い人が殺されたのに、それでもモニカちゃんは立ち向かおうとしてるのか……。

僕はゆきさんや椎名さんと仲良くなって『変身』したはずなのに――。

紘汰さんやモニカちゃんみたいにあのゲームマスターと戦おうなんて思えない。
これじゃまるでガリ勉野郎の頃と変わらない……。
勉強に抑圧された次は、圧倒的な強さにひれ伏すしかないのか……?

「あの自称神は私が倒す。
……だがマナブ、貴公は自分が生き残ることを優先してくれ。一般人を危険に巻き込むのは、軍人として不本意だ」

モニカちゃんは勇ましくて、優しかった。
軍人。初対面の時は微塵も信じてなかったけど、彼女の称号に真実味が増してゆく。

正義感が強いだけじゃ説明出来ない何かが、今のモニカちゃんにはある。
多分モニカちゃんは本当に軍人なんだ。戦争をするためじゃなくて、みんなを守るための優しい軍人なのかな……。

『葛葉紘汰はルール違反だが―――残念ながら彼には首輪がないから爆発することが出来なかった。
彼女の名前はアユミ。ルール違反を行った葛葉紘汰の代わりに―――今から彼女を削除する』

それでも檀黎斗は執拗にプレイヤーへ嫌がらせを仕掛けてくる。
アユミ――その名前を聞いた瞬間、嫌な予感がした。
ゆきさんとユキちゃんみたいに名前が同じだけならいいけど……。

「そ、そんな……。アユミ……!」

――現実はそんなに甘くなかった。
モニカちゃんの反応でわかる。モニターに映し出された女の子は――モニカちゃんの仲間のアユミちゃんだ。

「何故だ!?どうしてアユミを殺そうとする!!」

その時のモニカちゃんは怒りと悲しみをごちゃごちゃにしたような――そんな表情をしてた。
そしてそんなモニカちゃんを嘲笑うかのように――アユミちゃんの首輪が音を鳴らす。

やばい……これはきっと命のカウントダウンだ。
アユミちゃんもその意味を理解してるみたいで、急いで首輪を外そうとする。――当然、外れない。

『たすけてくだ―――』

ここに来て何度目かの人の死。それもモニカちゃんの仲間が殺された。
それなのに僕はもう……こんなこと考えたらダメだけど、死体を見るのに少し慣れてしまった。

……それでも怖い。
僕もいつかああなるんだろうか。
今は殺された女の子や紘汰さんやアユミちゃんのことを悲しまなきゃダメなはずなのに……それ以上に自分の死が怖い。

ダメだ。
モニカちゃんに何か声を掛けなきゃダメなのに――――。

「アユミ……」

無理だった。
僕はモニカちゃんのことを全然知らないし、元々はただのガリ勉だから……誰かを慰めるなんて難しい。

呆然とした表情でアユミちゃんの名前を呟くモニカちゃんを眺めるだけ。
それだけしか今の僕には出来ない。

『そして今から一つ運試しのゲームをする。私がこのボタンを押した瞬間―――君たち本戦出場者のうち何人かがランダムでゲームオーバーになるゲームだ』

「――――え?」

この人は今、なんて言った?
ランダムで人が死ぬ?
そんな――僕はまだゆきさんに再会してないのに。フェラチオどころか、キスすらしてもらってないのに。

ゆきさんはいつも可愛い。
ちんこ舐めた椎名さんを見て、興奮した表情すら可愛かった。

同じおちんちんがついてる男性とは思えないほど可愛くて、僕を救ってくれた女装男子。
フェラチオさせてくださいって頼んだら、興奮して勃起する姿も。
顔に似合わず大きいおちんちんも。女の子みたいな喘ぎ声を出すところも。頼めばフェラチオしてくれそうなところも。

――ゆきさんは全部が可愛い。

そんな僕の想いなんて無視してゲームマスターはボタンを押した。
もしもゆきさんがこのゲームに参加してたら――この瞬間に殺された可能性もある。

僕は急いで名簿を確認した。
現実的に考えたら、ボタン一つで死ぬなんてそんなことあるわけ……と思っていたかもしれない。
でもあんなにも死体を見せ付けらて、あのゲームマスターなら本当にボタン一つで人を殺せると知った。倫理観なんてこの人にはない。

「どこまで……」

――ずっと悲しんでいたモニカちゃんが呟いた。
アユミちゃんが死んでも、モニカちゃんはまだ放送を見ている。聞いている。

「どこまで人の命を弄べば気が済むのだ!何故こんなことをして、人々の人生をめちゃくちゃにするのだ……!!」

モニカちゃん……。
今のモニカちゃんの表情は、優しい軍人のモニカちゃんとはかけ離れたものだった。

「お前さえいなければ、みんな幸せな日々を送れたはずだ!そんな力があるのに、何故こんなことに利用した……!」

幸せな日々……。
たしかに僕は家族にも女装を認められて、幸せな日々が始まるはずだった。
こんなところに連れてこられなければゆきさんと幸せになれた可能性だって……。

「私の質問に答えろ!本当に神なら答えてみせろ、クロト!!」

モニターに向かって叫ぶモニカちゃんの質問に答える人は誰もいない。モニカちゃんの叫び声だけが虚しく響いた……。
そして放送が終わった。モニカちゃんは暫く俯いた後――――。

「……すまない、マナブ。私としたことが、取り乱してしまったな」
「僕は大丈夫だよ。……ゆきさんが無事ならいいけど……」

ユキ。
その名前が名簿に記載されてるのを見た瞬間、背筋が凍った。

ゆきさんが呼ばれてる可能性は考えてたけど……ボタンの一件があるから怖い……。

でも放送が終わった後に冷静に名簿を見返すと、僕の名前はフルネームで書いてあった。
僕以外にもそういう人が大多数で……中には野獣先輩とか変な名前の人もいるけど、とりあえず『ユキ』がゆきさんだとは限らない。

フルネームで記載されてる可能性が浮上したし、モニカちゃんの知り合いのユキちゃんの可能性もある。……モニカちゃんの近くに名前が書いてあるから、その可能性が高そうだな……。

あ……。この件はいつかモニカちゃんに伝えるべきだと思うけど、今はやめておく。今これを教えてもモニカちゃんを刺激するだけかもしれない。

「安心してくれ。マナブも、マナブの知り合いの『ユキ』も私が責任をもって守る」

モニカちゃんはへこたれない。
僕とゆきさんのどっちも守ると宣言するその姿は、軍人そのものだ。……でもやっぱりアユミちゃんの件を引きずってるのか、少し寂しそうでも、悔しそうでもあった。
それにこんなのまるで――。

「モニカちゃんは僕を頼らないの……?」

一人で抱え込もうとしてるモニカちゃんを見てると、ついそんなことを口にしていた。

僕には女装と勉強くらいしか特技がない。ガリ勉だったからゲームなんてあまりしてこなかったし、当たり前だけど戦闘技術だってない。
人を殺す?そんなことは、もちろんダメに決まってる。
でもそんな僕にも今は力がある。戦うための立派な武器が支給されたんだ。

「さっきも言ったが、私は軍人だ。一般人を危険に巻き込みたくはない」

軍人。
もしかしてその言葉はモニカちゃんの誇りであると同時に――呪いなのかもしれない。

――昔の僕は勉強に抑圧されて、テストで満点を取り続けるだけの人生だった。
モニカちゃんは僕と違って自分の意志でそういう生き方を選んでると思うけど……。

「一人で抱え込むのは……ダメだよ……」

僕はモニカちゃんや紘汰さんみたいに強くない。……ゲームマスターと戦うのも怖い。

それでも――――。
こんな女の子だけに色々と背負わせて、自分だけ逃げるのもダメだと思った。
モニカちゃんの後ろを歩いてるだけだとゆきさんに合わせる顔もない……。

それに自分だけで抱え込む辛さは僕もよく知ってる。
勉強に抑圧された僕は女装男子のゆきさんや椎名さんに頼って、メスに変身出来た。
家族に女装やメスイキをバレた時は終わりだと思ったけど、父さんが僕を救ってくれた。

だから僕は一人で抱え込む辛さも、誰かを頼る大切さも――誰かに救われることの喜びも知ってる。

僕はゆきさんに執着してるけど――それは最後に見たゆきさんの姿が少し寂しそうだったことも大きい。
だから一人で抱え込んで、少し寂しそうな顔でがんばろうとするモニカちゃんを見てると心苦しくなった。

まだ出会ったばかりだし、ゲームマスターや誰かと戦うことは怖いけど。

それでも――――。

「僕も……モニカちゃんと一緒に戦いたい……」

ゲームマスターが怖い。
死ぬのも怖い。
放送で何回も死体を見てきた。僕はああなりたくない。ゆきさんもああなってほしくない。
そして今はモニカちゃんも……ああなってほしくない。

「そうか……。貴公の気持ちは嬉しいが……」

モニカちゃんが僕から視線を逸らす。迷ってるのかな……。

「私はもう誰にも死んでほしく――」
「ふざけるな!友を信じられないお前は甘い!!」

?????
何かいきなり青色の服を着たスタイルのいい男性が乱入して、モニカちゃんの頬を思いっきり叩いた……?
意味がわからない……。モニカちゃんも目を見開いて呆気に取られてる。
とりあえず僕は緋々色金を――――。

「二人のやり取りを隠れて観察していたが……。モニカ、お前は友の想いを――決意を無駄にするのか?」

男の人はそれ以上は何も手を出さずに、モニカちゃんに問い掛けた。……もしかして悪い人じゃないのか……?

さっきの一撃は意味不明で理解出来ないけど、モニカちゃんに対する視線は真剣で熱意が籠ってる。よくわからないけど、悪い人じゃないのかもしれない。

「友の想い、か……」

モニカちゃんが空を見上げて、何かを懐かしむように呟いた。
一瞬だけ表情が柔らかになる。嬉しそうに微笑んで――――また顔を引き締める。

「マナブの想いは私も嬉しい。名前も知らない貴公の言い分もわかる。マナブとはきっと良い友になれる気がするからな。
……だが友をもう二度と失いたくないと思うのは、悪いことなのか?」

アユミちゃんを失ったモニカちゃんの言葉だから重い。
僕もゆきさんが急に居なくなった時はショックだった。だからモニカちゃんの気持ちはわかる。
ゆきさんはまだ生きてる可能性があるし、また会えると信じてる。……でもアユミちゃんは死んだ。もう二度と蘇らない。

「……もう二度と友や仲間を失いたくないのだ。だから私が居る限り、誰も殺させやしない!」


卐


さっきの放送で何度も死を見てきた。
私は軍人だが……死にゆく人々に対して何も出来なかった。
コウタから勇気を貰ったが、その後にアユミが殺されて――。もうこれ以上、目の前で誰にも死んでほしくない。
そんなふうに考えることは、何か間違っているのだろうか?

「モニカ。お前の友や仲間はそんなにも軟なのか?」

軟、だと……?
いきなり乱入してきた男の衝撃的な言葉に怒りが湧いてくる。

私の仲間は――ヴァイスフリューゲル ランドソル支部の団員は軟なんかではない。
色々と難があることは否定出来ないが――私たちの白翼を何も知らない第三者に汚されたくない。

「そんなことは誰も言っていない。貴公に私の仲間を――ヴァイスフリューゲル ランドソル支部を侮辱される筋合いはないぞ」

だから私は思いきり謎の男を睨み付ける。
彼女達は勇気ある者だ。アクダイカンと戦えば命を落とす可能性もあるというのに……私の離脱指示を拒否して共に戦ってくれた。
そんな大切な仲間を、見ず知らずの男に侮辱されたくはない。

『一人で抱え込むのは……ダメだよ……』

マナブの言葉は……アクダイカンにヴァイスフリューゲルのみんなで立ち向かった時のことを思い出して、嬉しかった。

『僕も……モニカちゃんと一緒に戦いたい……』

クロトから与えられた数々の恐怖に打ち勝ち、私と共に戦う。……そんなことを言われたら、嬉しいに決まっているではないか。

だが……だからこそマナブにはアユミのように死んでほしくはないのだ。

もしもアユミが理不尽に殺されていなければ、マナブの手を取ったかもしれない。オーエド町でもそうやって彼女達と共に戦った。

『あ、あの、たしかに私たちはヴァイスフリューゲルではありませんが、ヴァイスフリューゲル ランドソル支部の一員です。
そして、ヴァイスフリューゲル ランドソル支部の……私たちのリーダーは、困っている人を見捨てたりしないはずです。
――だったら私たち団員は、リーダーについていきます』

――ふと、アユミの言葉が脳裏に蘇った。
アユミ……其方とはもう会えなくなってしまった。だが私はリーダーとして、其方や他の人々の命を弄んだクロトを討伐しよう。
それが其方に対して出来るせめてもの手向けだ……。

そして友も仲間も、他の一般人も――全て私が守り抜く。それこそが私の使命だ!

「――私は友を、仲間を信じている!だからこそ誰も失いたくないのだ……!!」
「そうか。……だがお前のその言動は本当に仲間を――友を信じていると言えるのか?」
「どういうことだ?貴公は何が言いたい……?」

この男は――本当によくわからない存在だ。
だが彼の瞳から確たる信念のようなものを感じる。この男は間違いなく、こちら側の人間なのだろう。

「大切なものを失う辛さは、俺も知ってる。だが――それは友の想いを汲まない理由にはならない」

友の想い。
マナブの想い――。

『一人で抱え込むのは……ダメだよ……』
『僕も……モニカちゃんと一緒に戦いたい……』

その気持ちは嬉しいが、だが私は……。

『良かったねモニカさん、この人が
何もしてなかったら……ボクが今日手に入れた化粧品で、モニカさんにオモシロ化粧をするところだったよ』

ユキ――。

『ク、クウカは、さっき買ったこの縄でモニカさんを縛る寸前でした……』

クウカ――。

『モニカさん、トーゴク名物の苦いジュース、アオジールを一気飲みしてもらっていいデスか?
……もちろん、お代わりもあるデスよ♪』

ニノン――。

『私は巻いてもらっているこの包帯で、
モニカさんの腕をキュッてするところでした♪』

アユミ――。

『こ、こんなことクウカが言うのもあれなのですが……その……クウカたち……』
『仲間じゃないか』

そして――――。


「……私だって本当はマナブと共にクロトを撃退したい。マナブの意志を汲み取りたい」

白翼の絆を胸にアクダイカンと戦った、あの時のように。
だが――いざアユミが殺される姿を見たら、やはり友の。仲間の身を案じてしまったのだ。

――怖かったのだ、友を失うのが。
嫌なのだ。人々を守れず、目の前で命を散らさせてしまうのが。
私は――軍人なのだ。仲間や友を。人々を守れず、何が軍人だというのだ。

「モニカちゃん……」

私を心配するように見つめるマナブの視線が痛い。……こんな情けない私ですまない、マナブ。
だが、それでも其方やヴァイスフリューゲルの団員には――――。

「――まだ、デス!まだワタシは負けてまセン!!」

迷える私の耳に、仲間の声が聞こえた。
これまで幾度となく聞いた声。
私が守るべき大切な友――――。

「この叫び声は――――ニノンか!」

声が聞こえた瞬間、体が自然と動いていた。
この場にいる誰よりも早く、声が聞こえた方へ駆け出す。
声の感じからして、彼女は何かと戦っているのだろう。……そしておそらく追い詰められている。

だが今ならまだ間に合う。間に合うはずだ。
――違う。間に合え、間に合わせるのだ……!
これ以上――仲間を失わないためにも。

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