~~壱の巻 「デュエル・オブ・ナイト・フォグ(前編)」~~
その男が殴られることに、特に理由は無かった。
白昼の市街で喧嘩である。喧嘩、と言うにはあからさまに一方的で、無慈悲な様だったが、かと言って何か目的があって暴力を奮っているわけでもない。
コートに身を包んだ一人は、ブラッククロスの一派『化学ニンジャ隊』の構成員、ミスト・サン。彼は気が立っていた。
それは彼の持つサイボーグ能力と、与えられた任務が、日頃から軽んじられているからである。
地味な能力、地味な仕事。それがミスト・サンに対する周囲の評価である。だがミスト・サンは自分の技を忍者らしいと誇りに思っているし、組織への貢献振りも並々ならぬものだと自負しているのだ。
それは彼の持つサイボーグ能力と、与えられた任務が、日頃から軽んじられているからである。
地味な能力、地味な仕事。それがミスト・サンに対する周囲の評価である。だがミスト・サンは自分の技を忍者らしいと誇りに思っているし、組織への貢献振りも並々ならぬものだと自負しているのだ。
(それを……なんだっ!)
世の人共はどうして派手な働きばかりを褒めそやすのか。そんな鬱屈を抑えながら、この日も任地へ向かって街を歩いていた。
その時である。フラフラと歩くヤクザ崩れのような男とぶつかりそうになると、その男は軽く舌打ちをした。
男が殴られる理由があったとすれば、今日この時、その場に居たからとしか言いようが無い。
その時である。フラフラと歩くヤクザ崩れのような男とぶつかりそうになると、その男は軽く舌打ちをした。
男が殴られる理由があったとすれば、今日この時、その場に居たからとしか言いようが無い。
ミスト・サンの憂さ晴らしのパンチ! まず男は鳩尾に拳を打ち込まれ悶絶。
ミスト・サンの憂さ晴らしのキック! 男は路傍に積まれたゴミ袋の山に突っ込んだが、自身の置かれた状況をまだ理解していない!
ミスト・サンの憂さ晴らしのストンピング! 男はわけも分からず護身の構えを取るが次々と骨が折れていく。
周囲には人だかりが出来てきたが、誰も割って入る者はいない。それほど今のミスト・サンの様子は尋常では無かった!
ミスト・サンの憂さ晴らしのキック! 男は路傍に積まれたゴミ袋の山に突っ込んだが、自身の置かれた状況をまだ理解していない!
ミスト・サンの憂さ晴らしのストンピング! 男はわけも分からず護身の構えを取るが次々と骨が折れていく。
周囲には人だかりが出来てきたが、誰も割って入る者はいない。それほど今のミスト・サンの様子は尋常では無かった!
しばらく問答無用の殴打が続いていたが、ようやく警察が駆けつけ、ミスト・サンを取り抑えようとする。
「フンッ!」
ミスト・サンのサイボーグ化された両腕が、警察官を投げ飛ばす。ここでようやくミスト・サンは、自分が衆目の只中で燦然と目立っていることに気が回った。
――愚か者めが、己は忍者ぞ。
思い直したミスト・サンは、すぐさま両腕の特殊機構を稼働させる。すると開かれた射出口から、二種類の色をした霧が撒かれたではないか。
それは一つ一つは害の少ない薬品であるが……二つが混ざると……危険な爆発物となる。いわゆる二液混合型の爆弾だ!
人だかりの中心で小さな爆発が起こると、人々は慌てふためいて逃げ出した。そして気づいた時には、危険な通り魔的暴漢の姿はどこにも見当たらなくなっていた……。
それは一つ一つは害の少ない薬品であるが……二つが混ざると……危険な爆発物となる。いわゆる二液混合型の爆弾だ!
人だかりの中心で小さな爆発が起こると、人々は慌てふためいて逃げ出した。そして気づいた時には、危険な通り魔的暴漢の姿はどこにも見当たらなくなっていた……。
……化学ニンジャ隊……それはブラッククロス内において、隠密性の高い破壊工作や暗殺、強奪、誘拐など、ダークサイドな任務に特化した一勢力である。
特徴はサイボーグ化されたエージェントによる少数精鋭を謳っている点であり、その作戦遂行能力は確かなものだった。
また任務として、地球各国の科学技術、そのデータや人的資源の強奪を多く担い、その成果をブラッククロスや、更にその上に立つアムステラにも技術提供している。
もっとも、遥かに進んだ技術を持つアムステラへは、技術提供というより資料提供という方が正しい。
特徴はサイボーグ化されたエージェントによる少数精鋭を謳っている点であり、その作戦遂行能力は確かなものだった。
また任務として、地球各国の科学技術、そのデータや人的資源の強奪を多く担い、その成果をブラッククロスや、更にその上に立つアムステラにも技術提供している。
もっとも、遥かに進んだ技術を持つアムステラへは、技術提供というより資料提供という方が正しい。
見返りとしてアムステラからは兵器や技術が流されており、その恩恵は化学ニンジャ隊の結成と拡大に大きな役割を果たしてくれた。
ミスト・サンの任務も、科学技術、特にロボット技術に関わるものだ。
ロボット工学の権威の一人、ドクター竜蔵寺……今回のターゲットである。
ロボット工学の権威の一人、ドクター竜蔵寺……今回のターゲットである。
日本国、◯◯県、Y市。PM10:32。
ドクター竜蔵寺の自宅兼研究施設、『竜蔵寺研究所』(通称『竜研』)は都市から離れた山の麓にある。
最新式の人型兵器を開発するためには、施設や実験場とするための広大な土地が必要なのだ。
然るに、竜研の周囲には民家もコンビニも無く、人が住むには酷く不便な土地である。
もっとも、人間嫌いなドクター竜蔵寺は邪魔が入らぬ、と気にもしない様子だった。
最新式の人型兵器を開発するためには、施設や実験場とするための広大な土地が必要なのだ。
然るに、竜研の周囲には民家もコンビニも無く、人が住むには酷く不便な土地である。
もっとも、人間嫌いなドクター竜蔵寺は邪魔が入らぬ、と気にもしない様子だった。
そんな竜蔵寺の人嫌い振りは誠に徹底しており、研究所内の自宅スペースは、スタッフたちの詰める研究棟や工場地区からも離れ、正に孤島じみている。
そこで竜蔵寺は、仕事とは別に趣味の研究に没頭し、怪しいロボットを製造しているともっぱらの噂だ。
そこで竜蔵寺は、仕事とは別に趣味の研究に没頭し、怪しいロボットを製造しているともっぱらの噂だ。
夜陰。竜研に近づく影あり。
竜研の監視・警備機器の網をくぐり抜けたミスト・サンは、竜蔵寺の自宅にするすると近づいていく。
疾しい考えを抱く者にとっては、この孤島状態は実に都合がいい。
警備兵に不意打ちを食らわせ、隅の方に置き捨てたミスト・サンは、いよいよ本丸と言わんばかりに気合を込める。
竜研の監視・警備機器の網をくぐり抜けたミスト・サンは、竜蔵寺の自宅にするすると近づいていく。
疾しい考えを抱く者にとっては、この孤島状態は実に都合がいい。
警備兵に不意打ちを食らわせ、隅の方に置き捨てたミスト・サンは、いよいよ本丸と言わんばかりに気合を込める。
その時である。
「バウッ! ワウッ!」
番犬だと!? 飛びのいたミスト・サンは間一髪、犬の牙から逃れる。その直後、目の当たりにしたのはなんとロボットの犬であった。
ミスト・サンはすぐに、これが竜蔵寺の造った番犬だと得心した。
ミスト・サンはすぐに、これが竜蔵寺の造った番犬だと得心した。
機械の番犬は赤外線センサーで侵入者を見つめる。データに該当無し。不法侵入だワン。
身を低く屈め、跳躍して襲いかかる番犬。
ミスト・サンはそれを横っ飛びに避けつつ、番犬の顔に霧を吹きかけた。
着地した番犬。だがすぐに異変が起こる。吹きつけられた霧は強い酸性の霧で、番犬の身体の隙間まで入り込み、グズグズと溶かし始めた。
身を低く屈め、跳躍して襲いかかる番犬。
ミスト・サンはそれを横っ飛びに避けつつ、番犬の顔に霧を吹きかけた。
着地した番犬。だがすぐに異変が起こる。吹きつけられた霧は強い酸性の霧で、番犬の身体の隙間まで入り込み、グズグズと溶かし始めた。
挙動の鈍くなった番犬を、ミスト・サンは軽く足蹴にして始末した。
だがこの番犬の性能を見れば、竜蔵寺の技術者としての価値も伺えるというものだ。この博士を拉致しブラッククロスに協力させれば……。
今回も良い仕事になる。ミスト・サンは心の中でガッツポーズを決める。
だがこの番犬の性能を見れば、竜蔵寺の技術者としての価値も伺えるというものだ。この博士を拉致しブラッククロスに協力させれば……。
今回も良い仕事になる。ミスト・サンは心の中でガッツポーズを決める。
浮かれたのも束の間。ミスト・サンの表情は冷たい仕事人のものに変わる。
先ほどの小競り合いで、竜蔵寺が外の異変に気づいた可能性がある。急ぐべきだろう。
先ほどの小競り合いで、竜蔵寺が外の異変に気づいた可能性がある。急ぐべきだろう。
ミスト・サンは建物の壁に取り付くと、換気口から睡眠剤の霧を吹き込む。
屋内に霧が充満し、効果が出てくるまでの僅かな時間も、警備兵に見つからぬか、建物から逃げる者はいないか、監視し続けた。
そして結果は上々だった。鍵をこじ開けて屋内に入ると、そこには静かに眠る竜蔵寺の姿があった。研究に没頭していたのだろう、デスクでパソコンの前に突っ伏している。
屋内に霧が充満し、効果が出てくるまでの僅かな時間も、警備兵に見つからぬか、建物から逃げる者はいないか、監視し続けた。
そして結果は上々だった。鍵をこじ開けて屋内に入ると、そこには静かに眠る竜蔵寺の姿があった。研究に没頭していたのだろう、デスクでパソコンの前に突っ伏している。
(カタリ……)
何か物音がした。そんな気がして、注意深く辺りを見回すミスト・サン。
するとその目が、機械だらけの寝台によこたわる何かを見つけた。
するとその目が、機械だらけの寝台によこたわる何かを見つけた。
「女……?」
それは全裸の女……のロボットのようだった。近づいてよく見なければ区別がつかぬほど、それはよく出来たものだった。
細かいところまで
軽い興味から皮膚に触れてみると、本物の如く柔らかで弾力もある。
備え付けられたディスプレイに目をやると『Project:何でも言うことを聞く君だけのエロメイド』なる一文があった。
備え付けられたディスプレイに目をやると『Project:何でも言うことを聞く君だけのエロメイド』なる一文があった。
……
……狂科学者が持つ秘密の一面を垣間見て、ミスト・サンはしばし沈黙した。
それはともかく、竜蔵寺をここから連れださねばならない。それもごく丁重に。
彼らが拉致する科学者や技術者には、まず組織への協力が強要される。これを呑めば、そいつはその日からブラッククロスの一員となる。
では断ればどうなるか……。方法は様々だが、拷問や脅迫を用いて無理矢理にでも協力させるか、それでも駄目ならば、記憶を吸い出してその成果だけを頂くという計画だ。
比較すれば前者のほうが価値が高いのは言うまでもない。でるからして、拉致も出来るだけ丁重に行われる。傷つけるなど以ての外だ。
彼らが拉致する科学者や技術者には、まず組織への協力が強要される。これを呑めば、そいつはその日からブラッククロスの一員となる。
では断ればどうなるか……。方法は様々だが、拷問や脅迫を用いて無理矢理にでも協力させるか、それでも駄目ならば、記憶を吸い出してその成果だけを頂くという計画だ。
比較すれば前者のほうが価値が高いのは言うまでもない。でるからして、拉致も出来るだけ丁重に行われる。傷つけるなど以ての外だ。
ミスト・サンが竜蔵寺の身体を運ぼうと、手を伸ばす。――その時である!
「そこまでだ、ドブネズミ」
声がした。ミスト・サンが身構えると、いつからそこに居たのか? 壁際に全身黒尽くめの男が立っているではないか!
「ふぅあっ!!!!!」
黒装束の男が腕を閃かせると、見えない何かがミスト・サンの身体を打ち据える。
驚いたミスト・サンは、一度竜蔵寺から離れて体勢を立て直した。そこに続けて飛来する“何か”が、ミスト・サンに連続で打ち込まれた。
それは何でもない、ただの空気。ただ、黒装束の男が振るう腕から生じる、一種のカマイタチである。
驚いたミスト・サンは、一度竜蔵寺から離れて体勢を立て直した。そこに続けて飛来する“何か”が、ミスト・サンに連続で打ち込まれた。
それは何でもない、ただの空気。ただ、黒装束の男が振るう腕から生じる、一種のカマイタチである。
これぞ大日本帝國忍術・百の技の一つ……真空手裏剣!!!
殺傷能力こそ低いが、ごく近距離での牽制技として十分効果的な技である。
事実、アドバンテージを取られたミスト・サンは、気を落ち着かせるまでただ打たれるがままとなった。
事実、アドバンテージを取られたミスト・サンは、気を落ち着かせるまでただ打たれるがままとなった。
黒装束の男が接近、肘鉄だ! ミスト・サンは鼻っ柱を一撃で折られ、鼻血を吹き出した。
黒装束の男が接近、ローキックだ! ミスト・サンの太腿に鋭い衝撃が走り、思わず膝をつく。
黒装束の男が接近、カミソリのようなアッパーだ!
これをミスト・サンは寸前のところで躱す。ただ幸運だったとしか言えないが、ミスト・サンはこの隙に距離を取り、ようやく戦闘の構えを取ることが出来た。
黒装束の男が接近、ローキックだ! ミスト・サンの太腿に鋭い衝撃が走り、思わず膝をつく。
黒装束の男が接近、カミソリのようなアッパーだ!
これをミスト・サンは寸前のところで躱す。ただ幸運だったとしか言えないが、ミスト・サンはこの隙に距離を取り、ようやく戦闘の構えを取ることが出来た。
(こいつはいったい何者だ?)
一瞬考えたが、すぐ思考を切り替える。
(邪魔者は殺すだけだ)
ミストさんのバックパックから霧が噴出する。今回は、毒性も危険性も無い、ただの霧だ。
ターゲットであるドクター竜蔵寺を傷つけるわけには行かない故である。ではただの目眩ましか?
否。“ただの”目眩ましではない。
ターゲットであるドクター竜蔵寺を傷つけるわけには行かない故である。ではただの目眩ましか?
否。“ただの”目眩ましではない。
黒装束の男が追撃を駆けようと踏み込んだその時、「ホログラム投影装置、作動!」
掛け声一発、なんとミスト・サンの姿が六つに増殖したではないか!
掛け声一発、なんとミスト・サンの姿が六つに増殖したではないか!
「……!」
黒装束の男もさすがに体が硬直した。その隙を見逃すほどミスト・サンも素人ではない。
急接近して膝蹴り! 黒装束の男はガードしたが、次の瞬間にはミスト・サンを見失ってしまった。
急接近して膝蹴り! 黒装束の男はガードしたが、次の瞬間にはミスト・サンを見失ってしまった。
「フフフフフ……これぞ霧分身の術……」
ミスト・サンの声が物陰から聞こえた。この部屋は研究機材が林立していて、全体を見渡すのが非情に困難だ。
その隙間隙間を、ミスト・サンは移動し続けポイントを絞らせない。
その隙間隙間を、ミスト・サンは移動し続けポイントを絞らせない。
そこか、と男が突きを見舞っても、霧に投影された分身が霧散するだけであった。
霧に投影し撹乱する。こう書くと安直なようであるが、環境を利用して実戦に耐えうる術に仕立てた辺りに、使い手たるミスト・サンの三下ならぬ腕前が示されているではないか。
霧に投影し撹乱する。こう書くと安直なようであるが、環境を利用して実戦に耐えうる術に仕立てた辺りに、使い手たるミスト・サンの三下ならぬ腕前が示されているではないか。
「今度はこちらの番だ!」
ミスト・サンの不意打ち! 男の背後から飛び蹴りを見舞う! 男は寸前で避けたが、霧と分身ですぐに敵を見失う。
ミスト・サンの更なる不意打ち! 今度は男の背中に肘鉄が直撃した!
サイボーグ化されたミスト・サンの打撃を受けて、黒装束の男は骨にヒビが入った。だがそれはまだ僥倖。本来なら骨が砕けていてもおかしくはない。
ミスト・サンの更なる不意打ち! 今度は男の背中に肘鉄が直撃した!
サイボーグ化されたミスト・サンの打撃を受けて、黒装束の男は骨にヒビが入った。だがそれはまだ僥倖。本来なら骨が砕けていてもおかしくはない。
尚も、ミスト・サンの攻撃のピッチは上がる。施設への侵入がバレれば警備が駆けつけるのは時間の問題だ。ここは短期決戦が望ましい。
対する黒装束の男はこの霧分身の術をどう破るか?
対する黒装束の男はこの霧分身の術をどう破るか?
男はスッと屈み、研究機材の配線を掴んだ。この部屋は至る所に機材、電子機器の電線や配線が巡らされていた。
それを手繰り、束にして、勢い良く引っ張ると、無数の配線が宙を舞う。それを男がくるくると束ね、更に投網のようにばら撒いた。
すると……あなや! 無数にあったミスト・サンの分身は霧散し、ただ一人残った本物のミスト・サンには配線がぐるぐると巻き付いているではないか!
それを手繰り、束にして、勢い良く引っ張ると、無数の配線が宙を舞う。それを男がくるくると束ね、更に投網のようにばら撒いた。
すると……あなや! 無数にあったミスト・サンの分身は霧散し、ただ一人残った本物のミスト・サンには配線がぐるぐると巻き付いているではないか!
大日本帝國忍術・百の技の一つ……蜘蛛糸縛り!!!
男は一度に分身を暴くだけでなく、ミスト・サンの動きまでも封じてのけたのだ。
焦るのはミスト・サン。
脱出しようともがくが、今にも黒装束の男が迫ってくる。
背に腹は替えられぬ……! ミスト・サンは束縛されたまま、両腕の装置から二つの霧を噴出させた。
それは昼間にも使った二液混合型爆薬の霧。それを半ば自爆覚悟で起爆させ、脱出を図ったのだ。
焦るのはミスト・サン。
脱出しようともがくが、今にも黒装束の男が迫ってくる。
背に腹は替えられぬ……! ミスト・サンは束縛されたまま、両腕の装置から二つの霧を噴出させた。
それは昼間にも使った二液混合型爆薬の霧。それを半ば自爆覚悟で起爆させ、脱出を図ったのだ。
「ヌゥッ!?」
バチバチッ バンッ!!!
建物は爆発音と煙に包まれた。
窓ガラスを割ってミスト・サンは逃亡する。黒装束の男は、それを追わなかった。
それよりもドクター竜蔵寺の盾になることを選び、守りの姿勢を取っていたからだ。
ドクター竜蔵寺……無事である。未だに睡眠薬の霧で眠らされたままだが、外傷は無い。
男が確認を済ませたのも束の間、今度は周囲の機材がけたたましいアラームを鳴らす!
窓ガラスを割ってミスト・サンは逃亡する。黒装束の男は、それを追わなかった。
それよりもドクター竜蔵寺の盾になることを選び、守りの姿勢を取っていたからだ。
ドクター竜蔵寺……無事である。未だに睡眠薬の霧で眠らされたままだが、外傷は無い。
男が確認を済ませたのも束の間、今度は周囲の機材がけたたましいアラームを鳴らす!
黒装束の男は自分が機材の配線を抜いてしまったことを思い出した。それに爆発の衝撃が重なったことで何らかの異常が起きたのか。
ディスプレイの表示を見ると、『重篤なエラー』『甚だしいクラッシュ』『緊急起動已む無し』などの文字列が赤々と踊っている。
途端、女ロボットの横たわっていた寝台から勢い良く煙が吹き出し、ロボットに取り付けられていたチューブやコードの類が弾けるように外れていく。
ディスプレイの表示を見ると、『重篤なエラー』『甚だしいクラッシュ』『緊急起動已む無し』などの文字列が赤々と踊っている。
途端、女ロボットの横たわっていた寝台から勢い良く煙が吹き出し、ロボットに取り付けられていたチューブやコードの類が弾けるように外れていく。
男はその光景を訝しむように見ていたが、やがて女ロボットは目を開けゆっくりと起き上がった。
人とそっくりに創られた、一糸まとわぬ姿である。
男とロボは目があった。
人とそっくりに創られた、一糸まとわぬ姿である。
男とロボは目があった。
「……」
「……」
「……」
特に感想や感慨は無い。お互い慌てる様子も無い。
一言だけ、
一言だけ、
「この博士を安全な場所に移してほしい」
「ほい」
「ほい」
知能は備わっているようだ。先ほど表示されたエラーの文字が気になるが……ロボットは竜蔵寺の体を抱えて、奥の部屋へ向かって行った。
それを見届けると、黒装束の男はミスト・サンを追って屋外に飛び出す。あの忍がこれだけで終わるとは思えない。
事実、ミスト・サンと化学ニンジャ隊の竜研襲撃はここからが第二段階なのだ。
それを見届けると、黒装束の男はミスト・サンを追って屋外に飛び出す。あの忍がこれだけで終わるとは思えない。
事実、ミスト・サンと化学ニンジャ隊の竜研襲撃はここからが第二段階なのだ。
霧の夜はまだ終らない……。