とくべつな日
「…何だこれは?」
「ムクモゴリス用のビスケットに、王妃様の果樹園から盗んできた苺と、前の舞踏会で隠して持ち帰ったチーズです」
「…ほお。で?何の会だ」
「私の誕生日なので…」
「……は?」
「誕生日なのですよ」
「今迄言わなかっただろ」
「聞かれたことがないので言いませんでした?」
「…少し待っていろ。その晩餐はなしだ。用意されたものも食べていないな?」
「…体調が悪そうだからと、簡単なものしか出ませんでしたから」
「そうか。…いいか、少し待っていろ。何も食うなよ」
「…まぁ。ノインの姿がどこかに消えてしまいました。…お腹が空いて堪らないので、苺くらいは…」
「…おい。食べるなと言っただろうが」
「むぐ。…チーズと苺だけです」
「殆どだろ。…ったく。軽めのものにしたが、少しずつだぞ」
「お肉…けき…」
「鶏肉の香草焼きと、ジャガイモとチーズのグラタン、紅茶のパンにケーキだ。足りないにも程があるが、今のお前には負担になるからな」
「けき…」
「足りなくても、得るべき祝福を揃えてある。我慢しろよ」
「ぜ、全部食べてもいいのですか?」
「ここにあるだけはな。…もっと早く言えばもう少しマシだったんだぞ」
「あぐ!」
「…聞いてないな」
「美味しいです…かさかさのチーズなんて食べなければ良かったです…」
「…やれやれだな」
以上となります。
次のディアの誕生日は、リベルフィリアの後の復讐を終えてからなのかもしれません…
準備の時間は沢山ありそうです!
最終更新:2022年05月07日 16:11