ギャルゲ・ロワイアル2nd@ ウィキ

この大地を残酷に、美しく照らす

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この大地を残酷に、美しく照らす ◆/Vb0OgMDJY氏



そうして、その場には、倒れ付す殺人者と、一人の少女、
そして、




「か、はっ……」

九鬼の口から、言葉が漏れた。
それは、人の死ぬ間際の、吐息に似て、
そして、丁度その魂を運ぶかのような不吉さを持つ光が、太陽に照らされた。


そう、橋の向こう側、未だに太陽の届かぬ先に、美しく舞い続ける、一羽の蝶々のみとなった
東の空より上りだした朝日が迫りながらも、それを拒絶するかのように闇夜の中で、なお不吉な夜の美しさを映し出す。
かつて、誰かが呼んだ通り、まさしく月の光を映す、月光蝶の名の通り、日の光という希望を、拒絶する。




最初から、彼女は死んでなど、いなかった。

玲二が、深優に告げなかった事実。
そして、深優が玲二に告げなかった事実が、存在している。

玲二がユメイを見つけた時、彼は深優にユメイの情報を求めた。
それに対しての、深優の答えは、オハシラサマと呼ばれる存在であり、霊力という力を用いる、素手に見えても油断は禁物と答えた。
だから、玲二は遠距離からの奇襲によって仕留めにかかった。
おして、その目論見はほぼ成功していたといってもよいだろう。
あの時点ではまだ生きてはいたが、治療のための道具を取り出す気配も無く、出血も致死量に達するか、というところ。

故に、放置したのだ。
玲二には、『自身、あるいは他者の傷を癒す』という能力との遭遇経験は、なかったのである。
故に、玲二はユメイがまだ生きている事実を告げなかったし、
知識としては認識していても、遠距離狙撃の事は知らない深優は、ユメイは既に死亡しており、能力による治癒はありえないと認識していたのだ。

そうして、蹲りながら傷を癒す彼女の耳に、橋という言葉が、聞こえたのだ。


「……あ…?」

声が、漏れる。
少しして、深優はそれが自身の声帯より、生じたものであると理解する。

九鬼鋼耀は、すでに満身創痍の状況であった。
鬼としてあり続ければいずれ再生した怪我ではあるが、今の彼は唯の人間である。
鎖が支えていなければ、すぐさま倒れ付す程の重傷をおった彼の身体を、光の蝶々が、通り抜けた。
その光の通り抜けと共に生じた燐粉は、まるで、彼の命そのものが抜けでているかのようで、

「……あ、あ?」

何が、起きたのか。
状況は理解できているのに、それを認識出来ない。
何が起きたのか、わかっているのに、判りたくない。
思考が、理解を拒んでいる。

と、その時。
死に体の九鬼が、動く。
天の鎖は何の効果も発揮せず、容易く彼の左腕から外れる。
彼の腕は深優の方に突き出され、そして、

「すまん、迷惑……かけちまったな」

今正に、深優を貫かんとしていた光の蝶を、その身体で防ぎ通す。
それが、最期の力。
全ての終わり。

九鬼鋼耀の、命の最期の輝きであり、
深優の行動の、結果であった。

「あ、ああ……」

ふらふらと、手が伸びる。
何処へ伸ばすのか、
何を掴もうというのか、

「ああああ」

何が望みなのか、
何を思うのか、

「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

咆、哮

泣くことと、叫ぶ事は似ている。
泣き叫ぶように、声は放たれる。
何が、悲しいのか、わからない。
ただ、何かがひたすらに悲しい。
天も地も無い……ただ、叫ぶ。

泣くように叫ぶ。

怒るように叫ぶ。

悲しむように叫ぶ。

憎むように叫ぶ。

ただ、ただ、純粋に。

何がしたいのかもわからない。
何があるのかもわからない。
ただ、その、悲しみを、世界に、自分に、全てにと、放ちたかった、伝えたかった
どうにか、したかった。
どうにもならないから、ただ、叫んだ。
何が叫ばせるのか、それすらもわからないまま、ただ、ただ。

そして、その時に、何かが、光が、生じた。

瞬間に放たれたそれは、正しく

神鳴りであり、

怒槌でもあり、

感情そのままの、発露である


判ることなど、何も無い。
出来る事は、判らない。
あったのは、ただの結果のみ。
怒りでもなく、悲しみでもない。
そこにあったのは、ただの純粋な“感情”
悲しいとか怒りとかに細分化される前の、どうしようもない気持ち。
世界に、己をぶつける行為。
深優・グリーアという少女が、世界に向けた最初の叫び。
巫女であり、祭祀であるhimeの、世界への呼びかけ。
himeとしての、産声。


“カマエル”

何処かで、確かにそのような名で呼ばれた天使。
彼女の『力』としてこの世に生を受けた『仔』―チャイルド―の産声。

狙いなど何も無く、そもそも攻撃的な意思すら定かでなく。
何処でもない、世界へと向けられた『声』は彼女の意思の元、世界へと降り注いだ。

かすかに残された闇を切り裂く、光の刃。
その光は、狙いを大きく外し、橋を支えるワイヤーへと突き刺さる。

両側から支える橋とは異なり、何箇所もの支柱を持つ鉄橋は、一部が破壊されたぐらいでは崩壊はしない。

だが、真に被害が現れたのはその場所ではなく、
外に、殆ど放たれない力は、周囲へと、発散され、付近を破壊し、

度重なる衝撃に撓んでいた中心部はその自重へと絶えかね、轟音とともに、崩落した。




川岸に、一輪の華が咲く。
血のように、いや、正しく血そのものの色の華
まるで彼岸花のごとくに、美しく、不吉な色合いをそこに残す。

雷とは、空気中の水分が凍結し、摩擦しあう事によって生まれる真空放電現象である。
要するに、唯の電気の塊なのだが、人々に恐れを抱かせるのは、その規模によるものである。

人の神経の伝達とは電気信号であり、その速度を人は認識出来ない。
故に、あの雷じは、元からユメイを狙った物では無いのだ。

「…………」

夜は、明ける。
元々夜明けはすぐそこまで迫っていたけれど、それでも、どうしても今の雷が夜闇を打ち払ったかのような思いを抱く。

天を操る力。
山の神か、それとも大鬼か、それらに比類しうる力。
神を封じる御柱程度では、到底抗し得ぬ力。
化した鬼を打ち倒し、今また天を呼ぶその力。

あの人は、果たして私の事を仇と思うのだろうか?
或いは、ただ力を奮いたかったのか?

願わくば、前者であってほしい。
その力を桂ちゃんに向ける事無く、私に向けて欲しい。

少女も鬼も、河に落ちた。
山の神も、鬼も、山の眷属なのだから、傷ついた身体で水に落ちた事は幸い。

しばらくはここには戻る事は無い。
先ほどの音を聞いて、恐らくこの場にやってくるあの子達と、出会う事は無い。

今は、此処から離れよう。
桂ちゃんは、きっと心配する。
私がした事を知っても、それでも心配して、ここまで来る。
もう、あの子に会うわけには行かない。
会えば、泣かせてしまいそうだから。


【B-4 鉄橋跡付近、西側/2日目 早朝】

【羽藤柚明@アカイイト】
【装備】:アヴァロン(エクスカリバーの鞘)@Fate/staynight[RealtaNua]
【所持品】
『武器』 :メガバズーカランチャー@リトルバスターズ!、電磁バリア@リトルバスターズ!
      騎英の手綱@Fate/staynight[RealtaNua]、金羊の皮(アルゴンコイン)@Fate/staynight[RealtaNua]、
      レミントンM700(7.62mmNATO弾:4/4+1)、予備弾10発(7.62mmNATO弾)、包丁@SchoolDaysL×H、
『服飾品』:メルヘンメイド(やよいカラー)@THEIDOLM@STER、ドリルアーム@THE IDOLM@STER、
      地方妖怪マグロのシーツ@つよきす-MightyHeart-、光坂学園の制服@CLANNAD
『その他』:支給品一式×5(一つ水なし)、ドッジボール@つよきす-MightyHeart-、縄、
      木彫りのヒトデ1/64@CLANNAD、情報の書かれた紙、木彫りのヒトデ4/64@CLANNAD、
      ガイドブック(140ページのB4サイズ)、ギルガメッシュ叙事詩、
【状態】:服は血まみれ、《力》増加中(贄の血)、肉体的疲労(中)、力消費(中)
【思考・行動】
 1:浅間サクヤを蘇生させ、羽藤桂と再会させるために殺し合いを肯定する。
 2:桂が心配
【備考】
 ※理樹たち、深優と情報を交換しました。深優からの情報は、電車を破壊した犯人(衛宮士郎)、神崎の性癖?についてのみです。
 ※エクスカリバーの鞘の治癒力は極端に落ちています。宝石などで魔力を注げば復活する可能性がありますが、幾つ使えばいいのかなどは不明です。
 ※ユメイルート終盤、桂が記憶を取り戻す『パンドラ』以降、ケイがオハシラサマになる『代わりの柱』以前より参戦。



俺はまだ、生きている。
何があったのかおぼろげにしかわからないが、それでいい。
結果として俺は生きていて、そしてあの男は死んだ。
深優がどうなったのか、それも今は気にしていられない。

過程などどうでもいい。

そうだ、殺し方なんて気にする必要はない。
要するに、

「な……に……?」

ただ、殺せばそれでいい。

何とか起き上がった視界に、飛び込んできた光景。
ごく普通の女子高生の手に、大きすぎる銃。
少女の手には、大きすぎて不釣合いな代物だ。
実に、意味不明な前衛芸術だな。
この距離だと、外しようが無い。

そもそも、俺は満足に動けもしない。

放たれた銃火は、

容易く俺の肩を貫き、

そして、背後の

奈落へと

転じた。


言うか、言わないか、迷った。
だけど、多分後になってから言うのは危険だから。
だから、深優さんが双七さんと一緒にいた事は告げた。
その事で、ここで戦いになってしまう事は予想できたのだけど、他の選択肢も無かった。

ユメイさんには声を掛けずに、橋までやってきて、そして、九鬼さんの死体と、まだ生きてる男の人が居た。
男の人は交渉の余地の無い危険な人だから、迷わず撃った。

「しまった、のかな」

これからどうなるにしろ、あの男を放っておくのは危険だったし、丁度良い場所に居てくれた。
だからまあ撃ってみた、のだけど。
生きてるかな?死んでるかな?
普通撃たれて河に落ちれば死んでるとは思うけど、逆に生存フラグとも言えるのかもしれない。


死んだと思っていたユメイさんが動いたのだし、どうなるか判らない。
ユメイさんに何があったのか知らないけど、とても普通じゃなかったから声は掛けなかった。

そして、今私はまた一人。
強力な同行者も、目的地も無い。


【B-4 鉄橋跡、橋の西側/一日目 早朝】

山辺美希@CROSS†CHANNEL ~to all people~】
【装備】:イングラムM10@現実(31/32)、投げナイフ4本
【所持品】:支給品一式×3、木彫りのヒトデ7/64@CLANNAD、ノートパソコン、MTB、
     『全参加者情報』とかかれたディスク@ギャルゲロワ2ndオリジナル、イングラムM10の予備マガジンx3(9mmパラベラム弾)
     コルト・パイソン(6/6)、.357マグナム弾10発、スタンガン
【状態】:右肩に銃の掠り傷、左膝に転んだ傷跡、疲労(小)
【思考・行動】
 基本方針:とにかく生きて帰る。集団に隠れながら、優勝を目指す。
 0:とりあえず誰かお人好しな人を捜す。
 1:自身の生存を何よりも最優先に行動する。
 2:最悪の場合を考え、守ってくれそうなお人よしをピックアップしておきたい。
 3:バトルロワイアルにおける固有化した存在(リピーター)がいるのでは?という想像。
 4:深優およびHiMEを警戒。神宮司の力に軽い興味。
 5:詳細名簿のデータは改変、もしくは破棄する

【備考】
 ※千華留たちと情報交換しました。深優、双七、なつきと情報を交換しました(一日目夕方時点)
 ※理樹の作戦に乗る気はないが、取りあえず参加している事を装う事にしました。
 ※参加者が違う平行世界から来ている可能性を考慮に入れました
 ※なごみと敵対していた人間の名前を入手。
 ※詳細名簿のデータをざっと閲覧しました。

【B-4 河/2日目 早朝】

吾妻玲二(ツヴァイ)@PHANTOMOFINFERNO】
【装備】: 防弾チョッキ 、
【所持品】:『袋1』SturmRugerGP100(6/6)、.357マグナム弾(24/36)、ダイナマイト@現実×5、トンプソンコンテンダー(弾数1/1)
      小鳥丸@あやかしびと-幻妖異聞録-、ニューナンブM60(5/5)、 二ューナンブM60の予備弾9発、 5.56mmx45ライフル弾7発
      『袋2』、ハルバード@現実、ハンドブレーカー(電源残量5時間半)@現実、ルガー P08(3/8+1)@Phantom、シアーズの資料
      『袋3』 支給品一式×11、刹那の携帯電話 、デジタルカメラ@リトルバスターズ! 、アサシンの腕、USBメモリ@現実 、
      桂の携帯(電池2つ)@アカイイト、医療品一式、恭介の機械操作指南メモ、秋生のバット、おにぎりx30
      野球道具一式(18人分、バット2本喪失)カジノの見取り図、ゲーム用のメダル(14000枚相当)
      懐中時計(オルゴール機能付き)@Phantom、包帯、業務日誌最終ページのコピー
【状態】:肋骨数本と左腕の骨にヒビ、右肩に銃の掠り傷、左膝に転んだ傷跡、首に痣、全身打撲、疲労(大)
【思考・行動】
基本:運営者側を脅迫して、キャルを生き返らせる。その為に首輪を外す、運営者側の反乱分子と接触する。
 1:????
 2:他の参加者達から、首輪解除、主催者側の反乱分子に関する情報を聞き出す。返答に関わらず殺す。
 3:ドクター・ウェストを発見すれば、首輪を外させる。
【備考】
 ※身体に微妙な違和感を感じています。
 ※時間軸はキャルBADENDです。
 ※5.56mmx45ライフル弾はトンプソンコンテンダー、コルトM16A2で使用可能です
 ※平行世界の存在に気付きました 
 ※ドクター・ウェストについて、烏月から話を聞きました
 ※防弾チョッキは一部破損しています
 ※深優と協定を結びました。
 ※シアーズ財団の詳細を知りました。シアーズが主催としている事を知っています。
 ※深優がアンドロイドである事を知りました。
 ※コンポジットボウはスリングが取り外された状態です。

※レザーソー、コルトM1917(0/6)、コルトM16A2&スナイパースコープ(0/20)、クトゥグア(0/10)が橋の上に落ちています。
※コンバットナイフ、ポリネーボガード製の透明の大盾は破壊されました。


さて、参った。
今度も、何も出来やしない。
いや、前は話せただけ上等だったか。

今は、ただ偶然引っかかった鎖が、何とか、意味を成している。
そういえば、金属を操る、それが、あいつの力だったか。

最期に、力を貸して、くれたのか?
何か、俺は、いつも、お前に助けられて、いるな……


嘆く、理由なんて無い。
数十分前に出会っただけ。
死んだところで、気にする必要も無い相手。
彼の死はどうしようもない事象で。
彼の命などどうでも良いもので。
私には、まるで関係の無い事柄で。

今、私が流されないのは、偶然彼の身体に繋がった鎖が、押し留めているだけ。
彼も、私の事などどうでも良かった筈。


悲しむべきものなど、何もないのに

全てが、悲しかった。

九鬼耀鋼@あやかしびと-幻妖異聞録-:死亡】


【B-4 鉄橋下の河の東岸付近(河の中)/2日目 早朝】

【深優・グリーア@舞-HiME 運命の系統樹】
【装備】:遠坂家十年分の魔力入り宝石、グロック19@現実(8/7+1/予備38)、
【所持品1】:支給品一式4×(食料-2)、拡声器 、天の鎖(エルキドゥ)@Fate/staynight[RealtaNua]
【所持品2】:クサナギ@舞-HiME 運命の系統樹、双身螺旋刀@あやかしびと -幻妖異聞録-
       首輪(リセ)、 刹那の制服と下着、ファルの首飾り@シンフォニック=レイン、良月@アカイイト
【状態】:悲嘆、服びしょ濡れ、体力消費(中)、肩に銃創(治療済み)、刀傷(治療済み)、右足から出血、全身打撲、ところどころ裂傷、全参加者の顔と名前は記憶済み
【思考・行動】
 基本方針:アリッサを救うために行動する。
 0:????
(以下以前の状態表)
 1:自分の意志で。
 2:アリッサを救うために殺し合いに乗る
 3:玲二を欺きつつ共に行動。進路は学校に。
 4:できるだけ殺し合いが加速するように他の参加者を扇動する
 5:ここにいるHiME(玖我なつき、杉浦碧、藤乃静留)を殺す。殺す時はバレないようにやる
 6:士郎、美希を警戒
 7:玲二の戦闘技術を盗む。
 8;もしアリッサが偽者なら――――自分が正しいと思う事をする。自分の意志で。

【備考】
 ※参加時期は深優ルート中盤、アリッサ死亡以降。
 ※HiME能力が覚醒しました。
 ※アリッサが本物かどうかは不明。深優のメモリーのブラックボックスに記録されたジョセフ神父の独白にその事実が保存されています。
  現在、プログラムではなく己の意志で動く深優で在る故に検索することも可能です。
 ※万全の状態で戦闘可能になるまでは若干の時間を要します。
 ※なつき、双七、美希と情報を交換しました(一日目夕方時点)
 ※玲二と協定を結びました。反乱分子の情報は深優は持っていません。                
 ※シアーズ財団の詳細を知りました。シアーズが主催としている事を知っています。
 ※アリッサに偽者がいることを知りました。
 ※九鬼の支給品(支給品一式、日本酒数本、首輪(宮沢謙吾))が九鬼の死体のすぐ側にあります。

 ※鉄橋の中央付近が崩落しました。(遊歩道などがあれば、渡れるかも?)
 ※鉄橋を中心に、大規模な爆音が付近に響き渡りました。

227:この大地を残酷に、美しく照らす 投下順 228:The straight
時系列順
羽藤柚明 237:THE GAMEM@STER SP(Ⅰ)
深優・グリーア 229:哀しみと真実と
吾妻玲二
山辺美希 231:The knife in the blue
九鬼耀鋼



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