「新しい社会運動」は、ドイツの社会学者クラウス・オッフェの概念。それまでの労働運動と対比して、「新しい社会運動」は以下のような特性をもつとされる。(1)行為主体は自己定義できる基盤の少ない「周辺的存在者」。(2)イッシューは「消費点」。生産点をもっぱら争点としてきた労働運動との対比。(3)「自律性と集合的なアイデンティティ」を価値として志向。(4)行為様式は「表出(デモなどの示威)と非組織性」。
オッフェはハーバーマスの弟子筋にあたり、「消費点のイッシュー」は、生産点=公、消費点=私という伝統的な公私の領域区分が暖昧化し、「生活世界の植民地化」として、私的領域が侵触されつつある状況の反映として位置づけることができる。オッフェが注目する課題は、行為の空間、テリトリー、身体・健康・性アイデンティティのような生活世界、近隣都市、物理的環境、生活の物理的生存条件にかかわるものが多い。
なお、日本における「新しい社会運動」の代表例として、「反原発ニューウェーブ」をあげることができる。
女性を主要な活動主体とする立地点周辺拠点都市の市民運動が、立地点での運動と、大都市圏での市民運動とを媒介し、全国的な支持活動のひろがりをつくりだすという構図が、原発建設や核燃施設問題の事例において見出されるようになる。例えば、四国電力本社のある高松市での反対集会に全国から四千人が集まった、愛媛県伊方原子力発電所の出力調整試験反対運動において、全国への呼びかけの中心となったのは、豊後水道をはさんで対岸に位置する、伊方発電所からは直線距離で七十キロ程度しか離れていない、大分県別府市在住の主婦層だった。そのときの主婦層の活動方法は、学習活動、ミニコミ紙、ビラ配り、署名募集などであり、学習とアイデンティティの表出をその特色としている。
オッフェはハーバーマスの弟子筋にあたり、「消費点のイッシュー」は、生産点=公、消費点=私という伝統的な公私の領域区分が暖昧化し、「生活世界の植民地化」として、私的領域が侵触されつつある状況の反映として位置づけることができる。オッフェが注目する課題は、行為の空間、テリトリー、身体・健康・性アイデンティティのような生活世界、近隣都市、物理的環境、生活の物理的生存条件にかかわるものが多い。
なお、日本における「新しい社会運動」の代表例として、「反原発ニューウェーブ」をあげることができる。
女性を主要な活動主体とする立地点周辺拠点都市の市民運動が、立地点での運動と、大都市圏での市民運動とを媒介し、全国的な支持活動のひろがりをつくりだすという構図が、原発建設や核燃施設問題の事例において見出されるようになる。例えば、四国電力本社のある高松市での反対集会に全国から四千人が集まった、愛媛県伊方原子力発電所の出力調整試験反対運動において、全国への呼びかけの中心となったのは、豊後水道をはさんで対岸に位置する、伊方発電所からは直線距離で七十キロ程度しか離れていない、大分県別府市在住の主婦層だった。そのときの主婦層の活動方法は、学習活動、ミニコミ紙、ビラ配り、署名募集などであり、学習とアイデンティティの表出をその特色としている。