お団子頭と小学生に間違えられそうな程小さな体格が特徴的な女子高生、志摩リンは途方に暮れていた。
彼女は今日もいつも通り学校に行き、図書委員の仕事を終えて家に帰る途中だったはずだ。
しかし気づけば、血染めの様に紅く染まった空が浮かぶ不気味な平安京で、二人の少女達から殺し合いを命じられている。
彼女は今日もいつも通り学校に行き、図書委員の仕事を終えて家に帰る途中だったはずだ。
しかし気づけば、血染めの様に紅く染まった空が浮かぶ不気味な平安京で、二人の少女達から殺し合いを命じられている。
「どうしろって言うんだ……」
思わず弱気な言葉が出てしまうリン。しかしそれも無理はない。
何せ彼女はただの女子高生だ。
命を懸けるような戦いの経験も、鋼の信念も持ったことも無いごく普通の少女である。
故に殺し合いなんてしたくない、死にたくないと思いつつも、具体的な行動に移せない。
何せ彼女はただの女子高生だ。
命を懸けるような戦いの経験も、鋼の信念も持ったことも無いごく普通の少女である。
故に殺し合いなんてしたくない、死にたくないと思いつつも、具体的な行動に移せない。
それでも、とりあえず他の人を探そうと考えたリンは、あてどなく平安京の中を歩く。
しばらくそうしていると、彼女の目の前に、自分と同じ首輪をつけデイバックを背負う、全身が真っ白な一匹の犬が現れた。
しばらくそうしていると、彼女の目の前に、自分と同じ首輪をつけデイバックを背負う、全身が真っ白な一匹の犬が現れた。
(犬も殺し合いの参加者なのか)
リンは驚きつつも犬に近づいていく。
犬は彼女を警戒しているのか、距離を取りつつじっと彼女を見る。
リンはそんな犬に向かって、近寄ろうとはせずその場でしゃがみながら呼びかけた。
犬は彼女を警戒しているのか、距離を取りつつじっと彼女を見る。
リンはそんな犬に向かって、近寄ろうとはせずその場でしゃがみながら呼びかけた。
「大丈夫だぞ〜。私は殺し合いに乗ったりなんかしないぞ〜」
安心させようと呼びかけるリンに対し、犬は気持ちを理解したのか少しずつ彼女に近づいていく。
そして最終的には彼女が触れられるくらいに距離に入り、犬は彼女に抱き上げられた。
そして最終的には彼女が触れられるくらいに距離に入り、犬は彼女に抱き上げられた。
「おお、よしよし」
抱きながら犬を撫でるリン。
そこで彼女は、この犬が人に凄く慣れていることに気付いた。
そこで彼女は、この犬が人に凄く慣れていることに気付いた。
「お前、ひょっとして飼い犬か?」
「ワン」
「ワン」
リンが質問をすると、犬はそうだと言わんばかりに頷きながら吠える。
じゃあ名前があるな、と思った彼女は同じノリで聞いてみた。
じゃあ名前があるな、と思った彼女は同じノリで聞いてみた。
「ポチ?」
「クウン……」
「違うのか。じゃあ……白いから、シロ」
「ワン!」
「クウン……」
「違うのか。じゃあ……白いから、シロ」
「ワン!」
リンは犬の名前を当てた。
ここで種明かしをするが、シロは埼玉県春日部市に住む野原一家の飼い犬だ。
元々は捨て犬だったが、野原家の長男しんのすけが拾ってきたことからその家の飼い犬となった。
これだけなら普通の飼い犬だが、彼にはいくつか特徴がある。
元々は捨て犬だったが、野原家の長男しんのすけが拾ってきたことからその家の飼い犬となった。
これだけなら普通の飼い犬だが、彼にはいくつか特徴がある。
一つ。やたらと芸達者なこと。
後ろ脚だけで立って歩いたり逆立ちしたり、時には丸くなってわたあめみたいになるなど彼は多芸だ。
もし飼い主達がエサをやり忘れたら、彼は自分で芸をして近所の住人からエサを貰うこともあるくらいである。
後ろ脚だけで立って歩いたり逆立ちしたり、時には丸くなってわたあめみたいになるなど彼は多芸だ。
もし飼い主達がエサをやり忘れたら、彼は自分で芸をして近所の住人からエサを貰うこともあるくらいである。
そしてもう一つ。彼は修羅場の経験が多い。
彼の飼い主である野原一家は普通の一家のはずだが、妙に大規模な事件に巻き込まれることが多い。
それは世界規模なことさえもある。
そんな中で彼もまた、飼い主と一緒に戦うことがあったのだ。
故に、修羅場の経験値だけで言うなら、今彼を抱きかかえているリンよりも遥かに上である。
彼の飼い主である野原一家は普通の一家のはずだが、妙に大規模な事件に巻き込まれることが多い。
それは世界規模なことさえもある。
そんな中で彼もまた、飼い主と一緒に戦うことがあったのだ。
故に、修羅場の経験値だけで言うなら、今彼を抱きかかえているリンよりも遥かに上である。
しかし、そんなことをリンが知る機会はないだろう。
野原一家に出会うか、シロの言葉を理解する方法を手に入れない限りは。
野原一家に出会うか、シロの言葉を理解する方法を手に入れない限りは。
そして一人と一匹が合流し、出発しようとしたところで
「少し、いいかね?」
「うわぁ!?」
「うわぁ!?」
いきなり後ろから男に声をかけられ、リンは思わず叫んでしまった。
実の所、男は普通に彼女に近づき、普通に声をかけただけなのだが、シロに構っていたリンは存在に気付かなかったのだ。
その為、必要以上にビックリしてしまった。
実の所、男は普通に彼女に近づき、普通に声をかけただけなのだが、シロに構っていたリンは存在に気付かなかったのだ。
その為、必要以上にビックリしてしまった。
「あぁ、いや。す、すまない。驚かせてしまったね」
「いぇ、こっちが気付かなかったのが悪いので……」
「いぇ、こっちが気付かなかったのが悪いので……」
お互い気まずそうに謝りあうリンと男。
彼の外見は、一言で言うなら気弱そうな老人だ。
服装はイギリス海軍の制服、紺色の背広にワイシャツ。そしてネクタイ。
リンとシロは気付かないが、このデザインはBlue No.4 dress。イギリス海軍将校専用のものである。
見る人が見れば、この男はイギリス海軍の上層部だと気づくだろう。
そんな彼の名はシェルビー・M・ペンウッド。イギリス名門貴族の当主である。
彼がリン達に声をかけた理由はいたってシンプル。
彼の外見は、一言で言うなら気弱そうな老人だ。
服装はイギリス海軍の制服、紺色の背広にワイシャツ。そしてネクタイ。
リンとシロは気付かないが、このデザインはBlue No.4 dress。イギリス海軍将校専用のものである。
見る人が見れば、この男はイギリス海軍の上層部だと気づくだろう。
そんな彼の名はシェルビー・M・ペンウッド。イギリス名門貴族の当主である。
彼がリン達に声をかけた理由はいたってシンプル。
「な、なに。こんな状況でお嬢さんと犬だけでは怖いだろうと思ったからね。声をかけさせてもらったよ」
「あ、ありがとうございます……」
「あ、ありがとうございます……」
ペンウッドがリン達を守ろうとしたからである。
そんな優しさに彼女は感謝しつつも、内心ではちょっと頼りなさそうだなこの人、という失礼なことを考えていた。
もっとも、ペンウッドという男を知っている者なら、彼女の内心に同意を示してしまうかもしれないが、それはおいておこう。
そんな優しさに彼女は感謝しつつも、内心ではちょっと頼りなさそうだなこの人、という失礼なことを考えていた。
もっとも、ペンウッドという男を知っている者なら、彼女の内心に同意を示してしまうかもしれないが、それはおいておこう。
そのまま二人と一匹は自己紹介をし、互いの名前を教えあった。
ただしシロは犬なので、リンが名前を教えるという形になるが。
そして何か情報交換ができないか、と二人が考え始めたところで――
ただしシロは犬なので、リンが名前を教えるという形になるが。
そして何か情報交換ができないか、と二人が考え始めたところで――
「ワン!!」
シロは大声で吠えながら、二人を突き飛ばした。
「な、何だいきなり?」
「どうしたのかね?」
「どうしたのかね?」
突き飛ばされた二人が戸惑っていると、目の前を何かが横切り
ドゴォ
と爆音を響かせ、さっきまで二人がいた場所の射線上にある建物に穴が開く。
リンは咄嗟に物が飛んできた方向を見た。
そこには、彼女から見れば古臭い、というより物珍しさすら覚えるような和服の少女がいた。
少女はどこからか毬を取り出し、リン達に投げつける。
リンは咄嗟に物が飛んできた方向を見た。
そこには、彼女から見れば古臭い、というより物珍しさすら覚えるような和服の少女がいた。
少女はどこからか毬を取り出し、リン達に投げつける。
「ま、毬?」
「に、逃げるぞリン!」
「に、逃げるぞリン!」
攻撃手段が毬という、昔の遊び道具であることに対して呆気にとられるリンに対し、ペンウッドは迷いなく彼女の手を取り、逃げの手を打った。
ちなみにシロは迷いなくペンウッドに同調して逃げている。
ちなみにシロは迷いなくペンウッドに同調して逃げている。
リンと違い、彼は知っている。
世の中には人智を超えた怪物がいることを。吸血鬼という化け物の恐ろしさを。
今自分達に襲い掛かっている少女が、彼の知る吸血鬼と同じかは分からない。
しかし、あの少女が怪物で自分達を殺すことに何の躊躇もないことは分かる。
故に彼の判断は正しい。
世の中には人智を超えた怪物がいることを。吸血鬼という化け物の恐ろしさを。
今自分達に襲い掛かっている少女が、彼の知る吸血鬼と同じかは分からない。
しかし、あの少女が怪物で自分達を殺すことに何の躊躇もないことは分かる。
故に彼の判断は正しい。
その証拠に、少女が投げた毬はさっき見た風景のまま、建物の壁を破壊しているのだから。
「毬で、あんなことできるのか……!?」
「リン。信じられないかもしれないが、世界には化け物が確かに存在するんだ……!」
「リン。信じられないかもしれないが、世界には化け物が確かに存在するんだ……!」
心底唖然としているリンに、ペンウッドは忠告するように教える。
そしてシロは彼の言葉にうんうんと無言で頷いていた。
そしてシロは彼の言葉にうんうんと無言で頷いていた。
一方、毬を投げている少女、朱紗丸は苛立っていた。
彼女は鬼舞辻無惨という鬼に仕える、鬼である。
そんな彼女はある日、耳飾りをつけた鬼狩りを狩ってこいと命令を受けた。
しかし、彼女は殺そうとした鬼狩りと同じ場所に居合わせた医者、珠代の策略で無惨の名前を口にしてしまう。
無惨は、自身の情報が世間に漏れないように、部下の鬼が無惨の名を口にすると呪いで殺す仕掛けをしているのだ。
珠代はその呪いを利用した形になる。
彼女は鬼舞辻無惨という鬼に仕える、鬼である。
そんな彼女はある日、耳飾りをつけた鬼狩りを狩ってこいと命令を受けた。
しかし、彼女は殺そうとした鬼狩りと同じ場所に居合わせた医者、珠代の策略で無惨の名前を口にしてしまう。
無惨は、自身の情報が世間に漏れないように、部下の鬼が無惨の名を口にすると呪いで殺す仕掛けをしているのだ。
珠代はその呪いを利用した形になる。
朱紗丸は懸命に命乞いをするが、無惨にその言葉は届かない。
彼女は失意の中、命を散らした。
彼女は失意の中、命を散らした。
はずだが、朱紗丸は今こうして殺し合いに立っている。
彼女はこの状況をこう考えた。なぜ自分が生き返ったのかは分からないが、好機であると。
メフィスとフェレスとかいう小娘が言った、願いを叶える権利を鬼舞辻様に献上し、許しを乞おうと。
その為に彼女は、リン達を追い回していたのだ。
彼女はこの状況をこう考えた。なぜ自分が生き返ったのかは分からないが、好機であると。
メフィスとフェレスとかいう小娘が言った、願いを叶える権利を鬼舞辻様に献上し、許しを乞おうと。
その為に彼女は、リン達を追い回していたのだ。
朱紗丸からすればしつこく逃げ回るリン達だが、次第に限界が見えてきた。
そもそも人間と鬼では限界値に差がある。こうやって追い回していればいずれ力尽きるものだ。
そもそも人間と鬼では限界値に差がある。こうやって追い回していればいずれ力尽きるものだ。
事実、ペンウッドは力尽きる寸前だった。
彼は軍人だが、普段は司令部の人間である。
そして自分で認める位生まれついての家柄と地位だけで生きてきた男であり、自他共に認める無能である。
そんな男が犬と女子高生より先に体力が尽きるのは、摂理というものだろう。
だから彼は決断した。
彼は軍人だが、普段は司令部の人間である。
そして自分で認める位生まれついての家柄と地位だけで生きてきた男であり、自他共に認める無能である。
そんな男が犬と女子高生より先に体力が尽きるのは、摂理というものだろう。
だから彼は決断した。
「リン。き、君はシロを連れて逃げるんだ……」
自分がおとりになって、あの怪物からリンとシロを逃がすと。
当然、リンは反論する。
当然、リンは反論する。
「そ、そんなことできません……
一緒に逃げましょう!」
一緒に逃げましょう!」
必死にペンウッドの手を掴み、引こうとするリンだが、彼はその手を振り払った。
ペンウッドは無能だ。しかし彼をよく知る者は彼をこう称す。
彼は漢の中の漢だと。
そして彼が死に場所を決めたとき、彼に喜んでついて行く部下が数多居るほど、彼は人徳にあふれた男でもある。
そんな男が、自身の不甲斐なさに少女と犬を巻き添えにできるか?
できる訳がない。
だからこそ、例え無駄死にだとしても自分を犠牲にするのがシェルビー・M・ペンウッドという男なのだ。
彼は漢の中の漢だと。
そして彼が死に場所を決めたとき、彼に喜んでついて行く部下が数多居るほど、彼は人徳にあふれた男でもある。
そんな男が、自身の不甲斐なさに少女と犬を巻き添えにできるか?
できる訳がない。
だからこそ、例え無駄死にだとしても自分を犠牲にするのがシェルビー・M・ペンウッドという男なのだ。
それ故に、見捨てられないものもいる。
怪物、朱紗丸に立ち向かうため、実はあらかじめ確認していたデイバッグの中から刀を取り出し、構えるペンウッド。
しかし、シロが彼の横に並び立ってしまう。
しかし、シロが彼の横に並び立ってしまう。
シロは思った。
確かにこのおじさんとはさっき出会ったばかりだけど、だからといって見捨てられるか。
答えはできない、だ。仮にシロの飼い主達である野原一家なら、見捨てようとはしないだろう。
そして勝つことも諦めないだろう。
だからシロは、ペンウッドの横に並んだのだ。
確かにこのおじさんとはさっき出会ったばかりだけど、だからといって見捨てられるか。
答えはできない、だ。仮にシロの飼い主達である野原一家なら、見捨てようとはしないだろう。
そして勝つことも諦めないだろう。
だからシロは、ペンウッドの横に並んだのだ。
そしてリンも、一人と一匹を見捨てて逃げられなかった。
彼女は自分では思っていないが、お人よしだ。
初対面の遭難者を助けるくらいに
自分を助けるために怪物に立ち向かおうとする人と犬を見捨てられないくらいに。
彼女は自分では思っていないが、お人よしだ。
初対面の遭難者を助けるくらいに
自分を助けるために怪物に立ち向かおうとする人と犬を見捨てられないくらいに。
そこでリンは咄嗟に自分のデイバッグに手を入れ、何かを取り出す。
それは銃だった。
勿論、リンは銃など撃ったことも無い。実は隠された才能が有って、それに目覚めることも無い。
それでも、彼女は銃を構えた。
それは銃だった。
勿論、リンは銃など撃ったことも無い。実は隠された才能が有って、それに目覚めることも無い。
それでも、彼女は銃を構えた。
この瞬間、二人と一匹は『倒す』為に、怪物に立ちはだかったのだ。
しかし、そんなものは朱紗丸には関係ない。
「キャハハハハハハハッ! 愚かな!!
人間と犬ごときが、十二鬼月である私に勝てるわけがないのにのう!!」
人間と犬ごときが、十二鬼月である私に勝てるわけがないのにのう!!」
戦闘態勢を取る二人と一匹に対し、朱紗丸は嘲笑を浴びせる。
そしてその言葉は正しい。
彼らが朱紗丸に勝つ確率など、0に小数点をつけて、さらに0を数十個は並べて最後に1がつく程度しか存在しない。
それが現実だ。
そしてその言葉は正しい。
彼らが朱紗丸に勝つ確率など、0に小数点をつけて、さらに0を数十個は並べて最後に1がつく程度しか存在しない。
それが現実だ。
しかし、現実とは時に思いもよらぬ方向に変わっていくこともある。
例えば――
例えば――
「素晴らしい」
全くの第三者が、絶体絶命なこのタイミングで現れるということも、あり得る。
声の主は異様な姿だった。
紅い月が浮かぶこの平安京においてなお浮き上がる深紅のコートと帽子を身に纏った男だ。
だが、彼の顔にはこの状況に相応しくないほどの笑顔が、気味悪く浮かんでいる。
紅い月が浮かぶこの平安京においてなお浮き上がる深紅のコートと帽子を身に纏った男だ。
だが、彼の顔にはこの状況に相応しくないほどの笑顔が、気味悪く浮かんでいる。
「誰じゃ!?」
朱紗丸が男に叫ぶが、問われた方は二人と二匹に向かって歩きながら怪物を無視して手を叩き始める。
素晴らしい演説を聞いた聴衆のように。
感動した演劇を見終えた観客のように。
男は狂ったように感激し、狂ったように拍手を続けた。
そして二人と一匹に語り掛ける。
素晴らしい演説を聞いた聴衆のように。
感動した演劇を見終えた観客のように。
男は狂ったように感激し、狂ったように拍手を続けた。
そして二人と一匹に語り掛ける。
「人間だけができると思っていたが、こともあろうに犬までもが成し遂げた。
喜びの為ではない戦いを! 『倒す』為だけに戦うことを!! これほどに素晴らしいことを!!!」
「私を無視するなぁ!!」
喜びの為ではない戦いを! 『倒す』為だけに戦うことを!! これほどに素晴らしいことを!!!」
「私を無視するなぁ!!」
朱紗丸は狂ったように喜び続ける男に毬を投げつける。
だが男は避ける素振りすら見せず、そのまま体に喰らった。
当然、男の体には建物と同じように穴が開くが、信じられないことに、その穴が瞬く間に修復されていく。
そして男は己の体に起きたことなど意にも介さず話し続けている。
だが男は避ける素振りすら見せず、そのまま体に喰らった。
当然、男の体には建物と同じように穴が開くが、信じられないことに、その穴が瞬く間に修復されていく。
そして男は己の体に起きたことなど意にも介さず話し続けている。
「ああ、素敵だ。やはり人間は素晴らしい。そしてその犬も。
よほど飼い主に恵まれたのだろうな。そうでなければこんな犬は生まれはしまい」
よほど飼い主に恵まれたのだろうな。そうでなければこんな犬は生まれはしまい」
話し続ける男に朱紗丸は背中に腕を増やして六本にし、全力で毬を投げつけ続けるがそれでも男は気にも留めない。
体が破壊されるそばから修復されていき、悠然とただ進み続けている。
その異様な光景に、朱紗丸は少しずつだが怯え始めていた。
体が破壊されるそばから修復されていき、悠然とただ進み続けている。
その異様な光景に、朱紗丸は少しずつだが怯え始めていた。
「対してひきかえ貴様はどうだ。
圧倒的に上位でなければ笑えもせず、少し不利になれば顔が引きつる。
それでも貴様、怪物(フリークス)のつもりか」
「うるさぁい!!」
圧倒的に上位でなければ笑えもせず、少し不利になれば顔が引きつる。
それでも貴様、怪物(フリークス)のつもりか」
「うるさぁい!!」
男の言葉に朱紗丸は聞きたくないとばかりに叫ぶ。
しかし男は気付けば彼女のすぐ近くに立ち、首を締め上げ持ち上げた。
当然、朱紗丸は六本の腕全てを以って男を振り払おうとするが、男はなんてことないようにしゃべり続ける。
しかし男は気付けば彼女のすぐ近くに立ち、首を締め上げ持ち上げた。
当然、朱紗丸は六本の腕全てを以って男を振り払おうとするが、男はなんてことないようにしゃべり続ける。
「やめろ! 離せ!
私は十二鬼月だぞ!! それなのになぜ、こんなどこの誰とも分からぬ奴に!!」
「お前が何かは知らん。
だがお前みたいなゴミを処理するのが、HELLSING機関である私の務めだ」
私は十二鬼月だぞ!! それなのになぜ、こんなどこの誰とも分からぬ奴に!!」
「お前が何かは知らん。
だがお前みたいなゴミを処理するのが、HELLSING機関である私の務めだ」
そして男は朱紗丸の首に、牙を突き立てかみついた。
のちに聞こえてくるのは何かを啜る音。
この光景を見て、リンは思わず呟く。
のちに聞こえてくるのは何かを啜る音。
この光景を見て、リンは思わず呟く。
「吸血鬼……」
彼女の呟きは大正解。
男は吸血鬼で、怪物で、化け物だ。
その化け物は、朱紗丸の血を一滴残らず吸い尽くした。
もう、彼女の命は男の中にしかなくなったのだ。
男は吸血鬼で、怪物で、化け物だ。
その化け物は、朱紗丸の血を一滴残らず吸い尽くした。
もう、彼女の命は男の中にしかなくなったのだ。
【朱紗丸@鬼滅の刃 死亡】
二人と一匹が命を懸けて戦おうとした怪物は死んだ。
しかしそれは脅威が去ったのではなく、新たな脅威がやってきたのだ。
故にリンとシロは警戒を続けていた。
しかしペンウッドは何一つ怯えることなく、男に話しかけた。
しかしそれは脅威が去ったのではなく、新たな脅威がやってきたのだ。
故にリンとシロは警戒を続けていた。
しかしペンウッドは何一つ怯えることなく、男に話しかけた。
「き、君はHELLSING機関の者なのか……?
わ、私はシェルビー・M・ペンウッドだ。イ、インテグラルから私のことを聞いていないかい?」
「私はHELLSING機関所属ゴミ処理担当のアーカードだ。
そしてペンウッド卿のことは私も聞かされているとも」
「ど、どのようにだね……?」
「インテグラル曰く、言えばどんなものでも用意してくれる素晴らしいお方だと」
「そんな覚えられ方は勘弁してほしいものだな……」
わ、私はシェルビー・M・ペンウッドだ。イ、インテグラルから私のことを聞いていないかい?」
「私はHELLSING機関所属ゴミ処理担当のアーカードだ。
そしてペンウッド卿のことは私も聞かされているとも」
「ど、どのようにだね……?」
「インテグラル曰く、言えばどんなものでも用意してくれる素晴らしいお方だと」
「そんな覚えられ方は勘弁してほしいものだな……」
アーカードの言葉に落ち込むペンウッド。
しかし、さっきまでの恐ろしい光景からは想像できないほどコミカルなやり取りを見たリンは、緊張から解放され思わず地面にへたり込みがらこう言った。
しかし、さっきまでの恐ろしい光景からは想像できないほどコミカルなやり取りを見たリンは、緊張から解放され思わず地面にへたり込みがらこう言った。
「何だ、二人は知り合いだったのか……」
「ワフゥ……」
「ワフゥ……」
心底安心したとばかりに息を吐く二人。
一方、ペンウッドと話しながらアーカードは考える。
(さっき倒したあれは吸血鬼ではない。別物だ)
アーカードは血を吸った相手を取り込み、相手の記憶を知ることができる。
朱紗丸の血を吸って得たものは多い。
鬼。鬼狩り。そして鬼舞辻無惨。
鬼狩りという存在に彼は心惹かれるが、無惨率いる鬼に対し、アーカードは心底侮蔑する。
朱紗丸の血を吸って得たものは多い。
鬼。鬼狩り。そして鬼舞辻無惨。
鬼狩りという存在に彼は心惹かれるが、無惨率いる鬼に対し、アーカードは心底侮蔑する。
結局怪物(フリークス)はどこであろうと何も変わらない。
狂った少佐が率いる最後の大隊(ラスト・バタリオン)と同じものだ。
救えぬ馬鹿でしかない。
故に、もしこの殺し合いの中に他にもいるのなら、優先して処理させてもらおうと。
狂った少佐が率いる最後の大隊(ラスト・バタリオン)と同じものだ。
救えぬ馬鹿でしかない。
故に、もしこの殺し合いの中に他にもいるのなら、優先して処理させてもらおうと。
今はまだ何も意思統一ができていない二人と二匹。
彼らが何を選ぶのか、それを知るものは誰もいない。
彼らが何を選ぶのか、それを知るものは誰もいない。
【志摩リン@ゆるキャン△】
[状態]:健康、疲労(中)
[装備]:ミスタの銃(6/6)@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:死にたくない
1:ベンウッドさん、シロと行動する
2:知人がいるなら合流したい
3:ペンウッドさんとアーカードさんは知り合いなのか?
[備考]
参戦時期は少なくともなでしこと出会った後です。
[状態]:健康、疲労(中)
[装備]:ミスタの銃(6/6)@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:死にたくない
1:ベンウッドさん、シロと行動する
2:知人がいるなら合流したい
3:ペンウッドさんとアーカードさんは知り合いなのか?
[備考]
参戦時期は少なくともなでしこと出会った後です。
【シロ@クレヨンしんちゃん】
[状態]:健康、疲労(小)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らない。主催者を倒す
1:二人といっしょに行動する
2:しんちゃんがいるなら会いたい
[備考]
参戦時期は不明ですが、ひまわりが産まれてからの劇場版をいくつか経験しています。
[状態]:健康、疲労(小)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らない。主催者を倒す
1:二人といっしょに行動する
2:しんちゃんがいるなら会いたい
[備考]
参戦時期は不明ですが、ひまわりが産まれてからの劇場版をいくつか経験しています。
【シェルビー・M・ペンウッド@HELLSING】
[状態]:健康、疲労(大)
[装備]:煉獄杏寿郎の日輪刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2(確認済み)
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らない。主催者を倒す
1:リンとシロを守る。
2:仲間を集めて殺し合いに抗う
3:アーカード以外にも知人がいるなら合流したい
[備考]
参戦時期は少なくとも死亡前です。
[状態]:健康、疲労(大)
[装備]:煉獄杏寿郎の日輪刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2(確認済み)
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らない。主催者を倒す
1:リンとシロを守る。
2:仲間を集めて殺し合いに抗う
3:アーカード以外にも知人がいるなら合流したい
[備考]
参戦時期は少なくとも死亡前です。
【アーカード@HELLSING】
[状態]:健康、高揚
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]基本方針:インデクラルの元へ帰還する
1:ペンウッド卿達と行動するつもり。ただし、インテグラルが参加者にいる場合はその限りではない
2:ペンウッド卿はマスターの知人なので、彼の頼みなら多少は聞くつもりだが、やはりインテグラルが参加者にいる場合はその限りではない
3:素敵だ。やはり人間は素晴らしい
4:犬でさえ勇気を持つのか
5:鬼という生き物は救えぬ馬鹿でしかない。故に見つければ処理する
[備考]
参戦時期は少なくともシュレディンガーを取り込むより前です。
身体能力、耐久力に制限が掛かっています。詳しい内容は次の書き手氏にお任せします。
朱紗丸の血を吸ったため、鬼@鬼滅の刃 についての知識を手に入れました。
[状態]:健康、高揚
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]基本方針:インデクラルの元へ帰還する
1:ペンウッド卿達と行動するつもり。ただし、インテグラルが参加者にいる場合はその限りではない
2:ペンウッド卿はマスターの知人なので、彼の頼みなら多少は聞くつもりだが、やはりインテグラルが参加者にいる場合はその限りではない
3:素敵だ。やはり人間は素晴らしい
4:犬でさえ勇気を持つのか
5:鬼という生き物は救えぬ馬鹿でしかない。故に見つければ処理する
[備考]
参戦時期は少なくともシュレディンガーを取り込むより前です。
身体能力、耐久力に制限が掛かっています。詳しい内容は次の書き手氏にお任せします。
朱紗丸の血を吸ったため、鬼@鬼滅の刃 についての知識を手に入れました。
【煉獄杏寿郎の日輪刀@鬼滅の刃】
シェルビー・M・ペンウッドに支給。
赫い刀と炎のような形の鍔、白い柄と鞘。そして焔のような刃紋が特徴。
長さは950mm。
シェルビー・M・ペンウッドに支給。
赫い刀と炎のような形の鍔、白い柄と鞘。そして焔のような刃紋が特徴。
長さは950mm。
【ミスタの銃@ジョジョの奇妙な冒険】
志摩リンに支給。
装填数6発のリボルバー銃。
銃の正確な種類は不明だが、S&W M49と推測される。
志摩リンに支給。
装填数6発のリボルバー銃。
銃の正確な種類は不明だが、S&W M49と推測される。