外車あるある
欧米の輸入車は、左ハンドルは言うに及ばず、たとえそれが右ハンドル仕様だったとしてもコラムスイッチは左ハンドルと同じものが付いているはず。チンクに限らず、外車に慣れていない人100人が100人、必ずやるウインカーと間違えてワイパーを作動させてしまう「外車あるある」の失敗はこれに起因している。
2代目500が誕生した半世紀以上も前の話は知らないが(知ってるけど)、今の欧州車はハンドル位置の左右に関わらずウインカーレバーは左手側とISO基準で決まっているらしい。輸入車に日本車同様の右手側ウインカーレバーが装備されることがないのは、タカビーな欧米のメーカーの横柄な態度でも、怠慢でもない(かもしれない)。それはともかく、私の愛車は希少な右ハンドル。ISOなんぞどうでも良いので、使い慣れた右手側ウインカーレバーが欲しい。(ウインカーとライトのレバーに加え、ダッシュのスイッチ類とトランスミッションのシフトレバーなど全てが左手操作で、走行中、右手はハンドルを握る以外に仕事が何もない。さらにライトのオンオフも、ワイパーも、ハザードも左手側。走行中ではないがイグニッションをONにするメインスイッチも、スターターのレバーも、チョークレバーも左、、、)

しかし、FIAT 500用の「右ハンドル用コラムスイッチ」などというものは売っていない。もとより作られてもいない。ISOのおかげで(あろうとなかろうと)今後も決して市場に現れることはない。
無いなら作ればよろしい。で、やってみたのが以下の通り。
新しいコラムスイッチ入手。
eBayhttps://www.ebay.com/itm/172670622675で送料込約61ドル、5ドルのクーポンがあったので56ドル、6200円弱)国内でも1万円の前半から半ば前後で入手可能。今どきのプラスチック製品とは思えないほどバリが盛大にはみ出していて、大昔、黎明期のプラモデルを彷彿とさせる。ウインカーの左右で節度感が違うがこれは使用していくうちに当たりがつけば何とかなりそうで、機能的には問題なし(バリ取り。テスターで導通確認。プラスチックを傷めないシリコングリスで給油)

レバー移動の検討
実際に回転させる角度を、現状の実測と図面で検討してみた。(写真の画像はキーやネジを見せる便宜上左右を逆転してある)


レバーの移動
金属カラーには、ハンドルポスト(の固定金具)に嵌合する共廻り止めのキー(縦長の出っ張り)が飛び出ているので、これを移動すれば良い。


- 下側のビスを緩めてカバーを外し、スイッチの内径(φ25mm)にピッタリの金属パイプを差し込む。(過熱するので、内部のプラスチックが変形しないように)
- 円筒状の金属カラーをヒートガンまたはガスバーナーで過熱する(配線や金属カラー以外のプラスチックを熔かさないように注意!)
- 内部のプラスチックが軟化したらカラーをウォーターポンププライヤーなどで掴む(高温注意! 写真では見えないが金属パイプは抜かないこと)
- 捻るように回転させる。(運転席から見て時計回りに154°。プラスチックが内側まで溶けて金属パイプに粘着しないよう注意!)
- 少し冷えてプラスチックが固まるまで金属パイプは動かさない。(写真ではパイプを外してあるが、柔らかいうちにパイプを動かしたり抜いたりすると変形してしまう)
これだけで、レバーが右手側に移動する。


***カバーの回転
レバーの回転だけでハンドルポストへの取り付けができ、且つ使用にも差し支えは無いが、カバーが上下逆になり固定ビスが上から見えてしまう。レバーとともに捻れたカバーを元の位置に戻すにはカバーの内部にある固定用のキーを2ヶ所変更する必要がある。
1)
1)
- 前方の小判形-のキーを薄刃の導突鋸などで削ぎ落とす。

- 先程とは逆方向(運転席から見て反時計回りに154°)の位置に接着する。(今回はエポキシパテを使用したが、ウルトラ多用途SUやスーパーXなどの多種材料対応の接着剤の方が無難かも)

2)
もう一箇所、ヘッドライトレバーの基部リング近くにも後方キーがあるが、こちらはキーそのものではなく、相手方のキー溝(キーシート)を移動する。
もう一箇所、ヘッドライトレバーの基部リング近くにも後方キーがあるが、こちらはキーそのものではなく、相手方のキー溝(キーシート)を移動する。
- カバー内側のキー溝を構成する出っ張りを折り、跡形を削って整形する。(先のキーの接着剤が完全に硬化するまでは次に進まないこと)
- カバーの縁の後方キーに正対する位置にエポキシパテでキー溝を作るブロックを盛り上げる。
- エポキシパテが柔らかいうちに、1)で移動した前方キーに合わせてカバーをはめ、キーを押し付けて型を取る。
- ブロックがある程度固まったら大雑把に整形し、補強にタッピングビスを打ち込む。(どうせネジを使うのならエポキシパテでなく、木片とかでもいいかも)
- ブロックが固化して外れなくなったら、整形してキー溝を彫り込む。
- 私は色を塗ったが、見えない場所なので全く塗装の必要はない。
- 配線とカバーを元に戻して、カバー固定ビスをねじ込んで固定。

以上でレバーとカバーを右ハンドル用にすることができた。
懸念、問題点について
レバーとカバーを回転させて移設(移動)しただけで、機構や配線には全く手を加えていないので、回転により操作に支障がでないか、、、
1)ウインカーレバーの操作方向
これは、レバーをハンドルの回転軸にの周りに回転することで移動したのだから、レバーの操作方向が逆になることはない。
これは、レバーをハンドルの回転軸にの周りに回転することで移動したのだから、レバーの操作方向が逆になることはない。
- ウインカーレバーの回転↓
2)ヘッドライトのハイ/ロービームの切替ボジション
ノーマルの左ハンドル用ではレバーが一番下でハイビーム、中立でロービーム、一番上はスモールとなるが、レバーを回転させて移動したのだから上下が入れ替わることになる。つまり、レバー移設後は一番下がスモール、中立でロービーム、一番上はハイビーム。ハイビームとロービームでは配線の系統が異なっていて、単に線を入れ替えるだけではうまく修正できない。しかし、私自身はむしろ入れ替わったほうがしっくり来るように思える。中立のロービームからレバーを上に動かせたハイビームというのが直感的で自然に思えるから。
ノーマルの左ハンドル用ではレバーが一番下でハイビーム、中立でロービーム、一番上はスモールとなるが、レバーを回転させて移動したのだから上下が入れ替わることになる。つまり、レバー移設後は一番下がスモール、中立でロービーム、一番上はハイビーム。ハイビームとロービームでは配線の系統が異なっていて、単に線を入れ替えるだけではうまく修正できない。しかし、私自身はむしろ入れ替わったほうがしっくり来るように思える。中立のロービームからレバーを上に動かせたハイビームというのが直感的で自然に思えるから。
- ヘッドライト切替レバー↓
変更後
というわけで、完成した「改造コラムスイッチ」だが、実はまだ取り付けていない。(ワイヤリングハーネス交換と同時にやらないと、右ハンドルのお嬢さんは「メンドクサイ」人なんで、、、。とりあえず「完成予想図」をPhotoshopで作ってみたのが下の写真。(デッチ上げなんで、ページトップの写真と比較してもほぼ何の意味もないのだけれど、、、違い、わかります?W)


添付ファイル
- 2021-08-30 06.49.13.jpg
- 2021-08-30 06.49.40.jpg
- 2021-08-30 19.16.29.jpg
- 2021-08-30 19.17.44.jpg
- 2021-08-30 20.04.50.jpg
- 2021-08-30 20.05.42.jpg
- 2021-08-30 20.07.50.jpg
- 2021-08-30 20.09.48.jpg
- 2021-08-30 20.22.49.jpg
- 2021-08-30 20.43.32.jpg
- 2021-08-30 20.59.19.jpg
- 2021-08-30 21.23.55.jpg
- 2021-08-30 22.15.14.jpg
- 2021-08-31 13.12.59.jpg
- 2021-08-31 14.51.01.jpg
- 2021-08-31 15.10.21.jpg
- 2021-08-31 15.15.15.jpg
- 2021-08-31 15.39.03.jpg
- 2021-08-31 20.58.48ModRHD.jpg
- 2021-08-31 20.58.48Trim.jpg
- ColumnSwitchRHDMod.jpg
- ColumnSwitch_LHDtoRHD.jpg
- Fiat500RHD_ColumnSwitchConversion.svg
- LightSwitchTrunAround1.jpg
- WinkerSwitchTrunAround.jpg