○“ORGOGLIO(オルゴーリョ)ドーム”『闘技場』
ブラック少林の乗機!
『双円』の右視界が破壊された!!
禿鷲(はげわし)のブラドの乗機!
『80-O(エイティオ)』の左親指が、
双円の右視界を突き抉(えぐ)ったからだ…!!
少林!
(右視界が破壊されたのなら…。)
(左足を前に。右足を後に。)
(半身になり…。左視界を最大限に使う。)
ッ
ブラド!
(冷静だな少林。)
(視界を奪われた状態で、
平静を保てる者は、
戦場でも、そう多くはなかったぞ?)
し
か
し
(少林。最早お前は遠近感を掴めない。)
(それは打撃に置いて大きな弱点と化す。)
(また、お前の右視界の領域に入れば、
お前は何も見えない。
その弱点は“致命的な弱点”となる。)
そ
う
!
「この好機!」
「逃すつもりはない!!」
ッ
ッ
『80-O(エイティオ)』は、
『双円』目掛けて直進をした!!
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
○クロガネの賛歌 亜種 『黒の伝説re:write』
第 2 5 話 「 勝 ち 得 た 者 は ? 」
原案・手拭
筆者・REO=カジワラ
筆者・REO=カジワラ
少林!
(来る!『80-O(エイティオ)』が!!)
シ
ュ
パ
ン
!
『80-O』のジャブだ!
顔面に貰う『双円』!!
ッ
少林!
(まずはジャブから…!じっくり攻めるつもりか?禿鷲のブラド??)
(なるほど…。先の『飛燕(ひえん)の十二連攻』のダメージが残っているのか。)
(故に、一気に攻めずかつ、機を見ては仕留める『最も厄介な選択』をしてきたと言う訳か。)
そ
の
間
!
シュパン!
シュパン!!
シュパン!!!
『80-O』のジャブ連打!!
全て『双円』の顔面にHITする!!
ッ
少林!
「ク…!!」
(防御を上げざるを得ない…!!)
ス
ッ
!
少林は、両腕で顔面の防御を固める!!
次
の
瞬
間
!
ズドゥ!!
『80-O』の右拳が『双円』の左わき腹に突き刺さる!!
先に少林を苦しめた『レバーブロー』だ!!
内臓へダメージを与える事で、スタミナを徐々に奪っていく!!
ッ
少林!
(強い…!何と無駄の無い攻め筋…!!)
(しかも、少しでも、こっちの集中力が、
途切れれば、全く見えない
右視界へと入ってくるだろう。)
(そうなれば、一巻の終わりだ。)
な
ら
ば
(試合の…!)
(立ち合いの常識から…!!)
( 外 れ る ッ ! ! )
バ
ッ
!
『双円』はッ!
両腕を広げ!ガニ股立ちをし!!
そして少林はこう叫んだッ!!
「 来 い ッ !
禿 鷲 の ブ ラ ド ッ ! ! 」
ッ
ッ
ブラド!
(何のつもりだ?)
(ノーガードだと…??)
(やぶれかぶれか、ブラック少林…??)
数瞬。
0.01秒にも満たない時間。
次の瞬間…!
ザッ!!(『双円』から見えない『双円の右視界』に移動し…!)
シュパ!(『双円』の顎(アゴ)、目掛けて『左フック』である!!)
ガ
コ
ゥ
!
『双円』の顎に、HITする!!
揺
れ
る
!
少林の『脳』が…!
ズ
ン
『双円』は両ひざを曲げ、座り込む…!
そ
の
瞬
間
ッ
!
少林!
「おぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
少林が雄叫びを挙げる!
ガ
コ
ウ
!
『双円』の“水面蹴り”であった!!
身体を沈み込ませ地を這うように、回転しながら相手に脚払いをかける!
相手が技を仕掛けてきたのをかわして、カウンターで見舞うことも多いが…!!
少林はあえて『受けて』から“蹴り”を放った!!
そ
れ
即
ち
!
プロレスの戦法!!
骨”を”断”た”せ”て”!”
肉”を”斬”る”!”!”
あえて、KO寸前の技を受け、
この好機(チャンス)を作り出したのだ!!
紙一重の…!
紙一重の戦法であった…!!
如何にドラゴンマスクやジェーン☆乙姫(おつひめ)に、
プロレスの流儀を伝授されたと言えど、
少林はプロレスラーではない…!!
また、『双円』も、敵者の過度な攻撃を、
想定した機体じゃあない…!!
だが…!!
右視界が失われ、
淡々と着実な攻撃方法を続ける
禿鷲のブラド相手に、好機を作り出すには、
それしかなかった…!!
そ
し
て
!
作り上げた『好機』とは…!!
ザ
ッ
!
『双円』は転倒をした『80-O』に組み合う!!
いわゆる『寝技』ってヤツだ!!
一転…!
二転…!!
三転…!!!
目まぐるしく動く攻防の中…!!
『柔法』…!
寝技もまた、少林寺拳法の一部であり…!
更には、ORGOGLIO(オルゴーリョ)用に、
改良(カスタマイズ)された、少林の“技術”が勝り!!
ダ
ン
!
『双円』は『80-O』から、
マウントポジションを奪う!!
〇マウントポジション
上の選手が下の選手の胴体に正対し馬乗りになっている状態を指す。
柔道における縦四方固の体勢、横四方固に比べると安定性には欠けるが、
上の選手は両手が自由に使える為、グラウンドパンチを打ち込んだり、
関節技や絞め技も仕掛け易く、上の選手が圧倒的に有利なポジションである。
・
・
・
・
・
・
・
少林!
「付け加えるに、これまでの寝技の攻防…!」
「寝技は右視界が失われた状態でも、
そこまで大きな弱点にならない為、
経験に勝る私は、この体勢まで持って行けましたし…。」
そ
し
て
!
「立ってからの“殴り合い”ならともかく…!!」
「寝てからの“殴り合い”なら…!!」
ッ
ッ
「 私 が 勝 る ッ ! ! 」
ド
キ
ャ
ア
!
『双円』の右拳が『80-O』の顔面にHITする!!
ッ
ッ
ブラド!
(不覚…!仮に生身なら、この状態からでも、
相手の睾丸(こうがん)を握りしめる等の逆転方法が存在するが…!!)
(ロボットの股間にペインセンサーはあれど、睾丸は備わっていない!!)
ド
キ
ャ
ア
!
『双円』の左拳が『80-O』の顔面にHITする!!
続
け
様
!
右ッ!
左ッ!
右ッ!
左ッ!
右ッ!
左ッ!
右ッ!
左ッ!
右ッ!
左ッ!
右ッ!
左ッ!
右ッ!
左ッ!
・
・
・
・
・
・
・
何度も何度も拳を打ちに据え…。
次第に…。
『80-O』は動かなくなっていった…!
そ
う
!
『双円』の…!
『 ブラック少林 』の“KO勝ち”であった…!!
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・
・
・
・
・
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・
・
ORGOGLIO最大トーナメント 準決勝・第一試合
『ブラック少林』
少林寺拳法
乗機『双円』
VS
『ブラド・バラハ』
コマンド・ボクシング
乗機『80-O』
勝者:『ブラック少林』
〇“ORGOGLIO(オルゴーリョ)ドーム”『女性用医務室』
モニターで試合を観戦していた、
ジェーン☆乙姫(おつひめ)は笑みを浮かべていた。
戦友であり、プロレス道場で同じ釜の飯を食った
ブラック少林が勝利をしたからだ。
それも、フィニッシュまで持っていったあの捨て身の戦法。
あれはプロレスの特訓なくしては出来なかった戦法だ。
日本拳法家であり、プロレスラーである乙姫にとって、
この上無く嬉しい勝ち方であると言えた。
コンコン
医務室にノック音。
乙姫は声を弾ませながら。
「入っていいよ。」
と言う。
ガチャ…。
ブラック少林が部屋に入る。
乙姫は嬉しそうにこう言う。
「おめでとう、少林さん♪」
少林は…。
「…はい。」
うつむきながら、そう答えた。
乙姫は心配そうに。
「どうしたの少林さん?」
と、問う。
少林は答える。
「“力愛不二”…。」
「『愛を伴わない力』は暴力であり…。」
「『力を伴わない愛』は無力である…。」
続ける。
「自分が有利な状態。」
「そう。マウントポジションから、拳の連打。」
「それも相手が失神するまで。」
「これは…武道ではないと思うのです。」
更に続ける。
「また、もしこれが生身の試合なら、
クリンチ状態の目突きと、
右視界を奪われた、あの一撃とで、
私は両目を潰されていたでしょう。」
「そしてマウントポジションとは言え、
生身ならではの脱出方法があったでしょう。」
そしてこう言う。
「そんな中の勝利で…。」
「果たして勝利と言えるのでしょうか?」
乙姫は黙り…。
しばし時が流れ。
乙姫は目を閉じて。
すぅと息を大きく吸い。
こう言い放つ。
「勝ったよ!少林さん!!」
「大勝利だよ!!」
「私が保証するよ、少林さん!!」
・
・
・
・
少林はポカーンとして。
「フ…フフフフフフフ…ッ。」
と、笑う。
少林。
「全て納得いった訳ではありません。」
あ
り
ま
せ
ん
が
「何か、納得しました。」
「乙姫。貴女は強い女性ですね。」
乙姫は照れながら。
「よしてよ、少林さん…。」
「私は負けちゃったんだし…。」
「ま、このままで終わるつもりは無いけどさ…。」
と、はにかむ。
少林。
「あと1戦。全力を尽くします。」
乙姫。
「うん、頑張って少林さん♪」
和やかな空気が2人の間に流れた。
〇“ORGOGLIO(オルゴーリョ)ドーム”『医務室』
禿鷲のブラドは、顔に数枚の湿布が貼られ、
また、グルグルと包帯を顔面に巻いていた。
意識は失われている。
失われている…。
失われて…。
「…………ッ。」
意識を取り戻した。
「起きただっちゃか、ブラド。」
試合前、言葉を交わした戦友。
“殺人野球の申し子”犬鳴 了(いぬなき りょう)がそう言う。
ブラドは吐き出すように。
「敗れたか。俺は。」
と言い放つ。
犬鳴はキヒヒと笑いながら。
「キヒヒヒヒヒヒ。」
「負けるのはよぉ~。」
「慣れてねぇだっちゃかぁ~?」
ブラドは目を瞑(つむ)り。
「錬磨が足りなかったか。」
そう、つぶやく。
犬鳴は頬(ほお)を掻きつつ。
「ノーガードをする馬鹿が戦場におるかい。」
「ま、俺(おりゃあ)も、おめえも、
大概戦場で馬鹿げた流儀で戦ってるがのぉ。」
続ける。
「ブラドよぉ。おめえ、少林に借りが出来たけぇ。」
「戦場なら死んでいたろぉがぁ…。」
「こりゃあ試合じゃき。次に生かせるだっちゃ。」
そして、こう言う。
「更なる高みにじゃけぇブラド…!」
「コマンド・ボクシングをじゃき…!!」
ブラドは笑みを浮かべながら。
「そうだな。」
と、そう言った。
・
・
・
・
俺のボクシングは『コマンド・ボクシング』。
この世界で、もっとも研鑽(けんさん)された『戦場格闘技』だ。
そう言い放ったブラドは敗れた。
戦場ならば、また違った機微(きび)があったろう。
戦場ならば、自分が有利であったろう。
そう言う話も無くは無い…が。
ブラドは『試合ならではの経験』に目を向けていた。
ノーガードから攻撃受けた後、根性で水面蹴りを放ち反撃。
戦場では無かった経験だ。そして戦場で無かった為生き残った。
少林と再び、戦う事があるかどうかは解らない。
解らないが…。これで、また一つ『強くなった自分』がある。
少林に借りが出来たな。
そんな思いがブラドに出来たのであった。
○“ORGOGLIO(オルゴーリョ)ドーム”『控え室』
站椿(たんとう)…!
太極拳など中国武術の訓練の一つ。
一つのポーズをとったまま一定時間立つというモノである。
それを行う漢(おとこ)。
“鉄面皮(てつめんぴ)”
孫 秀炎(スン シウヤン)、その人である。
試合までの待ち時間。
崩拳の稽古(けいこ)をしていたが、
震脚(しんきゃく)にて、床を砕くので、
大会スタッフより「勘弁して下さい」と言われた為、
代わりに站椿(たんとう)を行っていた。
站椿(たんとう)…。
両腕は下げたまま、基本の立ち姿勢をしっかり行う。
頭は上からつるされてる感じにて、ピンと伸ばす。
首から下の全身は関節を緩めて力を抜く。
首、肩、ひじ、腕、胸から丹田へと下に向かって気を沈める。
胸の中心はすっと下に降ろす。
お尻を巻き込む(骨盤はやや後傾)。
丹田が前に出ないようにぐっと引っ込める。
高めのイスに腰かけるイメージだ。
背筋がS字ではなく、まっすぐ伸びるようにする。
腰(命門)が外へ膨らむことで背筋がまっすぐ伸びるイメージで。
股関節は開く。
丹田から下は股関節にそって足の下へ広がっていくイメージにて。
股関節、膝は楽に。
体重が全て足の裏に落ちるように。
足の裏全体で体重を感じる。
太ももや膝で体重を支えないように、できるかぎり力を抜く。
ゆっくり呼吸をする。
息を吐くたびに気が落ちて、体重が足の裏にのっかるイメージだ。
足の裏から根が生えて、下に伸びていくような感覚がする。
しばらく続けてると、足の裏がずっしり重くなってくる感じがする。
両足でしっかり立ってるような…。
体重をしっかり足の裏まで落とすことができれば、太ももはそんなに辛くない。
・
・
・
・
そんな鍛錬をする孫に…。
1人の女が語り掛ける。
「随分と…。」
「古臭い鍛錬をしているんだな…。」
ツインテールに空手着のその女ッ…。
“空手を終わらせた女”ッ…。
『大蛇(おろち)勝美』ッ…。
孫は站椿(たんとう)を続けながら。
「準決勝の相手『大蛇 勝美』カ。」
「古いと言えば、大蛇流も古流空手聞ク。」
勝美はニヤリと笑いながら。
「その鍛錬よりは新しいさッ…。」
「そして私はその“古流空手”を『完成』させたのさッ…。」
孫は無表情に。
「如何なる流派であろうト…。」
「私、崩拳を叩き込む。それダケ。」
勝美は笑う。
「ハハハハハハハハハ。」
「二つ名通りの“鉄面皮(てつめんぴ)”だなッ…。」
そしてこう言う。
「このトーナメント。優勝するのは、この『私』だ。」
「孫。お前は“路傍(ろぼう)の石”に過ぎないのさ。」
「準決勝。目に物を見せてやろうッ…!!」
クル…!
勝美は踵(きびす)を返しッ…!
格納庫へと向かうのであったッ…!!
ーーーーーー