自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた@創作発表板・分家

SS 001-020 11

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129 名前:名無し三等兵@F世界 投稿日: 2004/07/12(月) 22:13 [ qUq6iUEM ]
    「ええっ!?じ、自分が、ですか?」
    青島は狩野、福地、宮野という艦隊首脳のまえに呼び出されていた。
    「ああ、君の隊に私と福地さんの二人を護衛してもらうこととなった。本当は我々の船で交渉を行いたかったんだが先方が絶対に自分達の船で、と言い張るらしい。」
    「狩野君!」
    青島が何かを言うより早く福地が怒鳴った。
    「何を考えているか分からん未知の連中との交渉に行くのに何故こんな若造を!」
    「彼は優秀な指揮官ですそれは保障いたします。それに・・・。」
    上からの「青島に少しでも多くの現場を経験させろ」などという命令が無ければ私も彼を選んだりはしない。そう狩野は言いかけてやめた。
    「それに?」
    「いえ、なんでもありません。」
    未だ不満そうな福地から狩野に向き直る。
    「ということだ、青島君。君には期待している。大丈夫、そんな危険な任務ではない。」
    「・・・はっ!了解いたしました。」
    青島はどこかやるせない気持ちを抱きながらも敬礼をした。

130 名前:名無し三等兵@F世界 投稿日: 2004/07/12(月) 22:14 [ qUq6iUEM ]
    「ということになった。」
    こんごう甲板の空いたスペースに40名近くの小隊員が並んでいる。
    「『ということになった』じゃわかりませんよ隊長。」
    「読者の方々は分かってくれているだろうからいいんだ。」
    「誰ですか読者って・・・。」
    緊張した空気が一瞬や和らぐ、しかし青島が真剣な顔に戻るとまたすぐに空気は張り詰めた。
    「我々の小隊で司令一行の護衛をすることになった。といっても先方の船の大きさから考えると行けるのは我々の中から行けるのはせいぜいヘリ一台分だがな。よし、今から行くものを読み上げる。天野!」
    「は!」
    まず名前を呼ばれた天野が一歩前へ出る。続けて呼ばれた者もそれに従った。
    「・・・佐藤!」
    「はっ!」
    最後を佐藤で締めくくると青島は目の前に並ぶ5人の部下を見据えた。
    青島自身を含め皆、緊張した面持ちで立っている。
    「これは我々の艦隊だけではない、今後の日本の将来すら占う重要な交渉だ、それだけに護衛も重要な任務である。各自、最善の行動を期待する!」

131 名前:名無し三等兵@F世界 投稿日: 2004/07/12(月) 22:14 [ qUq6iUEM ]

    「はっ!」
    青島の顔はしっかりと指揮官のそれになっていた。
    「(この男・・・、思ったよりも見込みがあるようだな。)」
    天野は守るべき対象が二つあるこの任務に対し、微かな喜びを抱き始めていた。

132 名前:名無し三等兵@F世界 投稿日: 2004/07/12(月) 22:15 [ qUq6iUEM ]
    「うひゃあああっ!」
    セフェティナが突然尻餅をつく。
    「どうしました?」
    「・・・・なに、何あの化け物?」
    セフェティナが指をさす先には風を巻き起こしながらたたずむヘリコプター(SH-60J哨戒ヘリ)があった。
    「ああ、あれはヘリコプターと言って、あれで空を飛んで先方の船に行くんですよ。」
    佐藤がここぞとばかりに紳士を装ってセフェティナに話しかける。
    「空を・・・?信じられない・・・。」
    「(こっちからしたら篭手で通信が出来るほうがよっぽど信じられないんだが)」
    セフェティナは未だに立ち上がれないままヘリをぼんやりと眺めていた。

133 名前:名無し三等兵@F世界 投稿日: 2004/07/12(月) 22:16 [ qUq6iUEM ]
    「福地さん、すみませんね。本当ならAS332Lでお連れしたいのですが。」
    「フン、軍人にそんな気の効いたものは期待していない。」
    ズンズンと効果音を立てそうな調子でヘリに乗り込んでいく福地、
    「宮野君、後は頼むよ。」
    「は。」
    そして狩野は福地に続いて乗り込んでいった。
    「さあ、セフェティナさんも早く。」
    未だ躊躇するセフェティナに対し佐藤は手を握って誘導しようとした、が。
    「ひゃあああっ!」
    セフェティナは慌てて手を振り払い飛びのく。

    そんなこと佐藤は知る由も無かったが、元来エルフと言うものは男性も非常に女性的な、というより両性外見が変わらないのだ。そのために森で純粋培養されてきた彼女にとって人間の男と言うものは彼女を非常に戸惑わせるものであった。
    (佐藤はおしおきとして天野にプロレス技を食らったらしい。)
    その後なんとかしてなだめてセフェティナをヘリに乗り込ませ、狩野一行はジファンの船へと飛び立っていった。

134 名前:名無し三等兵@F世界 投稿日: 2004/07/12(月) 22:16 [ qUq6iUEM ]
    「うおおっ!なんだあれは!?」
    「か、神の使いか!?悪魔の使いか!?」
    「落ち着け!ジファン様によるとアレが交渉相手らしい!」

    バリバリバリバリバリバリ!
    激しい音を立てて二台のヘリが甲板へと舞い降りる。
    ヘリから降りた狩野一行はジファンと向かい合った。
    一応胸に手を当てている(こちらの世界の敬礼の様な物らしい。)とは言え、
    周りからは奇異、好奇、恐怖、様々な感情の視線がこちらに向けられている。
    しかしその中に「侮蔑」の感情が含まれているのは何故だろうか?
    艦長レベルの人間と交渉する相手はたとえ敵であっても尊敬してしかるべきなのだが。

135 名前:名無し三等兵@F世界 投稿日: 2004/07/12(月) 22:17 [ qUq6iUEM ]
    「やあ、良くぞいらっしゃいました。この船の船長を勤めさせていただいておりますラーヴィナ候ランヴァーナ家の執事、ジファンと申します。
    このたびはセフェティナ=バロウの救助をしてくださって、心から御礼申し上げます。」
    「こちらこそ、私は経済産業省エネルギー庁福地と申します。」
    福地が狩野たちに対する態度とはうって変わって満面の笑顔で握手を求める、そしてジファンもそれに答えた。
    「私は日本国海上自衛隊護衛艦隊司令、狩野と申します。」
    「さあ、このようなところで立ち話もなんですから、船長室へどうぞ。」
    日本人達の聞きなれぬ肩書きに戸惑うことも無くジファンはニコリと笑うと狩野たちを手招きした。
    しかし狩野はその顔に一瞬浮んで消えた軽蔑の表情を見逃しはしなかった。
    「(この男、見かけほど好人物でもお人よしでもなさそうだな。)」
    狩野は自らの腰にささっているSIG9mm拳銃を確認した。
    「よし、それじゃあ佐藤と沢松、村田の三人はここでヘリの警備をしていてくれ。」
    「はっ!」
    「(・・・隊長)」
    「(ああわかっている、あの男だけじゃない、この船全体、臭いな。)」
    狩野だけではなく、青島と天野もまた、この不自然さを感じ取っていた。

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