影狼隊徒然記【隊長の優雅な休暇】その3
~ 日本・某所繁華街の高級中華料理店 ~
後刻。臨時アルバイト店員Rは、その時の状況をこう語った。
「あの部屋は特別なお客様で、絶対邪魔しちゃ駄目と言われてたから、派手な物音がしても入らなかったじゃん・・・巻き込まれても怖いし」
「でも、急に音がしなくなったから。流石に気になって入ったら・・・」
「でも、急に音がしなくなったから。流石に気になって入ったら・・・」
東洋系の臨時アルバイト店員Rは、その時の光景を思い出して身震いする。
「ガチムチおっさんが床で伸びてて、ブリーフ姿の眼帯ガチムチ親父がおっさんのズボンを下げてるじゃん。だから思わず俺はこう叫んだね」
『 ギ ャ ー ッ !! ホ モ だ ぁ !! 掘 ら れ る じ ゃ ー ん ッ !! 』
「そしたら眼帯親父が俺が動くよりも早く、一瞬で俺の目の前にスッ飛んで来たじゃん。思わずチビったね俺・・・」
「でも、強面な顔の割に意外と親切でさぁ。無造作に4~5万円ばかし俺の手に握らせてこう言ったじゃん」
「でも、強面な顔の割に意外と親切でさぁ。無造作に4~5万円ばかし俺の手に握らせてこう言ったじゃん」
『脅かして済まねぇな、坊や。ちょいとオイラのズボンと靴を買って来てくれや。このサイズのな。それと釣りは取っときな』
「だから千切れたズボンの右半分と右足だけの靴も受け取って、俺は洋服屋へ走ったじゃん。ダッシュで」
「後はズボンと靴を買って眼帯親父に渡してから、宴会場を『片付けて』バイトは終わったじゃん」
「後はズボンと靴を買って眼帯親父に渡してから、宴会場を『片付けて』バイトは終わったじゃん」
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~ 日本・某所繁華街の一角にある高級バー ~
目が覚めた加羅を連れて、新調のズボンと革靴を履いた毒砲は、今度は行きつけのバーへと向かった。
そして静かな店内の一角に落ち着いた処で、先ほどの騒動に関する話を始める。
そして静かな店内の一角に落ち着いた処で、先ほどの騒動に関する話を始める。
「加羅よォ・・・オメェの性根は手合わせしてみて判った。オイラだって昔はやんちゃしたしな。今日のとこはもう、細けぇ事は聞かねぇよ」
「それで、だ。さっきの狐面の正体、オメェには見当付くかい?」
「かなりの手練で我々も初見。勝美お嬢さんと『生身以外で』立ち合ったとなると、戦場としか考えられない。つまりはアムステラ人」
「それで、だ。さっきの狐面の正体、オメェには見当付くかい?」
「かなりの手練で我々も初見。勝美お嬢さんと『生身以外で』立ち合ったとなると、戦場としか考えられない。つまりはアムステラ人」
毒砲もその加羅の読みに肯いて、推量を続ける。
「まぁ勝美が闇試合でもやってりゃ、戦場以外で立ち合う場合もあるだろーがヨォ。奴は『操兵』と漏らしたからな。ありゃあ・・・」
「・・・『アムステラ陣営での呼称』ですからね。一般人への被害を気にしていた辺りも符合します」
「ブラッククロス団の連中じゃ、ンなの気にしねぇもんなぁ~」ゴキュゴキュッ・・・カランッ。
「・・・『アムステラ陣営での呼称』ですからね。一般人への被害を気にしていた辺りも符合します」
「ブラッククロス団の連中じゃ、ンなの気にしねぇもんなぁ~」ゴキュゴキュッ・・・カランッ。
高級ウィスキーをまるで水の様に飲み乾す毒砲。加羅はフト何かに気付いた様な顔で毒砲に問いかける。
「しかし、アムステラの人間が一体、何の目的だったんですかねぇ?」
「・・・アァ? そりゃ奴が自分で言ってた通りの理由だろ? オイラの『蛇輪』を直接見たかったんじゃねーか」
「そっ、それだけの理由で・・・?!」「オイラだって、奴の立場だったらきっとそーする」
「・・・アァ? そりゃ奴が自分で言ってた通りの理由だろ? オイラの『蛇輪』を直接見たかったんじゃねーか」
「そっ、それだけの理由で・・・?!」「オイラだって、奴の立場だったらきっとそーする」
毒砲の強烈な自己賛美に呆れ返った加羅だが、毒砲が続けて放った科白には目を剥いて驚く。
「今回の勝負は、流石『ヘルハウンド』だと誉めてやろうじゃねーか。まっ、オイラほどじゃねーがな」
「な、何ですって先生! 何故、奴が『ヘルハウンド』だと??」
「勝美が既に遭ってる奴で、こんな小器用な真似が出来そうな奴となると限られるだろ?」
(※SRC作品『Starlight Nexus -ホシノキズナ-』参照)
「な、何ですって先生! 何故、奴が『ヘルハウンド』だと??」
「勝美が既に遭ってる奴で、こんな小器用な真似が出来そうな奴となると限られるだろ?」
(※SRC作品『Starlight Nexus -ホシノキズナ-』参照)
一方その頃。毒砲達が居る繁華街とさして離れて居ない某所では・・・
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~ 日本・某所にあるキャバクラ(@実はブラッククロス傘下)隠し部屋 ~
灰色覆面のサンキスト・パラディンとブラッククロス・シンガポール支部より出張のアイス・ピック副隊長、及びラ・メーンの3名が
モニターに映る編集映像を注視していた。
モニターに映る編集映像を注視していた。
「・・・噂には聞いて居ましたが、物凄い実力ですねこの人・・・」
「キィスト・・・これならラ・メーン君の貞操の2つや3つ、喜んで差し出せる位の価値があるよねぇ~」
「ちょっ! 思い出させないで欲しいじゃん! マジ怖かったんすからぁ~!!」
「キィスト・・・これならラ・メーン君の貞操の2つや3つ、喜んで差し出せる位の価値があるよねぇ~」
「ちょっ! 思い出させないで欲しいじゃん! マジ怖かったんすからぁ~!!」
そう。中華料理店から回収した小型隠しカメラと、狐面に仕込まれたカメラの映像を組み合わせ、立体映像で状況を再現していたのだ。
「うわっ! めっちゃ回ってるじゃん! あの隊長サン、よくこんなの喰らって生きてたなー」
「・・・キィィ~ッスト。素晴らしい。実に素晴らしい映像だよこれは・・・」
「苦労して事前にカメラを仕掛けた甲斐がありましたね」
「・・・キィィ~ッスト。素晴らしい。実に素晴らしい映像だよこれは・・・」
「苦労して事前にカメラを仕掛けた甲斐がありましたね」
そう。通信教育でとはいえ、大蛇流空手を学んでいたパラディンは、最強の使い手たる大蛇毒砲に関する個人情報も集めていたのである。
そもそもサンキスト一族の仇敵である百文字との因縁を持ち、かつ、その百文字を危機に陥れた人物の一人となれば、注視対象ともなろう。
(正確に言えば『未だ生存していて、所在も知れている』人物と言うべきか? 片手で数える程度しか居ないだろうが)
そもそもサンキスト一族の仇敵である百文字との因縁を持ち、かつ、その百文字を危機に陥れた人物の一人となれば、注視対象ともなろう。
(正確に言えば『未だ生存していて、所在も知れている』人物と言うべきか? 片手で数える程度しか居ないだろうが)
故に、毒砲の私生活上の行動パターンはパラディンにもある程度は予測出来た。無論、それを利用すれば毒砲の暗殺すら可能かもしれない。
だが、彼を暗殺出来る可能性は百文字相手ほどでは無くても非常に低く、なおかつ失敗した時のリスクは大きい。
だが、彼を暗殺出来る可能性は百文字相手ほどでは無くても非常に低く、なおかつ失敗した時のリスクは大きい。
優秀な指揮官でもある毒砲を暗殺する必要性が無いとは言わないが、ゲリラ戦主体のブラッククロス団だと、わざわざ手を下す動機は薄い。
下手に手出しして藪蛇になる位ならむしろ、毒砲と百文字が再戦するのを期待した方がよっぽど安全というものであった。
下手に手出しして藪蛇になる位ならむしろ、毒砲と百文字が再戦するのを期待した方がよっぽど安全というものであった。
「それにしてもパラディンさん。何であの隊長さんは日本支部じゃなくて僕達の処に訪ねて来たんでしょう?」
「そういや後で変な事も言ってたじゃん。『済まないが、君達がチカーロ中佐に回した技術を一部パクらせて貰った』とか何とか」
「キィス! あの人は休暇中って言ったじゃない。非公式なんで目立たない様にボク達を訪ねて来たんじゃないかなー」
「随分、いい加減な理由に聞こえますが・・・」「うちの大ボス(エクスダー)だって、そんなモンじゃん?」
「そういや後で変な事も言ってたじゃん。『済まないが、君達がチカーロ中佐に回した技術を一部パクらせて貰った』とか何とか」
「キィス! あの人は休暇中って言ったじゃない。非公式なんで目立たない様にボク達を訪ねて来たんじゃないかなー」
「随分、いい加減な理由に聞こえますが・・・」「うちの大ボス(エクスダー)だって、そんなモンじゃん?」
しかし、パラディンはその軽い返答とは裏腹に、内心では色々と考えていた。
(「どうやら彼は、日本支部の蔵金芯太郎を信用して居ない・・・というか、危険視してる?」)
(「そして我々が『吸血チカーロ』に渡した技術を『盗んだ』と言った・・・やはり、アムステラも一枚板ではないのだろうね?」)
(「だが我々に対する態度を見るに、明確な『敵意』は感じられない・・・『黙認』が一番近いのだろうか?」)
(「そして我々が『吸血チカーロ』に渡した技術を『盗んだ』と言った・・・やはり、アムステラも一枚板ではないのだろうね?」)
(「だが我々に対する態度を見るに、明確な『敵意』は感じられない・・・『黙認』が一番近いのだろうか?」)
パラディンの思考は、影狼隊隊長の来訪が意味する状況を見極めようと、高速で回転していた。
(「・・・そう。毒砲氏の貴重な戦闘記録を心良く分けてくれた事からも、まだ少なくとも彼には我々への敵意が無いと見て良いだろう」)
(「しかし、我々の立ち回り次第では敵に回るかもしれない・・・というか、それは『彼を動かす者』の思惑次第かもだけどね」)
(「だけど、変に警戒しても無駄か。彼が本気ならば、『気付いた時には終わっている』だろうしね・・・」)
(「しかし、我々の立ち回り次第では敵に回るかもしれない・・・というか、それは『彼を動かす者』の思惑次第かもだけどね」)
(「だけど、変に警戒しても無駄か。彼が本気ならば、『気付いた時には終わっている』だろうしね・・・」)
さて、パラディンがそんな状況分析をしている頃。影狼隊隊長はといえば、既に日本から離れていた。
彼が次に向かうは中国。目指すは白華鳳凰拳の使い手にして、趙財閥の御曹司でもある趙深虎。
この相手に如何なる手をもって、如何なる闘いを挑む気なのか・・・。
彼が次に向かうは中国。目指すは白華鳳凰拳の使い手にして、趙財閥の御曹司でもある趙深虎。
この相手に如何なる手をもって、如何なる闘いを挑む気なのか・・・。