日刊バレグ636年7月~9月分

636年7月

7月1日〜10日分
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7月1日分 バイマン計画発動
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 月が開けて1日、ラ・アルマンヌから新帝都に戻ったダットファング大宰相はバイマン計画の正式な発動を宣言、特別予算を交付し、各省庁の建設計画を進める。

 計画が発動して完成した第一号となったのは戦線区の中心であるノイエインダストラールの中心広場に立った高さ2メルトの産業記念塔で、プレートを固定する釘を打ち付けたのはバイマン計画を立案したホーカー・バイマン元資源省長官とフリーダ・アブト戦線区行政長官で、最後の釘を二人で同時に打ち付けるとまわりから拍手が上がった。

 記者からの質問にバイマン氏は「計画が上手く行くのを期待している」と短くまとめたのに対し、アブト氏は「この計画が上手くいくことを心待ちにしている。旧帝都から見て最も遠く、最も荒れていて最も人口が少ないところなので、この開発で地域を発展させていきたい。」と戦線区の将来に向けてコメントした。

 バイマン計画発動に伴い、いくつかの建設工事が同日中に着工しており、第22開発区の筋力発電所建設や、ノルトレート市西方の巨大資材集積地などの建設が始まっている。
7月2日分 パンタールの非常事態宣言解除
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 気流津波の発生に伴って発令されていたパンタール地方での非常事態宣言が2日、解除された。

 テノル=サン・ド・パント帝国行政府は気流津波によってダメージを受けた行政府庁舎の代替の策定が完了し、行政府機能の回復に目処がついたとして非常事態宣言を解除する旨を宣言した。

 なお、サン・ド・パント執行部隊は引き続き警察権や災害への対応能力を持つとしている。
7月3日分 連邦チヨコが流行中
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 最近、連邦のチヨコレーションが爆発的に流行している。3月にレート出身のとある調理師が生物系合成食材と組み合わせたことによって、長時間保存でき栄養が簡単に取れてなおかつ食べれはするレート・チヨコがそのブームの火付け役だ。

 世間一般的には食べられたものではないチヨコだがここ数ヶ月で需要が何万倍にも膨れ上がり、チヨコのみを取り扱うトレーダーが現れまさにバブル状態といっても過言ではない。

 「ついこの前までゴミだったのに」
そう語るのはギッザスにて軽食屋を営むベラさん。先週発売した6種類のスパイスを入れたことで新帝都で最も人気のチヨコとなったベラズチヨコの産みの親だ。
「今ではそこらへんの食材よりずっと高価で入手も困難になってきている。少し前まではこんなものが流行るなんて誰も考えてなかっただろうから安定したチヨコの供給が難しく、問屋にチヨコが入荷されるとすぐに争奪戦になり値段がつり上がっていくので見つけても買うことができるかどうか、最近じゃゴミの山からチヨコを探すチヨコサルベージャーなる職業も出てきているしそこから買うしかない。幸い、チヨコは品質が変わることは滅多にないので助かっている。」

 専門家はチヨコの爆発的流行はノイガラートの叛乱などで簡単に栄養が取れるものの需要が高まったことが原因にあるといい、またチヨコの供給不足はチヨコ自体が現在経済危機に瀕している連邦のために多く消費されているので安定した供給は困難という見方を示した。

 ―――連邦チヨコが流行る―――
こんなことを一年前に言っても誰も信じないばかりか頭がおかしくなったのではという印象を受けただろう。しかし今では絶賛大流行中であり、チヨコに関する様々な職業まで現れ始めた、連邦が将来、六王湖を支配するための布石であると説く人もいるが、この空前のブームの終わりはまだ見えては来ない。
7月4日分 フィフィーンがラ・アルマンヌにて航空ショーを披露
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 帝国空軍第90翼隷下第51曲芸飛行隊(以下フィフィーン)は4日、先月末に発生した気流津波によって甚大な被害を受けたラ・アルマンヌのグラナ・アルマンヌ・スタディオンにおいて航空ショーを披露した。

 航空ショーでは、被災して苦しい中2万人の聴衆がスタジアムに詰めかけ、部隊の上で飛行し、アクロバティック機動やエンジンの音を掻き鳴らすなどパイロット達は賢明にパフォーマンスを取り、観客もそれに答えるかのようにパイロット達の行動一つ一つに歓声をあげていた。航空ショーの最後にはノルトスベハラーゲン航空基地の第3翼隷下第14航空隊による本物の航空ショーが行われ、スタジアム内だけでなく、スタジアム外の人も興奮の渦に巻き込んだ。

 航空ショー終了後、フィフィーンの隊長のアイナ中尉は「今回の航空ショーは私たちフィフィーンが独自に考えて企画したもので、災害によって傷つけられた多くの人を救いたいという勝手な感情から始まったものですが、被災者方の心の励みになれば幸いです。」とコメントした。

 フィフィーンは明後日6日までラ・アルマンヌに留まる予定。
7月5日分 【国際】在パンノニア大使が偽帝に拘束
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 外交・帝国領邦・貿易省は5日、ティンゲル在パンノニア貿易代表が偽帝に一時拘束されたと発表。ロラバ外交総長はパンノニア経由で偽帝に対して厳重な抗議と再発防止を求めた。

 同省の発表によるとティンゲル貿易代表は4日明朝にカルタグの朝市を見回っていたところを拘束された。外交総長は632年に偽帝と締結された10年規約に定められた外交官の地位の保証の重大な違反だとして厳重に抗議した。

7月6日分 イリアス再出現
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 ノスギア山脈で5月に発見され、その後消滅して発見の旨が果たして真のものか議論されていたノガレス級駆逐艦『イリアス』が再発見された。

 イリアスはベンスンヌの防空監視員が地上から1000メルトほど浮いたところでゆらゆらと流されている状態で発見され、即座に空軍の起重機船で回収された。

 イリアスの状態は以前確認したときと全く同様であり、特に荒らされた、もしくは操作された形跡はなかったという。また、前回確認されたノスギア山脈麓とギッザスを挟んだ反対んあるベンスンヌには相当な距離があり、ただ流されたというだけでこの現象を説明するには難しい。

コメント

7月7日分 パンタールの被災者向けの仮設住居が整備
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 先月末に発生したパンタールにおける気流津波によって発生した約5万世帯の被災世帯のうち、自宅家屋が全壊半壊など、居住不可になった約1万3000世帯に一時的に住居を提供するための仮設施設が7日、ラ・アルマンヌ郊外に建設された。

 ラ・アルマンヌ郊外に作られた仮設住居は、サン・ド・パント執行部隊が軍用野戦築城設備を再利用するかたちで建設され、約2000世帯が入居可能。執行部隊はこれと同タイプの仮説住居を合計6つ建設したため総合では約12000世帯が入居可能だ。

 サン・ド・パント執行部隊は「被災者の一日も早い生活復帰を我々は全力で支援する。」とコメントしており、生活基盤の再構築に意欲を示した。
7月8日分 GAOF社が社を挙げて農地開墾に取り組む
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 ガリエフ13AA10BN5BO4BP. 4BP3AACO製造(GAOF)は先月から戦線区や地方の荒野などにおいて農地の開墾を進めている。

 本来化学メーカーであるはずのGAOF社がなぜ農地を作るのか、GAOF社の関係者によると「荒れ地は農業には全く適していない、だから私達の祖先がこの地に来たときから荒れ地を開拓しようなどという動きはありませんでした。しかし今日の化学技術の発展には目覚ましいものがあり、私達の開発した合成肥料で荒れ地を草原や花畑にすることが可能となり、よってこの農地開墾はそれを証明するためのデモンストレーションなのです。」とのことで、荒野に新しい農地を築くことで自社の宣伝を行う狙いだそうだ。

 GAOF社は以前、合成食材による健康被害で訴訟を起こされ敗訴した事があり、今回の行動はそれによって下落した企業イメージを回復させる意図もあるようだ。
7月9日分 バダンテール候爵が死去
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 旧辺境派の最古参にして取りまとめ役だったリシェール・ド・バダンテール候爵が2日に死去していたことが判明した。

 同氏は旧辺境派の重鎮として派閥内の意見分裂を抑えていた 。
7月10日分 サン・ド・パント執行部隊が解散
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 先月末にパンタール地方で発生した気流津波によって壊滅的な被害をうけたテノル=サン・ド・パント帝国行政府にかわり、パンタール地方の行政権と司法権、警察権を請け負っていたサン・ド・パント執行部隊が本日、解散した。

 サン・ド・パント執行部隊の所属する帝国内務省によると、解散事由は
パンタール地方の行政システムの回復、
治安の安定化、
さらなる災害の発生の可能性が低いことが主な理由とされている。
7月11日〜20日分
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7月11日分 ノルトスベハラーゲンのイーサルナ区で火災
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 11日未明、ノルトスベハラーゲンのイーサルナ区61番通りの工場から火が出ました。ノルトスベハラーゲン防空隊によりますと、現場から性別不明の2人と男1人の遺体が発見され、男女3人が意識不明の状態で救急搬送されましたが、まもなく3人とも死亡しました。

 死亡したのは、性別不明の2人、40代ぐらいの男性、60代ぐらいの女性と、70代ぐらいの男性、そして80代ぐらいの女性の合わせて3人で、いずれも身元は分かっていません。

この火事で、出火した工場や隣接する倉庫など、あわせて4棟が焼け、3時間後にほぼ消し止められました。

 現場はノルトスベハラーゲンの郊外工業地区の一角で、火事の影響で近隣の工場は緊急点検を行っているとのことです。調べによりますと、8時半ごろ、火元の工場から「火事です」と通報があったということです。 ノルトスベハラーゲン防空隊が出火原因などを調べています。
7月12日分 ヴュイオーヌ城塞の深刻な老朽化
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 六王湖地域に帝国が到来する前、古ガリアグル王国の東方騎士団の拠点だったヴュイオーヌ城がある国家遺産古ガリアグル王国地帯(ギュール・ラ・ムール帝国行政区ヴュイオーヌ市)で歴史家、古ガリアグル研究者、そして市民が声を上げている。ヴュイオーヌ城塞は建設されてから500年経ったことによる経年劣化だけでなく、近年の観光地化によって非常にダメージが蓄積されており、専門家やヴュイオーヌ市民でつくる市民団体『城塞保全協議会』側は城の保全を怠ることによる城塞の崩壊を懸念。バリモス・イェンス氏ヴュイオーヌ市長も区庁に乗り込む異例の展開となっている。

 ヴュイオーヌ城塞東北の角にあるベルクフリートを兼ねた側防塔は高さが60メルトもある国内でも大型のもので、ここを訪れる数々の旅人に天を貫く塔として語り継がれていったその雄大な姿はヴュイオーヌ市の象徴として長く愛されてきた。城の南門の前に雑貨屋を構えるディジルさん(71)は「500年も親しまれていた塔も今や崩壊寸前。城の管理者が居なくなって100年以上、今まで崩壊していないのが恐ろしい。」と話す。帝国行政府はヴュイオーヌの国家遺産の予算は出さず、郊外の工場誘致のための資金に充てる。ディジルさんが代表の『城塞保全協議会』は2月から予算の見直しを求めている。

 ディジルさんによると、城塞には年に数万人が観光に訪れ、城内には約200種類の動植物が確認されている。六王湖で最も西の地域に属してながら、築城された82年当時の環境を受け継ぐ歴史の証人だという。

 行政府はヴュイオーヌ市を含めたギュール・ラ・ムール行政区全体の発展や近年激化している簒奪政府に対する前線基地としての役割を果たすため、都市計画の専門家や造園の国土開発省の高官らの検討会で議論。632年に「ギュール・ラ・ムール帝国行政区5ヵ年計画」を策定した。ヴュイオーヌ市には中心部に幅40メルト、延長833メルトのセンターロードが建設され、郊外にはセキア社の工場などが誘致された。35年3月の市民アンケートでは「工業が発展したことで街が豊かになった」など回答者のうち76パーセントから好意的な意見を得た。

 ただ、予算の詳細は公表されてなかった。ディジルさんは城塞が国家遺産なこともあり、「文化振興予算は入ってくるだろう」と予想していたが、35年8月以降に入ってきた予算は0、観光客からの収入や、市民からの募金でなんとか市の象徴である大側防塔は保全できているものの、以前から崩壊気味だった北の幕壁は20メルトに渡って崩壊、さらに36年1月に発生した第62次砲撃戦によって西の尖塔も崩壊。近隣の子供たちの秘密基地として活用されていた地下貯蔵庫も埋没、城裏側に姿を見せていたローラの群れも消え、代わりにクルカの群れが現れたという。『保全』のメンバーらは同13月、現場で行政府の担当者と意見を交換。計画の開示を求めると「私にはその権限がない」との回答だったという。

◇遺産の放置、他にも

 他区でも市民や専門家の理解を得ないまま史跡の放置や破壊が進んでいる。クランダルト人の初期コロニー(ギッザス行政区ルマーベヌ市)は六王湖におけるクランダルト人の活動を示す貴重な痕跡だが、大規模な宅地造成のための整理区域に指定され、市民による粘り強い反対運動が7年間続いたものの最終的に破壊された。六王湖西方地域の祭祀遺跡群(パンタール地方、ユィセマルピ地方)では数千年単位と思われる遺跡の古さに対して行政府はなんら対策を採っておらず、市民等の手によってなんとか遺跡としての形は留めているものの、壁画の顔料が剥がれ落ちたり、塔が倒壊するなど遺跡への損害は確実に出始めている。

◇市長「これ以上の破壊を防ぐ」

 ヴュイオーヌ城の荒廃に、イェンス市長は5月27日に区庁を訪問。報道陣の取材に「これ以上の放置、市の歴史を涜す行為はやめてもらいたい。」と話した。行政府は6月8日、5ヵ年計画委員会にはヴュイオーヌ市課長らが参加していたことを公表。市の理解を得ているとの見解を示した。同22日にはディジルさんらの市民グループが文化振興予算の再割り当てを求める約2万人分の署名を提出するため区庁を訪問した。これに同行したイェンス市長は「市の歴史を守る」と強調した。

 行政府は1日、区幹部が「ギュール・ラ・ムール行政区のさらなる飛躍と市民生活の向上に注力していく。」とコメント。4日、現在の計画概要と35年15月にあった5ヵ年計画の検討委員会の資料を公表した。ただ、7月以降の計画については「意見は聞いていきたいが、今年度分の計画が終わったあとで」としている。
7月13日分 アイギス陛下がサン・ド・パントを視察
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 先月末に発生した気流津波によって壊滅的被害を受けたサン・ド・パントにアイギス陛下が参られた。

 アイギス陛下は市中心部の地下避難キャンプに入るとステージに向かわれ、ステージ上で「こんどの気流津波は大変な被害を出した、サン・ド・パンダ(パント)市民の皆々の心の痛みはわらわにも深く突き刺さっている。ここに来る途中、仮設の菓子店を見かけた、そこの店主はなんと店と自宅を気流津波に巻き上げられ一文無しになってしまったそうなのだ、しかし彼はめげずに菓子店を仮設ながら再建し、わらわにプリンを献じてくれた。皆も彼の働きを参考にするがよい。」と被災者に向けて演説を行われた。
7月14日分 旧辺境派が分裂
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 六王湖貴族親睦会(旧辺境派)が三派に分裂したことが、14日に行われた定例会議で明らかになった。

 旧辺境派はノイガラート叛乱のかなり前から意見対立が頻発しており、その対立はノイガラート叛乱や続く暗殺事件によって強化、G・デシュタイヤ氏の失言問題も思うように追求できなかった。先日バダンテール候の死去によって派閥をまとめる最後のストッパーが外れ、13日の会議で分裂状態になったことが確認された。

 分裂した原因は国内問題に対する姿勢の違いであり、ダットファング氏率いるあくまで現行の国土開発を押し進め、義務的俸禄をしばらく続けるなどの漸進的改革を進める主流派、モイピック氏などが率いる自由的な開発と税率低減や市場介入からの撤退など自由的な改革を求める急進自由派、ガーニェト氏などの永続的開発や高福祉高負担の社会建設、積極的市場介入を主張する急進社会派に分裂し、摂政評議会は混乱状態に陥っている。
 アイギス陛下は明日まで現地の視察を行う予定。
7月15日分 旧辺境派各分派が摂政評議会により承認
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 13日の定例会議で分裂状態になったことが確認された旧辺境派の各分派が摂政評議会によって承認された。

 主流派は摂政評議会により旧保身派と命名され、主流派は依然として政府中枢を占めることが確認された。急進自由派は旧技官派と呼ばれ、急進社会派は旧低層派と命名され、各陣営が摂政評議会に参加できるようになった。なお、三派のどれにも属さなかった中立派は依然として旧辺境派として扱われる。

 摂政評議会に新規の政治的派閥が参画するのは新帝都移転後初。
7月16日分 ラグナバリアの白銀騎士の戦績が歴代最高に
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 ガーニェト艦隊第2駆逐隊所属クライプティア級「ラグナバリア」の白銀騎士の先月末までの戦績が82億3650万ダルクを超え、今まで最高だった旧帝都時代の第6産業塔のアイナの82億3510万ダルクを塗り替えて歴代最高になった。

 戦術集の戦績も歴代最高の25億ダルクを記録、勝利数は120万回にも及ぶ。

 また、月に一度行われる大規模演習では3日間で10万人の観戦武官を集めるなど大成功を収めた。

 他にも情報戦の戦績は41億ダルクに登り、こちらは歴代最高ではないものの近いうちに更新するものと見られる。
7月17日分 精製食品工業が自主回収
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精製食品工業は17日、自社の販売する「スメールA型」について約15万5000個を自主回収すると発表した。

 回収の理由について同社は、食品に使われている合成栄養素に毒性を持ったものが混入していることが分かったため。同社によると、健康被害は出ていないとのこと。

 今回の食品回収は同社による調査によって判明し、同社としては再発防止に努めているとのこと。

 回収対象は5月に製造した商品の一部で、製造番号が「E1/B90」「E1/B91」「E2/B92」と表示されているもの。
7月18日分 ノルトスベハラーゲン港の拡張工事が開始
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 バイマン計画が実行され、急ピッチで開発が進められている戦線区、その開発拠点となっているノルトスベハラーゲンの港の拡張工事が本日、開始された。

 ノルトスベハラーゲンは戦線区に近く、旧帝都時代に連邦に対する前線基地として建設され、長らく軍事都市として栄えたが最近になりレート造船所の開設や、連邦との関係改善により交易が発達、六王湖第四の都市となった。今回の拡張工事は前述した戦線区の開発拠点としての機能の強化だけでなく、増加する貿易船の処理能力の底上げやバリグ城塞からの軍事拠点の一部移転などを進めるためのものと見られている。

 拡張工事は運輸省だけでなく経済・財政省と軍も関わっており、工場完了後にはバイマン計画におけるこれらの省庁の拠点になると見られる。
7月19日分 【国際】アーキル連邦政府の議長選挙が開始
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 19日、連邦経済を更に疲弊させたデノミ指示や軍事費10分の1削減法、メギド城塞遷都計画などの人々の期待を裏切るような行為により今月5日に罷免されたヤミィ(8)元議長に代わる新連邦議長を決める選挙が始まった。

 連邦議長は北パンノニアなどの連邦構成国家から一匹づつ立候補し、それをザイリーグなどの各連邦自治区から選ばれた選挙人による投票で絞られ、連邦本国市民による直接投票で6人まで絞った後、クルカレースを行い一番最初に議長席までたどり着いた物が勝利するというシステムである。
7月20日分 戦線区に渇水警報
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 ギッザス気象台は20日、戦線区全域に渇水警報を発令した。

 ギッザス気象台によると戦線区ではバイマン計画に則る開発のために大量の地下水が使われており、また、戦線区5330峰における鉱山開発で地下水脈を支える不透水層が破壊され地下水が流失していることに加えて、今年の記録的少雨のために戦線区は渇水状態に陥った。

 グランパルエ川水系で3番目、我が国で2番目に貯水量があるサーノ川第二ダムは緊急放水を決定。秒間約13000立方メルトの速度で放出する。

 戦線区に渇水警報が発令されるのは4年ぶり。
7月21日〜30日分
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7月21日分 「旧帝都奪還を望まない」62%
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 近衛僭称政権に旧帝都を奪取されてから15年目に入る中、国民の62%が、旧帝都奪還を特に望まず、現状のままでいいと考えていることが21日、帝国監査院の調査で分かった。

 調査は今年4月、ノイガラート叛乱に対する印象調査のついでで行った簒奪政権への評価。全国の15歳から中55歳までの人から無作為に抽出した5000人に調査票を郵送し、約2400人から有効回答を得た。

 はじめに、簒奪政権を認可するかどうかについてを調査、その結果、全体の94%が「簒奪政権を認めることはできない」と回答した。また、近衛軍については「優れた軍隊」が28%、「普通の軍隊」が55%、「劣った軍隊」が17%だった。

 ただ、旧帝都を取り戻すべきだという意見は有効回答の内の35%が「積極的に取り戻しに行くべきではない」と答えた。また、21%が「帝都はギッザスのままにするべき」と回答し、6%が「簒奪政権との融和を図るべき」だった。一方、「積極的かつ平和的に取り戻すべき」が26%、「武力を用いてでも取り戻すべき」が12%となり、旧帝都に対するこだわりも多く見られる。

 帝国監査院の代表は「新帝都に遷都してきてから15年、ガリアグル系やオージア系の人間が多いこの地域では命を捧げてまで旧帝都を取り戻そうとするような考えは生まれないのかもしれない。そして新帝都の住民は自らが開発したギッザスに誇りを持っていてもとに戻ろうという気が起きないのかもしれない。だから今のままでいいという考えが増えているのでは」と分析している。
7月22日分 メルパゼルの使者が電撃来訪
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 21日、防空司令部がメルパゼル国籍の機体を捉えた。スクランブルしたフィッター戦闘機に誘導され第71仮設空軍基地に着陸した。着陸した深蒼の機体から降りてきたのはメルパゼル共和国のナムラサ外相だ。

 メルパゼルと帝国は接触時から対立関係にあったが、リューリア戦役で敗北した結果の連邦の権威の失墜によるメルパの独自路線の強化、遷都後以来続けられている帝国の融和外交などにより共和国と帝国は密かに接近しており、今回の電撃訪問は両国の間に関係があったことを世界に示す出来事となる。

 ALHAの発表によると、ナムラサ氏は「帝国の正当性、主権、領土保全やアイギス陛下を尊重する」と表明。帝国への内政干渉や自己利益を求めることはないとし、「メルパゼルはホセイドの叛乱の時からから六王湖地域を影で支えてきた国だ。そのことは今後も変わることはない。」と友好関係をアピールした。メルパゼルは今月末、南北パンノニアとスクルフィルを招いた非公式会合を予定しており、連邦に代わり積極的に国際情勢に関与を強める姿勢を示している。
7月23日分 ダムに消えゆく村、コラダ
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帝国に征服される前の時間がそのまま止まらずに時空を超えて今も刻み続けているような場所が、戦線区の山奥にある。そして今、それが消えようとしている。

 ノイエインダストラールの市街地からナーヤカタン帝国行政区のナーヤッルカタナムを過ぎ、人家のない山間部の道を辿り、いくつもの川越えると、山に囲まれた谷沿いに小さな集落が現れた。古来より六王湖地域で敗北せし者達が更に北に逃げるための足場として、骨を埋める墓場として、復活を夢見て耐え忍ぶ隠れ場として多くの者達が逃げてきたといわれるコラダだ。

 コラダの歴史は中心部の集会場の地下に記録されている。この記録によるとこの村を建設したのは遥かな昔、約1000年前に六王湖の地に住んでいた古六王湖部族が現在のガリアグルにあたる地域に住んでいたスクルフィル人の祖先によって連れ去られたスクルフィル捕囚の手を逃れた少数のグループだった。その時に作られた『隠れ里』は戦線区だけで100以上に登ると言われている。集会場の記録によると、このコラダは古六王湖部族で現在のタレアニズ地方を支配していたと言われるカリマ族の族長バルデ・ヌアニが族の者200人を連れて建設したと伝わる。この集会場は祭祀場として作られたものらしく、地下には最初はバルデ・ヌアニの墓があったと言われている。

 その後、6代続いた後飢饉とそれに伴う権力争いによって荒廃、放棄されていたところを北から侵入してきた古オーヂット人によって発見。再入植が行われ、地下に記録する習慣も受け継がれたが、場所が悪かったらしくすぐに立ち去ってしまい、当時のオーヂット人がよく持ち歩いていた立体パズルのキューブが幾つか残るのみだった。

 さらに時を経て帝国によるガリアグル征服が始まるとここの村にガリアグル王家や宮廷貴族が逃げ落ちてきた。ここには現大宰相の家系であるダットファング=インパイア家と相対するもう一つの家系であるダットファム=ロワイヤ家が逃げてきていたことで知られ、帝国による六王湖再入植が行われるときまでここに潜んでいたとみられるが、この世代は地下に記録する習慣を受け継がなかったためにその時の記録は村人の伝承のみが今に伝わっている。

 現在ではその土地の不便さから人口が流出しており、村の伝承も失われつつある。このことを危惧した今の村長のアヤズ・アムンさん(61)は地下の記録と村人に語り継がれてきた伝承を第三帝大の研究グループに提供することを決定、5月に調査が開始され、村外不出の伝承を『よそ者』に聞かせるのに反対していた村の長者たちもアヤズさんの説得で口を開き、誰も知らない話を研究者に語り始めた。

 村人から集会場と言われ親しまれている古き時代の石造りの祭祀場に入ると、最近に置かれたものと見られる、机と椅子が次々と連なり、正面には至聖所として使われていたであろう教壇が鎮座する。「ここでは村の子供たちのために遠方から先生を読んで教場にしている。30人弱の子供たちはここで一生懸命に勉強したり遊んだりしている。」とアヤズさん。子供たちの空間を通り抜けると教壇の裏の部屋に地下へと続く階段があり、そこを下ると1000年以上に渡ると思われる村の歴史を記録した石板が十字方向に並んでいた。ただ、研究資料として徐々に持ち出されいるらしく、筆者が来た時には全体の4分の1程度しか置かれていなかった。「ここにいると昔の雰囲気を味わえる、毎日追手が来るか来ないか不安を抱きつつも生活している当時の空気を。これから私たちは日の当たるところに移っていくが、ここに記憶されている人々は大学の資料庫の中か雨季には最大水深140メルトにもなるダム湖に沈み、暗闇の中で生きていく。隠れて生きることを好んだ彼らがどう思うかは私には分からないが、少なくとも歴史だけは後世に受け継がれていく」アヤズさんはそう語りながら感傷に浸っていた。

 村で一番大きな建物である村長宅は、かつてのガリアグル王家の末裔が住んでいたといわれ、ダットファム=ロワイヤ家もここで給仕の仕事をしていたと伝わる。そのため、玄関にはガリアグル王家とダットファム=ロワイヤ家の紋章が飾られてあった。ガリアグル王家の方は剝げていて、どのような柄だったか確認できないが、もう一つの方が明るい水色と鮮やかなオレンジのストライプのダットファム=ロワイヤ家の紋章と認識できる。

 遂に開示された伝承によると逃亡者たちはナーヤッルカタナムに帝国軍が来たという噂を聞いたその夜には村から姿を消しており、ガリアグル王家は噂からゲノラグルに残った王家が処刑されていないことを知り、六王湖で建設作業員として使役されているガリアグル人に混ざることを決意。一方ダットファム=ロワイヤ家は、さらに北に逃亡することになり、彼らがヒグラート渓谷を超え、カノッサを超えて北半球の文明と接触できたのかどうかは謎のままである。

 歴史と謎を今に残すコラダ村。今、その村は歴史から消えることを受け入れ、文明の洪水の中に消え行こうとしていた。
7月24日分 ノイエインダストラールで水の使用禁止令が発令
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 キャニヨ・ヒグラート帝国行政府は20日に発令されてた渇水警報を受け、ノイエインダストラール及び周辺の連結コロニーに対して一週間の水利用禁止令を発令した。

 帝国行政府は渇水によって都市生体器官が脱水状態になるのを回避するためにこの禁止令を発令することを決断したと発表。禁止令は都市内を流れる上水道を封鎖し、物理的に水が利用できなくさせるとのこと。なお、給水車による支援には意欲を示している。

 市民の間では倉庫などにしまっているワインなどを取り出して飲料水代わりに利用し始めているほか、生体器官を一部冬眠状態にさせるなどの対策をとっているのが見られる。

 ノイエインダストラール市以外にもカラロマノ帝国行政区やノー・ド・イグイノール帝国行政区などが同様の令を出している。
7月25日分 ルカタ川で瀬切れ
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 今年に入って降水量が平年の半分以下にとどまり、またバイマン計画による地下水の大量使用などにより戦線区全域において渇水警報が発令されている中、ナーヤカタン帝国行政区を流れるルカタ川では早くも瀬切れが観測されている。

 また、支流でも水量が減少しており、ナーヤッルカタナム市では従来使役されている民間水輸送船だけでなく、軍用液体輸送艦を利用した緊急水輸送を政府に要請している。
7月26日分 バレグ・ラーヴァナ級が分解
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 今朝未明、第59空軍基地(サチャネノー帝国行政区)において、訓練中のバレグ・ラーヴァナ級41号艦が空中分解する事故が発生した。

 空軍によると、空中分解したのは第66迎撃隊所属の41号艦で新兵の訓練中の事故だったとのこと。現時点で確認されている被害はラーヴァナ級乗組員83名が死亡、落下してきた残骸によって地上にいた6名が死亡し、3名が重軽傷を負っている。

 空軍は事故原因の究明に全力を尽くすとのこと。
7月27日分 バーフシュウォルクの温泉街が壊滅状態に
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 10日前から続いている戦線区の渇水状態は各地の生体器官を故障させるなど大小様々な被害を与えているが、26日、カラロマノ帝国行政区バーフシュウォルクの温泉街の源泉が枯渇した。

 源泉が枯渇した原因は直接的には昨今の渇水だが、温泉の水の出処である、バッフ山での開発により、土地の保水力が亡くなってしまったことも関係があると見られる。

 源泉が枯渇したバーフシュウォルクでは以前に掘り当てていた別の源泉から湯を引くことを検討している。
7月28日分 戦線区にて2ヶ月ぶりの雨
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 渇水警報が続く戦線区において5月4日から約2ヶ月ぶりの雨が降った。

 渇水状態が長く続く戦線区、特にグランパルエ川上流地域ではクルカですら干物になると噂されるほど乾燥しており、現地の人は「エゲル盆地が西進してきた」と口々に言う。そんな中、2ヶ月ぶりの恵みの雨はルカタ川などで川周辺の土地をえぐるほどに強い勢いで川が復活し、流域に住む人達の生活の基盤が一時的にだが回復した。

 雨は6時間ほど降しきった後、やんでしまったが上流域の人達を後2週間ほども持たせることができる量の水が溜まった。帝国ではこれを受けて渇水警報による取水制限を一部緩和することを検討している
7月29日分 クルゲ・マンハマート氏がアーキリア連邦から資金援助を受けていたことが発覚
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摂政評議会関係者の間に、激震が走った。旧皇帝派の新星にして帝国の内部からの改革を主張するクルゲ・マンハマート氏(36)がアーキリア連邦から資金援助を受けていたことが発覚したからだ。

 クルゲ・マンハマート氏は本国貴族の出で保守的な旧皇帝派ながら民の意見を反映した公領運営、最も危険なエゲル盆地の哨戒戦隊の司令官を務めるなど、親しみの持てる好青年として人々からの支持を集め、旧皇帝派の偶像的存在であった。

 アーキリア連邦からC・マンハマート氏へ資金が送られたのが4月20日、パンノニアに住むマンハマート氏の親族からの送金という形でカルタグを経由して行われた。その際にマンハマート氏付き秘書が記録した帳簿が内務省に送られた資料に紛れ込み、内務省に届けられたのが今月18日、そして資料を受け取ったオラニード・アルデラント市民大臣がこの帳簿を閲覧したのが22日、そして27日にC・マンハマート氏に事実関係を確認し、本人がこれを認めた。

 市民への数少ない広告塔の一大事に、旧皇帝派の一部はC・マンハマート氏の擁護にまわる。第二次枢密院政権の米書記官長であり、C・マンハマート氏の娘と自分の息子との婚約を交わしたことで知られるファンダーメ2等会員は、「貴族たるもの人から資金を受け取るのは恥ずべき行い」と非難した上で、「来るべき講和において、僭称国家よりも親密な関係を築くためにも連邦とのパイプを維持するのは重要」と正当化した。

 旧皇帝派の中でも珍しいガリアグル系のアルザフ2等会員は「連邦との関係を築くことで外交面での力を強化したかったのだろう」と擁護、ただ「カネのやり取り以外に方法はなかったのだろうか」と発言。旧皇帝派よりで知られるテクノクラートのカリスリア政権博士は「我々は簒奪者に比べて技術力が不足しているのを彼は深く理解している」とし、「技術協力を引き出す目的ならば我々も喜んで強力しよう」とマンハマート氏に味方した。

 一方で、摂政評議会に議席を持つ重鎮達は沈黙を保つ。G・デシュタイヤ氏と近しいザニアル氏は、「貴族が金を貰うべきではない」と珍しくショートコメント、ヴィメルン氏も「あまり好ましい行為ではない」と言及する程度で積極的な擁護の姿勢を見せなかった。

 旧皇帝派にとっては、マンハマート氏はそれまでの旧皇帝派の辿って来た道をとは違った方向のイデオロギーを掲げており、旧皇帝派内でも特に保守的な守旧派から煙たがられている存在だった。しかし、彼の進歩的な思想は六王湖で生まれ育った新しい世代の貴族に絶大な支持を受けており、彼を慕う貴族の数は無視できない。すなわち、マンハマート氏を擁護すれば守旧派からの支持を失い、批判すれば旧皇帝派は意見が完全に分裂し、旧辺境派の如く崩壊しかねず、黙っているのが得策なのだろう。

 しかも、マンハマート氏には旧皇帝派ナンバー3にしてG・デシュタイヤ氏の側近のラール・マンハマート氏は先のノイガラート叛乱において叛乱首謀者であるノイガラート氏と密約を交わし、典型的すぎる保身的行為に国中の笑いものになった父親が存在する。血のつながった親の古傷が今になってのしかかる。

 当時を振り返ると、先に協力を仕掛けたのは相手ではなく、中央に対する叛乱行為を目前で見せつけられ、誇りや義務、信条というものを裏切り、自己保身のためだけに悪魔の契約を結んだR・マンハマート氏だった。

 R・マンハマート氏は当時滞在していたノルトスベハラーゲンを飛び出すとその日のうちに、叛乱軍拠点であったバリグ工業城塞へ入城。ノイガラート氏と1対1で対話を行い、旧貴族警察の反中央政府的活動を黙認し、また叛乱軍に出資する代わりにクーデターが成功した暁にはノイガラート氏の直参と同等の関係を保障し、既存の領地を削減することは行わないという密約を結んだ。だが、彼らの叛乱は失敗し、ノイガラート氏はバリグ工業城塞で自殺したため、密約は自動的に破談になったが、地位や領地が奪われることはなかった。

 しかし4月26日、内部告発者が帝国監査院の監察官にマンハマート氏のノイガラート氏との密約を報告。同30日には帝国中央裁判所がマンハマート氏の反中央的行為をめぐり調査を開始すると宣言し、5月10日には4月10日に旧貴族警察に対して行動を起こすことを摂政評議会と約束したことなどが公表。ノイガラート氏との密約への背信行為が取りざたされ、市民からの評価を地に堕とした後、目まぐるしい展開を経て、5月28日に行われた裁判で一旦は懲役15年の刑が下ったもののアイギス陛下の嘆願もあり、6月に全権の剝奪と5年間の謹慎で幕引きを迎えたのは、既報の通りである。

 息子であるC・マンハマート氏は意外にも父に責任を取らせるべきだと主張していたが、今となっては自分の行った資金の受け取りを隠すための発言であったことが理解できる。ただ、今回の件は父親とは違い連邦側から打診してきたものであるため、擁護の声は大きい。

 C・マンハマート氏は以前から旧皇帝派にありがちな旧地奪還の主張をあまりせず、北パンノニアやメルパゼルなどの外国との関係を強化し、旧帝都に居座る近衛を包囲しようという戦略を主張していた。新進気鋭の36歳の野心家は旧皇帝派の目的、インダストラリーゼ奪還を確実に達成するためには手段を選ばなかった、しかし、今回の行為はそれを考慮してもなお、非常識な行いであり、特に貴族が人から金を貰ったことは今後のC・マンハマート氏しいては旧皇帝派で彼を支持するグループの足かせになるだろう。
7月30日分 【独自】【国際】ゲノラグルの叛乱軍の残党が約四半世紀ぶりに確認
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 595年にガリアグル地方ゲノラグル市で蜂起し、本国と六王湖地域との連絡線を断ち切り、帝国に対して最大の叛乱行為を行ったゲノラグルの叛乱軍について、本紙日刊バレグが独自の取材で残党軍の影を約四半世紀ぶりに確認した。帝国は同軍を「皇帝陛下の理念に叛逆し、皇帝陛下から賜った土地を穢し、陛下を慕う臣民達を巻き込んだ許し難い行い」として拠点の摘発や警戒を続けてきたが、最高指導者の所在がつかめず、指揮系統の解明も不十分だった。

 確認したのは、ゲノラグル蜂起の指導者であり叛乱軍の最高指導者ホセイド氏及び彼の部下であるキシリア氏が指揮する「クズルグレンツァー」。ホセイド氏は08年から、キシリア氏と「クズルグレンツァー」は15年を最後に行方がつかめなかったが、我々の取材班がノイガラート叛乱軍等を経由し接触に成功、現時点ではノスギア山脈を越えたさらに東、パンノニアとの国境未画定中立領域にて複数の非公然拠点を建設し、そこで自給自足の生活を営むと共に小規模ながら軍需物資を生産する工場を持ち、再度蜂起するための力を蓄えている。

 叛乱軍の広報担当は日刊バレグの取材に、「ノイガラート叛乱軍が興亡して、その時に誰も我々の事を話題に上げなかったのを見て、時間が経つにつれて我々のことが忘れ去られているのではないかという危機感を抱いた。」と取材に応えた経緯を回答。現在まで拠点以外でどのような活動をしていたかについては「答えられない」とした。

 ゲノラグル叛乱軍は蜂起に成功したあと、ガリアグル地方の地区艦隊と交戦し、これを撃破、鹵獲したが南下してきたバリグ城塞の艦隊によって艦隊の3分の2を喪失、ノスギア山脈の向こう側に逃亡しエンディワに拠点を建設、そこを拠点にホロス蜂起、ラッシジア襲撃戦など全国で228件のゲリラ的事件を起こした。だが、この組織はそれまでの叛乱軍とは違い内部分裂を起こすことが少なく、また、ホセイド氏がゲノラグルひいてはガリアグル人全体から好意的に受け止められていることもあり人材や資金不足に陥ることなく長きに渡って活動してきたが、業を煮やした当時の政府から近衛軍を差し向けられると勢力は減少に転じ、615年のエンディワ奇襲作戦後は壊滅したと認識されていた。近年は叛乱軍内で二世代目が誕生しており、親の意思を継いだ子供たちを中心に勢力を再構築しており、広報部によると1月時点の勢力は約7300人。

636年8月

8月1日〜10日分
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8月1日分 バイマン計画会議に水資源公団が参画
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 政府は1日、戦線区で進められているバイマン計画に関する関係機関連絡会議を開き、昨今の記録的渇水を踏まえ、バイマン計画会議の協力機関に水資源公団を加入させることで一致した。また、バイマン計画参画企業による開発資源の過不足の情報を政府に提出するよう要請することを決議、渇水時の水資源の割り当てに関する序列を決定した。

 現在のバイマン計画会議の協力機関は国土開発省の全ての機関と運輸省と国道局とパイプライン局、ギッザス気象台に農猟業省土地開発局が参画している。
8月2日分 アイギス陛下が戦線区を視察
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 アイギス陛下は2日、戦線区ノー・ド・イグイノールで建設中のコロニーである第21号植民地を訪問なされた。建設中のコロニーは現在居住区間を中心に開発が進んでおり、10月の作付に合わせるために並行して田畑の開墾も行っている。

 肩まで露出した白色のハイレグレオタードの姿の陛下は、コロニーの中心広場に臣民を集められると一人一人に握手をして生活は苦しくないか、何か困っていることはないかなどとお声をかけられ帝国のために未開の地で働く人々を労られた。アイギス陛下は開拓されている農地の前で腰を落とすと、手伝いが持っている小さな籠から種もみを取り、丁寧にまいた。アイギス陛下は4時間ほど現地に滞在した後、別れを惜しみつつ帰路につかれた。

 第21植民地ではコロニーの名前にアイギス陛下の名を冠すことを決定し、またアイギス陛下が種植えをなされた区画を未来永劫破壊してはならないという条律をさだめた。
8月3日分 Bo-La線でパイプラインの破損事故
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 3日25時ごろ、ボーロマーニュ-カルマルク線のボーロマーニュ=ホルテンダール駅-ガーニッツ駅間でパイプラインの破損事故があった。運輸省によると、当線の全線が運転を見合わせている。

 一方、リンペルによると、この事故で同線に乗り入れているリンペルの全車両の運転を一時見合わせたが、26時頃から、テーンキゲン-ラーテ駅間で折り返し運転を始めた。
8月4日分 守旧派がC・マンハマート氏を批判
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 旧皇帝派のアイドルであるクルゲ・マンハマート氏がアーキリア連邦からの資金援助を受けた問題を巡り、グレン・デシュタイヤ氏ら旧皇帝派守旧派は4日、不干渉から一転、一斉に批判した。守旧派の音頭をとっているG・デシュタイヤ氏は、C・マンハマート氏が代表業務を自主的に休止しているため暫定的に代表を努めている新思考派のホルマ副書記長と新インダストラリーゼ宮殿で会談し「旧皇帝派の人間として相応しくない、恥ずべき行為だ」と抗議。然るに、C・マンハマート氏が全責任を取り、今後の貴族が同じような間違いを犯さないためにも正式に摂政評議員を辞任するように伝えた。

 ホルマ副書記長は記者会見で「非常に不愉快で閥内の対立を煽るような発言だ」と非難。同じく新思考派のラーテ侯も「六王湖に留まっているのが常態化した今、旧皇帝派の勢力を強化維持するのに努めてきた功労者に対する裏切りだ」と書簡で抗議。一方守旧派のヴュルトベルト会計幹部は、旧皇帝派の清廉さを維持するためにも閥内を綺麗にする必要があると強調。「旧辺境派のように醜い状態にならぬよう、改革していく必要がある」と述べた。
8月5日分 「戦場まで1万レウコ」、単行本化
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 ゴッシナサーラ地方ラーテ侯領ハバーニの元軍人、ニア・クレドリン氏(54)が、バレグLに連載していた人気小説、「戦場まで1万レウコ」を単行本化したものが新帝国通信社から刊行した。主戦場であるカノッサから大分離れた後方の地で表彰されることもなく、前線の兵士からは臆病だと笑われ、市民からは邪魔者扱いされる中で自分の道を見つける物語を描いた作品だ。

 物語は572年にそれまで前線勤めだった主人公が後方の部隊に配属されたことから始まる。後方に着いた彼は休暇の度に行き来してくる前線の兵士に笑われつつも、自分はたまに飛来してくる連邦軍爆撃機に戦々恐々として過ごしている。しかし元からいる兵たちは前線の兵からの罵倒も市民からの冷遇も連邦の爆撃機にも特に反応をとらず、日々をだらしなく過ごしてる。「兵士の役割は積極的に行動し、迅速に反応すること。しかし、ここにはそれがない。」

 ニア・クレドリン氏はオット出身。オット軍学校を卒業後、ラーテ侯爵の私兵軍に所属、主にヒグラート渓谷での防空監視にあたった。23年に仕えているラーテ侯爵が六王湖に転封されたのに従ってハバーニへ移住。その後も私兵として貴族紛争に参加し、31年にはラーテ侯爵の侯爵の部での優勝に貢献。34年に私兵を引退し、現在は文筆業の傍らハバーニのオージア系住民を支援する組織の代表を務めている。
8月6日分 CIBが3億ダルクをかけて新工場建設へ
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 バリグ産業複合体(CIB)が政府の主導するバイマン計画に合わせ、カラロマノ帝国行政区のヴィー市に新工場を建設する計画を発表した。CIBでは39年の完成を目指し、計3億ダルクの資金を投入して建設を急ぐ方針だ。CIBはノイガラート叛乱によって造船設備が破壊されたため造船事業から撤退しており、今回の計画は発展していく戦線区に新工場を建設することで拡大する工作機械の需要に合わせ、撤退に伴う収支悪化の「穴埋め」をするものと見られる。

 CIBの広報部は取材に対し、「建設計画の詳しい内容は今後明らかにしていくつもりなので現時点ではなにも回答できない」とした。

 CIBはこれ以外にもマンナビッヒからの工場誘致を受ける姿勢を見せており、先月末に公表した636年度下半期中期計画ではカンテランドに複数の事業所を展開する計画が立てられている。

 一方、CIB造船事業部はバリグ城塞の造船施設での作業停止を発表。遅くとも9月には施設の解体を開始し、37年末までに完全撤去する。
8月7日分 7音祖のロッタ、識別証が変化
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 陸軍祖国防衛隊ケショグ第7音響狙撃隊オクタノー分隊のロッタが、顔に付いている識別証が変化しており、ファンの視線を集めた。

 オクタノー分隊は7日、自身の部隊広報を通じて14日から総合演習を行うと表明した。メンバー揃って登場し、明るく活気に満ちた雰囲気を伝えた。

 そんな中、オクタノー分隊のエースマシンガンナーであるロッタの左頬に書かれている識別証が以前とは違う形状に変化していることが確認された。

 ロッタは最近、普段のマシンガントークが見られず、公開作戦会議でも言葉を発しないことが増えていた。
8月8日分 今、巷で話題のレストラン「ノカナ」
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 新帝都、パンノニア通り近くに店を構えるパンノニア料理店「ノカナ」が今、話題沸騰中だ。

 ノスギア山脈の向こう側から輸入してきた食材を使ったパンノニア料理をメインに提供している同店は633年開業。店主のノルバさん(31)はパンノニア系三世。625年にツヴィンリヒの大学を出た後、ギッザスの工場で働いていたが629年に母ノカナさんが亡くなり、母の作ってくれた料理をなんとしても世の中に知ってもらいたいと一念発起、カルタグにある料理店で4年間修行を積み、師匠の計らいでパンノニア大使館があるパンノニア通りで店を構えることが出来た。

 開業した当初は客もまばらだったが、パンノニア大使館の職員やその家族などの口伝てでギッザスのパンノニアコミュニティー評判が広まっていき、35年の暮れには摂政評議会に議席を持つパンノニア系貴族の会合の四次会が開かれるなど政財界に顔を利かせる大物のお墨付きをもらい、それからは一般庶民だけでなく、貴族などもお忍びで来るほどの人気店になった。

 メニューは、前菜からデザートまで7品のパンノニア料理が楽しめるパンノニアンコース(620ダルク)とそれに加えて日替わりのオリジナル料理がついてくるノカナコース(700ダルク~)の2コース。ランチはランチセット(20ダルク)のほか、複数の単品メニューもある。なお、コース料理は要予約。

 食材は修行時代の師匠や兄弟弟子などの情報網を駆使し、料理にあった食材を生産してくれている業者など全国から集める。ワインなども遠路はるばるパンノニアから輸入しており、パンノニア産ということにこだわりぬいた料理を楽しめる。

 6月にはギッザスの観光案内に店舗情報が掲載されるなど注目を集めているほか、パンノニア本国から来た人にもほめられたりするなど好意的な反応があり、うれしいという。ノルバさんは「料理やお酒の選定は特に厳しくやっている。自慢の食材とお酒を、記念日や祝い事のディナーといった利用で、帝都の人達によく使ってもらえるような店にしていきたい」と今後の夢を語った。
8月9日分 戦線区の新基地の着工を前倒しへ
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 戦線区の開発が国土開発省を中心に進む中、眠っていられない省がある。軍事省は9日、戦線区カラロマノ、ウトーグルで計画している陸空合同基地整備について、基地本体工事の着工を638年にする予定だったのを636年度内に前倒しにする考えを明らかにした。工期は変わらず4年程度を見込み、係留塔などを優先する方針。

 着工の前倒しについて、軍事省は「今年度予算に20億帝国ダルクの追加予算を計上した。できるだけ早期に着工させたいので、計画会議の承認手続きを年度内に終えたい」と述べた。国家機関による戦線区での開発にはバイマン計画会議の承認を得る必要があり、今回の新基地建設計画はすでに承認されているものの、昨今の渇水やパイプラインの混雑のため先月20日から計画を変更する場合、計画会議の認可を得ることになっている。

 軍事省は戦線区の開発が進み、重要度が高まっているのに対して戦線区に存在する基地は1つしかない為、以前から防衛力の強化に注力してきたがバイマン計画の発動によって急速的に開発及び植民がすすんだことで新たな基地の建設を速めたものと見られる。
8月10日分 叛乱帝国軍がヒグラート空域で軍事訓練
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 軍事省によると10日、叛乱帝国軍の空母機動艦隊がパンタール北方のヒグラート空域で遠航訓練を実施したと明らかにした。

 軍事省ではダフラヴェンス級やイストランデ級、ゲダルン級など計12隻を確認しており、同艦隊は7時にパンタール北方のヒグラート空域で発着艦訓練などを行った後、16時には同空域から離脱した。領空への侵入はなかった。

 簒奪政府の主張では、「年度計画に記されている定期的な訓練」としており、戦線区の開発を進める帝国を牽制する狙いがあると見られる。
8月11日~20日分 
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8月11日分 帝鉄が賠償金支払いへ
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 4月に排ガス規制逃れを行っていたことが発覚した帝国鉄鋼が11日、5月末にレート市民らが起こした民事訴訟で帝鉄は訴訟団に対して合計1億帝国ダルクを支払うことで訴訟団側と和睦した。

 帝鉄広報は、帝国鉄鋼には事業所を置いている複数の都市の市民から訴訟が提起されていると述べた上で、一人一人真摯に話を聞いていき、できるだけ争わずに決着を付けたいとしている。帝鉄は「今後は企業としての義務を完全に順守すべく誠心誠意、努力していく」として、「きちんと賠償を支払うことで、市民からの信頼回復に努めたい。」とした。
8月12日分 栄養液、値上げへ
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 局営都市循環委員会は12日、栄養液の価格を、10月配給分から7~15%引き上げると発表した。戦線区の開発が進み、需要が高まった他、原材料費の高騰やパイプラインの架け替えによって物流コストも上昇しているためという。栄養液の値上げは3年ぶり。

 資源省エネルギー資源局は栄養液の急激な価格上昇を抑えるために補助金を給付する緊急対策を検討しているとのこと。
8月13日分 【国際】共和国国鉄爆発、54人死亡
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 メル=パゼル共和国のコトラギにある共和国国鉄コトラギ駅で12日午前、爆発が発生し、駅舎の一部及び停車していた鉄道車両3編成13両が崩壊した。メル=パゼルのキタラギ全国新聞などが伝えた。同紙によると、少なくとも人が54人が死亡、100人超がけがをしたとのこと。メルパ当局は、テロ組織の犯行と決めつけ、捜査を進めている。

 現地報道によると、爆破はコトラギ駅の3、4番ホーム上で発生し、停車中だった2つの編制は爆発の瞬間、大きく飛翔し、4番ホームに停まっていた車両はその爆風で2番ホームに停まっていた編制を潰した。報道によると、死者の中には妊婦や子どもも含まれているという。

 コトラギ駅はメル=パゼルで3番目に大きい駅であり、周辺には繁華街やオフィス街が広がる。今年で開業100周年を迎え、再来月に記念式典を開く予定だった。当局では反体制派グループの犯行と見ている
8月14日分 ミッド=ガリアグル・ユース、史上最長の13日間未勝利
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  ミッドは14日の試合に6-1で大敗。今季ワーストの8連敗を喫したうえ、勝ち点も-25まで減った。先発防衛のヤキマが3ターン4ブレイクの大誤算。雨天中止やガス中止を挟んだとはいえ、計13日間にもわたる未勝利はチーム創設依頼初めてのでき事だ。最下位に転落し、首位のレートとは最大72点差、最短で26日には自力優勝の可能性が消える窮地を迎えた。

 最後に勝ったのは1日のジャンシャルマン戦だった。あれから2試合連続の雨天中止とバリグ特有のガスの影響による中止3試合の計5試合が流れたとはいえ、半月に渡って勝利から遠ざかっている。34年12月の10日間未勝利を塗り替え、チーム新記録を樹立してしまった。

 「ここ最近は序盤に取られる試合が増える傾向にある」

 先日の敗戦後のカチョン監督の冷静な分析の通り、この直近4連敗は全て序盤に大量失点している。復帰したばかりのキマ
も序盤から攻められ、勝ち星を得ることはできなかった。

 初回にホジョの1号で幸先良く先制を取ったものの、直後に中攻のピリンに3号を受け、あっという間に試合は振り出しに戻り、積極的な相手の攻撃の勢いに飲み込まれ、3ターン4ブレイクの5失点。攻撃力の弱いチームが序盤にこれだけのマイナス点を背負っては打つ手がなく、その後なんとかさらなる失点を抑えつつ敗北した。

 開幕6連勝の好成績だったギッザスから一つも勝利を奪えず、史上最少の勝ち点-25まで下がり、首位とも大きく水を空けられている、ここが踏ん張りどころだ。
8月15日分 NNDN対国の和解勧告、協議打ち切り
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 オー=ウンター帝国行政区カルマルクで608年、内地からやってきたフルフ爵の娘(当時16)がノルド=ノルド=デシュタイヤ=ノルド家のインダ・NNDN氏(当時16)に襲われ、激しく抵抗した末に絞殺された事件を巡り、殺人罪などで死刑が確定し、NNDN家も取り潰しになったことが決定した後に再審無罪となりNNDN家の家長に復帰したメイア・NNDN氏(61)が国とフルフ家に損害賠償を求めた訴訟で、カンテランド貴族中等裁判所は14日、和解協議を打ち切った。NNDN家の代弁団によると、国が貴中裁の和解を拒んだという。

 メイア氏はインダ氏が処刑された後の高裁の大陪審で614年、インダ氏の凶行はNNDN家の監督責任にある可能性は低いとして無罪判決を受け、確定。取り潰しはなくなったが、その後国に対して貴族に対して大変無礼な取り調べを受けたとして提訴した。国は貴族平民関係なしに平等な捜査方法をとっているのでそのような扱いになるのも仕方がないと反論して結審。貴中裁は昨年11月、異例の和解を勧告した。

 貴中裁は勧告で、インダ氏は宮廷貴族であるデシュタイヤ家の分家の分家の分家に相応しくない侮辱的な扱いを捜査の中で受け、貴族としての威信を汚されたと指摘。帝国の功労者達をないがしろにする行為であり、他の貴族も恐怖を抱き、相当な精神的圧迫を受けたことは明らかで、貴族を平民と同じように扱おうとしているとして批判。国に一定の和解金を支払うよう求めた。

 インダ氏は和解に応じる意向だったが、国側は和解協議に出席せず、上位貴族のみで構成された貴中裁の勧告は中立的政府である帝国には通用しないとして拒絶したという。貴中裁は和解が難しいとみて、10月に判決を言い渡すことにした。

 この事件は以前から上位貴族と下位貴族しいては市井の民と明確に差別されている好例として市民の間だけでなくフルフ家と同じような下位貴族、さらには軍内や六連柱の人々から批判の声が飛び出していた。
8月16日分 ハウトマン生体科学、過去最高利益更新
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 ハウトマン生体科学が16日に発表した6月期決算は、営業利益が前期比10.5%増の1023億帝国ダルクとなり、遷都後初の1000億超えを達成した。

 好調の要因は先の叛乱によって破壊されたバリグ城塞の生体器官の入れ替えの大口の注文が来たこと、バイマン計画によって生体部品の需要が高まったことが収益を押し上げた。遷都前と遷都後では会計基準が違うため単純比較はできないが営業利益は過去最高を更新した。

 ハウトマン生体科学のウントメル最高主任は「今期は生体部品の需要が全土で高まった時期であり、我々としてはその需要に答えるべく、社を挙げて生産、開発にまい進していく所存だ。原材料不足が少し目立つのを除けば今後の経営は好調だろう」とコメントした。
8月17日分 ノールハイバールで重トラックが店舗に突っ込み、3人重症
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 17日12時ごろ、ノールハイバール市ニーノリター通り24番地で、半浮遊式重トラックが雑貨屋に突っ込む事故が発生。統合警察ノールハイバール市局によると、同市パークスマック在住の会社員の男性(37)が運転する勤務先の重トラックが雑貨屋の店舗入り口にぶつかり、男性客が肋骨を骨折するなど男女3人が重軽傷を負い、クルカ1匹が死亡した。

 現場は軍港へ続く大通りの、雑貨屋や飲食店などが立ち並ぶ交差点の一角。同局によると客とクルカのほか、同乗していた従業員の女性(32)と同じく従業員の男性(27)が軽いけがをした。目撃者の話によると、トラックは店舗にぶつかる直前、突然急カーブしてそれから逆方向にカーブを切り2回ほど蛇行した後、店舗に衝突したという。トラックを運転していた男性は「突然ハンドルを持っていかれた」と話しているらしく、局が事故の状況と原因を詳しく調べている。

 現場は人通りが多く、破損した店舗やトラックを心配そうに見つめたり、携帯型網膜で撮影したりする人たちで現場は一時騒然とした。

 発生時に現場近くを通りかかったという教職の中年男性は、「悲鳴が聞こえたのでそちらを向くとドーンという大きな音と共にトラックが店舗に突っ込んでいた。」と話す。現場に駆けつけると、トラックが店舗入口を完全に塞いでおり、「店の中にいた店員が閉込められていた。店員の足元には血を流して倒れている客がいて、店員は応急手当をしていた。その後すぐに救急車が来て、店員と客らが運ばれていきました」と言う。「軍港での入港事故は何度も見たことはあるがこんなのははじめて」と話した。
8月18日分 在バリグ企業の転換点
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 バリグ工業城塞が先の叛乱によって大きな被害を受けてから、製造業の業界には二つの波が押し寄せている。拠点移転と技術革新という二つの潮流は企業に新たな投資に迫られる一方、企業間競争も激化している。転換期を迎えた会社の挑戦を追う。

 ◇バリグからの逃亡

 バリグ工業城塞で金属加工業を展開しているエントリオ社で7月から始まった企業本社及び本工場のバリグからの移転に向けた調査事業。エントリオ社では先の叛乱によって本工場の生産設備の72%を喪失。現在は工場を一時閉鎖し、ラ・アルマンヌなどにある別の工場で事業を続けている。

 バリグから拠点を移動し、より安定したエネルギー源が存在し、なおかつ工場を建てられるだけの広い土地がとれる場所に移転する予定なのだが、これが実現できれば会社は復活して飛躍し、近年一層複雑化している金属部品の生産を新しい工場と新しい機械と共に行えるのだ。

 ◇成功の保証なく

 だが、事業は調査段階でまだ始まってすらいない。実現には10年単位の期間がかかると見込まれ、成功の保証もない。

 政府が罹災した企業に対して補助金を与え、また同時に進めていたギッザスへの産業集積を目的としたギッザス近郊の特別区整備などによってバリグから本社を移転する動きが加速してきた。しかし、エントリオ社では金属の加工に莫大な電力を要するため、ギッザス近郊への移転をやめ、専用の発電所が置ける湖畔の土地を探すなどの目標を取り込んだロードマップを策定した。

 ◇膨れ上がるコスト

 しかし、ただでさえ叛乱によって損失したものを取り戻すのに必死な時に、新機械を設置した新工場を建設するとなると莫大な資金が必要となる。先の補助金では到底それを賄えることは出来ず、新たな資金源の調達が問題だ。

 エントリオ社だけにとどまらず、叛乱によって拠点を喪失した在バリグ各社でも現在の技術と工場だけでは事業の再建は困難で、これまでの発想を超えるような新たな技術と潤沢な資金が待望されている。

 バリグ工業城塞の工業力は如何ともし難いもので、ギッザス大学の試算によると、後10年以内にこの喪失した工業力を埋め戻すことができなければ帝国は簒奪政府に対抗することは難しくなるという結果を導き出している。

 企業再建と技術開発の二つを追う事業。エンタリオ社長は「先は長いが、工場が出来上がり、技術が確立され、帝国で最も優れた金属加工技術を持っていると知られたら注目を集めることができるだろう」と自信をのぞかせる。
8月19日分 フリッグが失踪
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 第三課は19日、フリッグ僭称皇帝が5日ほど前から行方不明になっていることを明らかにした。これはとある情報筋からの連絡で、14日から簒奪政府は流行風邪に罹ったという理由でメディアの取材を断り、それ以来のフリッグの公務をキャンセルした。簒奪政府はフリッグの体調の回復には時間がかかるとして、失踪した事実を隠している。

 第三課によると、フリッグは旧帝都を抜け出して親衛隊の装備を借りて北に向かったと言われており、かねてから噂されていた"北の旧家の子息"と逢引していると見られる。

 フリッグは13日、旧帝都の行事に参加し、同日夜には旧帝都軍港に入る姿が目撃されており、軍港での慰問会に出席していた。フリッグの失踪は昨年3月に続いて2回目。
8月20日分 新帝都特別区が軍用地売却へ
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新帝都特別区行政府は、国有地管理・売却清算委員会で、郊外にある二つの軍事用地を国家閉鎖会社土地公団に売却することを明らかにした。

 北14開発区の南側にある第5防空砲台群を638年度に、12区の第8帝都大学東側の旧司令部地区を40年度に、それぞれ売却することを決定した。新帝都周辺の軍関係の土地が売却されるのは初めてである。600年代より、六王湖の中心地として軍事都市からの脱却を図ってきたギッザスになんども立ちはだかってきた軍事用地、基地問題が、解決に向けて前進を開始したことになる。六王湖の人口が増加し、また、新帝都やバリグなどの大都市に人口が集まり、住宅不足が叫ばれる中、新たな住居を建てるための土地の確保が欠かせない。最初に売却される第5防空砲台群については、今年度中に周辺の私有地の不動産鑑定を行い、37年度中に評価額に基づき土地を土地公団に売却する計画である。なお、第5防空砲台群は地下で複数の地下基地と繋がっており、その地下基地にはいくつかの坑口があると見られているが、現在のところ正確な場所が割り出されているのは第1坑口のみで残りは地中に埋もれているなどしているため、正確な位置を特定する必要がある。これらの土地の売却の計画を打ち出したのは、前回の清算委員会で、ひっ迫する住居問題に対処するべく、行政としてすぐに打ち出せる対策からやっていくべきというハーク・バィェグ氏の意見が通った形だ

 第5防空砲台群は、新帝都軍港から北に5km離れており東西に1.4レウコほど延びており、深いところでは地下30メートルに達する大規模な地下施設を擁している。旧司令部地区はギッザス中心部の12区にあり、500平方メルトの面積に巨大な地下司令部と、強力なレーダー設備を持つ、地下の規模はギッザス最大と言われており、第8大学と繋がっていることもあり、地下の整備計画が加速している
8月21日〜30日分
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8月21日分 ツヴィンリヒでモソが脱走
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 21日15時ごろ、サチャネノー ツヴィンリヒで、運送中のトラックの荷台からモソ3頭が逃げ出した。約3時間後に捕獲されたが、途中商店に突っ込み、またモソから逃げる時に転倒するなどして男女6人が負傷した。

 統合警察ツヴィンリヒ支局によると、ツヴィンリヒ中心街に向かう川沿いの路上で、郊外にある繁殖施設からトラックで運ばれてきたモソ18頭を、ギッザスの市場に運ぶために別のトラックに移し替える作業をしていた。トラックの荷台の後部同士をくっつけていたが、モソ1頭が暴れ、隙間を作り出し逃亡。それに続くように2頭が逃げ出したという。

 モソは倉庫街や繫華街などを逃走し、同日19時ごろ、約1200メルト離れた路上で捕獲された。移し替える作業をしていた業者の40代男性がモソに飛ばされて腰の骨を折るなど重傷を負ったほか、モソから逃げようとして転んだ男児(3)が軽傷、その両親もモソに弾き飛ばされ軽傷。商店にいたカップル2名が逃げようとしてガラス片が左腕に刺さるなど軽傷。
8月22日分 「怪我の回復速度が上昇」根拠のない広告 医薬品局が措置命令
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 塗った箇所での細胞分裂の速度を上げて怪我の回復速度を上昇させる効果があるかのようなクリームの表示には科学的な根拠がないとして、医薬品局は22日、帝国監査院の勧告に基づき、ギッザスの医薬品会社のラボアポテーケに対し、再発防止を求める措置命令を出した。

 帝国監査院によると、同社は633年11月~昨年14月、「PH3」という名称のハンドクリームを販売。昨年14月の第2週に、「塗るだけバッチリ みるみるうちに傷が塞がる」「最新の生体技術をあなたの怪我に」などと新聞や雑誌などの広告で表示していた。

 帝国監査院及び医薬品局が会社に対し、同社の広告の科学的根拠を示す資料の提出を求めて複数の専門家の意見を交えて調べたが、広告表示に書いてあるような効果を裏付ける科学的根拠は認められなかったという。同社は取材に、「お客様や消費者、関係者の皆様に多大な迷惑をかけたことを心からおわびします。措置命令の内容を真摯に受け止め、再発防止に努めたい」とコメントした。
8月23日分 ノイガラート叛乱で戦ったハンス・ヴァッフェ氏に表彰
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 4月にあったノイガラート叛乱で、当時ガーニェト公領で叛旗を翻した貴族警察に対して、反叛乱派の貴族警察と共にこれを戦った軍警察の司令官であるハンス・ヴァッフェ上級警邏(55)に、在六王湖パンノニア人会から国外勲金功労者賞が贈られた。民族を問わず優秀な部下を登用したことと戦闘で見せた勇猛果敢な精神が「六王湖にいる全てのパンノニア人が見習うべき素晴らしい行為」と授賞の対象になった。

 ヴァッフェ氏は父親がパンノニアから六王湖に出稼ぎに来たパンノニア系2世。郡立第三中等学校に通っていた14歳のときにケムッタール叛乱同盟系テロリストの襲撃を受けた際、それを鎮圧した軍警察に憧れて士官学校に入校。士官学校では「思っていた百倍きつかった」というほどの厳しい訓練が待ち受けていたがこれを切り抜け、非クランダルト系としては5人目のキャリア組で軍警察へ入隊した。

 ノイガラート叛乱時は「いくら裏切り者とはいえ相手にもいやいや乗せられた人がいるかもしれない」と思い、積極的に攻撃しなかったが、市民の非難誘導中に貴族警察が襲撃。これを見た貴族警察の一部が襲撃した部隊を攻撃するとヴァッフェ氏は先程の考えは間違っていなかったと確信。離脱部隊を指揮下に加え、ノイガラート叛乱で最大の陸戦であるノート・ヴォルク城塞攻防戦の5日間を戦い抜き、勝利した。

 23日にあった表彰式典での受賞スピーチで「例え自分と意を違う相手であっても敬意を払い、対等に扱う。分かりあえずとも対等に扱ったということは結果として残るので双方ともが満足する。対等であることがこの国で生きるすべだと私は考えているので今後もこれを続けたい。」とコメントした。

 式典ではヴァッフェ氏のほか、ヌーベル・ケルストマルク市商工会長のアリーツェ・トレッペン氏(61)と絵師のスヴェン・クルカヴァン氏(45)に国外功労者賞が贈られた。
8月24日分 BYBとジャンシャルマン大がバクテリア研究で産学連携
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 生体系精密部品大手のBYBは23日、ジャンシャルマン大学と、共同研究を進めるための産学連携協定を結んだ。極薄の金属被膜を作り出すバクテリアの開発に関する共同研究拠点を大学内に設け、両者の研究者が一体となって研究にあたる体制をつくった。

 BYBは、次世代型の特殊繊維に厚さ1/100000finの金属被膜を求めており、それを製造できるバクテリアなどの開発を進めている。連携協定ではBYBは実証的な研究のみを進めるのに対して、ジャンシャルマン大学は開発に参画しつつ、分析や評価などの基礎研究も行うとみられる。

 両者はこれまでにも個別の研究で協力してきたが、より強固な組織同士の連携へと強化した。ジャンシャルマン大学のシャルテット・アルザフ准教授は会見で「実証段階で課題が出てきたときに、共同で問題の解決を図り、学術的にフィードバックする。組織対組織の大きな関係になることで、研究開発プロジェクトが素早く進むことを期待している。」と語った。
8月25日分 【国際】アーキリアでまた警察署襲撃 今年3度目
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 パルエ国際通信によると、アーキリア連邦本国バースラーン州の警察署が24日に襲撃され、112人の警察官が死傷し、60人あまりの拘束していた囚人が逃げ出した。脱走犯のうち34人は8時間以内に身柄を拘束されたものの、26人が逃走を続けているという。今年2度目の大規模な警察署襲撃となり、警察力の低下が懸念される。

 報道によると、同日3時ごろ、ラオデギアファミリーの一派と見られる武装した集団が警察署を襲った。武装集団は改造ダッカー3両とロケットランチャーを搭載したトラックで武装しており、警察署の壁を砲撃で爆破し、署内に侵入、警察官と銃撃戦を行い、その間に脱走させたという。警察署は112人の警官の他に、ディスガイア装甲車4両とスラウル戦闘車1両を失っている

 同国では今年3月にもハユタ州の刑務所をラオデギアファミリー及びトーロック団が襲撃し、囚人約2200人が逃亡したばかりだった。地元メディアは戦線が停滞していることで、輸送物資の交易が活発的でなくなり、商船襲撃や都市からの略奪を企む集団が増えていると報じている。
8月26日分 私掠軍が再開後初めての戦果
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 艦隊伯騎士組合は25日、同組合に属するジリア=ミセル艦隊がヒグラート第24回廊において逆軍の装甲輸送艦5隻と護衛のクライプティア級3隻の計8隻からなる補給艦隊を襲撃、装甲輸送艦2隻とクライプティア級1隻を撃沈し、残りを鹵獲する大戦果を挙げたと発表した。艦隊伯騎士組合による私掠業務は先月のはじめに再開されたが、具体的な戦果を挙げたのは再開後初めて。鹵獲した装備物資は明日、バリグ工業城塞に届く予定だ。

 艦隊伯騎士組合によると、強襲型クライプティア級2隻とクライプティア級1隻、仮装巡空艦1隻からなるコンラート・ジリア=ミセル艦隊伯率いるジリア=ミセル艦隊は25日8時ごろ、ヒグラート渓谷第24回廊に侵入しようとする逆軍の輸送部隊を補足。仮装巡空艦とクライプティア級1隻を高速で先回りして発煙筒を焚き、被弾したように見せかけつつ輸送部隊に接近させ、救助活動をさせている最中に外側から強襲型で攻撃を仕掛ける教科書通りのやり方で襲撃。攻撃直前に六王湖軍旗を翻すと、接舷していた艦船からアボルタージュを敢行、約1時間の戦闘のあと、逆軍のクライプティア級2隻を乗っ取ることに成功。その後、逆軍のクライプティア級1隻を撃沈すると、装甲輸送艦は降伏し、勝利した。
8月27日分 マッセン山が薄紅色に染まる
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 モイピック公領マルユディーの景勝地、マッセン山をキャラマゴムグロの薄紅色の花が覆いつくしている。今年は例年より20日ほど早く、来月のなかごろまでは楽しめそうだ。

 マッセン山はノスギア山脈の支脈のオスト=グランダル第二山脈に連なる標高4251メルトの山。キャラマゴムグロは高山帯に分布するアマラサ科の一年草で、気温が上がり始める初夏に花が咲く。花が咲いている期間から五十日草とも呼ばれる。

 山の北側には、世界最大級の約600万mlt^2の群落がある。公立モイピック大学によると、8月3日ごろから色づき始め、すでに8割ほど開花しており、群落全体が薄紅色のじゅうたんのようになっている。
8月28日分 大逆賊ラツェルローゼ近衛叛乱軍首魁、戦線区北東部新軍港案に言い掛かり
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 バイマン計画に関連して、戦線区ノー・ド・イグイノール帝国行政区において軍事省が計画している戦線区北東部新軍港案について、軍事省が21日にこの計画を公表したことに対し、叛乱の首謀者にして簒奪政府の事実上の元首である逆賊のラツェルローゼ背任騎士団首領は27日の演説で我々に対して言い掛かりを投げかけた。

 独裁者ラツェルローゼはヨダ軍港で行われたミランダ艦隊などが出席する閲兵式で、軍とメディアを前に戦線区北東部新軍港案について触れ「六王湖政権は630年に我々との間で結ばれた停戦仮協定に記載されているテルスタリ回廊の設置に違反する行為を取ろうとしている。」と言い掛かりを投げた。

 これの発言に対して、クリーブマン最高報道官は28日、軍港の建設が仮協約に違反しているのではないかといういちゃもんに対して、「仮協約にはテルスタリ回廊内に軍事施設を建築することは違法だが、それはまだ建設する場所すら決定していない計画にまで効く条項ではない。簒奪政府の主張はそもそも前提から成り立っていない」と強調。さらに粛清人ラツェルローゼに発言の撤回を求めた。
8月29日分 テーセ川沿いの国道52号のパイプライン兼道路が崩壊
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 28日18時頃、テーセ帝国行政区オルテラニムッツの国道52号でパイプラインと道路が約500メートルにわたって崩落した。崩落した現場はテーセ川に沿った道路で、国道局ゴッシナサーラ地方局およびパイプライン局ゴッシナサーラ地方局は翌日5時時から現場付近を通行止めにしている。復旧のめどは立っていない。

 国道局のオーター長官は道路とパイプラインの復旧に全力を尽くすとしている。国道52号は一昨年7月に着工し、先月22日に全線開通したばかりだった。
8月30日分 チョジボーの人気が上昇中
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 新しき帝国の建設のために各地で働くチョジボー。ここ最近、チョジボーが多様化する需要に合わせて、様々なタイプが作られ始め、その人気が高まっている。

 ヨシュク経済研究所によると、634年に小型気嚢器官大手のA&Sが上昇能力に特化したチョジボーを発売し、成功を収めたたことをきっかけに、チョジボーの開発生産に六王湖の企業のみならず、パンノニアの企業なども次々に参入した。36年の市場規模は34年の4倍以上に膨れ上がると予測されており、現在着々と進んでいる全土規模での開発や、一般家庭が生体器官をもつ動きが広まっていることもあり、40年には34年比で12倍にまで広がるとみられている。

 簒奪政府に放逐された技術者によって作られたチョジボーの特徴は、簡素で、小さくて、扱いやすいことだ。浮遊気嚢に栄養液タンクを付けただけのこの装置は、とても改造しやすく、あらゆるものの基礎になれる素質をもっている。

 主に家庭向けの生体器官を生産・販売を行うバーシュレフツ椅子製造は、昨年8月から「チョジボー5」と名付けて売り出した。このチョジボーは最低限浮遊していることだけを保障するチョジボーで、1月以上栄養液を与えずとも浮いていられる機能があり、主にハンガー掛けやインテリアとして使われることを主眼に置いている。

 値段もできるだけ抑えており、チョジボー社が生産しているオリジナルのチョジボーが1個体8万2000ダルクなのに対し、バーシュレフツのチョジボー5は5万ダルクと割安。広報部によるとこれまで計約2000個体ほど販売し、売上の6割以上が一般的な家庭だった。

 生体器官の製造開発にはあまり手を出してこなかった非生体式機械類大手のCIBも今年4月に「ボージ」を発売。機械技術に得意な同社の技術を最大限に生かした強力なモーターを取り付けた掘削用チョジボーで都市鉱山の開発に特化した商品だ。また、モーターのために発電板を数千枚付いていて、これによる夜間の電力供給なども可能だ。

 六王湖の発展と共にチョジボーはある。ここに遷都してきた直後の経済を支えたのはこれであったし、枢密院と荘園の対立においてもこれがいなければ迅速な解決は成し遂げられなかったかもしれない。今や六王湖におけるこれらの生体器官の数は5000万を超えると言われ、今後の発展が期待される。

636年9月

9月1日〜10日分
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9月1日分 スネックスに咬まれ男児3人死傷
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 オイ=ゴーラ行政区ハイスターテ市の市立学校で、初等部4年の男児3人が学校で飼っていたスネックスに給餌中、スネックスに噛まれる事件が発生し、頸動脈を噛まれた男児1人が死亡したと市が発表した。オイ=ゴーラ行政区監査委員会が原因を調べ帝国監査院に報告する予定だ。

 区監委によると、1日16時ごろ、第四放課中に学校で飼っているスネックスに餌をやっている最中にスネックスが餌やりをしていた男児3人に次々と噛み付いた。飼育小屋には児童6人と監督の教師1人がいた。スネックスへの餌やりは係で決めて一日ごとに交代しており、第五課が始まる前には給餌とトイレの入れ替えが終わっている予定だった。今回の事件を起こしたスネックスは体長約108フィント、体重約28ガラン。普段はとてもおとなしい性格で児童達に可愛がられていたという。

 事件発生当時、監督の教師はその場におらず、異変に気付いて駆けつけたころには、首から血を流している男児3人が横たわっており、すぐに首の破傷部に服を千切ったものをあてがわせたが、すでに意識はなく、医務室に搬送された時点で死亡が確認された。

 オイ=ゴーラでは過去にこのような事故が起きた経歴はなく、学校でなんらかの事故が起こるのも初めてだという。区監委では「原因究明に全力を尽くす」としている
9月2日分 常企監、帝鉄社長を聴取
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 帝国鉄鋼レート製鉄所を始めとする各地の製鉄所で排ガスの排出量を過少申告していた問題で、帝国監査院常設企業監査局は2日、バリグ工業城塞の帝鉄本社に立ち入り検査に入り、スヴェン・ウェルヒェン社長への事情聴取を始め、ガス排出量の記録や経済・財政省統計局へ報告書等の確認を行った。臨時監査部でない常企監が企業に立ち入り、事情を聴くのは異例だ。

 検査は、アーメイス法に基づくもの。常企監及び帝国鉄鋼のアーメイス法違反に関する臨時監査部の担当者ら8人が帝鉄本社に入り、4月24日、27日の立ち入りに続き、ガス排出量の記録を確認したほか、経済・財政省統計局へ報告書を今回初めて調査した。また、ウェルヒェン社長から規制違反の状態をどう認識していたかなどを約1時間にわたって聴取した。

 帝国鉄鋼では今年4月、レート製鉄所を始めとする全国5か所の事業所で遅くとも633年8月から2BPCPガスの排出量を実際の排出量より少なく申告していたことが帝国監査院の調査で発覚。詳しい調査によってアーメイス法で規制されている基準量を越える量の2BPCPガスが排出されている状態が3年間続いていたことが明らかになった。

 4月24日には旧市民警察の捜索を受け、同27日には旧軍警察が治安執行権を行使して強制捜査を行った。4月6日には裁判所により無期限の操業停止命令を下され、同月中に再発防止策を含めた報告書を提出、操業を再開していた。
9月3日分 アーキリア連邦のカン・アーラン議員が1218件の汚職容疑で追訴
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 グラン・アーキリア36世連邦議長代理への収賄容疑によって拘束されたカン・アーラン氏が、新たに汚職防止法、政治的腐敗排除法、職務怠慢改善法、汚職防止予備法等合計1218件の容疑で訴追されたと、高度政治的問題特任弁護士指定代理人代弁官が2日に明らかにした。すでに国家機密法違反など複数の罪で訴追されており、テトラトラスが犯した全ての汚職などを押し付けられる事態になっている。

 1218件の容疑の詳細は明らかにされていないが、いずれも6日から審理される予定だという。追訴されている708個の法律違反で有罪となった場合、最長で回転刑120回転3年が科せられる。

 カン・アーラン氏が率いるクランダルト民主党(CDP)が圧勝した昨年14月の下院総選挙について、テトラトラスは1日付の塔機関紙などを通じ、約12億4265万2205件の不正があったと主張した。テトラトラスが任命した第一選定会32人からくじ引きで選ばれた9人によって選定された第二選定会48人によってくじ引きで選ばれた11人によって選定された第三選定会52人からくじ引きで選ばれた13人による特任選挙管理委員会が有権者名簿を調べたところ、重複登録された名前や筆跡が同じ名前が多数見つかったとして「偶発的なミスではなく計画的に実施されている。なんとしてでも勝利したいという貪欲な思いが現れた卑劣で悪質な犯行」としている。

 テトラトラスは5月下旬、総選挙での違法行為及び塔への反抗的態度があったとしてCDPを解党しており、解党した根拠として主張したとみられる。テトラトラス側はカン・アーラン氏のCDPやアーキリア市民連合新中央派改革ブロック、ザイリーグ閥、シグモダン社、国土省、ラオデギアファミリーを政治の表舞台から排除する動きを見せている。
9月4日分 工事現場で地盤が崩落、作業員4人が閉じ込められる
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 4日12時ごろ、戦線区ノー・ド・イグイノール帝国行政区ネムカッツの帝国側支配地域のストローテ2丁目の工事現場で地盤の崩落が発生。現場の作業員が4人、地下に閉じ込められた。ネムカッツ支局などによると、地盤は約120mlt^2の大きさで崩落。またこの崩落によって、工事現場周辺の建物2棟の外壁が一部損壊、現場周辺にいた合計12人の民間人が腕を骨折するなどの重傷を負った。

 ネムカッツ支局や新帝都防空隊が崩落の原因などを調査している。
9月5日分 ノイエインペリウム主将シュミット、好調の理由は怪文書 想像力でパターンが読めた
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 主将の朝は早い、11時に起床して朝食を食べて朝のウォーミングアップ。というのが普通の流れだが、昨年度リーグ最優秀スラフマン賞を獲得したノイエインペリウムの主将バス・フォン・シュミット競技者男爵は違う。シュミットは朝食を食べ終えるとトレーニングルームではなく自室に戻り、黒いカーテンを閉め切ってひとり机に向かうと、一昨年に購入したという252本の網脈が走る神経網板にペンを走らせた。

 シュミットは4月、右足首の靭帯を断裂する大けがを負い、約2か月間の長期離脱を余儀なくされていた。その怪我のリハビリ中、トレーニングもできず、外にも出られずだったが、ハマったのはバリグで流行していた怪文書だった。

 「他人の目を気にして書いた小説と違って、実在の人物もまじっている登場人物に対する容赦のない扱いや論理が破綻している状況がとても面白い。」
 病院やトレーニングジムに突入した作品をかき集めて、気にいった作品をまねてオリジナルの怪文書を書き始めた。主題は僭称皇帝の恋慕。互いに思い合っているアーキリアの王子と僭称皇帝とが北パンノニア首都ソルノークで愛の逃避行を行い、そこに独裁的大逆賊で全大陸の戦犯のラツェルローゼ近衛教団教祖自称改革者が僭称皇帝への独占的感情から二人の仲を引き裂こうとする物語だ。

 二人の王族の間に交わされる愛や地獄の女帝ラツェルローゼ恐怖公の破綻した人柄と許されざる"秘密兵器"に想像をふくらませた。リハビリ期間中に1日3時間ほど割いて怪文書を30個ほど量産したところで、右足が回復。再びベースに立つと、ある変化に気づいた。

 次打席で相手ワーペルのフォームを見ていると、「頭の中で複数の投球パターンが突然湧き出てきて、次の瞬間にはボールがそれの内の一つに見事にハマった動きをした。」設定もロジックもない怪文書を何十個も量産したため、想像力が鍛えられて進化論的に予測が洗練されていったからだと思った。これにはマカスキ監督も「怪我をする前より精度が上がっている。彼は予測力がすごく強化されている、なんでか分からんけど。どんな小技も効きそうにない。」と称賛。

 復帰後の7月、今年度初めて立った打席で5スポット2ブレイク。決勝でもスラフを放ち、好機で結果を出すスラフマンとして3連勝に貢献した。自らが二度目のスラフマン賞を取り、優勝に導くシナリオは、もう出来ている。
9月6日分 麗彗宮事件 無罪判決の貴族ら22人を司法院に転審
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 633年8月にマルユディーのサン=シタージャン侯の所要地だった麗彗宮において、サン=シタージャン侯に招待されたスパルウェン・フォン・マクサー伯がサン=シタージャン侯とそれに招待されていた諸侯貴族達によって集団で責め立てられ、最終的に戦斧を使って斬殺された事件で、サン=シタージャン侯一家をノスギア以東に転封し、その他のマクサー伯殺害に関わった貴族計22人を貴上裁が無罪とした判決を不服として、貴族院望郷派が6日、帝国司法院に転審を申し立てたことが明らかになった。申立書は先月29日付で、司法院側から受理の連絡を受けたという。

 申し立てたのは貴族院望郷派と通称される貴族院の院内派閥。同派は主に領地を失い本領奪還を主張する貴族から構成され、デシュタイヤ公を首魁としており、殺害されたマクサー伯もこの派閥に属していた。633年8月の麗彗宮事件では貴族院使命派を徹底的に攻撃し、マクサー伯殺害の音頭をとったサン=シタージャン侯をノスギア以東に転封させたが、同じく殺害に関与した22人の使命派及び土着派貴族は無罪となった。6日に会見したユーナ・フォン・デシュタイヤ艦隊伯(35)は「理由のつかない殺人はどのような人間であっても重い責任を取るべきであり、無罪判決は到底受け入れられるものではない。帝国司法院には公平で公正な判決を期待する」と話した。
9月7日分 皇国戦線における簒奪政府の上半期死者・行方不明者数
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 簒奪政府は7日、同国が激戦を繰り広げている皇国戦線における7月末までの今年度累計死者数が118人、行方不明者数が1554人に上ったと発表した。これについて皇国方面司令官は帝国と簒奪政府双方のメディアに出演して、「蛮族を平定し、テルスタリの地を文明化する使命を持つわれらに敗退の文字はない。われらは日々、着実に前進している。この戦いにおける確実な勝利のためにも帝国軍は階級民族を問わず、広く勇敢なつわものを募るものである。」と演説し、皇国戦線のための兵士を募集した。

 帝国監査院及びD-Rt-H省テルスタリ局によると、簒奪政府の発表は恐らく実際よりかなり少なく伝えているとのことで、独自の調査によると簒奪政府軍は実際には118人死亡、3605人が行方不明になっているとのことで、うち200人弱が敵軍に捕虜にされたことが確実であるという。

 皇国戦線ではこれまでに帝国地上軍約50万人を投入しており、すでに7万人以上が行方不明となっている。しかし、行方不明者数は年々減少しており、死者数も微増していることから、皇国領内における安全地帯の確保が進み、逃げ場の確保と遺体を収容できる施設が建設されているものと予想される。中間補給基地として簒奪政府に盗用されている北部のヴィグダリア軍港では、野戦病院の設備や工作艦が集積されつつあり、皇国領内における恒久的橋頭堡確保に力を入れている。
9月8日分 パンノニア外相がネネツ行政長官と会談
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 パンノニアのレバーラ外相は8日、ネネツを訪問し、A.Y.セニロフ行政長官と会談した。レバーラ氏は「帝国の更なる飛躍のために基礎たる我らが手を取り合い、協力していくべき」と語り、簒奪政府に対する抵抗を惜しまないことを共有した。

 パンノニア外務省によると、A.Y.セニロフ氏との間で技術交換やノスギア山脈沿いの安全な交易ルートの確保、バセンに対する有形無形の支援などについて話し合った。A.Y.セニロフ氏との会談が終わるとレバーラ氏はネネツの要人と次々に会談を行い、農業や貿易、軍事、工業などの分野で「強固な関係を築く」ことを決めた。

 近衛大叛乱以降、独立の機運が高まっている両国であるが、独立した後の将来を見据えて民間レベルから結びつきを強めたい狙いがある。また、両国とも内部不協和音を生じさせており、今回の会談ではそれらに対処する方法を同じような境遇になった国同士で共有しており、帝国に対抗できるだけの強い関係構築を模索するねらいがある。また、国家づくりを急ぐバセンは政府中枢を占めていた貴族官僚が消滅し、内政的に混乱している状態からの回復を急いでおり、ネネツとパンノニアという二つの国家と交渉することで、「戦後」の憂いを断ち切りたい考えだ。
9月9日分 ガガルバルドの生体液製造プラントが操業を開始
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 ハウトマン生体科学が、マリ=デュ=オーブル行政区ガガルバルドに建設していた生体液製造プラントが運転を開始し、9日、現地で式典があった。国内最大級の製造プラントで、地下にプラント用に建設した水力発電所が2基整備されている。

 専用に建設された2基の地下水力発電所を使い、今までよりも遥かに低コストで複合生体媒液を1時間に500mlt^3製造できる。生体液は急拡大しているギッザス都市圏や、近隣の都市などに供給され、工場の器官の操業用燃料や車両の栄料として使用されることが目的だ。

 プラントでは複合生体媒液だけを製造するのではなく、余剰電力を使って近隣への電力供給や、隣接するハウトマンの別の工場のための特殊材料を製造する。また、今月から12月にかけて、テクノクラートが開発した無人輸送艦による生体液の効率的かつ、安全な空輸を試験する。

 式典で同社のメルテラ 事業開発本部長は「質がよい生体液を大量に安く製造することで、帝国の一層の発展に寄与する。地下に導いた水脈を使うことで資源を無駄なく使うことができ、それでもって某社のように排ガスを出すこともない。我々の事業に親しみをもって接してくれるよう心がけていきたい。」とあいさつした。
9月10日分 亡命人意見交換会がダットファング氏と面会
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 ダットファング大宰相が10日、望郷派及び旧皇帝派意見交換会のメンバーとギッザスの盗領問題会議の庁舎で面会し、簒奪政府に握られている六王湖北部と帝国領土に関する問題を解決するよう協力を求めた。意見交換会によると、ダットファング氏は「六王湖北部及び帝国領土を恐怖政治から解放しなければならないのは共通の課題だ。これからも問題の解決に一層努力する」と答えたという。

 今年に入ってから亡命人意見交換会は盗領に関する問題を進めるよう強く政界に求めており、アイギス陛下の名の下に近衛による専制的帝国を滅ぼし、共和的な帝国を再建するよう主張するなど、モルゼア政権の頃より一層過激な発言を行っている。

 亡命人意見交換会で旧皇帝派のフロード・ド・アルザフ2等会員(44)は「あまりに遅すぎる、艦船の数の不足や陸上戦力の不備などは判断を遅らせる理由にはなりえない、国を導いていく大宰相閣下には早急に且つ懸命な決断を求めるものである」と記者達に訴えた。
9月11日〜20日分
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9月11日分 テルスタリア国の特別展がギッザス別館で開かれる
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 帝国博物館ギッザス別館は11日、テルスタリア国に関する特別展を10月1日から始めると発表した。テルスタリの森で生息する原生生物の標本や未開部族の武器や楽器、彫像など合計455点が展示され、610年にギッザス別館が開館して以来最大の展示になるという。

 博物館によると、マンタルヘイム渓谷近辺の部族の宝物や、現地の生活が伺える民族衣装、現地の人にヴンダーと呼ばれ恐れられている生物の骨格標本などが展示される。さらに旧帝都の本館から特別に借りた美術品8点や、テクノクラートが研究用に保管している透明の体を持つ生物なども公開される。

 ヨシュク館長は、「山脈を隔てた我々の隣人のことをよく知ることが出来る企画だ。一般の人々が獰猛なイメージを持っている未開人の生活などに触れてほしい。」と、企画展を開いた意義を述べた。

 一般の入場料は大人が5ダルク、企画展が12ダルク。12歳以下の子供は料金が半額。
9月12日分 パンノニア船籍の貨物船が無人状態で漂流
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 12日14時30分頃、120メルト級の貨物船がヒグラート渓谷東端ギッザスの北約50ゲイアスの地点で漂流して流されているところを、近くを航行していたスクーナー艦から貴族院を介して統合警察に通報があった。

 統合警察航難管理第3本部によると、漂流していたのはパンノニア船籍のASA317号。統合警察の救難偵察艦が接舷して船内を確認したところ、船内に人はおらず、食料などが散らかっている状態で放置されていたという。統合警察によると、名簿に載っている乗組員は65人でいずれもパンノニア人だが、行方がわからないという。航難のほかに、帝国軍やパンノニア王国警備隊も空警艦を出して捜索しているが、遭難したと見られる範囲は200平方ゲイアスほどあると見られ、捜索は難航している。
9月13日分 ヤテロサユ商会の前会長サネトゼナ・ヤテロサユ氏が死去
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 ヤテロサユ商会の前会長で運輸省再編などにも尽力したサネトゼナ・ヤテロサユ氏(79)が先月20日にデークナミ脳症で死去していたことが、13日、ヤテロサユ商会の現会長リターマス・ヤテロサユ氏(62)によって公表された。

 L.ヤテロサユ氏によると、S.ヤテロサユ氏は先月18日に家族でパンノニアを旅行中に突然倒れ、病院に搬送された後、20日9時40分頃、デークナミ脳症でこの世を去った。

 18人の大家族を養うために夫のアーシル・ラフナ氏と共に585年に商会を立ち上げ、主に六王湖=ヨダ管区間の運輸業を営んでいた。近衛大叛乱の直後から内地から領地を移転してくる貴族を助けるなどしてガルムント・V・ニーニゲ=リュース バリグ畿爵(当時)から男爵の位を打診されるもこれを辞退。ギッザス政府が形になってきた後も簒奪政府との貿易を続け、商会を一大商社へと成長させた。L.ヤテロサユ氏は「我が家の柱にして我が社の基礎を築いた人を失ってしまった。」と話した。
9月14日分 アナンサラドで武装蜂起
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 14日4時、アナンサラド王国のクバナ隊商駅で同国の多数派であるサラド氏族の支族の一つであるラターシド族の武装集団がアナンサラド王国のカッサニエ(王室親衛隊)の基地を襲撃、連邦軍の自走砲と見られる兵器による砲撃で守備隊が無力化され、壊滅。7時にクバナ隊商駅の近くでラターシド族の多いマータラ谷周辺でアナンサラドの伝統的なキーゼ騎兵の一団がマータラの王国軍基地と法廷を攻撃、4時間の戦闘の末これを制圧すると12時に一連の攻撃の首謀者を名乗るジャムン・サッカル・ラターシド・サラディア氏が声明を発表、「地方支族の意見を無視して我らから一方的に物資を収奪していくだけでなく、我らの役目である兵務を奪い、我らの伝統である手工業を奪い、全てを己の管理下に置きたいというイブリール家の悪逆非道で傲慢なる中央独裁的体制を打破するべく、我らラターシド族の人民はここに刀を取り、武器を買い、中央の政府を打倒すべく蜂起するものである」などと言い、決起した理由を公開した。

 王国政府は9時に非常事態宣言を発令、ジャムン氏による声明の後の14時には全土に戒厳令を敷き各地のカッサニエに出動をかけた。アルム・イブリール国防相は18時に会見を開き、初動の遅れを詫びた後、王国内の全カッサニエ部隊にラターシド族以外の支族の監視し、もし中央に反抗的な態度をとってカッサニエに刃向かってくる場合には銃殺するようにとの命令を下したことを公表した。アルム氏は「王を裏切るものには天罰が下るであろう。改革を否定し、今までの体制を保とうとする古き集団は滅びる運命にあるのだ。我が国はこの叛乱に対して断固とした覚悟を持ち、徹底した攻撃を行い、逆賊を屈服させる。」と演説した。

 カッサニエによると、最初に襲撃されたクバナ隊商駅では少なくとも120人のカッサニエ隊員と、45人の民間人が殺害され、さらに民間人82人が「重篤な状態」にあると発表。カルラ市のメディアによると、ラターシド家の蜂起軍の内クバナを襲った部隊は連邦軍の兵器で武装しており、クバナではデーヴァベースの車両6両が確認されている。マータラ谷周辺のことは情報が錯そうしており、状況が判明し次第、公表するとのこと。

 王国政府はこの蜂起を第42次氏族蜂起と命名した。
9月15日分 アナンサラドの叛乱軍の制圧地域拡大
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 アナンサラド王国で蜂起したラターシド族の叛乱軍は15日、アナンサラド東部のカラヤルデアを占領したと発表した。叛乱軍の主張は確認が取れていない。

 叛乱軍の広報のデラワール・カビフラ.R.S氏は、北パンノニア叛乱国のソルノークで開いた記者会見で、テルスタリア国との国境のアッキリオ山脈のカラヤルデアを「イブリールの利己的抑圧者の支配から解放」したと主張した。

 カラヤルデアはアナンサラド最大の鉱山地帯で、同国で生産される鉱物資源の40%以上を産出している。

 デラワール広報は盟友通信の取材に対し、「このカラヤルデアを解放したことで、アナンサラドの鉱物資源のほとんどは我らの手の中に入った。我らはこの鉱物資源を原動力として民の解放に躍進していく」と述べた。

 さらに叛乱軍は同日、同国の1000以上ある隊商駅のうち、61の隊商駅を制圧したと発表した。叛乱軍の支配地域ではすでに王国政府の代わりとなる政府の建設が始まっており、叛乱軍は広く部族を問わずイブリール家の支配にあらがう人を募るとしている。

 アナンサラドの王国政府は現時点で、叛乱軍によるカラヤルデアの制圧の事実を確認しておらず、また、同軍が制圧したと主張する61の隊商駅のうち34箇所の制圧を確認できていない。

 王国政府によって第42次氏族蜂起と名付けられたこの戦争は第29次蜂起から51年ぶりの政権転覆を目的とした蜂起になりつつあり、戦闘は激しさを増し、戦域は広がりつつある。
9月16日分 電管が電気代を15%以上値上げ
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 帝国電源管理公社は16日、12月からの電気代を10%以上値上げすると発表した。値上げの理由について電管は、戦線区の開発やバリグからの産業移転の加速によって部分的に電力の需要が高まり、それに対応するための工事費がかかることと、かねてから指摘されていた発電所の劣化による発電効率の悪化や生体液の高騰などがあるという原料費や輸送費が高騰しているためだという。電気代の値上げは今年6月以来。

 電管は値上げについて「昨年のマンデレータIV発電所の事故以来、発電所の運用コストが増大している。これに生体液の高騰が加わり、さらにムラのある電力需要のために全国一律の電力の安定供給が困難になったと判断し、体制を立て直すために電気代の価格改定をを実施した」と説明している。
9月17日分 新ディル級1番艦が進空
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 EASが33年から建造していた新ディル級1番艦(ディル級5番艦)ハイニッカー=デリツァネが17日に進空するのに際し、新帝都のEASギッザス造船所第4ドックで17日、進空式が行われた。設計主任のミッテル・カー氏を始めとする関係者ら約1120人が出席 し、クルカの小水で工事完了を祝い、大勢の人たちが見守るなかアイギス陛下から贈られたプレートを付けたハイニッカー=デリツァネはゆっくりと空へ漕ぎ出した。

 ディル級の改良型である新ディル級はグロアール級等の継ぎ足しだった元の設計とは違い、完全に新規設計の船で、主砲を35cm連装榴弾砲に換装し、さらに70cm対艦重迫撃砲を2門装備している。新ディル級は第四次迎撃艦隊拡張計画の中核として629年に初期計画が策定、32年に設計が完了し、翌年に建造を開始して今月完成した。総工費は約8億帝国ダルク。

 式では空軍のカラカイ・タクタ空軍特別公爵(43)が「再編され、より効率的になったEASの造船力の一つの到達点といえる戦艦だ。新規設計のこの船は我々の技術が向上していることの証明であり、これを作るのに様々な新技術を開発したため、各方面に多面的な効果を与えるだろう。」と演説。空軍軍楽艦隊第一戦隊の吹奏楽団による演奏に合わせてハイニッカー=デリツァネが出港した。
9月18日分 アーキリア国事務局が何者かの襲撃を受ける
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 アナンサラド西部ザシュマクで18日、アーキリア国の事務局が何者かに攻撃され、衛兵5人が死亡したと、在ザシュマク事務局が発表した。

 事務局によると、17日の深夜に何者かによって砲撃が始まり、以後1時間に渡って携行ロケット砲と見られる兵器や銃撃などで攻撃を受けた。当時事務局にはアーキリア国の関係者はおらず、警備しているザイリーグの衛兵が20人いただけだったという。攻撃ではザイリーグ衛兵が5人死亡し、10人が重軽傷を負っている。

 ザシュマクはサラディア国内で4番目に人口が多い大都市。盟友通信によると、15日未明からラターシド叛乱軍が襲撃をかけ、対峙する王国政府軍との戦闘が激化。翌日には市中心部まで攻め込まれ市内は混乱状態に陥いり、市民のために王国政府軍は港を中心に安全圏を確保している。

 事務局の発表を受け、叛乱軍広報のデラワール氏は声明で「事務局の存在する街路は事件当時すでに我々の支配下にあり、中央政府軍による攻撃を受けていた。我々としては事務局を攻撃する理由がないため、今回の事件は中央政府軍の攻撃またはそれらとの戦闘で発生した流れ弾による被害だったのではないか」と説明した。
9月19日分 O.T.M.精密生機の社長と最高社内監査役を逮捕
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 常設企業監査局及びD-Rt-H省貿易管理局は19日、軍事利用が可能なアウトメイトアームを簒奪政府に許可なく輸出したとしてバリグの生体機器製造業者「O.T.M.精密生機」のジョセフ・デンス社長(61)とアルエット・コットー最高社内監査役(59)を外国交易管理法違反及び対簒奪政府交易法違反などの罪で逮捕した。

 常企監によると、O.T.M.精密生機は昨年1月、同社が製造するアウトメイトアーム「OTM-A1200-M18」を貿易管理局の許可を得ずに簒奪政府に拠点を置く企業に販売した。今年8月にこれが発覚し、常企監はこれを詳細な調査を行ったうえで逮捕に踏み切った。

 アウトメイトアームは高度な制御装置が備え付けられている制御腕で、自動装填装置などに応用が可能なため、可動域や制御の度合いによっては貿易管理局からの輸出許可が必要となる。

 常企監の発表によると、デンス社長らは容疑を否認しているという。また、今回の事件の発覚はO.T.M社からの内部告発だったため、常企監ではこれ以外にも許可の得ていない簒奪政府への軍事利用可能な物品が輸出されているとみて捜査に力を入れている。
9月20日分 千匹のクルカが踊るテクノクラート演舞団が開かれる
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 1千匹のクルカを用いての曲芸やヴァによるダンスなどを披露する「テクノクラート演舞団」が、ジャンシャルマン市ロシューにあるテクノクラートが保有するノーウオテル生体機調教センターで開かれている。テクノクラートでSBの社会的習性に関する研究をしているにT.K.オーン研究員が自分の研究分野を一般にも広く知ってもらおうと考えて企画した。

 千匹のクルカの"ボス"は資金が打ち切られた研究所から譲り受けたミツメクルカのメック。オルデンベルク産の脳が植え付けられていると噂されるメックは人間並みの知能を備えており、振り付け士の指示を理解できる上にそれを周りのクルカに伝達できるという。

 オーン氏はパンノニア出身で、実家に帰省した際に親族から自らの仕事のことを、日々研究室に閉じこもって怪しいことをする仕事だと思われていることを残念に思い、何とかイメージを改善しようと52時間をかけて企画を練り、それをもって研究所の所長に直談判して実現させた。

 634年から年に5回開かれる研究成果の一般公開の場で、普段はただ成果物を展示してるだけのところでひっそりとヴァのダンスを公開。あまり細かい制御ができておらず、ぎこちない動きだったこともあって周囲からの目は冷ややかであったが、回数を重ねていくうちに滑らかな動きができるようになり、子供などに人気が出始めた。635年12月の展示からは調教されたクルカによる曲芸が披露されるようになり、クルカを1千匹も使うのは今回が初めて。

 オーン氏は「研究を重ねることによってこんなこともできるということを知ってもらいたい。これを機会に研究職などに興味を持ってもらえるとありがたい。」と話した。センターのT.K.ヤサン所長は「普段手に触れない秘密の技術に手を触れられるいい機会ですのでお気軽にお越しください。」と話した。入館費は無料。今月末まで公開している。
9月21日〜30日分
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9月21日分 カッサニエの軍学校が襲撃を受ける
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 アナンサラドの首都アナネアルベアで20日夜、カッサニエの軍学校を武装集団が襲撃した。同国内務省によると、襲撃によりカッサニエ隊員21人死亡、52人が負傷し、市民にも被害が出て少なくとも30人以上の市民が死傷した。軍学校には約200名のカッサニエ隊員がいた。

 内務省によると、襲撃されたのは同国の王室親衛隊カッサニエの軍学校。ユーフー自走砲と装甲兵員輸送型ダッカー4両が正門から突入して、自走砲による砲撃の後、ダッカーから降車した約20名の覆面戦闘員が校舎に侵入して銃撃を始めた。軍学校にいたカッサニエ隊員との間で銃撃戦となり、襲撃犯10数名が自走砲やダッカーに乗って逃亡、数名は致命傷を負った後自爆したという。

 現場は首都中枢の官庁街の一角。厳重警備が敷かれているが、攻撃を受けた。

 首都アナネアルベア近辺にラターシド族は住んでおらず、ラターシド叛乱軍はこの襲撃によって"地方部族の叛乱"であることを貫こうとする王国政府に対して自らが強力な戦闘能力を持っていることを誇示する狙いがあるとみられる。
9月22日分 アナンサラド大使館前で何者かによる襲撃 ラオデギア
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 アーキリア国ラオデギア第3区にあるアナンサラド大使館前で22日、警察官1人が何者かに襲われて死亡する事件が起きた。事件を受け、アナンサラド大使館は一時封鎖された。

 現場は北パンノニア大使館などが立ち並ぶ大使館街で、アナンサラド大使館の反対側には喫茶店が構えている。ラオデギア中央通信によると、同日6時頃に叫び声が聞こえ、大使館の人間が外に出ると警察官が首から血を流して倒れており、すぐに病院に救急搬送されたが、死亡した。犯人は短時間で警察官を殺害したあと、逃亡したと見られる。大使館の封鎖は依然として続いており、警察は殺害方法にアナンサラド系暗殺者がよく使う方法が取られていることからラターシド叛乱軍の関係者の犯行と見ている。
9月23日分 ラツェルローゼが夜な夜なフリッグを可愛がっている事実が発覚
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 第三課インダストラリーゼ支部は23日、悪逆で下劣な女人形師ラツェルローゼ終身死刑囚が帝国諸領邦との秘密会議と称して一日に10時間ほど、僭称帝フリッグと戯れていたことが判明したと発表した。第三課によるとこの事実は簒奪政府によって旧領臣民に知られぬよう、最高機密になっているという。

 第三課によると、犯罪者は諸々の会議などが終わる22時に、官報には「帝国諸領邦並びに自治国及び自治区の総督各位との会議」としてノイエラントの離宮に籠もり、建前を変えながら翌2時頃までフリッグと語り合い、遊び、添い寝をするなど、フリッグを深く可愛がっているという。少なくとも3年前からこの習慣が続けられており、今までにこの事実が市井に漏れたことはない。

 第三課はこの情報の出処を秘匿しているが、独自に調査していたバレグ・インペレーター ノイエラント地下調査局によるとこの噂は以前からノイエラントの一部で出回っており、ノイエラントに移った隠れ宰相派がU第三課と協力したと見られる。日刊バレグ紙の取材に対してギッザスにある簒奪政府の六王湖総督府は「その様な事実は認められておらず、眉唾物の噂に過ぎない。実際はラツェルローゼ閣下は毎夜総督会議を開かられており、属領の意見に深く耳を傾けられていられる。総督がそう申されるので間違いはない。」と主張している。
9月24日分 造船事業撤退のCIB、業績厳しく
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 CIBが24日に発表した今年度4~6月期決算で、営業損益は4億帝国ダルクの赤字だった。叛乱によって工場が破壊されたことによる損失が大きい。今後の回復を見込んで15月期の業績予想は13億帝国ダルクの黒字として据え置いた。

 前年度の4~6月期と比べると、CIBの主力製品であるコンプレッサー等の売上が16%減、産業ユニットの売上が23%減と、バリグに主要工場を置いていた産業ユニットの製造での損失が大きい。事業別では、航空機製造事業が1億帝国ダルクの赤字、撤退を決定した船舶製造事業で11億帝国ダルクの赤字となった。

 好調だったのはバイマン計画に乗じて戦線区において十数本の建設を進めている生体液パイプラインの建設事業で16億帝国ダルクの黒字だった。
9月25日分 20歳の新人が大活躍 ノルトスベハラーゲン
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 25日のノルトスベハラーゲン対レート戦で先取点をもたらしたのは、最年少の20歳だった。

 3ターン目1ホールド。グラティ・アイエルは、追い込まれた後、イスターの投げたマレルトンボールに体を泳がされなかった。芯でとらえて打ち放った打撃が、中左のスタンドまで届いた。一塁を回ったところで、両手をたたき、吠えた。

 ノルトスベハラーゲンに所属するアイエルが、1軍デビューを果たしたのは34年の3月だ。にもかかわらず、同年12月、ノルトスベハラーゲンの冬季強化メンバーに選ばれた。ウクゾフ監督は「若い人を起用して、戦力のリフレッシュを試す絶好の機会。このチームの次の10年を引っ張ることができうる選手」と意図を説明した。

 35年は31ガッブの活躍で新人賞に輝き、昨年は最多スポト賞のタイトルを獲得。チームの主戦力になり、監督は「梁のような、しっかりとした芯のある風格になってきた」と評価した。
9月26日分 アーキリア国中央銀行がデノミ 11月から1000万分の1に
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 軍事費の増大による経済危機が続くアーキリア連邦で、通貨を1000万分の1に切り下げるデノミネーションが11月1日に実施される。現在の「631年標準式統一新連邦ディナール」からゼロを7つ切り捨てて「グラン・アーキリア統一新連邦ディナール」に切り替える。1000万631年標準ディナールが1グラン・アーキリアディナールになる。

 同国の第四次暫定連邦中央銀行が25日発表した。現在の為替レートは1兌換ディナール=2500万631年標準ディナール。中央銀行は市民生活における金銭感覚の破壊を食い止め、正常な経済活動を取り戻すためとしている。なお、中央銀行はカルラ市で流通している兌換ディナールと新しく導入されるグラン・アーキリアディナールの為替取引を禁止する旨を併せて発表した。

 中央銀行はインフレ率を発表していないが、同国の昨年4月から今年3月までのインフレ率は年6400%超との推計もあり、インフレの加速に歯止めがかからない。アーキリア国は5年前にも当時の「マグラダ記念統一新連邦ディナール」から631年標準ディナールへ100万分の1への切り下げを行っている。国民の連邦ディナールへの信用は低く、多くの商品がメルパゼル・エインや兌換ディナールで売買されている。
9月27日分 ラターシドがニオ城塞を奪取 アナンサラド
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 叛乱が続くアナンサラドでラターシド叛乱軍が26日、北部の要衝のニオ城塞を掌握した。アナンサラド全土にある22の指定都市のうちで陥落したのは初めて。周辺地域では叛乱軍による城塞や隊商駅への攻撃が多発し、他の地域でもラターシドの叛乱に感化された非イブリール系部族のゲリラによる基地襲撃などが発生し、思うように軍を動かせない王国政府は北部において劣勢に立たされつつある。

 陥落したニオ城塞は、ザイリーグのコダート地域などと距離が近い交通の要衝。軍営ザイル新聞によると、叛乱軍は蜂起する2日前の12日から同地の地下都市に潜入。25日に叛乱軍部隊が城塞に攻撃を仕掛けると地下都市にいた潜入隊が内部から城内を攻撃し始め、自分が死ぬことを恐れた城塞都督官らが王国政府に忠誠を誓う兵士と共に城外に脱出し、わずか6時間で叛乱軍に降伏、占拠された。

 北半球でのドブルジャガスの産出の約40%以上を占める北部ドブルジャ市も同日、同市の王国軍基地が叛乱軍と思われる武装集団からの砲撃を受けるなど、防衛体制が危ぶまれている。

 また、北部だけでなく、南部のアナネアルベア周辺や旧マン王国領地域でもアルダハル州のアナンサラド王国軍基地が非ラターシド系の武装勢力によって一時占拠されるなど各地で王国政府と叛對者との戦闘が続いており、アナンサラド王国はかつてない危機に瀕している状況だ。
9月28日分 ヴィメルン氏が戦没者記念式典に10分遅刻
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 摂政評議会評議員のクラーテ・フォン・ヴィメルン ヴィメルン艦隊総司令(42)は28日、ギッザスで開かれた北方大攻勢戦没将兵追悼記念式典に出席した際、当初の予定より10分遅刻して着席した。

 ヴィメルン氏は式典の会場であるラメネ大尖塔に12時02分に到着。式典は12時00分に始まっていたが、ヴィメルン氏が着席したのは、式典が始まり、ダットファング大宰相による挨拶の最中の12時10分だった。

 ヴィメルン氏はヴィメルン艦隊総司令として壇上で発言する際に、式典の開始に遅れたことを陳謝してから挨拶を始めた。

 同式典ではアイギス陛下がご多忙のため開会後約1時間遅くれた13時22分に到着されるなど重要度の高い式典の最中での失態に、摂政評議会の他の議員は頭を抱えている。
9月29日分 リッヘンフルゲンで竜巻が発生 2人死亡
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29日8時ごろ、マリ=デュ=オーブル行政区リッヘンフルゲンで竜巻とそれに伴う突風が発生した。新帝都防空隊によると、同市クラマ通りからオソガ通りまでの約2レウコの範囲で、屋根がはぎ飛ばされたりものが舞い上がるなどして、建物13棟が全壊、54棟が一部損壊の被害を受け、2人が死亡、47人が重軽傷を負った。

 新帝都防空隊などによると、同日8時10分ごろから「家や人が空中に舞い上げられてる」「壁が破壊されている」などの通報が相次ぎ、防空隊が救助に出動した。現場周辺では5200人以上が避難しており、仮の住居の確保が急がれる。

 店の半分が破壊された青果店の店主は「大きな音がして外を見ると竜巻がこちらに向かってきているのが見えて、周りの人も逃げていたので急いで逃げた。竜巻は家やら看板やらなんやらを巻き上げて、私の店を含むやわな建物は破壊されて、頑丈で重い通りの店は全部のガラスが割れていた。ここに数十年住んでいるが、こんな大きな竜巻を体験したのは初めて」と驚いていた。巻き上げられた家や屋根や破片はオソガ通りを過ぎた先の農地に落下して散らばっている。

 リッヘンフルゲンに本社を置くハウトマン生体科学は「本社及び本社工場に損害は発生していない。本社機能に問題はなく、生産計画通りに工場も稼働している。」とコメントした。
9月30日分 貴族に人気のセイボ大洞穴
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 ズゥアヴュレーヴ行政区ギ=ラ=グルスクポにあるセイボ大洞穴が、快適な気候を追い求めて彷徨う貴族の一族たちに人気だ。川端の崖にぽっかりと空いた穴には整備された歩道が付いており、高さ10メルトの巨大な洞窟が約20レウコ続く。歩道を渡り切った先、地表から340メルトの位置にあるのは高さ約40メルト、奥行き約2200メルト、幅約160メルトの巨大な空間が広がっており、その空間内には電飾と共にホテルや飲食店などが立ち並ぶパルエ全土でも珍しい「地下街」がそこにはある。

 「地下街」と一般に呼ばれるル・グラン・オルからは1つの主脈と7つの支脈が伸びており、それぞれに小さな空間がいくつか付属している。洞穴内は年中気温が変わらない、避暑地に最適な環境となっており、夏の間貴族や地元の人間によって賑わう。9月の始めにやって来たというベルーナ・フォン・シュトイデ=ツー・クラウントベルクさん(16)は、ルカタ川沿いの領地が渇水のため干上がり、その状況を脱するまで毎夏にやってきた水浴びが出来ず、9月中頃に渇水前の状態に復帰したため、その祝いも兼ねて家族でやってきたという。「ガラスよりも透き通っていて、触るととっても冷たくて心地よかったのよ」と満足そうだった。

 洞穴は地元の団体がこの巨大洞窟を何かに利用しようと思い立ち、昨年に整備した。ル・グラン・オル以外にも主脈にル・プティ・オルがあり、こちらは未整備だが事業の成功もあり、整備する計画が上がっている。洞穴は誰でも利用が可能であり、入洞料は一人当たり1200ダルク。11月には豊水期に入り、一部の支脈が利用不可となるため営業は10月末まで。

最終更新:2022年07月05日 22:37