戦いは終わった。血生臭い戦いであった。
サイボーグ、改造人間、果てはエイリアンまで登場した。
サンキスト一族が群れをなし果実的(フルーティー)に戦った。
血に飢えた観客共が血の香りに誘われて現れた。
そんな『地下プロレス』も…。
本日を以(もっ)てお終い。
エイリアンは良くなかった。
政府としても黙認出来る事柄じゃあなかった。
だから地下プロレスは終わった。
その後彼等は…。
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○超鋼戦機カラクリオー外伝
クロガネの賛歌・番外 ー 地下プロレス最期の日 ー
最 終 話 「 地 下 プ ロ レ ス 最 期 の 日 」
大蛇毒砲(おろち どっぽ)は病室で寝ていた。
毒砲は思考する。
「(やれやれ。年は取りたくねぇモンだ。)」
「(確かに凄ぇ力だったが、廻し受けで防御をしくじるとはなァ。)」
だ
が
「女、子供でも、大の男に勝ちを得る。」
「…これがそもそもの『大蛇流』だ。」
「力が衰えたってんなら、技を磨くまでだぜ。」
「俺(おい)らは生涯現役だぜ!!」
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○大蛇毒砲
老いようが怪我しようがまだまだ健在。後進も上々。
『日本防衛軍陸軍特別顧問』にして『人喰い大蛇』。
大蛇毒砲、此処に在りである!!
柳生月心斎(やぎゅう げっしんさい)は茶をすすっていた。
柳生は思考する。アントン辰巳の事を。ハンドレッド夫婦の今後の事を。
「エイリアン…。あんな生物が地球に居るとは物騒なモンだよん。」
「2年前のドイツの事といい…。地球は良からぬ方向へ向かっているのかもね。」
「そして百ちゃん夫婦。これから、どうするのやら…。」
「生き延びて欲しいモノだね。大分に深い関係になっちまっているからねぇ。」
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○柳生月心斎
相も変わらず『日本防衛軍空軍長官』を続ける。
その凄まじい実力。そして常人を超える長寿。
それらを謎に秘めたまま彼は生き続ける。
蔵金芯太郎(くらがね しんたろう)は泣いていた。
日本地下プロレス協会が消滅したからだ。
会長のアントン辰巳の失踪(誰も彼の行方は知らない為)。
打倒ハンドレッドの為、彼を捜索する為に協会を脱退したサンキスト一族。
特に大きいのが次の2点。
地球外生物。エイリアンが存在していたと言う見逃せぬスキャンダルと…。
“絶対王者”ジ・ハンドレッドが行方不明となった事。
会長の失踪の為、前会長の蔵金芯太郎が会長に舞い戻ったが、
会長が居るからと言ってどうにかなる問題ではない。むしろ、会長に責任を負わせた。
蔵金芯太郎はブラッククロスでの地位を大きく落とす事なってしまった。
蔵金芯太郎は自室に籠(こも)り…。
シクシクシク。ウォンウォンウォン、泣いていた。
そ
し
て
ドス…!ドス…!!
芯太郎はナイフで壁を突き刺す。
「ヒィク!ヒィイク!!」
「畜生…!畜生…!!」
「アントン辰巳の野郎どこに行きやがった…!!」
「責任は僕だと…?ふざけんなよ、畜生…!!」
ドス! ドス! ドス! ドス!!
何度も何度もナイフを突き刺す!!
「僕はもう誰も信じない…!どいつもこいつも僕を裏切りやがって…!!」
「畜生…!畜生!畜生!!畜生ォォオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」」
暗い自室。
蔵金芯太郎の慟哭(どうこく)が響き渡った。
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○蔵金芯太郎
秘密結社ブラッククロスの日本支部幹部。
今回の事柄で大きく権限を失う事になった。
今回の事柄で大きく権限を失う事になった。
クソッタレな幹部として、くすぶり続ける事となる。
マスク・ド・サンキスト“オメガ”はオレンジジュースを飲んでいた。
ゴキュ…!ゴキュ…!
ゴキュ…!ゴキュ…!
プ ハ ァ ー ! !
そしてこう言う。
「美味いねぇ。やっぱりオーレンジジュースは最高だよよよよぉ~ん!!」
「ハンドレッドくんがね。何処に行ったかね。解らないのは不満だけれどね。」
「何処に逃げようが、必ず恨みは晴らすんだからねねねねぇ~~~~ん!!」
「キィィィスキスキスサンキスト!!サンキスト一族は揺るがないだから…ねッ!!」
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○マスク・ド・サンキスト“オメガ”
この後、ブラッククロス経由でアムステラ軍人となり出世をする事となる。
いつの時期、ブラッククロスが親アムステラ組織となり、
いつ頃、オメガがアムステラ軍人となったかは不明である。
いつの時期、ブラッククロスが親アムステラ組織となり、
いつ頃、オメガがアムステラ軍人となったかは不明である。
Dr.劉は研究所に居た。
試験管を眺(なが)めながら、こう思考する。
「(少なからず権限を奪われてしまったか。)」
「(人造人間の開発、及び、死者蘇生の研究。)」
「(支障が出なければ良いがな…。」)」
そ
れ
に
し
て
も
「何処へ行ったか、ジ・ハンドレッド。」
「彼奴(きゃつ)への最期の日。」
「それを与えられぬのが心残りよ。」
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○Dr.劉
蔵金芯太郎と同じく、彼もまた今回の責任を負わされてしまう。
権限の縮小。自分の研究がし辛い立場になってしまうのであった。
権限の縮小。自分の研究がし辛い立場になってしまうのであった。
その後、アムステラの戦争が始まり、更に自分の研究が出来なくなってしまい…。
彼の『ブラッククロス脱走』へと繋がっていく。
彼の『ブラッククロス脱走』へと繋がっていく。
ハンドレッドとレディ・ミィラは夜道を歩いていた。
そ
の
時
で
あ
っ
た
???
「ジ・ハンドレッド…!」
「良き戦士(ウォーリア)です!!」
ハンドレッドとレディはその声に驚く!!
ッ
ッ
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴゴゴゴ ゴゴゴ ゴゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
それは…!盲目(もうもく)の淑女(しゅくじょ)であった。
盲目でありながら、目が見える者と同じように杖をつかず歩いていた。
そしてその両腕には『鋼鉄の赤ん坊』を抱きかかえていた。
盲目の淑女はこう言う。
「私の名は…。QueenX(クイーンエックス)。」
「アフリカ大陸南部を拠点とする『“秘密組織”QX団の総帥』です。」
「今抱いている鋼鉄の赤ん坊の名は『ドクトル・ベイベー』。脳移植型のサイボーグです。」
Queenは続ける。
「そう私達は『サイボーク軍団』を結成するつもりなのです。」
「その『サイボーク軍団・最強のサイボーグ』として…。」
「『ミスター・ジ・ハンドレッド』。貴方を『スカウト』に参りました。」
ハンドレッドは応える。
「成るの程…。」
「秘密組織QX団。悪い話ではない。」
レディが続ける。
「よくて、ハンドレッド?」
「アフリカ大陸も南部となれば『 劉 』と決着どころか、再び会えるかどうかすらも解らなくなるわよ、ハンドレッド??」
ハンドレッドが答える。
「フッフフ。」
「レディ。今こうして互いが両の脚で立っていられるのは…。」
「誰の功であるのか…?」
「マスター柳生でも無ければ…。大蛇でも無い。」
「このままでは目を覚ますモノも、醒ます事は無いであろう。」
「それに両手足無しと言うのも不憫であるからな。」
「彼女もまた“サイボーグ”として再生する事をワシは望む。」
「ならば流浪続ける事、由と思わずである。」
「そうであろう?レディ??」
レディは拗(す)ねる。
「妬けるわね、ハンドレッド。」
「本人聞いたら、鼻血出して怪笑するわよ、ハンドレッド。」
「けどね、ハンドレッド。それは“無礼”に値する事じゃなくて、ハンドレッド?」
「その瀕死の重傷を負った“老いぼれた泥棒猫”の名を『 妻 』である私が言わなければならないだなんてね。ハンドレッド。」
「どぉーお?ハンドレッド?? 言う事はありまして、ハンドレッド???」
ハンドレッド。
「。」
レディ。
「句読点で答えるのは止めなさい!ハンドレッド!!」
計185文字の嫌味トークを交えられながら…。
ハンドレッドはこう言う。
「『プカハンタ』の為にも、QX団の世話になろう。レディよ。」
レディはまた拗ねる。
「ホンット、妬けるわね。」
ハンドレッド。
「お前には苦労をかけるな、レディ。」
レディ。
「………。」
「しょうがないわね。」
「そうしましょ、ハンドレッド。」
『 快諾 』の意を告げる両者…。
Queenが歓喜するッ!!
「 『 Excellent(エクセレント)ッ! 良き、Answer(アンッサァー)ですッッ!! 』 」
そう。喜ばしきは…ッ!!
『 Q X 団 最 強 の サ イ ボ ー グ 』の『 誕 生 』 ッ ! !
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○秘密組織QX団
それからどれ程の時間(とき)が経ったのだろう?
アフリカ大陸南部を拠点とし、「世界を我が手」に合言葉にどれ程の悪事に手を染めてきた事か。
団員の9割がサイボーグと言う、
秘密サイボーグ暗躍組織…。
その名も…。
- 「 QX団 」
陸に。
空に。
海に。
経済に。
そして……。 抗 争 に 。
決して足付かず、決して名を明かさず。
鈍歩かつ着実に、その爪痕を残し発展を繰り返す事となる…。
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それにつけても。
地下プロレス。嗚呼、地下プロレス。
数世紀に渡る血で血を洗うファンタジー。
そんな血生臭い夢も…。あの日。
『地下プロレス最期の日』で終わったのだ。
まっとうじゃあない。
死人だって出るのだ。
で
も
ありがとう。
ありがとう地下プロレス…!
我々はその目で見る事が出来たのだから。
地下プロレスが絶対王者。
豪壮無類のプロレス殺法を武器とする…。
ジ ・ ハ ン ド レ ッ ド
百文字豪介を見る事が出来たのだから。
ありがとう、ジ・ハンドレッド。
ありがとう…!
耐 撃 の 百 文 字 よ ッ ! !
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クロガネの賛歌・番外 ー 地 下 プ ロ レ ス 最 期 の 日 ー