冷血なりせば ◆S33wK..9RQ
研究所。そこには色々とよくわからない実験道具が散乱していた。
ホワイトボードには「弾幕が発射されてからのスピードの方程式」やら「シャドウを人工発生する方法」など
よくわからない単語が色々と殴り書きされていた。
はっきり言うとだ。めぼしいものはない。三階立てという小さな研究所だ。
めぼしいものも期待していなかったが。
しかし、まだ調べていないところもある。床に散乱している割れたフラスコなんか構わずに他になにかないか探した。
机の引き出しや、パソコンの中のファイル、それに本棚の下にある埃の溜まった隙間。
しかしでてくるのはやはり埃と役に立たない情報であった。
役に立たない情報。
前述した『弾幕』やら『シャドウ』やら『クリスタル』やらの単語が沢山出てくる実験の観察やその結果のテキストファイルばかりである。
このテキストファイルはなんてことはない。ただの『ブラフ』である。
このようなブラフでマルクは参加者を混乱させるのが目的だろう。
奴は私たちを弄んでいるでしかないのだ。
しかしその所業に怒っている場合ではない。
これは試練だとしたら、あのポケモン、マルクもディアルガとパルキアの傀儡でしかない。
つまり今回のこの騒動には怒る相手も憎む相手もいないということである。
少なくとも参加していない側には。
我が野望、実現の為には早急に脱出しなければならない。
しかしだ。まだ自分には情報が少ない。
あの自称吸血鬼とよくわからない、ポケモンか、いやそれとも、違う『何か』を操る少年。
あの二人が何者かがわからない限り、少々危険だ。つまり調べなければならない。
情報の収集。これがまず始めに行ったほうがいい筈である。
参加者のことがこの研究所に詳しく書いてある、なんてことはありえないと自分でもわかっているが。
しかしそれでも探さなければならない。
砂粒程のヒントがこの研究所にあるかもしれないのだ。
試練というのはヒントがなければ成り立たないものである。
試練は暗記テストの『問題』みたいなものだ。情報がなければ問題は解けない。
つまりそれは唯の教師の横暴にしかならない。
きっとこの会場にもヒントはどこかにある筈である。砂粒程の大きさのヒントがだ。
そのヒントが見つかれば脱出も容易い。その時、ふとあることに気付く。
スパコンをまた立ち上げて、その可能性を調べてみた。結果はやはり駄目である。
パソコンがあるということは外界へのコンタクトができる、
と考えたがこのパソコンの回線はこの研究所で独立しているらしい。
出来るのは一階のスパコンから三階へのスパコンへメールを送る事ぐらいであった。
スパコンとは『スーパーコンピューター』と略称である。
演算処理能力が高い、とだけ覚えている。しかしそれがどうしたのか。ただ計算が速いだけである。
この会場では役に立たないだろう。それに壁に組み込まれているタイプの為、持ち運びもできない。
回線も繋いでない。しかしだ。これは『ヒント』かもしれない。
この会場から脱出する為の。地図を取り出して『テトラ研究所』に印をつける。
今後、脱出のヒントになるものには印をつけることにする。
「(……しかしだ。私は脱出のスタンスでいいのだろうか?)」
この研究所で色々と探していると自然にその疑問が浮かんでくる。
というより、アカギは最初からこの殺し合いのスタンスは明確には決めていない。
いや、まだスタンスを決める事のはまだ早いか?
「(……あのレミリア・スカーレットやあの少年の様に得体の知れない者、
そして生身の体であの様な力を持っている参加者がいるかもしれない)」
そうだ。自分は生身の体である。そしてあの吸血鬼の少女(本当かはわからないが)には絶対に勝てないだろう。
少なくとも生身では。しかし、彼女の様な者が殺し合いに乗る側に居て、
対主催側にそのような人が居ない、ということはないだろう。
きっと対主催側にもレミリア・スカーレットの様な少女も居る筈である。
その様な人物をこちら側に引き込めば心強い。では、私のやることは、先ず仲間を得ることである。
そいつが熱血で私の様な冷血な人間ではない、正義感溢れる者だったら尚更いいだろう。
「(……そうと決まれば、先ずは他の参加者との接触か。……ん?)」
ふと、窓を見ると煙が上がっていた。アレは焚き木でもしているのだろうか?
接触すべきだろうか?……いや、きっと唯の一般人だろう。
殺し合いが行われている異様な島で敵に見つかるような行為をするのは自殺行為。
あの様な事をしては殺し合いに乗った者に丸見えで、いつ狙われても可笑しくはない。
そしてそれを全く想像が出来ない一般人を仲間に引き込まんでも脚を引っ張られるだけだろう。
つまり接触をすべきではない。
そう、結論づけたその数秒後、煙が絶えた。そのことに気付いたのだろうか。
それとも襲われたのだろうか。
私にはどうでもいいことである。そのときだった。外からガサガサと物音が聞こえる。
この研究所の周りは草むらが腰まで伸びていて凄く寂れていた。そのようなところを音を出さずに歩くのは困難である。
もっとも音を出さずに歩いているようには聞こえないが。慎重に窓からそれを見る。
「……酷いわね。薮蚊も多くて……あぁ!苛々する!」
そこには露出の多い女性が歩いていた。確かに美しいが、言葉使いからして『レディ』ではないと推測する。
しかし、その女性はさらにアカギを驚かせる。
「……むかつくわね!」
女性が手をかざすと突風が発生して、草むらは唯の土に変える。そして窓硝子がすべて割れた。
「……!!」
硝子が頬に刺さったが悲鳴を出すわけにはいかなかった。こちらの居場所を知らせるわけにはいかない。
なんだあの風は?風を操るのか?ポケモンの様に、生身の人間が?
「……酷いわね。痒いわ…苛々する。あれ以降、誰にも遭遇しないし……で、なにかしらこの建物は?」
女性が建物の前で止まる。断言しよう。この女性は危険人物だ。
危険人物ではなかったとして、接触をしてもきっと一癖も二癖もある性格だろう。まともな情報交換は出来ない。
それにこの女性は少しだけ服が乱れていた(服、にしては薄すぎるし、髪の方で判断した)この乱れは戦闘を行ったものだろう。
ホワイトボードには「弾幕が発射されてからのスピードの方程式」やら「シャドウを人工発生する方法」など
よくわからない単語が色々と殴り書きされていた。
はっきり言うとだ。めぼしいものはない。三階立てという小さな研究所だ。
めぼしいものも期待していなかったが。
しかし、まだ調べていないところもある。床に散乱している割れたフラスコなんか構わずに他になにかないか探した。
机の引き出しや、パソコンの中のファイル、それに本棚の下にある埃の溜まった隙間。
しかしでてくるのはやはり埃と役に立たない情報であった。
役に立たない情報。
前述した『弾幕』やら『シャドウ』やら『クリスタル』やらの単語が沢山出てくる実験の観察やその結果のテキストファイルばかりである。
このテキストファイルはなんてことはない。ただの『ブラフ』である。
このようなブラフでマルクは参加者を混乱させるのが目的だろう。
奴は私たちを弄んでいるでしかないのだ。
しかしその所業に怒っている場合ではない。
これは試練だとしたら、あのポケモン、マルクもディアルガとパルキアの傀儡でしかない。
つまり今回のこの騒動には怒る相手も憎む相手もいないということである。
少なくとも参加していない側には。
我が野望、実現の為には早急に脱出しなければならない。
しかしだ。まだ自分には情報が少ない。
あの自称吸血鬼とよくわからない、ポケモンか、いやそれとも、違う『何か』を操る少年。
あの二人が何者かがわからない限り、少々危険だ。つまり調べなければならない。
情報の収集。これがまず始めに行ったほうがいい筈である。
参加者のことがこの研究所に詳しく書いてある、なんてことはありえないと自分でもわかっているが。
しかしそれでも探さなければならない。
砂粒程のヒントがこの研究所にあるかもしれないのだ。
試練というのはヒントがなければ成り立たないものである。
試練は暗記テストの『問題』みたいなものだ。情報がなければ問題は解けない。
つまりそれは唯の教師の横暴にしかならない。
きっとこの会場にもヒントはどこかにある筈である。砂粒程の大きさのヒントがだ。
そのヒントが見つかれば脱出も容易い。その時、ふとあることに気付く。
スパコンをまた立ち上げて、その可能性を調べてみた。結果はやはり駄目である。
パソコンがあるということは外界へのコンタクトができる、
と考えたがこのパソコンの回線はこの研究所で独立しているらしい。
出来るのは一階のスパコンから三階へのスパコンへメールを送る事ぐらいであった。
スパコンとは『スーパーコンピューター』と略称である。
演算処理能力が高い、とだけ覚えている。しかしそれがどうしたのか。ただ計算が速いだけである。
この会場では役に立たないだろう。それに壁に組み込まれているタイプの為、持ち運びもできない。
回線も繋いでない。しかしだ。これは『ヒント』かもしれない。
この会場から脱出する為の。地図を取り出して『テトラ研究所』に印をつける。
今後、脱出のヒントになるものには印をつけることにする。
「(……しかしだ。私は脱出のスタンスでいいのだろうか?)」
この研究所で色々と探していると自然にその疑問が浮かんでくる。
というより、アカギは最初からこの殺し合いのスタンスは明確には決めていない。
いや、まだスタンスを決める事のはまだ早いか?
「(……あのレミリア・スカーレットやあの少年の様に得体の知れない者、
そして生身の体であの様な力を持っている参加者がいるかもしれない)」
そうだ。自分は生身の体である。そしてあの吸血鬼の少女(本当かはわからないが)には絶対に勝てないだろう。
少なくとも生身では。しかし、彼女の様な者が殺し合いに乗る側に居て、
対主催側にそのような人が居ない、ということはないだろう。
きっと対主催側にもレミリア・スカーレットの様な少女も居る筈である。
その様な人物をこちら側に引き込めば心強い。では、私のやることは、先ず仲間を得ることである。
そいつが熱血で私の様な冷血な人間ではない、正義感溢れる者だったら尚更いいだろう。
「(……そうと決まれば、先ずは他の参加者との接触か。……ん?)」
ふと、窓を見ると煙が上がっていた。アレは焚き木でもしているのだろうか?
接触すべきだろうか?……いや、きっと唯の一般人だろう。
殺し合いが行われている異様な島で敵に見つかるような行為をするのは自殺行為。
あの様な事をしては殺し合いに乗った者に丸見えで、いつ狙われても可笑しくはない。
そしてそれを全く想像が出来ない一般人を仲間に引き込まんでも脚を引っ張られるだけだろう。
つまり接触をすべきではない。
そう、結論づけたその数秒後、煙が絶えた。そのことに気付いたのだろうか。
それとも襲われたのだろうか。
私にはどうでもいいことである。そのときだった。外からガサガサと物音が聞こえる。
この研究所の周りは草むらが腰まで伸びていて凄く寂れていた。そのようなところを音を出さずに歩くのは困難である。
もっとも音を出さずに歩いているようには聞こえないが。慎重に窓からそれを見る。
「……酷いわね。薮蚊も多くて……あぁ!苛々する!」
そこには露出の多い女性が歩いていた。確かに美しいが、言葉使いからして『レディ』ではないと推測する。
しかし、その女性はさらにアカギを驚かせる。
「……むかつくわね!」
女性が手をかざすと突風が発生して、草むらは唯の土に変える。そして窓硝子がすべて割れた。
「……!!」
硝子が頬に刺さったが悲鳴を出すわけにはいかなかった。こちらの居場所を知らせるわけにはいかない。
なんだあの風は?風を操るのか?ポケモンの様に、生身の人間が?
「……酷いわね。痒いわ…苛々する。あれ以降、誰にも遭遇しないし……で、なにかしらこの建物は?」
女性が建物の前で止まる。断言しよう。この女性は危険人物だ。
危険人物ではなかったとして、接触をしてもきっと一癖も二癖もある性格だろう。まともな情報交換は出来ない。
それにこの女性は少しだけ服が乱れていた(服、にしては薄すぎるし、髪の方で判断した)この乱れは戦闘を行ったものだろう。
「まぁ、ゆっくり調べようかしら」
女性がドアノブの手をかけた。いま接触するわけには行かない。
いまの現在位置は三階だが幸い、裏口に非常口があった。
音を出さないようにゆっくり廊下に移動して、非常口のドアを開ける。ドアの向こうには鉄製の螺旋階段。
音を出さないようにゆっくりと降りる。
やがて階段を降りきった。頬に刺さった硝子を引き抜く。血が吹き出る。舌を動かし口の中を確認。
すると頬からピンク色の舌を覗かせる。
どこかで治療方法を探すか?……たしかこの研究所にも医務室はあったが
中身は医務的な道具は殆ど無くて蛻の殻であり、この殺し合いで役に立つのは包帯とベッドぐらいしかなかった筈だ。
包帯を持ち出せばよかったが、この傷を閉じるのを包帯で閉じるのは無理だろう。
針と糸が必要である。出血は…止まらなそうだ。支給品のタオル(正直、マルクに悪意を感じた物)で抑えておく。
「……(殺し合いに唯乗るのはやはり危険か。やはりこちらのスタンスで正解だったか)」
殺し合いにただ、乗る。つまり人を見かけたら殺す、という事だ。よほど自分に腕がなければ優勝は無理だろうが。
あのような女性がいるのだ。生身でポケモンの様な力を持つ人間と自分は戦えないだろう。
ではどうするか。先ほど考えたとおり、協力で使いやすい仲間、いや『手駒』を集めるしかないそして優秀な手駒を集め脱出方法を探す。それで脱出が無理だとしたら?
簡単だ。裏切ればよい。柔軟な対応をすればいいのだ。悪評を広められたとしたらそいつの悪評を広めればよい。
手駒がニコニコとこちらに接触したらニコニコ対応すればよい。
つまり、どんなことをしてでも私は生き残らなければならなかった。
明確にスタンスを決める必要は無い。柔軟な対応で、生き残ればいい。
使える手駒で前へ進む。簡単だ。ポケモンが人間に代わっただけである。そうと決まれば行動。使える人物を探す。
レミリア・スカーレットは……危険人物に変わりはないが、彼女の悪評を広めてもメリットはないだろう。
こちら側に引き込めたら引き込めばいい。できるか怪しいが。
女性がドアノブの手をかけた。いま接触するわけには行かない。
いまの現在位置は三階だが幸い、裏口に非常口があった。
音を出さないようにゆっくり廊下に移動して、非常口のドアを開ける。ドアの向こうには鉄製の螺旋階段。
音を出さないようにゆっくりと降りる。
やがて階段を降りきった。頬に刺さった硝子を引き抜く。血が吹き出る。舌を動かし口の中を確認。
すると頬からピンク色の舌を覗かせる。
どこかで治療方法を探すか?……たしかこの研究所にも医務室はあったが
中身は医務的な道具は殆ど無くて蛻の殻であり、この殺し合いで役に立つのは包帯とベッドぐらいしかなかった筈だ。
包帯を持ち出せばよかったが、この傷を閉じるのを包帯で閉じるのは無理だろう。
針と糸が必要である。出血は…止まらなそうだ。支給品のタオル(正直、マルクに悪意を感じた物)で抑えておく。
「……(殺し合いに唯乗るのはやはり危険か。やはりこちらのスタンスで正解だったか)」
殺し合いにただ、乗る。つまり人を見かけたら殺す、という事だ。よほど自分に腕がなければ優勝は無理だろうが。
あのような女性がいるのだ。生身でポケモンの様な力を持つ人間と自分は戦えないだろう。
ではどうするか。先ほど考えたとおり、協力で使いやすい仲間、いや『手駒』を集めるしかないそして優秀な手駒を集め脱出方法を探す。それで脱出が無理だとしたら?
簡単だ。裏切ればよい。柔軟な対応をすればいいのだ。悪評を広められたとしたらそいつの悪評を広めればよい。
手駒がニコニコとこちらに接触したらニコニコ対応すればよい。
つまり、どんなことをしてでも私は生き残らなければならなかった。
明確にスタンスを決める必要は無い。柔軟な対応で、生き残ればいい。
使える手駒で前へ進む。簡単だ。ポケモンが人間に代わっただけである。そうと決まれば行動。使える人物を探す。
レミリア・スカーレットは……危険人物に変わりはないが、彼女の悪評を広めてもメリットはないだろう。
こちら側に引き込めたら引き込めばいい。できるか怪しいが。
☆ ☆ ☆
「……数分までここに誰かいたのかしらね?」
荒れ放題の研究所内を見てそう思う。窓の近くには血が少し飛び散っていた。
私をここから覗き見ていた?だとしたら趣味が悪い。
しかし、見たことの無い建造物だ。否、見たことの無い家具だ。
更に否、なにもかもがみたことがない。普通の建物なら、建物ごと吹き飛ばしてやろうかと思った。
だが変わった建物だったので少し調べて見たくなったのだ。
「……なんなのかしらこれは?」
バルバリシアの目線にあるもの。それは自分の世界では絶対に見られないものばかりだった。
例えばホワイトボード。黒い墨の様な物で文字が書かれており、それを専用の硬い布でふき取れる。
なんて画期的なものだろうか。バルバリシアはそこに書いてあることよりもそれ自体に好奇心を揺さ振られていた。
他にもボールペン、顕微鏡、マッチ……
「楽しいわぁ。こんなにも面白い物があるなんてぇ……」
バルバリシアの好奇心はもう止まらない。そして30分ぐらい輪ゴムで遊んだ後に我に返った。
「……なにやってるのかしら私は」
そうだ。今はなんの時間だ?殺し合いじゃないか。
なのに私はよく分からない道具で遊びまわって何をやってるのだ?違うだろう。私は殺し合いを楽しむの……
「……え!?ちょっと?なにこれ!?」
あるものに目が行く。窓が光っている。そしてその窓の下にひかれた幾何学状の文字が書かれたボタン。
そして銀色の紐で繋がれた半楕円形のボール。スパコンである。アカギが電源を消し忘れたものである。
もっともこの異常な状況では消すつもりにもならなかったか。
兎に角、バルバリシアはそのパソコンに興味津々であった。
そのパソコンをみた瞬間、バルバリシアは一瞬過ぎった迷いも忘れていた。まるで、いや、そのままの光景であった。
パソコンを見たことのない露出の多い服を着た女性がマウスを動かして遊んでいる。
そんな光景。人間は新しい物が好きだ。彼女は人間ではないが、いま一番人間らしい彼女がここにいる。
そしてまた数十分後、我に返る。
「……馬鹿馬鹿しいわぁ。本当に」
スパコンの画面に手をかざし、破壊した。私はなにをやっているのだろうか?
殺し合いを楽しめるのにこんな所で時間を潰してしまうなんて。
こうしているうちに獲物はどこかに逃げたり、他の参加者によって殺されてるのではないだろうか?
だとしたら私はとても損をしている。
「……まだ近くにいるかもしれないわね」
なら、いまからでも間に合うだろう。私を覗き見していた参加者と遊ぶのは。そうときまれば捜索開始。
「でもその前に、支給品でも確認しようかしら」
まだ自分は支給品を確認していなかった。
自分には必要が無いと思ってたが、自分の知らない未知の道具があるかもしれない。この研究所には未知の道具が沢山あった。だとしたらこのデイパックの中にも?
もしこの研究所に尋ねなければ好奇心が刺激され、支給品を確認することはなかっただろう。
ゴソゴソとデイパックに手を突っ込む。出てきたのは紅白の玉であった。
説明書が張り付いていて、剥がしてそれを読む。『モンスターボール』というものらしい。
使い方の通り床に投げる。赤い光が飛び出し、そこに、気高き赤き竜が現れた
「あら?結構強そうじゃないの。……ホホホ。私の言うことを自由に聞くのね…えっと『ブラストバーン』?」
そこにいたのはリザードンであった。炎・飛行タイプであり、比較的強い方だ。
バリバリシアは説明書に載っていることを本当か確かめようと実際に命令をしてみる。しかしだ。
「…………………。」
「……聞こえなかったの?『ブラストバーン』よ!はやくやりなさい!」
リザードンはうんともすんとも言わなかった。ただジッとバルバリシアの目を見据えている。
それは睨んでるだけで虚勢を張っているのか。それとも自分が仕えるのに相応しいかを見極めているのかはわからない。
そして、予想もしなかった行動をリザードンは取ったわけである。
「…GYUAAAAAAAAAAAAAAAOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!」
「え!!?な、なによアンタ!!私の言うことが聞けないっていうの!?」
リザードンは咆哮を上げて、バルバリシアの目の前に顔を近づけた。その差、約5cm。
この目は、見たことがある。俺はお前になんか屈しない。命令なんか聞かないぞ。という事を訴える目だ。
今までこの目をする奴は片っ端から遊んでやったし、また、直ぐに屈して、
『許してくださいバルバリシア様』
と命乞いをさせるのが当たり前だった。しかし、それをこいつにさせるのは困難だと感じる。
この巨体、そしてプライド。そしてなにより、見ただけで分かる戦闘力の高さ。
もしかしたら、こいつは私より、ゴルベーザ様より強いんじゃないか、という考えが過ぎった。
だが、その考えが過ぎった瞬間、私のプライドが反発した。
「……言うことを聞きなさい。リザードン。私を誰だと思っているの……?」
「……GUHUUHUUUU」
まだリザードンとの距離は詰めたまま。数十秒経った後リザードンはそっぽを向いた。
リザードンはそっぽを向いているが、どこかには行かない。いや、行けないのか?モンスターボールを私が持っているから?
こいつを服従させるにはどうすればいいか。……いや、服従させる必要はないのか?
だいたい、私の目的は少しずれている。
好奇心を満たす為に支給品を確認したのに、今はリザードンを服従させる為に躍起になっている。
「……リザードン。戻りなさい。……苛々させるわねぇ」
リザードンがまた赤い光に包まれて、モンスターボールの中に戻る。
本来ならこの高飛車なプライドを崩す為にリザードンを攻撃し、屈服させるがこいつは私の所有物だ。
攻撃したい気持ちを抑えリザードンを元に戻す。きっといつか私の役に立つはずだ。
モンスターボールをデイパックに戻し、他の支給品を探す。
出てきたのは、大きめな救急箱。説明書が張り付いてある。こんどはマルクの汚い字で説明されていた。
『いろいろ入った医療道具なのサ!まぁ完璧に使えるわけないと思うけど(苦笑)』と。
「……馬鹿にしてるかしらぁ?この私を?」
説明書をおもいっきり床に叩き付けた。
リザードンの件で唯でさえ苛々していたのに、ここでマルクの嫌がらせみたいな説明を見たのだ。
余計に苛々する気持ちを抑える。
「……さてと。覗き見をしていた趣味の悪い人でも探そうかしらね……?」
ようやく本来の目的に行動を移す。この血の持ち主を探す。この建物からでようと立ち上がったその時だった。
荒れ放題の研究所内を見てそう思う。窓の近くには血が少し飛び散っていた。
私をここから覗き見ていた?だとしたら趣味が悪い。
しかし、見たことの無い建造物だ。否、見たことの無い家具だ。
更に否、なにもかもがみたことがない。普通の建物なら、建物ごと吹き飛ばしてやろうかと思った。
だが変わった建物だったので少し調べて見たくなったのだ。
「……なんなのかしらこれは?」
バルバリシアの目線にあるもの。それは自分の世界では絶対に見られないものばかりだった。
例えばホワイトボード。黒い墨の様な物で文字が書かれており、それを専用の硬い布でふき取れる。
なんて画期的なものだろうか。バルバリシアはそこに書いてあることよりもそれ自体に好奇心を揺さ振られていた。
他にもボールペン、顕微鏡、マッチ……
「楽しいわぁ。こんなにも面白い物があるなんてぇ……」
バルバリシアの好奇心はもう止まらない。そして30分ぐらい輪ゴムで遊んだ後に我に返った。
「……なにやってるのかしら私は」
そうだ。今はなんの時間だ?殺し合いじゃないか。
なのに私はよく分からない道具で遊びまわって何をやってるのだ?違うだろう。私は殺し合いを楽しむの……
「……え!?ちょっと?なにこれ!?」
あるものに目が行く。窓が光っている。そしてその窓の下にひかれた幾何学状の文字が書かれたボタン。
そして銀色の紐で繋がれた半楕円形のボール。スパコンである。アカギが電源を消し忘れたものである。
もっともこの異常な状況では消すつもりにもならなかったか。
兎に角、バルバリシアはそのパソコンに興味津々であった。
そのパソコンをみた瞬間、バルバリシアは一瞬過ぎった迷いも忘れていた。まるで、いや、そのままの光景であった。
パソコンを見たことのない露出の多い服を着た女性がマウスを動かして遊んでいる。
そんな光景。人間は新しい物が好きだ。彼女は人間ではないが、いま一番人間らしい彼女がここにいる。
そしてまた数十分後、我に返る。
「……馬鹿馬鹿しいわぁ。本当に」
スパコンの画面に手をかざし、破壊した。私はなにをやっているのだろうか?
殺し合いを楽しめるのにこんな所で時間を潰してしまうなんて。
こうしているうちに獲物はどこかに逃げたり、他の参加者によって殺されてるのではないだろうか?
だとしたら私はとても損をしている。
「……まだ近くにいるかもしれないわね」
なら、いまからでも間に合うだろう。私を覗き見していた参加者と遊ぶのは。そうときまれば捜索開始。
「でもその前に、支給品でも確認しようかしら」
まだ自分は支給品を確認していなかった。
自分には必要が無いと思ってたが、自分の知らない未知の道具があるかもしれない。この研究所には未知の道具が沢山あった。だとしたらこのデイパックの中にも?
もしこの研究所に尋ねなければ好奇心が刺激され、支給品を確認することはなかっただろう。
ゴソゴソとデイパックに手を突っ込む。出てきたのは紅白の玉であった。
説明書が張り付いていて、剥がしてそれを読む。『モンスターボール』というものらしい。
使い方の通り床に投げる。赤い光が飛び出し、そこに、気高き赤き竜が現れた
「あら?結構強そうじゃないの。……ホホホ。私の言うことを自由に聞くのね…えっと『ブラストバーン』?」
そこにいたのはリザードンであった。炎・飛行タイプであり、比較的強い方だ。
バリバリシアは説明書に載っていることを本当か確かめようと実際に命令をしてみる。しかしだ。
「…………………。」
「……聞こえなかったの?『ブラストバーン』よ!はやくやりなさい!」
リザードンはうんともすんとも言わなかった。ただジッとバルバリシアの目を見据えている。
それは睨んでるだけで虚勢を張っているのか。それとも自分が仕えるのに相応しいかを見極めているのかはわからない。
そして、予想もしなかった行動をリザードンは取ったわけである。
「…GYUAAAAAAAAAAAAAAAOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!」
「え!!?な、なによアンタ!!私の言うことが聞けないっていうの!?」
リザードンは咆哮を上げて、バルバリシアの目の前に顔を近づけた。その差、約5cm。
この目は、見たことがある。俺はお前になんか屈しない。命令なんか聞かないぞ。という事を訴える目だ。
今までこの目をする奴は片っ端から遊んでやったし、また、直ぐに屈して、
『許してくださいバルバリシア様』
と命乞いをさせるのが当たり前だった。しかし、それをこいつにさせるのは困難だと感じる。
この巨体、そしてプライド。そしてなにより、見ただけで分かる戦闘力の高さ。
もしかしたら、こいつは私より、ゴルベーザ様より強いんじゃないか、という考えが過ぎった。
だが、その考えが過ぎった瞬間、私のプライドが反発した。
「……言うことを聞きなさい。リザードン。私を誰だと思っているの……?」
「……GUHUUHUUUU」
まだリザードンとの距離は詰めたまま。数十秒経った後リザードンはそっぽを向いた。
リザードンはそっぽを向いているが、どこかには行かない。いや、行けないのか?モンスターボールを私が持っているから?
こいつを服従させるにはどうすればいいか。……いや、服従させる必要はないのか?
だいたい、私の目的は少しずれている。
好奇心を満たす為に支給品を確認したのに、今はリザードンを服従させる為に躍起になっている。
「……リザードン。戻りなさい。……苛々させるわねぇ」
リザードンがまた赤い光に包まれて、モンスターボールの中に戻る。
本来ならこの高飛車なプライドを崩す為にリザードンを攻撃し、屈服させるがこいつは私の所有物だ。
攻撃したい気持ちを抑えリザードンを元に戻す。きっといつか私の役に立つはずだ。
モンスターボールをデイパックに戻し、他の支給品を探す。
出てきたのは、大きめな救急箱。説明書が張り付いてある。こんどはマルクの汚い字で説明されていた。
『いろいろ入った医療道具なのサ!まぁ完璧に使えるわけないと思うけど(苦笑)』と。
「……馬鹿にしてるかしらぁ?この私を?」
説明書をおもいっきり床に叩き付けた。
リザードンの件で唯でさえ苛々していたのに、ここでマルクの嫌がらせみたいな説明を見たのだ。
余計に苛々する気持ちを抑える。
「……さてと。覗き見をしていた趣味の悪い人でも探そうかしらね……?」
ようやく本来の目的に行動を移す。この血の持ち主を探す。この建物からでようと立ち上がったその時だった。
ピンポンパンポーン
『あーあー、この研究所にいる女性に告ぐ。今すぐ一階の資料室に来て欲しい』
ピンポンパーパっ がちゃん
『あーあー、この研究所にいる女性に告ぐ。今すぐ一階の資料室に来て欲しい』
ピンポンパーパっ がちゃん
「……………戦線布告かしらね?ホホホ、いいわよぉ?そっちに行って上げるわぁ!!」
☆ ☆ ☆
本来ならこの研究所から直ぐに離れるつもりだったが、あのポケモン、リザードンの声が聞こえた。
私に支給されたものは、タオル、ケーシィ、栄養ドリンク(ポケモン用ではなく人間用だ。)のみだ。心細い。
仲間を探す前に死んでしまうかもしれない。そうなってしまうのを防ぐ為には護身用の武器、ポケモンが欲しかった。
だからここまで戻ってきたのだ。しかし、どうやって彼女からリザードンを奪取するか。
いやそれとも交渉か?いや、どちらでもよかった。欲しい結果はリザードンをこちらの所有物にすること。
それにいま、私は入念に準備をしているではないか。交渉に失敗したときの為に出入り口は自分の後ろにしておく。
そして研究所内に転がってあるよくわからないものを自分に有利になるように動かしておく。
これで完璧だ。問題はどうやってこちらに彼女を呼び寄せるか。なにかないかと思い、探す。そして所内放送を見つけた。
マイクのスイッチを入れるとこの殺し合いの場に似合わないファンシーなチャイムが研究所内の鳴り響く。
『あーあー、この研究所にいる女性に告ぐ。今すぐ一階の資料室に来て欲しい』
そういった後、すぐに罠の仕掛けてある部屋に戻る。そして待つ。直ぐに女性は研究室に入ってきてくれた。
なんの疑問も、そして警戒も無く。
「あなたが私を呼んだのかしらぁ?私を呼びつけるなんていい度胸ねぇ?しかもあなた、覗き見していた人?ホホホ、頬に穴が開いて綺麗な歯が見えるわよ?」
女性はニヤニヤしながらこちらを見ている。それを指摘され、直ぐにまたタオルで押さえつける。
「私の名前はアカギ。あなたのお名前は?」
「あらぁ?先に名乗るなんて礼儀を知っているのね。いいでしょう。私は、ゴルベーザ様に仕える四天王、バルバリシア、風のバルバリシアよ。それで私に何のようかしら?」
「……交渉が
「まさか、『交渉がしたい』なんていうんじゃないんでしょうね?唯の人間ごときが私に?……で、交渉に失敗した時、自分はいつでも逃げられる様に出入り口の近くにいるのね?」
「……そうだ。………わかった。ここから離れよう。これで対等だ。」
どうやら彼女はふざけた言動と自分勝手な一面を持っているが、頭は切れるらしい。
しかしだ。ここまでは誰にでも予想が出来た展開だ。私もバルバリシアも。だいたい不自然だろう。
あからさまな位置に私はいたのだから。
「……対等?あなたと私がぁ?面白いことをいうじゃない。で、交渉というのは?」
「……貴方が持っているポケモンと私の持っているポケモンを交換してほしい。」
「交換?…………フフフフフフホホホホホホ。」
ここまでも予想通りだが、交渉内容を出した途端、バルバリシアが笑い出したのだ。警戒をする。
「ねぇ。あなた、自分がなにを言っているのかわからないのかしら!?この私に交渉をしているのよ!?ただの人間が!!この私に!」
「……なんでもしよう。バルバリシア、いや、バルバリシア様。私は貴方の奴隷になろう。」
「は?……ホホホホホホホ!面白いじゃないの!?自ら奴隷に成り下がる人なんて生まれてから一度も見たことが無いわ!……それで、忠誠の証は?」
「……?」
「忠誠の証よ。『わたくしめは奴隷です。なんでもします』っていう証よぉ?」
忠誠の証。失念していた。この場合、どうすればいいのか。
例えば小指を切って謙譲するとか?それとも腕にサインでも刻むか?
それは駄目だ。この殺し合いでは小さな傷でも命取りになるだろう。塵も積もればなんとやら、というのは防ぎたい。
ではどうするか?
「……脚を舐めましょう。それで忠誠を誓えるのなら。」
「ふーん、小難しい顔しながら、忠誠を誓う方法をしっているのねぇ。それでいいわ。……にしてもこの『リザードン』の為にここまでするなんて。まぁ貴方ごときに手懐けられるとは思わないわよぉ。この私でさえ無理だったんだから」
そういいながらバリバリシアは椅子に座る。デイパックを机に置き、脚を差し出す。
「跪きなさい……やん、くすぐったいわぁん。犬みたいよあなた」
言われた通り、跪く。そして脚をゆっくりと舐める。これで偽りの忠誠は誓えた筈だ。
しかし、バルバリシアはこれでリザードンを交換してくれる訳がない。
こいつはここまでして欲しがっているのだ。
だとしたらこのポケモンはかなり良いものでは、と思うに違いなかった。
だからこうやって偽りの忠誠を誓い、時間を掛けて交渉する。
それで譲って貰えたらテレポートかなにかで逃げればよい。
逃げるのが不可能だとしたら、忠誠を誓ってるふりをして一緒に行動すればいい。
で、対主催側と戦闘になったとしたらバルバリシアを裏切ればいいのだ。で対主催の奴にはこう説明しよう。
『脅されてたんだ。助けてくれてありがとう』と。
「…ぁん…や……顔を上げなさいアカギ。もういいわよ……?」
顔を上げる。バルバリシアはニヤニヤしながら恍惚の表情をしていた。
しかし、その表情は少しずつ何かに代わっていった。
「アカギ。真っ直ぐこちらをみなさい。」
「……どうかなさったか?」
なんだ?バルバリシアの顔は……怒りに満ちていた。なぜ?私はどこかで襤褸をだしたのか?
「……その目よ」
冷え切った表情、そして冷え切った声で静かに言った。
「……どうかなさいましたか?」
「その目よ、っていったのよ!その目はリザードンと同じ目なのよ!」
そのときだった。バリバリシアが手をかざし、そして突風が吹いて私を吹き飛ばす。
「な!?がっ」
鈍い音が響く。棚に叩きつけら得た。鉄製の棚だったが、それは薄かったので棚が凹み、クッションの代わりになった。
しかしそれでもダメージは大きい。
「あなたは本当に忠誠なんて誓ってないわ!!その目は、何度も見てきたのよ!!……ホホホ!やっぱり人間ね。もう少しで騙されるところだったわ」
息が出来ない。吸い込めない。
「がぁ…はぁはぁ……目だと?」
「あなた、奴隷側にいたことないでしょう?私も奴隷側にいたことがないからわからないけど、あなた、プライドがあるのよ。人間が忠誠を誓うときは二つあるの。ひとつはその人物に心酔したとき、もう一つは命乞いをする時。でもあなたはどちらでもなかった……!」
バルバリシアは怒り狂った。そしてまた手をかざす。私はまた吹き飛ばされた。今度は床に叩きつけられた。
「ぐ、あ、あ……」
「まぁ、どっちにしてもこうやって貴方を殺すつもりだったけどねぇ、ホホホ」
笑いながら、怒りに身を任せて、こいつは私を殺すだろう。だが、まだ私は生きている。そしてこれも、計算の内、予想の内だった。
「……メガ……ック」
「……あらぁ?遺言かしら?いいわよ。聞いてあげるわ」
バルバリシアは私に顎を掴む、そして傷口をなぞりはじめる。悲鳴をあげそうになるが、だせなかった。
「メガトンキックだ!ケーシィ!」
「え?…な!?」
ケーシィに命令を出せないから。ケーシィを本棚の後ろに待機させておいたのだ。
威力の高いメガトンキックの命中率は低い。だが生物ではなく物体ならば確実にあたるだろう。
結構な重さのある本棚は少し床を滑りながら、バルバリシアに体当たりして圧し掛かった。
本棚からよく分からない専門書がバサバサと出てきた。
「いたいじゃないの!この私をなにしようっていうの!?これをどかしなさい!」
「……ゲホ、断る。デイパックを貰うぞ」
机においてあるバルバリシアのデイパックの中身を全て取り出す。全て。
「私のものよ!?返しなさいよ!」
本棚の下敷きになっているバルバリシアが叫ぶ。幸い、風を操れる手も本棚の下だった。
出ているのは長い髪と美しくも怒りで染まった汚い顔であった。
「ケーシィ、戻れ。リザードン、出て来い」
バリバリシアを無視して、ケーシィをモンスターボールに戻し、リザードンを取り出す。
「……GUYUYUUU」
リザードンは唸る。そして真っ直ぐアカギの目を見据えた。
「私でさえ手懐けるのが無理だったのよ!?あなたになんかむ、ムグゥ」
「五月蝿いな。蝿みたいな声をキーキーと出すな。耳障りだ」
バルバリシアの口に自分の血が付いたタオルを巻きつけた。うーうーとバルバリシアと唸る。
「いいか、お前はポケモンを知らないみたいだから冥土の土産に基礎知識を教えてやろう。ポケモンを手懐けるにはモンスターボールに入れる必要がある。それでもレベルの高いポケモンや強力なポケモンは言うことを聞かない。ならばどうするか。脅して言うことを聞かせるか、それともポケモントレーナーのとしてのレベルをあげるかだ」
「ぐ、うーうー!!」
アカギは本棚の上に座る。更に重さがかかりバルバリシアは苦しそうにする。リザードンはまだアカギの目を見据えていた。
「前者の方法は愚か者が小動物系のポケモンにすることが多い。しかし大きなポケモンや強力なポケモンを脅したりしては自分の命が危ない。お前もビビってこいつを脅せなかっただろう?だがな、私はこのポケモンが、リザードンが怖くないのだ」
リザードンはようやくアカギから目を逸らした。だが、バルバリシアの時とは違いそっぽは向かなかった。
「なぜなら私は自負している。ポケモントレーナーとしてレベルが高いとね」
「うー!うー!」
バルバリシアの目は怒りで一杯になっていた。アカギを睨む。
今すぐお前を殺してやるぞ、拷問にかけて殺してやる、と訴えている。
「それで、だ。バルバリシア。君には残念だが、死んでもらうしかないのだ」
「ん!?うー!うー!?」
「困るんだ。わたしが他の参加者から支給品を奪った事を知っている奴がいるのがね。例えそいつがこの殺し合いに喜々として乗る人物だとしても。私は『信用』が必要なんだ。もっともこの遊戯に乗った人物が『あいつは悪い奴だ』とか言い振り回しても聞く耳を持つ参加者などはいないと思うが」
「うー!?うー!?」
バルバリシアは唸り続けた。しかしその目は数刻ほど前の目とは違っていた。怒りに、驚嘆が混じっていた。
こんなところで死ぬの?しかも人間ごときに殺されるの?そう心の中で叫ぶ。
「本来なら君に色々な情報を吐いてもらっていたが、リザードンの鳴き声で尋問中に他の参加者と遭遇、っていうのは避けたい。拷問でもしようかと思ったが、運が良いな君は。それでは、バルバリシア。ごきげんよう。きっとお前も私も地獄に堕とされるだろうな。地獄でまた会おう」
死後の世界なんて信じちゃいないが、と呟き研究室から退出した。それと同時にリザードンが『ブラストバーン』をその部屋に向かって吐き出した。
私に支給されたものは、タオル、ケーシィ、栄養ドリンク(ポケモン用ではなく人間用だ。)のみだ。心細い。
仲間を探す前に死んでしまうかもしれない。そうなってしまうのを防ぐ為には護身用の武器、ポケモンが欲しかった。
だからここまで戻ってきたのだ。しかし、どうやって彼女からリザードンを奪取するか。
いやそれとも交渉か?いや、どちらでもよかった。欲しい結果はリザードンをこちらの所有物にすること。
それにいま、私は入念に準備をしているではないか。交渉に失敗したときの為に出入り口は自分の後ろにしておく。
そして研究所内に転がってあるよくわからないものを自分に有利になるように動かしておく。
これで完璧だ。問題はどうやってこちらに彼女を呼び寄せるか。なにかないかと思い、探す。そして所内放送を見つけた。
マイクのスイッチを入れるとこの殺し合いの場に似合わないファンシーなチャイムが研究所内の鳴り響く。
『あーあー、この研究所にいる女性に告ぐ。今すぐ一階の資料室に来て欲しい』
そういった後、すぐに罠の仕掛けてある部屋に戻る。そして待つ。直ぐに女性は研究室に入ってきてくれた。
なんの疑問も、そして警戒も無く。
「あなたが私を呼んだのかしらぁ?私を呼びつけるなんていい度胸ねぇ?しかもあなた、覗き見していた人?ホホホ、頬に穴が開いて綺麗な歯が見えるわよ?」
女性はニヤニヤしながらこちらを見ている。それを指摘され、直ぐにまたタオルで押さえつける。
「私の名前はアカギ。あなたのお名前は?」
「あらぁ?先に名乗るなんて礼儀を知っているのね。いいでしょう。私は、ゴルベーザ様に仕える四天王、バルバリシア、風のバルバリシアよ。それで私に何のようかしら?」
「……交渉が
「まさか、『交渉がしたい』なんていうんじゃないんでしょうね?唯の人間ごときが私に?……で、交渉に失敗した時、自分はいつでも逃げられる様に出入り口の近くにいるのね?」
「……そうだ。………わかった。ここから離れよう。これで対等だ。」
どうやら彼女はふざけた言動と自分勝手な一面を持っているが、頭は切れるらしい。
しかしだ。ここまでは誰にでも予想が出来た展開だ。私もバルバリシアも。だいたい不自然だろう。
あからさまな位置に私はいたのだから。
「……対等?あなたと私がぁ?面白いことをいうじゃない。で、交渉というのは?」
「……貴方が持っているポケモンと私の持っているポケモンを交換してほしい。」
「交換?…………フフフフフフホホホホホホ。」
ここまでも予想通りだが、交渉内容を出した途端、バルバリシアが笑い出したのだ。警戒をする。
「ねぇ。あなた、自分がなにを言っているのかわからないのかしら!?この私に交渉をしているのよ!?ただの人間が!!この私に!」
「……なんでもしよう。バルバリシア、いや、バルバリシア様。私は貴方の奴隷になろう。」
「は?……ホホホホホホホ!面白いじゃないの!?自ら奴隷に成り下がる人なんて生まれてから一度も見たことが無いわ!……それで、忠誠の証は?」
「……?」
「忠誠の証よ。『わたくしめは奴隷です。なんでもします』っていう証よぉ?」
忠誠の証。失念していた。この場合、どうすればいいのか。
例えば小指を切って謙譲するとか?それとも腕にサインでも刻むか?
それは駄目だ。この殺し合いでは小さな傷でも命取りになるだろう。塵も積もればなんとやら、というのは防ぎたい。
ではどうするか?
「……脚を舐めましょう。それで忠誠を誓えるのなら。」
「ふーん、小難しい顔しながら、忠誠を誓う方法をしっているのねぇ。それでいいわ。……にしてもこの『リザードン』の為にここまでするなんて。まぁ貴方ごときに手懐けられるとは思わないわよぉ。この私でさえ無理だったんだから」
そういいながらバリバリシアは椅子に座る。デイパックを机に置き、脚を差し出す。
「跪きなさい……やん、くすぐったいわぁん。犬みたいよあなた」
言われた通り、跪く。そして脚をゆっくりと舐める。これで偽りの忠誠は誓えた筈だ。
しかし、バルバリシアはこれでリザードンを交換してくれる訳がない。
こいつはここまでして欲しがっているのだ。
だとしたらこのポケモンはかなり良いものでは、と思うに違いなかった。
だからこうやって偽りの忠誠を誓い、時間を掛けて交渉する。
それで譲って貰えたらテレポートかなにかで逃げればよい。
逃げるのが不可能だとしたら、忠誠を誓ってるふりをして一緒に行動すればいい。
で、対主催側と戦闘になったとしたらバルバリシアを裏切ればいいのだ。で対主催の奴にはこう説明しよう。
『脅されてたんだ。助けてくれてありがとう』と。
「…ぁん…や……顔を上げなさいアカギ。もういいわよ……?」
顔を上げる。バルバリシアはニヤニヤしながら恍惚の表情をしていた。
しかし、その表情は少しずつ何かに代わっていった。
「アカギ。真っ直ぐこちらをみなさい。」
「……どうかなさったか?」
なんだ?バルバリシアの顔は……怒りに満ちていた。なぜ?私はどこかで襤褸をだしたのか?
「……その目よ」
冷え切った表情、そして冷え切った声で静かに言った。
「……どうかなさいましたか?」
「その目よ、っていったのよ!その目はリザードンと同じ目なのよ!」
そのときだった。バリバリシアが手をかざし、そして突風が吹いて私を吹き飛ばす。
「な!?がっ」
鈍い音が響く。棚に叩きつけら得た。鉄製の棚だったが、それは薄かったので棚が凹み、クッションの代わりになった。
しかしそれでもダメージは大きい。
「あなたは本当に忠誠なんて誓ってないわ!!その目は、何度も見てきたのよ!!……ホホホ!やっぱり人間ね。もう少しで騙されるところだったわ」
息が出来ない。吸い込めない。
「がぁ…はぁはぁ……目だと?」
「あなた、奴隷側にいたことないでしょう?私も奴隷側にいたことがないからわからないけど、あなた、プライドがあるのよ。人間が忠誠を誓うときは二つあるの。ひとつはその人物に心酔したとき、もう一つは命乞いをする時。でもあなたはどちらでもなかった……!」
バルバリシアは怒り狂った。そしてまた手をかざす。私はまた吹き飛ばされた。今度は床に叩きつけられた。
「ぐ、あ、あ……」
「まぁ、どっちにしてもこうやって貴方を殺すつもりだったけどねぇ、ホホホ」
笑いながら、怒りに身を任せて、こいつは私を殺すだろう。だが、まだ私は生きている。そしてこれも、計算の内、予想の内だった。
「……メガ……ック」
「……あらぁ?遺言かしら?いいわよ。聞いてあげるわ」
バルバリシアは私に顎を掴む、そして傷口をなぞりはじめる。悲鳴をあげそうになるが、だせなかった。
「メガトンキックだ!ケーシィ!」
「え?…な!?」
ケーシィに命令を出せないから。ケーシィを本棚の後ろに待機させておいたのだ。
威力の高いメガトンキックの命中率は低い。だが生物ではなく物体ならば確実にあたるだろう。
結構な重さのある本棚は少し床を滑りながら、バルバリシアに体当たりして圧し掛かった。
本棚からよく分からない専門書がバサバサと出てきた。
「いたいじゃないの!この私をなにしようっていうの!?これをどかしなさい!」
「……ゲホ、断る。デイパックを貰うぞ」
机においてあるバルバリシアのデイパックの中身を全て取り出す。全て。
「私のものよ!?返しなさいよ!」
本棚の下敷きになっているバルバリシアが叫ぶ。幸い、風を操れる手も本棚の下だった。
出ているのは長い髪と美しくも怒りで染まった汚い顔であった。
「ケーシィ、戻れ。リザードン、出て来い」
バリバリシアを無視して、ケーシィをモンスターボールに戻し、リザードンを取り出す。
「……GUYUYUUU」
リザードンは唸る。そして真っ直ぐアカギの目を見据えた。
「私でさえ手懐けるのが無理だったのよ!?あなたになんかむ、ムグゥ」
「五月蝿いな。蝿みたいな声をキーキーと出すな。耳障りだ」
バルバリシアの口に自分の血が付いたタオルを巻きつけた。うーうーとバルバリシアと唸る。
「いいか、お前はポケモンを知らないみたいだから冥土の土産に基礎知識を教えてやろう。ポケモンを手懐けるにはモンスターボールに入れる必要がある。それでもレベルの高いポケモンや強力なポケモンは言うことを聞かない。ならばどうするか。脅して言うことを聞かせるか、それともポケモントレーナーのとしてのレベルをあげるかだ」
「ぐ、うーうー!!」
アカギは本棚の上に座る。更に重さがかかりバルバリシアは苦しそうにする。リザードンはまだアカギの目を見据えていた。
「前者の方法は愚か者が小動物系のポケモンにすることが多い。しかし大きなポケモンや強力なポケモンを脅したりしては自分の命が危ない。お前もビビってこいつを脅せなかっただろう?だがな、私はこのポケモンが、リザードンが怖くないのだ」
リザードンはようやくアカギから目を逸らした。だが、バルバリシアの時とは違いそっぽは向かなかった。
「なぜなら私は自負している。ポケモントレーナーとしてレベルが高いとね」
「うー!うー!」
バルバリシアの目は怒りで一杯になっていた。アカギを睨む。
今すぐお前を殺してやるぞ、拷問にかけて殺してやる、と訴えている。
「それで、だ。バルバリシア。君には残念だが、死んでもらうしかないのだ」
「ん!?うー!うー!?」
「困るんだ。わたしが他の参加者から支給品を奪った事を知っている奴がいるのがね。例えそいつがこの殺し合いに喜々として乗る人物だとしても。私は『信用』が必要なんだ。もっともこの遊戯に乗った人物が『あいつは悪い奴だ』とか言い振り回しても聞く耳を持つ参加者などはいないと思うが」
「うー!?うー!?」
バルバリシアは唸り続けた。しかしその目は数刻ほど前の目とは違っていた。怒りに、驚嘆が混じっていた。
こんなところで死ぬの?しかも人間ごときに殺されるの?そう心の中で叫ぶ。
「本来なら君に色々な情報を吐いてもらっていたが、リザードンの鳴き声で尋問中に他の参加者と遭遇、っていうのは避けたい。拷問でもしようかと思ったが、運が良いな君は。それでは、バルバリシア。ごきげんよう。きっとお前も私も地獄に堕とされるだろうな。地獄でまた会おう」
死後の世界なんて信じちゃいないが、と呟き研究室から退出した。それと同時にリザードンが『ブラストバーン』をその部屋に向かって吐き出した。
☆ ☆ ☆
目の前には燃える研究所が聳え立つ。
「……ゴホゴホ。……く」
痛みに耐えながら頬の傷をやっとのことで縫いおわる。そしてガーゼで押さえ、テーピングで固定する。
結構な怪我だ。体中に痣ができた。骨が折れていないだけマシか。
しかし結果としてリザードンは手に入った。しかも強力なわざばかりを覚えている。
これは運が良い。豪運が自分に降りかかったといっても過言ではない。
「(……確かに運は良かったが。このままじゃ次は死ぬだろうな)」
そうだ。運がよかったから今自分は生きている。欺く事を失敗したら本来は死んでいただろう。
それに建物の外だとしたらあの風の威力は凄まじいものになっていた筈だ。
「(それに……『目』か)」
目。彼女は、バルバリシアは言っていた。その目はリザードンと同じ目だと。
出しっぱなしのリザードンの目を見てみる。……しかしなにがどう同じなのかはわからなかった。
「しかしな、バルバリシア。君は大事な事を教えてくれた。感謝しておこう」
バルバリシアが教えてくれたこと。自分が人を騙すことに慣れていないことだ。
だが、それがどうした?まだ自分は慣れていないだけある。これから慣れればいいじゃないか。
「リザードン、戻れ」
「……GYUYUUUU」
リザードンは唸りながらもモンスターボールに戻る。それを見るからにはまだ反抗している様に見えた。
「(……この私でさえも命令するのが精一杯か。)」
このリザードンは想像以上にじゃじゃ馬であった。どんな持ち主だったのだろうか。
このように強く育てるのは一級のブリーダーでも難しいだろう。
「(…ヒトカゲ、フシギダネ、ゼニガメ。確かこれは数年前のカントー地方での国家指定の配給ポケモンではなかったか。つまりこのリザードンはレッドのものか?)」
そう分析した。レッドのポケモンが支給されているということは、つまりだ。
私のポケモンも支給されている可能性がある。あくまで推測の域だが。
「(……そろそろ移動しなければならないか?この戦闘の音やリザードンの鳴き声を聞いたものがいるかもしれない)」
リザードンの泣き声は結構響いた。この泣き声に寄ってくる参加者がいるかもしれない。
対主催がこちらによってくればいいが、この殺し合いに乗った人物もよってくる可能性もある。
リザードンで対処できるが、これ以上騒ぎを大きくしたくはない。
それならここから早く移動したほうが得策だろう。ケーシィのテレポートは……使う必要は無いか。どこに行くかも検討は付かないし、大体『制限』とやらで使用できない。
となると徒歩で移動か。…少し時間が勿体無いが。いや、贅沢は言ってられないか。
……一つ疑問点があった。バルバリシアはやはりサイキッカーの様に、そしてポケモンの様に未知なる力を持つ人物であった。
さらに、バルバリシアはポケモンの存在を知らなかった。知らない振りをしてもメリットはないだろう。
だとしたら彼女は異世界人ということである。つまりポケモンが居ない世界があるということだ。
この様な事が出来るのはあの二体のポケモンしかいなかった。
ならばやはり、これは試練だ。この試練を打破したとき、私は……!!
「……ゴホゴホ。……く」
痛みに耐えながら頬の傷をやっとのことで縫いおわる。そしてガーゼで押さえ、テーピングで固定する。
結構な怪我だ。体中に痣ができた。骨が折れていないだけマシか。
しかし結果としてリザードンは手に入った。しかも強力なわざばかりを覚えている。
これは運が良い。豪運が自分に降りかかったといっても過言ではない。
「(……確かに運は良かったが。このままじゃ次は死ぬだろうな)」
そうだ。運がよかったから今自分は生きている。欺く事を失敗したら本来は死んでいただろう。
それに建物の外だとしたらあの風の威力は凄まじいものになっていた筈だ。
「(それに……『目』か)」
目。彼女は、バルバリシアは言っていた。その目はリザードンと同じ目だと。
出しっぱなしのリザードンの目を見てみる。……しかしなにがどう同じなのかはわからなかった。
「しかしな、バルバリシア。君は大事な事を教えてくれた。感謝しておこう」
バルバリシアが教えてくれたこと。自分が人を騙すことに慣れていないことだ。
だが、それがどうした?まだ自分は慣れていないだけある。これから慣れればいいじゃないか。
「リザードン、戻れ」
「……GYUYUUUU」
リザードンは唸りながらもモンスターボールに戻る。それを見るからにはまだ反抗している様に見えた。
「(……この私でさえも命令するのが精一杯か。)」
このリザードンは想像以上にじゃじゃ馬であった。どんな持ち主だったのだろうか。
このように強く育てるのは一級のブリーダーでも難しいだろう。
「(…ヒトカゲ、フシギダネ、ゼニガメ。確かこれは数年前のカントー地方での国家指定の配給ポケモンではなかったか。つまりこのリザードンはレッドのものか?)」
そう分析した。レッドのポケモンが支給されているということは、つまりだ。
私のポケモンも支給されている可能性がある。あくまで推測の域だが。
「(……そろそろ移動しなければならないか?この戦闘の音やリザードンの鳴き声を聞いたものがいるかもしれない)」
リザードンの泣き声は結構響いた。この泣き声に寄ってくる参加者がいるかもしれない。
対主催がこちらによってくればいいが、この殺し合いに乗った人物もよってくる可能性もある。
リザードンで対処できるが、これ以上騒ぎを大きくしたくはない。
それならここから早く移動したほうが得策だろう。ケーシィのテレポートは……使う必要は無いか。どこに行くかも検討は付かないし、大体『制限』とやらで使用できない。
となると徒歩で移動か。…少し時間が勿体無いが。いや、贅沢は言ってられないか。
……一つ疑問点があった。バルバリシアはやはりサイキッカーの様に、そしてポケモンの様に未知なる力を持つ人物であった。
さらに、バルバリシアはポケモンの存在を知らなかった。知らない振りをしてもメリットはないだろう。
だとしたら彼女は異世界人ということである。つまりポケモンが居ない世界があるということだ。
この様な事が出来るのはあの二体のポケモンしかいなかった。
ならばやはり、これは試練だ。この試練を打破したとき、私は……!!
【A-3 研究所近く/一日目/黎明】
【アカギ@ポケットモンスターシリーズ】
[状態]:疲労(少) 、頬に貫通傷(治療済み)、全身に痣
[装備]:リザードン
[道具]:基本支給品一式、モンスターボール(ケーシィ)、モンスターボール(リザードン)、リポビタンD、治療道具一式
[思考]
基本方針:もとの世界に戻り、野望を達成する。自己保身優先。手段は問わない。
1:この場から移動。
2:殺し合いに乗っていないように振舞い、仲間と情報を集める。
3:伝説のポケモンによって試されているのか?
4:主催者に反抗するか、殺し合いに乗るかは明確に決めていない(決めない)。
※ここが異世界であることを、なんとなく認識しはじめました。
※ケーシィは疲れています。
※リザードンを完璧に使いこなせません
※雷電たちの焚き木を目撃しました。
※どこに向かうかは次の書き手にお任せします
【アカギ@ポケットモンスターシリーズ】
[状態]:疲労(少) 、頬に貫通傷(治療済み)、全身に痣
[装備]:リザードン
[道具]:基本支給品一式、モンスターボール(ケーシィ)、モンスターボール(リザードン)、リポビタンD、治療道具一式
[思考]
基本方針:もとの世界に戻り、野望を達成する。自己保身優先。手段は問わない。
1:この場から移動。
2:殺し合いに乗っていないように振舞い、仲間と情報を集める。
3:伝説のポケモンによって試されているのか?
4:主催者に反抗するか、殺し合いに乗るかは明確に決めていない(決めない)。
※ここが異世界であることを、なんとなく認識しはじめました。
※ケーシィは疲れています。
※リザードンを完璧に使いこなせません
※雷電たちの焚き木を目撃しました。
※どこに向かうかは次の書き手にお任せします
【リザードン@ポケットモンスター】
火炎ポケモン。
レッドの物かは不明。覚えている技は「ブラストバーン」他3つ。説明書に使用できる技が記載されている
火炎ポケモン。
レッドの物かは不明。覚えている技は「ブラストバーン」他3つ。説明書に使用できる技が記載されている
【治療道具一式@現実】
ただの絆創膏から素人には難しい専門的な薬まで色々詰まった箱。
他の世界の治療品も詰まってるかもしれない。
ただの絆創膏から素人には難しい専門的な薬まで色々詰まった箱。
他の世界の治療品も詰まってるかもしれない。
☆ ☆ ☆
アカギが去った後の研究所。研究所は完全に焼けてはなかった。
火災報知器があり、スプリンクラーが作動したためか、形は完全に残っていた。だが、アカギはその点も考えていた。
研究室のスプリンクラーは棚により隠れていて消火するのに時間はかかり、バルバリシアは結局焼かれていった。
その研究所の廊下。水が天井から滴り、暗い廊下を鏡の様に映す。
そしてそこに真っ黒い得体の知れない物体があった。ふらふらと歩く。
真っ黒でところどころ肌色も見える。しかしそこも爛れて、それは水溜りに堕ちた。
それはバルバリシアだった。
やっとのことで本棚から脱出したその体は全てが焼け焦げており、女性に一番大事な顔は原型も留めていない。
眼球は皮膚が爛れて、瞼を完全に閉じた。女性独特の胸の凹凸も面影がない。
服にしては薄すぎた布も完全に焼けて肌に張り付いている。
口はタオルが巻かれ、言葉を発せないようになっている。
アカギの血で染み付いていた為、タオルは原型を留めていた。
そしてバルバルシアの頬周りも守られていてキメ細やかな肌が見えた。
タオルが廊下に落ちた。しかし声は発せられない。
熱い空気を吸い込んだ為か肺は殆ど機能していなかった。
バリバリシアは人間ではない。しかしリザードンの灼熱の炎は防ぎきれなかった。
バルバリシアの敗因は二つ。自分の力を最大限に発揮できない狭い建物内であったこと。
そしてアカギを舐めてかかったからである。
幾重にも張り巡らされたアカギの思考、作戦。そして自分の力を過信し過ぎてていたバルバリシア。
バルバリシアが負けるのは必然であった。たとえ百戦錬磨であっても。
バルバリシアはふらふらと歩く。人間にはない耐久力は逆にバルバリシアを苦しめた。
上手に呼吸が出来ない。体は全て火傷で爛れ、酷い所は真っ黒に焦げ落ちていくが、尚、バルバリシアは生き永らえていた。
しかし、いまその命の灯火も消えた。何も言わずに廊下に倒れこんだ。
何を思って死んでいったのかは誰にもわからなかった。当事者のバルバリシアであっても。
火災報知器があり、スプリンクラーが作動したためか、形は完全に残っていた。だが、アカギはその点も考えていた。
研究室のスプリンクラーは棚により隠れていて消火するのに時間はかかり、バルバリシアは結局焼かれていった。
その研究所の廊下。水が天井から滴り、暗い廊下を鏡の様に映す。
そしてそこに真っ黒い得体の知れない物体があった。ふらふらと歩く。
真っ黒でところどころ肌色も見える。しかしそこも爛れて、それは水溜りに堕ちた。
それはバルバリシアだった。
やっとのことで本棚から脱出したその体は全てが焼け焦げており、女性に一番大事な顔は原型も留めていない。
眼球は皮膚が爛れて、瞼を完全に閉じた。女性独特の胸の凹凸も面影がない。
服にしては薄すぎた布も完全に焼けて肌に張り付いている。
口はタオルが巻かれ、言葉を発せないようになっている。
アカギの血で染み付いていた為、タオルは原型を留めていた。
そしてバルバルシアの頬周りも守られていてキメ細やかな肌が見えた。
タオルが廊下に落ちた。しかし声は発せられない。
熱い空気を吸い込んだ為か肺は殆ど機能していなかった。
バリバリシアは人間ではない。しかしリザードンの灼熱の炎は防ぎきれなかった。
バルバリシアの敗因は二つ。自分の力を最大限に発揮できない狭い建物内であったこと。
そしてアカギを舐めてかかったからである。
幾重にも張り巡らされたアカギの思考、作戦。そして自分の力を過信し過ぎてていたバルバリシア。
バルバリシアが負けるのは必然であった。たとえ百戦錬磨であっても。
バルバリシアはふらふらと歩く。人間にはない耐久力は逆にバルバリシアを苦しめた。
上手に呼吸が出来ない。体は全て火傷で爛れ、酷い所は真っ黒に焦げ落ちていくが、尚、バルバリシアは生き永らえていた。
しかし、いまその命の灯火も消えた。何も言わずに廊下に倒れこんだ。
何を思って死んでいったのかは誰にもわからなかった。当事者のバルバリシアであっても。
【バルバリシア@ファイナルファンタジーⅣ 死亡】
※研究所内部はスプリンクラーが作動していて水浸しです。1階の資料室は色々焼け焦げており、本棚が倒れたりと散々な有様です。
また研究所内一階廊下にバルバリシアの死体が転がってます。またスパコンはバルバリシアによって破壊されました。
※研究所は三階立てであり、結構色々は部屋がありますが、アカギにより荒れ放題です。
また研究所内一階廊下にバルバリシアの死体が転がってます。またスパコンはバルバリシアによって破壊されました。
※研究所は三階立てであり、結構色々は部屋がありますが、アカギにより荒れ放題です。
☆ ☆ ☆
「あちゃー、4つの中で一番分かりやすいところにあるのにスルーするとか面白い奴なのサ。えっと、バルバリシア死亡っと。結構良いペースなのサ。君もそう思うでしょ?」
「………………。」
「……人が話しかけてるのに無視するのー?まったくつまらないのサ」
「…………すこし考え事をしてたの。あまり近づかないで頂戴」
「ただ話しかけただけなのに……。ただ中間管理職同士仲良くって思ったのサ」
「私は無理矢理つれてきたのは誰かしら」
「僕じゃないのサ。それに僕も無理矢理つれてこられた側なのサ」
「あら、それもそうね。で、あいつは今なにやってるのかしら?」
「……(静かにして欲しいのサ!ここも盗聴されてるのに…!アイツ呼ばわりなんかしたらなにされるか……!!)」
「あら、わざとよ。わ・ざ・と。」
「……僕は放送っていう大事な仕事があるからメンタルをあまり傷つけないでほしいのサ……。」
「精一杯に噛むことを願うわ」
「そんなこと言われると噛みそうになるから本当にやめて欲しいのサ!」
「冗談よ。お酒でもどう?毒は入ってないわ。こんな仕事、お酒でも飲みながらじゃないとやっていけないと思うけど」
「……遠慮しとくのサ」
時系列順で読む
投下順で読む
| back:赤の5、紅の15 | アカギ | next:放送五分前 -始まりの終わり- |
| back:Earth, Wind & Thunder | バルバリシア | GAME OVER |
| back:Earth, Wind & Thunder | リザードン | next:放送五分前 -始まりの終わり- |
| back:赤の5、紅の15 | ケーシィ | next:放送五分前 -始まりの終わり- |
| GAME START | マルク | next:第一回放送 |
| ??? | next:第一回放送 |