ギャルゲ・ロワイアル2nd@ ウィキ

夜明け前

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夜明け前 ◆DiyZPZG5M6


がたんごとんと揺れる金ぴか電車。
レールの継ぎ目に車輪が触れるたびに車内は断続的に一定のリズムで揺れている。
がたんごとん
がたんごとん
メトロノームのように等間隔で刻まれる音。

ところでハイウェイヒプノーシスという現象をご存知だろうか?
夜の高速道路、信号もない真っ直ぐな道。
等間隔で立ち並ぶオレンジ色の照明、ヘッドライトの光が照らす白線。
高速道路の継ぎ目が一定の間隔で車体を揺らす。
それら単調な景色と震動は脳の意識レベルを低下させ半催眠状態を引き起こす。
その状態に陥った運転手はさまざまなありえない出来事を体験する。

曰く、白い服を着た女が目の前を横切った。
曰く、首の無いライダーが乗ったバイクが猛スピードで追い抜いていった。
曰く、併走する白いセダンに血まみれの男女が乗っていた。
曰く、ふとルームミラーを覗くと後部座席に見知らぬ女が座っていた。
曰く、――――――
曰く、――――――
曰――――――――

寄せられる様々な怪奇現象。
その内のいくつかはハイウェイヒプノーシスによる幻覚が引き起こす物だと研究報告がある。
だが、その内のいくつかは本物の――――――

と、まあ揺れる電車というものは夜中に高速道路を運転するのと同じぐらい眠気を誘うものである。
金ぴか電車に揺られる羽藤桂もその例外ではなかった。


◆ ◆ ◆


「つまり――魔術とは……で、あり――」
ゆれるゆれる金ぴか電車。
がたんごとんがとんがとん。
眠りの淵へ誘うまどろみの言葉。
彼女はうつらうつらと舟を漕ぐ。

「zzzzz……」
「くぉらッ! 桂! 汝は何を眠っておる!」
「ふっ……ふぇ……わたし、眠ってなんかいないよぉ」
「嘘吐け! ならばさっきの妾が言ったことをもう一度言ってみよ!」
「えっ……と、じゅげむじゅげむごこうのすりきれかいじゃりすいぎょ……」
「たわけ! 誰が落語を暗唱せよと言った!」
「え……じゃあ……ぱぶろでぃえーごほせふらんしすこでぱうろ……」
「…………」
アルの肩がぷるぷると震えている。
間違いなく地雷をふんでしまつた――桂は思ふ。
「思い出したよアルちゃん! えっとね、プラバートソムデットプラパラミンタラ・
 マハープーミポンアドゥンラヤデート・マヒタラーティベート・ラーマーティボーディー……」
「けーーーーいーーーーーーー!!!! 妾が! いつ! どこで! 
 そんな長い名前の人間の名を唱えよと言ったッ! うがーーーーーーーー!!!!」
アルの怒りが大爆発。
桂はひたすら身を小さくしながらアルの雷が通り過ぎるのを待つ。
「だって……アルちゃんの話、ぜーんぜんわからないんだもん……
 最初のほうのジャスラックなんとかの使い方の話ならわかったけど、
 その先の魔術がどうとかなんてわたしにはさっぱりだよ」
両方の頬をぷぅーと膨らませて抗議の声をあげる桂。
わたし魔術師じゃないもん! と、ぷぃっとそっぽを向く。

「ジャスラックじゃない! アトラック=ナチャだ!」
「いちいち突っ込まなくてもいいよ……」
「確かに、汝はある程度魔術という物を齧った九郎とは違い、魔術に関しては全くの素人だ。
 だが汝はこのアル・アジフのマスターだ。
 妾に記された数々の怪異と外道の理を御する知識を身につけてもらわなければならぬ。
 妾はその辺の一盛り幾らで買える魔導書とはわけが違うのだ。
 正真正銘異界の物共の知識に触れるのだぞ?
 それらを御する知識と力を身に付けなければ、汝は死ぬ――かつてのマスター達のように」

アルは真剣な眼差しで桂を見つめる。
かつて彼女と契約を交わし死んでいったマスター達の記憶が甦る。
九郎も、桂も自らの力に喰われて死ぬようなことは二度とあってはならない。
それが彼女の切なる願いだった。

「かつてのマスター……九郎さんの前にもいたんだよね……その人達は――」
「皆死んだぞ。正義のため欲望のため復讐のため……あらゆる動機で外道の知識を欲した者共が妾を手に取った
 男も女も若者も老人もいた。その数はもはや十や二十で数え切れぬ。だが誰も彼もが悲惨な最期を遂げよったわ」
アルは自らを嘲るように鼻で笑う。
マスターを使い潰すたびに彼らの人生が彼女のページに刻み込まれていく。
次のマスターが死んだ時も、
次の次のマスターが死んだ時も、
ずっとずっとそれの繰り返しだった。

「だから――もう九郎も桂も妾のために死なせたくないのだ。
 所詮は妾のエゴ、歴代のマスターを使い捨てにしてきた魔本が今更何を言うかだろうが……
 この想いは嘘偽りない妾の願いなのだ……」
「アルちゃん……」

「と言う訳だ。桂には魔術師の基本というものをしっかり学んでもらうぞ!」
「えーーーーーーーーー!!!」
またあのちんぷんかんぷんな話が始まる。うんざりして肩を落とす桂。

ちょうどその時。

『聞こえるか雑種共! 間もなくこの電車はG-4の駅に到着する。
 出口は左側だ! お降りの雑種共はお忘れ物の無いように出ろ!』

まったくもって丁寧語になっていない車内アナウンスが流れる。
あいかわらず気の抜けるアナウンスにため息をつく桂とアル。
いったい言峰と神崎は何を思ってこんなスタッフを用意したのか理解に苦しむ傲岸不遜なアナウンスだった。
「ねえねえ、アルちゃん」
「なんだ桂」
「このアナウンスの人って、ひとりで電車のダイヤ管理したり、電車を動かしてるのかな?」
「そんなわけなかろう……大方コンピュターで自動操縦になってるのだろう。
 車内アナウンスも前もって録音された物を流しておるに決まっておる」
「でもでもわかんないよ、もしかしたらこの人、ずっと一人でアナウンスしてるかもしれないんだよ
 誰も乗ってないのに『聞こえるか雑種共~』って言ってるかもしれないよっ」

思わずアルはその光景を想像してしまう。
誰もいない暗い部屋。電車の運行を管理するコンピューターの前で、
一人の男がいちいちリアルタイムで車内アナウンスを行う姿。
誰も乗っていない電車相手に一人虚しくアナウンスをする姿。

「ぷっ……」
「あっアルちゃん笑った~」
「わっ……笑ってはおらぬ! む、無駄話はこれまでにしてさっさと降りるぞ」
「はーい」
笑いを堪える姿を必死に誤魔化すアルと、そのアルの仕草を見てにやにや笑う桂。
二人は金色の電車を降りてG-4、リゾートエリアにやってきた。


◆ ◆ ◆



「もうすぐ夜が明けるね」
うんしょっと背伸びをして深呼吸をする桂。
街をうっすらと覆う夜明け前の朝霞が肺を満たしていくのが心地よい。
見上げた空はまだ暗い、だけど東の空は黒から深い藍色に染まりだしている。
長い長い夜がもうすぐ明けようとしていた。

「えっと……ここはリゾートエリアなんだよね」
地図を見ながら桂は前をふよふよ飛ぶ手乗りアルに話しかける。
彼女はマギウススタイル状態で街中を歩いていた。
いつ不足の事態が起こっても対処できるようにとのことである。
「うむ、そのようだな」
「海も近くにあるんだね。もうちょっと暖かかったら泳ぎたかったなあ~」
「何を呑気なことを……汝は今置かれている状況をわかっておるのか……」

あきれてため息をつくアル。
一緒に行動を共にして解ったことだが、この羽藤桂という少女。
異様な程、呑気でのほほんとしているのだ。
当初はある種の現実逃避から来るものかと思われたが、この性格は完全に生来による物の様である。
だがアルは桂の瞳の奥に秘められた強い意志の力を見込んで(半分は贄の血に惹かれて)彼女と契約を交わした。
もっともアル自身、桂がここまでお気楽天然娘だったのは想定の範囲外であった。

「桂、我らは遠足に来ている訳では無い。今汝がこうしている間にもこの島で誰かが殺し殺されているのだぞ、
 その事だけは常に気に留めておけ、よいな」
「うん……わかってる」
少し肩を落とす桂。アルはその仕草を見てそれ以上のことは何も言わなかった。

「ねえアルちゃん」
少しの間二人に沈黙が流れるも桂がアルに話しかける。
その口調には少し不満の感情が見て取れた。
「ん? どうした」
「うー……いつまでこんな格好しなきゃいけないの?」
桂はボディにぴったりとフィットしたマギウススタイルの衣装の胸元を摘む。
「はずかしいよこのカッコ……こんな姿を見られたら変な人だと思われちゃうよ」

今の桂の姿を見た人間はなんと思うだろうか?
某眼鏡少年なら『うおおおッ! 白昼の往来でスク水少女が歩いてるぞーーー!!!
しかもその側に付き従う人外ロリ! お兄さん感動した!!!
だが戦闘力は……たったの78、ゴミめ。だけどスク水って貧乳のほうが萌えるよね!』
と、あること無いこと言われてしまうだろう。
だが桂! 君のバストサイズは78、某アイドルより6センチも上回っているのだ。
決して自分が貧乳だと卑下することはない。
72と78の差はあまりにも大きい。

「何を言うか桂、この姿は妾の魔術を使うのに最も適した姿なのだぞ!
 これは妾の魔力を効率よく扱えかつ、対物対魔両方からも高い防御力を誇る優れものぞ」
「それはわかってるけど……別にこんなデザインでなくとも……」
「ちゃんと計算された作りになっておるのだ。角度とか」
「………………」
結局なぜマギウススタイルがあのような変なコスプレ姿になるのかはわからぬ終い。
ことの真相はアルを記したアヴドゥル・アルハザードのみぞ知る……


「あーーーーーーーー!!!!」
突然アルが大声を上げた。
「ちょ……アルちゃん!? どうしたの!?」
「くそっ……妾としたことが何で今まで気がつかなかった……!」
アルは大層慌てた様子で桂の周りを飛び回る。
ひとしきり飛び回ったアルは桂の鼻先に顔を近づけて言った。
「良いか桂、今から妾の言ったとおりの呪文を唱えよ!」
「えっえっえっ!?」
アルは歌うようにその呪文を口ずさむ。
桂もそれに習ってたどたどしいながらも同じ言葉を紡ぎだす。

『憎悪の空よりきたりて 正しき怒りを胸に 
 我等は魔を断つ剣を執る 汝、無垢なる刃 デモンベイン!』

力ある言葉が周囲に木霊する。
だが――

しーん……

何も起こらない。
ひゅうううと風が二人の間を走り抜ける。

「やはり無理か……せっかく集めた妾のページを再び失ったのと、
 九郎との契約が切れている時点で予想できていたことではあるが……」
アルは腕を組んで首を捻り考え込む。
「アルちゃんだけ納得されてもわたしわかんないよ、ちゃんと説明してよ」
「今のは鬼械神(デウス・マキナ)デモンベインを召喚する呪文なのだが――」
「デウス・マキナ? デモンベイン?」
聞いたことの無い単語に首を傾げる桂。
クエスチョンマークが沢山浮かぶ桂の頭。
「鬼械神というのはな、妾のような高位の魔導書によって召喚される――桂にもわかりやすく説明すると
 今の呪文で巨大ロボットを召喚できるのだ」
「デモン……ベインというのがアルちゃんの鬼械神なの?」
「妾本来の物ではないがな、アイオーンには劣るが人の作りし鬼械神にしてはなかなか良い出来だ」

アイオーン……またもや聞いたことのない単語がアルの口から飛び出す。
経観塚で超常的な体験したとはいえ桂は普通の女子高生。
アルの知識は彼女にはさっぱりわからない物がほとんどだ。

「アイオーンは妾が本来召喚する鬼械神だ。数ある鬼械神の中でも最高位に位置づけされるのだが……
 九郎と出会う少し前に完全に破壊されてしまってのう、デモンベインはその代わりと言う訳だ」
「最強なのに壊れちゃったんだ」
桂は少し嫌味っぽい笑みを浮かべる。
「あ、相手が悪かったのだ! 向こうも同じ最強クラスの鬼械神だったのだぞ。
 おまけに妾はマスターを欠いていた。そんな圧倒的不利な条件で戦えたのはアイオーンの力ゆえよ!
 汝程度の魔術師なら戦う前にアイオーンに命を削り取られて死ぬのが関の山だ!」
むっとした表情で桂に反論するアル。

アイオーンは比類なき力を持った鬼械神である。
だがそれゆえに操者であるマスターには多大な負担を強いられる。
アイオーンの中枢術式、動力炉とも呼べる機関『アルハザードのランプ』は、
操者の命を燃料にして莫大な出力を得る。
アルの過去のマスターの中には一瞬にしてアイオーンに命を喰われ死んでしまった者も少なくはない。
そうやって彼女はマスターを使い捨てにしながら千年の昔から人類に仇なす魔と戦ってきた。

桂はアルの過去がどのような物だったか想像も尽かない。
だけどそれについて尋ねようとはしなかった。いや、出来なかった。
彼女が歩んできた壮絶な過去、それは何も知らない自分が踏み込む領分では――

「まあどちらにせよ鬼械神を召喚できぬことにはしょうがあるまい。
 妾と汝の力のみで道を切り開いていくしかあるまいて。……しかし解せぬ」
「どうしたの?」
アルは首を捻って答える。
「このゲームと称した催しを開いた者共のことよ、あやつらがここまで妾の力を封じることができるとは思えないのだ。
 言峰と神崎と言っていたな、神崎は確かに剣に関しては相当な手練れの者だがそれだけだ。
 そして……言峰。奴はそれなりに魔に精通した魔術師ではあるようだが、
 ブラックロッジの人間をも連れて来られるとは思えぬ。
 ドクター・ウェストはともかくティトゥスともあろう者を連れて来るのは簡単ではないはずだ」

ドクター・ウェストとティトゥス。
桂はその名前に見覚えがあった。確か電車に乗る前にアルが書き残したメモにあった名前だ。
アルの説明によるとブラックロッジとはアーカムシティに根拠を置き、
大導師マスターテリオンを首魁とする犯罪結社だそうである。
そしてティトゥスはブラックロッジの大幹部『アンチクロス』に名を連ねる魔術師であり、
その力は一個師団に匹敵し、並みの魔術師では到底歯が立たない相手である。
だが言峰と神崎はそのティトゥスを参加者として連れて来ていた。

「妾はマスターテリオンが一枚噛んでいると思っているのだが……
 この様なつまらぬ催しのためにティトゥス一人を参加させるとは思えぬ。
 どうせならアンチクロス全員を投入して他の参加者を皆殺しにするほうが手っ取り早い。
 それに言峰と神埼は言っていた『超常的な力を持ったものはその力を制限される』
 現に妾は集めた断片を失い、九郎とも契約が切れ、デモンベインも召喚出来なくなっている。
 おそらくティトゥスにも同様の制限が加えられている可能性が高い」
マスターテリオンが彼らを動かしているのであれば、あまりにも回りくどすぎる。
それがアルのマスターテリオン黒幕説を否定する材料なのだ。

「アルちゃん、わたしもね今回のことについて不思議な点がいくつかあるの」
「ほう、言ってみよ」
「最初に神崎って人に倒された双子の女の子を見たでしょ」
「ああ、あの子鬼か。汝はあれと面識があるのか?」
「うん……知り合いというかわたしの血を狙って現れた敵だったんだけど……
 あの子たちががあそこにいること自体が変なの。だって……わたし、あの子たちが倒される瞬間を見たもん!」
「どういうことだ桂? 詳しく話してみよ」

桂はこの島に連れて来られる前に経験したことをアルに説明する。
まつろわぬ星神、年経た赤き蛇神によって使役された双子の鬼――ノゾミとミカゲ。
彼女達は封じられた山の神の復活を目論み桂を狙っていた。
だが彼女達の計画は阻止され、復活した『主』も倒された。
なのにノゾミとミカゲは再び現れ、『主』の復活を画策していたのだ。
だが神崎によって再び滅ぼされた今、彼女の復活の謎は解らぬままだった。


「あの山の神様も……サクヤさんに倒されたのに……」
あの時の状況を思い出す。

恐れ慄く山の神。
彼女は山の神と同じ月神の加護を受けている者。
ゆえに満月の時にその力は最大となり、新月の時に最小となる。
あの晩は満月、山の神が最も大きな力を発揮する夜。
だがその現象は起きた。
真円を描く月が徐々に欠けてゆく。月神の加護が失われてゆく。
――月蝕。
それだけなら山の神は取り乱すことはなかっただろう。
月蝕による力の減衰は彼女とて同じ、同じ条件なら自分が負けるはずがない。そう確信していた。
だが目の前の彼女はどうだ?
衰えるどころかますます力が漲っているではないか?
なぜだ?
山の神は彼女を自らと同じ月の加護を受けている存在だと思い込んでいた。
彼女は観月の民、石長比売を祖とする一族のはず。
だが山の神は知らない、彼女は月の無い満月の夜に生まれた者だった。
はるか昔、幼き彼女を見た役小角は言った『あの娘は本当に観月の民なのか?』
その答えを山の神は知ることになる。
彼女の力は月神による物ではなく、
山の神の祖――八つの頭を持った斐伊川の蛇神を討ち滅ぼした荒ぶる神、
偉大なる太陽神の弟神の加護を受けた者だったのだ。

生贄を求める大蛇は八塩折の酒で酔いつぶれ、彼の神に討ち取られる。
かくして経観塚の地は神話の再現と相成りて蛇神の野望は露と消えた。

「汝もかなり数奇な運命を辿ってきたのだな、そのわりにはえらく脳天気な性格だが」
「この性格は地ですよーだ。そんな出来事があったからって変わらないもん」
「まあそこが汝の良いところでもあるのだがな。それで……そのサクヤという女は何者なのだ?」
「知らない、サクヤさんはサクヤさんだよ。何者であってもわたしの大切な人には変わらないんだから」
桂はこの島のどこかにいる浅間サクヤの身を案じる。
血を通して繋がり合った絆。
桂の最も大切な人。

「しかし……死んだ者まで復活して参加させられているとはますます不可解よの……」
「だよね……」
「このような事が出来てさらに回りくどい方法を好む者――」



                       Ny■■■■■■■■■p



「――――――?」
「どうしたのアルちゃん? ぼーっとして?」
「いや何でもない。答えの出ぬ物をあれこれ考えても詮無き物、我らが今出来る事からやりはじめようぞ」

まずは情報収集、このリゾートエリアで少しでも脱出に繋がるものを探す。
そして同じ志を持った者との合流。
全ての参加者が殺し合いを肯定した者ばかりではない。
桂のように自らの意志をもってこのゲームに抗う者もいるはず。
後は……桂の魔術の鍛錬。アトラック=ナチャだけでは心許無いし、
何よりマギウススタイルによる身体強化に反射神経がまだ追いついていないのだ。
使い物になるにはまだ時間がかかりそうだった。


(しかし――さっきの違和感は何だったのだ?)
一瞬、アルの脳裏を掠めたノイズ。
桂曰く、2~3秒ほど呆けていたらしい。
最強の魔導書が呆けるなんて妾としたことがみっともない。
少し不機嫌な表情で桂の横を付いて飛ぶ。
「アルちゃん大丈夫? 顔色悪くない?」
「汝に心配されるとは……妾もヤキが回ったか……」
「もうっ、せっかく心配してるのに!」

夜が明けるのにはまだ少し早かった。


【チーム『天然契約コンビ』】
【G-4 リゾートエリア 早朝】



【羽藤桂@アカイイト】
【装備】:なし
【所持品】:支給品一式、アル・アジフの断片(アトラック=ナチャ)
       魔除けの呪符×6@アカイイト、古河パン詰め合わせ27個@CLANNAD
【状態】:健康、アル・アジフと契約、マギウススタイル
【思考・行動】
基本方針:島からの脱出、殺し合いを止める。殺し合いに乗る気は皆無
1:アルと協力する
2:知り合いを探す
3:柚原このみが心配
4:ノゾミとミカゲの存在に疑問




【アル・アジフ@機神咆哮デモンベイン】
【装備】:サバイバルナイフ
【所持品】:支給品一式、ランダムアイテム×2
【状態】:魔力消費小、羽藤桂と契約、ちびアル化
基本方針:大十字九郎と合流し主催を打倒する
1:桂と協力する
2:九郎と再契約する
3:戦闘時は桂をマギウススタイルにして戦わせ、自身は援護します
4:まずはリゾートエリアで情報収集、信頼できる仲間を探す
5:時間があれば桂に魔術の鍛錬を行いたい





【備考】
※古河パン詰め合わせには様々な古河パンが入っています。もちろん、早苗さんのパンも混じってます。
※魔除けの護符は霊体に効果を発揮する札です。直接叩き付けて攻撃する事も可能ですし、四角形の形に配置して結界を張る事も出来ます。
 但し普通の人間相手には全く効果がありません。人外キャラに効果があるのかどうか、また威力の程度は後続任せ。
※マギウススタイル時の桂は、黒いボディコンスーツに歪な翼という格好です。肌の変色等は見られません。
 使用可能な魔術がどれだけあるのか、身体能力の向上度合いがどの程度かは、後続の書き手氏にお任せします。
※アトラック=ナチャを使えるようになりました。
※制限によりデモンベインは召喚できません。
※桂はサクヤEDからの参戦です。
※B-7の駅改札に、桂達の書いたメモが残されています。
※アルからはナイアルラトホテップに関する記述が削除されています。アルは削除されていることも気がついていません。



065:End Of All Hope 投下順に読む 067:ふたりはヤンデレ
065:End Of All Hope 時系列順に読む 069:太一の大?考察
053:Destiny Panic! 羽藤桂 082:サクラノミカタ
053:Destiny Panic! アル・アジフ 082:サクラノミカタ


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