自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた@創作発表板・分家

新しき機械竜3

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844 名前:<平成日本召還拾遺物語> ◆OZummJyEIo 投稿日:2006/09/07(木) 23:25:00 [ Nz0LbtT6 ]
    ○新しき機械竜3 1/2
     XFE-1の処女戦、その勝利の一報は日本政府の耳に福音の如く響いた。
     当然だろう。
     XFE-1は、資源輸入を継続していく上で大切な、外貨獲得の資金源なのだから。
     無論、陸上兵器も輸出する予定ではあったが、技術機密保持の問題などから、輸出機材の選定などが
    遅々として進んでいないのが現状である為、輸出の目玉と云えるXFE-1が評価を高める事は、大変に
    喜ばしい事であったのだから。


     尚、陸上装備が優先されない理由として、陸上兵器売却に関するの諸問題、単価の安さ――儲け難さ
    のみならず、陸上戦闘の性質上ある程度数を出さねば成らず、その管理が困難であると云うものがあった。
     <大協約>陣営への技術漏洩を極度に恐れていたのだ。
     日本政府や会合は、戦場での、部隊や装備の発展具合から<大協約>列強諸国を甘く見ていなかった。
     現時点で、一部国家は一足飛びに産業革命を行いつつあるとすら認識していたのだ。
     無論、政治体制や現行の経済システムとの兼ね合い、或いは宗教的問題から、それが即座に、そして
    大々的に行われる危険性は、まだ高く無いと判断していたが、何時までも馬鹿にしていて良いものでは
    無いのだから。

     この他にも、全く新しい装備を提供する事による供与先の軍事的混乱の回避と云う問題もあった。
     それ故に日本は現在、<連合国>加盟諸国の現用兵器と1対1で交換する様な装備の開発を行っていたのだった。



     さて、輸出の目玉商品として売れそうな事が決まったXFE-1ではあったが、1つの波乱があった。
     単価である。
     それは、富士重工業の担当者が漏らした一言によって引き起こされたのだった。

    “300機発注して戴ければ、後3億は削れます”

     機体構造こそ新造であったものの、後はエンジンから電子機器、果ては射出座席まで殆どの部品を
    流用で済ませた結果、XFE-1の値段はFL-1の1/3以下、初回発注数100機とした場合に、1機約16億円
    (※開発費を含めて)と云う数字を達成したのだ。
     それは現代の兵器開発と、そのの値段に詳しい者は、奇跡とすら表現した数字だった。
     正に、XFL-1の入札時に川崎重工の設計陣からXFL-1(F)を酷評された、富士重工スタッフの意地と
    執念との結実であった。

     XFE(輸出戦闘機)計画時、出された要求は、1機辺りの単価を(開発費抜きで)20億円以内にする事。
     余裕で達成していた。
     それが更に3億円削れると云うのである。
     迷わぬ筈が無かった。
     何故なら、この“300”と云う数字には、1つのカラクリがあったが為に。
     当初予定の100機に積み増される200機と云う数字は、川崎重工製のFL-1の追加購入予定の数と同じで
    あったのだ。

     日本国防省では、第三次メクレンブルク事変の経験から本気の<大協約>航空部隊から航空優勢を
    緒戦より護りぬくには、<大協約>と正面から対峙する同盟国及び資源直轄領へは、従来の航空戦力に
    足して、FL機部隊を9個を配備する必要があると計算していた。
     これに緊急展開用と、本土で訓練と休息の為のローテーション用との部隊を併せて6個の、計15個の
    ユニットを編制し、防空体制を構築する予定であった。
     FL-1の単価が約50億円の為、合計で1兆5000億円と云う莫大な予算を必要とする一大事業である。

     シーパワー、特に輸送船舶や海上保安庁の拡張に莫大な予算を食われて居る現在、これ程の航空戦力
    の拡張は、第三次メクレンブルク事変にてF-15及びF-2併せて40機近くを消耗していなければ、とても
    ではないが実現し得なかったであろう事業であった。
     だが同時に、その事業規模ゆえに国防省内部で常に批判を浴びてきた事業であもあった。
     所詮は2線級でしかないFL-1に、それだけの大金を投じて良いのか、との。


     その事を理解していた富士重工のスタッフは、FL-1事業の反派に積極的な売込みを掛けた。
     殆どネガティブキャンペーン並の勢いで。

     FL-1 1機の値段で、XFE-1なら4機揃える事が出来ます。
     追加の200機分1兆円が、300億円以下で済みますよ。
     特殊な素材も極力配していますんで、レアメタルの消費も少ないですよ。
     ライフサイクルコストも安いです。
     空戦性能では若干劣りますが、ミサイル戦でなら、余り速度差は関係ありません。
     それに展開速度が遅くとも、滞空時間が長い(4倍以上!)ですからCAP(戦闘航空哨戒)任務には
    最適です。
     レーダー能力は劣りますが、支援を受ければ、十分に大丈夫です。
     リンクシステムは最新のを積む余裕はあります。
     ミサイルだって、AAM-5系列の空対空誘導弾を搭載出来る様に改造する事は簡単ですよ。
     ここら辺の上位機種、国内仕様の場合だって値段の上昇は1億円以下には抑えてみせます。

845 名前:<平成日本召還拾遺物語> ◆OZummJyEIo 投稿日:2006/09/07(木) 23:25:36 [ Nz0LbtT6 ]
    ○新しき機械竜3 2/2
     オマケに、ある程度は艦載機化も考えた構造設計していますんで予算を付けて貰えれば、艦載機も
    開発しちゃいます。



    ――など等である。


     更には新聞などの媒体も活用したのだ。
     それは富士重工の怨念すらも感じられる、大馬力っぷりであった。

     無論、川崎重工側でも対応はとっていたが、先に契約を取ったとの安心感と、富士重工を練習機しか
    ロクに作った事も無い企業だと奢って居たが為、反応が遅かったのだ。
     川崎重工が、その重い腰を上げた時には、もう完全に外堀が埋められた後だった。

     挙国一致内閣の揚げ足取りに血道を上げていた、某社会主義政党が、大声で血税の濫費を猛追し、
    その結果、両機の優劣を見る為にFL-1とXFE-1による模擬空中戦を実施し、その勝利した機をFLの、
    二次整備計画機として選定する事と相成っていたのだ。


     そして空戦。
     両機共に、迎撃戦闘の標準装備で出撃した。
     FL-1はAAM-5×2と、連装携帯SAMパック×2。
     XFE-1は5連装携帯SAMパック×4。
     無論実弾では無く、各々の装備を施していると仮定しての、である。

     行われたのは5回。
     川崎重工及びFL-1派の人間は、如何にXFE-1が素性に優れていても、AAM-5からは逃げられないと
    読んでいた。
     実際、最初の2回はレーダーの能力もあって先に発見し、先制攻撃を宣言し撃破している。

     が、問題は残り3回であった。
     3回ともAAM-5攻撃は見事に避けられ、最後の2回など只管に逃げ回っての引き分けであった。
     そして真ん中の1戦。
     これが問題であり、全てを決定付けたのだった。

     その戦いでXFE-1のパイロット、大山一尉は見事FL-1を格闘戦に引きずり込み、撃破したのだ。

     軽快な中等練習機T-4をベースにしたFL-1ではあったが、軽戦闘機化するに当たって欲張って様々な
    電子機器を満載した結果、機体重量が重くなり運動性能が低下していたのだ。
     必要最小限の電子機器を積んだだけの、軽快なFE-1に格闘戦で勝てる筈も無かった。



     この結果をもって、川崎重工とFL-1推進派はFL-1の性能の高さが実証されたと言ったが、それは彼ら
    自身ですらも“強弁”の類である事を自覚しての言葉であった。

     4倍近いコスト差があるにも関わらず、圧勝には失敗。
     そもそも、性能差だけでは<大協約>航空部隊に優勢を維持し得ない事が判明したが為に立案されたのが、
    FL計画なのだ。
     ワイバ-ンロードに優勢を維持できるだけの、性能を持っていさえすれば、後は安ければ安い程に良い。
     そういう基本にあったのだから。


     FL-1の第二次発注分200機がキャンセルされ、XFE-1の2タイプ(A:輸出型 B:本国型)の計300機
    が発注されたのは、模擬空戦の1週間後であった。

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