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ロシア社会主義
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史実におけるロシア社会主義
ロシア社会主義 | ||
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英名 | Russian socialism |
別名 | 農民社会主義、共同体社会主義 | |
イデオローグ | アレクサンドル・ゲルツェン |
ロシア社会主義とは、アレクサンドル・ゲルツェンが提唱した「農村共同体(オブシチナ)」を基盤とする革命的民主主義、あるいは空想的社会主義的な思想である。なお、ゲルツェンはナロードニキ運動の先駆者とされている。
ゲルツェンは西欧での革命の敗北を経て、社会主義はまずロシアで確立されるべきであるという思想に至った。そして、その基本単位となるのは農民による共同体である「オブシチナ」であるとした。
農民社会主義という別名があるように、農民層を重要視しており、農民が持つ共同体的な土地所有の意識や、土地に対する権利といった考え方、そしてオブシチナによる自治こそが社会主義社会の基盤になると考えている。
ゲルツェンは具体的には以下のような提言をした。
- 土地を付けた上での農民開放
- 地主による土地所有の禁止
- 当局から独立したオブシチナによる自治の導入
- 国そのものの民主化
当時のロシアの思想界は、西欧派とスラヴ派に分かれていた。ゲルツェンはその二つを統合しようと試みていた。ゲルツェンは西欧派から、進歩主義やヒューマニズム、個人主義を受け入れた一方で、スラヴ派から連帯と共同体主義(オブシチナ主義)を取り入れた。なおゲルツェンは西欧派の(経済的)自由主義とスラヴ派の民族優越主義や排外主義に関しては拒絶した。
個人主義と共同体主義は一見矛盾するように見えるが、ゲルツェンは理想郷への到達のためには、専制政治を打倒するだけでは足りないと考えていた。個人が農奴制に根差す奴隷根性を持つ限りは、理想郷への到達は不可能である。故に、農民が自己を個人的、経済的、市民的に解放できるよう啓蒙しなければならないと考えていた。
ゲルツェンは、空想的社会主義者のサン=シモンやシャルル・フーリエだけでなく、ヘーゲルの信奉者でもあった。つまり、人類の発展は段階を経て進み、各段階は特定の民族において具現化されると考えていた。スラヴ派と同様に、ゲルツェンもいずれゲルマンの時代からスラヴの時代へと移行すると考えていた。
ゲルツェンは、この移行がオブシチナとロシア人の特殊性のおかげで実現すると考えていた。ゲルツェンは、ロシア人は西欧人と異なり、凝り固まった俗物根性が無く、新鮮で未開の民族であるとした。その「未開性」のために、ロシア人はまだ見ぬ世界へと進むエネルギーや生命力を持っているのである。