社会の理論か社会テクノロジーか ―二クラス・ルーマンとの対決―
1社会のシステム理論か、それとも社会サイバネティックスか(P187~)
この節で論じられるルーマンへの批判
=サイバネティックスの基本概念を社会のシステム理論に拡大適用することから生じる問題点
1社会のシステム理論か、それとも社会サイバネティックスか(P187~)
この節で論じられるルーマンへの批判
=サイバネティックスの基本概念を社会のシステム理論に拡大適用することから生じる問題点
○2つの難点
1境界づけ
サイバネティックス:物理的にシステムを環境から区別することができる
社会システム理論:社会システムと環境の境目は「意味の境界」
→システムの境界の同定に関する「解釈学的困難」
=一義的に境界づけることが困難
→言語と日常言語的コミュニケーションについての一般理論を手に入れると解決できる
1境界づけ
サイバネティックス:物理的にシステムを環境から区別することができる
社会システム理論:社会システムと環境の境目は「意味の境界」
→システムの境界の同定に関する「解釈学的困難」
=一義的に境界づけることが困難
→言語と日常言語的コミュニケーションについての一般理論を手に入れると解決できる
2存立問題
生物学
生物学
- 生物体は型どおりに固定されている(ロバからヘビは生まれない)
- 存続の判定基準として死という明確なものがある
社会科学
- 社会的秩序は同一性を失うことなく深層にまで及ぶ変化が可能(農業社会から産業社会へ)
- 社会システム存立の諸前提は社会化された個人の歴史的に変化する文化的自己理解に左右
 =社会が再生産するのは「文化的に規定された生」
→社会システムにおける存立問題の不明確化
=あるべき状態の同定
→社会システムにおける存立問題の不明確化
=あるべき状態の同定
⇒これらの難点を克服するには?
→ルーマン:「究極的な」準拠的問題=「世界の複雑性の縮減」、に還元する
↓ 機能―構造的な社会システム理論
「もはやいかなるシステム構造的な諸前提をも含まない」
→システム構造の形成とシステム維持の働きは、複雑性を縮減する選択的な働き
=これらの非対称性を無視
→ルーマン:「究極的な」準拠的問題=「世界の複雑性の縮減」、に還元する
↓ 機能―構造的な社会システム理論
「もはやいかなるシステム構造的な諸前提をも含まない」
→システム構造の形成とシステム維持の働きは、複雑性を縮減する選択的な働き
=これらの非対称性を無視
○機能―構造的な社会システム理論に対する反論
- 「世界の複雑性」が一切のシステムの形成の前提
 →この世界はそれ自体ひとつの問題を現す世界ということに=「世界」は問題「自体」
- 世界自体とは異なって、問題視される世界の方は少なくとも1つのそれと等根源的なシステムがあり、そのシステムに対して世界が問題として表れる、と考えなければおかしい
 =それ自体として問題である世界は無意味な概念
⇒機能―構造的な社会システム理論もあるシステムを前提せざるをえない
⇒機能―構造的な社会システム理論もあるシステムを前提せざるをえない
○世界の複雑性と「世界」の複雑性
- サイバネティックスにおける世界の複雑性
=システム相関的な現実という意味での世界の断片(切片)
→世界複雑性の縮減=環境への適応能力の強化、世界複雑性の除去
→世界複雑性の縮減=環境への適応能力の強化、世界複雑性の除去
- 社会システムにとっての世界の複雑性=「負担軽減」〔ゲーレン〕
=解釈された現実、あるいは意味的選択によってすでに把握されたものとしてある可能な体験の指示連関
→世界複雑性の縮減=過剰となったシステム固有の複雑性の削減=制度化
→世界複雑性の縮減=過剰となったシステム固有の複雑性の削減=制度化
⇒前者=世界、後者=「世界」を混同、まったく別の複雑性の縮減を同じように考えている
=同一の過程が、システム固有の複雑性の拡大(世界複雑性の減少)と
世界の複雑性の拡大(システム固有の複雑性の制限)を意味する
=基本概念の曖昧さ、多義性
⇒存立問題の不明確がまた露に
=同一の過程が、システム固有の複雑性の拡大(世界複雑性の減少)と
世界の複雑性の拡大(システム固有の複雑性の制限)を意味する
=基本概念の曖昧さ、多義性
⇒存立問題の不明確がまた露に
※環境世界について
環境世界理論(ユクスキュル)
環境世界理論(ユクスキュル)
- 生物体はそれぞれの環境世界に適応し、その環境世界Umweltとの機能的円環関係のなかで自分の有機的統一性を維持(ハエの環境世界には「ハエの物」、ウニの環境世界には「ウニの物」)
    ↓発展
世界開在性、世界開放性(シェーラー)
世界開在性、世界開放性(シェーラー)
- 一般の動物はその生物学的環境に完全に取り込まれ、そこに繋ぎとめられ縛り付けられている
 =環境世界緊縛性
- 人間はおのれの生物学的環境からある程度脱け出し、それにある距離をとり、世界Weltというもっと広大な場面を構成し、それに開かれて生きている=世界開在性
→世界=環境世界Umwelt、「世界」=世界Welt?
○存立問題の不明確さへの対処
ルーマン
ルーマン
- 社会科学によって客観化できるものではない
- 「日常的な問題意識の客観性」(危機への敏感さ)
- 「計画に拘束されずに直接的なものを感じるセンスと危険を認識する能力を頼りに」
→研究者がシステムの生活実践とひとつのものになることが必要、
機能主義的分析は抽象的な存立問題の下位にあるいくつかのレベルから開始
機能主義的分析は抽象的な存立問題の下位にあるいくつかのレベルから開始
⇒・システム研究が社会の生活過程にきわめて深く関わっている
- 批判的な自律性を獲得できない
=社会自身の再生産のために必要とされる様々な強制に社会理論を無批判的に屈服させることを、すすんで理論の方法論的自己理解の中に定着させる
=生の哲学の非合理主義をより綿密な仕方で復活させることに、主観主義
                                
=生の哲学の非合理主義をより綿密な仕方で復活させることに、主観主義
