ヴィシュナ主力戦車 Višna MBT | |||
基本情報 | |||
種別 | 主力戦車 | ||
設計 | パンノニア統一工業共同体/王立造兵廠 | 所属 | 統一パンノニア王国、マン王国、諸島連合 |
製造 | 2500台 | 世代 | 第三紀後期 |
性能諸元 | |||
機関 | アラニ3型ヂーゼルエンジン ポロフツィ生体安定複合体 |
機関最大出力 | 定格780ps/非常920ps 定格2q/非常5q |
最高速度 | 62km/h(整地)/ 45km/h(不整地) | 走行装置 | トーションバー・筋肉併用式 |
武装 | 12BR33T 118mmライフル砲 ウーツィニア 20mm機関砲(同軸) トゥトルツェMk.895 14.5mm機関銃 |
装甲 | 碧水晶鋼50mm 準加圧型IKEM25mm 防弾トリンスタイン膜7層 脱磁カカン合金30mm |
乗員 | 3名 |
二次創作 | |||
作者名 | 六方晶ダイヤモンド |
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【概要】
旧北軍のシタデル主力戦車と旧南軍のクムィ重戦車を更新するべく、『フスポルプラツァ670』計画にもとづき開発された戦後第2世代主力戦車。基本設計はシタデル護国戦車を拡大したものであるといえるが、主力戦車の最もよい先例といえるテソン660の設計の影響も強く受けており、これを凌駕することが目指された。ヴィシュナ最大の特徴は生体パーツを補助的な動力源としていることが挙げられ、このためパワーパックは同世代の戦車のなかでもとりわけ大きいものの高い機動性・不整地走破性を誇る。統一パンノニアの好景気と冷戦情勢により約2000両が納入されたほか、計500両がマン王国と諸島連合にそれぞれ輸出された。
諸島連合に納入されたヴィシュナMk.1TV型。
![]() 国内向けのヴィシュナMk.1との主要な違いは、赤外線投光器とタルツァAPSの省略、全体的な防水・防塩性の強化、そしてポロフツィ生体安定複合体のデチューン(これはモンキーモデルとしての性能制限というより整備性の観点に基づく)である。 |
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【兵装】
主砲としては、52口径118mm戦車砲『12BR33T』を装備する。この砲は、国号を冠した『パンノニア砲』の愛称でも知られライフル砲で、90mmメルパゼン砲やコムサックの120mm砲よりも威力と貫通力に優れ、同時期にクランダルトで開発されていた新型の130mm砲に対しても同程度の貫通力を有している。砲そのものの設計は概ね自由パンノニアの野砲の系譜であるものの、自動装填装置やスタビライザーは帝国戦車、特に、クムィ重戦車のものをベースに設計された。生体式自動装填装置の採用は、ヴィシュナ戦車の乗員をシタデルの4名から3名へと減らすことを可能にし、砲塔の小型化に貢献したという。12BR33T用の弾薬には、対戦車用にPRK-33浸甲酸弾及びPRL-33ppr成形炸薬弾、対歩兵・軽装甲目標用にOB-33榴弾及びST-33フレシェット弾が存在する。これらの正確な貫徹力、威力および搭載数は公表されていない。
同軸機銃にはこのカテゴリーとしては大型の20mm機関砲を対軽装甲目標/対航空機用として備えるほか、車長用に14.5mmの重機関銃を搭載する。
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【防御】
正確な装甲配置・装甲厚は非公開であるが、碧水晶鋼・IKEM・防弾トリンスタイン膜・カカン合金からなる複合装甲を搭載すると言われている。開発局は、『テソン660を凌駕』すると主張しているが、実際のところは不明である。またAPSとして、Mk.2までは『タルツァ』、Mk.3以降は『ルヴィエ』を装備する。タルツァAPSは、砲塔の前方60度の範囲を防護するのに対し、ルヴィエAPSは全周に対する防御を提供する。 |
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【パワーパック】
シタデルでも採用されたアラニエンジンの系譜である、アラニ-3型ディーゼルエンジンを搭載する。これに加えて、『ポロフツィ』生体安定複合体が、これの性能を引き出すために搭載されている。ヴィシュナの長い胴体は主に『ポロフツィ』のためである。『ポロフツィ』生体安定複合体は、ディーゼルエンジン及び駆動系の性能を向上させる一連の装備の複合体とされ、その実態は大部分が機密指定されているため明らかではないものの、静音装置、過給器、防水装置、燃料濾過・調温装置、再起動装置、振動抑制装置、自動変速機などが含まれると考えられる。『ポロフツィ』の搭載により、ヴィシュナ主力戦車に搭載されているアラニ-3型エンヂンは、シタデル護国戦車のアラニ-1型エンジンとほぼ同規模ながら(『ポロフツィ』にもそれなりのサイズと重量があるとはいえ)倍近い出力を実現した。
なお、シタデルの輸出仕様であるシタデルMk.4には、車体を延長し『ポロフツィ』を搭載する案があったものの、計画止まりになっている。また、パンノニア王立造兵廠は、ヴィシュナの後継戦車として開発中の『フスポルプラツァ690』では、ディーゼルエンジン(あるいはガスタービンエンジンとも)と『ポロフツィ』のような生体安定複合体が、直接に組み合わされた、『完全に一体』で、『世界に例のない』ものが搭載されると発表している。
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【評価】
基本的には、走攻守揃った優秀な戦車として軍部からも歓迎され、輸出面でも成功した。 もっとも、ヴィシュナに向けられた国民の過剰なまでの讃辞は、南北が力を合わせることで世界に通用する作ることができたという事実以上に、それまでのパンノニア戦車がどれも微妙なものばかりであったことに由来するとも言われている。いずれにせよヴィシュナは、急速な戦車の現代化の流れの中で、一時的ではあるが世界最高峰の装軌戦車の一つとみなされた。
その一方、初期生産型を受領した部隊は、『ポロフツィ』複合体の低い信頼性と不安定性に悩まされ続けた。戦車兵の間では、「『ポロフツィ』は他人を安定させるが、自分自身は不安定だ」というジョークが流行ったとも言われている。この問題は、主に、北側の技術者が十分に生体装置の特性を理解せずに過度に精密で冗長性を無視した設計を行っていたことに由来した。南北の技術統合のノウハウが進むなか、673年に改修が行われ概ね解決したものの、同時代の他国戦車のパワーパックと比べて信頼性においてやや劣っているとされる。パンノニア軍はこの信頼性の問題を、前線での高度なバックアップ体制の確立によって解決しようと試み、結果として戦車回収車や野戦修理機材の技術において他国の一歩先を進むこととなった。
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