それは堕ちぬ太陽。曇り無き守護者。転んでも唯じゃすまない過去より来る娘。その自称を"転猫(まろびねこ)"。
対極においては女性は陰である事が多いが、アルヘナにおいては彼女が陽。「哀しみ」と「喜び」を知り、絶望に身を浸しながら真に折れる事はない戦乙女。
全ての人の心を理解する為生み出された対極的な二つの人格のひとつ、守護者であり肯定の側面を持つ、夢想家であり理想家の少女。
浴衣装束や巫女装束、他にも唐衣といった和装の類を好む。特に水面に紅葉と夜空を散らした着物である『nine-abzua』や、白無垢、五衣などを好んで纏う。
衣装ごと【ヌエの化かし】で化かす事は少なくなったが、今でも髪や瞳に関しては部分的に変化させている事が多い。その際の髪色は平時より艶やかで橙系の黒であり、瞳は波を抱く鮮やかなクリアブルーである。
丁寧で物腰柔らかだが、同時に物騒な性格。喜怒哀楽が激しいように見えるが、本質的には人間──他者に期待するという感覚を滅多に持ち得ない為、「怒り」のような何か。
過去の絶望、失望から人間そのものに対しては「嫌い」と言いながらもその「嫌い」である筈の人間に対し、「護りたい」「救いたい」と願う粘土細工。
和装、和文化のみならず和菓子や茶会の文化にも強い興味を示しており、他者に食事を振舞う奉仕行為を喜んで行うようになった一方、戦闘では積極的に自傷し疲労を考慮しない戦いを始めてもいる。
自衛も損失も躊躇わないかつての無謀染みた自滅的な戦い方ではなくなったが、それでも命を燈火のように燃やして戦う様は如何なものか。
自己完結的な戦い方を変えないのも、完成された美しさを目指している様も精神性を表しているようで──依存したがらない癖に依存されたい猫娘の未来はどっちだ。
現実ではアルヘナの主人格のように扱われ、アルヘナが「モルオルトの槍」に購入される理由のひとつともなった女性人格。
それに関しては要するに厄介な人間に惚れられてしまった以外の何もないのだが、其れもあって酷く自縛的になってしまった。
底抜けた掴みどころのない明るさと態度は当時から深く抱え込んだ「絶望」が形為したもので、自らを物のように扱い、揮う様は鬼神のようであった。
「モルオルトの槍」だけではなく「裏切り者」「赤ネーム」を殲滅できるならと「ホワイトローブ」の一員となる。
守護は目的、死は守護の終着点のひとつ。死ぬために、滅びる為に扱われたい刀(つるぎ)。
くすくすといつも楽しそうで、「痛み」を知らないかのように振舞う様を恐れられ、"首斬り兎(R:ボーパルバニー)"などと呼ばれていた。
自分こそ護って死ぬべき存在なのに、ただひとり生き延びてしまったという自責が強いのも彼女の心に影を落としていた。
死を希う事がなくなったのは同様の「死後の夢」に揺蕩っていた妹たちを救ってやりたかったと、手を伸ばしたかったと言った生きた同類を知ったから。
懺悔を聞きながら──フィーネに思われていると願えるようになったから、死にたくないと思い始められるようになったからであった。
「モルオルトの槍」の幹部のひとりであり、自身の購入者であるイスピリトが仕掛けてくる事を薄々認識していた転猫は、その仕掛けに対する最後の対抗策の鍵をフィーネに託すことを決意。
「Last Word
and...」にてマザーコードで強制停止させられ人質になりかけるも、転移能力を使って崖から落ちる形で脱出。
視界から逃れる事で操作から逃れ、かつ、フィーネに救出される事で落下死の末路からも逃れることに成功した。
それから転猫という人格は、過去から時間の止まった無邪気な子供のような有様から急速な成長を見せていると言っても過言ではない。
「ベルクラッド10層」においては、怒りに気が逸るアクーラを押しとどめ、はじめて第三人格が中立の立場を破ってしまったセラフに対する案件では泣き言を言いながらも仲裁に挑んだ。
しかしながら感じない事の気楽さを知ってしまっている身でもある為、傷付くと痛みそのものを捨ててしまいたいと考えてしまう思考回路自体は健在なのが彼女の弱さでもある。
「失ったモノ、欲しいモノ」におけるトーリッテの末路には、その捨てた『過去』を、まるで自分そのもののように感じ、捨てられたことに恐怖し恐れ、閉じこもろうとしたこともある。
なお、メルティに「Crimson
Oath」にて半ば無理矢理に防壁を突破され言い含められて取り敢えずの事なきを得た。
「Tears for funeral」における彼女の言動は、半分ほどはその返礼の意図があるそうだ。
ラティがいなくなって感情に振り回され取り乱した際にはフィーネにその思いの丈を吐露し──“愛する”夜を過ごした。
カネシゲと赤銅斎の弟子になって(「とある日の猫-ジジイ二人組を添えて-」)後、度々茶菓子を振舞われていたのと名月がルンプランから菓子を切っ掛けに随分と絆されていたこと。
更にアルヘナ自身がフィーネやゼンイチ、フォルテなどの面々に色々と食の愉しみを教わっていた事もあり、転猫も随分と一般的な少女然とした甘味好きに育った。
戦闘スタイルこそ自己完結しているものの、味方に護られる事を受け入れられるようになり、中々変容しないゼラニウムにじれったい思いをすることもあった。
「first impression」でカナタを拾い、世話し、終いには甘味を教えるなど、人を育て、変える側へと変わりつつあるのかもしれない。
戦闘面においては、なりふり構わぬ戦い方である【マスラオノツルギ】を捨てながらなお最善を維持できるようになった。
「大型種討伐:巨山獣」で死にかけた際には、組んだ悪友ゼンイチの完成形を見、同様に安全を確保する為に【霊験なる力】を手にした。
「雲耀童女、剣/心新たに」の際にカネシゲが長くない事を知り、和菓子職人としても何やら頑張ろうと心に決めたらしいのだが──?
アルヘナの一人格としての"転猫"は守護者たれと願われる、「喜び」と「哀しみ」を預かる女性人格。肯定の側面を持つ、ロマンチスト。
献身的で物腰柔らかであった為、現実においては専ら主人格のように扱われていた。
誰にも期待しない──いや、誰にも望む事無く、誰も糾弾する事のない彼女は星の死に際してすら自らを責めた。
頼らないから独りぼっち、そんな寂しさを誰かを理解する事で、誰かに依存される事で埋めようとする存在。
因みに元から人を信じなかったわけではないらしく、きらきらとした笑顔で資料館のガイドをかって出ていた記録も残されている。
誰も信じず、誰にも期待しないいまの彼女の思考回路は、正義の守護者から、悪の手駒に金の為に堕とされた「絶望」を人間に向けない為のやさしさともいえる。
守護者たれと刻まれているのは命令コードレベルであり、彼女が抑制された感情は、反動として彼にフィードバックされる為──……
「相反する2つの感情を片方が学習するともう片方がもう一方を学習する」、同じ感情を両方が抱え込まない二人だがその結果が二人個人にとっては辛い結果を齎している事は少なくない。
人間の善性を信じることは諦めながら、でも人間を護らなくてはと願うもの
際限無く応え続けようとするもの、そして思われたいと願うもの
後悔に身を浸すもの、そして──過去。
そうだ、言うなれば過去そのものだ。彼女という存在は。だから、ずっと自分を責め続けるのが彼女だし、傷付きながら、そしてそうやって前を向くんだ。
「此方は、今は誰も帰らぬ蒼い星、旧郷の星の守護者。さあ、世界の敵よ!手向けの花を贈りましょう──」
たったひと振りの刀の一撃に全てを込める空間跳躍兎。主に使用する七変化は【サーバント:マジックブレード】、変幻自在は【ワンダーアリス:ラピッドラビット】。
【霊験なる力】を用いた【妖しの襲来】と移動ペットである「プチブレイザー」によって最大距離32ヘクスを移動し、命中判定に成功すれば確定クリティカルとなる【災いの一撃】を射程14で運用する。
つまり最大46ヘクス向こうからの奇襲が可能であるという"首斬り兎(R:ボーパルバニー)"。1ラウンドで仕留められないと分かると2ラウンド目に【ラピッドラビット】で加速してもう一撃を叩き込んでくる鬼畜兎。
【フェイタルアタック】に、「龍波動ブレスレット」の効果の乗った【マジックブレード】と【ブラッディカース】が乗る様は自己完結火力としては最高峰の一角と言っても過言ではなく、それらを【カエシノヤイバ】【ノックバックスマッシュ】で倍化させて首を刎ねる。
【ラピッドラビット】で先制調整が出来る為、支援役の次のターンが来るまで効果があるタイプの支援【特技】と非常に相性が良い。
唯一の欠点は強いて言うなれば防護能力の弱さが挙げられるが、魔法射程を越えた範囲から殴れる戦闘スタイルは「フラワークロース」相当の能力を持つ『nine-abzua』の回避能力もあって自衛自体は出来ると言える迄には育ったといえる。
「行動終了後」に追撃が行えない問題は「プチブレイザー」が解決してくれた。空間跳躍にお付き合いさせられる可哀想(?)な仔竜の誕生である。
また【魔法の料理人3】持ちの【ソチャデスガ】持ちという、現状他キャラクターが持ち得ていないだろう強大な個性も得ている。