「ここは……一体……?」

マウンテン・ティムは民家が散在する路上に目覚めた。肌から伝わる冷たい感覚。
辺りに広がるレンガのようでレンガじゃあない家。
どう考えてみてもここは自分の斃れた場所ではないことが分かった。

俺は確か大統領邸付近の道端でブラックモアに拳銃を突きつけられていたはずだった。
しかし、そこからの記憶がまるでない。俺は死んだはずではないのか……?
ここに連れてこられる前まではあった血液もその血なまぐさい鉄の臭いも消えうせていた。
ここは……天国なのか?だとしたらルーシーは無事なのだろうか……あの娘は強い子だ。
そう簡単にはやられてはいないことを願いたいが……

マウンテン・ティムはさらに最初に目覚めた真っ暗な舞台で起こったことを思い出す。
飄々とした捕えどころない姿、そして天に上っていく貴婦人の姿。
あの貴婦人がもし、ルーシーだったとしたら……ティムは片腕の拳をぐっと握った。

「アラキ……俺に帰る場所を与える旅を再開させてくれたことは感謝する……だがな、
俺はあの罪もない貴婦人を殺したお前を許さない……!」


それからマウンテン・ティムは辺りを見回し、近くにあったデイバッグに手をかける。
自分のスタンド、『オー!ロンサム・ミー』の発動には投げ縄が必要だ。
あいにく自分の持っていたものはなくなっていた。おそらくアラキが没収したのであろう。
マウンテン・ティムはバッグを持ち、中身を確認しようとバッグに手を入れようとした。



その時――


「動くな!」


自分の後ろから水色の何者かが、自分を拘束していた。


いつのまにッ!?
マウンテン・ティムは思った。先ほど辺りを見回していたが人らしき人はどこにもいなかった。
一体どうやって……?


「3つの質問に答えろ……答えれば何もしない……」
「俺からも聞きたいことはあるんだがなぁ……だが質問文に質問で答えるとテストで0点だ。仕方ない、答えてやるよ」

「1つ目の質問だ、お前はこの殺しあいに乗っているのか?」
「答えはNO!だ。罪もない人を殺すなど保安官を経験してきた身として恥だ。それに貴婦人を殺すような東洋人の戯言に
耳を貸すほど俺は愚かじゃあないからな」

「そうか、2つ目の質問だ、お前は空条徐倫、エルメェス・コステロ、ウェザー・リポート、F.F、エンポリオ・アルニーニョ、
以上5名と会ったことがあるか?」
「この答えもNO!だ。俺がここで初めて会ったのはアンタが最初さ」

「最後の質問だ、先ほど答えた2つの答えに嘘偽りはないな?」
「これはYES!だ。アメリカの先住民族は嘘をつく者を軽蔑すると言う。俺は先住民ではないが、
その考えはよく心得ているぜ」

「……質問に答えてくれて感謝する。手荒なマネをしてすまなかった」
水色の何者かの腕がはずれたのを確認したマウンテン・ティムは後を振り返ると
何と、人間が地面からまるで泉から湧き上がるかのように現れたではないか。

「ずっとそこの地面にいたのか?」

マウンテン・ティムは地面から登場した角が生えたような帽子の男に質問する

「いや、遠くの方を歩いていたところ、お前を見かけてな……少し質問をしようかと思った」
「だったら素直に地面の上から質問すればいいじゃあないか」
「ここは殺しあいの場所だ、お前が殺しあいにのっていたかもない。そういう奴はすぐさま排除する」
「おいおい、物騒だな」
「だが、殺しあいにのってないことが分かったのなら別だ。俺の名はナルシソ・アナスイ
 あそこの家で情報交換と行かないか……?辺りを調べてみたが、誰もいないようだしな」

アナスイと名乗った男は近くにある民家を指差した


◆ ◇ ◆ ◇ ◆


「……それでお前はこの殺しあいにはのってないんだな」
うす暗い家の中でマウンテン・ティムとアナスイは民家の中にあったソファに座り、話を進める、

「ああ、最初にいた舞台で殺された婦人を見て、泣き叫んでいたコがいたのを覚えているか?」
「もちろん」
「あれは、空条徐倫の母親だ……間違いない」
「…なるほど、仲間の母親が殺されて、黙ってはいられないと」
「いいや」
「どういうことだ?」
「仲間とかそれ以上の問題だ、俺はあのコに恋をしている。あのコの痛みは俺の痛みと同じだ」
「そうなのか、愛しの人といつでも付き合える……羨ましいな。」

マウンテン・ティムはここに連れてこられる前に抱いた淡い恋を思い出す
決して結ばれぬ短き恋を……。

「あのコに死ぬよりもひどい目に遭わせたアラキ、俺は絶対に許しはしない」

アナスイの目は確固たる信念を持っている、その瞳は大きな志を持っているように
マウンテン・ティムは彼を見てそう思った

「つまり、俺とお前は目的は同じ……そういうことだな?」
「Exactly。その通りだ」

アナスイは次にデイバッグの中から自分の名簿を取り出した。
「この中には俺の知り合いだけじゃあなく俺の知っている危険人物もいる。そいつらには注意しておけ。
何でか知らねぇが、この名簿には死んだはずの奴らがのっているんだがな」

アナスイは自分の仲間の名前が載っている方の先の方の名前をさす。
ラング・ラングラー、ケンゾー、ヴィヴィアーノ・ウエストウッド
そしてサンダー・マックイイーン、ミュッチャー・ミューラー、エンリコ・プッチ。この3人以外は以前の戦いで死んだはずだったのだ

「お前の方で知っている奴はいるか?」

マウンテン・ティムはアナスイの差し出した名簿を見つめる。
見ると5人ほど自分の知っている名前が確認された
レース参加者であるサンドマン、自分がレースをリタイアする原因になった相手オエコモバ、
アメリカ大統領23代大統領の婦人でるスカーレット・ヴァレンタイン、ブンブーン一家の父親
ベンジャミン・ブンブーン、そして自分を殺したブラックモア
そして、名簿に所々あるジョースター姓とツェペリ姓。
マウンテン・ティムはレース中に会った2人を思い出す。ジョニィ・ジョースター、ジャイロ・ツェペリ
彼らは2人の先祖なのだろうか……一度会ってみたいと彼は思った。

「それにしても、ここは本当に天国なのか……?生きている者は天国にはこないと元いたとこでは聞いていたんだがな……」
「天国じゃあないだろ。実際俺や徐倫は生きている。だが、俺の仲間にもF.Fという奴がいてな」
「天国じゃあないとしたら……ここは一体?」
「死人を生き返らせるスタンド……確かエルメェスがそんなスタンド使いと戦ったことがると言っていた気がする。
 俺が推測するに……アラキのやつが絡んでいる」
「どういうことだ……?」
「おそらく奴は死者を生き返らせるほどの強力なスタンドを持っている……アラキはその能力を使ってF.Fを蘇生させた……
 生き返った死者のために殺しあいにのる奴を増やすのを狙うために……」
「バカな……だとしたら俺はアラキに復活させられたということなのかッ!?」
「まだ推測の域だ。そう決まった訳じゃない。まだ情報が足りない……」

確かに、死んだはずの自分がいて生きているブラックモアがいるのは不自然だ
アラキは生死も操れるというのか……。自分の他にも一度死んだ人々に鞭をうつごとき行為をする
アラキにマウンテン・ティムは憤りを感じざるを得なかった。

「そういえばお前のスタンドはロープがないと発動できないんだっけな」
「ああ。民家に着いた時、デイバッグを調べてみたが、入っていたのは青っぽいコートと……これだ」
マウンテン・ティムは黄色いお菓子のようなものを取り出した。
「ただの紙のようなものをいじっていた時これが出てきたんだ」
「俺の持っているものにも無いな……」

アナスイがデイバッグから支給品を取り出す。出てきたものは
クマの人形、双眼鏡、透明な袋の中に水が入っているもの(アナスイに聞いたところ点滴というものらしい)だった。

「もしかしたらこの家に代わるものがあるかもしれないな……ちょっと待ってろ」

アナスイはそう言うと家の奥へ入っていった。そして、少し時間が経過した後
アナスイは何かを持って戻ってきた

「洗面所を探ってみたら、案の定見つかったぜ。」
「これは……?」
アナスイがマウンテン・ティムに手渡した者は白っぽいロープの両端にフックがついているものだった

「物干しロープだ、短いかもしれないが無いよりはマシだろ」
「感謝するよ、アナスイ。普通の縄のロープしか使っていないからスタンドが使えるかどうか分からないが、これで試してみる」

マウンテン・ティムはアナスイからの物干しロープを受け取った

「さて、そろそろここを出るか……」
「仲間を捜すのか?行く当ては……?」
「当てはないが、地図を見てみろ。辺り周辺は民家がたくさん並んでいる……おそらくここは住宅街、
コロッセオの周辺だ。ここには人が集まってくる。俺たちと目的を共にするなら情報交換し、仲間の手がかりを探す。殺しあいにのっていたらその場で排除する。」
「……なるほど。今は結束が必要だな。ここに連れてこられた者たちで、あのアラキを倒すだけの結束を」
「それに、どんなささいな情報でもいい。徐倫を見つけるために、俺は行動しなくちゃあいけない」
「アナスイ、俺は一度死んだ身だ、俺は死ぬ前のことにやるべきことは全てやった。君たちの愛を助けるため、俺は力を貸そう」
「すまないな、マウンテン・ティム……」
「いいや、気にするな。俺だってお前の気持はよくわかる。好きな人には命だって投げ出すくらいの覚悟がな」
「さて、そろそろこの家を発とうか」


◆ ◇ ◆ ◇ ◆


こうして2人の愛を求める者たちのチームが結成された
一人の男は既婚の齢14の少女の安否を信じ――
もう一人の男は運命を共にすると誓った少女の安否を信じ――
彼らの愛の物語の結末ははたして喜劇か、それとも悲劇か
まだ、舞台のカーテンは上がったばかりである



◆ ◇ ◆ ◇ ◆



「そういえばマウンテン・ティム」
「何だ?」
「お前が恋したやつってのは」
「俺が恋した女性は……14歳の既婚女性だった……決して叶わぬ恋だったが、俺は今でもあのコを愛している!」
(じゅ、14歳でかっ!?まだ未成年じゃねぇか……しかも既婚とかオイ……)
「どうしたんだ?アナスイ、何か唖然としたような顔だが……」
「いや、何でもない」
「そうか」


◆ ◇ ◆ ◇ ◆


たぶん。




【F-3/1日目 深夜】

【チーム・愛の求道者】

【ナルシソ・アナスイ】
[時間軸]:「水族館」脱獄後
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 、点滴、クマちゃん人形、双眼鏡
[思考・状況]
1.14歳の既婚とかおまえ……
2.仲間を捜す(徐倫は一番に優先)
3.殺しあいにのった奴ら、襲ってくる奴らには容赦しない
4.アラキを殺す
[備考]
1)マウンテン・ティムと情報交換しました
ベンジャミン・ブンブーン、ブラックモア、オエコモバのスタンド能力を把握しました
2)アラキのスタンドは死者を生き返らせる能力があると推測しています

【マウンテン・ティム】
[時間軸]:ブラックモアに銃を突き付けられたところ
[状態]:健康
[装備]:物干しロープ
[道具]:支給品一式、鎌倉カスター、オレっちのコート、
[思考・状況]
1.アナスイの仲間を捜す
2.「ジョースター」、「ツェペリ」に興味
3.アラキを倒す
[備考]
アナスイと情報交換しました
1)アナスイの仲間の能力、容姿を把握しました
(空条徐倫、エルメェス・コステロ、F.F、ウェザー・リポート、エンポリオ・アルニーニョ)

【支給品紹介】

【鎌倉カスター】
皆が持っている紙、「エニグマ」の能力者宮本輝之輔が紙に収納していたお菓子
食いかけではない

【オレっちのコート】
ヤクチュウのゴロツキが持っていたコート
ゴロツキはこのロワにはいないので持っていても
襲ってきたりはしません

【点滴】
墳上裕也との戦いで仗助が栄養補給のために飲んだもの
飲めばスタミナが少し回復するかも

【クマちゃん人形】
ジャイロ=ツェペリがレースに行くための整理整頓時に
いる物として荷物に入れたもの。特別な効果はない

【双眼鏡】
何の変哲もない双眼鏡。遠くのものが見える
折りたたむことでコンパクトにできるぞ

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ナルシソ・アナスイ 73:夢のCHANCE 3
マウンテン・ティム 73:夢のCHANCE 3

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最終更新:2010年03月10日 16:18