「~♪」
夜の草原をとことこと歩く少女が一人。
その顔に女の面を被り、傍には無数の面と共に『石作りの仮面』を浮遊させて。
彼女は『石仮面』の能力を、感情を研究していた。
手に取るだけでも解る有り余るパワーと渦のように入り乱れる無数の感情。
それは感情を司る彼女にとって純粋に興味の対象であった。
未知の感情を無数に理解し、その力の一端を少しずつ理解し始めた少女は鼻歌を歌いながら上機嫌な様子で草原を南に進んでいた。
目的地は特に無い。ただ何となく、南へ進んでいるだけである。
その先に何が待ち受けているかも知らずに。
その先で出会う存在のことなど知る由もなく。
「………。」
女の面を被り、目的も無く草原の中を歩いていた面霊気の少女『
秦こころ』は、唐突にその場で足を止める。
森の方角から浅黒い肌の大男が現れたのだ。
あの様子を見る限りでは、恐らく森を抜けて草原まで出てきたのだろう。
少しばかり周囲を見渡していた男はこころの存在に気付く。
立ち止まる桃色の髪の少女を認識し、男はのらりくらりと歩み寄ってくる。
こころはそんな男の姿をじっと目を細めて眺める。
そしてある程度の距離を保った状態で、男は立ち止まった。
「…成る程、それは『石仮面』か」
こころの直ぐ傍で浮遊を続ける『石仮面』を見て、男は呟く。
男はこころが先程から研究をし続けていた面の名前をすんなりと答えた。
こころはそのことに少なからず驚きを感じる。まるで以前からこの面を知っていたかのような口振りだ。
だが、あくまで今は『平静』で在り続けるべく冷静に言葉を紡ぐ。
「これ?私の支給品。もう私の物だから、あげないよ」
傍に浮遊する石仮面を手に取り、さっと傍に抱え込むような素振りを見せながらこころはそう答える。
そんな返答を男は特に気にすることも無く、不敵な笑みを浮かべながらこころを見据える。
対するこころも、そんな男のことをじっと見つめている。
そして…暫しの沈黙がその場を包み込む。
互いに行動を見せることも無く、睨み合いのような状態が続く。
奇妙な緊張状態にも似たような時間を経過させ。
二人は、無言のまま向き合う―――
ごく短い時間の静寂を破る言葉。
それを先に発したのは、少女の方だ。
「あなたの感情が、ひしひしと伝わってくるわ」
「………」
男は何も言わずに少女の言葉を聞く。
どこか淡々としている様にも見えるその口振りを、黙って己の耳に入れていた。
「―――『愉しんでいる』のね?」
真っ直ぐに男を見据えながら、こころはそう言い当てる。
男は少しだけ呆気に取られたような表情を浮かべるも、口元には再び笑みが浮かぶ。
「愉しんでいる、か」
ククク、と含むような笑い声を口から漏らしながら顔を俯けて男はそう言った。
まさに図星を当てられたかのように、それで居て何処か面白そうに。
興味を抱いた様子で、男はこころに再び視線を向ける。
「その通りだよ」
その男は―――柱の男『
エシディシ』は、堂々たる笑みと共に言い放った。
鋼のように屈強な肉体から、黒く禍々しい殺気を放出しながら。
直後に動き出したのもエシディシだ。
瞬時に地を蹴ると同時にこころと一気に距離を詰めて接近。
上半身を捻らせ、接近による加速の勢いを乗せた右拳を豪快に突き出す。
「…!」
対するこころはすぐさま右方へと逃げ、文字通り紙一重の回避を行う。
本当に咄嗟の判断だった。少しでも反応が遅れていたならばあの一撃を喰らっていただろう。
すぐさま霊力によって両手に一対の扇を形成させ、薙ぎ払うように振るう。
エシディシの胴の肉が扇によって勢い良く引き裂かれる。
引き裂かれた肉からは、鮮血が流れ出す――――
「え?」
血液を浴びた扇が『燃えていた』。
こころは扇面の上に滴る鮮血が沸騰した湯のようにグツグツと煮え滾っていることに気付く。
変わらぬ『無表情』のまま呆気に取られたこころの隙を、エシディシが見逃すはずが無かった。
ドスリと突き刺さるような衝撃がこころを襲う。
こころの腹部に、エシディシの鋭い蹴りが叩き込まれていた。
直後に彼女の身体は真っ直ぐに吹き飛ばされる。
『あっという間の一撃』によって容易く吹き飛んだこころは地面を転がり、うつぶせの状態で倒れ込む。
「フフフフ……全く、女子供というのは脆いな。すぐに壊れるから面白くない」
咽せる声に混じって何度か喀血するこころを見据えつつ、エシディシはのらりくらりと身構えることもせず歩み寄っていく。
扇の一撃で付けられた傷も不気味な肉の音を発しながら次第に塞がりつつある。
踞るこころに少しずつ近付くエシディシの口元には余裕の態度を表すかのような不敵な笑みが浮かんでいる。
だが、笑みを浮かべる顔とは裏腹に目の前の少女に対し内心物足りなくも感じていた。
あの銀髪といい神の少女といいコイツといい…どいつもこいつも、この程度か。
この場に居るのは、こんな貧弱な小娘共ばかりか?骨が折れるような獲物は居ないのか?
そう思い、こころを見下ろしていた矢先のことだった。
スッ、とこころがその場からゆっくりと立ち上がる。
口元の血を拭い、ぴくりとも動かぬ表情のままエシディシを視界に捉えた。
エシディシの方を向いた彼女の顔の半分を覆うものは哀しげな顔の老婆の面。
「…怖い」
こころがぼそりと呟いた。
空虚にも見える瞳がエシディシの姿を認識し、薄い唇が言葉を零していた。
彼女からおよそ数mほどの距離でエシディシは立ち止まる。
「小娘……お前、恐怖しているのか?」
「うん」
少女はすんなりと答えた。
恐怖を感じている。言葉の主旨とは裏腹に、少女の顔は相変わらず一瞬たりとも変わらない。
鈍い光を秘める瞳がゆっくりとエシディシを見据え、直後に彼女の被っているものが狐の面へと変わる。
少女の周囲に浮かぶ仮面達の一つだ。同時に先程まで被っていた老婆の面は、他の面と同様にこころの周囲に浮遊し始める。
「憶えた…『私自身』が本当の意味での『恐怖』という感情を認識したのは、今が初めてよ」
死は感情を生まない。
だが、死を目前に晒されて生まれる感情は存在する。
恐怖。焦燥。絶望。―――死を認識し始めた際の感情、その一端をこころの自我は理解した。
未だ朧げだった感情の一欠片を掴んだのだ。とはいえ、だからと言って死へと向かうことを許容するわけではない。
彼女の希薄な自我は答える。死という形で『感情の消滅』を齎す争いを受け入れるつもりは無い、と。
「…そして今、私は理解した。貴様は危険だ。貴様と言う存在は、この地に数多の『死』を齎す!」
狐の面を被ったこころが、先程とはまるで違う尊大な口調で言葉を発する。
「感情を踏み躙る悪鬼は、感情を司るこの私が成敗せねばならない!」
そして狐の面が、再び他の面と混ざるように周囲を浮遊し始める。
「私は、貴方を倒す」
直後に無表情な彼女が顔に被ったもの―――それは、『石仮面』!
この殺し合いの場で支給された未知の仮面。
彼女自身が感じたことの無い無数の感情が内包された代物。
仮面を被ったこころの内に芽生えるのは昂揚感。全能感。優越感!
――冷酷!残忍!常軌を逸する程のあらゆる感情が次々と胸の内に入り乱れる―――!
「―――WRRRRRYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!!!!!」
こころは自らの身体を仰け反らせ、奇声のような咆哮を上げた。
余りに異様な光景を目前にしながらも、エシディシは不敵な笑みを浮かべる。
石仮面を着用した彼女から満ち溢れる霊力を感じ取っていたのだ。
多少とは言え、骨針を用いずに石仮面の力を引き出しているのか?
成る程、この『感情を操る小娘』は中々に楽しめそうじゃあないか。
数万年間久しく好敵手が居なかった。此処でも退屈続きだったが―――貴様は俺を楽しませてくれるのだろうな!
いいだろう。ならばこのエシディシが存分に『遊んで』やろう!
「フフフ…!精々俺を後悔させてくれるなよ!」
多大な期待と好奇心をその瞳に秘め、エシディシは傲岸不遜に笑う。
そしてその両手を正面に突き出し、爪から紅い血管を飛び出させる。
エシディシの灼熱の流法が―――解き放たれる。
「喰らってくたばれ!『怪焔王の流法』ッ!!」
その時だった。
エシディシとこころの間に割り込むように、『何か』が地面に突き刺さる。
その衝撃を二人は両腕を盾にして遮りつつ、落下してきた物を視界に捉える。
そう、その『何か』は光り輝く霊力で形成された刃を持つ『独鈷の槍』―――
「―――そこまでです!闘いを止めてください!」
独鈷に続いて割り込むように二人の前に姿を現したのは、紫混じりの金髪を持つ僧侶の女。
女の様子を少し離れた地点で見守るように立っているのは英国風の男性だ。
僧侶の女は二人に制止を促すように両手を突き出す。
こころの被る面が女の顔の面に代わり、現れた乱入者の名をぽつりと呟く。
ほう、とどこか興味を抱いているかのようにエシディシはこころと白蓮を交互に見る。
白蓮と呼ばれた女は真剣な表情で二人を牽制するように見ている。
エシディシは思う。不意打ちを起こそうと言う様子は見られない。大方殺し合いを止めたいと思っている立場の人間だろうか、と。
たった今割り込んできたこの『ヒジリ ビャクレン』という女にも興味がある。
だが、エシディシにはもう一つ興味の対象となる者が居た。
それは―――――
「…そこにいるのは『ロバート・E・O・スピードワゴン』か?」
「なっ…!?」
エシディシは少し離れた地点から白蓮を見守るように立ち尽くしている男―――スピードワゴンへと視線を向ける。
突然声をかけられたスピードワゴンは驚いたようにエシディシを見た。
当然のことだろう。相手は自分の名前を知っており、さも自分と顔見知りであるかのように問いかけてきたのだ。
(こいつ…『若い』?)
エシディシは目を細めてスピードワゴンの姿を見据える。
―――間違いない。自分達が眠っていたローマの遺跡で
ジョセフ・ジョースターやシーザー・ツェペリと共に居た『スピードワゴン』だ。
その顔立ち、声は完全に一致している。だが、奴は齢にして七十を超えているであろう老人だったはずだ。
視線の先に居るスピードワゴンは精々二十そこらの若造…一体何が起こっている?
血縁者などとは考えられない。あの反応、それに名簿に記載されていた『スピードワゴン』は奴だけなのだから。
「…まぁ、いい。貴様のことは後で考えさせて貰おう」
再びエシディシは視線を白蓮の方へと向ける。
こちらへと視線を向けられたのを見て、聖の表情は少し堅くなる。
「小娘。闘いを止めたいか?」
「…やむを得なければ、力づくでも貴方達を止めるつもりです」
「成る程…なら、まさに今…俺を力づくで止めなければならないなァ?俺は貴様らを須く殺し尽くす『化物』なんだからな」
殺意を隠すことも無く剥き出しにしながら、男はその右拳を構える。
…目の前の人物は、間違いなく戦うつもりだ。それも明確な殺意を以て。
話し合いが通じる相手ではないとならば…仕方がない。
心中でそう認識した聖は、両手の拳をグッと握り締めて身構える。
直後に様子を伺うように黙っていたこころがちらりと白蓮の方へ視線を向ける。
「聖白蓮、信じて」
白蓮の方へと目を向けたこころが静かにそう言う。
この殺し合いに巻き込まれる前に対峙していた時とは違う。その口振りはあくまで穏やかだ。
そう、以前とは違う。以前は暴走しかけていた力もどこか安定しているように感じられる。
「私は殺し合いには乗っていないよ。殺し合いは私の望みじゃない。今は貴女に協力する」
冷静に、それで居てきっぱりと断言するようにこころは白蓮にそう宣言した。
白蓮はこころの言葉を聞いて少しだけ驚きつつ彼女を見ていたが、同時に安心をその胸に憶える。
目の前の面霊気ははっきりと「殺し合いに乗っていない」と言ってきた。
先程までは危険性を疑っていたものの、彼女に殺意は芽生えていないようだ。
あの男のように戦意をこちらに向けてくる様子は見せていない。そのことに白蓮は安堵した。
直後に「その代わり」とこころが言葉を付け加え。
「私と共にあの男を倒すのだ!奴はこの穢れし檻にて殺戮を遂行する存在!奴がこの地に災いを齎すのは解り切ったことッ!!」
そっと『石仮面』を被ったこころのテンションが豹変。
異様に昂揚した口調でエシディシをビシリと指差しながら言い放っていた。
唐突なハイテンションっぷりに白蓮は一瞬呆気に取られてしまったが、目的はあくまで『共闘』してあの男を止めるということ。
殺し合いに乗っている者を止める、という目的は一致している。
そのまま白蓮はこころに対して静かに頷いた。
「……ええ、解りました。今は共闘と行きましょう、『秦こころ』さん」
「ありがと」
白蓮が共闘の申し入れを承諾。それに対し、仮面を外したこころがぺこりと頭を下げて御礼の言葉を言う。
短いお辞儀の後に顔を上げたこころが再び視線を向けたのは、立ち尽くす男の方だ。
何も言わずに少女達の会話を眺めていたが、二人の会話が終わったことを確認しゆっくりと口を開く。
「さて、お嬢さん方…お喋りは済んだかな?」
薄ら笑みを浮かべながら、エシディシは二人の少女を交互に見据える。
同時に二人の少女も即座に身構え、戦闘態勢に入った。
石仮面を被る少女との共闘を選んだ白蓮を、スピードワゴンは少し離れた地点から見守る。
白蓮とスピードワゴンは石仮面を被る面霊気「秦こころ」を追いかけて此処まで辿り着いた。
そこで目にしたのが先程の光景。大男とあのこころとかいう女の子が対峙していたのだ。
明らかな臨戦状態を止めるべく、白蓮はそこへ割って入っていったのだ。
(様子を見る限り、どうやらあの女の子は白蓮さんに敵意は無いらしいな)
石仮面の力に呑まれた化物、というわけではなかった。そのことに安心を憶えるが、同時に『あの男』を緊張した面持ちで見据える。
白蓮達と対峙する、筋肉隆々の大男。あの指先から伸びる血管といい、間違いない…あいつは人間じゃあない。
ディオ・ブランドー、ジャック・ザ・リパーという異能の人外達を目の当たりにしてきたスピードワゴンはすぐにそれを理解する。
吸血鬼?…いや、アイツはもっとおぞましい何かにさえ感じられる。
スピードワゴンは拳をグッと握り締めながらエシディシ、白蓮達を交互に見た。
(だが…俺ぁ、ただ見ていることしか出来ねえ…か)
先程のことを思い返す。白蓮から言われた言葉を。
『私が戦いを止めに行きます、スピードワゴンさんは暫く待っていて下さい』と言われたのだ。
当然の判断だろう。戦う術の無い自分が戦場に赴いた所で足手纏いになるだけだ。
手元にある支給品の「宝塔」も、本来の持ち主であるはずの白蓮さんから『ここぞという時に使ってください』と託されている。
燃費も悪いが故に、これで正面から戦うことは出来ない。結局、宝塔があった所でスピードワゴンは白蓮と共に戦闘に赴くことは出来ないのだ。
今の彼に出来るのは、白蓮を見守ることだけ。
彼女が上手くいくことを祈るだけ。
(俺はいつも傍観者だ…必死に戦っている勇敢な奴らを目の当たりにして、俺がやってやれるのは『祈り』だけ)
それだけしか出来ない。そのことが歯痒いし、悔しい。
だが、もしもの時はあの宝塔を………。……いや、その『もしもの時』が来ないことを祈ろう。
そう、今は『祈って』おこう。彼女の無事を。
今の自分に出来ることは、それだけだ。
(…今はただ、祈っているぜ…白蓮さん。アンタが…勝つことを!)
◆◆◆◆◆◆
―――黒髪の女性と金髪の少女が、共に草原を歩いていた。
波紋戦士の
リサリサ、守矢の二柱の片割れである
洩矢諏訪子の二人だ。
二人の間に会話は無い。ただ黙々と沈黙だけが流れ続けていた。
リサリサは周囲への警戒を行いつつ、前へと進み続けている。
諏訪子はそんな彼女に着いていくように後方を歩いている。
目的地が偶々同じ方向だったとはいえ、出会った当初は同行してくる諏訪子を不服そうに見ていたリサリサ。
しかし暫しの時間が経過してからは彼女も諦めたのか特に諏訪子を気にする素振りも見せなくなっていた。
(やっぱり…何だか、落ち着きの無いことだねー…)
後方からリサリサの姿を見ている諏訪子は、彼女の様子を見て内心そうごちる。
警戒心が強い、というよりも必要以上に周囲の様子を気にいている風に見える。
冷静沈着であるように見えてその態度はどこか焦燥を抱いているかのようだ。
出会った時から気付いてはいたが、やはり彼女には何か事情があるのだろう。
平静と云う仮面を被って冷静に振る舞おうとしているが、その実焦りは隠せていない。
自らの焦燥感を冷静を装った警戒心で覆い隠そうとしているのだろう。
太古から神として長い年月を生き続けてきた諏訪子は、リサリサの心情を薄々ながら見通していた。
(少し前に出会ったばかりとは言え…ま、あまり放ってはおけないね)
そんなリサリサの背を眺めながら、諏訪子は足下の雑草を踏み頻り歩き続ける。
偶々目的地が同じ方向にあった相手。少し前に出会ったばかりのリサリサとの関係は精々その程度のものだ。
だが、成り行きとは言え共に行動することになった相手。少しくらいは気にかけたくなる。
このリサリサという女性のことが、どうにも心配なのだ。
(この子、絶対に一人で何かを背負い込んでいるもの)
サングラスに覆い隠された目元から僅かに覗くリサリサの瞳を見て諏訪子は薄々気付いていた。
彼女の蒼い瞳から感じ取れるのは、その態度にも表れてるような「焦り」と「不安」。
出会った時からの様子を見る限りでは「殺し合いに巻き込まれたことへの恐怖」という風には見えない。
――もしかすると、彼女も私と同じくこの会場に「親しい者」がいるのではないか。
そう思いながらリサリサを見ていた矢先、視界に入った森を前にして彼女が動きを止める。
諏訪子はリサリサと共に動きを止め、突然立ち止まった彼女に声をかける。
「どうかしたの?」
「……いや」
スッと、リサリサが森とは別の方向を向いた。
彼女が見据えるのは、地図で言う『再思の道』の先であろう北西の方角。
「向こうが、どうにも騒がしい気がしてね」
リサリサは冷静にそう答える。
「騒がしい」気配がする。北西へと注意を向けた諏訪子の反応も、彼女と同じものだった。
「…同感、かな」
◆◆◆◆◆◆
「『怪焔王の流法』!」
荒々しく地を蹴ったエシディシは、その両手の指から血管を勢いよく伸ばしながら白蓮へと接近。
触手のような十本の血管を蠢かせ、白蓮へと一直線に伸ばす。
事前に詠唱を行っていた白蓮は、迫り来る血管に対し少しばかり驚きながらも冷静に見据え。
「はぁっ!」
放たれた触手に似た血管を前にした白蓮がその両手を合わせた直後、瞬時に血管が弾き飛ばされる。
消し飛ばされた血管は周囲に沸騰血をばらまいて雑草を焼き尽くしていく。
『ヴィルーパークシャの目』。周囲に弾幕をも掻き消す気合を放出する技だ。
詠唱を瞬時に終わらせる「魔神経巻」が無い以上、技の発動にはある程度の時間がかかるが…『受け身』の状態で待ち構え、事前に唱えていればある程度は補える。
白蓮は放たれた複数の血管を一斉に掻き消すように吹き飛ばし、接近してきたエシディシに備えるように拳を構える。
血管を吹き飛ばされながらも動じることの無いエシディシが白蓮へと腕を伸ばそうとした瞬間。
「―――憂嘆の長壁面」
エシディシの側面を狙うように、霊力を帯びた複数の面が放たれた。
こころからの攻撃に気付き、エシディシは咄嗟に動きを止めて防御行動を取るも追尾する複数の面の攻撃を受け切ることは出来なかった。
次々と衝突してくる霊力を帯びた面の攻撃に晒され、そのまま彼の巨躯は吹き飛ばされる。
吹き飛ばされるエシディシの隙に更なる追い討ちをかけるように、こころは霊力を凝縮させる。
「貧弱!貧弱ゥッ!!フフフハハハハハァーーーーーッ!!!」
こころの手元から淀んだ漆黒の球状の弾幕がエシディシに向けて次々と放たれた。
それは聖にとっても見覚えの無い技だ。あの『石仮面』の感情から生み出された弾幕なのか。
怒濤のような勢いで放たれる弾幕がエシディシを激しく攻め立てる。
(この感じ… 霊力が、あの時より増している?)
聖は攻撃を行うこころを見て心中で思う。
彼女から感じ取れる霊力が明らかに「異変の時」よりも増しているのだ。
その力はやはり不安定とは言え、希望の面を失っていた時よりは少なからず安定している。
―――聖は知らないことだが、今のこころは石仮面の力を引き出して戦っている。
短時間ながら石仮面の研究を行ったことで、ある程度だがその力を引き出せるようになったのだ。
石仮面の力はこころの身体能力、霊力の向上という結果を齎した。
そして石仮面の力によって荒々しく弾幕を放ち続けたこころは、石仮面を後頭部の側面に被らせた状態で狐の面によって顔を覆う!
「『吼怒の妖狐面』――――!」
その場から勢いよく跳び上がったこころ。
こころが身に纏うのは石仮面の力が作用した黒く淀んだ霊力。
彼女はそのまま『獰猛な獣の頭部』の形状をした霊力を全身に纏い、空中からエシディシ目掛けて奇襲のように突撃を行った―――!
「………。」
地面で膝を突き、怯んでいるエシディシ。先程までの弾幕の攻撃が効いたのだろう。
獣の頭部を模した霊力を纏って迫り来るこころを、笑みを浮かべながら見上げていた。
そして、唐突にエシディシは動き出す。
コキリ、コキリと気味の悪い音が何度も響いた。
「…!?」
目の前の光景に、こころは、白蓮は、スピードワゴンは自らの目を疑う。
エシディシの肉体が不自然に捻じ曲がり、跳躍をしながらこころの攻撃を器用に回避したのだ。
それはあまりにも異様だった。跳躍と共に骨格や間接を無理矢理に変形させて攻撃を避けたのだから。
こころとすれ違うように攻撃を回避したエシディシは、そのまま肉体を元の形状に戻し―――
「――危ない!白蓮さんッ!!」
唐突に発せられたスピードワゴンの声が白蓮の耳に入る。
そのままエシディシが跳躍の勢いによって、空中から白蓮の方まで落下するように迫ったのだ。
身構えていた白蓮は身体能力強化の魔法を発動し、迎撃の体制に入る。
こころから受けた弾幕によって焼け焦げた皮膚の至る所から、無数の血管が飛び出した!
「怪焔王、」
無数の血管から漏れ出すモノは、摂氏500℃にも達する灼熱の血液――――!
「大車獄の流法ォォォーーーーーーーッ!!!」
空中から落下するエシディシの全身から伸びる無数の血管針が、聖に向けて次々と放たれていく!
触手のように飛んでいく血管からは沸騰する溶岩のような灼熱の血液が溢れ出す―――!
「――――南無三ッ!!」
迫り来る脅威を目の当たりにし、白蓮は霊力を帯びた拳で血管針を次々と弾いていく。
最低限の強化魔法によって齎された身体能力は血管を受け流すように次々といなす。
しかし、更に畳み掛けるように襲いかかる灼熱の血液は回避し切れない。
全力の身体能力強化魔法ならばこの血管に対処出来るかもしれないが―――魔神経巻が無い以上、詠唱に大きな隙を晒すことになってしまう。
それ故に、下手に全力の魔法を発動することは危険だ。
そのまま最低限の強化魔法で何とか身体や腕を動かし続けるも、至近距離から無数の血管を弾くことにも限界がある。
血管から放出される灼熱の血液は何度も白蓮の身に掠り、服や皮膚の一部分を焼き焦がしていく。
「この『エシディシ』の流法から、いつまで逃れられるかなァーーーーーーッ!!?」
地面に降り立ったエシディシは尚も血管針によって白蓮を激しく攻め立てる。
触手の如く蠢く血管が、白蓮を焼き付くさんと畳み掛けるように次々と襲いかかっている。
魔法の効果によるものか、ある程度の肉体強度を持っているのか、彼女は血液を少量とはいえ何度かその身に浴びながらも強引に持ち堪える。
しかし、白蓮が見せているのはあくまで苦い表情だ。歯を食いしばり、『熱血』による苦痛を堪えているようにも見える。
エシディシの流法の餌食になるのは、時間の問題に思われた。
だが――――
「白蓮!そこから離れるんだァーーーッ!!」
「え、…!」
少し離れた方向から突然耳に入った声。―――こころの声だ。
石仮面の作用か、相変わらず非常にテンションの高い口調だが白蓮にそんなことを気にしている暇は無い。
傷を負う覚悟の咄嗟の一撃で無数の血管を弾きつつ、一気に後ろへ下がって距離を取る。
「『歓喜の獅子面』―――!!」
直後、エシディシ目掛けて一直線に放たれたのは―――燃え盛る灼熱の炎!
それはこころが被る獅子舞の面の口から発射されているものだ。
まるで濁流のような激しさを持つ炎が、エシディシに迫り来る!
「ぬうッ…!?」
エシディシは咄嗟に回避をしようとするも、僅かにタイミングが遅れた。
勢いよく飛んでいく炎は複数の血管針を瞬時に焼き尽くし、回避を行おうとしたエシディシの左腕をも豪快に焼き尽くす。
本来ならば『この程度の熱』は持ち堪えられるはずだが、殺し合いの場で制限下に置かれているエシディシの肉体には十分通る一撃となっていた。
幾つもの血管と左腕を焼かれながらも、エシディシは後方へと下がって二人と距離を取る。
「……俺の……左腕が……」
一定の距離で向かい合う三者。
身体中に火傷の痕を負い、歯を食いしばりながらも「柱の男」の方へと向いて身構える白蓮。
石仮面を被り、両手に二枚の扇を出現させて「柱の男」を見据えるこころ。
そして焼き尽くされた左腕を、唖然としたように眺めるエシディシ。
「焼かれちまった……こんなにも……」
エシディシは動かない。ただ立ち尽くすだけだ。ただ、呆然と傷を眺めている。
自分がこれ程までの傷を受けることがショックだったのだろうか。
あくまで『止める』ことが目的の白蓮は、隙を晒すエシディシを攻めにいくような様子は見受けられない。
警戒を続け、エシディシの出方を伺っている受け身の体勢だ。
だが、こころは違った。死を以て感情を無に帰すエシディシを完膚なきまでに倒すことが目的。
真っ先に彼が見せる隙を見逃さなかったのはこころだ。手に持つ二つの扇に霊力を纏わせ、身構えたままエシディシを見据える。
そしてこころは、エシディシ目掛けて霊力を弾幕に変換させて放とうとした―――――
「………うぅぅッ」
エシディシの瞳に一粒、二粒の涙。
弾幕を放とうとしたこころが動きを止めた。
「ううぅぅぅぅぅ………あんまりだ…………」
左腕を押さえ、情けない声を発するエシディシの瞳から大粒の涙がボロボロと零れ始める。
攻撃を行おうとしたこころが、相手の出方を伺っていた白蓮が、ぽかんとしたようにエシディシを見ていた。
「HEEEEEEEEEEEEYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!!」
―――不気味なまでに甲高い『泣き声』が草原に響き渡る。
ぼろぼろと泣き始めていたエシディシがその場で号泣し始めたのだ。
傲岸不遜、余裕綽々の態度を見せていた先程までの彼の姿とはまるで違う。
「ああああァァァァァァァァんまりだァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!
AHHYYYAHHYYYYAGGGGHHHHHHHHHHHHHHHHHHHH!!!!!!!
WHHHHHHHOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOHHHHHHHHHH!!!!!!!」
まるで我侭を叫び続ける駄々っ子の様に、生まれたばかりの赤子の様に。
ただ只管に、周りに居る者達のことなど気にせずに…無我夢中で泣き喚いていた。
こころは、白蓮は、スピードワゴンは、ただ唖然としたようにエシディシを見ていた。
豹変なんてレベルじゃない。目前であまりにも唐突に起こったことに対し、驚愕を通り越して呆気に取られたような反応をするしかなかった。
―――むしろ、今が好機じゃないのか。
泣き叫ぶ様子を目の当たりにしながらも、こころはハッとしたように思い出す。
隙を晒している今こそが攻め時。あいつを叩くチャンス。
すぐに両手の扇を握り締め、彼女は地を蹴る!
「――――今こそが、貴様の命の没する時だッ!!」
瞬時にエシディシへと接近しながら、こころは扇に霊力を纏わせる!
とにかく今は奴を叩く。倒す機会は今だ!直接叩いてやる!
そう考え、こころはすぐさま扇を振るおうとする―――
「………フゥ」
直後にエシディシの号泣がピタリと止まった。
エシディシの至近距離まで接近していたこころ。
だが彼が唐突に泣き止んだことに気付き、彼女は「え」と声を漏らす。
「…隙あり、とでも思って此処まで接近してきたのだろうが…流石に俺が泣き喚いたことに驚いているな?」
瞬間、エシディシの瞳は先程までの涙に歪んだものではなくなり。
「お前は一瞬の驚愕で思考を放棄してしまい…安易な攻撃方法を選んでしまったのだからな!」
――――瞬時に迫り来るこころの姿を、捉えていた。
制止をしようとした白蓮とスピードワゴンの叫び声が同時に聞こえてくる。
だが、もはや動きを止めることは出来ず。
「――――ッ、………!?」
エシディシの右足がドスリと腹部に突き刺さり、勢いよくこころの身体を持ち上げる。
両手の扇を落として吐血を繰り返し、苦しみながらエシディシの右足の爪先の上に乗せられていた。
強烈な一撃を腹部に叩き付けられ、こころは無表情のまま何度も咽ぶ。
「フフ…甘い、甘いぞ…小娘」
ニヤニヤと笑みを浮かべながら、エシディシは口から血を流すこころを見上げていた。
勝ち誇ったような笑みを浮かべたまま余裕の様子を見せている。
しかしその直後、彼は別の方向へと視線を向けた。
「こころさん――――ッ!!」
剣の形態を取った独鈷をその右手に握り締めながら、白蓮が駆け出していた。
身体能力強化魔法をその身に施し、風を斬るような勢いで走る。
このままあのような横暴を許すわけにはいかに。彼女を助けなければいけない。
力強く独鈷の柄を握り締めながら、白蓮はエシディシを睨む。
こころを右足で持ち上げるエシディシに向けて、攻撃を仕掛けようとした。
しかし、エシディシへと接近する途中で白蓮は転倒する。
突然何かに右足を取られ、その場で転げて独鈷を手元から落としてしまう。
白蓮は気付く。紐のような、鞭のような何かに右足を縛られているということに。
そして、間髪入れずに右足に襲いかかったのは―――。
「っ、ああぁぁぁぁぁぁッ!?」
――凄まじい『熱』。突然の苦痛に白蓮は声を上げる。
白蓮の右足に襲いかかったのは、『沸騰血』による超高温の熱だ。
倒れ込んでいた白蓮は、雑草の中を見て気付いた。自分の右脚を縛っているのは、『血管』だと。
エシディシが左足の爪から伸ばした血管が、白蓮の右足に絡み付いていたのだ。
それはこころの接近と共にエシディシが事前に仕掛けた『罠』。伸ばされる血管が足下の雑草によって隠れていた為に、白蓮は存在に気付くことが出来なかった。
倒れ込んだまま右足を血管から溢れ出す灼熱の血液で焼き尽くされる白蓮は、苦痛の表情を浮かべながら悶える。
「ふん!」
足を焼かれ、動けぬまま倒れ込んでいる白蓮をエシディシは横目で流し見つつこころを勢いよく地面に叩き付ける。
強靭な足を振り下ろしたことによる衝撃によってこころは地面を転がり、苦痛に耐え切れぬまま意識を失う。
こころが気絶したのを確認したエシディシは左足の爪から伸ばした血管を自分の元に戻し、白蓮の方を向く。
「……っ、…こころ…さん……」
「おいおい、無理は良くないぜ?…お前の右足は完全に『煮え滾っている』んだからな」
何とか立ち上がろうとする白蓮。しかし重度の火傷を負った右足の苦痛が襲い、満足に動けない。
疲労と消耗のせいか、魔力も上手く練ることが出来ない。脆い弾幕程度しか放てないだろう。
倒れ込んだままこころの方を向く白蓮へと、少しずつエシディシが迫る。
一歩一歩、雑草を踏み頻りながら。
―――付喪神として圧倒的な格を持ち、更には石仮面の力を引き出したことで普段以上の力を得ていたこころ。
―――人から魔に転じた存在である幻想郷屈指の大魔法使いの聖白蓮。
どちらも高い実力を持つ二人。単純な戦闘力ならばエシディシを前にも互角以上に戦えるはずだった。
だが聖白蓮は魔法の詠唱を一瞬まで短縮する「魔神経巻」を失い、普段のように強力な魔法を惜しみなく使った立ち回りが出来なかった。
こころがエシディシを抑え込んでいる隙に詠唱を行う隙があったかもしれないが、エシディシの実力を見抜いていた白蓮は下手に隙を晒すことを嫌った。
同時に、秦こころは「一瞬の隙を見せたこと」が不意を突かれる原因となった。
泣き叫んだエシディシを前にして驚愕し、彼の思惑通りの安易な攻撃方法を選んでしまったことで付け入られる隙を見せつけてしまった。
同時に、エシディシはこころを助けるべく白蓮が飛び出すことも予測していた。それを迎え撃つ為に血管の『トラップ』を仕掛け、誘い込んだのだ。
エシディシは敵を精神的に出し抜くことを得意とする技巧派の戦士であり、波紋戦士との百戦錬磨の戦いを乗り越えてきた柱の男。
―――単純な戦闘力だけではない、二人を出し抜く程の技量と戦闘技術を身につけていたのだ。
―――こ……こんな………、こんなことって…………!
唖然とした様に、彼は―――スピードワゴンは戦場を見ていた。
仮面の少女「こころ」は倒れ、白蓮さんは右足を焼かれたことで動けずにその場で踞っている。
立っているのはあのエシディシという名の大男。
殺し合いを止めるべく戦っていた少女が倒れ、残忍な殺人者が笑みを浮かべながら立っている。
こんなの、残酷すぎる。こんなこと、余りにも…!
気がつけば、その身体は震えていた。
白蓮さんが、あのこころって娘が殺されれば。
次に殺されるのは、間違いなく俺だ。
恐怖に戦きながら、彼はエシディシを見ていた。あの怪物が恐ろしくて仕方がなかった。
死にたくない。今すぐに逃げ出したい。そんなことさえ思える程に。
いっそ、このまま逃げてしまおうか。一瞬、そのような思考が脳裏を過ってしまった。
だが白蓮さんを見捨てるわけにもいかない。感情が、無数に渦巻く――
その時、白蓮が言葉を発した。
「……貴方は…これからも、人を殺し続けるんですか」
「…………何?」
エシディシは僅かに顔を歪めながら、倒れ込む白蓮を見下ろす。
死に際の苦し紛れの言葉か。そう思いつつ、彼は立ち止まった。
「殺戮の先に……希望なんて、ない。血に塗れた闘争の先に、未来なんて……ない」
「………」
真剣に、冷静に感情を言葉にこめながら白蓮は声を発し続ける。
「ましてや、それを楽しむなど……過ちでしかない」
右足を負傷して動けぬまま倒れている白蓮が、身体を僅かに起こしながらエシディシを見据えていた。
覚悟を秘めたその瞳は真剣に、真っ直ぐにエシディシを捉えていた。
「―――貴方は、間違っている!」
白蓮は、目の前の男に対して『断言』した。
自らを殺そうとする男に対し、臆することも無くそう言い切った。
その表情に死への恐怖は浮かんでいない。あるのは確固たる意志。
有りのままの『希望』を、『正しさ』を真っ直ぐに信じ、貫き通す純粋な意志。
彼女は、目の前の殺戮者に対しはっきりと自らの意思を叩き付けたのだ。
「………白蓮、さん……」
スピードワゴンは驚愕していた。
今まさに自分を殺そうとしている相手に対し、堂々と啖呵を切ってみせたのだから。
あれは、苦し紛れでも何でもない。恐怖に溺れてやけくそに放った一言でもない。
自らの正しさをストレートに叩き付けた、『純粋な意志』。
あの少女はこの殺し合いの場二巻き込まれ、死を目前にしながらも『正しいことの白の中』に居続けたのだ。
白蓮の中に見た『黄金の精神』。スピードワゴンは、いつの間にかその姿を『彼』と重ねていた。
ゴロツキである自分をも助けた、真の紳士。目の前の巨悪を前に、臆することも無く勇敢に立ち向かう戦士。
――――『
ジョナサン・ジョースター』の姿を、聖白蓮に重ねていたのだ。
(カッコいい、じゃねえかよ…畜生)
聖白蓮さん。あの人は立派だ。ジョースターさんと同じだ。
それに対し、自分が情けなかった。ただ此処で指をくわえて眺めているだけ。
白蓮さんの危機を、助けることさえ出来ていない。まさしくただの傍観者。
俺はこのまま、何も出来ずに目の前で立ち尽くして祈っているだけなのか?
―――違う。
俺だって、何かしなくっちゃあいけないんだ。
ジョースターさんとの時だって同じだ。俺は、足手纏いになる為に戦いの場に来ているんじゃあない。
俺は、ジョースターさんや白蓮さんのような人を支える為に此処まで来ているんだ!
だから、俺は―――――!!
「やめッ、やがれぇぇぇぇッ!!」
スピードワゴンは歯を食いしばり、宝塔を握り締めた右腕を前面に突き出し―――エシディシへと向ける!
必死に戦っているあの人が死にそうだって言うのに、俺一人が黙って指をくわえて眺めているわけにはいかない!
俺は、此処まで―――白蓮さんの足手纏いになりに来たんじゃあないッ!
護るんだ!俺の手で、白蓮さん達を護ってやるんだ――――!
その思いが、スピードワゴンの身体を偏に動かしていた。
(力を凝縮して、レーザーを放つ…ッ!)
己の脳内でイメージする。
宝塔に『力』を一点集中、一気に収束させる!
「………!」
エシディシはハッとしたようにスピードワゴンの行動に気付く。
すぐさまそちらへと突撃し、彼の行動を妨害しようとする。
だが、既に彼の手元の『宝塔』には強大な力が収束されていた。
闇夜を切り開く夜明けの光のような輝きを放ちながら、それはエシディシへと向けられる―――!
「貴様―――、」
「うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーッ!!!!」
―――そして、轟音が響き渡ると共に、宝塔が光を放つ。
眩い光と共に、輝く光線が凄まじい勢いで解き放たれた。
放たれた光線は一直線にエシディシへと向かっていき、彼の身を貫かんとした――!
「…この俺が、」
だが、彼は不敵な笑みを浮かべ続け。
「その程度の小細工に遅れを取ると思ったかァァァァァーーーーーーーッ!!」
屈強な両足で地を蹴り、エシディシは勢いよく跳躍する。
目を見開き、スピードワゴンはその場で腰を抜かした。
恐怖だけではない。宝塔のレーザーを放ったことにより、体力を大きく消耗してしまったのだ。
その隙を見逃すエシディシではない。再び全身から無数の血管を飛び出させて、スピードワゴンへと落下しながら迫った。
動くことの出来ない白蓮が悲痛な叫び声を上げる。弾幕で妨害する事も出来ず、エシディシの攻撃は始まる―――
「怪焔王――――大車獄の流法ッ!!!」
―――そして、無数の血管が、次々とスピードワゴンを貫いた。
「――――う、ああぁあぁぁあああぁああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」
身体中に突き刺さる血管針。体内に送り込まれる灼熱の血液。
―――――熱い!熱い!熱い!熱い!
スピードワゴンの身体の至る所から焼き焦がされ、蒸気が噴出し、そして灼熱の溶岩の様にドロドロと溶け始めていた。
『怪焔王の流法』の凄まじい熱血の前に、スピードワゴンは成す術も無く焼かれ始めていた。
「スピード…ワゴン、さん…………っ!!」
「ククククク…!このままグツグツのシチューにしてやるぜェェェェェェッ!!」
次々と送り込まれる超高温の血液。スピードワゴンは何度も悲鳴を上げながら、その身を焼かれていた。
もがく様に身体や腕を動かしているが、恐らく苦し紛れの行動に過ぎない。
もはや彼の死は時間の問題だろう。まず助かるはずがない。
エシディシはそう確信していた。自らの勝利を信じていた。
だが、スピードワゴンが唐突に何かを『その手』に掴んでいた。
そして―――エシディシの胴体目掛け、『それ』は打ち水の様にかけられる。
「…何?」
エシディシは、スピードワゴンが自らにかけた液体を目を丸くして眺める。
そして…身体中を焼かれながらも強引に行動スしたピードワゴンが何を行ったのかも、その目で確認した。
彼の足下に転がり落ちているのは、大半が焼け焦がされたデイパック。
そして、もう一つ放置されているもの。
それは―――中身のガソリンがほぼ空になった、ポリタンク。
「…怖ェ…マジに怖ェんだよ。俺は、死ぬのが……怖くて、仕方ねぇんだ」
エシディシは気付いた。スピードワゴンの左手には、まだ宝塔が握り締められていることに。
灼熱の血液に溶かされ、千切れかけになっている左腕を真っ直ぐに伸ばしながら。
彼が宝塔を向けるのは―――当然の如く、自分を血管針で拘束するエシディシ目掛けて。
「だけど、よォ…!勇気…ってのは…、怖さを知ること…!怖さ…を、自分のものにすることなんだよ………ッ!」
歯を食いしばり、スピードワゴンは真っ直ぐにエシディシを睨んだ。
恐怖を感じながらも、彼はただエシディシ一人を見据えていた。
エシディシは咄嗟に距離を取ろうとする。だが、スピードワゴンに血管針を突き刺していたことが行動を遅れさせた。
「…俺は、恐怖を…自分のものに、してみせるぜ」
身体中を焼き尽くされながらも、堂々たる笑みを浮かべるスピードワゴン。
そして―――最後の力を振り絞って、エネルギーを凝縮させた宝塔が。
眩い光を放ち、輝いた。
「くたばりやがれェェェェェーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!!!」
放たれた眩き光線が――――エシディシに襲いかかる。
「―――――GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!?」
エシディシの身を光線が焼くと同時に、彼に浴びせられていたガソリンが光線の熱により一瞬で引火。
彼の身体を灼熱が包み込む。血管針で突き刺していたスピードワゴンをも離してしまう。
多量のガソリンの引火による炎には彼も耐え切ることが出来ず、轟くような叫び声を上げた。
先程までのスピードワゴンと同じ様に…いや、それ以上に激しく身体が焼かれる。
左腕は丸ごと宝塔の光線によって焼き尽くされ、完全に使い物にならない状態へと変わっている。
悶え苦しみながらエシディシは暴れ出すように叫ぶ。
「よくも、よくも、こんなァァァァァァーーーーーッ!!!!!」
彼は柱の男の生命力によって強引に苦痛を抑え、倒れるスピードワゴンに襲いかかろうとする。
スピードワゴンも同様に満身創痍。身体中を焼かれ、空中を呆然と眺めて倒れ込んでいた。
怒りのままにエシディシは、スピードワゴンに攻撃を仕掛けようとした――――
その直後に、彼の左脇腹に投擲された鉄球のようなものが瞬時に叩き付けられた。
「がアァァァァッ…!!?」
突然の攻撃に大きく仰け反るエシディシ。
左の脇腹を浅く抉られたエシディシは右腕によって傷口を押さえ…その時に気付く。
「まさか、貴方が此処にいるとはね」
新たな襲撃者は、女であろうということを。
ブーメランの様に『襲撃者』の方向へ戻っていった鉄球のようなものは、あのジョセフ・ジョースターという男が使っていた『アメリカンクラッカー』であるということを。
そしてクラッカーで抉られた傷には、確かな『波紋』が帯びているということを。
再生能力によって無理矢理火傷を抑え込もうとしつつ、彼はクラッカーを投げた張本人の方を向いた。
「―――エシディシ、奴らの一族の一人」
「貴様は…波紋…戦士の………」
女波紋戦士―――リサリサが、サングラスの下の鋭い瞳でエシディシを見据える。
その右手に先程投擲したアメリカンクラッカーを持ち、波紋を帯びさせて構えている。
傍には帽子を被った小柄な金髪の少女――守矢の二柱の片割れ「洩矢諏訪娘」が立っている。
リサリサと同様に、警戒した様子でエシディシを見ていた。
ギリリ、とエシディシは歯軋りをする。
先程の引火と光線によって手傷を負わされた所に波紋戦士の女が現れた。
それに、もう一人小娘もいる。今まで出会ってきたような妖怪の類いかもしれない。
はっきり言って―――状況は最悪。
「チィッ!」
エシディシは火傷を負った身体を押し、強靭な脚力で地を蹴る。
そのまま魔法の森の方角へと撤退を始めた。
これ以上の戦闘は不利にしかならないと判断し、『逃げること』を選んだのだ。
「―――逃がすものかッ!」
リサリサもそれを見逃しはしない。
背を向けて逃げ始めてエシディシへと向けて、再びクラッカーを投擲しようとしたのだ。
無論、クラッカーの鉄球には波紋を帯びさせている。
彼に一撃を叩き込み、トドメを刺さんとしてクラッカーを構えた――――
だが、リサリサの行動は意外な形で止まることになる。
「スピード、ワゴン……さんっ………!!」
倒れ込んでいた金髪の尼僧が、エシディシに攻撃されかけた男性に向けて言葉を発したのだ。
彼女は――白蓮はリサリサ達の存在を認識した後、右足の傷を押してでも動こうと…立ち上がろうとしていた。
リサリサは白蓮の呼んだ名を聞き、目を丸くして動きを止める。
そのまま彼女は、驚愕をした様子で倒れている『スピードワゴン』の方を向いた。
「……、リサリサ?」
突然動きを止めたリサリサに対し、諏訪子が声をかける。
ほんの少しの沈黙の後。
リサリサが、声を漏らした。
「スピードワゴン、さん……?」
◆◆◆◆◆◆
「スピードワゴンさん…!しっかりしてください!スピードワゴンさんっ…!」
身体中に火傷を負い仰向けに倒れるスピードワゴンの傍でしゃがみ込み、白蓮は瞳から涙を流しながら必死に声をかける。
血管針を途中で引き抜かれたことにより辛うじて生きてはいるが、もはや死の寸前であることは一目で分かる。
彼の命の灯火は、消えかけている。白蓮の傍に立つリサリサ、気絶しているこころを抱える諏訪子にとってもそれは理解できた。
「………。」
リサリサは、唖然とした様子でスピードワゴンを見下ろしていた。
目の前に居るスピードワゴンの姿を、顔を、見ていた。間違いなくあの『ロバート・E・O・スピードワゴン』本人だった。
ニューヨークで設立されたスピードワゴン財団を統括する活動家。そしてエリナさんと同じく、自分にとって本当の意味で世話になった人物。
自分の知っているスピードワゴンは、白い髪をした年老いた老人。だが、目の前に居るスピードワゴンはどうか。
外見は皺一つない。その見た目も20代半ばの若者と言った所だ。
しかし、この男性が『ロバート・E・O・スピードワゴン』であるということは半ば確信していた。
何度もその名を呼びかける白蓮。
もはや返事は帰ってこないかと思われていた中。
ゆっくりと、スピードワゴンの瞳が白蓮の方を向いた。
「……白蓮さん……俺は……もう、駄目みたいだ」
フッと笑みを浮かべながら、スピードワゴンはそう答える。
涙を流す白蓮は何度も彼の名を呼びかける。彼の死を否定する様に。
「だが、よ……アンタの瞳には…ジョースターさんと、同じものを見たんだ」
彼が再び脳裏に浮かべるのは、父の仇を討つべく戦いに身を投じた青年―――『ジョナサン・ジョースター』。
ジョースターさんと同じものを白蓮さんに見出したから、自分は奮い立つことが出来た。
ジョースターさんと同じ『意志』を彼女の姿に見出したから、自分は勇気を振り絞ることが出来た。
「どんな困難にも屈せず、真っ直ぐに信念を貫き通す……『黄金の精神』って奴を、よ」
スピードワゴンは、死を目前に控えながらも変わらずに笑っていた。
目の前の女性になら任せられると。ジョースターさんと同じ『黄金の精神』を持つ人物になら。
―――未来を、希望を託せると。
そして、次第にスピードワゴンの瞼が閉じ始める。
それは彼の死を意味していた。
彼の命が消え往くことを意味していた。
「……悪ィ、白蓮……さん………後、任せた……ぜ……………――――――」
その言葉と共に、彼はその瞳を閉じた。
最期に、彼は未来を託した。目の前の女性に。
全てを託して、その命の幕を下ろした。
【ロバート・E・O・スピードワゴン@第一部 ファントムブラッド】死亡
【残り 79/90】
【A-4 草原(A-5との境目付近)/早朝】
【聖白蓮@東方星蓮船】
[状態]:疲労(大)、体力消耗(大)、魔力消費(大)、両手及び胴体複数箇所に火傷(中)、右足に火傷(大)、精神的ショック
[装備]:独鈷(11/12)@東方 その他(東方心綺楼)
[道具]:基本支給品、不明支給品0~1個@現実
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いを止める。
1:スピードワゴンさん…
2:諏訪子達と情報交換。
3:殺し合いには乗らない。乗っているものがいたら力づくでも止め、乗っていない弱者なら種族を問わず保護する。
4:弟子たちを探す。無事かどうか不安。
5:今はこころを信用する。
[備考]
※参戦時期は東方心綺楼秦こころストーリー「ファタモルガーナの悲劇」で、霊夢と神子と協力して秦こころを退治しようとした辺りです。
※魔神経巻がないので技の詠唱に時間がかかります。
簡単な魔法(一時的な加速、独鈷から光の剣を出す等)程度ならすぐに出来ます。その他能力制限は、後の書き手さんにお任せします。
※DIO、エシディシを危険人物と認識しました。
【秦こころ@東方 その他(東方心綺楼)】
[状態]疲労(大)、体力消耗(大)、霊力消費(大)、内臓損傷(中)、諏訪子に抱えられている
[装備]様々な仮面、石仮面@ジョジョ第一部
[道具]基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いには乗らない
1:気絶中
[備考]
※少なくとも東方心綺楼本編終了後から
※周りに浮かんでいる仮面は支給品ではありません
※石仮面を研究したことでその力をある程度引き出すことが出来るようになりました。
力を引き出すことで身体能力及び霊力が普段より上昇しますが、同時に凶暴性が増し体力の消耗も早まります。
【リサリサ@ジョジョの奇妙な冒険 第2部「戦闘潮流」】
[状態]:健康、動揺
[装備]:タバコ、アメリカンクラッカー@ジョジョ第2部
[道具]:不明支給品(現実)、基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:柱の男と主催者を打倒する。
1:???
2:白蓮と情報交換。石仮面を持つこころについては保留。可能ならばエシディシを追う。
3:ジョセフとの合流。息子の心配より、波紋戦士としての使命を優先したいが……。
4:シーザーのことは、まだ考えない。
5:もし『死者の蘇生』という言葉が真実であれば、もし息子を失えば……。
[備考]
参戦時期はサンモリッツ廃ホテルの突入後、瓦礫の下から流れるシーザーの血を確認する直前です。
煙草は支給品ではなく、元から衣服に入っていたためにそのまま持ち込まれたものです。
目の前で死んだ男性が『ロバート・E・O・スピードワゴン』本人であると確信しています。
彼が若返っていること、エシディシが蘇っていることに疑問を抱いています。
【洩矢諏訪子@東方風神録】
[状態]:健康、こころを抱えている
[装備]:なし
[道具]:不明支給品(確認済み)、基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:荒木と太田に祟りを。
1:……………。
2:守矢神社へ向かいたいが、今は保留とする。
3:神奈子、早苗をはじめとした知り合いとの合流。早苗はきっと大丈夫。
4:信仰と戦力集めのついでに、リサリサのことは気にかけてやる。
[備考]
※参戦時期は少なくとも非想天則以降。
※制限についてはお任せしますが、少なくとも長時間の間地中に隠れ潜むようなことはできないようです
※「宝塔@東方星蓮船」「ガソリン(残量残り僅か)」及び基本支給品一式はスピードワゴンの遺体の傍に放置されています。
◆◆◆◆◆◆
「はァーッ……はァーッ………」
森の中を駆け抜ける巨躯の男が一人。
激戦によって大きな傷を負い、逃げ延びた柱の男―――エシディシだ。
「傷を……負い過ぎたな………」
その身には痛々しい大火傷を負っており、疲労も蓄積されていることが解る。
上半身に廻っていた焔は柱の男の治癒能力によって強引に抑え込んだが、もはや満身創痍に近い状態だ。脇腹の波紋の傷も痛む。
デイパックは所有していない。スピードワゴンが引き起こしたガソリンに引火によって焼失したのだ。
とはいえ、柱の男の高い知能によって名簿と地図の内容は詳細に記憶している。
それ故に目的地も既に決めている。魔法の森に存在する『DIOの館』だ。
じきに日が昇ることに気付いていたエシディシは日光を避ける為の施設へと向かうことを決めたのだ。
可能ならば他の参加者との接触は避けたい。手傷を負った状態で戦闘を行うのはあまりにも無謀だ。
その両足を躍動させ、森の中を急ぎ突き進む。
波紋戦士の追撃が来れば相当厄介なことになる。日光という大敵に晒されるわけにもいかない。
DIOの館を目指し、彼は木々の間を駆け抜けた。
【B-4 魔法の森/早朝】
【エシディシ@ジョジョの奇妙な冒険 第2部「戦闘潮流」】
[状態]:疲労(大)、体力消耗(大)、上半身の大部分に火傷(大)、左腕に火傷(極大)、左脇腹に抉られた傷(小)及び波紋傷(小)、再生中
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:
カーズらと共に生き残る。
1:DIOの館へ移動。身を潜め、傷を癒す。
2:神々や蓬莱人、妖怪などの未知の存在に興味。
3:仲間達以外の参加者を始末し、荒木飛呂彦と太田順也の下まで辿り着く。
4:他の柱の男たちと合流。だがアイツらがそう簡単にくたばるワケもないので、焦る必要はない。
5:静葉との再戦がちょっとだけ楽しみ。(あまり期待していない)
[備考]
※参戦時期はロギンス殺害後、ジョセフと相対する直前です。
※火傷によって左腕が使えない状態です。再生が進むと再び動かせるようになります。
※ガソリンの引火に巻き込まれ、基本支給品一式が焼失しました。
地図や名簿に関しては『柱の男の高い知能』によって詳細に記憶しています。
<アメリカンクラッカー@ジョジョ第2部>
リサリサに支給。
紐の先に2つの金属製ボールが取り付けられている玩具。
紐の中心にあるリングを摘んで上下に動かし、二つのボールをぶつけ合うことで音を鳴らして楽しむ。
シーザーに対抗し得る必殺技を編み出すべく、ジョセフが戦闘に用いた。
最終更新:2014年06月24日 22:02