少女の求めるもの ◆aa/58LO8JE
月に照らされた道路を、私は息を切らせながら走っていた。
左右に並ぶのはいくつもの豪邸。
たぶん、話に聞いた桐原先輩や桜庭先輩の家くらいはあるんじゃないだろうかと思えるほどの大きさだ。
私の足がアスファルトの路面を叩くたび、真夜中の街に大きな音が響く。
けれど、周囲の人家から怒り顔の住人が出てくる事は無かった。
それは別にここが別荘地だからというわけではなくて、この島には64人の人間しかいないからなのだろうけど。
「っ!」
足がもつれて体が前のめりになるのを、踏ん張って無理矢理止める。
全力疾走の疲れと体中を流れる汗が気持ち悪い。
手の中で温かくなった真っ黒な短剣がじっとりと濡れているのを感じる。
動かなくなった体が休息を求めていたけれど、私は走る事をやめようとは思わなかった。
左右に並ぶのはいくつもの豪邸。
たぶん、話に聞いた桐原先輩や桜庭先輩の家くらいはあるんじゃないだろうかと思えるほどの大きさだ。
私の足がアスファルトの路面を叩くたび、真夜中の街に大きな音が響く。
けれど、周囲の人家から怒り顔の住人が出てくる事は無かった。
それは別にここが別荘地だからというわけではなくて、この島には64人の人間しかいないからなのだろうけど。
「っ!」
足がもつれて体が前のめりになるのを、踏ん張って無理矢理止める。
全力疾走の疲れと体中を流れる汗が気持ち悪い。
手の中で温かくなった真っ黒な短剣がじっとりと濡れているのを感じる。
動かなくなった体が休息を求めていたけれど、私は走る事をやめようとは思わなかった。
ある日、人類は滅亡した。
たった数日、私達がキャンプにいっている間に人間達は地上から姿を消していたのだ。
ガス、水道、電気、すべてのライフラインが切断された町。
取り残された私達は町中から物資を集め、生き残ろうともがいていた。
たった数日、私達がキャンプにいっている間に人間達は地上から姿を消していたのだ。
ガス、水道、電気、すべてのライフラインが切断された町。
取り残された私達は町中から物資を集め、生き残ろうともがいていた。
そして今、目覚めると滅んだはずの人類が再び現れていて、私達は殺し合いを強要されていた。
名簿にあったのは見知らぬ60の名前と見知った4つの名前。
その名前を見たからこそ、私は立ち止まるわけにはいかなくなった。
名簿にあったのは見知らぬ60の名前と見知った4つの名前。
その名前を見たからこそ、私は立ち止まるわけにはいかなくなった。
美希を見つけ出さなくてはいけない。
私にとって彼女は大切な友人だ。
群青学園で、放送部でできた無くてはならない親友なのだ。
絶対に死なせたくはない。死なせてはならない。
私にとって彼女は大切な友人だ。
群青学園で、放送部でできた無くてはならない親友なのだ。
絶対に死なせたくはない。死なせてはならない。
同時に、ここにいる他の60人に知らせなくてはならない。
黒須太一と支倉曜子の危険性を。
黒須太一は。
ゆたにぃを死に追い込んだあの男は、この状況でも変わらないのだろう、きっと。
きっと変わらず、弱者をいたぶり、体も心も食らい尽くすのだろう。
そして、支倉曜子はそんな彼に従い、障害となるものを排除し続けるのだろう。
私を殺そうとした、あの夜のように。
黒須太一と支倉曜子の危険性を。
黒須太一は。
ゆたにぃを死に追い込んだあの男は、この状況でも変わらないのだろう、きっと。
きっと変わらず、弱者をいたぶり、体も心も食らい尽くすのだろう。
そして、支倉曜子はそんな彼に従い、障害となるものを排除し続けるのだろう。
私を殺そうとした、あの夜のように。
彼女の無感情な眼差しを思い出して、私は体を震わせる。
「殺されて、たまるもんか」
知らず知らずのうちに握り締めていた短剣にに力がこもっていた。
そんな事を考えていたからだろうか?
「殺されて、たまるもんか」
知らず知らずのうちに握り締めていた短剣にに力がこもっていた。
そんな事を考えていたからだろうか?
「あの……」
突然聞こえた声に驚きながら顔をあげる。
いつの間にか目の前には黒いレインコート姿の人物が立っていた。
慌てて短剣をそちらに向ける私の動きを、その小柄な人影はだぶだぶの袖に包まれた両手を上げて制する。
「わわ、お待ちください! わたしは殺し合いをする気なんて欠片もありませんよ!」
その高い声と体格で相手が小さな女の子である事に気づき、私は自己嫌悪に陥った。
突然聞こえた声に驚きながら顔をあげる。
いつの間にか目の前には黒いレインコート姿の人物が立っていた。
慌てて短剣をそちらに向ける私の動きを、その小柄な人影はだぶだぶの袖に包まれた両手を上げて制する。
「わわ、お待ちください! わたしは殺し合いをする気なんて欠片もありませんよ!」
その高い声と体格で相手が小さな女の子である事に気づき、私は自己嫌悪に陥った。
「ご、ごめんなさい」
「いえいえ、こんな状況ではしょうがないですよ」
私の謝罪の言葉に、若杉葛と名乗った女の子は両手を振って答えた。
少女が腕を振るたびに余った袖の裾がブラブラと揺れている。
(ちなみに、どうしてレインコート姿なのか尋ねると、只のはったりですという答えが返ってきた)
近くにあった塀の陰に座って情報交換をした後、私は少女と今後の事について話し合っていた。
「それで、これから霧さんはどうなされるおつもりなんですか?」
「私は美希を探すつもり……よかったら、葛ちゃんも一緒に行かない?」
その言葉に女の子は黙って首を振る。
「いえ、わたしがついて行っても霧さんの足を引っ張るだけでしょうし」
そう言って俯く彼女の表情は目深に被ったフードに隠されて解らなかった。
「だって、ここに知り合いは一人もいないんでしょ? なら……」
「大丈夫ですよ。しばらくは、この付近に隠れているつもりですし。それに逃げ足は速い方ですから」
「いえいえ、こんな状況ではしょうがないですよ」
私の謝罪の言葉に、若杉葛と名乗った女の子は両手を振って答えた。
少女が腕を振るたびに余った袖の裾がブラブラと揺れている。
(ちなみに、どうしてレインコート姿なのか尋ねると、只のはったりですという答えが返ってきた)
近くにあった塀の陰に座って情報交換をした後、私は少女と今後の事について話し合っていた。
「それで、これから霧さんはどうなされるおつもりなんですか?」
「私は美希を探すつもり……よかったら、葛ちゃんも一緒に行かない?」
その言葉に女の子は黙って首を振る。
「いえ、わたしがついて行っても霧さんの足を引っ張るだけでしょうし」
そう言って俯く彼女の表情は目深に被ったフードに隠されて解らなかった。
「だって、ここに知り合いは一人もいないんでしょ? なら……」
「大丈夫ですよ。しばらくは、この付近に隠れているつもりですし。それに逃げ足は速い方ですから」
誘いを頑固に拒否する少女との間で繰り返された何回かの問答は、私が美希を見つけた後に彼女を迎えに来るという結論で決着がついた。
しかし、見たところ丸腰に見える彼女に何も渡さずに行くのはさすがに気が引ける。
仕方なく私は彼女に支給品を分けてあげる事にした。
幸い私が持っている短剣は3本セットで支給されていたので、鞄を開けてその内の1本を取り出す。
「えっと、霧さん。それは?」
疑問の声に眼を向けると、葛ちゃんは私の鞄からはみ出た古ぼけた紙を見つめていた。
「ああ、多分これも私の支給品、だと思う」
そう言いながら、私はその紙切れとくっついていた説明書を彼女に手渡す。
名簿を見ただけで、ここまでまともに支給品を確認していなかった私はそこで始めて、それが古い本のページだという事に気がついた。
葛ちゃんは袖越しに持ったそれを真剣な様子で見つめた後、唐突に尋ねてくる。
「すいません、これも頂いて構いませんか?」
「別に構わないけど」
私の言葉に「ありがとうございます」と呟きながら、彼女はそのまま紙切れと黒い短剣を鞄の中へと仕舞いこんだ。
しかし、見たところ丸腰に見える彼女に何も渡さずに行くのはさすがに気が引ける。
仕方なく私は彼女に支給品を分けてあげる事にした。
幸い私が持っている短剣は3本セットで支給されていたので、鞄を開けてその内の1本を取り出す。
「えっと、霧さん。それは?」
疑問の声に眼を向けると、葛ちゃんは私の鞄からはみ出た古ぼけた紙を見つめていた。
「ああ、多分これも私の支給品、だと思う」
そう言いながら、私はその紙切れとくっついていた説明書を彼女に手渡す。
名簿を見ただけで、ここまでまともに支給品を確認していなかった私はそこで始めて、それが古い本のページだという事に気がついた。
葛ちゃんは袖越しに持ったそれを真剣な様子で見つめた後、唐突に尋ねてくる。
「すいません、これも頂いて構いませんか?」
「別に構わないけど」
私の言葉に「ありがとうございます」と呟きながら、彼女はそのまま紙切れと黒い短剣を鞄の中へと仕舞いこんだ。
「実はわたしの支給品、扱い難い物だったんで困っていたんですよ」
入れ替えるように取り出されたのは沢山の種類の花火だった。
オーソドックスな色取り取りの花火から、地面に設置するタイプ、更には打ち上げ用の球形の花火まである。
葛ちゃんはその内の一つ、空に向けて炎を吹き上げるタイプの花火を片手に取って私の方に差し出してきた。
「もしかすると、何かの役には立つかもしれませんので……もっとも、火種が無ければ使えませんが」
お礼を言いながらそれを受け取り、私はゆっくりと立ち上がる。
「そろそろ、行くね。白髪に制服姿の男と、黒い長髪でブレザー姿の女の人には近付かないように」
「はい、霧さんも道中お気をつけて」
スカートについた汚れを払って一呼吸。
私は花火を仕舞っている葛ちゃんに軽く頭を下げる。
そして物陰から再び駆け出そうとして、彼女の声に止められた。
「あの、あまり走らない方がいいと思いますよ」
振り返ると彼女は真剣な様子でこちらを見つめている。
「大きな音を出すと危険人物に襲われるかもしれませんし。
それに、大事な時に疲れて体力がありませんでしたなんて事になったら、お話にもならないですよ」
「うん、そうだね。ありがとう」
確かに彼女の言う通りだ。
私はもう一度深呼吸をすると、早足でその場を後にした。
入れ替えるように取り出されたのは沢山の種類の花火だった。
オーソドックスな色取り取りの花火から、地面に設置するタイプ、更には打ち上げ用の球形の花火まである。
葛ちゃんはその内の一つ、空に向けて炎を吹き上げるタイプの花火を片手に取って私の方に差し出してきた。
「もしかすると、何かの役には立つかもしれませんので……もっとも、火種が無ければ使えませんが」
お礼を言いながらそれを受け取り、私はゆっくりと立ち上がる。
「そろそろ、行くね。白髪に制服姿の男と、黒い長髪でブレザー姿の女の人には近付かないように」
「はい、霧さんも道中お気をつけて」
スカートについた汚れを払って一呼吸。
私は花火を仕舞っている葛ちゃんに軽く頭を下げる。
そして物陰から再び駆け出そうとして、彼女の声に止められた。
「あの、あまり走らない方がいいと思いますよ」
振り返ると彼女は真剣な様子でこちらを見つめている。
「大きな音を出すと危険人物に襲われるかもしれませんし。
それに、大事な時に疲れて体力がありませんでしたなんて事になったら、お話にもならないですよ」
「うん、そうだね。ありがとう」
確かに彼女の言う通りだ。
私はもう一度深呼吸をすると、早足でその場を後にした。
「待っててね、美希……」
【H-4 別荘地 1日目 深夜】
【佐倉霧@CROSS†CHANNEL ~to all people~】
【装備】:ダーク@Fate/stay night[Realta Nua]
【所持品】:支給品一式、ダーク@Fate/stay night[Realta Nua]、ドラゴン花火×1@リトルバスターズ!
【状態】:健康
【思考・行動】
1:山辺美希との合流
2:他の参加者に黒須太一と支倉曜子の危険性を伝える
3:美希との合流後、H-4に若杉葛を迎えに行く
【装備】:ダーク@Fate/stay night[Realta Nua]
【所持品】:支給品一式、ダーク@Fate/stay night[Realta Nua]、ドラゴン花火×1@リトルバスターズ!
【状態】:健康
【思考・行動】
1:山辺美希との合流
2:他の参加者に黒須太一と支倉曜子の危険性を伝える
3:美希との合流後、H-4に若杉葛を迎えに行く
※登場時期は少なくとも支倉曜子に殺されそうになったイベント以降です
※若杉葛の知り合いはこの場にいないと聞かされています。
※若杉葛の知り合いはこの場にいないと聞かされています。
◇◇◆◇◇
あの人の気配が遠ざかっていったのを確認して、わたしはゆっくりと息を吐いた。
緊張で固まってしまった右手を無理矢理開いて、握り締めていた物体を地面に置く。
袖の中から取り出した黒くて小さなその銃は、わたしの汗と体温で生温かくなってしまっていた。
緊張で固まってしまった右手を無理矢理開いて、握り締めていた物体を地面に置く。
袖の中から取り出した黒くて小さなその銃は、わたしの汗と体温で生温かくなってしまっていた。
最初の広間で男の人が死んだ時、わたしは困った事になったと考えていた。
ゲーム、バトルロイヤル、殺し合い……
主催者を名乗った二人の男はこの状況に様々な呼び方を使っていたが、わたし流に言えば、この状況は蟲毒そのものだ。
蟲毒。
毒を持った虫達を集めて、小さな壷に詰めて共食いをさせる。
そして、最後まで生き残り、より強い毒をその身に持つようになった物を呪術の材料などに使用する儀式。
それは要するにわたしが経験した若杉家の跡取り争いと同じであり、
桂おねーさんやサクヤさん、更には千羽党の鬼切り役である烏月さんまでが参加させられている、この殺し合いの縮図でもあった。
ただし、この催しは儀式としての蟲毒により近い印象を受けるのだけど。
ゲーム、バトルロイヤル、殺し合い……
主催者を名乗った二人の男はこの状況に様々な呼び方を使っていたが、わたし流に言えば、この状況は蟲毒そのものだ。
蟲毒。
毒を持った虫達を集めて、小さな壷に詰めて共食いをさせる。
そして、最後まで生き残り、より強い毒をその身に持つようになった物を呪術の材料などに使用する儀式。
それは要するにわたしが経験した若杉家の跡取り争いと同じであり、
桂おねーさんやサクヤさん、更には千羽党の鬼切り役である烏月さんまでが参加させられている、この殺し合いの縮図でもあった。
ただし、この催しは儀式としての蟲毒により近い印象を受けるのだけど。
「やっぱり、最後の一人を何かしらの儀式に使うつもりなんでしょうか……」
もしそうなら――いや、そうじゃなくても、最後まで生き残ったら無事に帰れるという保障は何処にも無い。
あの二人が約束を守るなんて根拠は何処にも無いのだから。
だから殺し合いをするなんて論外だ。そうじゃなくても、積極的に殺すつもりは無いけれど。
「まあ、まずは枷を取り除く方法、それから壷を壊す方法ですかね」
そんな言葉を口にしながら、私は先程受け取った古びた紙片の説明書を取り出した。
『最強の魔道書ネクロノミコンの断片。ニトクリスの鏡について記されており、魔術師はその力を使用する事ができる』
という大仰な文脈で始まるその説明書を要約すると、その古びた紙を使うと、使用者自身の幻影を生み出せるらしい。
もしそうなら――いや、そうじゃなくても、最後まで生き残ったら無事に帰れるという保障は何処にも無い。
あの二人が約束を守るなんて根拠は何処にも無いのだから。
だから殺し合いをするなんて論外だ。そうじゃなくても、積極的に殺すつもりは無いけれど。
「まあ、まずは枷を取り除く方法、それから壷を壊す方法ですかね」
そんな言葉を口にしながら、私は先程受け取った古びた紙片の説明書を取り出した。
『最強の魔道書ネクロノミコンの断片。ニトクリスの鏡について記されており、魔術師はその力を使用する事ができる』
という大仰な文脈で始まるその説明書を要約すると、その古びた紙を使うと、使用者自身の幻影を生み出せるらしい。
ネクロノミコンとは、アブドゥル・アルハザードという名のアラブ人が記した魔道書の英訳版の名前だ。
それには異界の神々や人類以前に存在した知的種族、更には多数の魔道について詳しく記されている……という設定である。
そう、それはあくまでも設定の枠を出ない代物だった。
1900年代始めに存在した小説家ハワード・フィリップス・ラヴクラフト。
彼を創始者とした幻想小説群――いわゆる、クトゥルフ神話に出てくる架空の魔道書の名前なのだ。
つまり、もっともらしい何かが書かれたこの古ぼけた紙片は、単なる紙切れという事になる。
それには異界の神々や人類以前に存在した知的種族、更には多数の魔道について詳しく記されている……という設定である。
そう、それはあくまでも設定の枠を出ない代物だった。
1900年代始めに存在した小説家ハワード・フィリップス・ラヴクラフト。
彼を創始者とした幻想小説群――いわゆる、クトゥルフ神話に出てくる架空の魔道書の名前なのだ。
つまり、もっともらしい何かが書かれたこの古ぼけた紙片は、単なる紙切れという事になる。
「……むぅ」
なるはずなのだけど、わたしはそれを捨てる気にはなれずにいた。
理由は二つ。
一つはこの紙から何とも言えない不思議な雰囲気を感じる事。
そしてもう一つは、ただ単にこれが本物だったら、という期待だった。
「どちらにしろ、わたしには使えないでしょうけど」
わたしには残念ながら、説明書に書かれた魔力とやらも烏月さんのような霊力があるわけでもない。
だけど、これを有効活用できそうな危険人物に渡すよりはマシだろうと考えながら、鞄に紙切れを仕舞った。
なるはずなのだけど、わたしはそれを捨てる気にはなれずにいた。
理由は二つ。
一つはこの紙から何とも言えない不思議な雰囲気を感じる事。
そしてもう一つは、ただ単にこれが本物だったら、という期待だった。
「どちらにしろ、わたしには使えないでしょうけど」
わたしには残念ながら、説明書に書かれた魔力とやらも烏月さんのような霊力があるわけでもない。
だけど、これを有効活用できそうな危険人物に渡すよりはマシだろうと考えながら、鞄に紙切れを仕舞った。
「しかし、わたしも甘くなったんでしょうか」
荷物を纏めながら、思い返すのは先程の女性の事。
わたしは彼女の事を特に疑ってはいなかったけれども、全面的に信用したわけでもなかった。
だからこそ、彼女との対話中はずっと銃を隠し持ち警戒していたし、知人の情報を漏らすような事も無かった。
また、再び会っても気づかれ難い様に、屋敷の裏に放置されていたレインコートを羽織ってまで服装などを隠したのだ。
それどころか今後、あの人がどうなろうとわたしには関係が無いとまで考えている。
しかし、彼女が友人を探しに走り去ろうとした時、わたしは思わず言っていたのだ。
無闇に走らない方がいい、それよりは体力を温存した方がいいと。
「知らない間に桂おねーさんに影響されちゃいましたかね……」
荷物を纏めながら、思い返すのは先程の女性の事。
わたしは彼女の事を特に疑ってはいなかったけれども、全面的に信用したわけでもなかった。
だからこそ、彼女との対話中はずっと銃を隠し持ち警戒していたし、知人の情報を漏らすような事も無かった。
また、再び会っても気づかれ難い様に、屋敷の裏に放置されていたレインコートを羽織ってまで服装などを隠したのだ。
それどころか今後、あの人がどうなろうとわたしには関係が無いとまで考えている。
しかし、彼女が友人を探しに走り去ろうとした時、わたしは思わず言っていたのだ。
無闇に走らない方がいい、それよりは体力を温存した方がいいと。
「知らない間に桂おねーさんに影響されちゃいましたかね……」
羽藤桂。
ここに連れ去られる直前までいた経観塚で出会った人。
住居不法侵入をしていたわたしを許してくれるほどのお人好しで、とても暖かい人。
この殺し合いの会場で、桂おねーさんを含む三人の知り合いを積極的に探すつもりは無い。
だけれども
「やっぱり、会いたいな。桂おねーさん……」
最後にそう小さく呟いて、わたしはその場所から移動を開始した。
ここに連れ去られる直前までいた経観塚で出会った人。
住居不法侵入をしていたわたしを許してくれるほどのお人好しで、とても暖かい人。
この殺し合いの会場で、桂おねーさんを含む三人の知り合いを積極的に探すつもりは無い。
だけれども
「やっぱり、会いたいな。桂おねーさん……」
最後にそう小さく呟いて、わたしはその場所から移動を開始した。
【H-4 別荘地 1日目 深夜】
【若杉葛@アカイイト】
【装備】:FNブローニングM1910(弾数7+1)、黒いレインコート(だぶだぶ)
【所持品】:支給品一式、FNブローニングM1910の予備マガジン×4、恭介の尺球(花火セット付き)@リトルバスターズ!
ダーク@Fate/stay night[Realta Nua]、アルのページ断片(ニトクリスの鏡)@機神咆哮デモンベイン
【状態】:健康
【思考・行動】
1:生き残る
2:脱出する方法を探す
3:(消極的ながらも)羽藤桂に会いたい
【装備】:FNブローニングM1910(弾数7+1)、黒いレインコート(だぶだぶ)
【所持品】:支給品一式、FNブローニングM1910の予備マガジン×4、恭介の尺球(花火セット付き)@リトルバスターズ!
ダーク@Fate/stay night[Realta Nua]、アルのページ断片(ニトクリスの鏡)@機神咆哮デモンベイン
【状態】:健康
【思考・行動】
1:生き残る
2:脱出する方法を探す
3:(消極的ながらも)羽藤桂に会いたい
※登場時期はノゾミとミカゲ、ユメイの存在を知らない時点からです
※この殺し合いは蟲毒に近い儀式かもしれないと考えています
※主催者の優勝者を家に帰すという言葉を全く信用していません
※積極的に知り合いを探すつもりは今の所ありません
※この殺し合いは蟲毒に近い儀式かもしれないと考えています
※主催者の優勝者を家に帰すという言葉を全く信用していません
※積極的に知り合いを探すつもりは今の所ありません
【恭介の尺球(花火セット付き)@リトルバスターズ!】
棗恭介が花火職人を手伝った時にお礼に貰った物。
破裂すると100m四方が吹き飛ぶ……らしい。衝撃では爆発しないが、火気は厳禁。
ついでに近所で買ってきた花火もセットで付いている。
棗恭介が花火職人を手伝った時にお礼に貰った物。
破裂すると100m四方が吹き飛ぶ……らしい。衝撃では爆発しないが、火気は厳禁。
ついでに近所で買ってきた花火もセットで付いている。
【ダーク@Fate/stay night[Realta Nua]】
ハサン先生愛用、投擲用の短剣。宝具ではない。
ハサン先生愛用、投擲用の短剣。宝具ではない。
【アルのページ断片(ニトクリスの鏡)@機神咆哮デモンベイン】
魔道書アル・アジフの抜け落ちたページで、ニトクリスの鏡について記されている。
魔術として使用すると、使用者の幻影を作り出すなどの効力が現れる。
魔道書アル・アジフの抜け落ちたページで、ニトクリスの鏡について記されている。
魔術として使用すると、使用者の幻影を作り出すなどの効力が現れる。
024:偽りの空の下で狂人は変人に魅入られ、そして始まるたった2人だけの演奏会。 | 投下順 | 026:The Course Of Nature~秒速5メートル~ |
023:愛する人の元へ | 時系列順 | |
佐倉霧 | 039:死を超えた鬼と少女 | |
若杉葛 | 059:参加する事に意義がある |