自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた@創作発表板・分家

SS 001-020 27

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359 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/09/10(金) 19:02 [ imAIk9NE ]
    「奴隷を得るために召還・・・。」
    赤羽は資料を見ながら呟いた。
    「更には原理が良く分からない力だから元の世界に戻す方法もわからないとは。」
    しかし言葉とは対照的に赤羽の顔はニヤリ、と笑っていた。
    「まぁ、戦争をする理由を考えなくて済んだのだから、良しとしよう。」
    彼は早くもバルト、オズイン、アジェント、小国群などがのった地図を手に入れていた。

    赤羽佐世保地方隊司令
    時代の変わり目には強力な指導者が現れると言うが彼はまさにそんな人物だろう。
    彼は現在青島やその他有望若手が受けている高級幹部養成の発案者でもあった。
    彼が陸、海、空問わず大量の若手自衛官の中から有望な人材を選び、特別な教育を施し、
    特別に多くの任務につかせる。
    しかしそれは海軍の他の幹部や陸軍、空軍から見れば赤羽が若手に閥を作っているようで余りよい気分はしなかった。
    それはともかくとしてその有望な若手の中でも特に赤羽が期待しているのが青島であった。
    その能力のみならず親が居ない、と言う境遇が彼に自分に近い物を感じさせたのもその原因だったかもしれない。
    時は少し前に戻り、青島たちの話に戻る。

360 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/09/10(金) 19:04 [ imAIk9NE ]
    「つまり・・・僕達は元の世界に戻れない、ということ?」
    「はい・・・申し訳ないのですが。」
    青島は唖然として言った。
    自分達が奴隷のために召還された、ということだけではなく、
    召還のために使われた魔法はまだ原理を解明していない物だから戻す方法も分からない、というのだ。
    「あの魔法は古代文明の唯一の遺跡に残っていた物なのです。
    だからどうして言葉が通じるかすら、分かっていないんですよ。」
    「古代文明?」
    セフェティナの言葉に聞きなれない言葉を聴いて
    「えっ?ああ、はい、古代文明です。
    はるか昔に滅亡した、と言われている文明で、なんでも民衆一人一人が政治に参加できる、なんていう国がたくさんあったらしいです、勿論資料が嘘を書いているんでしょうけど。
    笑っちゃいますよね、そんなことできるわけが無いのに。」
    青島は思わず苦笑した。

361 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/09/10(金) 19:06 [ imAIk9NE ]
    「そしてその文明はそれから起こった大戦争で土を殺す光を出す魔法を使うようになって、
    まるごと消え去ってしまったらしいです。」
    青島の顔から苦笑が消えた。
    「民主主義に・・・核兵器・・・。」
    土を殺す光と言うのは間違いなく放射能のことだろう。
    この世界のはるか昔にそれだけの文化、文明を持った国が幾つも存在していたと言うのだ。

    「あ、青島さん?勿論こんな話ただの言い伝えですよ?」
    「いや。」
    「え?」
    青島はセフェティナの言葉をはっきりと否定した。
    「僕達の世界、日本でも民衆、いや国民一人ひとりが政治に参加する権利を持っているんだ。」
    「ええ!?」
    セフェティナが間抜けな声を出す。
    「そ、そこまで驚かなくても・・・。」
    「けど、けど、それでどうやって国が成り立っているんですか?」
    「それは・・・。」
    いつのまにか質問する側とされる側が変わってしまった。
    青島はそう思いつつ必死に説明した、あまり納得してくれたようには見えなかったが、
    文化背景が違いすぎるためしょうがないだろう。

362 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/09/10(金) 19:06 [ imAIk9NE ]
    「オッホン!」
    「ひゃあ!」
    「わあ!」
    本題から話がそれ始めるとまた監視の女性自衛官が咳払いをした。
    思わず彼女のほうを向く、・・・思ったより若い、陸自の・・・三尉?
    「どうしたんですか?」
    セフェティナが青島の顔を覗き込む。
    「あ、いや。」

    それからしばらく順調にアジェントの国情などを聞いていく内に
    一つの疑問に青島はぶち当たった。
    「そうだ・・・。」
    「え?」
    「セフェティナさんはこんなに向こう、アジェントのことを話してくれるけれど、裏切り行為にはならないの?」
    「え?」
    なるべく刺激しないように言った青島の言葉にセフェティナは逆に問い返した。
    「なんでそれが裏切り行為になるんですか?」
    「いや・・・けれど「こんごう」の時も向こうの攻撃を防いでくれたりしたし・・・。」

    青島の言葉にセフェティナは笑って答えた。
    「ああ、あれはラーヴィナ候の臣下のジファン相手だから良いんですよ。
    私はアジェント国王の臣下ですから。裏切り行為にはなりません。」
    「そういうもんなの?」
    「はい、そういうもんなんです。」
    「じゃあ、アジェントに帰ることになるのか?」
    「え・・・?」
    セフェティナは固まった。

363 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/09/10(金) 19:07 [ imAIk9NE ]
    そのままセフェティナは顔を赤らめていった。
    「え、えと・・・あの・・・居て、欲しいですか?」
    「えっ?」
    ただ「帰っちゃうの?」程度の意味で言った青島は思いもよらぬ反応に彼もまた顔を赤くした。
    「ウオッホン!」
    「わっ!」
    しかしその妙な雰囲気もすぐに後ろの自衛官によって崩されてしまった。
    しかし二つ分かったことが彼にはあった。
    一つは情報という物が余り重要視されていない世界であること。
    もう一つは候達がかなり独立しているということであった。

    話がバルト帝国の話に入るとセフェティナは更に興奮し始めた。
    余程恨みでもあるのか思想上の違いでもあるのか(たぶん後者だろう)
    いつもの態度に似合わず悪辣な言葉をならびたてていた。
    「彼らの目的は絶対に世界征服です!」
    「そ・・・そうなんだ。」
    彼女の勢いに押されていたが青島の頭は冷静に物を考えていた。
    バルト帝国の目的が本当に世界征服にあるとしたら、日本とは同盟関係になることはできないからだった。

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