エクストリームテクノロジー(600-610)

「この記事は、「フライトグライド公式設定より588年から分岐した世界線のお話」です。
フライトグライド本編及び他の二次創作とは588年以降、ほぼ関係ありません。
ほぼ全領域において筆者個人の考えに基いて設定されています。


この記事は、「もし、メルパゼル共和国が持っている技術に最も適したアイデアが588年に降って湧いたら?」
「そして、メルパゼル共和国以外の国家はそれにどう対応するのか?」
というコンセプトの元書かれております。
つまり、「共和国の技術的な本気を展開させるための妄想」です

この「エクストリームテクノロジー」は巻き戻し可能な状態にあれば誰でも編集できます。
但し、既に書いてある部分を上書き、改変する場合は該当箇所の筆者に問い合わせてください。
追記は基本自由です。
但し、アボカド個人の考えによって削除/改変される場合があります
(最大限削除しないように設定の整合性は維持したいと思います。)

逆に、不完全な内容であっても、誰か(主にアボカド)が勝手に補足して
そのアイデアを維持しつつExTに必要な情報を追記する場合があります。
「書いてる途中」ではない場合、「情報が完全ではない」と思われる場合は、その旨書いていただければあとは勝手に補足/追記します。


また、フライトグライド関連作品でなら記事内にあるものは全て自由に利用できます。
その際は、設定改変等も自由です。煮るなり焼くなり履いて捨てるなりご自由にご利用ください



 


 

機体名横の年数は、「名称通りの用途で運用されていた期間」
用途変更や他国へ譲渡された場合は、項目中に記載する

この時期の期待の登場順
連邦   軽降下戦闘機「マーレⅢ」a型(599)
連邦   主力戦闘機「ギズレッツァ」A型(603)
共和国  五式戦闘機「カヒタ」一型甲(603)
連邦   主力戦闘機「ギズレッツァ」B型(604)
共和国  五式戦闘機「カヒタ」一型乙(604)
共和国  五式戦闘機「カヒタ」二型甲(606)
共和国  五式戦闘機「カヒタ」二型乙(608)
共和国  五式戦闘機「カヒタ」三型(609)
共和国  五式戦闘機「カヒタ」二型丙(610)
共和国  五式戦闘機「カヒタ」四型乙(611)
 

 


メル=パゼル共和国

軽戦闘機計画の第二段階として、機械式過給器等の搭載を見越し、
その他の数多くの新技術を投入する機体を同時に開発していた。

当然、それらの機材を後から搭載するために機体は重く、大きくなり
開発期間も非常に長くなった。
その恩恵として、エンジン交換や設計変更の余裕が大きく、
長い間共和国の空を守る主力機が開発されたのである

また、共和国の防衛思想は590年代まで「消極防衛」だったのだが、
600年代以降、「積極防衛」に変化していき、それを決定づけるのは「空母計画」の開始であった。

 


共和国 二式重襲撃機「トラギア」二型(602-617)

開発/製造 空技廠/SAI
乗員 2名
機関 スクミゼン重工製
「パゼン二六型」
星形空冷7気筒2列14気筒
離昇:1300hp*2
5000m:710hp*2
最高速度 350km/h
降下制限 380km/h
翼面荷重 不明
武装 75mm榴弾砲 機首
20mm機関砲 機首*2
航続距離 不明

 

新性能機体時代に作られた数少ないプッシャ式の機体。
スクミゼン社が開発したトラギアを空技廠が再設計し、対艦攻撃のための榴弾砲を搭載した。
見た目はトラギアに似ているが、中身は機体強度の改善、榴弾砲の搭載のために大幅な設計変更が加えられており、
トラギアと共有できるパーツは「一つもない」
特徴は機首部から後部銃手席まで、実に機体長の半分にもなる長さの榴弾砲で、帝国の駆逐艦に有効な火力を持つ。
当たりどころによっては一撃で撃沈も不可能ではない。
弾種も様々で、薄殻榴弾などに至っては旧式駆逐艦を真っ二つにすることすらある。
乗員を3名から2名に減らし、後部機銃手は榴弾装填も行う。


長すぎるプロペラシャフトは異常共振と破断の原因であることが判明した後、短いシャフトに3翅の可変ピッチプロペラが採用される流れとなった。
主翼形状は低速時安定性が非常に優秀だったのでそのまま。但し中身はやっぱり別物。
30mm機関砲を搭載していたスペースにも桁が入り、武装は機首集中型となった
エンジンナセル、カウルの位置も強度問題から主翼内部に移動している

戦闘機が確保した制空権下で対艦攻撃を行う。
戦闘機の高性能化、対艦攻撃機の高速化に伴い護衛機の全滅は防空能力の喪失を意味するようになり始め、
丸裸にされた側の艦隊は大損害を被るという図式が完成していった。




共和国 五式局地戦闘機「カヒタ」一型(605-616)

機体の見た目自体はあまり変わっていないが、
翼形の変更や素材、構造の変更、エンジンの交換などが何度も行われ、
試作型から派生型を含めると22ものバリエーションがある。

主力戦闘機型は一型甲、一型乙、二型甲、二型乙、二型丙、三型、四型の7つに分けられるが、
幾度もの改良の結果として、初期型と末期型では共通するパーツが殆ど無い。パーツの共通化率は30%を下回っている
エンジンなどに至っては5種類もある。
(これが原因で補給に苦労したためカヒタⅡとカヒタⅢの間では機体部パーツの殆どが共通化された)

この高性能機は量産が603年に始められた。
初期型に積まれた発動機は1060馬力しかなく、武装も7.7mm機銃*2 12,7mm機銃*2といった
強力とは言いがたいものであったが、その高速性能は変わりなかった。(この初期型が甲型とされる)

 

五式戦闘機「カヒタ」一型甲(603-604)

乗員 1名
機関 空技廠/カナイ内火機械製
「ズイキ 二一型」
星形空冷7気筒2列14気筒
遠心軸駆動式過給器1速1段
離昇:1060hp
高度5000m 910hp
WEP:1130hp
集合排気管
4翅プロペラ 可変ピッチ
最高速度 390km/h
降下制限 640km/h
翼面荷重 170kg/m^2
武装 機体にプロペラ同軸
7.7mm機銃*2
主翼
12.7mm機銃*2
航続距離 600km+全力30分
備考  

カヒタの初期型。わずか一年しか生産されていない。
すべての機体が606年中に甲型に更新され、わずか一年で形式消滅。
先行試作型とでも考えるべきだろう。

本来、甲型に載せられたエンジンを搭載する予定だったのだが、
600年にマーレⅢが生産開始、
603年に連邦がユーフーⅡの部分的後継機となるキズレッツァを配備し始め、
対抗のため、議会に「連邦に対して優位を持つ」と言った手前か、
エンジンが要求性能に達していないまま生産配備された。
しかし、結局目標速度に及ばずにまるで試験機のようであった。
というより「配備」とは言ったが実際は機体試験などをすっ飛ばしており、
戦闘に出れたものではなく甲型が登場するまでの約一年間、飛行試験を行っていた。

604年中に生産されたすべての機体が乙型へ改造されている

 

五式戦闘機「カヒタ」一型乙(604-607)

乗員 1名
機関 空技廠/カナイ内火機械製
「キンキ四四型」
星形空冷7気筒2列14気筒
遠心軸駆動式過給器1段1速
離昇:1300hp
高度5000m 1090hp
WEP:1390hp
集合排気管
4翅プロペラ 可変ピッチ
最高速度 430km/h
降下制限 640km/h
翼面荷重 170kg/m^2
武装 機体にプロペラ同軸
12.7mm機銃*2
主翼
12.7mm機関砲*2
航続距離 700km+全力30分
備考  

甲型からエンジンを変更。
機首の機銃を7.7mmから12.7mmへ変更。
プロペラ同調機が壊れた場合にプロペラを破壊する可能性があるために、
機首機銃は小口径にされたが、運用成果から、プロペラ同調機が当初の想定以上に高い信頼性を持っていることが分かり
機首機銃が大口径化した。

 

五式戦闘機「カヒタ」二型甲(606-609)

乗員 1名
機関 空技廠/カナイ内火機械製
「キンキ 四四型」

星形空冷7気筒2列14気筒
遠心軸駆動式過給器1段1速
離昇:1300hp
高度5000m 1090hp
WEP:1390hp
集合排気管
4翅プロペラ 可変ピッチ
最高速度 460km/h
降下制限 670km/h
翼面荷重 200kg/m^2
武装 機体にプロペラ同軸
12.7mm機銃*2
主翼
20mm機関砲*2
航続距離
増槽搭載
1400km+全力30分
2500km+全力30分
備考  増槽が搭載可能

機体の一部と、主翼全体の設計を変更。
帝國の戦闘機に対して火力不足であるという理由から翼内武装を20mm機関砲に変更。
主翼が少し小さくなり、降下制限速度が向上。
翼面荷重は大きくなり機動性は低下している。

エンジンは一型乙型と同じものを使用しているが、
生産開始一年後に新型エンジンが搭載された乙型が登場したため、
甲型も乙型化する改造が行われたため、運用期間は短い。

また、増槽が搭載可能になり航続距離が一気に伸びた。
 

五式戦闘機「カヒタ」二型乙(608-610)

乗員 1名
機関 空技廠/カナイ内火機械製
「キンキ五一型」
星形空冷7気筒2列14気筒
遠心軸駆動式過給器1段2速
離昇:1500hp
高度5000m 1250hp
WEP:1580hp
推力式単排気管
4翅プロペラ 可変ピッチ
最高速度 540km/h
降下制限 670km/h
翼面荷重 200kg/m^2
武装 機体にプロペラ同軸
12.7mm機銃*2
主翼
20mm機関砲*2
航続距離
増槽搭載
1400km+全力30分
2500km+全力30分
備考  増槽が搭載可能

甲型から新型エンジンに交換された。
エンジン周りの構造が少し変化し、推力式単排気管が使われている。
甲型ではエンジンが使い回しということで省かれた要素だが
採用したお陰か、最高速度は大きく向上した

 

五式戦闘機「カヒタ」二型丙(610-617)

乗員 1名
機関 空技廠/カナイ内火機械製
「キンキ六二型」

星形空冷7気筒2列14気筒
遠心軸駆動式過給器1段2速
推力式単排気管
離昇:1600hp
高度5000m 1420hp
WEP:1700hp
4翅プロペラ 可変ピッチ
最高速度 570km/h
降下制限 710km/h
翼面荷重 200kg/m^2
武装 機体にプロペラ同軸
12.7mm機銃*2
主翼
20mm機関砲*2
航続距離
増槽搭載
1400km+全力30分
2500km+全力30分
備考  増槽が搭載可能

二型乙から更にエンジンが更新される。
先に開発されていた三型用の高出力エンジンを二型に搭載している。
後方に回されたりなんだりして610年台前半中の主力機でもある。

主翼内部の構造と、風防のガラス厚が変更され、降下制限速度が向上。
 

五式戦闘機「カヒタ」三型(609-621)

乗員   1名
機関 星形空冷7気筒2列14気筒
遠心軸駆動式過給器1段2速
離昇:1600hp
高度5000m 1420hp
WEP:1700hp
推力式単排気管
4翅プロペラ 可変ピッチ
最高速度 550km/h
降下制限 730km/h
翼面荷重 210kg/m^2
武装 主翼
20mm機関砲*4
航続距離
増槽搭載
1200km+全力30分
2200km+全力30分
備考  増槽が搭載可能
主翼下に250kg*2爆装可

三型では、「対艦攻撃力があると機体が重くて戦闘機として中途半端になる」
捨てたはずの爆装能力が戻ってきた。
理由は簡単。エンジン出力が非常に大きくなったために搭載能力に余裕が出たためである。

主翼の設計を変更し、爆弾の搭載能力を付与した上、翼内機銃を増設したために
機体が多少重くなり、翼面荷重は更に大きくなった。また、地味に最高速度が低下している。

(三型には機首機銃を復活させた乙型が現地改造で作られたという話があるが、真相は定かではない)

 

五式戦闘機「カヒタ」四型 (611-621)

乗員   1名
機関 星形空冷9気筒2列18気筒
遠心軸駆動式過給器2段2速
離昇:1825hp
高度5000m 1650hp
WEP:1950hp
推力式単排気管
4翅プロペラ 可変ピッチ
最高速度 590km/h
降下制限 740km/h
翼面荷重 215kg/m^2
武装 機首
20mm機関砲*2
主翼
20mm機関砲*4
航続距離
増槽搭載
1000km+全力30分
1950km+全力30分
備考  増槽が搭載可能
主翼下に250kg*2爆装可

なんか既に610年代に入っている。
四型はカヒタの最終型であり、
機首機銃が復活し、20mm機関砲となったため火力は圧倒的、
最高速、加速力、降下速度も最高のものとなっている。
それまでの機体に対して劣るのは精々機動力と航続距離くらい。

この高性能のため、後継機の開発に悪い影響を与えている。
「まだ魔改造すれば使えるのでないか」と議会で突っ込まれたからだ。
お陰で後継機には更なる高性能が求められたのであった…
 

形式 一型甲 一型乙 二型甲    二型乙 二型丙 三型 四型
乗員 1名
機関 星形空冷7気筒2列14気筒
遠心軸駆動式過給器1速1段
離昇:1060hp
高度5000m 910hp
WEP:1130hp
集合排気管
4翅プロペラ 可変ピッチ
星形空冷7気筒2列14気筒
遠心軸駆動式過給器1段1速
離昇:1300hp
高度5000m 1090hp
WEP:1390hp
集合排気管
4翅プロペラ 可変ピッチ
星形空冷7気筒2列14気筒
遠心軸駆動式過給器1段2速
離昇:1500hp
高度5000m 1250hp
WEP:1580hp
推力式単排気管
4翅プロペラ 可変ピッチ
星形空冷7気筒2列14気筒
遠心軸駆動式過給器2速1段
離昇:1600hp
高度5000m 1420hp
WEP:1700hp
推力式単排気管
4翅プロペラ 可変ピッチ
星形空冷9気筒2列18気筒
遠心軸駆動式過給器2速1段
離昇:1825hp
高度5000m 1650hp
WEP:1950hp
推力式単排気管
4翅プロペラ 可変ピッチ
最高速度 390km/h 430km/h 460km/h 540km/h 570km/h 550km/h 590km/h
降下制限 640km/h 670km/h 710km/h 730km/h 740km/h
翼面荷重 170kg/m^2 200kg/m^2 210kg/m^2 215kg/m^2
武装 機体にプロペラ同軸
7.7mm機銃*2
主翼
12.7mm機銃*2
機体にプロペラ同軸
12.7mm機銃*2
主翼
12.7mm機関砲*2
機体にプロペラ同軸
12.7mm機銃*2
主翼
20mm機関砲*2
主翼
20mm機関砲*4
機首
20mm機関砲*2
主翼
20mm機関砲*4
航続距離
増槽装備
600km+全力30分 700km+全力30分 1400km+全力30分
2500km+全力30分
1200km+全力30分
2200km+全力30分
1000km+全力30分
1950km+全力30分
備考     増槽装備可能 増槽装備可能 増槽装備可能 増槽装備可能
爆装可能
主翼下250kg*2
増槽装備可能
爆装可能
主翼下250kg*2


共和国試作戦闘機計画「コマンゲーテ」(605-???)

共和国がグランツェルに衝撃を受けて生み出した超絶変態戦闘機の開発計画。
アクティブ空力制御の実現による空力的な特殊機動や垂直離着陸、
急減速と急加速を可能にしつつも、
その運動エネルギーの保持性能も高く、一撃離脱もグランツェル相手の格闘戦も優位に進めることが出来る
夢の最強戦闘機。


連邦の浮遊機関による航空機とメルパゼルの内燃機関による航空機のいいとこ取りをしようというものであるが、
空力的な安定性を浮遊機関によって補うため、
浮遊機関と動翼を同時に、状況に応じて複雑に制御する必要がある。
航空機全体の電気的制御とその調整システム、つまるところアナログ式フライ・バイ・ワイヤを実現する必要があるが、
まずそのようなFBWなどの電気制御の開発研究経験も全くなく、
全てゼロから初めなければならないために、
開発には非常に長い時間と膨大な研究費が費やされている。

実現の目処なと全く立っていない。

ちなみに数年後、これの技術を内燃機関に反映させようという話が出てくるが、それはまた別の話。

 

研究用高速偵察機「ラ・パゼロン」

587年にフォウ王国との共同開発計画で1機のみ生産され、用途がないために保管されていた
ラ・パゼロンを転用した機関実験機である。

大型航空機用の「震天」エンジンを搭載する十分なスペースと強度があることが主な採用理由である。

二重反転プロペラ専用、星形水冷7気筒4列、28気筒エンジンである
離昇出力は3700hp、これを2機搭載している。
そもそも空力の設計が未熟なために最高速度は同世代機に比べればかなり低めではあるが
それでもフォウ王国の「オリジナル」よりも高速で飛行できたために
空技研は概ね満足しているようだ

乗員 4名
機関 空技廠/空技研/ニシマ発動機
「試作震天」
星形水冷7気筒4列 28気筒
離昇3700hp×2
最高速度 280km/h
降下制限 なし
翼面荷重 280kg/m^2
武装 なし
航続距離 3200km
備考  

 


艦艇再編計画(611-)

共和国は「前進防衛」のドクトリンに基づき、艦艇関連の再編を実行していた。
空母機動艦隊の編成計画の一貫として611年から空母2隻の建造予算と専用の大型ドック整備関連予算が確定。
残りの艦艇をどのようにするのか、既存のシグニット級駆逐艦に関する処置などが決められた。

基本的に共和国の造船能力はそんなに高くなく、新造された空母2隻分のドックを含めても、
全長200mを超えるような軍用大型船が建造可能なドックは6つしかない。
さらに言えば、250mを超える艦を建造可能なドックは新規に作られた2つだけである。
但しその2つは異様に大きく、長さ450m、幅80mという巨大さであり、
200m以下の艦艇であれば二隻同時に建造可能である

また、共和国は連邦加盟国に依存している一部の産業の国内化を進めることを決定。
その一つとして造船業への集中投資が行われた。
まず、技能を持つ工員と長い工期を必要とするリベット打ちを廃し、
比較的工員の確保が容易で工期を短くできる電気溶接を全面的に導入し、リベットの使用を最小限に。
更に造船に必要な工員と技術者を削減するため半自動化溶接を実現するスポット溶接機を開発。
製鋼段階ではプレカット出荷できる設備を備えた工場を新設。

既存の造船所ではそれらを工場で組み立ててドックまで運び、それらを更に接合し組み立てる「ブロック工法」を。
更に投資によって新設された造船所では200mクラスのドックを完全に屋根で覆い、その中にスポット溶接機用のレールやクレーンを備えてプレカットされた鋼材を直接組み立てることで
既存の造船所よりも遥かに短い工期、安いコストで建造できるようになった。
船体が完成したら、工場から出されて艤装に回され、艤装が終わり次第引き渡し、就役となる

規格化された4000tクラスの貨物船ならわずか4日程度で船体が完成するという早技だが、
設備投資額が尋常では無いため減価償却まで載せると生産コストの割に安くはない。
なおかつ新しい技術をこれでもかと投入したため問題点が出し切れていないという点もある。
共和国政府は設備投資費の回収は全く考えていないため、615年以降はアーキル本国に対しても価格競争で優位に立っている。

この新たな「造船工場」は概ね以下のような工期で船体を製造する
4000tクラス貨物船:4日
1万t戦時標準貨物船:10日
700t防空艦:半日
1.5万t護衛空母:14日
2.2万t中型空母主要部 40日(出場後再度ドック入りして前後の延長と艤装が必要)
8000t アーキル標準補充船体 8日
(空母、揚陸艦、輸送艦を同じ船体で使い回すもの)

リューリア作戦後のアーキル連邦の大規模戦力補充においてはこの製造力が最大限に発揮され、
リューリア特需の代表格とされた。

 


アーキル連邦

ヒサミツの登場は、アーキル連邦にとっても大きな転換点であった。
共和国は、高速試験機の性能を鑑みて「マーレⅡ相当の高速機は生産運用可能」と結論付け、

600年代においてもその高い工作技術を示し、新機軸を次々に投入していった。
共和国の目標はただ一つ。「連邦依存の国防体制からの脱却」

当然、連邦は焦った。共和国も帝国と準戦争体制にあるとはいえ、ただでさえ政治的には部分的な独立をしており、
軍の最高指揮権などは全くの別物として扱われている。
このまま共和国が軍事的に台頭すれば最悪、連邦からの離脱すら起こりうる。
実際、それを示すかのように共和国は自国で空母を建造/運用できないかという研究を始めてしまった。

最悪の事態ではあるが、連邦離脱後帝国と手を組まないと言い切れるわけではない。
それが避けられたとしても、パルエは現在の南北構造から、
共和国、帝国、連邦という3極構造に変化してしまう。
例え共和国の基礎国力が乏しいものであっても、
共和国と帝国の技術が結びついた場合、何が生まれてしまうか分かったものではない。
だからこそ、最低限共和国を制御するだけの軍事的背景が必要になるのだ。

しかし、マーレⅡとⅢはあまりにも高価すぎるため、これを主力機として大量の置き換えは不可能と思われた。
そもそもそんな出力の大きい浮遊機関は数が少ない。
いくら発掘に予算を投じても数的な限界は来るし、もしかしたら既に枯渇しているかもしれない。

しかしある日、この問題を解決できずに居た連邦に「神の助け」とでも言うべき「技術」が突然その姿を表した。

 

アーキル連邦主力戦闘機「ギズレッツァ」a型

連邦は、「とある人物」の助けにより、全く新しい浮遊機関の制御方法を開発し
最初の制式化装備として「ギズレッツァ」が
バテンカイトス社によって開発された。
バテンカイトス社は連邦陸上機の主力として、セズレⅣを長年連邦軍に供給してきた。

しかし超高速戦闘機計画では開発した「オクタルヴィア=ヴァルゼ」が、
競合相手であるシグモダン社の「マーレⅡ」に大差で敗北し、
その後の主力機開発においても国有設計局の「ラィニッツァ開発局」に敗北。
セズレⅣを最後に納入して以降、連邦軍で採用されたのはデズレリアのみ。
そのデズレリアも既に引退間近のトゥラーヤ級軽空母用の艦載機、つまりユーフーIの置き換えであるがゆえに
生産数も限られたものとなり、それも数年で終わってしまった。

一方その頃の連邦軍内部ではマーレⅡの生産を再開する、マーレⅢを開発しこれを多数配備する、
605年までに旧型機を全てユーフーⅡに置き換えるなどと景気のいい話が次々と出てきた。

主力商品であったセズレⅣも次々と引退し、
600年代には連邦で少数が練習機として、皇国でレンドリース機が運用されているのみとなり
既に部品生産ラインの停止予定も決まっている頃合いであった。
売る商品が無ければ会社は成り立たない。バテンカイトスの航空機部門は閉鎖されるのではないかという噂も流れた。

その時飛び込んできたのが「全く新しい浮遊機関」の話であった。
連邦はこの「新型浮遊機関」、正確には制御装置を用いた主力戦闘機を各設計局、
及び各メーカーに開発を要求したのである。

バテンカイトス社は、これが最後の機会だと考えた。
 

 

戦闘機開発計画要求仕様書F,28/55(599年)
 

機種/種別:主力戦闘機

使用別:艦載/地上

用途:1.艦隊直掩機として、敵軽戦闘機よりも高い空戦能力を備え、護衛戦闘機として敵攻撃機及び戦闘機を艦隊と接触する前に補足撃滅可能であること

2.味方攻撃機の護衛を実施し対艦/対地攻撃を実施する間、敵戦闘機の迎撃を妨害/撃滅または

敵艦艇の対空装備を破壊し対艦攻撃を援護できること

最大速力:高度2000mで400km/h以上

実用高度:100から4000m

航続力:規定なし、但しユーフーⅡと同等以上であること

武装:規定なし。ただし用途2を満たすこと

無線機:Mk4短距離通信機

機関:新式浮遊機関を使用すること

 

乗員   1名
機関 600lc
最高速度 410km/h
降下制限 670km/h
翼面荷重 280kg/m^2
武装 機首
13mm機関銃*4
40mm低圧機関砲*4
航続距離 不明
備考  低圧機関砲で対艦攻撃が可能

バテンカイトスが開発した傑作戦闘機。その試作/初期生産型である。
競合他社の中で一番最初に試作機が完成したのがこのギズレッツァ。

概念設計に至っては連邦軍から要求が出た翌日には軍に提出されている。
これは設計部門が暇なので設計していた次世代の主力戦闘機の基礎設計が既に出来上がっていたことに他ならない。
これらは元々、マーレⅡと同程度の浮遊機関を搭載しながら最大限コストを落とすという設計がなされていたのであるが、
浮遊機関の改良によって浮遊機関の出力を落としながら、高速機が作れるようになったため、そのように変更されたものである。

(マーレⅡによく似たものが出来てしまったと設計部は悔しがっていたが)

空力特性は共和国機には遠く及ばないものの非常に良好で、今までできなかった高機動戦闘を実現する。
といっても結局マーレⅡやⅢの高速性能には全くもって及ばず、
15年近く前に、シグモダンがどれだけ無茶で狂った設計をしていたかが図り知れる。

設計の基本が「低コスト」であったことも幸いし、制式化後は量産効果もあってユーフーⅡより安く生産されており、
600年代中にはマーレシリーズ以外の戦闘機をほぼ全て置き換えると思われる。

 

アーキル連邦主力戦闘機「ギズレッツァ」b型

 

乗員   1名
機関 600lc
最高速度 432km/h
降下制限 670km/h
翼面荷重 280kg/m^2
武装 機首
13mm機関銃*4
40mm低圧機関砲*4
航続距離 不明
備考  低圧機関砲で対艦攻撃が可能


a型の運用結果を元に改良されたギズレッツァ後期型。

主な改修箇所は
・尾部の浮遊機関カバー部分を延長。後方乱流を防ぎ、編隊飛行時の不安定性を解消。
・尾部カバー内部にアンテナがついた。連邦製短中距離無線機が搭載され、僚機と連携した空戦と
後方からの情報を常に受けることが出来るようになった。
・艦載運用を前提に、主脚に降着装置空圧式緩衝装置が装着された。ちなみに初期生産分は共和国製で、残りはライセンス生産。
どうも気密性が足りなくて連邦で開発するのに失敗したらしい。

 

シグモダン試作戦闘機「シグモスフィア」

乗員   1名
機関 リアクターコア
20000-45000lc
(観測推定値)
最高速度 740km/h(記録値)
1180km/h(観測最終値)
降下制限 不明
翼面荷重 1600kg/m^2
武装 機首
8mm機銃×2
航続距離 不明
備考 重量20t

 

ギズレッツァと同じ、”戦闘機開発計画要求仕様書F,28/55”に基づいて作られた”はず”の試作機である
但し、例によっていつものごとく要求ガン無視。技術実証機をあわよくば実用機として量産納入しようと目論んでいたのである

シグモダンは、「新式浮遊機関」という言葉自体を履き違えたようだ。
アーキル軍が”開発”した制御改良型の浮遊機関ではなく、
新しい理論に基づく全く新しい浮遊機関を独自開発してぶち込み”やがった”のである
マーレシリーズの納入数が増えてその資金で開発したらしい。

・概要と機関

シグモスフィアは、”新しい浮遊機関”である「リアクターコア」を載せるための機体である
その機関には浮遊機関のおそらく半永久化されているエネルギー供給体を外部から意図的に崩壊させ続けることで浮遊機関の出力を上げることに成功、
航空機用の浮遊機関で大型艦艇並の出力を確保できたのである。

但し、その出力を制御する方法をシグモスフィアは持ちあわせておらず、
シグモダン曰く「地上試験では制御できてるので近いうちに航空機に搭載する」としているが
現状50トンもあるものをどうやって航空機に搭載する気なのだろう。

ちなみに最大可動限界、最長稼働時間の計測は出来ていないとのこと
そんなもの載せるなよシグモダン

・機体
シグモスフィアはマーレシリーズとは真逆の設計思想で設計されている。
なるだけ高い強度で、軽量化を全く考えずに設計されている。
これは圧倒的な機関出力の前では多少の重量上昇が無意味であることもそうだが、
単純に機関の出力、加速力には重量無視で設計せねば初期加速で分解してしまうためにほかならない
お陰で重量は重爆撃機並みの20tである。戦車を飛ばしているのと変わらず、
ほぼ鉄塊と言って良いだろう

・武装:8mm機銃2門
単に武装できることを確認するためだけのもの。別にスペースと強度が証明できれば何でも良かった。

・爆装:「ああ?んなもん後回しだ」 ---シグモダンのある技術者

・その他機動性能:不明。計測する前に消し飛んだ

飛行試験

605年、飛行試験が行われた。

着陸できないことは確定していたので、

無線遠隔操作ユニットと遠隔簡易計器を搭載しての飛行試験であった。
西海岸のメルパゼル領内から東海岸のアーキル領空へ向けて、大陸を横断する長距離試験である。

 

起動加速度は1Gにも達し、離陸からわずか90秒で高度6000m、500km/hに到達、

離陸から230秒後に高度8000m、740km/hを超えた辺りで制御不能になるも

その後も加速を続け、離陸から20分後には地上観測及び追跡観測で1100km/hに到達、

最終的に地上局及び観測機による追跡が不可能になり追跡と観測を終了してこの実験は終わったはずであった

 

しかし、約38時間後に

哨戒任務を行っていたメルパゼル軍の航空機や連邦軍の駆逐艦が「西から東に向けて非常に高速で飛行するスカイバード種か何かを見た」と報告。

なんとシグモスフィアは惑星を一周回って帰ってきたのである。

急遽、アーキル領内で地上観測、追跡観測が再度実施され1140km/hを記録。

光学観測によって主翼が破損している事が確認された。

追跡観測中、高度9000mにて1180km/hを記録した後、アーキル国の沖合で空中分解の後爆発した。

その際に既存の爆薬では不可能なほどの熱と光を発し、シグモスフィアは跡形もなく消し飛んだ。

 

空中分解の原因は音速に近づいたために発生した膨大な抗力に機体が耐えられなかったためと見られているが

爆発の方は未だ不明である。

 

最終更新:2017年02月27日 00:55