騎士団長ピエール男爵は、立ち止まり、廊下の窓から中庭で訓練中の騎士団を難しい顔で見つめていた。
「どうされました騎士団長?」
騎士長の一人が話しかけてくる。
「・・・帝國軍を現有の戦力では抑えきれん」
「・・・戦争になるのですか?」
騎士長の眉が歪む。
「わからん」
男爵は頭を振った。
周辺諸国の戦力を結集し、帝國軍を迎え撃つと言う案はかなり前からあった。
しかし周辺諸国同士の関係は非常に悪く話は全く進展していなかった。
「城の防衛力が決定的に不足しておる」
男爵は廊下を歩き始めた。
「先日の王城防衛用バリスタ調達は予算が結局付かなかった」
財務担当のロエニー男爵は城の防衛強化の予算を全て拒否した。
「この城では篭城してもたかが知れてる」
小国であるゴンザレス王国の王城は立派な砦レベルのものであった。
「しかもチハ騎兵は一撃で城を粉砕するらしい」
帝國による攻城戦の様子を激しく語った商人の姿を思い出した。
「チハ騎兵は列強の騎士団すら手におえないとか・・・」
副騎士団長のシュマイザー子爵が鎮痛な面持ちで呟く様に言った。
「チハと言う連中が使ってるのはどの様な馬なのでしょう」
「一部隊で三国通しを成し遂げた程だ。ドラゴンかも知れんな」
「本物の竜騎士か・・・」
帝國軍は機甲戦術により各国を短時間で次々に攻略して行く様子は、「草」だけではなく商人や旅人などを通じて大陸中に伝えられた。
中でも中原の軍事国家三国を三日で全て降伏に追い込んだ『三国通し』は各国を振るえ上がらせていた。
「・・・何とかしなくてはなるまいっ」
男爵は御前会議の扉を押し開けた。
「どうされました騎士団長?」
騎士長の一人が話しかけてくる。
「・・・帝國軍を現有の戦力では抑えきれん」
「・・・戦争になるのですか?」
騎士長の眉が歪む。
「わからん」
男爵は頭を振った。
周辺諸国の戦力を結集し、帝國軍を迎え撃つと言う案はかなり前からあった。
しかし周辺諸国同士の関係は非常に悪く話は全く進展していなかった。
「城の防衛力が決定的に不足しておる」
男爵は廊下を歩き始めた。
「先日の王城防衛用バリスタ調達は予算が結局付かなかった」
財務担当のロエニー男爵は城の防衛強化の予算を全て拒否した。
「この城では篭城してもたかが知れてる」
小国であるゴンザレス王国の王城は立派な砦レベルのものであった。
「しかもチハ騎兵は一撃で城を粉砕するらしい」
帝國による攻城戦の様子を激しく語った商人の姿を思い出した。
「チハ騎兵は列強の騎士団すら手におえないとか・・・」
副騎士団長のシュマイザー子爵が鎮痛な面持ちで呟く様に言った。
「チハと言う連中が使ってるのはどの様な馬なのでしょう」
「一部隊で三国通しを成し遂げた程だ。ドラゴンかも知れんな」
「本物の竜騎士か・・・」
帝國軍は機甲戦術により各国を短時間で次々に攻略して行く様子は、「草」だけではなく商人や旅人などを通じて大陸中に伝えられた。
中でも中原の軍事国家三国を三日で全て降伏に追い込んだ『三国通し』は各国を振るえ上がらせていた。
「・・・何とかしなくてはなるまいっ」
男爵は御前会議の扉を押し開けた。
「・・・・いっその事、帝國に降伏申し込もうか? 楽だし」
国王ゴンザレス5世がボソっと言った一言に全員が固まる。
「それでは110年の歴史を誇るわが国の誇りはどうなるのですか!」
「大体国王陛下は主君としての誇りがかけている!」
「やはり甥のトンザレス公爵を国王にしたほうが良かったのでは?」
「だが、このままでは外交的に遅れをとることに・・・」
「誇りを失って何が貴族か!」
「現実を無視しては・・・」
議場は大騒ぎになる。
国王ゴンザレス5世がボソっと言った一言に全員が固まる。
「それでは110年の歴史を誇るわが国の誇りはどうなるのですか!」
「大体国王陛下は主君としての誇りがかけている!」
「やはり甥のトンザレス公爵を国王にしたほうが良かったのでは?」
「だが、このままでは外交的に遅れをとることに・・・」
「誇りを失って何が貴族か!」
「現実を無視しては・・・」
議場は大騒ぎになる。
そして男爵は扉を押し開けたまま固まっていた。
「騎士団長? 大丈夫ですか?」
「騎士団長? 大丈夫ですか?」