~~死の巻 「フォー・ニンジャ・フォー・デス(後編)」~~
『ついに百年目を迎えた“皇国の忍者”シリーズ! 八年ぶりの最新作が来週からスタートするのを記念して、本日のゲストに主演の……』
都内のとあるラーメン店で、テレビの音声が響き渡る。
注文したラーメンが来るのを待ちながら、ストーン・フィストはテレビの他愛無い宣伝に耳を傾けていた。
注文したラーメンが来るのを待ちながら、ストーン・フィストはテレビの他愛無い宣伝に耳を傾けていた。
(どうせ忍者になるなら、こういう忍者になりたかった……)
彼は今でこそ、化学ニンジャ隊のサイボーグとしてダークサイドに身を置いている。だがかつては輝かしい夢があった。
少年の頃から素行が悪く、学もなかった彼にとって、唯一自慢だったのが腕っ節の強さだった。
何でも良いからビッグになりたい。その拳の強さに賭けて、彼はプロボクサーになる。
デビュー後すぐに頭角を現すと、新人王、日本チャンプ、東洋太平洋と順調にタイトルを獲得。世界チャンピオンのベルトにも手が届くかに思えた。
少年の頃から素行が悪く、学もなかった彼にとって、唯一自慢だったのが腕っ節の強さだった。
何でも良いからビッグになりたい。その拳の強さに賭けて、彼はプロボクサーになる。
デビュー後すぐに頭角を現すと、新人王、日本チャンプ、東洋太平洋と順調にタイトルを獲得。世界チャンピオンのベルトにも手が届くかに思えた。
だが、夢は潰えた。
アムステラ神聖帝国と称する宇宙人が襲来してきた時、その戦争とはまったく関係ないところで階段から落ちて重症を負った。
激しく損傷した彼の脊椎は、進歩した医学といえども完全に修復はできず、重い後遺症を抱え、彼は夢を諦めた。
それより彼の心は荒み、アムステラが世界中の軍事施設を攻撃する間、煮え切らない日々を送っていた。
だがそんなある日、いかにも怪しげな男たちが彼を訪ねた。
アムステラ神聖帝国と称する宇宙人が襲来してきた時、その戦争とはまったく関係ないところで階段から落ちて重症を負った。
激しく損傷した彼の脊椎は、進歩した医学といえども完全に修復はできず、重い後遺症を抱え、彼は夢を諦めた。
それより彼の心は荒み、アムステラが世界中の軍事施設を攻撃する間、煮え切らない日々を送っていた。
だがそんなある日、いかにも怪しげな男たちが彼を訪ねた。
「君の拳を、培った技術を活かせる場所がある。ただし、いくつか受け入れてほしい条件もあるのだが、どうかね?」
それは化学ニンジャ隊のスカウトだった。
彼らはサイボーグ手術を受けさせる代わりに、自分たちの組織の構成員になるという条件を提示した。無論、後ろ暗い組織であることはそれとなく説明した。
今までの人生をボクシングに捧げてきた彼にとって、再び拳で這い上がれるなら、細かいことはどうでも良かった。
彼らはサイボーグ手術を受けさせる代わりに、自分たちの組織の構成員になるという条件を提示した。無論、後ろ暗い組織であることはそれとなく説明した。
今までの人生をボクシングに捧げてきた彼にとって、再び拳で這い上がれるなら、細かいことはどうでも良かった。
彼の損傷した体が、拳が、サイボーグ手術で生まれ変わった。“ストーン・フィスト”の誕生である。
テレビのドラマ宣伝は、まだ“皇国の忍者”について囃し立てていた。日本人なら誰でも知っている現代系忍者殺伐ストーリーだ。
原作小説は20世紀まで存在したという忍者集団を元に書かれ、ドラマ、映画、漫画にアニメとあらゆるメディアに展開しながら、今年で百年目を迎えるそうだ。
まさに日本発のヒーロー。それに比べて自分は、下っ端の荒事に甘んじている……。
原作小説は20世紀まで存在したという忍者集団を元に書かれ、ドラマ、映画、漫画にアニメとあらゆるメディアに展開しながら、今年で百年目を迎えるそうだ。
まさに日本発のヒーロー。それに比べて自分は、下っ端の荒事に甘んじている……。
サイボーグになりたての彼には、まだまだ重要な仕事など回ってこない。
内容もつまらぬもので、今日の任務などは……。
ストーン・フィストはラーメン店の店主を見やる。今夜、ストーン・フィストはこの初老の店主を殺さねばならない。
それは何故か? 店主が化学ニンジャ隊にとってどんな障害だと言うのか? ただ命令されただけのストーン・フィストは首を傾げる。
内容もつまらぬもので、今日の任務などは……。
ストーン・フィストはラーメン店の店主を見やる。今夜、ストーン・フィストはこの初老の店主を殺さねばならない。
それは何故か? 店主が化学ニンジャ隊にとってどんな障害だと言うのか? ただ命令されただけのストーン・フィストは首を傾げる。
いささか背景事情を説明せねばなるまい。
化学ニンジャ首領、機械将軍は、子飼いの政治家にとって邪魔な団体に対処すると約束した。
加えて、彼のビジネス上の敵も同時に黙らせたいと考え、それぞれの事務所や拠点の集中する場所を探した結果、この区画に白羽の矢が立った。
化学ニンジャ首領、機械将軍は、子飼いの政治家にとって邪魔な団体に対処すると約束した。
加えて、彼のビジネス上の敵も同時に黙らせたいと考え、それぞれの事務所や拠点の集中する場所を探した結果、この区画に白羽の矢が立った。
だが直接彼の敵達を実力で排除すれば、波風が立つし、利害関係を嗅ぎつけるネズミが現れかねない。
そこで、まったく関係のない市民を四名、ほぼ同日同時刻に殺害することによって、彼らへの脅迫とすることにした。
何も知らぬ市井の人々には奇妙な殺人事件と見えるが、事情を知る者達――件の団体どもには事前に匂わせておく――にしてみれば、「次はお前だ」というメッセージになる。
そこで、まったく関係のない市民を四名、ほぼ同日同時刻に殺害することによって、彼らへの脅迫とすることにした。
何も知らぬ市井の人々には奇妙な殺人事件と見えるが、事情を知る者達――件の団体どもには事前に匂わせておく――にしてみれば、「次はお前だ」というメッセージになる。
そんな慎重で回りくどい、だが狡猾な策謀の生贄の一人が、このラーメン店店主だった。
ストーン・フィストの他にも三人の下忍が刺客として放たれているが、その標的もたいしたものではないのだろう。
ストーン・フィストの他にも三人の下忍が刺客として放たれているが、その標的もたいしたものではないのだろう。
(事情なんてどうでもいい……。この仕事も軽くこなして、早く大きな仕事を受けたい)
ストーン・フィストにとってまだマシなのは、この仕事が彼にとって初の“暗殺”であることだ。彼は暴れたかった。
それにしてもただのオヤジに拳を振るうのは、彼に残された僅かな良心が咎める。
これで客をぞんざいに扱うような奴ならば気も向いただろうが、接客態度に問題は無かった。
それにしてもただのオヤジに拳を振るうのは、彼に残された僅かな良心が咎める。
これで客をぞんざいに扱うような奴ならば気も向いただろうが、接客態度に問題は無かった。
ラーメンの丼と飯が、先客の席へ運ばれる。では次が自分の分だろう。
店内を横切ろうとした視線が、一人の客とかち合った。
店内を横切ろうとした視線が、一人の客とかち合った。
「……!?」
なんだこの男は? 服装は全身黒尽くめ、首にも黒いマフラーを巻き、丼片手にテレビを見ていた。
どうやら今終わろうとしている“皇国の忍者”の番組宣伝に見入っていたようだ。
そういえば、この男の服装なども忍者のように見えなくも……
どうやら今終わろうとしている“皇国の忍者”の番組宣伝に見入っていたようだ。
そういえば、この男の服装なども忍者のように見えなくも……
(忍者……!?)
ストーン・フィストは緊張したが、表に出すまいと必死で堪えた。なぜこんな所で忍者が? ラーメンをすすっているのだ?
誰もおかしいと思わないのか?
誰もおかしいと思わないのか?
精神が集中したことで、ストーン・フィストは店内の異常に気づき始める。
店内はそこそこ賑わい、家族連れの客も来ているのに、誰も一言も発せず、ただ黙々とラーメンをすすっている。
そして食べ終わると、会計を済ませてそそくさと出て行くのだ。一方へ視線を送らぬようにしつつ。
この客達は店主も含め、その黒装束の男に気づかない振りをしているのだ! そんな者はここにいない、いるはずがないと!
店内はそこそこ賑わい、家族連れの客も来ているのに、誰も一言も発せず、ただ黙々とラーメンをすすっている。
そして食べ終わると、会計を済ませてそそくさと出て行くのだ。一方へ視線を送らぬようにしつつ。
この客達は店主も含め、その黒装束の男に気づかない振りをしているのだ! そんな者はここにいない、いるはずがないと!
「オヤジ。ラーメンおかわりと、ギョーザ四つだ」
「二つで十分ですよぉ」
「四つだ」
「二つで十分ですよ、分かってくださいよ」
「二つで十分ですよぉ」
「四つだ」
「二つで十分ですよ、分かってくださいよ」
黒装束の男の更なる注文に答える店主。男が口を開くたびに、店内に緊張が奔るようだった。
事態を見守っていたストーン・フィストの元に、ようやく注文の味噌ラーメン野菜マシマシが届いた。
やけに遅かったが、あの黒い男のせいかもしれない。そんなことを考えつつ、ラーメンに箸をつける。すると……。
やけに遅かったが、あの黒い男のせいかもしれない。そんなことを考えつつ、ラーメンに箸をつける。すると……。
「店主! 味噌つったのに塩じゃねえか!!」
ストーン・フィストのラーメンはオーダーミスによって別物が来てしまったのだ。
なんということか、店主は黒装束の男に緊張するあまり、初歩的なミスを犯してしまった。
大声を上げるほどのことでもなかった気はするが、ストーン・フィストも店内の張り詰めた空気に、知らぬ間に焦らされていたのだ。
なんということか、店主は黒装束の男に緊張するあまり、初歩的なミスを犯してしまった。
大声を上げるほどのことでもなかった気はするが、ストーン・フィストも店内の張り詰めた空気に、知らぬ間に焦らされていたのだ。
我に返って己の行動を省みるストーン・フィスト。だが彼の心中には別の感情が浮かび始める。
このようなミスをする店主は、殺してもいいだろう。
仕事への引っ掛かりが解消されるのを感じた。否、そう思い込もうとしているだけだが、自分を納得させるには材料が必要だった。
このようなミスをする店主は、殺してもいいだろう。
仕事への引っ掛かりが解消されるのを感じた。否、そう思い込もうとしているだけだが、自分を納得させるには材料が必要だった。
「ヒィィェッ、これは申し訳ありませんでした……!」
「チィッ、もういい」
「チィッ、もういい」
ストーン・フィストは食事を切り上げ、金も払わずに店を後にした。
心は決まった。今夜、この店主を命令通り殺そう。
心は決まった。今夜、この店主を命令通り殺そう。
店を出たストーン・フィストは街を突っ切る。すると、すれ違う人がみな驚いたように道を開けていく。
ストーン・フィストのサイボーグ化は、まだ比較的程度が低く、衣服で隠せば常人と変わりないほどだ。
にもかかわらず、みな恐れるようにこちらを伺っている。これはどういうことか? 自分は今そんなに怖い顔をしていたか?
ストーン・フィストのサイボーグ化は、まだ比較的程度が低く、衣服で隠せば常人と変わりないほどだ。
にもかかわらず、みな恐れるようにこちらを伺っている。これはどういうことか? 自分は今そんなに怖い顔をしていたか?
「……!」
熟練した忍者ならば最初から気づいていただろうが、彼はまだ忍者になりたての、
三下忍者だ。それでも背後から迫る黒いオーラに、ようやく気づいた。
目で見なくてもハッキリしている。尾行だ。それも、相手はラーメン店にいた黒い忍者に違いない。
三下忍者だ。それでも背後から迫る黒いオーラに、ようやく気づいた。
目で見なくてもハッキリしている。尾行だ。それも、相手はラーメン店にいた黒い忍者に違いない。
街路を歩く二人の忍者。距離はあれど、既に互いのオーラは臨戦態勢。
そのボルテージの高まりを感じて、オフィス街から人影が一つ、また一つと消えていく。
ストーン・フィストの任務は夜決行だが、これは良い時間潰しとなる。彼は脇道に入り、少しずつ尾行者を人気のない場所へ誘って行った。
思えばなんたる迂闊さか。使命を帯びた忍が白昼町中でこの騒ぎよう。
そして最大の迂闊さは、敵と己の力量をまったく測りきれていないところだ。
そのボルテージの高まりを感じて、オフィス街から人影が一つ、また一つと消えていく。
ストーン・フィストの任務は夜決行だが、これは良い時間潰しとなる。彼は脇道に入り、少しずつ尾行者を人気のない場所へ誘って行った。
思えばなんたる迂闊さか。使命を帯びた忍が白昼町中でこの騒ぎよう。
そして最大の迂闊さは、敵と己の力量をまったく測りきれていないところだ。
「おいあんた、俺がどういう世界に生きる人間か、分かって付けて来たんだろうな?」
高架下まで来た二人の忍者。ストーン・フィストが先に口を開いた。
「ま、名乗りはいらねえ。お前が何者で、何が目的か、後で身体にじっくり訊くからな」
上着を脱いだストーン・フィスト。その両腕は人工筋肉が隆々と盛り上がり、そのマッシブさはアメコミヒーローの如くである。
そのままファイティングポーズを取り、黒装束の男を真っ直ぐ睨む。一方男の方は、素立ちのまま相手の様子をくまなく見ていた。
そのままファイティングポーズを取り、黒装束の男を真っ直ぐ睨む。一方男の方は、素立ちのまま相手の様子をくまなく見ていた。
「シィッ!!!」
ストーン・フィストが先に仕掛けた! フェイントも何もない、文字通りのストレートだ!
男は先読みしていて、難なく避ける。
だがストーン・フィストはすぐ男の方へと身体を向け、左右のパンチ!
改造された両腕はバネ仕掛けのカラクリも相まって神速。コンビネーションブローの残像が宙に残るほどの速さ!
だが、当たらない! 男は大きく距離を取ってストーン・フィストの猛攻もどこ吹く風。
彼は勘違いしている。ここはロープに囲まれたリングではないのだ。
男は先読みしていて、難なく避ける。
だがストーン・フィストはすぐ男の方へと身体を向け、左右のパンチ!
改造された両腕はバネ仕掛けのカラクリも相まって神速。コンビネーションブローの残像が宙に残るほどの速さ!
だが、当たらない! 男は大きく距離を取ってストーン・フィストの猛攻もどこ吹く風。
彼は勘違いしている。ここはロープに囲まれたリングではないのだ。
相手の素早い動き、認めざるをえない。ストーン・フィストはジャブとフェイントを織り交ぜながら、攻撃を組み立て直す。
そうして間合いを測りながら、一瞬! 最速のフットワークで男に迫り、渾身のストレート!
かの腕には回転機構も備わっており、放たれたパンチが超高速回転のコークスクリューパンチとなった!
そうして間合いを測りながら、一瞬! 最速のフットワークで男に迫り、渾身のストレート!
かの腕には回転機構も備わっており、放たれたパンチが超高速回転のコークスクリューパンチとなった!
だが! これも当たらない! それどころか、男は回避行動すら取っていない。
確信を持って打ち込んだはずが、完全に読み違いを起こしている。すなわち、間合いをズラされているのだ。幻惑!
ストーン・フィストは背筋に冷たいものを感じた。今になって相手がどういう忍か真剣に考え始めた。
確信を持って打ち込んだはずが、完全に読み違いを起こしている。すなわち、間合いをズラされているのだ。幻惑!
ストーン・フィストは背筋に冷たいものを感じた。今になって相手がどういう忍か真剣に考え始めた。
「アメリカン・ボックス・カラテか。良かろう、相手をしてやる」
黒装束の男が初めて口を開いた。すると拳を握り構えを取る。
「L字ガード……!?」
ストーン・フィストは警戒した。
“フィリー・シェル”という構えがある。日本では両の腕が「L」の字を象ることから“L字ガード”の名で呼ばれる構えだ。
使い手としてはフロイド・メイウェザーなどが特に有名で、スピードと反射神経、テクニック次第で高い防御力を発揮する。
“フィリー・シェル”という構えがある。日本では両の腕が「L」の字を象ることから“L字ガード”の名で呼ばれる構えだ。
使い手としてはフロイド・メイウェザーなどが特に有名で、スピードと反射神経、テクニック次第で高い防御力を発揮する。
だが黒装束の男の構えは、厳密には異なる。これは大日本帝國忍術に伝わる“矛と盾の構え”である。
原理は近いが、攻撃と防御の役割を明確にして臨む、戦に備えた構えなのだ。
原理は近いが、攻撃と防御の役割を明確にして臨む、戦に備えた構えなのだ。
「ルアーーッ!!!」
ストーン・フィストのワン・ツーパンチ! これはガードとパリイングで防がれた!
「ララララァラァッ!!!!」
ストーン・フィストの左右のフック! これはスウェーバックで避けられた!
そこで黒装束の男の狙いすましたストレート! ストーン・フィストの大振りになった隙を突くナイスパンチ!
そこで黒装束の男の狙いすましたストレート! ストーン・フィストの大振りになった隙を突くナイスパンチ!
「ごっぷ!?」
彼の顔面にはセラミックプレートを埋め込んで補強してある。にも関わらず、男のパンチ一撃で骨が陥没してしまった。
ストーン・フィストは力量の差を痛感し、見る間に戦意を喪失した。
ストーン・フィストは力量の差を痛感し、見る間に戦意を喪失した。
だがまだ男のターンは終わっていなかった!
ストーン・フィストの両腕を掴むと、そのまま前方へ跳躍! 彼の背後に着地!
この間、男の体が反転したことにより、掴まれたストーン・フィストの腕が交差。間髪入れずに膝の裏を蹴ると、うつ伏せに組み伏せる。
男は相手の背に跨がり、掴んだ腕をいっぱいに引き絞る。
ストーン・フィストの両腕を掴むと、そのまま前方へ跳躍! 彼の背後に着地!
この間、男の体が反転したことにより、掴まれたストーン・フィストの腕が交差。間髪入れずに膝の裏を蹴ると、うつ伏せに組み伏せる。
男は相手の背に跨がり、掴んだ腕をいっぱいに引き絞る。
この体勢はキャメルクラッチに近いが、掴むのは相手の顎ではなく腕、しかも交差して己の首を締め上げる形となる!
大日本帝國忍術・百の技の一つ……極楽固め!!!
ストーン・フィストの腕が軋む。首が絞まり意識が弱まる!
「貴様は化学ニンジャだな。ここで何を企んでいるか話せ」
「な、なんの、ことだ……?」
「な、なんの、ことだ……?」
はぐらかそうとするストーン・フィストに対し、一段と強まる技の締り。
「ギエェェェェ!?」
「貴様は化学ニンジャだな。他に仲間はいるのか?」
「な、なんの、ことだ……?」
「貴様は化学ニンジャだな。他に仲間はいるのか?」
「な、なんの、ことだ……?」
はぐらかそうとするストーン・フィストに対し、一段と強まる技の締り。
「ギエェェェェェェェェェェ!?」
「貴様は化学ニンジャだな。組織の拠点は知っているか?」
「な、なんの、ことだ……?」
「……」
「貴様は化学ニンジャだな。組織の拠点は知っているか?」
「な、なんの、ことだ……?」
「……」
しばしの沈黙の後、黒装束の男は一際力を強めて、一気に腕を引き絞った。
メコリッ、と鈍い音。ストーン・フィスト自慢の両腕は、肩のフレームを無惨にも破壊されてしまった。
メコリッ、と鈍い音。ストーン・フィスト自慢の両腕は、肩のフレームを無惨にも破壊されてしまった。
「ッッッッッッッッッッッッ!!!!!」
「これで最後だ。洗いざらい全てを話せ」
「これで最後だ。洗いざらい全てを話せ」
翌日。件のラーメン店のオヤジは今日もせっせとラーメンを振舞っている。間もなく繁忙期が来て忙しくなるだろう。
店内のテレビがニュースを伝える。それによれば、身体を改造している身元不明の遺体が三体発見されたという。
店内のテレビがニュースを伝える。それによれば、身体を改造している身元不明の遺体が三体発見されたという。
「おいおい、この街じゃねえかよぅ」
店主は恐ろしそうに肩を震わせた。
「オヤジ。ラーメンおかわりと、ギョーザ四つだ」
「二つで十分ですよぉ」
「四つだ」
「はぁ、わかりましたよぉ」
「二つで十分ですよぉ」
「四つだ」
「はぁ、わかりましたよぉ」
苦笑いしながら、店主はその食いっぷりの良い客のため、手早く調理を始めた。