ウルトラマサイ 第15話
(自らと比較し、大型と小型が一、どちらも極上のエネルギー。
残りは傷んだクズ、戦意も無く放置で良し)
残りは傷んだクズ、戦意も無く放置で良し)
ウルトラマサイ(仮称)は体当たりの際にロイヤルナイツ機から、組み合い投げ飛ばされる際に
ギガントから奪ったエネルギーを吟味し歓喜に震える。
ギガントから奪ったエネルギーを吟味し歓喜に震える。
(蘇ってすぐにこんなエネルギーが二つも。アタイは本当についている。
おまけにあれらの操縦者はこの世界の一定の地位を得た者である可能性が高い。
こいつらを取り込めばこの大陸一帯の虫けらどもはアタイを神と崇めるだろう)
おまけにあれらの操縦者はこの世界の一定の地位を得た者である可能性が高い。
こいつらを取り込めばこの大陸一帯の虫けらどもはアタイを神と崇めるだろう)
復活後、手当りしだいにエネルギーを取り込んでいたウルトラマサイは
腹六分目に達した所で数百年ぶりに生物としての思考を行い、自分の目的を思い返す。
腹六分目に達した所で数百年ぶりに生物としての思考を行い、自分の目的を思い返す。
(ククク、見ているかボボア。アタイはこいつらを吸収して虫けら達の上に絶対者として君臨する。
密林の奥に閉じこもり休眠し、僅かな虫けらに崇められ、たまに献上される僅かなエネルギーで
満足していたお前とは違うんだよ)
密林の奥に閉じこもり休眠し、僅かな虫けらに崇められ、たまに献上される僅かなエネルギーで
満足していたお前とは違うんだよ)
今の今までマトモに頭が働いていなかった。故に昨日の事の様に思い出せる。
意見の違いから決別した友、自分が神として君臨するための一歩目に立ちはだかり
見事打ち倒しやがった友、あいつのせいで自分の身体は二つに切り離され
崇めさせるべき虫けらに逆に奉仕し続ける屈辱の時を延々と過ごしてきた。
意見の違いから決別した友、自分が神として君臨するための一歩目に立ちはだかり
見事打ち倒しやがった友、あいつのせいで自分の身体は二つに切り離され
崇めさせるべき虫けらに逆に奉仕し続ける屈辱の時を延々と過ごしてきた。
(さ、今まで何世代も力を貸してやったんだ。ツケを払ってもらおうか。
アタイの為に死ぬまで働けよ生体回路1号)
アタイの為に死ぬまで働けよ生体回路1号)
ウルトラマサイは自分を操縦するムチャウの脳内に語りかける。
(うおおおお、うおおっ、あおっ)
(ねー、アタイの話聞いてる?あっ、返事出来ないか!
脳のスペックほぼ全部アタイの操作に使わせてるんだし)
(おおっ…当て馬とみょんは関係ないだろ…助けてやってくれ…)
(凄いね君。うん、だけどそれ無理。こいつらは生体回路2号と3号、
道すがら拾ったにしては中々の予備パーツだから捨てるわけない。
まあ後数日もしたら全員出してあげるよ。その時にはシワシワのジジイになってるけどね)
(や、やめ…うぉぉぉぉぉぉ!!!!!!)
(ねー、アタイの話聞いてる?あっ、返事出来ないか!
脳のスペックほぼ全部アタイの操作に使わせてるんだし)
(おおっ…当て馬とみょんは関係ないだろ…助けてやってくれ…)
(凄いね君。うん、だけどそれ無理。こいつらは生体回路2号と3号、
道すがら拾ったにしては中々の予備パーツだから捨てるわけない。
まあ後数日もしたら全員出してあげるよ。その時にはシワシワのジジイになってるけどね)
(や、やめ…うぉぉぉぉぉぉ!!!!!!)
ムチャウのイメージ以上の精神力に多少驚愕したウルトラマサイ。
だが、操れないという程ではない。脳神経をより強く圧迫し感情を殺させていく。
だが、操れないという程ではない。脳神経をより強く圧迫し感情を殺させていく。
「誰か…こいつを止め…」
意識が消え去る直前、ムチャウはかすれる声で助けを求めた。
その小さな声はほとんどが機体内で反響し吸収され、外へ漏れたのは本当に僅か。
だが、その声があった事自体常人では気づけない程度のものを目の前で対峙する二人は
しっかりと聞きその意味を理解していた。
その小さな声はほとんどが機体内で反響し吸収され、外へ漏れたのは本当に僅か。
だが、その声があった事自体常人では気づけない程度のものを目の前で対峙する二人は
しっかりと聞きその意味を理解していた。
「ぬうっ、やはりこの怪物のパイロットは…」
サイボーグ化により常人以上の超聴力を得ていた百文字は彼の声を聞いていた。
「装置によって意思に反し戦わされる兵か、この星でも見ることになるとは」
百文字程の聴力は無いが、トワイスにも声は届いていた。
親譲りの大きな耳は伊達ではない。
親譲りの大きな耳は伊達ではない。
やがてムチャウを完全な部品として従えたウルトラマサイは
ギガントとロイヤルナイツを交互に見比べる。
吸収したエネルギーに差は無いが体当たりによるダメージが若干ながら存在した事、
それとサイズの差からこちらが楽だと判断したのだろう。
ギガントとロイヤルナイツを交互に見比べる。
吸収したエネルギーに差は無いが体当たりによるダメージが若干ながら存在した事、
それとサイズの差からこちらが楽だと判断したのだろう。
「んぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
トワイスの乗る機体へと突撃する。
(やはり最初に私を潰しに来たか…。機体のエネルギーが20%減少している。
体当たりだけのダメージでのタンク漏れはない、あの両手に何かあるな)
体当たりだけのダメージでのタンク漏れはない、あの両手に何かあるな)
「だがっ、稚拙!」
不意打ちならともかく、そんな単純な攻撃はもう通用しないとばかりに
紙一重でかわし、最高のカウンタータイミングで剣を握った両拳をウルトラマサイの顔面に殴りつける。
紙一重でかわし、最高のカウンタータイミングで剣を握った両拳をウルトラマサイの顔面に殴りつける。
「があっ!」
「貴様はこれから私に触れる事なく撃墜される」
「貴様はこれから私に触れる事なく撃墜される」
顔面への攻撃で仰け反った直後、踏ん張ろうと力を込めた両膝に剣の先端を使い刺突、
下がって距離を取ろうとすると剣を大きく振り上げ背中に向かって降りおろされ
引き戻される。時に突き・時に受け・時に叩き・時に払う。
ムチャウの意識をベースとした野生の連撃は技術によって全てが跳ね返されていく。
下がって距離を取ろうとすると剣を大きく振り上げ背中に向かって降りおろされ
引き戻される。時に突き・時に受け・時に叩き・時に払う。
ムチャウの意識をベースとした野生の連撃は技術によって全てが跳ね返されていく。
だが、反撃を主体としたトワイスの剣舞はウルトラマサイに決定打を与えるには不足。
1分近く連撃を受け慣れ始めたウルトラマサイは足を止め相打ち狙いで掴みかかる。
1分近く連撃を受け慣れ始めたウルトラマサイは足を止め相打ち狙いで掴みかかる。
「そう来ると思っていたぞ」
「うおっ?」
「うおっ?」
足を止めたのと同時、いや、止めようとした正にその時。
ロイヤルナイツ機は大きくタメを作ってから、踏み込みと同時に重い突きを連続で叩き込む!
ロイヤルナイツ機は大きくタメを作ってから、踏み込みと同時に重い突きを連続で叩き込む!
「アムステラ銛術――釣果漁乱」
ガガガガガガン!
瞬く間にウルトラマサイに穴が開けられていく。
そして四肢を破壊され手も足も出なくなった所に最後の全体重を乗せた一撃が迫り、
瞬く間にウルトラマサイに穴が開けられていく。
そして四肢を破壊され手も足も出なくなった所に最後の全体重を乗せた一撃が迫り、
「マサァァァァイ、フレーィム!」
「何っ!?」
「何っ!?」
最後の一撃が胴体を破壊するより先に腹が開き何かが飛び出す。
それが本来ならば戦闘機に搭載されているはずのミサイルだと気づいた時には
剣の先端と接触しており―、
それが本来ならば戦闘機に搭載されているはずのミサイルだと気づいた時には
剣の先端と接触しており―、
チュドォォォォン!
爆音の中心にいたロイヤルナイツ機とウルトラマサイが表面を焦がしながら
吹き飛びダウンする。
共に大ダメージを負ったが、ウルトラマサイの外見はみるみる内に修復されていき
トワイスの連撃で開けられた傷も10秒足らずで塞がれていった。
爆音の中心にいたロイヤルナイツ機とウルトラマサイが表面を焦がしながら
吹き飛びダウンする。
共に大ダメージを負ったが、ウルトラマサイの外見はみるみる内に修復されていき
トワイスの連撃で開けられた傷も10秒足らずで塞がれていった。
「ば、馬鹿なっ」
(残りエネルギー35%、チイッ、再生にエネルギーが思ったより掛かる。
でもこれでコイツはもう怖くない。アタイの残り一人の獲物、デカイ方の虫けらは)
「…レスラーへの賛歌その17!」
(残りエネルギー35%、チイッ、再生にエネルギーが思ったより掛かる。
でもこれでコイツはもう怖くない。アタイの残り一人の獲物、デカイ方の虫けらは)
「…レスラーへの賛歌その17!」
両者の戦いを静観していたギガントは大ダメージを残しているトワイスではなく、
ウルトラマサイへと水面蹴りを放つ。
エネルギーを両手の接触で奪ってくる事、声の出処から上半身・胸部分に
ムチャウ達が囚われている事を知る百文字は多くのレスラー技が使えなかった。
残された選択肢の中、百文字は水面蹴りで両足を狙う事を選んだ。
ウルトラマサイへと水面蹴りを放つ。
エネルギーを両手の接触で奪ってくる事、声の出処から上半身・胸部分に
ムチャウ達が囚われている事を知る百文字は多くのレスラー技が使えなかった。
残された選択肢の中、百文字は水面蹴りで両足を狙う事を選んだ。
(キャハっ、アタイにはそうくるのは分かっていた、だからこうさっ)
トワイスとの闘いの中静観していたギガントを見て、百文字がムチャウ達の事を考慮し
こちらに手心を加える可能性を見抜いていたウルトラマサイは両手をだらりと下げ、
水面蹴りを喰らいながらもエネルギーを吸収しダメージを無効化した。
こちらに手心を加える可能性を見抜いていたウルトラマサイは両手をだらりと下げ、
水面蹴りを喰らいながらもエネルギーを吸収しダメージを無効化した。
「…ぐうっ!!!」
ギガントのエネルギー残量がイエローゾーンに掛かり焦りを見せる百文字。
百文字にはウルトラマサイを倒すだけのパワーがあるが、
中にいるレゼルヴェの民を避けつつ破壊する事は困難を極める。
トワイスには再生を上回る一撃を放つ力が不足している。
中にいるレゼルヴェの民を避けつつ破壊する事は困難を極める。
トワイスには再生を上回る一撃を放つ力が不足している。
(このまま、じわじわと吸収しパイロットごとアタイのものに。
ああ、最高の瞬間が一歩づつ近づいてくる)
ああ、最高の瞬間が一歩づつ近づいてくる)
戦況が自分に有利なのを理解したウルトラマサイは二つの極上エネルギーを
完全に得た自分を想像し舌なめずりする。
完全に得た自分を想像し舌なめずりする。
その時だった。
零距離ミサイル爆発の直撃を受け三者の中敗北に最も近いと思われていた
ロイヤルナイツ機がトワイスの呟きと共に両手剣を振り回す。
零距離ミサイル爆発の直撃を受け三者の中敗北に最も近いと思われていた
ロイヤルナイツ機がトワイスの呟きと共に両手剣を振り回す。
「星の守護たる銀の剣よ、大地の血を介しその真の力を示せ」
魔法の詠唱の如きトワイスの言葉が終わると、剣の柄から血の様に
真っ赤な液体が流れ落ち剣を染めていく。
真っ赤な液体が流れ落ち剣を染めていく。
「あれは、ガソリンか」
臭いと色こそ違うがそれは地球で言うガソリンにあたる液体である。
剣の表面を伝っていく雫の音を拾った百文字は液体の正体を、
そして液体を交わった銀の剣の正体をも見抜いていた。
剣の表面を伝っていく雫の音を拾った百文字は液体の正体を、
そして液体を交わった銀の剣の正体をも見抜いていた。
完全に赤に染まった剣、その切っ先をウルトラマサイへと向ける。
その時、ギガント28号もまた、ウルトラマサイを撃破するべく技の構えを取っていた。
左腕を力こぶを作るかのように構え、添えた右手を左右に動かす。
その時、ギガント28号もまた、ウルトラマサイを撃破するべく技の構えを取っていた。
左腕を力こぶを作るかのように構え、添えた右手を左右に動かす。
嘗て一撃必殺の左腕を持つプロレスラーがいた!
彼が腕のサポーターの位置を直すのは最後の一撃への布石!
プロレス界の誰もが彼の一撃の前にはなすすべなく首を刈られていった!
彼が腕のサポーターの位置を直すのは最後の一撃への布石!
プロレス界の誰もが彼の一撃の前にはなすすべなく首を刈られていった!
「ワシは捧ぐ!『不沈艦』と呼ばれ日本にアメリカン・プロレスパワーを持ち込んだッ」
サポーターの位置を直すモーションの後狙いを付けて走り出すっ!
ウルトラマサイの首、一点をターゲットとし左腕を水平に構える!
ウルトラマサイの首、一点をターゲットとし左腕を水平に構える!
「スタン・ハンセンにこのウエスタンラリアートを捧げるーッ!!!!!」