野望のさらにその先へ ◆OmtW54r7Tc



結局黒岩省吾は、二人を仲間にすることなく立ち去った。
その理由は…ふと地図を見て、図書館を見つけたからだ

「NEVER、砂漠の使徒、テッカマン、外道衆、ソウルジェム…」

自分のまるで知らない言葉を口に出して反復する黒岩。
この男、自分の知らない言葉を聞くと調べずにはいられないのだ。
そして、そういう時はいつも図書館で調べ始めるのだ。
数々の怪しい薀蓄の知識も多くはそこから吸収している。
そういうわけで彼は、仲間の確保よりも自らの知識欲を優先させて、図書館へと向かった。


それから何時間が経っただろうか。
徐々に図書館へと近づいていく黒岩であったが…

『テッカマンブレードよ! この声が聞こえるならば出て来い!』

図書館の方から、男の声が聞こえてきた。


黒岩が図書館に駆け付けた時には、まさに一触即発の状態であった。
テッカマンランスという男(おそらく先ほどの演説は奴のものだろう)は、まるで超光騎士のような装甲をまとっていた。その態度は尊大であり、自信に満ちている。
対するは二人の少女、服装が変わっていることを除けばランスの言うようにただの小娘に見える。しかしランスをにらむ目には強い意志が感じられ、一歩も引く気配はなさそうだった。

やがて戦いが始まり…黒岩は戦慄した。

「(な…なんだこの戦いは!)」

その戦いはあまりにも苛烈かつ超次元であった。
飛び交う火花、繰り出される拳や槍。
まるでヒーローショーかSF映画でも見ているかのような気分だ。
その力はダークザイドに匹敵…いや、それ以上あるかもしれない。

「フレエエエエエエエエエエエエエェェェェェェェェェェェェェェェェッッシュ!」
「テッカアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!」

光が辺りを包み込むのを見て、黒岩はすぐにその場を離れた。


「これは………!」

光がやみ、現場へ戻ってくるとそこには巨大なクレーターが出来上がっていた。
黒岩が目指していた図書館は跡形もない。
辺りを見回すと、マミと呼ばれていた少女がピーチと呼ばれていた少女を抱えて西へ向かっていた。
テッカマンランスはその場に倒れていたが、やがて起き上がってきた。

「さて、どうするか…」

しばらく考えて、黒岩は二人の少女と接触することにした。
加頭が言っていたテッカマンという存在らしい男のことも気になるが、言動を見る限り殺し合いに乗っているのは明らかで、話が通じそうになかった。
そんなわけで黒岩は、二人の少女の後を追った。


「見ててくださいマミさん…絶対にこの殺し合いを止めて見せるから!」

決意の言葉を口にするその少女の名は、桃園ラブ
たとえ傷つきぼろぼろであろうと、彼女は立ち止まらない。
巴マミとの約束がある限り彼女は止まれない。

「とりあえず、これからどうしよう…」

現在ラブがいるのはI-3。
どこに行こうかと思案していると…

「知っているか!!」
「え!?」

突然声をかけられた。
びっくりして振り返ると、そこには一人の男がいた。

「世界で最初の図書館は、紀元前7世紀にアッシリア王によって建てられたという」
「え…えーと、あなたは?」

突然よくわからない薀蓄を聞かせてきた男に対し、怪訝そうな表情になるラブ。

「申し遅れました。私は黒岩省吾、東京都知事です」
「と、東京都知事!?」

黒岩のその自己紹介に、ラブは頭をひねる。
東京都知事の名前や顔を決して覚えているわけではないが、こんなに若い男だっただろうか。
そんなことを考えていると、黒岩が辺りを見回しながら聞いてきた。

「ところで…君のほかにもう一人誰かいなかったかい?姿が見えないようですが…」
「あ…マミさんは」

そう言いかけてラブは、しゅんとした表情でうつむいてしまった。

「なるほど…つらいことを聞いてしまったようですね」
「い、いえ、いいんです。それより黒岩さん、もしかしてあの戦いの現場にいたんですか?」
「ええ、しかし私は見ていることしかできませんでした。都知事ともあろうものが、我ながら情けない…!」
「そ、そんなことないです。黒岩さんは悪くありません!私の力が足りなかったから…」

そう。マミさんが死んでしまったのは自分の責任だ。
それに相手のテッカマンランスはとても強力な力を持っていた。
力を持たない黒岩がそれを病む必要などないのだ。

「ありがとう。だけど改めて誓うよ。東京都知事として、君たちと共に戦うことを」
「黒岩さん…」

黒岩さんのその表情は、決意に満ち溢れているように見えた。
こんなに責任感が強くて優しい人を傷つけさせるわけにはいかない。
マミさんの二の舞にはさせない。

「黒岩さん、あなたは絶対私が守って見せますから!」
「そうか…心強いよ」


「(どうやら上手くいったようだ)」

桃園ラブの信頼を勝ち得たことにほくそ笑む黒岩。
図書館が消滅してしまったのは誤算だったが、こうして仲間を手にすることができたのだから良しとしよう。

「…私の知り合いは以上ですけど、黒岩さんは誰かに出会いませんでしたか?」
花咲つぼみという少女には出会いましたね」
「つぼみちゃんと!?本当ですか!?」

知り合いの情報に喜びの表情を浮かべるラブ。
花咲つぼみ…一見ただの少女に見えたのだが、彼女もラブのような力を持っているのだろうか。
そのことを尋ねてみると、ラブは肯定した。

「詳しくは知らないんですけど、砂漠の使徒っていう悪い連中と戦ってたらしいです」

その後黒岩は、ラブから様々な情報を手に入れることができた。
死んだ巴マミの話していた魔法少女に彼女達が戦う魔女のことや、ラブ達プリキュアや彼女達が戦っていたというラビリンスについて。

「(すべてのパラレルワールドを統括を目指す管理国家、ラビリンスか…)」

自分の日本征服とはまるで規模の違う話に、驚くと同時に舌打ちする。
こんな話を聞かされては、自分のやってきたことがまるでちっぽけに思えてくる。
だが、この殺し合いに関わっている可能性が高いとしてラブがあげたフォージョン、ボトム、ブラックホールの存在を聞かされた時には、さすがに仰天した。
特にブラックホールなどは、ラブ達のようなプリキュア21人を一度は一撃で戦闘不能に陥らせたというのだ。
そのあまりの強大さに、黒岩は自らが井の中の蛙であることを痛感し、絶望的な気分にさいなまれた。
だが……

「(ふん、おもしろいじゃないか)」

次の瞬間には絶望を振り切り、不敵な笑みを浮かべる。
力というのは腕力だけではない。
知略、人脈、財力…持てる全てを使い、その場の状況に応じた方法を模索する。
それが自分のやり方ではないか。
もちろんまずは元の世界に帰って日本を征服するのが先決だ。
地盤を固めずして征服など成り立たない。
だが、日本を、世界を征服し、十分に地盤が固まったその折には…

「(ラビリンス、ブラックホール…次は貴様らの番だ!貴様らがどれほどの力を持っていようと関係ない!この俺が、すべてを掴んでやる!)」

決意に燃える黒岩のその瞳は、野心に燃えてギラギラとしていた。


一通りの情報交換を終えた二人は、まずは教会へと向かうことになった。
黒岩が数時間前に出会ったつぼみがいたのはE-4。
そこから向かう可能性が高いのは冴島邸か教会か村だろう。
そういうわけで、まずは一番近い廃教会へ向かうことになったのだ。

友との約束を胸に刻む少女。
壮大な野心を抱く怪人。
それぞれの決意を胸に、二人は歩く。


【1日目/早朝】
【I-3】

【黒岩省吾@超光戦士シャンゼリオン】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考]
基本:周囲を利用して加頭を倒す
0:ラブと教会へ向かう
1:あくまで東京都知事として紳士的に行動する
2:涼村暁との決着をつける
3:人間でもダークザイドでもない存在を警戒
4:元の世界に帰って地盤を固めたら、ラビリンスやブラックホールの力を手に入れる
[備考]
※参戦時期は東京都知事になってから東京国皇帝となるまでのどこか。
※NEVER、砂漠の使徒、テッカマンはダークザイドと同等又はそれ以上の生命力の持主と推測しています。(ラブ達の戦いを見て確信を深めました)
※ラブからプリキュアやラビリンス、ブラックホール、魔法少女や魔女などについて話を聞きました

【桃園ラブ@フレッシュプリキュア!】
[状態]:精神的疲労(大)、罪悪感と自己嫌悪と悲しみ、決意
[装備]:リンクルン@フレッシュプリキュア!
[道具]:支給品一式×2、カオルちゃん特製のドーナツ(少し減っている)@フレッシュプリキュア!、毛布×2@現実、ペットボトルに入った紅茶@現実、巴マミの首輪、巴マミのランダム支給品1~2
基本:誰も犠牲にしたりしない、みんなの幸せを守る。
0:黒岩と行動する
1:まずはつぼみを探すために教会へ向かう
2:マミさんの意志を継いで、みんなの明日を守るために戦う。
3:プリキュアのみんなと出来るだけ早く再会したい。
4:マミさんの知り合いを助けたい。ほむらもできるなら信じていたい。もしも会えたらマミさんの事を伝えて謝る。
5:犠牲にされた人達(堂本剛三、フリッツ、クモジャキー、マミ)への罪悪感。
6:ノーザダークプリキュアとテッカマンランス(本名は知らない)には気をつける。
[備考]
※本編終了後からの参戦です。
※花咲つぼみ、来海えりか明堂院いつき月影ゆりの存在を知っています。
※クモジャキーとダークプリキュアに関しては詳しい所までは知りません。
加頭順の背後にフュージョン、ボトム、ブラックホールのような存在がいると考えています。○


時系列順で読む

投下順で読む


Back:ラブとマミ 終わらない約束!(後編) 桃園ラブ Next:新たなる戦い! 思いは駆け巡る!!
Back:紳士怪人? 黒岩省吾 Next:新たなる戦い! 思いは駆け巡る!!



タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2013年03月14日 22:41