第二講堂室では、学生が集まる。
今回の講座は、「生命工学」だ。
「はーい。皆私語を慎むよーに。これから講座を始めるぞー。」
そうして周りが静かになり、教壇に立つ音、教卓に教本を置く音が木霊する。
「私は生命工学技官、ソクラスだ。これから生命工学を学ぶわけだが、
かなり血塗られた歴史の上に成り立っている分野だと思うといい。
まず、話をしよう。資料を端末に送信するので、目を通すように。
あと吐かれても仕方ない内容なので、袋も配布する。
心して読むといい。ここに居ることは覚悟した者だと信じている。
無き者は素直に退出しておくように。」
昔、まだ人類が大地の上に居た時代、
クランダルトと呼ばれた帝国があった。
その国は、今私達が使う「端末」「メインフレーム」
「セズリア」等の生命機械の基礎となる理論を、
「発掘」した。
これが後に人類が追放されてしまう原因となった、
「
旧文明」の遺産だ。
この遺産を利用したのがクランダルトの「テクノクラート」達だ。
テクノクラート達によって解析された生命工学のシステムは、
その「生命」を「複製」することで、帝国を繁栄させ、
強大な力を得ることに成功したのだ。
だが、犠牲は付き物だった。
初めに、領内の下級民を攫って、「人工子宮」を生み出した。
この犠牲になった民によって、
今私達が言う「肉生成器」が生み出されたのだ。
不揃いな肉を生み出す、「肉」を産む「物」へ変貌した。
その「肉」は帝国領に一般化し、
民の血肉となり、原動力へとなった。
次にスカイバードを犠牲にした。
これによって、スカイバードは「脳」と「浮遊器」のみとなり、
帝国の軍事力の原動力へと変貌した。
そしてテクノクラート達は、領内でも重要な位置に就いた。
クルカ牧場によって様々な生体実験を行い、
人体実験のために下級民を攫っては、改良に勤しんだ。
「軍人」を改良して、「民」を改良して、
「クルカ」を改良して、「生体機関」を改良して…
だが、その日々は皮肉にも「旧文明」の遺産達によって終焉した。
私達は考えた。
まず、その「肉」を回収して、いつでも再開できるようにした。
こんなことをしてはいたが、結局は人が居なければ何もできぬ。
そして、洞窟で同士達と出会い、再興を始めた。
まず「人」を造った。知識はあったからだ。
起動させるために「クルカ」を犠牲にした。
そして、「人」を産んだ。
そこから再興を開始した。
丁度である。スウェイア様との出会いは…
「…といつまでも読んでも仕方ないが、
要は私達はテクノクラート達によって生み出されたということだ。
現在そういう「改良人類」はこの世界においての人類の7割を占める。
また遺伝特性として幾つかの能力を持ってるだろう。
これが「生命工学」だ。皮肉な物だがな。
これから生命工学講座の概要に入る。
まず「クルカ遺伝基」の項目だ。
この項目も単位に入るので覚えておくように。
概要程度ではあるし、論文も多いため、入門編というところだ。
「応用生体実験」を取る人はしっかり学ぶと良いでしょう。
次に「人遺伝基」の項目。これも高配点なので覚えておくように。
この項目は人へのプログラミング入門の概要でもあるので、
とても重要な分野である。ここから人体形成工学に繋がるので、
進む場合は取っておくことを薦める。
そして「生体機関工学」の項目は、
機械工学の「浮遊機関入門」と併用することを薦める。
また電子機械工学の「演算機械工学」を取っておくと、
「メインフレーム実験」も行う時にも大変役に立つ。
また軍事面でも行きたい場合は取っておくことも薦める分野だ。
と、様々に応用が効く分野である。
無論ではあるが実験もあるぞー。
以上!今回私が話す内容は以上である。
とりあえず今現在居る人の端末より出席を取ったので退出して宜しい。
後で何か言いたい人は私は12階生体工房室に居るので、来るといい。
現物もあるだろうが、慣れるために来ても良い。いつでも待っている。」
最終更新:2015年05月05日 20:42