鬱蒼とした森。
木々の間から差し込む赤い光で照らされた場所。
そこに一人の少女が地面に横たわっていた。
木々の間から差し込む赤い光で照らされた場所。
そこに一人の少女が地面に横たわっていた。
10代半ば程の年齢だろうか。
平時であれば愛らしさを感じられる幼い顔立ち。
それが今は苦痛と恐怖で歪み、ポロポロと涙を流している。
何の前触れもなく不気味な場所に拉致された挙句、首輪を填められ殺し合いを強要されたのだ。
恐怖するのも無理は無いだろう。
平時であれば愛らしさを感じられる幼い顔立ち。
それが今は苦痛と恐怖で歪み、ポロポロと涙を流している。
何の前触れもなく不気味な場所に拉致された挙句、首輪を填められ殺し合いを強要されたのだ。
恐怖するのも無理は無いだろう。
だが、少女、山川美千子が恐れているのはそれだけではない。
「うぅ……痛いよぉ……」
剥き出しになった太もも。
シミ一つ無い白い素肌が、今は真っ赤に染まっている。
平安京を照らす月によるものではない。
ほっそりとした脚からドクドクと溢れ出す、美千子自身の血によるものだった。
シミ一つ無い白い素肌が、今は真っ赤に染まっている。
平安京を照らす月によるものではない。
ほっそりとした脚からドクドクと溢れ出す、美千子自身の血によるものだった。
メフィスとフェレスによるルール説明の直後、美千子は森の中で目を覚ました。
夢なら醒めて欲しいと必死に願ったが何の意味もなく、どれだけ目を擦っても映る景色は変わらなかった。
夢なら醒めて欲しいと必死に願ったが何の意味もなく、どれだけ目を擦っても映る景色は変わらなかった。
殺し合いなんてしたくない。
だけど誰かを殺さなければ、自分が殺される。
メフィス達に逆らえば首輪を爆破させられてしまう。
どうすればいいのか分からない。
最悪の状況に膝を抱えて泣き出してしまった。
だけど誰かを殺さなければ、自分が殺される。
メフィス達に逆らえば首輪を爆破させられてしまう。
どうすればいいのか分からない。
最悪の状況に膝を抱えて泣き出してしまった。
幼馴染の宮藤芳佳ならば、恐怖を振り切り殺し合いを止める為に奔走しただろう。
だけど自分には無理だ。
ウィッチの力も無く、芳佳のような勇気と優しさの無い自分は、こうして怯えて蹲る事しかできない。
自分でも嫌になる情けなさ、それを自覚して尚動けずにいる恐怖に圧し潰されそうになったその時。
森に銃声が響いた。
だけど自分には無理だ。
ウィッチの力も無く、芳佳のような勇気と優しさの無い自分は、こうして怯えて蹲る事しかできない。
自分でも嫌になる情けなさ、それを自覚して尚動けずにいる恐怖に圧し潰されそうになったその時。
森に銃声が響いた。
「い゛っ、ぁっ…!」
銃声と脚への激痛。
認識したのはほぼ同時であった。
視線を向けると右脚の肉が抉られ、出血しているのが見える。
今が殺し合いの最中だとはいえ、こんなに早く誰かに襲われるとは思っていなかった。
このままでは殺されてしまうが、逃げようにも痛みのせいで立ち上がれない。
倒れた姿勢のまま這って進もうとした時、茂みの奥からこちらに向かって来る足音が聞こえた。
認識したのはほぼ同時であった。
視線を向けると右脚の肉が抉られ、出血しているのが見える。
今が殺し合いの最中だとはいえ、こんなに早く誰かに襲われるとは思っていなかった。
このままでは殺されてしまうが、逃げようにも痛みのせいで立ち上がれない。
倒れた姿勢のまま這って進もうとした時、茂みの奥からこちらに向かって来る足音が聞こえた。
銃を撃った者がトドメを刺しに来る。
青褪めながら必死に逃れようとするが、足音の主はあっという間に美千子の目の前まで到達した。
青褪めながら必死に逃れようとするが、足音の主はあっという間に美千子の目の前まで到達した。
「チッ、やっぱ一発じゃ仕留められなかったな」
そう吐き捨てたのは、中学生程の目つきの悪い少年。
手には回収した美千子のデイバックが、もう片方の手には黒光りする拳銃が握られている。
自身を傷つけた凶器を前にし、美千子は震え上がった。
少しでも少年から離れようと体を動かす。
手には回収した美千子のデイバックが、もう片方の手には黒光りする拳銃が握られている。
自身を傷つけた凶器を前にし、美千子は震え上がった。
少しでも少年から離れようと体を動かす。
「おい、逃げてんじゃねーよ」
「あぶっ!?」
「あぶっ!?」
だが少年がそれを見逃すはずもなく、即座に妨害された。
美千子の顔面に蹴りが飛び、つま先がぶち当たる。
衝撃で鼻がへし折れ血が飛び散り、歯も何本か欠ける。
少年の暴力はそれだけでは終わらず、続けて数回体を蹴られた。
美千子の顔面に蹴りが飛び、つま先がぶち当たる。
衝撃で鼻がへし折れ血が飛び散り、歯も何本か欠ける。
少年の暴力はそれだけでは終わらず、続けて数回体を蹴られた。
「うぁ、いだぁ……」
鈍い痛みが脳に伝わって来る。
自分が今どんな顔になっているのか、鏡が無いので分からないが、きっと酷い顔に違いない。
自分が今どんな顔になっているのか、鏡が無いので分からないが、きっと酷い顔に違いない。
(芳佳ちゃん……助けて……)
心中で助けを求めるが、この場にいるのは自分と少年の2人のみ。
幼馴染の姿は影も形も見当たらない。
幼馴染の姿は影も形も見当たらない。
「はは、ひっでー顔」
蹴られた顔で涙を流す美千子を嘲笑う少年。
その表情からは罪悪感などこれっぽっちも感じられ無かった。
尤も彼、真宮裕明にそんな感情を求めた所で無駄だろう。
日頃から小動物を殺して鬱憤を晴らし、転校して来た少女へクラスメイトと共に度が過ぎたイジメを繰り返し、挙句の果てに少女の家族を死に追いやっても一切悪びれる事の無かったような人間だ。
そんな人間だからこそ、殺し合いに乗るのにも抵抗は無かった。
見せしめとして少女が殺された時こそ流石に動揺したものの、人殺しへの葛藤など微塵もない。
むしろ初めての殺人に期待で胸が高鳴った程だ。
その表情からは罪悪感などこれっぽっちも感じられ無かった。
尤も彼、真宮裕明にそんな感情を求めた所で無駄だろう。
日頃から小動物を殺して鬱憤を晴らし、転校して来た少女へクラスメイトと共に度が過ぎたイジメを繰り返し、挙句の果てに少女の家族を死に追いやっても一切悪びれる事の無かったような人間だ。
そんな人間だからこそ、殺し合いに乗るのにも抵抗は無かった。
見せしめとして少女が殺された時こそ流石に動揺したものの、人殺しへの葛藤など微塵もない。
むしろ初めての殺人に期待で胸が高鳴った程だ。
そんな真宮へ支給されたのは拳銃。
改造したエアガンなどではない、正真正銘の凶器。
普段使っているボウガンで無いのには少々落胆したが、これはこれで楽しめそうだと歪んだ笑みを浮かべた。
本物の銃を撃てる機会など、故郷の村にいた頃には考えられなかったのだ。
そう考えると、殺し合いに参加させてくれたメフィス達には感謝してやってもいいくらいだと思いながら森の中を歩き、そこで視界に映ったのは蹲る少女。
茂みに潜んだ真宮は、早速発見した獲物へ照準を合わせ試し撃ちとばかりに引き金を引いた。
弾丸は見事美千子を貫いたが、思ったよりも反動が大きかった為か、狙いがズレて頭部ではなく脚へ当たった。
一発で殺せなかった事に不満を抱きつつも、真宮は切り替える。
改造したエアガンなどではない、正真正銘の凶器。
普段使っているボウガンで無いのには少々落胆したが、これはこれで楽しめそうだと歪んだ笑みを浮かべた。
本物の銃を撃てる機会など、故郷の村にいた頃には考えられなかったのだ。
そう考えると、殺し合いに参加させてくれたメフィス達には感謝してやってもいいくらいだと思いながら森の中を歩き、そこで視界に映ったのは蹲る少女。
茂みに潜んだ真宮は、早速発見した獲物へ照準を合わせ試し撃ちとばかりに引き金を引いた。
弾丸は見事美千子を貫いたが、思ったよりも反動が大きかった為か、狙いがズレて頭部ではなく脚へ当たった。
一発で殺せなかった事に不満を抱きつつも、真宮は切り替える。
(上手く当てるには少し練習しといた方が良いかな。予備の弾も結構あるし)
この先参加者を確実に殺していくには、銃に慣れておく必要があると考える。
丁度目の前には絶好の的が転がっているのだし、こいつで練習しておくのも悪くないかもしれない。
丁度目の前には絶好の的が転がっているのだし、こいつで練習しておくのも悪くないかもしれない。
(けど銃声を聞いて他の奴が来るかもしれねえんだよな……)
銃という武器があるとはいえ、真宮は自分の力を過信してはいない。
こうして自分に銃が支給されたのならば、他の参加者、たとえば体格で大きく自分に勝る屈強な大人に、拳銃よりも強力な武器が渡っている可能性だって十分あり得る。
そんな相手と真正面からかち合えば、幾らなんでも分が悪過ぎる。
さてどうするかと暫し思考し、結論を出した。
こうして自分に銃が支給されたのならば、他の参加者、たとえば体格で大きく自分に勝る屈強な大人に、拳銃よりも強力な武器が渡っている可能性だって十分あり得る。
そんな相手と真正面からかち合えば、幾らなんでも分が悪過ぎる。
さてどうするかと暫し思考し、結論を出した。
(銃よりもやべェ武器持ってる奴に出くわすのは流石にな…。ここはさっさと殺して引いとくか)
既に支給品は奪ってあるのだし、余計なリスクを背負う事も無い。
故に手早く仕留めてこの場を去る。
そう決めた真宮は美千子の頭部に銃を当てた。
故に手早く仕留めてこの場を去る。
そう決めた真宮は美千子の頭部に銃を当てた。
美千子は最早呻き声を出す気力も失っていた。
痛めつけられた体は満足に動かせず、更に真宮が強く踏みつけている為逃げ出せない。
支給品も奪われ無手の自分に対し、相手は銃を持っている。
躊躇せず暴力を振るった相手に命乞いも無意味だろう。
今の自分に出来る事は、ただ黙って殺される瞬間を待つ事のみ。
絶望が美千子の心に広がって行く。
痛めつけられた体は満足に動かせず、更に真宮が強く踏みつけている為逃げ出せない。
支給品も奪われ無手の自分に対し、相手は銃を持っている。
躊躇せず暴力を振るった相手に命乞いも無意味だろう。
今の自分に出来る事は、ただ黙って殺される瞬間を待つ事のみ。
絶望が美千子の心に広がって行く。
(どうしてこうなちゃったんだろう……)
自分が何か悪いことでもしたのだろうか。
だからこんな、殺し合いなんかに巻き込まれたのだろうか。
自分にはこれからの人生を生きる価値が無いと見なされたのだろうか。
だからこうして殺されようとしているのだろうか。
考えても、理不尽な現実に対する答えは出なかった。
だからこんな、殺し合いなんかに巻き込まれたのだろうか。
自分にはこれからの人生を生きる価値が無いと見なされたのだろうか。
だからこうして殺されようとしているのだろうか。
考えても、理不尽な現実に対する答えは出なかった。
(芳佳ちゃん……)
ただそれでも。
もう二度と大切な幼馴染に、大好きな親友に会えないのだと思うと。
自然と涙が零れだした。
もう二度と大切な幼馴染に、大好きな親友に会えないのだと思うと。
自然と涙が零れだした。
そして、真宮が引き金に掛けた指へ力を込める。
「どーも、こんちゃーっす」
『!!!?!』
唐突に聞こえて来た声。
驚いた真宮が振り向くと、そこには男が立っていた。
驚いた真宮が振り向くと、そこには男が立っていた。
日焼けした肌に、茶髪のロン毛。
所謂イケメンと言った顔立ちの、何となくチャラい雰囲気をした男だ。
真宮が住んでいる田舎では見た事の無いタイプの大人だった。
同じく美千子も、こういった異性とは初めて接する。
とはいえ相手は何の変哲もない、能天気そうな男。
所謂イケメンと言った顔立ちの、何となくチャラい雰囲気をした男だ。
真宮が住んでいる田舎では見た事の無いタイプの大人だった。
同じく美千子も、こういった異性とは初めて接する。
とはいえ相手は何の変哲もない、能天気そうな男。
そのはず、だというのに。
「凄ぇ事になってんゾ〜。っていうか君さ、男の子が女の子に乱暴なんてしちゃ駄目だってそれ一番言われてるから」
ゾクリ、と真宮は全身が粟立つ感覚に襲われた。
(はっ…?何だこれ…何でこんな奴にビビって……)
ここにいるのはTDN空気の読めてない男に過ぎない。
男の外見に取り立てて特別な点は存在しない。
だと言うのに、男が放っているのは尋常でない程の存在感。
この赤い月に照らされた空間に居てなお、月光をも掻き消さんばかりの眩い輝きが発せられているように感じ、思わず眩暈がした。
男の外見に取り立てて特別な点は存在しない。
だと言うのに、男が放っているのは尋常でない程の存在感。
この赤い月に照らされた空間に居てなお、月光をも掻き消さんばかりの眩い輝きが発せられているように感じ、思わず眩暈がした。
「クソッ、近付くんじゃねえ!」
自身の動揺を振り払うかのように、真宮は男へ銃を向ける。
幸い男とはそれ程離れていない。
これなら当てられると自分を奮い立たせる。
誰がどう見ても絶対絶命のピンチな状況。
幸い男とはそれ程離れていない。
これなら当てられると自分を奮い立たせる。
誰がどう見ても絶対絶命のピンチな状況。
「ふーん(SBRN)、今度は俺を撃とうってんだ。いやー、最近の子どもは恐いねほんと」
なのに男の口から出たのは、どこまでも呑気な言葉。
緊張感の欠片も無い態度に、真宮は苛立ちで顔を歪める。
緊張感の欠片も無い態度に、真宮は苛立ちで顔を歪める。
「ぁ…逃、げて……」
一方で美千子は男へ逃げるよう促した。
彼女もまた男の異質さに気付いている。
しかし、生来の優しさ故か、こんなクッソ怪しい男でも殺されて欲しくはないと、何とか声を出した。
彼女もまた男の異質さに気付いている。
しかし、生来の優しさ故か、こんなクッソ怪しい男でも殺されて欲しくはないと、何とか声を出した。
「大丈夫だって、安心しろよ〜。ヘーキヘーキ、平気だから」
対する男の返答は酷くあっけらかんとしたもの。
どこまでも自分を舐めているとしか思えぬ言動に、真宮の中で男への恐怖より怒りが勝った。
どこまでも自分を舐めているとしか思えぬ言動に、真宮の中で男への恐怖より怒りが勝った。
もういい。
こいつが何なのかなんてどうでもいい。
二度とそのウザったいニヤけ面をできなくしてやる。
この手でブッ殺してやる!
こいつが何なのかなんてどうでもいい。
二度とそのウザったいニヤけ面をできなくしてやる。
この手でブッ殺してやる!
溢れる殺意に身を任せ真宮は引き金を引いた。
放たれた弾丸は真っ直ぐに男の胴体を貫く。
放たれた弾丸は真っ直ぐに男の胴体を貫く。
そのはずだった。
「は……?」
ポカンと口を開ける真宮の視線の先には、五体満足で立っている男がいた。
確かに男へ向けて引き金を引いた。
そのはずなのに、男には傷一つ見当たらない。
確かに男へ向けて引き金を引いた。
そのはずなのに、男には傷一つ見当たらない。
「もう終わりかな?」
男がニヤけ面で問いかけてくる。
慌てて照準を合わせ引き金を引く。
だが当たらない。
弾は発射されたのは間違いない。
なのに男は生きている。
慌てて照準を合わせ引き金を引く。
だが当たらない。
弾は発射されたのは間違いない。
なのに男は生きている。
「な、なんで……クソッ!ふざけんなよ!!」
得体の知れない男への恐怖が再度湧き上がる。
それを誤魔化すように、何度も引き金を引く。
そこでようやく真宮は気付いた。
弾丸は確かに発射された。
しかし男に当たる直前、見えない壁のようなものに弾かれている。
陳腐な喩えだが、バリアを張っているかのようだった。
だがそれに気づいた時はもう遅い。
構えた銃からはガチリ、という音がするだけで弾は出なくなった。
それを誤魔化すように、何度も引き金を引く。
そこでようやく真宮は気付いた。
弾丸は確かに発射された。
しかし男に当たる直前、見えない壁のようなものに弾かれている。
陳腐な喩えだが、バリアを張っているかのようだった。
だがそれに気づいた時はもう遅い。
構えた銃からはガチリ、という音がするだけで弾は出なくなった。
(たっ、弾切れ!?)
我武者羅に男へ発砲し、残弾数を気に掛けなかったからだ。
予備の弾はデイバックの中。
焦りながら手を伸ばす。
予備の弾はデイバックの中。
焦りながら手を伸ばす。
「大人しくしろぉ!バラ撒くぞこの野郎!(警告)」
だが、男が手をかざした途端、体が動かなくなった。
見ると光る輪のようなもので拘束されている。
ここに来てようやく理解した。
この男はマトモに戦って勝てる相手ではない。
否、そもそも手を出すこと自体が大間違いであったのだと。
見ると光る輪のようなもので拘束されている。
ここに来てようやく理解した。
この男はマトモに戦って勝てる相手ではない。
否、そもそも手を出すこと自体が大間違いであったのだと。
気付いたとしても既に手遅れであるが。
「さーてそれじゃ、罪を犯したんだからキッチリ罰も受けなきゃね」
男が真宮にかざす掌が輝き出す。
具体的に何をするつもりなのかは分からないが、きっと自分はタダでは済まない。
助かりたい、死にたくないという一心で真宮は許しを請うべく口を開き、
具体的に何をするつもりなのかは分からないが、きっと自分はタダでは済まない。
助かりたい、死にたくないという一心で真宮は許しを請うべく口を開き、
「神の裁き、よーく味わっとけよ?」
炎に包まれた。
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!」
服が、肌が、髪が、全身が焼ける。
体中を駆け巡る激痛に獣染みた絶叫が漏れる。
しかし、どれだけ叫んでも炎の勢いが弱まる事はない。
拘束されているせいでのたうち回ることもできない。
体中を駆け巡る激痛に獣染みた絶叫が漏れる。
しかし、どれだけ叫んでも炎の勢いが弱まる事はない。
拘束されているせいでのたうち回ることもできない。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
真宮は今自分が何を叫んでいるかも分からなかった。
ただ叫ばずにはいられない。
生きたまま燃やされる苦痛に、じっと耐えるなどできはしなかった。
ただ叫ばずにはいられない。
生きたまま燃やされる苦痛に、じっと耐えるなどできはしなかった。
「アー…アー…」
炎が激しさを増すのとは反対に、真宮の命の灯は弱まる。
やがて叫ぶ気力も無くなり、徐々に痛みも感じなくなっていく。
頃合いを見計らった男がかざしていた手を下げると、あっという間に炎は消滅した。
不思議な事に、あれだけ激しく燃えていたというのに、周りの木は一本残らず無事だった。
やがて叫ぶ気力も無くなり、徐々に痛みも感じなくなっていく。
頃合いを見計らった男がかざしていた手を下げると、あっという間に炎は消滅した。
不思議な事に、あれだけ激しく燃えていたというのに、周りの木は一本残らず無事だった。
男が見下ろす先にあるのは真宮“だった”モノ。
辛うじて人の形を保っている黒焦げの死体。
辛うじて人の形を保っている黒焦げの死体。
その姿は彼らに焼き殺された、野咲春花の家族そっくりだった。
【真宮裕明@ミスミソウ 死亡】
「ヨシッ、終わりっ!」
男は一仕事終えたかのような爽やかな笑顔で真宮を一瞥し、美千子へ近づく。
人一人を殺したばかりとは思えぬ異様な態度に、美千子の全身が震えだす。
人一人を殺したばかりとは思えぬ異様な態度に、美千子の全身が震えだす。
「ヒッ……」
真宮も常人とはかけ離れた異常者だったが、このロン毛男はそれ以上だ。
このままでは自分も燃やされると怯える美千子に構わず、男は手をかざす。
このままでは自分も燃やされると怯える美千子に構わず、男は手をかざす。
「大丈夫大丈夫。パパパッってやって、終わりっ」
美千子の体が光に包まれた。
そこで感じたのは全身を焼かれる苦痛、ではなく、ポカポカとした心地の良い暖かさだった。
予想していた灼熱が襲って来ず戸惑う美千子だが、そこである事に気付く。
ずっと感じていた痛みが薄れているのだ。
そこで感じたのは全身を焼かれる苦痛、ではなく、ポカポカとした心地の良い暖かさだった。
予想していた灼熱が襲って来ず戸惑う美千子だが、そこである事に気付く。
ずっと感じていた痛みが薄れているのだ。
「嘘……」
驚き右脚を見ると、何と銃創が瞬く間に塞がっているではないか。
もしやと思い顔に触れてみたが痛みは無い。
どうやら蹴られた時の傷も綺麗さっぱり治ってしまったようであった。
もしやと思い顔に触れてみたが痛みは無い。
どうやら蹴られた時の傷も綺麗さっぱり治ってしまったようであった。
「うし、こんなとこかな。んー、いつもなら一瞬で治るはずなんだけど、やっぱり弱くなっちゃってるね、俺。ちょっと疲れちゃってるし」
男はどこか不満気に自身の掌を眺め呟く。
その言葉に嘘は無い。
本来であれば美千子が負っていた傷など、瞬きの間に治療する事が可能である。
しかし、現在男の力は強く制限されている。
その言葉に嘘は無い。
本来であれば美千子が負っていた傷など、瞬きの間に治療する事が可能である。
しかし、現在男の力は強く制限されている。
「あ、あなたはいったい……」
呆然とする美千子へ、男は笑みを向ける。
それは好印象を与える人懐っこいものであり、同時に神々しい印象を抱かせるものだった。
それは好印象を与える人懐っこいものであり、同時に神々しい印象を抱かせるものだった。
「んー、まぁ一応神様かな?」
男は元々何の変哲も無いホモビ男優だった。
だがいつからか、インターネット上で多くの信者…淫夢厨と呼ばれる集団によって神として祭り上げられた。
多くのホモガキによる信仰を集め続けた結果、彼は本当に神にも等しい力を得てしまった。
だがいつからか、インターネット上で多くの信者…淫夢厨と呼ばれる集団によって神として祭り上げられた。
多くのホモガキによる信仰を集め続けた結果、彼は本当に神にも等しい力を得てしまった。
平安京にて神は力及ばず命を落とすのか。
それとも新たな神話を築き上げるのか。
それは誰にも分からない。
それとも新たな神話を築き上げるのか。
それは誰にも分からない。
【山川美千子@ストライクウィッチーズ】
[状態]:健康、精神疲労(中)、困惑
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:死にたくないけど、誰かを殺す事もしたくない
1:神様…?
[備考]
※参戦時期は不明。
[状態]:健康、精神疲労(中)、困惑
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:死にたくないけど、誰かを殺す事もしたくない
1:神様…?
[備考]
※参戦時期は不明。
【GO@真夏の夜の淫夢派生シリーズ】
[状態]:疲労(小)、神
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:どうしよっかな〜
1:とりあえずこの娘と話してみるか?
[備考]
※バトル淫夢みたいな能力が有りますねぇ!(治癒能力とかも)ありますあります。
※(制限されてるからロワを破綻させる程の力は)ないです。
[状態]:疲労(小)、神
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:どうしよっかな〜
1:とりあえずこの娘と話してみるか?
[備考]
※バトル淫夢みたいな能力が有りますねぇ!(治癒能力とかも)ありますあります。
※(制限されてるからロワを破綻させる程の力は)ないです。
※付近に真宮のデイバック(基本支給品、予備弾丸、ランダム支給品0〜2)が落ちています。H&K USP@現実(残弾0)は焼かれました。