The tower ◆AZWNjKqIBQ
僅かな隙間から差し込む月光だけが頼りの暗く暗い鬱蒼とした森の中を、一組の男女が足早に進んでいた。
先に行くのは漆黒の髪をもった女で、その後を追うのは真白な髪をもった男。
女の顔は緊張感に満ち、逆に男の顔は寝起きだからだろうか、それともそれが常なのか緩んでいる。
先に行くのは漆黒の髪をもった女で、その後を追うのは真白な髪をもった男。
女の顔は緊張感に満ち、逆に男の顔は寝起きだからだろうか、それともそれが常なのか緩んでいる。
「……本当に拡声器がどこにいったか知らない?」
背後から何度も繰り返されるクエスチョンに、女――来ヶ谷唯湖もさすがにしつこいなと感じていた。
よっぽどそれが大事だったのだろうということは分かるが、決して今はそんな場合ではないのだ。
よっぽどそれが大事だったのだろうということは分かるが、決して今はそんな場合ではないのだ。
「残念だがやはり私はそれを見てはいない。それよりも、だ……」
問題は君が眠らされていたことにあるんじゃないか?
と、逆に唯湖は後についてくる男――黒須太一に問いかけた。
彼女が温泉旅館の中で発見した時、彼は片手に鍋、片手にレンゲをもって床につっぷしていたのだ。
ナルコレプシー(眠り病)というわけでもなければ極めて不自然な状況だろう。
故に彼女はそれを何者かの……恐らくは、旅館で目撃した不気味な怪人の仕業であろうと判断していた。
何故そうされていたのかは不明だが、彼の大事にしていた拡声器が失われたのもその時のことだろう。
そしてもし旅館に到着するのが少しでも遅れていれば、彼は今頃何者かの生餌にされていたかもしれない。
と、逆に唯湖は後についてくる男――黒須太一に問いかけた。
彼女が温泉旅館の中で発見した時、彼は片手に鍋、片手にレンゲをもって床につっぷしていたのだ。
ナルコレプシー(眠り病)というわけでもなければ極めて不自然な状況だろう。
故に彼女はそれを何者かの……恐らくは、旅館で目撃した不気味な怪人の仕業であろうと判断していた。
何故そうされていたのかは不明だが、彼の大事にしていた拡声器が失われたのもその時のことだろう。
そしてもし旅館に到着するのが少しでも遅れていれば、彼は今頃何者かの生餌にされていたかもしれない。
「カーニバルの怪人か、ふむ」
迫り来る危機を知らせても、いまいち太一には緊張感がない。
拡声器の件についても随分と楽観的だとは思っていたが、さすがに今は面白いと評する余裕は唯湖にはなかった。
拡声器の件についても随分と楽観的だとは思っていたが、さすがに今は面白いと評する余裕は唯湖にはなかった。
「ともかく今はあそこから離れるのが先決だ」
言って、唯湖はさらに足を速める。
戦いの心得がない訳ではないが、無用にそれをする必要もない。
それにもし、あの斉藤の仮面を被った怪人やその仲間が、森の中で襲われた赤毛の少年の様な力の持ち主だとしたら。
戦いの心得がない訳ではないが、無用にそれをする必要もない。
それにもし、あの斉藤の仮面を被った怪人やその仲間が、森の中で襲われた赤毛の少年の様な力の持ち主だとしたら。
「…………………………」
戦い、とも呼べない一方的な爆撃。超常の力を持つ静留でさえも逃げることしかなかったあの力。
剣を打ち合わせたり、銃を撃ち合うなどといった常識の範疇からは遥かに遠い存在。
それを知った今となっては、例え拳銃を手にしていても安心や、いざとなったら抗えるなどという考えは浮かばない。
今そうしているように、そしてあの時そうしたように、できることといえば逃げることだけだ。
そしてそれは、これからの未来における可能性をある一点へと著しく狭めている。
剣を打ち合わせたり、銃を撃ち合うなどといった常識の範疇からは遥かに遠い存在。
それを知った今となっては、例え拳銃を手にしていても安心や、いざとなったら抗えるなどという考えは浮かばない。
今そうしているように、そしてあの時そうしたように、できることといえば逃げることだけだ。
そしてそれは、これからの未来における可能性をある一点へと著しく狭めている。
「(生き残れるのか? ましてや、哀しみの連鎖を止めることなど……)」
彼女はこの舞台に放り込まれた時に、即座に殺し合いを放棄……いや、ゲームそのものを放棄している。
元より死者に近しい身。緩慢に終焉へと進むだけの存在だった故に、ただ自分が愉快だと思うように過ごそうと考えた。
そしてクリスと出会い、興味を引かれ彼とそう過ごしてきたのだ。
勿論、他の人間と出会ってきたからにはただ愉快なだけとはいかずに諍いや危機もそれなりにはあったが、
それでも彼女は概ね彼女自身のペースで事を運んできたのだ。
元より死者に近しい身。緩慢に終焉へと進むだけの存在だった故に、ただ自分が愉快だと思うように過ごそうと考えた。
そしてクリスと出会い、興味を引かれ彼とそう過ごしてきたのだ。
勿論、他の人間と出会ってきたからにはただ愉快なだけとはいかずに諍いや危機もそれなりにはあったが、
それでも彼女は概ね彼女自身のペースで事を運んできたのだ。
「…………………………」
しかし、クリスに惹かれ、そして離れ離れになり手に負えない脅威を目の当たりにした今。
そのペースは僅かに乱れを見せ始め、彼女の中にある可能性を浮かび上がらせる。
そして最初からそこにあったその可能性が彼女を脅かし始める。
それは、つまり――、
そのペースは僅かに乱れを見せ始め、彼女の中にある可能性を浮かび上がらせる。
そして最初からそこにあったその可能性が彼女を脅かし始める。
それは、つまり――、
――自身が死んでしまう。殺されてしまうかも知れないという当たり前の可能性。裏返せば今ある可能性を断絶されるということ。
意識してかそれとも無意識にか唯湖の足はさらに速まる。
彼女の背後に迫り追い立てる何者か……いや、そうではなく内から湧き出る何かから逃げ出すように。
彼女の背後に迫り追い立てる何者か……いや、そうではなく内から湧き出る何かから逃げ出すように。
† † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † †
足を踏み出す度に闇の中で揺れる黒髪。
それを赤い瞳で見つめながら太一は前を行く唯湖を追い、同時に思考していた。
それを赤い瞳で見つめながら太一は前を行く唯湖を追い、同時に思考していた。
「(カーニバルの怪人……ねぇ……)」
まだ話してはいないが、彼女の見た怪人とそれに人肉を要求していた少女の声。そのどちらにも心当たりがあった。
片方は神宮司奏と名乗ったお粥をつまみ食いしたゾンビー少女。己をエイリアンとは認識していない不幸な少女だ。
そしてもう片方の怪人とは十中八九、自身の片割れであるところの支倉曜子――曜子ちゃんであろう。
いつからかは知らないが、何時の間にかに自分の傍にいたらしい。変装までしているとは手が込んでいる。
そしてもう片方の怪人とは十中八九、自身の片割れであるところの支倉曜子――曜子ちゃんであろう。
いつからかは知らないが、何時の間にかに自分の傍にいたらしい。変装までしているとは手が込んでいる。
まぁ、というわけで太一はあまり危機感を覚えていなかった。
どちらも極めて物騒な人間ではあるものの敵対することはなさそうだし、特に曜子ちゃんの協力を仰げるのはありがたい。
何にしろ彼女の持つ知識とスキルの幅と深さは尋常ではない。
”正義の味方”において”こんなこともあろうかと役”を任せるには彼女以上の適格者はいないだろう。
どちらも極めて物騒な人間ではあるものの敵対することはなさそうだし、特に曜子ちゃんの協力を仰げるのはありがたい。
何にしろ彼女の持つ知識とスキルの幅と深さは尋常ではない。
”正義の味方”において”こんなこともあろうかと役”を任せるには彼女以上の適格者はいないだろう。
ふむ――と、太一の思考が脱線を始めてゆく。
となれば、目の前の彼女――来ヶ谷唯湖は”何役”だろうか?
女性ということならばやはり色で例えるなら”ピンク”だろう。
しかし人を引っ張る積極性を見るにリーダー各である”レッド”も最適に思える。紅一点などという言葉もあるし赤も悪くない。
長身黒髪の万能型美人というと曜子ちゃんとビジュアルが被るが、それは今彼女が変装していることを考慮すれば問題はなしか。
そう言えば曜子ちゃんは今、仮面を被っているのだっけか……ならば、なお裏方――弥七ポジションが相応しい。
女性ということならばやはり色で例えるなら”ピンク”だろう。
しかし人を引っ張る積極性を見るにリーダー各である”レッド”も最適に思える。紅一点などという言葉もあるし赤も悪くない。
長身黒髪の万能型美人というと曜子ちゃんとビジュアルが被るが、それは今彼女が変装していることを考慮すれば問題はなしか。
そう言えば曜子ちゃんは今、仮面を被っているのだっけか……ならば、なお裏方――弥七ポジションが相応しい。
ふむふむ――と、太一の思考は脱線し、無関係の道へと走り出す。
来ヶ谷を”レッド”とし、曜子ちゃんを”第六の隊員(ブラック)”とするならば、他には誰が当てはまるのか。
まずは自分だ。
黒須太一は”ブルー”に決まりだろう。何故ならニヒルだから。……いや、少なくともニヒルな男のつもりだから。
決して鬱に陥りやすいからという訳ではない。否定はしきれないが……。
まずは自分だ。
黒須太一は”ブルー”に決まりだろう。何故ならニヒルだから。……いや、少なくともニヒルな男のつもりだから。
決して鬱に陥りやすいからという訳ではない。否定はしきれないが……。
ふむふむふむ――と、太一の思考は本線より離れてゆく。
残るは、”グリーン”、”イエロー”、”ピンク”の3つだ。付け加えるならそこに”司令官”というのも加わるが今は割愛。
”グリーン”には心当たりがある。衛宮だ。あの若さゆえのリピドー溢れる未熟さは緑色にこそ相応しい。
想っていた女の子を失っているという設定は彼の隙にも強さにもなり、物語の中に波乱を生み出してくれるに違いない。
”グリーン”には心当たりがある。衛宮だ。あの若さゆえのリピドー溢れる未熟さは緑色にこそ相応しい。
想っていた女の子を失っているという設定は彼の隙にも強さにもなり、物語の中に波乱を生み出してくれるに違いない。
して、残るは黄色と桃色であるが……”ピンク”には美希がいいだろう。
桃色に据えるにはやや色気不足となるかも知れないが、初々しい可愛さなら随一であることはよく知っている。
何より……”貧乳はステータスだ!”という格言もあることだし、ニーズを考えれば彼女の存在は不可欠だ。
桃色に据えるにはやや色気不足となるかも知れないが、初々しい可愛さなら随一であることはよく知っている。
何より……”貧乳はステータスだ!”という格言もあることだし、ニーズを考えれば彼女の存在は不可欠だ。
で、黄色であるが……該当する人間が思いつかない。
ラバがいれば間違いなくそうだったのだが、……いや、カレー好き=イエローも陳腐だろうか?
どちらにせよないものねだりをしてもそれは仕方ないだろう。あるもので間に合わすのがサバイバルの醍醐味だ。
……と、ふむ。道中で来ヶ谷が口にしたクリス君とやらはカレーが好物だったりはしないのだろうか?
ラバがいれば間違いなくそうだったのだが、……いや、カレー好き=イエローも陳腐だろうか?
どちらにせよないものねだりをしてもそれは仕方ないだろう。あるもので間に合わすのがサバイバルの醍醐味だ。
……と、ふむ。道中で来ヶ谷が口にしたクリス君とやらはカレーが好物だったりはしないのだろうか?
意識してかそれとも無意識にか太一の足はさらに速まる。
彼の背後に迫り急き立てる何者か……いや、そうではなく内に閉じ込めていた何かから逃げ出すように。
彼の背後に迫り急き立てる何者か……いや、そうではなく内に閉じ込めていた何かから逃げ出すように。
† † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † †
先を行く二人の後、暗い森の中でも更に暗い場所を一つの影が追ってきていた。
気取られぬよう、しかし見失わぬように一定の距離を保ち、それこそ本物の影のように彼らの後を追従している。
その影は名も無き怪人――支倉曜子であり、また支倉曜子でない者。
気取られぬよう、しかし見失わぬように一定の距離を保ち、それこそ本物の影のように彼らの後を追従している。
その影は名も無き怪人――支倉曜子であり、また支倉曜子でない者。
怪人は二人の背中を見ながら考える。
太一の隣りにいる女が何者であれ、彼より引き離さなくてはならない。
幸いなことに発見した太一はまだ自己を保っていた……がしかし、やはり撓み始めているように見える。
いかなる刺激とあれど、それが最後の一線を越えさせる可能性を孕む以上速やかに排除しなければならない。
太一の隣りにいる女が何者であれ、彼より引き離さなくてはならない。
幸いなことに発見した太一はまだ自己を保っていた……がしかし、やはり撓み始めているように見える。
いかなる刺激とあれど、それが最後の一線を越えさせる可能性を孕む以上速やかに排除しなければならない。
しかし、その難度は高い。
ただ殺害すればいいというものでもない。人死にを見せればそれが太一を壊す引き金となるだろう。
離れた場所で殺害しても死体を見られれば一緒だ。うまく攫えたとしても、それを太一に探させてもいけない。
狙わなくてはならないのは完全なる消失。
一切の痕跡を残さず、女を太一の前から消し去り、彼に見失わさせる必要がある。
ただ殺害すればいいというものでもない。人死にを見せればそれが太一を壊す引き金となるだろう。
離れた場所で殺害しても死体を見られれば一緒だ。うまく攫えたとしても、それを太一に探させてもいけない。
狙わなくてはならないのは完全なる消失。
一切の痕跡を残さず、女を太一の前から消し去り、彼に見失わさせる必要がある。
怪人の足元で枯れ枝が踏み潰されパキリと小さく乾いた音がした。
十全な状態でならばありえない失態。
幸いなことに先を行く二人に気付かれることはなかったが、それは身体の限界がもう近いことを示している。
焼かれた身体は万全よりか遥かに劣り、故に怪人は失敗を何度も繰り返していた。
十全な状態でならばありえない失態。
幸いなことに先を行く二人に気付かれることはなかったが、それは身体の限界がもう近いことを示している。
焼かれた身体は万全よりか遥かに劣り、故に怪人は失敗を何度も繰り返していた。
ある時は、死んだも同然と手間を省き、殺せるはずの者を殺さずに捨て置いた。
ある時は、不利を悟り、状態を整えなおすと言い訳をしてその場より逃亡した。
ある時は、太一の害にはならぬだろうと軽く扱い何者かを見逃した。
ある時は、罠を仕掛けるとそんな理由を用いて太一を探すことを怠けた。
ある時は、利用できると嘯き殺そうとすらしなかった。
またある時は……、ある時は……と、そして数え切れないほどの失態を繰り返している。
ある時は、不利を悟り、状態を整えなおすと言い訳をしてその場より逃亡した。
ある時は、太一の害にはならぬだろうと軽く扱い何者かを見逃した。
ある時は、罠を仕掛けるとそんな理由を用いて太一を探すことを怠けた。
ある時は、利用できると嘯き殺そうとすらしなかった。
またある時は……、ある時は……と、そして数え切れないほどの失態を繰り返している。
皆殺しを誓ったが、それには全く及ばない散々な結果であった。
しかしそれも仕方が無い。元より死人に等しい状態なのだ。
自らに怪人だと言い聞かせないと立っていることすら困難な状態なのだから……。
無為無策で皆殺しを敢行しても得られる結果はなかったはず……だから結果はともかく判断は誤りではなかった。
そのはず……。怪人は常に太一の為に行動していた、……そのはず。
自らに怪人だと言い聞かせないと立っていることすら困難な状態なのだから……。
無為無策で皆殺しを敢行しても得られる結果はなかったはず……だから結果はともかく判断は誤りではなかった。
そのはず……。怪人は常に太一の為に行動していた、……そのはず。
怪人という取り繕った人格の表層に罅が入り、捨てたはずの支倉曜子が僅かに顔を覗かせ自己弁護を始める。
だが同時に同じ支倉曜子がそれを否定する……失敗を肯定しても、それに妥協してはいけない。
だが同時に同じ支倉曜子がそれを否定する……失敗を肯定しても、それに妥協してはいけない。
太一を見つけたことにより、怪人もまた撓み始めていた。
支倉曜子として彼の目の前に立ちたい……だが、それが破滅をもたらすことは承知している。
その葛藤が身体を震わせ、怪人という殻に罅を増やしてゆく――……
支倉曜子として彼の目の前に立ちたい……だが、それが破滅をもたらすことは承知している。
その葛藤が身体を震わせ、怪人という殻に罅を増やしてゆく――……
……――が、しかし今は踏み止まった。怪人は怪人であることを維持する。
そして怪人は改めて現状を見直し太一を救う方策を練り直す。
黒須太一を除いた全参加者の皆殺し――これはもう不可能だ。
いや、実力とコンディションを考えれば最初から不可能だった。
今はそれを冷静に認め、その方針を破棄する。
破滅へと邁進することは甘美な誘いだが、理性を持ってそれを振り切りあくまで太一の為だけを考える。
いや、実力とコンディションを考えれば最初から不可能だった。
今はそれを冷静に認め、その方針を破棄する。
破滅へと邁進することは甘美な誘いだが、理性を持ってそれを振り切りあくまで太一の為だけを考える。
最低限に必要なのは太一と他者との接触。さらにはこの殺し合いとの接触をも断つことだ。
しかし、太一をこの世界より解き放つにはあまりにも情報は少なく、手段も時間も残されてはいない。
なので――……
しかし、太一をこの世界より解き放つにはあまりにも情報は少なく、手段も時間も残されてはいない。
なので――……
……――黒須太一を世界より隔離する。
具体的に言い表せば、彼をどこかに監禁する。
誰とも接触しないよう単独で封じられた箱の中へと閉じ込め、誰にも見つからぬようにする。
封じ込めが成功すれば自身はまた怪人としてその場を離れ、残った時間でできるだけのことをする。
それが今取り得る最良の方法。
誰とも接触しないよう単独で封じられた箱の中へと閉じ込め、誰にも見つからぬようにする。
封じ込めが成功すれば自身はまた怪人としてその場を離れ、残った時間でできるだけのことをする。
それが今取り得る最良の方法。
これで太一が救われるかというと、その可能性は著しく低い。
監禁している場所が禁止エリアに指定されれば……彼はなす術なく死んでしまうだろう。
仮に彼と他の人物が最後の二人として残った場合でも、
禁止エリアを動いて避けられる方が有利なのは間違いないことだ。
監禁している場所が禁止エリアに指定されれば……彼はなす術なく死んでしまうだろう。
仮に彼と他の人物が最後の二人として残った場合でも、
禁止エリアを動いて避けられる方が有利なのは間違いないことだ。
だが例えそうだとしても、もう他に方法はない。方法を選ぶ猶予が自身にはもうない。
死者のそれと変わらぬ肉体は再び熱く昂り始め決定的な崩壊を間近に感じさせている。
そして何より、太一を目の当たりにした心が――閉じ込めていた支倉曜子が泣き叫んでいる。
死者のそれと変わらぬ肉体は再び熱く昂り始め決定的な崩壊を間近に感じさせている。
そして何より、太一を目の当たりにした心が――閉じ込めていた支倉曜子が泣き叫んでいる。
心身ともに猶予はない。おそらくは0時辺りがリミット。
灰被りにかけられた魔法よろしく――怪人はその時こそ砕け散り、全ての可能性が潰える。
灰被りにかけられた魔法よろしく――怪人はその時こそ砕け散り、全ての可能性が潰える。
ならば、可能性が1%に満たないのだとしてもそれに賭けるしかないのだ。
残された手数はもう数えられるほどにしかない。
それを一歩踏み出す度に消費しながら、しかし冷徹までに自分を抑え怪人はその機を計り、二人を追う。
それを一歩踏み出す度に消費しながら、しかし冷徹までに自分を抑え怪人はその機を計り、二人を追う。
† † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † †
黒い、黒い、自身の髪にも似た黒い流れを眼下に唯湖は一人ぽつんと立っている。
もう一人いたはずの太一は「自然が自分を呼んでいる」と一人で森の中へと戻っていった。
Naturecall――翻訳すれば排泄行為。
相変わらずの危機感のなさに呆れたが、彼女にも自然の摂理を捻じ曲げる力などはない。
なので仕方なく見送り今は一人、谷間を流れる川を見下ろし物思いにふけっていた。
Naturecall――翻訳すれば排泄行為。
相変わらずの危機感のなさに呆れたが、彼女にも自然の摂理を捻じ曲げる力などはない。
なので仕方なく見送り今は一人、谷間を流れる川を見下ろし物思いにふけっていた。
昼間とは違って色を失った流れは真暗で、今はとても恐ろしいものに見えている。
この中へと彼女はクリスと共に一度落ち、そして次の時は一人で落ちるクリスを見送ったのだ。
この中へと彼女はクリスと共に一度落ち、そして次の時は一人で落ちるクリスを見送ったのだ。
川の流れる方向――東へと、クリスが流されていったであろう方へと唯湖は視線を動かす。
今も彼が生存しているということは、
最初の時と同じように運良く深い場所に落ち、溺れることなくどこかに流れ着いたのであろう。
問題はその後、彼がどうなったのか、どう動いているのかだ。
もしかしたらどこかで寒さに震えているのかも知れないし、逆に見失った自分を探し回っているのかも知れない。
最初の時と同じように運良く深い場所に落ち、溺れることなくどこかに流れ着いたのであろう。
問題はその後、彼がどうなったのか、どう動いているのかだ。
もしかしたらどこかで寒さに震えているのかも知れないし、逆に見失った自分を探し回っているのかも知れない。
唯湖は東へと向けていた視線を反対側――西の方へと動かす。
その先、川沿いに登っていけばそこに谷を渡るための橋がある。
そしてそれを渡って更に先へと進めば彼と出会った最初の場所へと辿り着くことができる。
一日の4分の3ほどを一緒に過ごしてはきたが二人にとって馴染みのある場所は少ない。
だとしたら彼は、最初に二人が出会ったあのパイプオルガンのある大聖堂に向かっているのではないか。
そしてそれを渡って更に先へと進めば彼と出会った最初の場所へと辿り着くことができる。
一日の4分の3ほどを一緒に過ごしてはきたが二人にとって馴染みのある場所は少ない。
だとしたら彼は、最初に二人が出会ったあのパイプオルガンのある大聖堂に向かっているのではないか。
ふと、耳が優しい旋律を思い出す。
大聖堂の中で聞いた演奏。森の中で聞いた演奏。そして夢の中で聞いた演奏。
まだ離れてからそう経ってもいないのに、それがひどく懐かしい。
今は虚ろな心の中に、それはとてもよくリフレインして心を揺り動かす――……。
まだ離れてからそう経ってもいないのに、それがひどく懐かしい。
今は虚ろな心の中に、それはとてもよくリフレインして心を揺り動かす――……。
リフレイン……反復……繰り返し……同じことを続ける……やりなおし続ける……こと。
しかし最早ここに繰り返しややりなおしは存在しない。
理樹も鈴も零れ落ち、それだけでなく多くの命が零れ落ち続けている。
それはいつ終着を迎えるのか。哀しみの連鎖を断ち切った時なのだろうか?
理樹も鈴も零れ落ち、それだけでなく多くの命が零れ落ち続けている。
それはいつ終着を迎えるのか。哀しみの連鎖を断ち切った時なのだろうか?
しかし独りきりでいる限りは答えは返ってこない。ただ記憶だけがリフレインするだけ……。
「……クリス君。君は今一体どこにいる?」
虚空に問うても返答はなく、しかし代わりなのか土を踏む音が耳へと届いた。
† † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † †
気付き、そして振り返った唯湖の視線の先にいたのは太一ではなく、怪人であった。
「……――な!」
幽鬼の様に朧でありながら、しかし一度気付けばその存在感は強く、縛り付けるような緊張を強いてくる。
貌は秘境の蛮族が呪術に使うような鬼の面で隠し、身体には大きいコートを被っているため正体は全くの不明。
だらりと下げた手に一振りの剣を無造作に持ち、それでいて隙もなく殺気をぶつけてくるその様はまさに怪人であった。
貌は秘境の蛮族が呪術に使うような鬼の面で隠し、身体には大きいコートを被っているため正体は全くの不明。
だらりと下げた手に一振りの剣を無造作に持ち、それでいて隙もなく殺気をぶつけてくるその様はまさに怪人であった。
「…………………………」
相対した両者共に言葉はない。
怪人には言葉を用いる必要がなく、そして唯湖からかけられる言葉もまたなかった。
怪人には言葉を用いる必要がなく、そして唯湖からかけられる言葉もまたなかった。
「…………………………」
ジリ……と、足を四半歩後退させたところで無言の唯湖に、僅かな焦りの表情が表れた。
彼女が手にする得物は銃――となるといくらかの間合いを得たいが背には崖。つまりは追い詰められていることになる。
ジリ……と、もう四半歩動けば怪人もまた合わせて同じ分だけ動く。
左右に動いても同じ様に、まるで同期してるがごとく正確に同じ分だけ動きを追い、怪人は追い詰めてくる。
彼女が手にする得物は銃――となるといくらかの間合いを得たいが背には崖。つまりは追い詰められていることになる。
ジリ……と、もう四半歩動けば怪人もまた合わせて同じ分だけ動く。
左右に動いても同じ様に、まるで同期してるがごとく正確に同じ分だけ動きを追い、怪人は追い詰めてくる。
「…………………………」
とはいえ、前に進むことは難しい。
僅かな動作で計れる技量を見ても互角かそれ以上の力量があると察することができる。
となれば差が出てくるのは互いが断つ場と手にする得物。
場に関して言えば先手を取られた故に圧倒的に不利。
得物に関して言えば、銃と剣。武器だけを見れば銃の方が有利だが、場を合わせて考慮するとそれは逆転する。
僅かな動作で計れる技量を見ても互角かそれ以上の力量があると察することができる。
となれば差が出てくるのは互いが断つ場と手にする得物。
場に関して言えば先手を取られた故に圧倒的に不利。
得物に関して言えば、銃と剣。武器だけを見れば銃の方が有利だが、場を合わせて考慮するとそれは逆転する。
「…………………………」
一足、二足、三足、四足……一息で十分に辿り着ける短い間合い。
この距離で銃撃を外せば次の瞬間には怪人は目の前にいるだろう。そうなれば叩き斬られて終わりである。
拳銃を握る手に汗が滲む。
それは武器であると同時に決着への号砲でもあるのだ。
当てることができれば相手は死に、逆に当てることができなければこちらが死んでしまうという……。
この距離で銃撃を外せば次の瞬間には怪人は目の前にいるだろう。そうなれば叩き斬られて終わりである。
拳銃を握る手に汗が滲む。
それは武器であると同時に決着への号砲でもあるのだ。
当てることができれば相手は死に、逆に当てることができなければこちらが死んでしまうという……。
「…………………………」
ジリジリと下がっていた足が遂に崖の淵にまで到達する。
唯湖にとって、このまま崖から川に飛び込むという選択もありえなくはない。
一度はそれで難を逃れているのだ。
夜の水は冷たいだろうが、それでも目の前の怪人が放つ殺気ほどではないだろうから挑戦してみる価値はある。
唯湖にとって、このまま崖から川に飛び込むという選択もありえなくはない。
一度はそれで難を逃れているのだ。
夜の水は冷たいだろうが、それでも目の前の怪人が放つ殺気ほどではないだろうから挑戦してみる価値はある。
「…………………………」
しかしそれはできない。
なぜならば黒須太一がいるからだ。一人で逃げ出せば、戻ってきた彼が怪人に襲われ、殺されるだろう。
それだけは……哀しみの連鎖を繋がせないためにも阻止しなくてはならないのだ。
なぜならば黒須太一がいるからだ。一人で逃げ出せば、戻ってきた彼が怪人に襲われ、殺されるだろう。
それだけは……哀しみの連鎖を繋がせないためにも阻止しなくてはならないのだ。
「…………………………」
ならば、どうするのか?
拳銃で牽制し、森へと飛び込んで逃げ出すか。いや、とてもではないが背中を見せられるような相手ではない。
黒須太一へと大声で危機を知らせ彼にも逃げることを促すか。いや、怪人が二人ともを見逃すとも考えられない。
ならば、どうするのか……怪人へと銃弾を撃ち込むのか……?
拳銃で牽制し、森へと飛び込んで逃げ出すか。いや、とてもではないが背中を見せられるような相手ではない。
黒須太一へと大声で危機を知らせ彼にも逃げることを促すか。いや、怪人が二人ともを見逃すとも考えられない。
ならば、どうするのか……怪人へと銃弾を撃ち込むのか……?
「…………………………」
ギリ……と、二人の間に走る緊張が引き絞られ破断する瞬間へと近づいてゆく。
その瞬間が訪れれば、次の瞬間にはどちらかが命を失っているだろう。
否が応でも決着する。望む望まないとしても、道は断たれる。
その瞬間が訪れれば、次の瞬間にはどちらかが命を失っているだろう。
否が応でも決着する。望む望まないとしても、道は断たれる。
そして、その瞬間へと到達する――……、
「はーい、ストップ! 喧嘩は駄目だよ淑女達」
……――しかし、介入。乱入。黒須太一が現れた。気付けば、怪人の後ろに白髪の彼が立っていた。
† † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † †
「曜子ちゃん。その人を殺しちゃだめだ」
その命令。コマンドを受けて唯湖の目の前に立つ怪人の動きが静止する。
ただ……静止。まるで電源を落とされた機械の様に、殺気も気配も失い、静止……。
ただ……静止。まるで電源を落とされた機械の様に、殺気も気配も失い、静止……。
「……太一少年。これは、一体どういうことかな?」
説明してくれると助かるのだが……と、唯湖は怪人越しに太一へと問いかける。
セクハラ癖のある可笑しなな少年。カーニバルの怪人。温泉で見た光景。正義の味方。拡声器。
噛みあわない……どこか歪で不可解。そして、それはとても致命的な気がする。
セクハラ癖のある可笑しなな少年。カーニバルの怪人。温泉で見た光景。正義の味方。拡声器。
噛みあわない……どこか歪で不可解。そして、それはとても致命的な気がする。
「彼女? ……が、君の言っていたもう一人のメンバーのなのかな?」
その質問に、太一は何かを思い出したかのように、あ……と息を洩らし唯湖を無視して怪人へと話しかけた。
礼儀作法の問題でなく何かがズレている。唯湖の中の疑念は膨らみ不安を含み始める。
礼儀作法の問題でなく何かがズレている。唯湖の中の疑念は膨らみ不安を含み始める。
「曜子ちゃんがどうしてたっかてのは衛宮から聞いたよ。
覚えているかな? あの、腕に赤い布をグルグル巻きにしてたヤツのこと」
覚えているかな? あの、腕に赤い布をグルグル巻きにしてたヤツのこと」
太一はそれこそ旧来の友人であるように気安く話しかけている。逆に怪人はなんら反応を見せない。
まるで置物に向かって話しかけている様なのに、彼がそれに違和感を覚えていないことが違和感だった。
酷く……気持ち悪い。そして、赤い布の少年……赤毛の少年には唯湖も心当たりがあった。
まるで置物に向かって話しかけている様なのに、彼がそれに違和感を覚えていないことが違和感だった。
酷く……気持ち悪い。そして、赤い布の少年……赤毛の少年には唯湖も心当たりがあった。
「今、エイリアンをやっつけるための正義の味方を募集してるんだけど、あいつも今は正義の味方。
でもって、そこにいる来ヶ谷もそうなんだけど、……曜子ちゃんも参加しない?」
でもって、そこにいる来ヶ谷もそうなんだけど、……曜子ちゃんも参加しない?」
なるほどいつか聞いたもう一人とは、あの赤毛の少年のことだったのかと唯湖は理解した。
しかし、それを聞いた直後に彼女はその正義の味方とやらに静留諸共襲われているのだ。
そして目の前の怪人とは旧知の仲らしく、彼女も彼からすれば正義の味方へと誘う対象になるらしい。
ただ無差別に味方を求めているのか、それとも”正義の味方”に対して致命的な勘違いがあるのか……?
しかし、それを聞いた直後に彼女はその正義の味方とやらに静留諸共襲われているのだ。
そして目の前の怪人とは旧知の仲らしく、彼女も彼からすれば正義の味方へと誘う対象になるらしい。
ただ無差別に味方を求めているのか、それとも”正義の味方”に対して致命的な勘違いがあるのか……?
「曜子ちゃんが加わってくれると嬉しいんだけどなぁ、正直な話目処が立たなくて困ってたし。
……あぁもしかして、もう何人か殺してしまっていることを気に病んでる?
ノープロブレム。改心した悪役はレギュラーより人気でるし――……」
……あぁもしかして、もう何人か殺してしまっていることを気に病んでる?
ノープロブレム。改心した悪役はレギュラーより人気でるし――……」
静止したままの怪人に向かい一人言葉をかけ続ける太一。
彼への評価を、唯湖は愉快な少年からおかしな少年……いや、狂っている者と心の中で密かに変更した。
再び背後の崖を意識する。この二人ならば残していっても問題はないだろう。
この中で生命の危機に瀕しているとしたらそれは自分だけなのだろうから……。
彼への評価を、唯湖は愉快な少年からおかしな少年……いや、狂っている者と心の中で密かに変更した。
再び背後の崖を意識する。この二人ならば残していっても問題はないだろう。
この中で生命の危機に瀕しているとしたらそれは自分だけなのだろうから……。
と、唯湖はそれに気付いた。
何時の間にか、太一に背を向けたままの怪人が小刻みに震えていた。
あれだけ強烈に放たれていた不穏な気配も消えうせている。
その姿はそのままに、しかし印象は怪人などではなく……そう、まるで――……
あれだけ強烈に放たれていた不穏な気配も消えうせている。
その姿はそのままに、しかし印象は怪人などではなく……そう、まるで――……
……――小さな女の子の様な、泣いている女の子のような。
† † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † †
曜子ちゃん。曜子ちゃん。曜子ちゃん。曜子ちゃん――……。
繰り返される、支倉曜子という認定。太一からの認定が、怪人の殻を強く叩いていた。
ただでさえ綻びを見せていたそれは見る見る間に彼女を怪人の中から呼び覚ましてゆく。
ただでさえ綻びを見せていたそれは見る見る間に彼女を怪人の中から呼び覚ましてゆく。
剣を握る手が振るえ、仮面の中に熱い吐息が篭る。色の違った両目には涙が溜まり、頬に筋を通していた。
黒須太一の可能性を守るために、支倉曜子を捨て怪人となったのだ。
そこには決意があった……なのに、彼の声は甘美すぎる。
一度呼ばれる度に、振り向き、我侭や嫉妬をぶつけ、言うことを聞き、従順に命令をこなしたくなる。
黒須太一の為の支倉曜子となり、彼を誘導し、後押しし、時に惑わせ、重石としてぶら下がりたくなってしまう。
そこには決意があった……なのに、彼の声は甘美すぎる。
一度呼ばれる度に、振り向き、我侭や嫉妬をぶつけ、言うことを聞き、従順に命令をこなしたくなる。
黒須太一の為の支倉曜子となり、彼を誘導し、後押しし、時に惑わせ、重石としてぶら下がりたくなってしまう。
背中からぶつけられる声がまるで石の様に重く、痛い。背が軋み、身体の震えが止まらない。
しかし、それは駄目で、駄目で、駄目なのだ。それだけはもうしないと、あの時に誓ったのだから。
太一にもう一度させてはならない。太一に自ら壊れることを選択させてはならない。
故に自分が限りある命を使ってそれを肩代わりしようと、あの時の、遠い時代についた嘘。それを今度こそ本当にしようと誓ったのだ。
あの時、太一は心を壊した。だから――
太一にもう一度させてはならない。太一に自ら壊れることを選択させてはならない。
故に自分が限りある命を使ってそれを肩代わりしようと、あの時の、遠い時代についた嘘。それを今度こそ本当にしようと誓ったのだ。
あの時、太一は心を壊した。だから――
――今度は自分が心を壊し、怪人として黒須太一をこの世界から解き放つ。
…………再び、心を殺したことで、クリアな感覚が戻ってくる。
もう何万年も時が経ったのではないかと錯覚するほどに、永き眠りより覚めたかのように感覚は透明。
もう何万年も時が経ったのではないかと錯覚するほどに、永き眠りより覚めたかのように感覚は透明。
再び心を捨て怪人に。
しかし身も、心も、死人同然。
残された時間は、限りなく少ない。
太一により捕捉された以上次の番はない。
最早、この最終ターンで取りうる手段は唯の一つ。
しかし身も、心も、死人同然。
残された時間は、限りなく少ない。
太一により捕捉された以上次の番はない。
最早、この最終ターンで取りうる手段は唯の一つ。
左手に再び力を籠め、剣の切先にまで心を浸透させてゆく。
黒須太一が彼の望む彼であるうちに、この世界より断ち切り、落とす。
支倉曜子がこの世界に残留している間に、彼を確実な方法で世界より解き放つ。
支倉曜子がこの世界に残留している間に、彼を確実な方法で世界より解き放つ。
怪人により、黒須太一と支倉曜子を諸共に停止させ、この世界よりの因果を一切断つ。
――黒須太一を殺す。
ゆらりと怪人は怪人は太一へと振り返り、彼を直視しないために被っていた仮面を落とした。
それは最後の最後の僅かな未練。彼の顔を……最期の顔を、記憶に、事実に残すというそんな未練。
そして、同時に、無言の遺言。不言の最終通告。本来ならば絶無であったはずの交流。
それは最後の最後の僅かな未練。彼の顔を……最期の顔を、記憶に、事実に残すというそんな未練。
そして、同時に、無言の遺言。不言の最終通告。本来ならば絶無であったはずの交流。
支倉曜子と黒須太一の視線が交わり――……
―― CROSS † CHANNEL ――
……――意思は交換され、二人は同期する。
目の前に立つ彼女――最早、支倉曜子と呼ぶのが相応しいのかわからない彼女。
全身を包帯に覆われそこに不快な染みを浮かべている不気味な彼女を見て、黒須太一はキレイだと思った。
全身を包帯に覆われそこに不快な染みを浮かべている不気味な彼女を見て、黒須太一はキレイだと思った。
どこまでも毅然としている。あの孤高の姫君であった時よりもさらに遥かに。
自己という本質を覆うありとあらゆるものを、生命としての生存すらも捨て去った完全な一つの精神がそこにある。
自己という本質を覆うありとあらゆるものを、生命としての生存すらも捨て去った完全な一つの精神がそこにある。
あの弱虫で、泣き虫で、甘えん坊な彼女がこうなるのはどれだけの勇気が必要だったのだろうか。
勇気……それは、”正義の味方ごっこ”などをしていた自分には、臆病な自分には無いものだ。
人と人が殺しあう。そんなこと耐えられるはずもなかった。そんな中で自我を保つ強さは持っていなかった。
故に、擬態した。
殺し合いの中で懸命に抗う”人間”をイメージし、妄想を自己に投影し、環境に適応した自分を作り出した。
美希や霧と出会えば、”先輩らしいですね”と言って貰える様な、そんな”黒須太一”という存在を。
偽装を重ねに重ね、自分自身を守る鎧を重ね着した。
そんな自分はとても無様だったが、妥協した――自分を守るために。
人と人が殺しあう。そんなこと耐えられるはずもなかった。そんな中で自我を保つ強さは持っていなかった。
故に、擬態した。
殺し合いの中で懸命に抗う”人間”をイメージし、妄想を自己に投影し、環境に適応した自分を作り出した。
美希や霧と出会えば、”先輩らしいですね”と言って貰える様な、そんな”黒須太一”という存在を。
偽装を重ねに重ね、自分自身を守る鎧を重ね着した。
そんな自分はとても無様だったが、妥協した――自分を守るために。
しかし目の前の彼女は、たった一つのエゴを貫くために全てを捨てている。機能美溢れる姿を体現している。
彼女はどこまでも真摯に自分を殺そうとしている。
それが望みだと、それが最善だと射るような瞳が伝えてくれた。唯一名残りのある黒曜石の様な瞳で。
自分自身の望みにより相手を殺してあげようとするなんていうエゴ。極致の自己満足を彼女は欲している。
極地にまで達しているが故にその姿はどこまでも超然として美しく見えた。
それが望みだと、それが最善だと射るような瞳が伝えてくれた。唯一名残りのある黒曜石の様な瞳で。
自分自身の望みにより相手を殺してあげようとするなんていうエゴ。極致の自己満足を彼女は欲している。
極地にまで達しているが故にその姿はどこまでも超然として美しく見えた。
互いに残された猶予は僅かしかない。
彼女は儚げに散る直前で、自分は無様に失敗する間近。残ればどちらも醜態を曝すだろう。
彼女は儚げに散る直前で、自分は無様に失敗する間近。残ればどちらも醜態を曝すだろう。
いつかの彼女の言葉を引用する――
――味方はいない。誰も助けない。自分のことを自分で守らないといけない。
そうだ。自分自身を守るのはどこまでいっても自分だ。自分から自分を守るのもまた自分自身。
遥かな過去。守りあうために互いを自分と認定し、交わり、自己を半分ずつ交換しあった。
彼女はその約束を今も忠実に守り、己を守るために自分を殺そうとしている。
遥かな過去。守りあうために互いを自分と認定し、交わり、自己を半分ずつ交換しあった。
彼女はその約束を今も忠実に守り、己を守るために自分を殺そうとしている。
ならば、彼女が……あの時の彼女、約束した時の彼女が戻ってきたのならば、こちらもそれを果たそう。
いつしか甘えや依存となっていたそれを再び契約へと純化させた彼女に敬意を払おう。
今、彼女を――いや、己を救うために自分を解放する。
いつしか甘えや依存となっていたそれを再び契約へと純化させた彼女に敬意を払おう。
今、彼女を――いや、己を救うために自分を解放する。
――支倉曜子を殺す。
重石であり未練でもあるデイパックを投げ捨て、唯一本のナイフを手にする。
異物であるその中に遺志を通わせ、己と同化させて一人の黒須太一として彼女と相対する。
鏡が常にそうであるように、互いに同期し、向こう側の自分自身に切先を向け合う。
異物であるその中に遺志を通わせ、己と同化させて一人の黒須太一として彼女と相対する。
鏡が常にそうであるように、互いに同期し、向こう側の自分自身に切先を向け合う。
支倉曜子と黒須太一の刃が交わり――……
―― CROSS † CHANNEL ――
……――遺志は交換され、二人は接続する。
月明かりを反射する白刃を速やかにインストールしあい、接続を完了する。
そして、彼と彼女は自己を守るため、醜くなる前に、自分を世界より取り除き、静かに、断絶、した。
そして、彼と彼女は自己を守るため、醜くなる前に、自分を世界より取り除き、静かに、断絶、した。
最古の記憶は。
日付さえおぼろげな、遠い靄のなか。
あの時、それぞれに別でも、切り取られた四角の中から同じ星月夜を見上げていた。
日付さえおぼろげな、遠い靄のなか。
あの時、それぞれに別でも、切り取られた四角の中から同じ星月夜を見上げていた。
少年と少女。
今は、二人並び、瑠璃の様な瞳で、同じ星月夜を見上げている――……
今は、二人並び、瑠璃の様な瞳で、同じ星月夜を見上げている――……
【黒須太一@CROSS†CHANNEL~toallpeople~ 死亡】
【支倉曜子@CROSS†CHANNEL~toallpeople~ 死亡】
【支倉曜子@CROSS†CHANNEL~toallpeople~ 死亡】
※黒須太一の遺体の胸に カリバーン@Fate/staynight が突き立っています。
※支倉曜子の遺体の胸に サバイバルナイフ が突き立っています。
※支倉曜子の遺体の傍に、マスク・ザ・斉藤の仮面@リトルバスターズ!と、彼女のデイパックが転がっています。
※支倉曜子の遺体の胸に サバイバルナイフ が突き立っています。
※支倉曜子の遺体の傍に、マスク・ザ・斉藤の仮面@リトルバスターズ!と、彼女のデイパックが転がっています。
※支倉曜子のデイパックの中身
支給品一式、拡声器、工具一式、オペラグラス
斧、投石器、石材×3、RPG-7V1(弾頭1/1)、OG-7V-対歩兵用弾頭×3、斬妖刀文壱@あやかしびと-幻妖異聞録-
真っ赤なレオのデイパック(空)、首輪×4(蒼井、向坂、橘、鉄乙女)、木彫りのヒトデ×3@CLANNAD
バカップル反対腕章@CROSS†CHANNEL、ドラゴン花火×1@リトルバスターズ、怪盗のアイマスク@THEIDOLM@STER
支給品一式、拡声器、工具一式、オペラグラス
斧、投石器、石材×3、RPG-7V1(弾頭1/1)、OG-7V-対歩兵用弾頭×3、斬妖刀文壱@あやかしびと-幻妖異聞録-
真っ赤なレオのデイパック(空)、首輪×4(蒼井、向坂、橘、鉄乙女)、木彫りのヒトデ×3@CLANNAD
バカップル反対腕章@CROSS†CHANNEL、ドラゴン花火×1@リトルバスターズ、怪盗のアイマスク@THEIDOLM@STER
† † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † †
取り残された、いくつかの意味で取り残されたままの少女がぽつんと立ち竦んでいた。
地面に並んで横たわり、すでに生きてはいない黒須太一と支倉曜子。
止める間もなく一緒に逝ってしまった二人。
彼と彼女を見下ろす唯湖の手には一枚の紙が握られている。
それは黒須太一より彼女に当てた遺書であった。
遺書は、ありきたりな書き出しから始まっている――……
止める間もなく一緒に逝ってしまった二人。
彼と彼女を見下ろす唯湖の手には一枚の紙が握られている。
それは黒須太一より彼女に当てた遺書であった。
遺書は、ありきたりな書き出しから始まっている――……
来ヶ谷へ
この手紙を読んでいるころには俺はもう死んでいると思います。
曜子ちゃんに殺されているか、それとも殺してから自殺しているのか、多分そんな感じで。
色々考えてみたのだけど、どうやら曜子ちゃんは君を狙っているみたいだし
最後に説得は試みてみるつもりだけど、そうならざるを得ないと思います。
曜子ちゃんに殺されているか、それとも殺してから自殺しているのか、多分そんな感じで。
色々考えてみたのだけど、どうやら曜子ちゃんは君を狙っているみたいだし
最後に説得は試みてみるつもりだけど、そうならざるを得ないと思います。
驚いていたら、いや驚いているのは間違いないと思うから、ごめんなさい。
あやまりついでに一つ頼みを聞いてもらえるでしょうか?
一生に一度のお願い(←笑うところ)なので、引き受けてもらえると嬉しいです。
一生に一度のお願い(←笑うところ)なので、引き受けてもらえると嬉しいです。
俺の鞄の中に原稿が入っています。
それは俺の考えた放送案で、
それが実際に放送され、俺の思想が拡散してゆくことが俺の最後の望みです。
それは俺の考えた放送案で、
それが実際に放送され、俺の思想が拡散してゆくことが俺の最後の望みです。
鞄の中には一緒にスパイからの手紙が入っているのだけど、
そのスパイ(←多分、深優・グリーア。勘だけど)に渡してもらえればいいかも知れません。
彼女に渡せば、いつかはあの放送が下手な連中に届くかも知れないから。
そのスパイ(←多分、深優・グリーア。勘だけど)に渡してもらえればいいかも知れません。
彼女に渡せば、いつかはあの放送が下手な連中に届くかも知れないから。
そういえば、彼女はこの島にいる全員がエイリアンだと言っていました。
それは多分事実です。
別に異星人だとかと言うのではなくて、人と人は互いに侵略しあうものだから。
相手の心に侵入して何かを奪ったり植えつけたり、育んだり、傷つけたり、交換しあったり、
癒されたり、反発したり、欲したり、拒絶したり……それが人間同士なのだと思います。
それは多分事実です。
別に異星人だとかと言うのではなくて、人と人は互いに侵略しあうものだから。
相手の心に侵入して何かを奪ったり植えつけたり、育んだり、傷つけたり、交換しあったり、
癒されたり、反発したり、欲したり、拒絶したり……それが人間同士なのだと思います。
俺と曜子ちゃんはそれがすごく下手です。
だから来ヶ谷にも迷惑をかけていると思う。ごめんなさい。
だから来ヶ谷にも迷惑をかけていると思う。ごめんなさい。
俺達は一足先にこれを終わらせます。
それが正しいことかもわかりません。でも後悔もないはずです。
それが正しいことかもわかりません。でも後悔もないはずです。
無責任なのは重々承知ですが、来ヶ谷は来ヶ谷が満足できる結果を追い求めてください。
この殺しあうばかりの世界で後どれだけ時間が残っているのかはわからないけど、
欲するものを追い求め、それを手にしてください。
迷惑をかけるお詫びにはならないけど、来ヶ谷が何かを得られることを応援しています。
この殺しあうばかりの世界で後どれだけ時間が残っているのかはわからないけど、
欲するものを追い求め、それを手にしてください。
迷惑をかけるお詫びにはならないけど、来ヶ谷が何かを得られることを応援しています。
来ヶ谷には俺達が持ってない立派な心があるから、きっと成功すると信じています。
そろそろ曜子ちゃんが来ヶ谷を襲っている頃ですね。
手遅れにならない内に俺も向かいます。殺されないようがんばってください(←今言っても無駄)。
手遅れにならない内に俺も向かいます。殺されないようがんばってください(←今言っても無駄)。
では、乱文乱筆失礼しました。 さようなら。
――黒須太一より。
PS.立派な墓が欲しいとは言いませんが、できれば死体は海に流してもらえると嬉しいです。
† † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † †
「君は……大馬鹿者なのだな」
月光に照らされた安らかな死に顔に唯湖はそう呟く。
どこまでも不可解な彼ではあったが、唯一理解できたのはこれが彼らなりの哀しみの連鎖を断つ方法だったのだ。
文字通り、刃で以って哀しみの連鎖を断ち切った。
死をもって苦しみより解放されること。一度思い、否定したが、しかし目の前の彼らはどこまでも安らかに思える。
どこまでも不可解な彼ではあったが、唯一理解できたのはこれが彼らなりの哀しみの連鎖を断つ方法だったのだ。
文字通り、刃で以って哀しみの連鎖を断ち切った。
死をもって苦しみより解放されること。一度思い、否定したが、しかし目の前の彼らはどこまでも安らかに思える。
「クリス君。君なら彼らを止めることができたのかな……」
星月夜をあおぎ、唯湖は同じ空の下にいるはずのクリスへと問いかける。
勿論、答えは返ってこない。
わかってはいてもそれはやはり寂しいことで、心にぽっかりと空ろな部分があることを自覚させる。
今すぐにでもこの気持ちを、死に傾いた気持ちを否定して欲しいのに彼はいない。
勿論、答えは返ってこない。
わかってはいてもそれはやはり寂しいことで、心にぽっかりと空ろな部分があることを自覚させる。
今すぐにでもこの気持ちを、死に傾いた気持ちを否定して欲しいのに彼はいない。
「どこにいるんだ……君は」
心は麻薬のようだ。
あまりにも甘く刺激的で、そして失えば前以上に欲し、渇き、再び得ることを渇望する。
目の前にあった気を紛らわせるものが消え去った今、再び空ろな心が渇き、身を心を苛む。
あまりにも甘く刺激的で、そして失えば前以上に欲し、渇き、再び得ることを渇望する。
目の前にあった気を紛らわせるものが消え去った今、再び空ろな心が渇き、身を心を苛む。
「…………クリス君」
今なら理解できる。
何故、皆が哀しみの連鎖を繰り返してまでもそれを欲し、止めることができないのか。
大切なものを奪われたことに対する復讐。
欲するものを得るために他者を蹴落とすこと。
愛するものを守るために己を殉じさせること。
それはどこまでも甘く甘い甘美な誘惑で、一度気付いてしまえば抗うことはひどく難しい。
何故、皆が哀しみの連鎖を繰り返してまでもそれを欲し、止めることができないのか。
大切なものを奪われたことに対する復讐。
欲するものを得るために他者を蹴落とすこと。
愛するものを守るために己を殉じさせること。
それはどこまでも甘く甘い甘美な誘惑で、一度気付いてしまえば抗うことはひどく難しい。
「私を放っておかないでくれよ…………」
そして、そうしないことがまた恐ろしい。その誘惑を振り切ることが恐ろしい。
死を間近に感じた時、恐怖したのは自分が死ぬことではない。
恐怖したのは、クリスと二度と会えなくなること。その可能性を断たれてしまうこと。
また、どこかでクリスも同じ様に死んでしまうのかも知れないと、そう思ったら――恐怖に心臓が跳ね上がる。
あの苦しみを再び味わう、そんなことは繰り返したくはない。
心の中から生まれた攻撃性が身体を伝い、拳銃を握る手に力を込めさせる。
かつては怒りがそうし、そして今は恐怖が彼女を駆り立ていた。
あの時はクリスの声が引き金を引くことを躊躇わせた……がしかし、今もそうなのか。
死を間近に感じた時、恐怖したのは自分が死ぬことではない。
恐怖したのは、クリスと二度と会えなくなること。その可能性を断たれてしまうこと。
また、どこかでクリスも同じ様に死んでしまうのかも知れないと、そう思ったら――恐怖に心臓が跳ね上がる。
あの苦しみを再び味わう、そんなことは繰り返したくはない。
心の中から生まれた攻撃性が身体を伝い、拳銃を握る手に力を込めさせる。
かつては怒りがそうし、そして今は恐怖が彼女を駆り立ていた。
あの時はクリスの声が引き金を引くことを躊躇わせた……がしかし、今もそうなのか。
「…………教えてほしいんだ」
黒須太一はそれを――クリス君を得ろと言う。
だがしかし、得た後はどうする? この世界に永遠はない。否が応にも終わりの時は来る。
だがしかし、得た後はどうする? この世界に永遠はない。否が応にも終わりの時は来る。
「本当に……明日は希望に満ち溢れているのかな。なぁ、クリス君」
問う。
しかし、やっぱり答えは返ってこない。
しかし、やっぱり答えは返ってこない。
夜の冷たい風だけが彼女を包み、空虚な心の中でただただ問いかけだけがリフレインし続ける――……。
【D-6 川の辺/1日目 夜中】
【来ヶ谷唯湖@リトルバスターズ!】
【装備】:デザートイーグル50AE(6/7)@Phantom-PHANTOMOFINFERNO-
【所持品】:支給品一式×2
デザートイーグル50AEの予備マガジン×4、S&WM37エアーウェイト(5/5)、S&WM37エアーウェイトの予備弾(×12)
ウィルス@リトルバスターズ!、第1次放送時の死亡者とスパイに関するメモ、放送案の原稿、黒須太一の遺書
【状態】:疲労(小)、脇腹に浅い傷(処置済み)、全身に打ち身
【思考・行動】
基本:クリスを欲する。
0:私はどうすればいいんだ……?
1:クリス君……どこにいる?
2:哀しみの連鎖を広げないないよう行動する。(連鎖を”断つ”ことも一つの手段かも知れない)
3:太一の遺言を叶える? (原稿をスパイに届ける/遺体を海に流す)
4:理樹と鈴を失った棗恭介には警戒する。
5:碧や西、なつき達の安否が少し気になる。
6:大聖堂にあるパイプオルガンを弾きこなしてみたい。
【備考】
※精神世界より参戦しています。
※クリスはなにか精神錯覚、幻覚をみてると判断。今の所危険性はないと考えています。
※千羽烏月、岡崎朋也、椰子なごみの外見的特長をを認識しています。
※西園寺世界の声だけを聞き、人肉を求める危険人物だと認識しています。
※美希に対し僅かな違和感を持っています。
※黒須太一と支倉曜子の自殺を目の当たりにし、ショックを受けています。
【装備】:デザートイーグル50AE(6/7)@Phantom-PHANTOMOFINFERNO-
【所持品】:支給品一式×2
デザートイーグル50AEの予備マガジン×4、S&WM37エアーウェイト(5/5)、S&WM37エアーウェイトの予備弾(×12)
ウィルス@リトルバスターズ!、第1次放送時の死亡者とスパイに関するメモ、放送案の原稿、黒須太一の遺書
【状態】:疲労(小)、脇腹に浅い傷(処置済み)、全身に打ち身
【思考・行動】
基本:クリスを欲する。
0:私はどうすればいいんだ……?
1:クリス君……どこにいる?
2:哀しみの連鎖を広げないないよう行動する。(連鎖を”断つ”ことも一つの手段かも知れない)
3:太一の遺言を叶える? (原稿をスパイに届ける/遺体を海に流す)
4:理樹と鈴を失った棗恭介には警戒する。
5:碧や西、なつき達の安否が少し気になる。
6:大聖堂にあるパイプオルガンを弾きこなしてみたい。
【備考】
※精神世界より参戦しています。
※クリスはなにか精神錯覚、幻覚をみてると判断。今の所危険性はないと考えています。
※千羽烏月、岡崎朋也、椰子なごみの外見的特長をを認識しています。
※西園寺世界の声だけを聞き、人肉を求める危険人物だと認識しています。
※美希に対し僅かな違和感を持っています。
※黒須太一と支倉曜子の自殺を目の当たりにし、ショックを受けています。
186:kind | 投下順 | 188:世界の終わり、あるいは始まり |
時系列順 | ||
185:Good Samaritan | 黒須太一 | |
支倉曜子 | ||
来ヶ谷唯湖 | 192:love |