- 日本防衛軍敷地内 山中『 風吹き荒ぶ“草原” 』
それは月夜の晩の事であった。
風が運ぶ、青臭い草の匂いと共に・・・。
風が運ぶ、青臭い草の匂いと共に・・・。
熱い。熱い。熱い。熱い。
体の内より、熱が灯って、ゴウゴウと燃ゆる、この感覚・・!
体の内より、熱が灯って、ゴウゴウと燃ゆる、この感覚・・!
今ぞ死合う時!
ジ・ハンドレッドと大蛇毒砲は互いを睨みて合っていた!!
ジ・ハンドレッドと大蛇毒砲は互いを睨みて合っていた!!
それは巨岩だ!巨岩を人型に削ったが如くの「体躯」を持つ大男!!
210cm・145kgを誇る『 百文字 豪介(ジ・ハンドレッド)!! 』
210cm・145kgを誇る『 百文字 豪介(ジ・ハンドレッド)!! 』
それは艶やかな岩だ!これ以上に無く角を削られ艶やかな岩となった河底の岩!!
178cm・110kgを誇る『 大蛇 毒砲(おろち どっぽ)!! 』
178cm・110kgを誇る『 大蛇 毒砲(おろち どっぽ)!! 』
体格差は歴然!
ではジ・ハンドレッドが有利か?
否(いいや)・・!!
立会人・柳生月心斎(やぎゅう げっしんさい)はこう呟く。
「確かに百ちゃんの方が、体格は有利だよん。」
「けど毒砲ちゃんには、補って余りある“大蛇流空手”があるよん。」
ッ
ッ
○大蛇流空手(おろちりゅう からて)
日本国内に数多くある空手流派の内の一つ。
大蛇一族を継承者として脈々と受け継がれてきた、
実戦派空手の“最右翼”である。
大蛇一族を継承者として脈々と受け継がれてきた、
実戦派空手の“最右翼”である。
『肉体の外部と内部の同時破壊』を特徴としており、
秘伝の奥義『蛇輪』はその集大成とも言える技である。
秘伝の奥義『蛇輪』はその集大成とも言える技である。
そんな大蛇流の継承者。
大蛇毒砲がこう言い放つ。
「柳生のじっちゃんよぅ。」
「大蛇流を持ち上げてくれるのは嬉しんだが・・・。」
「そろそろ開始の合図をしてくれよぉ。」
「オイラァ、辛抱堪らなくて仕方ないぜぇ。」
ジ・ハンドレッドが話に割り込む。
「綺麗なモノだな、大蛇毒砲・・!」
「ワシは既に始まっているとばかり思っていたぞ!」
毒砲は笑いながら。
「そうカリカリすんねぇ、ハンドレッド。」
「せっかくの死合だ、存分と楽しまなきゃ・・な♪」
ハンドレッドは泰然自若(たいぜんじじゃく)と。
「来るが良い!如何なる空手であろうと、耐撃の末、打ちて勝ってみせよう・・!!」
毒砲は首をすくめ。
「打ちて勝ってみせる!よいねぇ、堪らんぜ、コイツァよぅ・・!!」
「さ、早いトコ頼むぜ、じっちゃん♪始まりぐらい綺麗に行かなくちゃな♪♪」
月心斎は腹を決め。
「そだね。そろそろ始めるよん。」
「では、ハジ・・・!!」
その瞬間、毒砲が先に仕掛けたッ!!
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○超鋼戦機カラクリオー外伝
クロガネの賛歌・番外 ー F i s t o r T w i s t ー
「 大 蛇 流 『 蛇 輪 』 ッ ! ! 」
ダッダッダッダッダッダッダッダ!!
毒砲は地を駆ける!
1m接近!2m接近!!
更にも接近をする中ッ!!
ハンドレッドがこう叫ぶ!!
「不意を打つには遠過ぎたようだな!」
「来るが良い、大蛇毒砲ッ!!」
毒砲は駆ける速度を緩めずに!!
「へへ、そんじゃま行かせてもらうぜぃ!!」
ッ
ッ
ガッ!
毒砲が大地を蹴り込み!
ッ
ッ
ズザァァァァアアアアアアーッ!!
土をハンドレッドの顔面へと蹴り飛ばしたッ!!
月心斎が呟く。
「流石毒砲ちゃん。汚いよん。」
ハンドレッドは左腕で土を払い!
「不意打ちは受け慣れておるのでな!!」
その間、毒砲は!!
ッ
ッ
!
「入(へえ)ったぜ、間合いッ!」
毒砲はハンドレッドの懐(ふところ)に飛び込んでいたッ!!
毒砲は拳(こぶし)を握り固める!
人差指と中指の根本部の関節!
指の先端から3番目の関節部、拳頭と呼ぶ部位、大拳頭の前側を用い、
拳の手の甲側を上(手のひら側は下)に向けた形の拳!
すなわち正拳にて狙いを定め・・!!
そして毒砲はこう言い放つッ!!
「 『 蛇 輪 ッ 』 」
チュドォォォオオオオオ
オオオオオオオオオオオオ
オオオオオオオオオオオオオ!!
ッ
ッ
月心斎がこう語る。
「蛇輪。大蛇流の代名詞だよん。」
○蛇輪(じゃりん)
大蛇流に代々伝わる、門外不出の必殺奥義ッ!
手首を限界まで捻り“インパクトの瞬間”にその捻りを“開放する事”によって、
対象の外部と内部にその捻りで生まれたパワーをそのまま『正拳突き』に上乗せさせ、
ぶつけるという『 強 力 な 技 』である。
手首を限界まで捻り“インパクトの瞬間”にその捻りを“開放する事”によって、
対象の外部と内部にその捻りで生まれたパワーをそのまま『正拳突き』に上乗せさせ、
ぶつけるという『 強 力 な 技 』である。
インパクトのタイミングを調節する事で、捻りのパワーを表面にのみ拡散させたり、
逆に内部に打ち込みズタズタに破壊する事も出来、これが大蛇流の「肉体の外部と内部の同時破壊」を最も端的に現す技でもある。
逆に内部に打ち込みズタズタに破壊する事も出来、これが大蛇流の「肉体の外部と内部の同時破壊」を最も端的に現す技でもある。
しかし同時に習得も困難であり、その証拠として上記の説明もほぼ説明として意味を成していない。
(当然ながら常人が実行しても何の効果も無い。習得者があくまでも感覚的に捉えたものを言葉や文章にしているだけである)。
(当然ながら常人が実行しても何の効果も無い。習得者があくまでも感覚的に捉えたものを言葉や文章にしているだけである)。
その為、蛇輪を使える者は世界中でも数えるほどしかいない。また反動も大きく撃ち過ぎは禁物である。
ッ
ッ
ハンドレッドが呻(うめ)くッ!!
「グム・・・!!」
月心斎が呟く!!
「肉体の外部と内部の同時破壊・・。」
「今、百ちゃんは体験した事の無い“痛撃”を受けているハズだよん。」
ハンドレッドがこう思考する!
「(まるで外側が噛み付かれ、内側で蛇が蠢(うごめ)いた様な激しい『痛み』だ!!)」
そして毒砲は腰を落とし!
更にこう言い放つ!!
「続けるぜッ!!」
「 『 つ る べ 蛇 輪 』 ッ ! ! 」
ッ
ッ
○つるべ蛇輪(つるべ じゃりん)
蛇輪のつるべ打ちッ!
一撃一撃の攻撃は、蛇輪に比べ格段に落ちるが、
問答無用の正拳突きの連打は、蛇輪の攻撃力を上回るッ!!
一撃一撃の攻撃は、蛇輪に比べ格段に落ちるが、
問答無用の正拳突きの連打は、蛇輪の攻撃力を上回るッ!!
ッ
ッ
ドババババババババババババ
バババババババババババババババ
バババババババババババババババ!!
打つ!打つ!打つ!打ち続けるッ!!
左!右!左!右!蛇輪が拳を打ち続けるッ!!
そう!毒砲は!!
ハンドレッドをメッタに打ち続けるゥーッ!!
月心斎が語る。
「蛇輪のつるべ打ちだよん。」
「大蛇は大蛇でも“ヤマタノオロチ”にでも、
噛まれているかの様な痛みだろうね、百ちゃんは。」
しかしハンドレッドも、黙っちゃあいないぃー!!
「ぬぅうううおおおおおおおおお!!!」
ッ
ッ
ハンドレッドは、打たれながら強引に掴みに掛かる!!
「打撃は其方が上であろう!」
「だが掴んでからの攻防はワシに分があるッ!!」
ハンドレッドが!
今!両前腕で大蛇毒砲をッ!!
だ
が
!
シ ュ パ ァ ン !
毒砲は!
掌、自ら球と成しッ!
防御(うけ)を完全とすッッ!!
そ
れ
即
ち
!
マ ・ ワ ・ シ ・ ウ ・ ケ ッ ッ ! ! !
ッ
ッ
ガ ン ッ ッ ! !
毒砲は廻し受けにて、掴みに掛かったハンドレッドのその前腕を弾き飛ばしたッ!!
これにはハンドレッドも!
「ムゥ・・・ッ!!」
呻(うめ)くッ!
月心斎は笑いながら。
「ほっほっほっ。」
「百ちゃん打つ手無しだよん♪」
毒砲は上機嫌に!
「矢でも鉄砲でも、何でも持ってこいってかァ~ッ!!」
攻防一体ッ!
大蛇に死角無しッ!
このまま“蛇輪の嵐”に、
ハンドレッドは沈むのみかァー!?
否
ァ
!
ハンドレッドッ!
「ちぇりぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああ!!!」
ッ
ッ
ハンドレッドは体当たりを仕掛ける!!
問答無用ッ!体格差で突き飛ばすつもりだァーッ!!
だ
が
!
ヒ ュ オ ン ! !
毒砲は“運足(うんそく)”にて、左に避けるッ!
※運足=ボクシングなどの“ステップワーク”と同じ様なもの。
その際“蛇輪”に必要な捻りも込めるッ!!
毒砲が叫ぶ!!
「コイツは“油谷牙門”を倒した時、死合中編み出した『 大 技 』でよぅ!」
「意を消して放たれる“菩薩の拳”に蛇輪を込めた『 必 殺 大 技 』だッ!!」
ッ
ッ
「名づけて『 “ 蛇 輪 菩 薩 (じゃりんぼさつ)” 』でぇぇぇぇぇぇい!!!」
チュドォォ ォオ オ オ オ オ オオ
オオオ オ オ オ オ オ オ オ オ オオ オ
オオ オ オ オ オ オオ ン ン ン ン ! ! ! ! !
ゴッ ッ ッ ッ ッ グ ゥ ゥ ゥ ワ ァ ァ ァ ァ ァ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ! ! !
( 大蛇毒砲の右拳がジ・ハンドレッドの右脇腹にめり込んだぁぁぁぁぁああああああああ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ ! ! ! ! )
ッ
ッ
月心斎!
「これは初めて見るよん・・!」
「“蛇輪”と違う。毒砲ちゃんの“菩薩拳”は見た事あるけど、
これは“蛇輪”と“菩薩拳”とが組み合わさる事により、
“蛇輪”にとっても“菩薩拳”にとっても、更なる『 破 壊 力 』が発揮されてるようだよん!!」
そしてこう言う。
「これには流石の百ちゃんも・・・!!」
ッ
ッ
ジ・ハンドレッドッ!
「グハァッ!!」
ハンドレッドはッ!
血を吐きッ!
そして大地に・・・!
否
!
まだ倒れないッッ!!
「流石は“人喰い大蛇”と言ったトコロか・・・!!」
「“赤胴鈴切仮面”とは別の意味で、一撃が恐ろしい『 男 』よ ・ ・ ッ ! ! 」
ッ
ッ
大蛇毒砲ッ!
「倒れねぇなら、倒れるまで蛇輪を打ち続けるぜぃッ!!」
毒砲は腰を深く落とすッ!!
そ
し
て
!
「 『 つ る べ 蛇 輪 ! ! 』 」
ッ
ッ
ドババババババババババババ
バババババババババババババババ
バババババババババババババババ!!
蛇輪を打ち続けるッ!打つ!!打つ!!打つ!!
上!中!下!上!中!下!上!中!下!
体のあちこちに蛇輪をめり込ませ続けるゥウウウウウー!!
だ
が
!
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴゴゴゴ ゴゴゴ ゴゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
ジ・ハンドレッド!!
「腰を深く落とし、打ち続けると言う事・・・!」
「それ故に両足は固定され、不意に動かすことは出来ない!!」
ッ
ッ
ジ・ハンドレッドッ!!
「レスラーへの賛歌 その17ッ!!」
「ワシは捧ぐるッ!
『破壊王』と呼ばれた、爆殺シューターへと、
こ の 『 水 面 蹴 り 』を ォ ー ッ ッ ! ! ! 」
- 『水面蹴り(すいめん・げり)』
身体を沈み込ませ地を這うように、回転しながら相手に脚払いをかける。
相手が技を仕掛けてきたのをかわして、カウンターで見舞うことも多く、
“破壊王”『橋本真也』は、この技でたびたび形勢を逆転してきた。
相手が技を仕掛けてきたのをかわして、カウンターで見舞うことも多く、
“破壊王”『橋本真也』は、この技でたびたび形勢を逆転してきた。
ッ
ッ
!
ズンッ!! (ハンドレッドは身を沈ませるッ!!)
ズズン!! (そして次の“刹那”)
グルルルルルルルルルルルルルウルルッ
ルアアアアアアアアア ア ア ア アア ア ア ア ! ! ! !
地を這う様に体を回転ッ!!脚払いを仕掛けた!!
ッ
ッ
!
さしものこれには、大蛇毒砲もッ!!
グワッァァァァァアアアアアアアアア
アアアアアアアアアア ア ア ア アア ア ア ア ! ! ! !
・
・
・
毒砲はッ!
前のめりに倒れ・・!!
否
ッ
!
ド ド ド ド ド ドドドド ドドド ドド ド ド ド ド ド ド ド ド
ジ・ハンドレッド!!
「まだ攻勢は終わらぬッ!!」
「レスラーへの賛歌 その12ッ!!」
「ワシは捧ぐるッ!
『マッスルボルケーノ』と呼ばれた、パワー・ウォリアーへと、
こ の 『 逆 一 本 背 負 い 』を ォ ー ッ ッ ! ! ! 」
- 『逆一本背負い(ぎゃく・いっぽんぜおい)』
通常の一本背負いが前回りさばきで踏み込み体を沈め、右(左)腕で、相手右肩を掴むか挟むことで固定し、
受けの体を背負い上げて、投げる技とするなら、逆一本背負いはその『逆の肩』掴み挟む事にて、ブン投げるッ!!
受けの体を背負い上げて、投げる技とするなら、逆一本背負いはその『逆の肩』掴み挟む事にて、ブン投げるッ!!
受身を取るのが難しく、ひとつ間違えば肩の脱臼や脳天からの落下を招く。
主な使い手である佐々木健介は新日時代にヘラクレス・ヘルナンデス(ジュラシック・パワーズにおけるスコット・ノートンのパートナー)を、
それまで劣勢だったにもかかわらず、この技一発によって劣勢を跳ね返し、ピンフォールを奪った事がある。故にこの技、恐るべし『必殺投技』と言えるだろうッ!!
主な使い手である佐々木健介は新日時代にヘラクレス・ヘルナンデス(ジュラシック・パワーズにおけるスコット・ノートンのパートナー)を、
それまで劣勢だったにもかかわらず、この技一発によって劣勢を跳ね返し、ピンフォールを奪った事がある。故にこの技、恐るべし『必殺投技』と言えるだろうッ!!
ガ
シ
ィ
!
ジ・ハンドレッドは前方へ倒れる大蛇毒砲を、この『逆一本背負い』の体勢に捕えたのであるッ!!
そ し て ェ ー ッ ! !
「『 ヌゥ う ゥ ぉお お お ぉ ぉォ おお おお オ雄(オ) ーーーー ー ー ー ッ ッ ッ ! ! ! 』 」
ゴォオォォ ォオ オ オ オ オ オオ
オオオ オ オ オ オ オ オ オ オ オオ オ
オオ オ オ オ オ オオ ン ン ン ン ! ! ! ! !
ドッ ッ ッ ッ ッ ヴ ゥ ゥ ゥ ア ァ ァ ァ ァ ァ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ! ! !
( ジ・ハンドレッドが大蛇毒砲を、大地へと思い切り叩きつけたぁぁぁぁあああああああ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ ! ! ! ! )
ッ
ッ
グ ルン ッ ! !
ジ・ハンドレッドは軽妙に前回転をし、
大蛇毒砲から5m離れた場所にて立ち上がるッ!!
ジ・ハンドレッドがこう言い放つ!!
「この程度で倒れる事はなかろう!」
「立ちて上がるが良い、大蛇毒砲ッ!!」
ッ
ッ
ビィ ョ ン ッ ! !
大蛇毒砲は軽く跳躍して立ち上がる!!
そしてこう言う。
「“蛇輪菩薩”が効いてるようだなぁ、ハンドレッドよぅ。」
「寝技に持ち込めねぇ程、痛むのかい?」
ジ・ハンドレッド!!
「もうしばしアドレナリンが回れば痛みも引く!」
※アドレナリン=興奮すると分泌されるため、例えば喧嘩になった時に分泌され、血まみれや骨折の状態になっても全く痛みを感じないケースもある。
「続けるぞ、大蛇毒砲ッ!!」
大蛇毒砲ッ!!
「言われるまでもねぇ!!」
“二人”の・・・否(いいや)!
“二匹の獣”が 駆 け 出 し た ッ ! !
ーーーーーー