序幕 |
「―――なんだが、 また私の授業中に船を漕いでおった」
………。
「なあ、キャロル君。 私の授業はそんなに退屈に見えるかな」
いえ、彼女は毎晩遅くまで勉学に励んでいるのです。 どうかあまり厳しく叱りつけないでください。
「……しかしこの前も途中で抜け出すなど、 とても真面目とは言い難いな。 いくら学寮長の娘とはいえ――君も教師として――」
ロビンソン先生、そろそろ失礼します。
「ん? ああ、もうこんな時間か。 長話に付き合わせてすまないね」
いいえ、とても有意義な時間でした。
「ああそうか、君は明日から長期休暇か。 いいねぇ、好きなだけ自分の時間を使えるなんて」
まさか、僕の時間はもっとも親しい人に贈る為に使います。
「そうやって 他人に時間を吸われて皆、老人になっていくんだよ。 キャロル君……」
現在見ている懐かしい思い出は、どの過去のものだろうか。 謎めいた記憶の輪を辿ってみる。 鮮明に、確かに、流れ染みてくる。
僕の扉が開いた。
見覚えのある風景。 この屋敷には3人の小さなお姫様が住んでいる。 門は歓迎を表すかのように開かれている。 僕は何の戸惑いも無く 大理石の道沿いに足を踏み入れて 鍵を使い、玄関の扉を開けた。
次女 あっ、先生おかえりー
長女 おかえりっ、先生っ!
三女 おねーちゃぁ、まってぇぇ……!
長女 早くおいでなさいよイーディス。 あなたの蜂蜜トースト食べちゃうわよっ!
三女 ずりぅ! |
1 DAY(昼) |
1階廊下 |
☞目星 隅から隅まで掃除が行き届いており、埃も目立たない。 何時訪れても綺麗な屋敷だ。 ……かと思えば、階段の隙間に落書きがされてある。
☆ディナーショーへ ようこそ:) えらばれた あなた 最高ラッキー! とびきりステキな食じが うれしい! ←わたしたち ラ・ラ・ラ・ラ・ラ・ラ・ラ・ラ・ラ・ラ・ラ・ラ~ |
2階廊下 |
☞目星 民芸品が並んでいる廊下。 学寮長のコレクションだ。 見せびらかしたいのが嫌でも伝わってくる。 その結果が、好奇心旺盛な走り回る少女たちに壊される日々である。 飾る場所を間違えているんじゃないか? ……戸棚の上にメモがある。
行動すると時間を消費する。 そうだ、このメモを見ている間にも君の時間は消えた。 |
☞長女~三女の部屋 勝手に少女の部屋に入る訳にはいかない。 |
自室 |
☞目星 僕に当てられた豪華絢爛なインテリアが目立つ部屋。 休暇の間はここを好きに使っていいとのことだ。 信頼に応えるべく、少女たちの世話は僕がしなくては。 ……そんなことを考えながら、辺りを物色しているとメモを見つけた。
娘たちとのコミュニケーションは控えるように。
……これは僕宛てかな。 |
☞革鞄 持って来た鞄の留め金をカチリと外す。 使い込まれたカメラ。 ……そして、少女たちの写真がある。 思い出に耽る時間はない。 我に返り、写真を鞄の中に戻した。 |
居間 |
☞次女と長女(初回) 危ないから階段を走ってはいけないよ、二人とも。
長女 はい、ごめんなさい先生
次女 わたしなら2階から落ちてもへっちゃらよ
長女 なんでよ
次女 わたし、我慢のできる娘だものっ 屋根から落ちたって何も言わないわ!
そりゃあ、何も言えなくなるだろうね。
長女 先生って学校に生息しているんじゃないの?
その通りだよ。だから、引っ越してきたんだ。 |
☞次女と長女(2回目) 今日から僕は長いお休みになるからよろしくね。
次女 ずっと家にいるの?やったーっ |
☞三女 三女 もぐぐっもぐぅ……
イーディスはトーストをちまちま食べている。
この小鷲が食べ終わる頃には日が暮れそうだ。 |
居間 (目星) |
3姉妹がくつろいでいる癒しの空間だ。 キッチンテーブルには色とりどりのお菓子が並んでいる。 ……お菓子にはラベルが貼ってある。
ぼくをおたべ。 |
☞こっそり食べる クッキーを一つ手に取り、口の中に運ぶ。
噛み砕くと甘い味が広がった。
長女 ちょっと先生っ!わたしのお菓子取らないでよ!
次女 おねえちゃんのいじわる。 ちょっとぐらい先生が食べてもいいじゃない
長女 ちょっとってどれくらいよ
次女 ダイナのお皿くらいは?
長女 コウモリ一匹ぶんってこと? 信じられないっ! |
☞食べない つまみ食いはやめておこう。 |
玄関 |
☞扉を開ける 誰もいない。 |
☞目星 外側だけでなく内側にも鍵穴がある扉だ。 また、外には来客用のベルがある。 ……扉の横にメモが貼ってある。
夜前には鍵を閉め、鍵は自室に保管しておくこと。 |
1 DAY(夜) |
夜開始 |
夜がやって来た。 |
自室 |
☞革鞄 ……メモを見つけた。
時が経てば、同じ場所で違う物を見つける事がある。 目星は存分に使おう。 |
自室 (目星) |
夜回りはしっかりと。
……玄関の鍵を持っていこうか? |
☞持っていく 玄関の鍵を手に入れた。 |
2階廊下 |
☞長女~三女の部屋 勝手な夜這いは駄目だ。 |
2階廊下 (目星) |
伝統とか趣があるのかは知らないが、 やはり夜間に人の顔が見えるのは不気味だ。 ……戸棚の上にメモがある。
お前は 後ろから
微笑む男に見つめられている。 |
☞後ろを向く …………目の前には暗闇が広がっている。 |
1階廊下 (次女と遭遇) |
次女 ばあっ! えへへ、驚いた?
驚いたよ。 もう寝なくちゃいけない時間だよ。
次女 ごめんなさい先生。お花を摘んでいたの 先生こそ、こんな夜更けに何しているの?
君みたいな夜更かししてる子を 見つける為に夜回りしているんだよ。
次女 夜回り?勇気あるのねっ 大人ってすごーい
君も結構、度胸がある方だと思うな。
次女 先生、実はね。 この屋敷にはイーディスやロリーナお姉ちゃんの他に もう一人、女の子がいるの
もう一人?家政婦さんかい。
次女 いいえ、違うわ。 屋敷が立てられる前に、この土地で死んじゃった娘なの たまに私達の前に現れてお話したりするけど 大人が来ると、凄い怖い顔になるの きっと、先生が見つかったら殺されちゃうかも
それは怖いね。 見つからないように気を付ける事にするよ。
次女 本当にいるのよ
……居間から割れる音がした。
次女 もしかして、あの子が来たのかしら。 見てくるから先生はここにいて! |
☞追いかける 次女 もうダイナったら! またお皿を割っちゃったの? 餌なら夕方にあげたじゃない!
どうやら猫の仕業のようだ。 割れた皿は後で片づけておこう。 さあ。 君は部屋に戻ってもうおやすみ。 |
☞ここで待つ 次女 ダイナがお皿割っちゃったみたい
それは大変だ。 後で片づけておくから、君はもう寝なさい。 |
次女 先生、さっきの話を聞いて怖くないの?
怖いよ。夜回りなんてしたくないな。
次女 だったら、わたしのお部屋に来ていいよ。 先生のママになってあげる
後でお邪魔するよ。
次女 本当よ。ちゃんと指切りしてね |
1階廊下 |
☞目星 夜の階段は常に足元に気を配らなければならない。
2階から落ちれば誰だって死ぬ。 |
居間 |
☞目星 昼間のお茶会の片づけはしっかりされてある。 お転婆ながらも、教養のある少女たちが僕は大好きだ。 ……テーブルには新聞紙が置いてある。
=======3姉妹、誘拐事件=========== 長女xxxx・xxx 次女xxx・xxx 三女xxxxx・xxx 1862年7月4日アイシス川で遊んでいるのを最後に、行方が知れぬまま。 犯人はオックス・ウォード学院の教師だと疑われている。 |
玄関 |
☞扉を開ける 誰もいない。 |
☞目星 戸締りはしっかり確認した。 誰も入って来られないはずだ。 ……扉の横にメモが貼ってある。
夜間にノックが聞こえたら、絶対に開けないこと。 |
次女の部屋 (1階廊下に 降りた) |
次女 うふふ、本当に来てくれたのねっ
お招きいただき光栄です。
次女 どうぞ、楽になさって 今夜も大人の遊びを教えてね |
2 DAY(昼) |
前日に3姉妹と 話していない |
先生 せーんーせーいー! 妹たちが遊びたいんだって。 まったく、なんでわたしが呼ばなくちゃならないのよ 先生! せっかくの休みなのに引き籠りはやめてよねっ! |
前夜次女と寝た |
お茶会が始まるよ、もう起きなくちゃ。
次女 んんう。 どうかお心あらば、あと1分だけ止めて……
1分という時間は恐ろしく早い。 それを止めるなんて、バンダースナッチを止めるものと同じだよ。
次女 なんてこと。 でもまだ夢物語を見ていたいの
じゃあ、先に居間に行ってるよ。
次女 うん |
自室 |
☞目星 彼女の名前を呼んではならない。 |
☞革鞄 執筆途中の童話が底に眠っている。 愛しき彼女へ贈る物語だ。 |
2階廊下 |
☞目星 訪問者を招き入れてはならない。 |
1階廊下 |
☞目星 かくれんぼたのしい! 先生が隠れる役 ←わたしたち見つける![・v・] 見つからなかったら あなたの勝ち 見つかったら ディナー囲んで遊びましょ |
居間 |
☞次女 次女(前夜次女と会わなかった) ん~~~………っ
彼女は華奢な肢体をアピールしながら体操をしている。
こんな光景を見てしまうと、写真に収めたい欲求が溢れてくる。 |
☞次女(前夜次女と会ったが一緒に寝なかった) 昨日は一緒に寝れなくてごめんね。
次女 気にしてないわ! わたし、ベッドに入ってすぐに寝ちゃったもの
それはよかった。 今日は夜更かししないようにね。
次女 夜更かし?なんのこと? わたし、昨日はずっと自分の部屋にいたわ
どうやら拗ねてしまったようだ。 今夜は彼女と慰めの同衾を共にしてみようか。 |
☞次女(前夜次女と寝た) 次女 あら、先生。 やっとお目覚めさんっ ずっと寝てたから先にみんなでお茶会を始めてたのよ
おかしいな。 先に起きたのは僕のはずだけど……。
次女 先生ったら寝ぼけているの? ほら、ちょうちょも曲がっているわ。 わたしが直してあげるわねっ
長女 ちょっとそこの二人とも! べたべたバターみたいにくっつかないの! 厚かましいったら!
次女 てへへ |
☞長女と三女 三女 ライオンがユニコーンと、たたかった♪ 王冠よこせと町じゅうで、こてんぱん♪
長女 ある人あげたよ、白パン♪ レーズン・ケーキに黒パン♪ 太鼓叩いて追い出せ、パンパカパン♪ はい出来たわっ! さあイーディス、みんなの分をナイフで切り分けてね
三女 ……ひうゅゅぅ
長女 また囀ってる
三女 むりぅ……。 ナイフこわいからむりぃ……っ おねーちゃぁたすけてぇ……っ
長女 ほんっと仕方ないわねっ わたしがいないとなんも出来ないんだから!
三女 えへぇ……けほけほっ |
☞目星 キッチンからは甘い蜂蜜の匂いが漂ってくる。
次女 先生、お客様よ。 こういう時、大人が先に挨拶するのが正しいって 教本に書いてあったわ |
玄関 |
☞扉を開ける(居間の目星選択済) 何か用かな。 よその子は入れないよ。 ここは僕の家だ。 |
☞目星 扉の向こうへ行ってはいけない。 |
2 DAY(夜) |
自室 |
☞目星 三女に薬は不要。 |
☞革鞄 ……メモを見つけた。
夜回りを怠れば、訪問者がやって来る。 |
2階廊下 |
けほっけほっ…… |
☞目星 ……視線を感じる。 ……戸棚の上にメモがある。
後ろを向きなさい。 |
☞三女の部屋 大丈夫かい?咳き込んでいるようだけれど。
「せ せんせい…… く、薬……ぃ」
すぐに取ってくるよ。 |
☞三女の部屋(2回目) 「ごほごほ……」 |
1階廊下 |
☞目星 気のせいだろうか。窓から視線を感じる……。 |
居間 (三女の部屋に 行っていない または薬取得済) |
☞目星 お茶会後の甘い匂いが微かに残っている。 ……テーブルには新聞紙が置いてある。
=======3姉妹、殺害事件=========== 犠牲者 長女xxxx・xxx 次女xxx・xxx 三女xxxxx・xxx 無残な死体となって発見されました。 近くの片隅で震えていた男を容疑者として逮捕。 |
居間 (三女の部屋に 行った) |
☞目星(1回目) テーブルの上を見る。 ここには薬は無いようだ。 |
☞目星(2回目) ソファの下を探す。ここには薬は無いようだ。 |
☞目星(3回目) 観葉植物の中を探す。ここには薬は無いようだ。 |
☞目星(4回目) キッチンの戸棚の中に『VENUS』と書かれた薬を見つけた。 |
☞持っていく 薬を手に入れた。 |
玄関 |
☞目星 夜中にチャイムが聞こえたら、絶対に開けないこと。 |
薬を持って 三女の部屋 |
三女 ありがとぅ、先生……。 楽になりました
それは良かった。
三女 からだ、弱くてごめんなぁい……。 先生も、お姉ちゃんにも迷惑かけてしまぅて……ぅ |
☞一緒に寝る 三女 先生、あの
問題ないよ、イーディス。 |
☞立ち去る 大丈夫だよ、また様子を見にくるからね
三女 はぃぃ |
三女の部屋を 立ち去った後 再来 |
三女 けほっ せんせぇ……?
一緒に寝よう、イーディス。 |
3 DAY(昼) |
前夜 三女と寝た |
大丈夫かい。起きれそうかい?
三女 むりぅ……
今日はゆっくり休みなさい。 |
☞三女の部屋 ひゅぅう……
具合の様子はどうだい?
三女 明日にはよくなる、たぶんぅ……
明日は一緒にお茶会をしようね。
三女 うん……! 明日はね、おねぇちゃんと一緒にクッキー作るんだぁ それとねぇ、それとねぇ……っ |
自室 |
☞目星 この家はどこかおかしい。 違和感の正体を掴めぬまま、泥沼に沈んでいく気分だ。 ……椅子の上にメモがある。
次女は嘘つき。 |
☞革鞄 ……見覚えのない
写真
が入っている。 女性がこちらにむかって微笑んでいる。
何時撮ったのか、誰だったか。 ……私は想い出す事ができなかった。 |
2階廊下 |
☞目星 少女たちと戯れる事は罪なのか。 愛しい者を愛でるのは罪なのか。 ……戸棚の上にメモがある。
彼女の肌は今でも憶えている。 頭の中でいくつでも想起できる。 その瞬間だけ、僕は時間を止める事ができる。 |
☞三女の部屋(昨夜薬を渡していない) イーディスは部屋で寝込んでいるようだ。 |
1階廊下 |
☞目星 僕は嘲笑されている。 僕は見下されている。 僕は憐れまれている。 僕は |
居間 |
☞次女 難しい顔をしているね、
次女 わたし、お姉ちゃんのこと好きじゃないの 産まれた順番で一番が決まるの、すっごく理不尽! わたしは一番になりたいのに
姉妹なんだから仲良くしなくちゃ。
次女 一番に食べたいの |
☞長女(三女に薬を渡した) 長女 先生、夜にわたしの部屋に来なさいよ
大事なお話があるのかい。
長女 殺して 別にっ! いいから、待ってるからね |
☞長女(三女に薬を渡していない) 長女 イーディスが寝込んでいるから お茶会はお休みよ
早く良くなるといいね。
長女 一緒じゃないと駄目なの。 仲間外れはわたしが許さない |
☞目星 静かな午前が過ぎようとしている。 明日にはきっと、明るくなるだろう。 |
玄関 |
☞目星(3姉妹と会話になる選択肢を選んだことがある) 少女に見つかるな。 |
☞目星(3姉妹と会話になる選択肢を一度も選んでいない) 呼ばれても、振り返るな。 |
玄関 (一度も3姉妹と 会話になる 選択肢を選んで いない状態で 扉を開ける) |
白い光が広がっている。 |
☞振り向く 次女 先生、みーつけた! まったく姿を見なかったから、 かくれんぼをしているのかと思ったわ!
ははは、見つかってしまったね。
次女 もう! 次にかくれんぼする時は先生が鬼をやってね? それと、外には出ちゃダメよ |
3 DAY(夜) |
夜開始 |
先生 たすけて あの子に殺されちゃう
わたしの部屋に来て |
自室 |
☞目星 次女と愛し合う。 |
☞革鞄 ……メモを見つけた。
運命の時間だ。 |
2階廊下 |
☞目星 ……誰かが僕を見て嗤っている気がする。 ……戸棚の上にメモがある。
微笑む男は背中を向いている人間には、微笑まない。 |
☞長女の部屋 入っていいわよ |
☞次女の部屋 次女 先生
どうしたんだい、悪い夢でも見たのかい。
次女 怖いの。あの子が殺しにくるの
あれは君の作り話だろ?
次女 ち、ちがう。 わたしこそまやかしなの。夢の存在なの 気付いたの。 わたし、自分の名前を思い出せない。 お姉ちゃんも先生もわたしの名前を呼んでくれないの!
何を言っているんだ。 君はアリス・リデルじゃないか。
「え?あれ?」
名を呼ぶな。
「ぃい」
呼べば、悟られる。 這い寄って 来る。
「見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つ 見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけ 見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけ 見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけ どうして私が探さなければならないのですか アリスを探して。アリスを忘れないで。アリスを愛して。 愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛 愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛 |
長女の部屋 |
長女 …… 昨日、イーディスが軽い発作を起こしたみたいで 話を聞いたら先生が助けてくれたらしいわね だから――まあ、そのう――― 一番上だからしっかりしなくちゃって―― いつも気が立っちゃって強い言葉使うけれど―― でも――妹たちのこと、大好きだから―― あ、ありがとう先生……。 イーディスを助けてくれて……
問題ないよ。僕も君たちが大好きだからね。 助けるのは当然だよ。 ロリーナ、君はとても強いし、偉い子だ。 でも僕の前では少し弱音を吐いてもいいんだよ。
長女 先生…… わたし、今でも一人で寝るのが怖くて……。 先生がよければ、一緒に……寝てほしいなって…… |
☞立ち去る ごめんね、まだ夜回りしなくちゃいけないんだ。
長女 ……わかったわ、先生。 さっきの話、忘れなさいよっ わたしは一人でも平気だからっ! |
三女の部屋 (昨夜薬を渡した) |
三女 せんせぇ、せんせぇ……
そんなにガタガタ震えてどうしたんだい。
三女 ベッドの下になにかいるぅ……! おねがい、見て……! ベッドの下、見てぇ……!怖いの!怖いのぉ!
落ち着いて。今、見てあげる。 大丈夫だよ、イーディス。 何もいないよ。 イーディス? |
☞三女の部屋(2回目) ……。 |
2階廊下 |
☞長女の部屋(長女の部屋から立ち去った) 夜回りを続けなければ。 |
1階廊下 |
☞目星 僕の夢物語に『現実』は猛毒だ。 現実に感化されれば、 怖ろしい悪夢を無意識のうちに生み出してしまうから。 |
居間 |
☞目星 血の匂いがする。 ……キッチンにラジオが置いてある。 カセットテープには 『3姉妹殺害事件 犯人・キャロル氏の供述】と書かれてある。
『怖かったんだ。 愛くるしい少女たちが、少女でなくなっていく変わり目が。 人の形に見えた時、僕はポケットからナイフを取り出して ズタズタに裂いて細切りのチーズにした。 ………仕方がなかったんだよ。
――精神鑑定を受けたところ、貴方は正常のようです。 そのような証言では死刑は免れない。 (キャロル氏がガタガタと震えだす)
『僕の顔は……ちゃんと人の顔に見えますか。 かんぬきでくりぬかれていませんか 僕はどこにいるんですか? ここはちゃんとした現実なんですか?』
――仰っている意味が解りかねます。
『繧「繝ェ繧ケ縺ッ縺ゥ縺薙□(アリスはどこだ)』
(悲鳴)
(歯車の音) |
玄関 |
☞目星(初回) 縫いぐるみが置いてある。
『 (主人公)くん ニゲテ 喰ワレ ル 』 |
☞目星(2回目) 僕は此処から出たくない。
放っておいてくれ。 |
4 DAY |
前夜 長女と寝た |
清々しい朝を迎えた。 隣で寝ているロリーナを起こす。
長女 お、おはよ。先生…… ぅうううう
どうやら既に起きていたようだ。 顔を手で隠してバタバタしている。
長女 昨日の事は忘れなさいよ……っ 思い出したり妹たちに言ったりしたら、首を切るわよ!
もちろん、指を切るよ。
長女 ところで先生、いつまで休みなの?
そういえば、昨日で休暇は終わりだったことを思い出した。
長女 なんですってっ!? 早く家を出なくちゃじゃないの! 妹たちを起こしてお見送りしなくちゃ……。 そ、そのまえに服も着て、髪も結んで……。 ああもおーっ! |
長女 さっさと行きなさい
次女 次もナンセンスなお話、沢山聞かせてね
三女 ひぃぅうっ……! 行ってらっしゃい、せんせぇ……っ
もし、家の門にさしかかったらハンカチを振ってくれるかな。 きっと、励まされるから。
次女 もちろん、持っているわ はるばる遠くから来てくださり、 本当にどうもありがとうございました。 また近いうちにお逢いになると思いますけど
それから、姉妹たちと握手を交わすと 私は扉を開いた。
君が助けてくれたんだろう。 ありがとう。 それから、寄り道に付き合わせて、すまなかった。 もう大丈夫だ。
眩い陽を浴びて、心を軽くしながら歩く。 やがて屋敷の門まで進むと、歩みの時間を止めた。 少女たちはハンカチを振っているだろう。 振り返ってみようか? |
☞振り返る ―――人形がいた。 |
☞振り返らない 僕は振り返らず、歩き始めた。 もう二度は逢えないと知ってなお、 進みながら物語を作る為に。 " 夏の日のアリス・プレザンス・リドルさようなら" |
前夜長女と 寝ておらず 次女の部屋にも 行っていない |
輝ける君の顔、もはや見えぬ。 銀の笑い声も、もはや聞こえぬ。 黄金の髪の毛、 白く若々しい肌、 君の笑顔は宝石の様に眩しい。 アリス、アリス、アリス・リデル きみはいまどこにいる? 逢いたい、触れ合いたい、
交わりたい。
水だ。 僕の顔に生温い水滴がかかる。 ――いや、違う、何かがおかしい。 こんなにも赤い水があるか?
アリスがいる。 無残な死体となって、天井にへばりついている……。 |
居間以外を選択 |
アリスはどこだ。 |
居間 |
三女 けほ……っ おはよぉ、先生……
ロリーナは?
三女 アリスお姉ちゃんを起こしに2階に行ったよぅ
長女 アリスがいない
三女 ひぅ?
どこにもいないのよ。 部屋中どこを探しても、アリスがいないっ!
ロリーナ、彼女は……。
長女 昨日の夜、あの子言ってたのよ。 先生に会いに行くって 先生、知っているんでしょっ? 教えてよっ!アリスはどこにいるの!? 勝手に家を出る子じゃないのよっ!
ロリーナ、落ち着いて話を聞いてほしい。
長女 聞くわよっ! 落ち着いてるから、早く話してっ!
アリスは遠い所に行ってしまったんだ。 もう、会うことはできないかもしれない。
……嘘っ!嘘よ、嘘嘘嘘っ!! そんなデタラメ信じたくないっ!! 先生の作り話に決まっているわ!!
三女 けほっ おねーちぁ……っ けんかだめだよぅ、けんかしないでぇ げ ほッ げぼおおおおおおおおぅッッ!!?!
長女 嫌あ……っ 嫌あああああああああああああああっ! |
居間 (目星) |
キッチンの戸棚を開けた。 ……ナイフを見つけた。 |
☞持っていく ナイフを手に入れた。 |
居間 (ナイフ 入手後に目星) |
……ラジオがノイズ交じりに喋っている。
「チチチチ――あのロリコン教師、不安定よ。 そうだねミチル。創造力は確かだけど、 想像豊かな脳が逆に悪影響を及ぼして自壊が早いよね これでは魂が確立しないのう。 メアリィ・スー様、いかがなさいますかな」
「きゃひひっ! だいじょーぶっ♪ボクにいーい考えがあるよぉ~」 |
1階廊下 |
☞目星 ……階段の隙間に落書きがされてある。
先生 先生 愛しき先生、 かくれんぼしましょ。 今度は わたしが隠れる番よ。
ナイフで刺したら おしまい。 |
長女の部屋 |
☞目星 ベッドの上にはクイーンの駒が転がっている。 |
☞ベッドの下を見る 何も見つからない。 |
次女の部屋 |
☞目星 ベッドの上には一冊の本が置いてある。 『地下の国のアリス』……僕が彼女の為に贈った物だ。 |
次女の部屋 (ベッドの 下を見る) |
アリスの死体を見つけた……。 手に何か握っているが、死後硬直で開く事ができない。 【ナイフ取得済】……ナイフで指を切り落とそうか? |
☞切り落とす ……玄関の鍵を手に入れた。 |
次女の部屋 (玄関の鍵入手後 ベッドの下を見る) |
もう見る必要はない。 |
三女の部屋 |
☞目星 ベッドの上には薬が転がっている。 ラベルには『VENOM』と書かれてある……。 |
自室 |
☞目星 もう朝日は昇らない。 後は沈むだけだ。 |
☞革鞄 使い込まれたカメラ。 ……そして、ディナーを囲む人形たちの写真がある。 |
玄関 (居間に入った後) |
長女 嫌っ!殺さないでっ!
大丈夫だ、ロリーナ。落ち着くんだ。 これは全て悪い夢なんだ。
長女 夢?……これは夢なの? そっか。夢なんだ。 夢が覚めれば、いつもと変わらない日常が始まるのよね。 わたしの可愛い妹たちも先生もいっしょで お茶会をするのよね よかったぁ…… ……痛い 痛いッ!夢なのに痛いっ!痛い痛い痛い痛い痛いッ! いだいぃぃいいぃぃいぃぃぃいいッ!! 夢じゃないッ!夢じゃないッ!夢じゃッ ぇえぐごぉおぉぉッ |
☞目星 時間を積み重ねれば、目覚めが遠のいていく。 扉の先に扉があったとしても、諦めず進め。 |