『剣の話をするよりも俺は、兄上と双六や凧揚げがしたいです』
お前にとって剣の道は童遊び以下でしかないのだな
『いただいたこの笛を兄上だと思い、どれだけ離れていても挫けず、日々精進いたします』
そんなガラクタ、何がそれ程嬉しいと言うのか
『いつか、これから生まれてくる子どもたちが、私たちを超えてさらなる高みへと、登りつめてゆくんだ』
何が面白いというのだ。そんな未来など、想像しただけで吐き気がする
『お労しや、兄上』
何故だ。何故いつも、お前だけが特別なのだ
『俺も兄上のようになりたいです。この国で二番目に強い侍になります』
もうやめろ。私はお前が嫌いだ。
縁壱、私は……
○○○
「わーお。何だか凄いことになっちゃったぞ」
気味が悪い程に赤く染まった空の下、少女の口からそんな言葉が出た。
少女の名は久川凪。
346プロダクションに所属する双子アイドルの姉の方である。
346プロダクションに所属する双子アイドルの姉の方である。
「うーむ、新手のドッキリですか?ならばもっとキレの良いリアクションが求められてたり?でも初めてのドッキリが殺し合いだなんて、ブルッちまうぜ」
寮の自室にあるベッドに潜り、目を閉じた瞬間何故か殺し合いに参加していた。
当初は夢でも見ているのだと目を擦りながら考えていたが、拘束された少女の頭部が吹き飛んだ途端、凪の眠気も吹き飛んだ。
何が何だか分からず、オロオロしてたら何時の間にか街中にポツンと佇んでいたのだ。
当初は夢でも見ているのだと目を擦りながら考えていたが、拘束された少女の頭部が吹き飛んだ途端、凪の眠気も吹き飛んだ。
何が何だか分からず、オロオロしてたら何時の間にか街中にポツンと佇んでいたのだ。
「ハッ、もしかして、はーちゃんもここに来ているのでは?はーちゃんのエッチなハプニングがお茶の間に放送されるかもしれないなんて、凪ショック」
いったい何が起きているのかを自分なりに考えてみた。
まず夢ではない。
念の為に頬をつねってみたら普通に痛かったし、何より少女が殺された時の瞬間は、寝ぼけ半分だったにも関わらずハッキリと目に焼き付いている。
続いて考えたのは、これは番組か何かの企画ではないかと言うもの。
殺し合いなどと言う物騒な企画からして、深夜放送か何かかもしれない。
プロデューサーからは何も聞いていないが、事前に説明を受けていたらドッキリとは言わないだろう。
まず夢ではない。
念の為に頬をつねってみたら普通に痛かったし、何より少女が殺された時の瞬間は、寝ぼけ半分だったにも関わらずハッキリと目に焼き付いている。
続いて考えたのは、これは番組か何かの企画ではないかと言うもの。
殺し合いなどと言う物騒な企画からして、深夜放送か何かかもしれない。
プロデューサーからは何も聞いていないが、事前に説明を受けていたらドッキリとは言わないだろう。
「それならまずははーちゃんを探しましょう。はーちゃんとのラッキースケベを味わうのは他でもない、この凪だ!」
しかし、本当にドッキリなのだろうか。
「…………」
メフィスとフェレスと名乗った2人の少女。
彼女達から感じられた、怖気の走るような笑みは、決してお芝居とは思えなかった。
寝ぼけていたとはいえ、頭部だけの女性が見せた悲しみの表情は、決して偽物とは思えなかった。
平安京の街に広がる、肌にねっとり纏わりつくような雰囲気は、明らかに異常だとしか思えなかった。
彼女達から感じられた、怖気の走るような笑みは、決してお芝居とは思えなかった。
寝ぼけていたとはいえ、頭部だけの女性が見せた悲しみの表情は、決して偽物とは思えなかった。
平安京の街に広がる、肌にねっとり纏わりつくような雰囲気は、明らかに異常だとしか思えなかった。
「はーちゃん……」
ドッキリでは無いのならば。
これが正真正銘、本当の殺し合いだと言うのなら。
そして何より、自分だけでなく妹まで参加させられているのなら。
これが正真正銘、本当の殺し合いだと言うのなら。
そして何より、自分だけでなく妹まで参加させられているのなら。
颯は今もどこかで恐怖を味わっている。
悪意を持った参加者に襲われ、命の危機に陥っている。
悪意を持った参加者に襲われ、命の危機に陥っている。
そんな光景が思い浮かんだ瞬間、凪は走り出した。
その顔には、普段の彼女からは想像できないような、明確な焦りと不安が表れていた。
一刻も早く大切な妹を見つけなければ、という思いに突き動かされて、支給品の確認もせずに足を動かす。
その顔には、普段の彼女からは想像できないような、明確な焦りと不安が表れていた。
一刻も早く大切な妹を見つけなければ、という思いに突き動かされて、支給品の確認もせずに足を動かす。
久川凪が『彼』に出会ったのはその時だった。
道の真ん中に、一人の男が立っている。
男の格好は、凪から見ると酷く時代錯誤なものだった。
男の格好は、凪から見ると酷く時代錯誤なものだった。
時代劇でしかお目にかかった事の無い着物。
腰に差した一本の刀。
腰に差した一本の刀。
現代の街中を歩いていれば、何かの撮影か、はたまたコスプレイヤーと思われそうな姿。
何とも奇妙な男を前にし凪は、――凍り付いたように動かなくなった。
何とも奇妙な男を前にし凪は、――凍り付いたように動かなくなった。
男から感じられるのは、圧倒的な威圧感。
まるで首に抜き身の刃を当てられているような、感覚が凪に襲い掛かる。
まるで首に抜き身の刃を当てられているような、感覚が凪に襲い掛かる。
「ぇ…ぁ…」
何かを言おうとするが上手く行かない。
後ずさろうとしても、何故か体が動かない。
果たして彼女は自分の全身が震え、歯がカチカチと鳴っているのに気付けただろうか。
後ずさろうとしても、何故か体が動かない。
果たして彼女は自分の全身が震え、歯がカチカチと鳴っているのに気付けただろうか。
男がゆっくりと歩み寄って来る。
その度に、札のような耳飾りが揺れている。
月の光に照らされて目にした男の顔には、炎のような痣が浮かんでいた。
その度に、札のような耳飾りが揺れている。
月の光に照らされて目にした男の顔には、炎のような痣が浮かんでいた。
男と凪の目が合う。
凪はそれだけで気絶しそうになった。
男が凪に向ける視線はどこまでも冷たい。
まるで彼女を人どころか物としてすら見ていないような視線であった。
凪はそれだけで気絶しそうになった。
男が凪に向ける視線はどこまでも冷たい。
まるで彼女を人どころか物としてすら見ていないような視線であった。
「……」
男は何も言わない。
視線を凪に向けたまま、腰の刀を引き抜く。
ギラリと光る刀身に凪の全身が更に強張るが、男の様子に何ら変化は無い。
視線を凪に向けたまま、腰の刀を引き抜く。
ギラリと光る刀身に凪の全身が更に強張るが、男の様子に何ら変化は無い。
まるで道端の石ころを蹴とばすように、邪魔な羽虫を叩き落とすかのように。
何でもないことのように、凪の命を刈り取らんとする。
何でもないことのように、凪の命を刈り取らんとする。
その瞬間、男目掛けて刃が奔った。
―――月の呼吸 壱ノ型 闇月・宵の宮
無数の目に見えぬ刃を纏った、神速の一撃。
如何なる達人であろうと回避は困難に思える攻撃。
だが男は顔色一つ変えずに、一撃を躱し、不可視の刃を己の刀で持って防いだ。
如何なる達人であろうと回避は困難に思える攻撃。
だが男は顔色一つ変えずに、一撃を躱し、不可視の刃を己の刀で持って防いだ。
何が起こったのか分からず困惑する凪だが、眼前に立つ紫色の着物の男。
彼に助けられたのだと何とか理解して視線を上げ、再度凍り付いた。
彼に助けられたのだと何とか理解して視線を上げ、再度凍り付いた。
男の顔は人間ではあり得ない、六つの眼が存在した。
六眼の男は凪には目もくれず、自身の攻撃を難なく防いだ男を凝視する。
「何故だ……お前は……」
男の事など何一つとして知らない凪にも、六眼の男が激しく動揺している事が分かる程に声は震えていた。
必死に絞り出したであろう声は、まるで悲鳴のようにも聞こえた。
必死に絞り出したであろう声は、まるで悲鳴のようにも聞こえた。
「お前は……一体何をしている……縁壱……!!」
●●●
私はただ、縁壱、お前になりたかったのだ
●●●
これは自分への罰なのだろうか。
上弦の壱・黒死牟にはそうとしか思えなかった。
無限城での戦いに敗れ、目覚めた先は赤い空に覆われた平安京。
ここが死者の行き着く場所、地獄なのかと思ったがどうも違うらしい。
だがどうでもいいことだ。
どんなろくでもない場所だろうと、今の自分にはお似合いだろう。
ここが死者の行き着く場所、地獄なのかと思ったがどうも違うらしい。
だがどうでもいいことだ。
どんなろくでもない場所だろうと、今の自分にはお似合いだろう。
家を、妻子を、人間の身を、侍である事をも捨て去り。
結局何も得ることなく死んだ、惨めな敗北者らしい末路だ。
死んだ後地獄に落ちることすら許されず、こうして生を受けてしまった。
何と無様な姿か。
結局何も得ることなく死んだ、惨めな敗北者らしい末路だ。
死んだ後地獄に落ちることすら許されず、こうして生を受けてしまった。
何と無様な姿か。
一度死んだ身だからだろうか、主の声は聞こえない。
とはいえ、今更ノコノコ顔を出しに行ったとして、主が再度自分を部下として迎え入れるかは不明だが。
とはいえ、今更ノコノコ顔を出しに行ったとして、主が再度自分を部下として迎え入れるかは不明だが。
当ても無くぼんやりしながら歩いた先で、信じられないものを見た。
双子の弟、継国縁壱。
四百年前の赤い月の夜。
自身の眼前で絶命したはずの弟がいた。
姿は最後に見た時の、枯れ木のような老人のものではない。
全盛期である青年の姿だった。
四百年前の赤い月の夜。
自身の眼前で絶命したはずの弟がいた。
姿は最後に見た時の、枯れ木のような老人のものではない。
全盛期である青年の姿だった。
六つの眼を見開く黒死牟の視線の先で、縁壱は刀を抜いた。
傍にいるのは一人の少女。
誰がどう見ても、縁壱が少女を殺そうとしているのは明らかだった。
傍にいるのは一人の少女。
誰がどう見ても、縁壱が少女を殺そうとしているのは明らかだった。
黒死牟にはその光景が信じられなかった。
少女が鬼だと言うのなら驚きはしない。
子どもの姿をしていようと、人を喰う化け物相手に今更躊躇はしないだろう。
しかし少女はただの人間だ。
それも鬼殺隊の剣士とは違い、戦う術を持たない無力な人間。
非の打ち所がない人格者である縁壱が、そんな少女を手にかけようとするなど、現実とは思えなかった。
少女が鬼だと言うのなら驚きはしない。
子どもの姿をしていようと、人を喰う化け物相手に今更躊躇はしないだろう。
しかし少女はただの人間だ。
それも鬼殺隊の剣士とは違い、戦う術を持たない無力な人間。
非の打ち所がない人格者である縁壱が、そんな少女を手にかけようとするなど、現実とは思えなかった。
気が付くと黒死牟は刀を抜いていた。
助けた形となった少女には目もくれず、黒死牟は弟に問いかける。
「兄上」
月の呼吸をあっさり防いだ縁壱は、薄っすらと笑みを浮かべた。
「我らがいるのは殺し合いの場。ならば、それに従う。ただそれだけではありませんか?」
何でもないような答えに、黒死牟は思わず刀を落としそうになった。
この男は本当に縁壱なのか?
縁壱は間違ってもそのような事を口にする男ではなかった。
だが今の動きは間違いなく縁壱の……。
縁壱は間違ってもそのような事を口にする男ではなかった。
だが今の動きは間違いなく縁壱の……。
黙りこくった兄を見て、縁壱は申し訳なさそうに言う。
「兄上との再会は喜ばしいですが、今はまだ兄上と剣を交える気はありません」
「なに……?」
「鬼である兄上は人を喰らう度に強くなるのでしょう?ならば、この地にいる人を喰らって更に強くなってください。
私もその間、他の有象無象を排除しています。そうして最後の二人になった所で、存分に斬り合いましょう」
「なに……?」
「鬼である兄上は人を喰らう度に強くなるのでしょう?ならば、この地にいる人を喰らって更に強くなってください。
私もその間、他の有象無象を排除しています。そうして最後の二人になった所で、存分に斬り合いましょう」
今度こそ、黒死牟は何も言えなかった。
縁壱は鬼である自分が人を喰うことを肯定し、あっさりと参加者を殺すと宣言してきた。
兄の反応を気にする事無く背を向けて、僅かに振り返る。
縁壱は鬼である自分が人を喰うことを肯定し、あっさりと参加者を殺すと宣言してきた。
兄の反応を気にする事無く背を向けて、僅かに振り返る。
「そこの童女は兄上に差し上げます。喰らうも利用するも、兄上のご自由に」
それだけを告げ縁壱は離れていく。
視線を受けて震える凪と、呆然とする黒死牟はただその背を見送っていた。
姿が見えなくなるまで、縁壱が振り向く事は無かった。
視線を受けて震える凪と、呆然とする黒死牟はただその背を見送っていた。
姿が見えなくなるまで、縁壱が振り向く事は無かった。
【久川凪@アイドルマスター シンデレラガールズ】
[状態]:健康、精神疲労(中)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:はーちゃんに会いたい
1:どうしよう…
[備考]
※参戦時期は不明。
[状態]:健康、精神疲労(中)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:はーちゃんに会いたい
1:どうしよう…
[備考]
※参戦時期は不明。
【黒死牟@鬼滅の刃】
[状態]:健康、激しい精神的ショック
[装備]:虚哭神去@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:?????
1:?????
[備考]
※参戦時期は死亡後。
[状態]:健康、激しい精神的ショック
[装備]:虚哭神去@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:?????
1:?????
[備考]
※参戦時期は死亡後。
【虚哭神去@鬼滅の刃】
黒死牟の体内で生み出された刀。
無数の目が浮き出ており、刀身には血管のような筋が走っている。
破損しても瞬時に再生できる他、複数の刃を生やすことも可能。
黒死牟の体内で生み出された刀。
無数の目が浮き出ており、刀身には血管のような筋が走っている。
破損しても瞬時に再生できる他、複数の刃を生やすことも可能。
○●○
日の呼吸の剣士が、平安京を一人歩く。
死を振り撒く為に歩いて行く。
そこに嘗ての面影は無い。
辺獄の管理人と、悪しき陰陽師によって歪められた魂が戻る事は無い。
闇を払う日輪はもういない。
【八将神枠:歳刑神】
【継国縁壱@鬼滅の刃】
[状態]:健康
[装備]:縁壱の日輪刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]
基本方針:全てを斬り、最後に兄上と殺し合う
1:兄上以外の参加者を殺す
[備考]
※鬼殺隊に所属していた頃の姿になっています。
【継国縁壱@鬼滅の刃】
[状態]:健康
[装備]:縁壱の日輪刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]
基本方針:全てを斬り、最後に兄上と殺し合う
1:兄上以外の参加者を殺す
[備考]
※鬼殺隊に所属していた頃の姿になっています。
【縁壱の日輪刀@鬼滅の刃】
太陽に一番近く、一年中陽の射すという陽光山で採れる猩々緋砂鉄と猩々緋鉱石から打たれた日本刀。
継国縁壱は生涯に渡り振るい続けた。
太陽に一番近く、一年中陽の射すという陽光山で採れる猩々緋砂鉄と猩々緋鉱石から打たれた日本刀。
継国縁壱は生涯に渡り振るい続けた。