震災がれき受け入れ
地元・横須賀戸惑いも 知事、住民に説明へ
黒岩知事は20日、東日本大震災で生じたがれきを、横須賀市にある県の管理型最終処分場に受け入れる方針を表明した。年明けに同市で、知事と県民が話し合う「対話の広場」を開催し、地元住民に理解を求める考えだが、地元では戸惑いも広がっている。一方、県が受け入れる前に、がれきを焼却処分する横浜、川崎、相模原の3政令市は、県と連携して受け入れを進めたい意向だ。
知事は同日の県議会本会議で、「地元の理解が前提。私自ら県民に直接説明し、理解を得るよう努力する」と述べた。
県の方針では、がれきの放射性セシウム濃度が1キロ・グラムあたり100ベクレル以下を条件にがれきを受け入れる。
岩手県か
宮城県の被災地から運搬したがれきを、3政令市で焼却処分し、焼却灰を県の管理型最終処分場「かながわ環境整備センター」(横須賀市芦名)に埋め立て処分する。
今後、県は3政令市とともに、がれきの運搬や放射性物質の測定の方法などを定めた処理マニュアルを作成し、3政令市以外の市町村にも受け入れを働きかけていくことにしている。
これに対し、県の最終処分場がある横須賀市では困惑する声が上がった。
地元の芦名町内会の高橋和雄会長は「県からは何も説明がなかった。処分場使用について、県と地元の覚書では『県外から廃棄物は持ち込まない』と決まっており、受け入れには覚書を変更する必要がある。県がきちんと住民に説明して、理解を得られるようにすべきだ」と語った。
同市資源循環部の田中茂部長は「動きがあることは知っていたが、具体的な話は何も聞いていない。復興に協力はしたいが、県から地元住民に説明していただき、理解を得る必要がある。市も県の説明や地元の声を聞きながら対応していく」と話した。
一方、横浜市の林文子市長は「知事の発表を力強く思う。県や他の政令市と相談しながら検討していきたい」と述べ、受け入れに前向きな姿勢を示した。林市長は「市内の最終処分場は空きスペースが逼迫(ひっぱく)している。県の処分場で受け入れてもらえることはありがたい」と話した。
川崎市では、同市川崎区の浮島処理センターで、年間1万9000トンのがれきの受け入れを検討している。同センターは1日600トンの可燃ゴミを焼却処分できる。同市処理計画課では「安全対策や運搬方法、住民への説明はこれから県などと相談する」としている。
相模原市の加山俊夫市長は「県、横浜、川崎両市と協力して、市民の理解を第一に考えながら検討を進める」とコメント。同市の2か所のゴミ焼却場で1日計52・6トン、年間計1万8400トンのがれきの受け入れが可能と県に伝えている。
環境省は8月に、がれきの焼却灰の放射性セシウム濃度が1キロ・グラムあたり8000ベクレル以下なら、最終処分場に埋め立てが可能との指針を示している。同省によると、
東京都と
山形県がすでに、被災地からのがれきの受け入れを始めている。
(2011年12月21日 読売新聞)
最終更新:2011年12月22日 19:02