王宮騎士団
世俗騎士団とは本来騎士による結社(Order, Company等)であり、
騎士修道会のような宗教的使命こそ持たないが、王宮に仕える家臣となるのは本分ではない。
ラムソンの
ファルシスタ騎士団や
アルテナの竜騎士団のように、国家権力と協調・癒着しつつも独立しているのが本来の姿だった。
騎士叙任と結社のシステムを主従関係に流用し、中世後期にはイギリスのガーター騎士団、ブルゴーニュの金羊毛騎士団などが創設されるが、
こちらは逆に王宮騎士団というよりは既にいる貴族・騎士階級に対する「勲章」の要素が強く、
あくまで爵位の授爵や土地の授封より低コストかつ階層化のしやすい、個人的な信頼・親密度の可視化であった。
しかし現実世界だと中世末から近世初頭、
「諸侯の中のボス、上位者」であった王権が「諸侯を包括する『国家』の代表者」に変質するにつれて、
国王の自領が国家の統治機関と一体化してしまい、直轄領の経営と外様の諸侯の統括の区別がなくなる。
そのため、百年戦争の終結後からユグノー戦争の頃にかけて
「ある家門の一族が大元帥・提督・地方総督を合法的に独占して勝手に戦争・講和をおこなう」
「ある派閥が合法的に国軍を集めて首都を掌握して防衛司令官の職を強奪、王を誘拐同然に連行」
といった状況が頻発し、いざというときに国王を守るための兵がいない状況になってしまった。
その解決策としてイギリス王・フランス王・神聖ローマ皇帝などが採った策が
1:信頼できる機関の傭兵(スイス傭兵など)を王が個人で大量に雇って護衛にする
2:立身出世を求める若い中小の貴族階級と王が個人で主従関係を結び、王宮に常駐する「騎士団」を構成する
の二つであり、後者がのちにファンタジー世界で一般的になる「王の騎士団」へと変貌してゆく。
(上述のガーター騎士団や金羊毛騎士団のような既存騎士団の活用はもちろん、代替わりで即位した王が私的に新設することも頻繁に行われた)
その後、神授王権・絶対王政の確立や国家という存在の絶対化、軍隊の専門組織化にしたがって再び廃れ、
本来の用途であった授爵や授封より低コストかつ階層化のしやすい、個人的な信頼・親密度の可視化に戻っている。
サルステーネの
暗黒騎士団が該当すると思われる。
王国ではなく
ムクガイヤ個人に忠誠を誓う騎士団であり、
オープニングで
ルートガルト各地で反乱が起き、味方となる諸侯がいない状況でも揺るぎ無くムクガイヤを支持している。
上記の王宮騎士団の役割を立派に果たしていると言える。
フィーザレスは将軍、
ドルスは文官で、
ラムソンとアルテナ以外の味方には言及されないため、
ゴートⅧ世にはそうした存在はいなかったようだ。
(
トライトⅤ世の代にいたとして、魔王
ルーゼルを相手に壊滅してしまったか、
ムクガイヤの謀反時に解散に追い込まれた等の可能性もある)
シナリオ上の役目としては
ヴァルムンク率いる
黄金の騎士団がまさに王宮騎士団の役割で、
苦境にある王子
オルが全ての権力を失って都落ちする中でも支持をやめない重要組織なのだが、
本来は王都を占拠する
ファーランドの竜騎士団が首都護衛、
ヴァルムンク達の黄金の騎士団は地方の治安維持を担当していたらしい。
政変と権力闘争と人的関係(ヴァルムンクはオルの後見役)から、結果的に王宮騎士団の役割を果たすことになった例。
- 日本で言うなら馬廻衆にあたる役目のものが多い -- 名無しさん (2024-09-01 02:52:00)
- 王宮と騎士というワードのカッコよさからか多用される
有名作品だとDQ4のピンクの戦士も王宮騎士団の戦士 -- 名無しさん (2025-02-05 02:14:32)
最終更新:2025年02月05日 02:14