───星々の煌めきが、蒼黒の水平線に降り注いでいた。
そこは何とも矛盾した空間だった。深海のように暗く、けれど無数の明かりに充ちている。どこにも行けない閉塞感に包まれて、しかし全てが解き放たれている。動くものは何もなく、にも関わらず星や光が流れていく。何もかもがあり、そして何もない世界。なんて美しい、箱庭のような永遠。
星の廻る海原。遥か天頂に輝く白銀の満月を中心に、天球が回転して星の光が軌跡となって線を描いている。そんな世界の只中に、
アシュレイ・ホライゾンは立っていた。凪いだ水面はよく磨かれた鏡面のように空を映し出し、踏みしめた足元には石を投げ入れたように小さく波紋が広がり、一歩、一歩と歩みを進める度、波紋もまた一つ一つと生まれていった。
目的の"彼"は、そう遠くないところにいた。こちらに背を向け、じっと立ち尽くしている。不動、あまりに威風堂々とした立ち姿。それは余人が見たならば、きっと威圧感であるとか、人によって殺気を放っているとすら捉えられるだろうけれど。
そうでないことを、アシュレイは知っていた。
同時に、今まさに世田谷の地で起きていることを、そして自分が何をすべきであるのかを、彼は知っていた。
アシュレイは"彼"の背中に向き直る。
不動のまま決して揺れず、迷わず、折れもしない男に向かって。アシュレイもまた、迷いのない視線をぶつける。
そして。
「すまなかった」
そう、一言だけ告げたのだった。
「……何故謝る」
初めて、男が答えた。
永劫不変であるかのように思えた彼は、訝し気に、本当に心の底から意味が分からないといった口調で言う。
「お前の肉体を奪ったのはオレだ。そしてお前の望まぬであろう道を選択したのもまた、オレだ。
罵詈雑言を浴びせられることこそあれ、謝罪される謂れはないだろう。オレは加害者であり、そしてお前は被害者なのだから」
「それをお前に強いてしまったのは、俺だ」
アシュレイの言葉に迷いはなかった。
へりくだるでもなく、媚を売るでもなく、心底からこの言葉こそ正しいのだと信じたうえで、アシュレイは対等の人間として彼に向き合っていた。
「俺は約束を違えた。向き合う"誰か"を説得もできず、ただ一撃で地に伏して、挙句お前に全てを押し付けてしまった。
戦うことも、傷つくことも、本当は俺自身が背負うべき責務だったのに。お前に戦わせないって誓ったのに。結局はこのザマだ。
この世界が捨てたものじゃないってことをお前に見せてやる、そう言ったはずだったのにな」
光の宿痾を、アシュレイは覚えている。
決意、覚悟、勇気。そういった光り輝く意思の体現こそ、今アシュレイが語り掛けている男の本質である。
であればこそ、彼は一度決めてしまえば突き進むのを止められない。
どれだけ相手に共感しようとも、その尊さを認めても、結局最後は同じこと。救うために殺し、その犠牲に必ず報いると滾るだけ。
かつての決着、数万年に渡る対話の果てに再融合を果たした後も、機会が訪れたならば"彼"はきっとそうしていた。それを自分は痛感していたはずなのに、と。
そう述懐するアシュレイに、彼はやはり強く、告げる。
「やめろ」
威風堂々とした、あまりに眩しい声音である。
「ヘリオス……」
「重ねて言う、やめろ。お前の言っていることは責任の転嫁に過ぎない。
どう言い訳しようとも、最も罪深き罪人とはお前を我欲で殺さんとした外道であり、そしてそれに便乗したオレに他ならない。
自分ひとりで背負い込むな。それは単なる自己満足でしかない」
「だが、俺は……」
「かつてお前が言ったことだ。心の強さと身体の強さは別なのだ、ならば物理的な暴力に倒れたお前に何の非があるという」
遮るように、ヘリオスは続ける。
「弱かったから、などと無為な責任を感じるな。自分を卑下するのもやめろ。
お前は変わらず、オレの崇敬する英雄(ハイペリオン)だ。ならばこそ、自分は屑だと言ってくれるな。
オレの憧れた人間を悪く言われては、流石にオレも悲しくなる」
それを最後に、ヘリオスは再び不動の立ち姿へと還った。
アシュレイはそれ以上何も言えず、ただ彼と背中合わせに立って、遥か天頂の星を見上げるばかりであった。
そのまま暫く、無言の時が流れた。
けれど決して居心地の悪い時間ではなく、半身と共にある安心感が、アシュレイの胸中を満たしていた。
「なあ、ヘリオス」
「……」
「お前は、後悔していないか?」
滔々と、語られたのはそんな言葉だった。
「お前があの時、俺に頷いてくれたことを知っている。俺は自分の選択を後悔していないし、お前と歩んだ人生に誇りを抱いている。
けど同時に、お前に望まない道を強いてしまったんじゃないか。そう思うこともある。俺は、お前にきちんと世界の正しさを見せてやれたんだろうか、と」
「語るに及ばず。それこそ愚問だろう」
彼の言葉は呵責なく、今も恒星のように熱を帯びていた。
「オレは光の後継として、一度決めた道は決して違えん。償いはするとも、けれど後悔だけはしない。
烈奏として掲げた誓いも、界奏の片翼として歩んだ道も、等しくオレの選択だ。それに、な」
彼はそこで僅かに、ほんの僅かに、口元を緩めさせて。
「お前が死したその後も、こうして世界が存続している。それが全ての答えだろう」
「ヘリオス、お前は……」
そこでアシュレイは気づいた。ヘリオスの正体を。
彼の言う通り、仮にアシュレイの死後に再び烈奏を掲げたならば、きっと世界は残っていまい。全ての人類は滅却され、正道のみが物理法則として支配する新宇宙が誕生したはずだ。
世界が今を以て当たり前の法則下で続いていることこそ、ヘリオスがアシュレイの掲げた誓いに殉じた何よりの証であり。
そして、それを実体験として語るこのヘリオスとは、聖杯の力によって宝具として再現された存在ではなく、真実アシュレイと共に生きたあのヘリオスでしかないことを示していた。
「……お前は、もう一度俺に会いに来てくれたんだな」
「永い……とても永い放浪だった。だがその選択にもまた、後悔はない。こうして再び出会えたのだ、ならば何を言う必要があろうか」
その言葉に嘘はない。
そうと理解できたからこそ、アシュレイもまた、言うべきことは決まっていた。
「ヘリオス、俺に力を貸してくれ」
「……」
「俺は彼女たちを助けたい。そのためには、お前の力が必要だ。
俺が先導するんじゃない、お前に戦いを押し付けるのでもない。
一緒に戦おう。俺とお前で、今度こそ」
「ああ」
頷く声には、どこか納得のような響きがあって。
「その言葉をこそ、オレは待っていたのだ」
燃え尽きる蝋の心に、小さく刹那の火がついた。
交わした誓いはどこまでも力強く。この想いを離さないと、欠けた命を補うように高鳴る鼓動が煌めくのであった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
───そして顕現する、前例なき新たな超新星。
銀に輝く眩い焔蝋───光と闇を両立させた輝く矛盾が新生を果たす。
「え……わっ」
突如溢れた"銀の炎"に、ひかるは目を丸くして忘我の声を漏らした。疑問を呟く思いさえ、一瞬忘れてしまった。
単純に予想外で、こんなものは今まで見たことがなくて、そして。
銀の炎が、あまりにも"優しい"ものだったから。
その感覚をひかるは知っていた。
あれは、そうだ。幼い日の記憶。真冬の天文台で遼じいと一緒に冬の大三角形を眺めた時の、傍らのストーブに翳した手に伝わってきたあの暖かさ……
「君たちの声を聞いた」
そして抱きしめたその体が聞こえてくる、力強く屹然とした青年の声。
燃え尽きて炭化した黒墨の体であったはずの彼は、しかし錆び付いた表面を焼き溶かすかのように、見る見るうちに元の姿へと変わりつつあった。ばかりか焼け落ちた服も、根本で折れた銀刀も、時を巻き戻すように復元していく。
まるで銀に輝くこの炎が、傷そのものを優しく燃やしているかのように。そしてそれを見るひかる自身もまた、焔に触れるたび負った傷が快癒していく。感じた穏やかな暖かさとは、きっとこのことなのだろう。
「ライダー、さん?」
「ああ。ありがとう、俺を呼んでくれて。ありがとう、俺のマスターを助けてくれて。
聞こえていた。君たちの声がなければ、きっと戻ってくることはできなかった」
あの刹那、夜天の精神世界に僅かに響いた二人の声。
それがなければ、きっとアシュレイの精神は深く沈んだまま起き上がることはできなかっただろう。
それは如何に強かろうと、前に進むことしかできないヘリオスでは成せなかったことに相違なく。
確かな感謝と共に、アシュレイは笑顔で向き直った。
「積もる話はたくさんあるけど、まずはこの場を切り抜けよう。敵はまだ、健在だ」
「……小蠅共が」
視線の先に立つ、金髪の偉丈夫。
声には隠せぬ憤怒と屈辱が混ざりあっており、何を置いても目の前の敵手を惨殺せしめんとする確かな気概が感じられた。同時に、怒りによって目を全く曇らせていない。片腕と片翼を失い、全身は炭化するほどに焼き尽くされ、その心までもが尋常ならざる憤激に支配されていても、彼が手繰る武芸の手練れは全く劣化していないのだ。何という武練であろうか、彼の本質とは極限域の闘争者に他ならず、自他を超越したエゴイズムは言葉だけでない確かな実力として彼に備わっているのだ。
その手に握るは、先ほどまでなかったはずの漆黒の魔槍である。ケイオスマター……あらゆる因果を腐食させる、理論上でのみ存在が言及されていた未知の暗黒物質たるそれは、今確かな形となって彼の手に顕現している。それが意味するところは、その槍に貫かれたが最期、例え神に近しい存在であろうとも一撃のもとに存在を抹殺されてしまうであろうという真実であった。
「貴様らだけは決して逃がさぬ。潰れろ、砕けろ。粉々に引き裂かれて死ね。
霊子の粒より細かく砕き、原初の渦へと還してやろう。それを厭うというのなら……!」
「なら俺も、最後にもう一度だけ聞いておくよ」
アシュレイは真正面から向かい合い、言おうとして言えなかった最初の言葉を、今度こそ
ベルゼバブへ伝える。
「俺たちが協力できる道は、本当にないのだろうか」
「……」
その言葉───誰が相手だろうと絶対に最初に告げると決めていた言葉を、目の前の悪鬼へ告げる。
人道にもとる願いでなければ、素直に協力して終わるならば、今この時でも決して遅くはないのだと。悪意こもらぬ笑顔で以て伝えた言葉は、しかし。
「───消え失せろ、屑が」
「そうか。なら交渉決裂だな」
心底煩わしいと切り捨てたベルゼバブによって、やはり交わることのない戦端を開くことになったのだった。
爆轟する大気と共に地を蹴り、一陣の颶風となり疾走するベルゼバブを、アシュレイは吹き荒れる銀炎の波濤によって迎え撃つ。その炎は穏やかな癒しの力となりながら、同時に敵対者に対しては万象焼き尽くす撃滅の炎だ。つまるところ基本的な性能はハイペリオンに相違なく、戦闘に際しては付属性の応用による近接戦並びに自他に炎を纏わせての攻防一体の能力であることに変わりない。
であるならば、それは単にカラーリングが変わっただけの二番煎じか? いいや違う。
揮う炎がケイオスマターとぶつかり合い、その切っ先を僅かに逸らすことで爆撃めいた衝撃が周囲に轟くも……しかしアシュレイの側に一切の反動はない。
今までのハイペリオンならば、これだけの出力を捻出するには自壊する覚悟が必要だっただろう。力の行使に際する反動は凄まじく、生身の体なら骨や内臓の一つくらいは犠牲にしなくてはならなかったが、しかしこの銀炎にそんな要素は微塵も見られない。
ハイペリオンのような大火力を実現しながら、そこに代償は一切ない。銀炎は穏やかに揺蕩いながら、味方する者を癒し、敵対者に熱量の牙を剥く。
驚くほどに安定していた。暴走や自傷といった概念を徹底的に排しながら、尚且つ必要な熱量のみを効率的に抽出しては行使する、極めて技術的な星である。
しかし。
「弱者が、不相応な大言を吼えるかッ!」
それは言い換えれば、単に制御が利いたというだけの話である。
安定性の向上は決して利点ばかりではない。核反応じみた意志力の爆発と無限覚醒、自身の消滅すら度外視した暴走があったからこそ、先ほどまでのハイペリオンは絶対無敵の怪物だった。
安定と安全を突き詰めることは、すなわち予め設定された出力上限を超えられないことを意味する。結果引き起こされた純粋な火力の低下は当然ながら戦闘力の下降を招き、ヘリオスの雄々しさには遠く及ばない。
そして何より、主人格がヘリオスからアシュレイに変更されたことによる戦闘技量の差があまりにも如実だった。ベルゼバブを圧倒できたのはその規格外の出力のみならず、ヘリオスが持つ無窮の技巧あってこそ。非才の身を抜け出せないアシュレイでは、単純にベルゼバブの剣技に追随できない。
だからこそ、これもまた当然か。たった一合打ち合っただけで、勝負の趨勢は致命的なまでにベルゼバブの側へと傾いた。傾ぐ体に旋回する黒槍、体勢を立て直す隙を与えず第二撃を与えんとする穂先は、真っすぐにアシュレイの心臓を照準し。
「させ、ない───ッ!」
だが今は、共に戦う誰かがいた。
致死の黒撃に割り込み、ひかるは星の輝きで以て受け止める。文字通り星型の光盾は不毀の障壁となって穂先を阻み、金属同士が奏でる甲高い擦過音を掻き鳴らしては拮抗していた。
それが何かなど語るに及ばず。
星奈ひかる/キュアスターは、本来誰かを守るために最大の力を発揮する少女である。
彼女の持つスキル・イマジネーションは彼女自身の果て無き探求心と想像力、そしてキュアスターとして在る彼女の善性に由来する原動力であればこそ。
その力はひかる自身の精神力の多寡によって決定される。心折れ、自らの正義を見失い、振るう拳の行く先すら分からない状態では見る影もなく零落してしまうが。
反面、誰かを守るために奮起したひかるの力は、文字通りの青天井。英雄譚の主人公が如く、光り輝く路を往く限り、彼女に負けの二文字はない。
そして見るがいい、ひかるを包み込む星光を。銀に煌めく炎の流星を。
銀炎は彼女を守護するように、その体に一切の負荷をかけぬまま攻防力の劇的な向上を果たしている。ただの一撃は必殺となり、纏う炎は鎧となり、不撓の歩みを刻みし足には不屈の精神を宿すのだ。
ひかるは今、ひとりではなかった。共に戦う誰かがいた。自分ひとりで背負うのではない、誰かひとりに背負わせるでもない。並び立ち、道を同じくできる誰かがいた。
本質的なプリキュアの力とは相互理解であり、手を取り合える誰かがいてこそのものであり、そうであるならば、今のひかるに敵はいない。
1対1なら確実に屠られていただろう対決は、しかし2人の性質が相乗効果を示すことでベルゼバブという絶対強者への拮抗を可能としていたのだった。
であるなら、この銀炎は一体何であるのか。
それはアステリズムの炉心としての最適化である。
ヘリオスを核とした火炎発生能力、それは通常のハイペリオンと全く何も変わらない。だが違いとして、ハイペリオンはヘリオスという太陽を素手で掴んで振り回していたに等しいものだったのに対し、この星光はヘリオスを文字通り炉にくべて必要な熱量だけを抽出することに成功していた。
古今東西、物とは使いようである。毒も薄めれば薬になるように、太陽もまた同じこと。近づけばすべてを焼き尽くす恒星は、しかし適切な距離を離せば命を育む暖かな陽の光となる。
ならばハイペリオンと銀炎を分ける要素とは何なのか。
とある世界線において発現したこの異能は、レイン・ペルセフォネが有する空間転送の星辰光により、物理的に距離を離されたことで疑似的に発現した。しかし今この時、ヘリオスはアシュレイと共に在る。並び立つ彼らは当然何よりも誰よりも近くにいるはずであり、その理屈は当てはまらない。
この事実が示すことはただひとつ。
ヘリオスが"手加減"を覚えたということ。どこまでも他者を轢殺して押し通ることしか知らない光の奴隷が、只人の尺度と視座に立ったという事実。
この時、ヘリオスは初めて、アシュレイと隣り合って戦うことができたのだ。
そしてこの星光を名付けるならば、その名は一つしかあり得ない。
「超新星(Metal Nova)───月照恋歌、渚に雨の降る如く・銀奏之型(Mk-Rain Artemis)」
彼らを繋いだ夜天の月───優しい銀月を身に降ろす愛すべき人の名を、アシュレイは胸に抱く。
今自分たちを構成する全ての事実を深く、深く噛み締めて、そして。
『この期に及んでオレから言うべきことはない。ただ一つの切なる願いを除いては。
ハイペリオン、我が誇るべき英雄よ。少女らの捧げる笑顔を胸に、銀の運命(シルヴァリオ)を完遂せよ』
「───是非もなし!」
轟き渡る喝破と共に、地に墜ちて天を貫く銀の雷鳴───疾走する閃の稲妻。まさしく電撃の速度であり、威力も落雷に等しかった。地を割って進む疾風怒濤の進撃に、恐れるものなど何もない。
拳打を用いる星光の戦士───星奈ひかる───は今もなお健在。その身を以てベルゼバブの猛威を防ぐ様は、彼奴が片腕という事実を差し引いても驚異の偉業という他なく、ならばこそ、自分たちが遅れを取れるはずもなし。
この身は所詮弱卒であり凡才だが、それがどうした。誰より憧れた最強の英雄は、今もこの胸の中で共に在る。
遥か頭上より幾百もの宝具群が剣雨となって降り注ぐ───全てを切り捨て、疾走する。
包むように展開された黒闇の波濤が押し寄せる───銀光の刃で切り裂いて進む。
そして、目の前まで迫った偉丈夫の総身へ、この刃を突き入れる。
「心技体、三相合一。之を以て剣の極み───」
手繰り寄せるは原初の記憶。俺とヘリオスが共に在り、共に学んだ剣技の薫陶。
その最奥を今、この身が為せる全てを以て解き放つ。
「明鏡止水、絶刀・叢雨」
全ては、この一撃がために。
極点に至る人剣合一。どこまでも澄み渡る鋼の境地が、星晶の獣を両断した。
その刃は彼の胸部を深く切り裂き、止めどない鮮血を迸らせる。明らかな致命傷、間違いなく霊核に届く一撃は、しかし。
「───まだだァッ!!!」
汚泥のような赫怒の執念が、いいや否だとその結末に対峙した。
尽きせぬ自尊心とエゴイズムが、己の敗北を認めない。核融合じみて爆発を繰り返す強大な自負が、遂には物理法則を殴り飛ばしてあり得ぬ復活劇を成し遂げる。
そう、ベルゼバブは絶対強者だ。星晶獣という人智を超越した肉体、2000年の長きに渡り研鑽を重ねた経験値、生まれ持った天賦の才能、そして世界法則さえ捻じ曲げる領域に達した神域の渇望。そのどれもが凡夫に敗れる現実を叩き伏せて余りある要素である。
ああそうだとも、こんなところで終わっていいはずがない。
不覚を取った、それは認めよう。取るに足らぬ羽虫に足元を掬われ、致命的な一撃を食らった。事実だとも、確かにその通り。
だが、それが一体何だという。
一撃貰ったならそれで終わりか? 窮鼠に噛まれたから猫は退散すべきなのか? いいや否、我は荒野の獅子である。百獣を、地平全土を、三千大千世界の彼方に至るまでを支配する絶対無敵に王者である。
今からでも皆殺しにすれば、自分の勝ちは揺ぎ無かろう。大事なのは結果であり、どのような過程を経ようが勝てば良いのだ。
「死に絶えろ、死に絶えろ、全て残らず塵と化せ……!
最後に勝つのは余である、それが天下の道理であろうがァ!」
「王手(チェックメイト)」
刹那、大地を揺るがす激震が、その場の全員を襲った。
それは今までの戦闘による余波ではなく、文字通りの地震だった。渾身の一撃を放ち無防備な状態にあったアシュレイの顔面を穿つはずだった黒槍は、しかし僅かに軌道がズレてその頬を裂くに留まる。
何事か、それを思考する暇もなく、今度は地面そのものが崩落を開始した。大規模な地盤沈下は、見渡す果てまでを呑み込む街そのものの落下である。これにはアシュレイもひかるも、そして飛行能力を喪失したベルゼバブも、一瞬の瞠目を余儀なくされ。
「小癪な、下手な小細工を打ちおって……
いや、まさかこれは……!」
その揺れと瓦礫に付随する奇妙な魔力に気づき、事の真相を誰より早く察知するが、既に全ては遅かった。
それは、あまりに小さく、呆気ない音だった。
タン、と何かの弾ける音。これまで発生した天災にも等しい大激突から見れば、あまりに矮小なその一撃。
その音が響いた瞬間、ベルゼバブの脳天から、小さな血しぶきが舞った。
───
メロウリンク=アリティは取るに足らぬ英霊である。
才能はなく、研鑽もなく、頭もなければ天性のセンスもない。ないない尽くしの現実を渡されたカードだけでやりくりし、絶命の窮地を幾度となく乗り切った弱卒である。
では、何故彼は戦争を生き延び、不可能にさえ思えた復讐劇を完遂することができたのか。
生身の9人でAT28機を相手取って生き延びた。
致死量の自白剤を投与されても短時間で回復し、身一つで脱獄し、そのままATとの戦闘に望んだ。
幾度となく機関銃等の掃射を浴びながら、ただの一度も致命傷を負うことはなかった。
それは
近似値───アストラル銀河に語られるご都合主義の才覚「異能生存体」に極めて近しい性質を、彼が持っていたからに他ならない。
であればこそ、彼はこの戦場においても同様の運命を辿ることになる。
最初の強襲にて重症を負うも、それは致命傷には程遠く。
ヘリオスとベルゼバブの常軌を逸した戦闘が勃発しても、その余波は彼を傷つけず。
今の今まで、戦火で傷を負うことなく、彼はひたすら身を潜め続けた。
弱者の牙を研ぎ、強者への逆襲を為すその一瞬を待ち続けた。
そして今、全てのラインは整い、一瞬の致命の隙を見出した。
これは単に、その結果に他ならない。
地に伏せライフルを照準するメロウリンクは、今まさに弱者の逆襲劇(ヴェンデッタ)を成し遂げたのだ。
そして戦闘は終結する。
数多の犠牲を出し、数多の嘆きを生み、数多の破壊をもたらした戦いは、あくまで小さな終焉によって幕を閉じて。
───墜落するベルゼバブを中心に、混沌の波動が周囲一帯を呑み込むブラックホールとして放たれたのだった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「下らん終幕だ。何もかもが不快である」
呟かれる声音は不快感を如実に示し、しかし自虐の気配だけは微塵もなく、ただひたすらに他者への憎悪と憤怒のみが滲んでいた。
声の主───ベルゼバブがいるのは、暗い暗い地の底だった。世田谷の地が区画ごと崩落した結果、そこには直径数㎞・深さ数百mを超える大穴が、まるで全てを呑み込むアバドンの大口さながらに黒い空洞を晒しているのだった。
ベルゼバブは穴の中心、すなわち数百mの地下に、大量の土砂と瓦礫に埋もれるようにして横たわっていた。全身には重度の火傷、片腕と片翼の欠損、霊核に届く傷。それらを負い一時的な行動不能状態に陥りながら、しかし死の気配など微塵も見せず、こうして先ほどの戦闘を述懐している。
「特にあの羽虫……煌翼が如き不遜の輩、あれは確実に余が殺す。その真実を暴き立て、全てを曝け出し、その上で超越し、乗り越えるのだ」
ベルゼバブの不興の大半は、言葉通りヘリオスの存在にあった。それは彼が敗北を喫した最大要因だからではなく、ましてその態度が癪に障ったからでもない。
自分は手加減されていた。その事実を理解できたからこそ、尽きせぬ嫌悪が湧いてくるのだ。
「だが、その存在は興味深い。使う力もまた、な。
最後は余の勝利で終わるが世の定めである以上、あるいはこの敗北も必要な過程だったのかもしれぬな」
くく、と潜み笑う様を止める者など誰もいない。
どのような強者が現れようと、どのような敗北を刻まれようと、例え己が存在を木っ端微塵に粉砕されようが、ベルゼバブの絶対的な自負心を打ち崩すことだけは、誰にもできないのであった。
【旧世田谷区(大穴の底・瓦礫の中)/二日目・未明】
【ランサー(ベルゼバブ)@グランブルーファンタジ-】
[状態]:極めて不機嫌、全身に極度の火傷(極大)、左腕と左翼欠損、胸部に重度の裂傷、眉間に銃創、霊核損傷(中)、魔力消費(中)、疲労(大)、一時的な行動不能状態、胴体に袈裟の刀傷(再生には時間がかかります)
[装備]:ケイオスマター、バース・オブ・ニューキング(半壊)
[道具]:なし
[所持金]:なし
[思考・状況]
基本方針:最強になる
0:283絶対殺す
1:現代の文化に興味を示しています。今はプロテインとエナジードリンクが好きです。
2:狡知を弄する者は殺す。
3:青龍(
カイドウ)は確実に殺す。次出会えば絶対に殺す。
4:鬼ヶ島内部で見た葉桜のキャリアを見て、何をしようとしているのか概ね予測出来ております
5:あのアーチャー(
シュヴィ・ドーラ)……『月』の関係者か?
6:セイバー(
継国縁壱)との決着は必ずつける。
7:ポラリス……か。面白い
8:龍脈……利用してやろう
9:煌翼……いずれ我が掌中に収めてくれよう
【備考】
※
峰津院大和のプライベート用のタブレットを奪いました。
※複数のタブレットで情報収集を行っています。今は大和邸に置いてあります。
※大和から送られた、霊地の魔力全てを譲渡された為か、戦闘による魔力消費が帳消しになり、戦闘で失った以上の魔力をチャージしています。
※ライダー(アシュレイ・ホライゾン)の中にある存在(ヘリオス)を明確に認識しました。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「何とか無事、終わったか」
戦火に包まれ崩落した世田谷区から離れた夜の公園内に、彼らの姿はあった。
かなり大きめの公園であり、緑豊かな木々と河川が流れており、人の姿はない。この大人数が落ち合うには適した場所だな、とどこか他人事のように思った。
「ひかっ、アーチャー! 大丈夫!? 怪我とかは……」
「ま、真乃さんっ、私は大丈夫ですから、その、離してもらえると嬉しいです……」
傍らでは、真乃と呼ばれた少女が、アーチャー……アシュレイたちの助太刀に入った、年若い少女のサーヴァント……に抱き着き、傷がないか心配そうな顔で見つめていた。アーチャーは気恥ずかしいのか、緊張の糸が切れたのか、年相応の慌てたような表情で、けれど何処か嬉しそうに対応している。
櫻木真乃、話には聞いていた283のアイドルであり、
古手梨花から聞き及んでいた聖杯戦争のマスターである。その手から1画分の令呪が失われているのを、アシュレイは確認した。
あの瞬間、金髪の偉丈夫から放たれた混沌の波動を前に生き残れたのは、アーチャーが突如多大なバックアップを得て超高速で行動、アシュレイたちを含むあの場の全員を引っ掴んで戦場を離脱したからだった。その現象の原因を、アシュレイは知っていた。令呪だ。令呪のアシストがあったからこそ、櫻木真乃があの場からの無事の帰還を望んだからこそ、自分たちはこうして生きている。
少し辺りを見渡してみれば、七草にちかが従えるアーチャーも、そのマスターであるにちかや
田中摩美々の姿もあった。アーチャーは極度の疲労と損傷により蹲っているものの、その表情に致命の色はない。にちかと摩美々は未だ気絶しているようだが、大きな怪我もなく静かに寝息を立てていた。
そして、残るひとりであるのだが。
「ら、ライダーさん……」
彼女は、アシュレイ・ホライゾンのマスターである七草にちかは、血の気が引いて蒼褪めた顔をして、こちらを見ていた。
それがなぜか、すぐに分かった。彼女の手にあるはずの令呪、そのうちの1画が、消えていたのだ。界奏を発動するために必要な、ひいては脱出を望む全員が生き残るための手段を発動するための令呪が1画、輝きを失って単なる薄れた痣となってにちかの腕に残っていた。
「ご、ごめ、んなさい……わた、私っ、こんなつもりじゃ、なくて……何がなんだか、わかんなくって……!」
「わかってる」
だから、アシュレイがやるべきことは決まっていた。
そっと近寄り、膝をついて目線を合わせる。驚かさないように手を取って、軽く握りしめる。安心させるように、決して自分は怒ってなんかいないよと伝えるように。
「君の声が聞こえた。俺を呼んでくれた君の声がなければ、俺はきっと戻ってこれなかった。だから大丈夫、君は何も間違っていない」
僅かに微笑んで。
「君は、みんなの命の恩人だ」
その言葉を聞いた瞬間、にちかはぽろ、ぽろと涙の雫を流した。そして耐え切れないと言ったように、次の瞬間には表情を崩し、大声で泣き崩れた。ごめんなさいと繰り返し訴える声は止めどなく、アシュレイはただ、自分の胸の中にいるこの少女が、どうか自分を責めないようにと祈り、優しく背を撫でることしかできなかった。
「……それで、さっきの奴はお前の仕業なんだろう?」
「ご明察です。流石はHさん、とでも言っておきましょうか」
「心にもない世辞は聞いてて恥ずかしくなるからやめてくれ」
闇からぬっ、と這い出るように現れた美貌の紳士。
初めて会うはずなのに何故か物凄く見覚えがあるような感覚に辟易しながら、アシュレイは疲れたように答えた。
「冗談はさておき、事実としてあの崩落は私の宝具によるものです。別に地震を発生させる大それたものではありません。勿論、種も仕掛けもあるつまらないマジックですよ」
宝具『全て私が企てたことなのです(クライム・コンサルタント)』は立案した犯罪計画を100%の確率で成功・遂行させる力を持つ。
計画の作成と計画の実行、それらはアサシン、そして実行者自身が持つ技能に依存することになるが……それは逆に言えば、計画立案が成功した時点で、その計画の遂行もまた確約された状態になるのだ。
すなわち、あの大崩落はアサシンが立案した犯罪計画であることを意味しており。
「七草にちかさんの住まいが知れた時点で、その区画全体に爆薬を仕込ませていただきました。
極めて単純な発破解体です。先の戦闘で地上部分はおろか、地下表層に至るまで根こそぎ機能不全に陥りはしましたが、地下深層に仕込んだ分だけでも地盤沈下を引き起こすことは十分可能でした。
都市構造の見取り図さえ入手できれば後は簡単な話です。構造を把握し、方程式に数値を入れれば楽に計算可能でしたからね」
「まあ、うん。お前と似たようなことやった奴を知ってるから、今更どうこう言わないけどさ」
つまりこいつは、やろうと思えば都市ひとつをいつでも崩壊させることができたというわけだ。しかもサーヴァントとしての神秘に一切頼ることなく、である。
私としても最終手段でしたが、と嘯くアサシンを前に、アシュレイはため息をつきたい気分だった。こいつの性格は知っているはずだが、それでもやり口があまりにもあの恩人とも仇敵とも言い難い眼鏡姿の審判者と似通っている。光の奴隷と悪の敵、そのスタンスは似ているようで正反対のそれではあるのに、使う手段だけは同一というのは、どうも見ていて居心地の悪いものだった。
避難したあちらのにちかや田中摩美々を安置し、少女のアーチャーを誘導して戦場に再び送り込み、ついでに軍属のアーチャーの行動すらを予見してみせたのは、きっとこいつの仕業だ。こいつならそれができるのだという無言の信頼が、そこにはあった。
「ともかく、これで振り出しだな」
「しかし実りのあるリスタートです。これでようやく反抗の第一段階が完遂される。であればこそ、言うべきことは一つでしょう」
アサシンは芝居がかった仕草で言う。
「【備えよ、今でなくともチャンスはやってくる】と」
「……シェイクスピア?」
「如何にも」
和やかな空気が、一帯に広がった。
アシュレイもアサシンも、そして軍属のアーチャーも、ほんの僅かに苦笑めいた響きをもらし。
櫻木真乃と少女のアーチャーも安心したように笑い合い。
七草にちかは、ようやく泣き止んだ。
そして、安心とは最も近くにいる敵である。
それを、彼らは忘れてはならなかった。
───轟音が、今再びその地を揺るがした。
誰もが、そちらを見た。
土煙を上げ、飛来した何かは、ただ静かにこちらを睥睨している。
その視線は静謐で、しかしだからと言って友好的なそれであるはずがない。
上弦の参・
猗窩座襲来。
降りかかる試練は、未だ終わりの兆しを見せはしない。
【杉並区(善福寺川緑地公園)/二日目・未明】
【
七草にちか(騎)@アイドルマスターシャイニーカラーズ】
[状態]:精神的負担(大)、決意、全身に軽度の打撲と擦過傷、顔面が涙と鼻水でぐちゃぐちゃ
[令呪]:残り二画
[装備]:
[道具]:
[所持金]:高校生程度
[思考・状況]基本方針:283プロに帰ってアイドルの夢の続きを追う。
0:……は?
1:アイドルに、なります。……だから、まずはあの人に会って、それを伝えて、止めます。
2:殺したり戦ったりは、したくないなぁ……
3:ライダーの案は良いと思う。
4:梨花ちゃん達、無事……って思っていいのかな。
[備考]聖杯戦争におけるロールは七草はづきの妹であり、彼女とは同居している設定となります。
【ライダー(アシュレイ・ホライゾン)@シルヴァリオトリニティ】
[状態]:全身にダメージ(大)、疲労(大)
[装備]:アダマンタイト製の刀@シルヴァリオトリニティ
[道具]:七草にちかのスマートフォン(
プロデューサーの誘拐現場および自宅を撮影したデータを保存)
[所持金]:
[思考・状況]基本方針:にちかを元の居場所に戻す。
0:この状況を───
1:今度こそ、Pの元へ向かう。
2:界奏による界聖杯改変に必要な情報(場所及びそれを可能とする能力の情報)を得る。
3:情報収集のため他主従とは積極的に接触したい。が、危険と隣り合わせのため慎重に行動する。
4:武蔵達と合流したいが、こっちもこっちで忙しいのが悩み。なんとかこっちから連絡を取れればいいんだが。
[備考]宝具『天地宇宙の航海記、描かれるは灰と光の境界線(Calling Sphere Bringer)』は、にちかがマスターの場合令呪三画を使用することでようやく短時間の行使が可能と推測しています。
アルターエゴ(
蘆屋道満)の式神と接触、その存在を知りました。
割れた子供達(グラス・チルドレン)の概要について聞きました。
七草にちか(騎)に対して、彼女の原型は
NPCなのではないかという仮説を立てました。真実については後続にお任せします。
星辰光「月照恋歌、渚に雨の降る如く・銀奏之型(Mk-Rain Artemis)」を発現しました。
【
七草にちか(弓)@アイドルマスター シャイニーカラーズ】
[状態]:健康、いろいろな苛立ち(割とすっきり)、プロデューサーの殺意に対する恐怖と怒り(無意識)、気絶
[令呪]:残り三画(顔の下半分)
[装備]:不織布マスク
[道具]:予備のマスク
[所持金]:数万円(生活保護を受給)
[思考・状況]基本方針:生き残る。界聖杯はいらない。
0:zzz……
1:アイドル・七草にちかを見届ける。
2:あの野郎(プロデューサー)はいっぺん殴る。
3:お姉ちゃん……よかったあ~~~。
[備考]※七草にちか(騎)のWING準決勝敗退時のオーディションの録画放送を見ました。
※二日目・未明の段階で七草にちか(騎)に送られた七草はづきからの安否確認のメールに代筆しました。七草にちか(弓)のアパートの住所とそこにいることを伝えてあります。
【アーチャー(メロウリンク・アリティ)@機甲猟兵メロウリンク】
[状態]:全身にダメージ(大・ただし致命傷は一切ない)、疲労(大)
[装備]:対ATライフル(パイルバンカーカスタム)、照準スコープなど周辺装備
[道具]:圧力鍋爆弾(数個)、火炎瓶(数個)、ワイヤー、スモーク花火、工具
[所持金]:なし
[思考・状況]基本方針:マスターの意志を尊重しつつ、生き残らせる。
0:この状況を───
1:にちかと摩美々の身辺を警護。
2:『自分の命も等しく駒にする』ってところは、あの軍の連中と違うな……
3:武装が心もとない。手榴弾や対AT地雷が欲しい。ハイペリオン、使えそうだな……
4:少しだけ、小隊長のことを思い出した。
[備考]※圧力鍋爆弾、火炎瓶などは現地のホームセンターなどで入手できる材料を使用したものですが、
アーチャーのスキル『機甲猟兵』により、サーヴァントにも普通の人間と同様に通用します。
また、アーチャーが持ち運ぶことができる分量に限り、霊体化で隠すことができます。
アシュレイ・ホライゾンの宝具(ハイペリオン)を利用した罠や武装を勘案しています。
【田中摩美々@アイドルマスター シャイニーカラーズ】
[状態]:気絶、ところどころ服が焦げてる
[装備]:なし
[道具]:白瀬咲耶の遺言(コピー)
[所持金]:現代の東京を散財しても不自由しない程度(拠出金:田中家の財力)
[思考・状況]基本方針:叶わないのなら、せめて、共犯者に。
0:ただ、プロデューサーに、生きていてほしい。
1:プロデューサーと改めて話がしたい。
2:アサシンさんの方針を支持する。
3:咲耶を殺した人達を許したくない。でも、本当に許せないのはこの世界。
[備考]プロデューサー@アイドルマスターシャイニーカラーズ と同じ世界から参戦しています
【アサシン(
ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ)@憂国のモリアーティ】
[状態]:心痛、覚悟
[装備]:現代服(拠出金:マスターの自費)、ステッキ(仕込み杖)
[道具]:ヘルズ・クーポン(少量)、Mとの会話録音記録、予備の携帯端末複数(災害跡地で入手)
[所持金]:現代の東京を散策しても不自由しない程度(拠出金:田中家の財力)→限定スイーツ購入でやや浪費
[思考・状況]基本方針:聖杯の悪用をもくろむ主従を討伐しつつ、聖杯戦争を望まない主従が複数組残存している状況に持って行く。
0:この状況を───
1:いずれはライダー(アッシュ)とも改めて情報交換を行う。
2:『彼(ヒーロー)』が残した現代という時代を守り、マスターを望む世界に生還させる。
3:"割れた子供達"、“皮下医院”、“峰津院財閥”。今は彼らを凌ぐべく立ち回る。
4:いざとなればマスターを信頼できるサーヴァントに預けて、手段を選ばない汚れ仕事に徹する―――だが、願わくばマスターの想いを尊重したい。
5:乱戦を乗り切ることが出来たならば、"もう一匹の蜘蛛(
ジェームズ・モリアーティ)"の安否も確認したい。
[備考]
※ライダー(アシュレイ・ホライゾン)とコンタクトを取りました。以後、定期的に情報交換を試みます。
※櫻木真乃およびアーチャー(星奈ひかる)から、本選一日目夜までの行動を聞き出しました。
【櫻木真乃@アイドルマスターシャイニーカラーズ】
[状態]:疲労(小)、精神的疲労(中)、深い悲しみ、強い決意
[令呪]:残り二画
[装備]:なし
[道具]:予備の携帯端末
[所持金]:当面、生活できる程度の貯金はあり(アイドルとしての収入)
[思考・状況]基本方針:どんなことがあっても、ひかるちゃんに胸を張っていられる私でいたい。
0:ひかるちゃんと共に戦う。
1:優しい人達に寄り添いたい。そのために強くありたい。
2:あさひくんとプロデューサーさんとも、いつかは向き合いたい。
3:アイさんたちがひかるちゃんや摩美々ちゃんを傷つけるつもりなら、絶対に戦う。
4:ひかるちゃんを助けるためなら、いざとなれば令呪を使う。
[備考]
※
星野アイ、アヴェンジャー(
デッドプール)と連絡先を交換しました。
※プロデューサー、田中摩美々@アイドルマスターシャイニーカラーズと同じ世界から参戦しています。
【アーチャー(星奈ひかる)@スター☆トゥインクルプリキュア】
[状態]:変身状態、頭部を中心に全身にダメージ(中・回復中)、精神的疲労(中)、悲しみと大きな決意
[装備]:スターカラーペン(おうし座、おひつじ座、うお座)&スターカラーペンダント@スター☆トゥインクルプリキュア
[道具]:洗濯済の私服、破損した変装セット
[所持金]:約3千円(真乃からのおこづかい)
[思考・状況]基本方針:何があっても、真乃さんを守りたい。
0:真乃さんと共に戦う。
1:何かを背負って戦っている人達の力になりたい。
2:ライダーさんには感謝しているけど、真乃さんを傷つけさせない。
3:罪は背負う。でも、大切なのは罪に向き合うことだけじゃない。
【猗窩座@鬼滅の刃】
[状態]:令呪『今回の戦い、絶対に勝利を掴め』
[装備]:なし
[道具]:なし
[所持金]:なし
[思考・状況]
基本方針:マスターを聖杯戦争に優勝させる。自分達の勝利は――――。
0:殺す
1:プロデューサーに従い、戦い続ける。
[共通備考]
※世田谷区が事実上消滅しました。区を中心に直径数㎞、深さ数百mの大穴が空き、その中心部にベルゼバブが生き埋めになっています。
『月照恋歌、渚に雨の降る如く・銀奏之型(Mk-Rain Artemis)』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1~10 最大補足:1~50
ライダーが発現した星辰光であり、彼の内部に存在するヘリオスを介した異能。
その能力は火炎発生能力。能力の太源それ自体はハイペリオンと全く同一であり、発生した膨大な熱量による攻撃や、高い付属性を活かした炎の鎧を纏っての攻防一体の力など、能力の使用法も共通する。
この能力の本質は、核となるヘリオスを炉心として最適化させることに成功しているという点である。
今まで行使していたハイペリオンは、ヘリオスという炎をそのまま握りしめて使用していたに等しい。例えるなら、焚火をするために火のついた薪を素手で握りしめ、体を温めるため暖炉の中に直接身を投げていたようなものである。
対してこの星辰光は、ヘリオスを正しく炉として機能させ、必要な分の熱量だけを抽出することに成功している。必要な手順を踏めば魔の恒星ですら制御できる、安定性と安全性を突き詰めた能力と言えるだろう。
具体的にハイペリオンとの違いを挙げると以下のようになる。
- 暴走や自傷の危険性が存在しない。
- 余剰火力は常にストックされ、力の枯渇が発生しない。
- 発動中は常に魔力が体を満たすようになり、癒しの力に変換された炎により常時回復状態となる。
- 代償として火力上限が設定され、今までのように意志力による威力向上は見込めない。
ヘリオスを炉心として最適化させる手段として、異なる世界線では「距離」を利用していた。
近づけば全てを焼き尽くす太陽でも、適切な距離さえ取れば命を育む暖かな陽の光となるように。アポーツ(空間転送)の異能を複合させることでヘリオスを物理的に世界の果てまで遠ざけることで、疑似的に再現されたのがこの星辰光である。
しかしこの聖杯戦争の舞台において、ヘリオスは遠ざけられるどころかアシュレイ・ホライゾンと一心同体であり、隣に並び立って戦う無二の相棒となっている。
これが意味するところはただ一つ。万象焼き尽くす恒星であるはずのヘリオスが、手加減を覚えたということ。対峙する全員を焼き殺さねば気が済まない光の奴隷が、只人の尺度と視座に立つことができたという何よりの証である。
時系列順
投下順
最終更新:2023年03月18日 00:49