○“ORGOGLIO(オルゴーリョ)ドーム”『闘技場』
試合が開始(はじ)まった…!
片の方…!!
“牙を剥(む)いた噛ませ犬”
『チャートチャーイ・マウラー』
搭乗修斗『ワイクルー』
ッ
ッ
もう片の方…!!
“禿鷲(はげわし)”
『ブラド・バラハ』
搭乗修斗『80-O(エイティオ)』
ッ
ッ
「ワイクルー」は、バランスタイプのスピード寄りの機体ッ!
「80-O」もまた、バランスタイプのスピード寄りの機体ッ!!
同タイプの修斗のぶつかり合い…ッ!!
純粋な技量が勝敗を分けるだろう…ッ!!
ッ
ッ
始めに動いたのは…ッ!!
「きぃえあきらぁぁ ぁ あ あ あ あ あ あ ! ! ! 」
チャートチャーイだ!
悲鳴が如き雄叫びを挙げながら、ワイクルーが攻撃を仕掛けるッ!!
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
○クロガネの賛歌 亜種 『黒の伝説re:write』
第 1 8 話 「 殺 虫 パ ン チ 」
原案・手拭
筆者・REO=カジワラ
筆者・REO=カジワラ
シュパァン!
空気を切り裂く音がする!!
ジャブだ!
俺の!
チャートチャーイの!!
ワイクルーの!!
ジャブ!!
バキでよく言われるだろう?
この世で最速の攻撃だってよォ!!
まずはこれからだ!!
ガッ!
機体の拳が機体の腕に当たる音!!
防御を固めたか、禿鷲のブラド!!
ならば…!!
シュパァン!シュパァン!!
顔面に防御を集中させ…!!
シュッ!!
軌道を変えたブロー!!
ボディにだ、ブラド!!
グン…!
動く80-O(エイティオ)!!
下がったか、ブラド!
80-Oの反応は良いな…!!
ジリ…!
こっちが!
ワイクルーが動く!!
ブラド!
お前が下がった分!
俺は接近するッ!!
ズ…!
再び動く80-O!
下がるか、ブラド…!
スッ!
と、見せかけ接近か!!
シュパン!
打つ!
ならば打つ!
俺の!
ワイクルーの!!
ジャブをッ!!
ガッ!
拳と腕が衝突する音!
再び防御かブラド!!
硬いな、80-O!!!
ズ…!
動く80-O!
また、下がるか、ブラド…!
ジリ…!
俺は接近するぜ…!!
接近するぜ、ブラド!!
攻めなきゃなァ!!
勝てないんでなァ!!
「ヒャウィ!!」
呼気を吐く俺!!
ズ…!
再び、下がるか、ブラド…!
ジリ…!
ジリ…!!
ジリ…!!!
俺は接近する!
接近する!
接近するぞ、ブラド!!
攻めてこそ勝利だ!!
ズ…!
ズ…!!
ズ…!!!
消極的だな、ブラド…!
じきに壁まで達するぜ?
良いのか、ブラド?
お前のコマンド・ボクシングとやらは!
それで良いのか、禿鷲のブラド!!
そこまで来たら…!
有利は俺だ!
チャートチャーイ・マウラーだ!!
ズ…!!
下がりに下がった80-O!
そこで壁だぞ、ブラド!!
「ひぃぃぃぃやぁぁぁ ぉ お お お お お お お ! ! ! 」
俺は奇声を挙げながら、殴りかかりに行った!!
男一匹!これが男だ、チャートチャーイってヤツだ、オウラァーッ!!
壁を背にするのは、この俺『禿鷲のブラド』…ッ。
これで良いッ。これが良いッ。
コマンド・ボクシングの最終形態…ッ!
それを思考する…ッ!!
・
・
・
・
・
・
・
俺が戦場をボクシングだけで生き抜くと誓った訳…ッ!!
まず、『バトゥロ・オーギュスタン』が居た。
世界ボクシング団体。通称『WBG』の伝説的な無敗のチャンプ。
バトゥロ・オーギュスタンの持つ『72度の防衛記録』を破った者はまだ誰も居ない。
そして、父『ツェペシュ・バラハ』が居た。
バトゥロの引退により空位になった王者の席に座り、
10年間無敗のチャンピオンであり続けた、これもまた偉大な『チャンピオン』だ。
よく言われていた。
『バトゥロ』と『ツェペシュ』。
どちらが本当に強いチャンピオンか…と。
そんな二人が…。
7年前。
『野試合』を行(おこな)った。
父・ツェペシュは現役時、バトゥロと戦う事は無かったが、
バトゥロが育てたボクサーと試合し勝つ事で、彼との決着をつけようとしていた。
し
か
し
8年前バトゥロが行方不明となった。
それでは決着が叶わない。それは困る。
と、独自に探しまくった結果、
突き止めたのが『鷲鼻のバトゥロ』だった。
顔を整形したバトゥロは、
『鷲鼻のバトゥロ』と名乗っていたのだ。
そ
し
て
!
野試合をする二人…ッ!!
死闘だったッ。
優位に立ったと思えば追い詰められる…ッ。
果て無きは激戦ッ。そしてついに決着…ッ!
結
果
!
父『ツェペシュ・バラハ』は敗れたのだッ!!
ッ
ッ
俺はその『勝敗に“異”を唱えた』ッ!!
野試合は拳同士のボクシングの形式であったモノも、
ラウンド制ではなく、グローブも嵌めて居なかったからだッ。
父は『自分が望んだ事』と言ったッ。
だが、俺はバトゥロにこう言い放つッ。
ー バトゥロ・オーギュスタン!
お前は今は『鷲鼻のバトゥロ』と名乗り、
素手喧嘩(ステゴロ)の用心棒として生計を立てていると聞く!
ー ならば俺は『戦場』だ!
傭兵として戦場を拳のみで渡り歩き、バトゥロ!!
お前と父との差があった以上の差で『お前を倒してやる』!!
それから…俺は。戦場を渡り歩いたッ。
ボクシングはルール無用の形式では、十分な力を発揮しないッ。
だが俺は、改良に改良を加え、戦場用のボクシングを完成させていくッ。
そして…今、世界を震撼(しんかん)させている、
『宇宙からの侵略軍』との戦争を経て…ッ。
ついに『コマンド・ボクシング』を完成させたのだッ!!
ッ
ッ
そうだッ!
俺は『鷲鼻のバトゥロ』を狩る、
『禿鷲のブラド』となったのだッ!!
その事を世界のどこかに居るバトゥロに伝える為、
この世界放送がされている修斗の試合を望み…ッ。
ORGOGLIO(オルゴーリョ)社長ダン・ブライから
推薦をされ、このトーナメントに参加をしたのだッ!!
・
・
・
・
・
・
・
そう…!コマンド・ボクシングの最終形態ッ!!
それは『鷲鼻のバトゥロ』を倒してこそだと思っているッ!!
この準々決勝ッ!
ボクサーと闘える事を幸運に思うッ!!
戦場ではまず出会えないボクサーッ!!
そんなボクサーと闘えると言う事ッ!!
つ
ま
り
は
!
対バトゥロの模擬戦が行えるからなッ!!
そして、俺は思考するッ!
今から放つこのパンチッ!!
バトゥロ戦が、壁がある場所で、
行われるかどうかは決まっていないが、
このパンチは、壁やコーナーポストがある
場所で使われる、必殺のパンチッ!!
まぁッ!
壁が無いなら無いで、
大地を壁にすれば良いがなッ!!
1回戦の相手、ファイティング・チンコーを、
一撃KOをした時にようにッ!!
では行くぞ!
チャートチャーイ・マウラーッ!!
昭和の時代!
“ガリ勉リーゼント”と呼ばれた、
『城之内 孝一』の 必 殺 パ ン チ ! !
そ
の
名
も
!
『 フ ラ イ ン グ 殺 虫 パ ン チ 』ッ ! !
俺の!チャートチャーイの!
ワイクルーのパンチは!!
確かにも、禿鷲のブラド駆る、
80-O(エイティオ)を!!
と
ら
え
た
ハ
ズ
で
あ
っ
た
!
グォオ!
跳んだ!
80-Oがッ!!
グン!!
滞空しながら!
80-Oは!
うつ伏せになり!
体と大地が並行になる!!
ッ
ッ
ボクシングには無い!!
回避の方法!!
これがコマンド・ボクシングか!?
そ
し
て
!
80-Oは!
体をうつ伏せ!
腹と大地を平行!!
その際の身体移動を!!
生じる運動エネルギーを!!
そ
の
ま
ま
拳
に
乗
せ
!
空中右フックを!
俺の顔面に仕掛ける!!
ドッッッ
カカァァアア
アアアアアア!!!
更
に
は
!
ドッッッ
グシャァアア
アアアアアア!!!
そのまま、俺を顔面を!
壁!顔面!拳で!!
ッ
ッ
サ ン ド イ ッ チ に す る ! !
こ
れ
が
!
『 フ ラ イ ン グ 殺 虫 パ ン チ 』と言うモノか!!
ー ボクサーのパンチは、
ただでさえ強力だッ!
ー それを壁にも激突させるのだ!!
ッ
ッ
効かないハズがないッ!
効かないハズがないッ!!
効かないハズがないィッ!!
だ
が
!
俺は倒れない!
激痛!朦朧(もうろう)とする脳!!
し
か
し
!
まだだ!まだ終わらんよ!!
ここからが、男一匹“ど根性”と言うヤツだ!!
次
の
瞬
間
で
あ
っ
た
!
「 殺 虫 パ ン チ ッ ! ! 」
ドッッッ
カカァァアア
アアアアアア!!!
先の滞空状態から着地をし、
此度(こたび)は大地を踏みしめ、
強力な右フックッ!!
更
に
は
!
ドッッッ
グシャァアア
アアアアアア!!!
さっきと同じく!
俺の!俺を顔面を!
壁!顔面!拳で!!
ッ
ッ
サ ン ド イ ッ チ に し や が っ た ! !
ッ
ッ
クッ…!こ…これには!!
ドッサァァ
アア ア ア ア ア ア ! ! !
ダウンする…俺…!!
クソ!まだだ!俺はまだだ!!
このまま終わって…!!
そ
の
時
ブ
ラ
ド
の
声
が
耳
に
届
い
た
!
「 グ ラ ン ド 殺 虫 パ ン チ ッ ! ! 」
ドッッッ
カカァァアア
アアアアアア!!!
振り下ろしの右ストレートッ!!
更
に
は
!
ドッッッ
グシャァアア
アアアアアア!!!
トドメの一撃だった!
俺の!俺を顔面をッ!
地面!顔面!拳で!!
ッ
ッ
ブラドの1回戦の対戦相手
ファイティング・チンコーの如く、
拳と地面との『 サ ン ド イ ッ チ 』に … … … っ ! !
ッ
俺の意識は、そこで途絶えた…。
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
ORGOGLIO最大トーナメント 準々決勝・第二試合
『チャートチャーイ・マウラー』
ボクシング
乗機『ワイクルー』
VS
『ブラド・バラハ』
コマンド・ボクシング
乗機『80-O(エイティオ)』
勝者:『ブラド・バラハ』
〇“ORGOGLIO(オルゴーリョ)ドーム”『医務室』
モニターで試合を観戦していた者。
その中の3人。
“真の護身を知らしめたい!!”
『ブラック少林(しょうりん)』
『ブラック少林(しょうりん)』
“大蛇流のデンジャラスライオン”
『カロ籐 清登(かろとう きよと)』
『カロ籐 清登(かろとう きよと)』
“ザ・ジェノサイド”
『壊撃(かいげき)のユージン』
『壊撃(かいげき)のユージン』
3人の内…。
カロ籐がつぶやく。
「なんてぇ、ボクシングだよ…!!」
「少なくともパンチに関しちゃあ、
ボクシングであって、ボクシングじゃあねぇ!!」
「それで居て、ボクシングだ!!」
少林が続ける。
「しかもここまでの対戦。」
「ほとんど手の内を見せないまま。」
そ
う
「パンチ以外。防御や立ち回りと言った部分。」
「ボクシングが戦場で立ち回れる部分を、
ほぼ見せないまま勝ち上がってきています…!!」
こ
れ
は
「想像以上に厄介な相手となるでしょう…!!」
ユージンはこう言う。
「おいおい…。」
「俺の代わりに…!」
「決勝まで行くんじゃあなかったの…かい?」
カロ籐は付け足す。
「ブラドの野郎がスゲェのは解る!」
「だがよォ!アンタは自分を乗り越えたんだぜ!!」
「今から不安で、どぉするよ!なぁ、おい!!」
少林は答える。
「そうですね。」
「ここまで来たら、ぶつかるまでです…ッ。」
カロ籐は力強くッ。
「それでいいんだ…よッ!角中!!」
少林は冷静にッ。
「今は少林です。」
そう受け流すは少林。
だが。朋友(とも)の言葉を受けた、
少林の眼差しは確かにも鋭かったッ…!!
○“ORGOGLIO(オルゴーリョ)ドーム”『控え室』
ここでもまた、モニターで観戦をしている者。
その内の2人。
“空手を終わらせた女”
『大蛇(おろち)勝美』
『大蛇(おろち)勝美』
“本業がレイヤーで修斗ファイトは趣味”
『ジェーン☆乙姫(おつひめ)』
『ジェーン☆乙姫(おつひめ)』
その中の大蛇。
勝美が所感を述べる。
「やはりヤツのコマンド・ボクシングは面白い。」
「この場所でもこんな応用力があるのか。」
し
か
し
「戦場でのヤツはもっとエゲツないがな。」
乙姫も所感を。
「こりゃあ準決勝、少林さん苦戦しそうね…。」
勝美はこう言う。
「苦戦で済めば良いがな。」
「値踏みするに勝つのは『禿鷲のブラド』だ。」
「おそらく、決勝は私とブラドになるだろう。」
乙姫はむしろ心配しながら。
「もう次の試合が私とよ?」
「そんな状況になって、まだそんな事言ってて大丈夫??」
勝美は不変。
「何度も言わせるな。眼中にない。」
乙姫は口をとんがらせながら。
「忠告してるんだけどなあ。」
勝美は吐き捨てる。
「いらぬ世話だよ。」
と言い。
勝美は部屋を出る。
勝美は部屋を出る。
乙姫こう思考する。
(かつみんの格闘センス。)
(才能は私の10倍…。)
(でも。)
(つけ入る隙はありそうね。)
乙姫もまた部屋を出た。
ーーーーーー