ウルトラマサイ 第16話
「ウィイイイイイイイ!!!!!!!!!!!!!」
雄叫び、爆走、太刀の如き左腕、百文字。
「我が人生、この一振りに乗せ戦を終わらせん!!!」
決意、疾走、赤く濡れた銀剣、トワイス。
本来敵同士の二名は、共闘するかの様に同時にウルトラマサイに
必殺の一撃を見舞わんとしていた。
それは両者ともこの怪物を真っ先に倒すべき脅威と感じたからか。
必殺の一撃を見舞わんとしていた。
それは両者ともこの怪物を真っ先に倒すべき脅威と感じたからか。
だが、ウルトラマサイも黙って相手の奥義の連撃を受ける気は無い。
(両手でそのまま受け止めたら腕ごと首と胴を持ってかれる!ならば―)
ウルトラマサイは両腕を組み、両側から迫る必殺への対策を叫びと共に繰り出す。
「マサァァァイ、シールドォー!!」
ワシャワシャワシャ
ウルトラマサイの両肩から金属製の紐が何十本も伸び、
スチールタワシの如く複雑に絡みあい一瞬で巨大な盾を左右に完成させる。
スチールタワシの如く複雑に絡みあい一瞬で巨大な盾を左右に完成させる。
(ここに来るまでに吸収した機体の残骸から盾を組み上げた、
これにブチ当たって勢いが弱まった所をキャッチ&イート!!)
これにブチ当たって勢いが弱まった所をキャッチ&イート!!)
最早マサイの戦士と何の関係も無い技だが、『一撃』を防ぐだけならば
これは上策と言えた。
これは上策と言えた。
「かまわぬ!」
「このまま突き進むのみ!」
「このまま突き進むのみ!」
武もプロレスもその道はままならぬもの、この程度想定内とばかりに
構えもそのままトワイス機とギガントは盾ごと相手を打ち倒しに掛かる。
構えもそのままトワイス機とギガントは盾ごと相手を打ち倒しに掛かる。
腕によりヘシ折られ、剣により切り飛ばされる即席の盾。
その向こうには無防備のウルトラマサイ本体が―――
居なかった。
その向こうには無防備のウルトラマサイ本体が―――
居なかった。
(勝った!ギガント破壊指令・完!!)
ウルトラマサイは一歩も動かずそこに立っていた。
だが、その体格は先程までの4分の1以下、8m弱にまで縮小させていた。
マサイシールド発動直後、本体が盾の影になった時に咄嗟に体格を縮めていたのだ!!
結果、ウエスタン・ラリアートも血塗られた斬撃も盾のみを切り裂き、
小さくなったウルトラマサイの頭上を過ぎ去った運動エネルギーは空転し、霧散する。
後は必殺技使用後の隙を突き全エネルギーとパイロットを取り込めば勝利が確定する。
だが、その体格は先程までの4分の1以下、8m弱にまで縮小させていた。
マサイシールド発動直後、本体が盾の影になった時に咄嗟に体格を縮めていたのだ!!
結果、ウエスタン・ラリアートも血塗られた斬撃も盾のみを切り裂き、
小さくなったウルトラマサイの頭上を過ぎ去った運動エネルギーは空転し、霧散する。
後は必殺技使用後の隙を突き全エネルギーとパイロットを取り込めば勝利が確定する。
ウルトラマサイを上方を向き、自分を狙った脅威が過ぎ去ったかを確認する。
(んふっふー、お互いの必殺技がぶつかり合って相打ちしてくれてたらベストだけど、
例え空振りしただけでも、その状況ならアタイの手が最速だよね)
例え空振りしただけでも、その状況ならアタイの手が最速だよね)
ギリギリギリギリ
(ん?この音は一体)
ギガントと目が合う。その目は未だ闘士に燃えており、そしてラリアートの為に
繰り出された腕は盾を砕いた位置でブレーキを掛けられ、未だ大部分のパワーが
その腕に溜め込まれていた。聞こえてくる軋む様な音はこのギガントのバネに掛かる負荷の音。
繰り出された腕は盾を砕いた位置でブレーキを掛けられ、未だ大部分のパワーが
その腕に溜め込まれていた。聞こえてくる軋む様な音はこのギガントのバネに掛かる負荷の音。
最大の一撃を振り抜いたと思われた剣士もまた攻撃を終えては居なかった。
振り抜いた剣を逆手に持ち、返し刃が足元の縮んだウルトラマサイを狙っている。
振り抜いた剣を逆手に持ち、返し刃が足元の縮んだウルトラマサイを狙っている。
(な、なんで、これじゃあまるでアタイが小さくなってたのがバレバレじゃあ)
「鉄板一枚で視界を防いだ所でワシの耳から逃れられると思ったか」
「影が短くなっていくのを見て盾の向こうのお前がどうなっているかは想像できた」
(だとしても、あの一瞬でそれだけの判断を―!!)
「鉄板一枚で視界を防いだ所でワシの耳から逃れられると思ったか」
「影が短くなっていくのを見て盾の向こうのお前がどうなっているかは想像できた」
(だとしても、あの一瞬でそれだけの判断を―!!)
ウルトラマサイの敗因、それは相手を甘く見た事、そしてこの二人が選んだ
『一撃必殺』には続きがあった事!!
『一撃必殺』には続きがあった事!!
「アムステラ衆手活性流奥義・精根撃に重ね」
「ワシは捧ぐ、倒されし相手へのこの介錯の一撃を」
「返し刃心烈斬―――!!!」
「エルボードロップを捧げる―――!!!」
「ワシは捧ぐ、倒されし相手へのこの介錯の一撃を」
「返し刃心烈斬―――!!!」
「エルボードロップを捧げる―――!!!」
頭部へと撃ち下ろされる二の撃。
体格を縮めたばかりに今度は両方ともが同時に頭を狙ってくるそれは
とても止められるものではなく、仮面がギガントの肘で砕かれ
剣で首をはねとばされたと感じた直後、胴体から取り込んだ人間が
排出されていくのを感じながらウルトラマサイは再びその意識を己の野心と共に失っていった。
体格を縮めたばかりに今度は両方ともが同時に頭を狙ってくるそれは
とても止められるものではなく、仮面がギガントの肘で砕かれ
剣で首をはねとばされたと感じた直後、胴体から取り込んだ人間が
排出されていくのを感じながらウルトラマサイは再びその意識を己の野心と共に失っていった。
【アムステラ衆手活性流(しゅうじゅかっせいりゅう)】
宇宙に存在するあらゆる武術を記録し、実践を重ねることでより合理的な鍛錬や
連撃を開発、最終的には模倣ではない己のオリジナルを得るに至る事を目的とした流派。
多くの武術を取り込む為の根気と才能、技を借りる際の他流派への敬意が
不可欠で有るため習得者の数は少ないが己の奥義を得るに達した者達は
皆アムステラ有数の実力者として歴史に名を残している。
アムステラ武術史を纏めているケブレ家が立ち上げた流派であり、
その性質故にアムステラ静心流やアムステラ鍔家流の使い手とは互いを高める為に
交流を深めている。
宇宙に存在するあらゆる武術を記録し、実践を重ねることでより合理的な鍛錬や
連撃を開発、最終的には模倣ではない己のオリジナルを得るに至る事を目的とした流派。
多くの武術を取り込む為の根気と才能、技を借りる際の他流派への敬意が
不可欠で有るため習得者の数は少ないが己の奥義を得るに達した者達は
皆アムステラ有数の実力者として歴史に名を残している。
アムステラ武術史を纏めているケブレ家が立ち上げた流派であり、
その性質故にアムステラ静心流やアムステラ鍔家流の使い手とは互いを高める為に
交流を深めている。
なお、衆手活性流をけっして「ステカセ流」と読んではいけない。
意味的には大体あってるが、藤宮流のルルミー・ハイドラゴン(当時13歳)が
この流派名をワザと読み間違えた時、それが原因でガチの他流試合に発展した。
意味的には大体あってるが、藤宮流のルルミー・ハイドラゴン(当時13歳)が
この流派名をワザと読み間違えた時、それが原因でガチの他流試合に発展した。
【レスラーへの賛歌、エルボードロップ】
エルボードロップはスタン・ハンセンのもう一つの代名詞である。
ウエスタンラリアートがスタンディング状態の相手の首を狩る天の技ならば
エルボードロップは寝転がり苦しむ相手への介錯の如き地の技。
スタン・ハンセンはこの二つの技を自在に使い、ウエスタンラリアートへの
布石としてエルボードロップを多様していた。
百文字がウエスタンラリアートの空振りからエルボードロップに瞬時に
移行する事が出来たのもこのスタン・ハンセンのムーブがあったからであり、
それはプロレスを知らないウルトラマサイにはとても理解する事が出来ない身体の動きだった。
エルボードロップはスタン・ハンセンのもう一つの代名詞である。
ウエスタンラリアートがスタンディング状態の相手の首を狩る天の技ならば
エルボードロップは寝転がり苦しむ相手への介錯の如き地の技。
スタン・ハンセンはこの二つの技を自在に使い、ウエスタンラリアートへの
布石としてエルボードロップを多様していた。
百文字がウエスタンラリアートの空振りからエルボードロップに瞬時に
移行する事が出来たのもこのスタン・ハンセンのムーブがあったからであり、
それはプロレスを知らないウルトラマサイにはとても理解する事が出来ない身体の動きだった。
◇◇◇
【五日後】
チューチューと何かを吸う音を聞きムチャウ・ザイネンは目を覚ました。
「ここはどこだ…、アタイは怪物にならずに済んだのか…」
胸にずっしりとした、重いものが乗っている感覚がある。
何が乗っているのかと目をこすりながら確認すると、子供ぐらいの大きさの人間が
自分の胸にしゃぶりついているのだと分かった。このプラチナブロンドには見覚えがある。
何が乗っているのかと目をこすりながら確認すると、子供ぐらいの大きさの人間が
自分の胸にしゃぶりついているのだと分かった。このプラチナブロンドには見覚えがある。
「おいジュダ・ミョンウェー、何をしている」
「うわっ!」
「うわっ!」
突如声を掛けられた人影は驚き胸から転がり落ちる。
床に倒れ込む姿を見てムチャウはやや違和感を感じた。元々ジュダは小柄だったが
自分の記憶のジュダよりもこいつはさらに一回り以上小さい。
自分の目か身体に異変があるのか、それともこれはジュダに似た別人か。
床に倒れ込む姿を見てムチャウはやや違和感を感じた。元々ジュダは小柄だったが
自分の記憶のジュダよりもこいつはさらに一回り以上小さい。
自分の目か身体に異変があるのか、それともこれはジュダに似た別人か。
「魔女同盟ベルンシュガーのスーパーレアカード」
「欲しいみょん」
「欲しいみょん」
本人と確定。それと同時に寝ている間乳首チューチューされた事への怒りが湧いてくる。
「あれからどれだけ経ってどうなったのかはわからんが…人の乳首に何してくれてる!」
「いいじゃん、減るもんじゃないし。寧ろ吸ったり揉んだりすると大きくなるといわれてる」
「そうなのか?」
「いいじゃん、減るもんじゃないし。寧ろ吸ったり揉んだりすると大きくなるといわれてる」
「そうなのか?」
自分の胸を確認する。ウルトラマサイから救助された後着せられたのだろう、
パジャマ越しに大きく膨らんだ胸がはだけて乳首が見えている。
吸われていた乳首の方が少し充血して立っているが胸のサイズは均一。
ジュダにもAAサイズだが目をこらすと胸の膨らみが確認できる。
パジャマ越しに大きく膨らんだ胸がはだけて乳首が見えている。
吸われていた乳首の方が少し充血して立っているが胸のサイズは均一。
ジュダにもAAサイズだが目をこらすと胸の膨らみが確認できる。
「…あれ?」
ここでムチャウはようやく違和感の正体に気付き始める。
「なあジュダ、アタイは、いや俺は誰だ?」
「マサイの戦士ムチャウ・ザイネン」
「性別と体格は?」
「私が会った時から筋肉ムキムキマッチョマンの男だみょん」
「じゃあこれは?」
「おっぱい!」
「おっぱい!じゃねえぇぇぇぇ!!!鏡、全身見れる鏡はどこだ!?」
「この部屋の外にある廊下突き当たりのトイレに」
「マサイの戦士ムチャウ・ザイネン」
「性別と体格は?」
「私が会った時から筋肉ムキムキマッチョマンの男だみょん」
「じゃあこれは?」
「おっぱい!」
「おっぱい!じゃねえぇぇぇぇ!!!鏡、全身見れる鏡はどこだ!?」
「この部屋の外にある廊下突き当たりのトイレに」
ジュダの言葉を最後まで聞かず、ムチャウは裸足でトイレに猛ダッシュ!
走りながら、ジュダまで何で女体化してるんだとか、そもそもジュダが
色々知ってるっぽいから話聞いたほうがよかったんじゃないかと
思った頃にはもうトイレに到着していた。
走りながら、ジュダまで何で女体化してるんだとか、そもそもジュダが
色々知ってるっぽいから話聞いたほうがよかったんじゃないかと
思った頃にはもうトイレに到着していた。
「なんじゃこりゃあー!なんじゃこりゃあー!」
大事なことだから二回言った。
鏡に映ったムチャウの肉体は自分の24年の記憶とは大きく変化していた。
鍛えられた全身からは筋肉が消え失せ、胸には大胸筋の代わりに
脂肪の固まりが張り付いている。割れた腹筋はくびれたウェストと化し、
顔の上半分にはウルトラマサイの仮面に似たマスクが皮膚に食い込んでいた。
鏡に映ったムチャウの肉体は自分の24年の記憶とは大きく変化していた。
鍛えられた全身からは筋肉が消え失せ、胸には大胸筋の代わりに
脂肪の固まりが張り付いている。割れた腹筋はくびれたウェストと化し、
顔の上半分にはウルトラマサイの仮面に似たマスクが皮膚に食い込んでいた。
「道理でさっきから前が見づらいと思っていた訳だ…ってだからどうしてこうなった!」
「うるせー!トイレでは静かにしねーか!」
「あ、すいません」
「うるせー!トイレでは静かにしねーか!」
「あ、すいません」
トイレの個室から出てきた赤毛の女性に怒られ頭を下げる。
「ん?その格好、お前ムチャウ・ザイネンか?」
「なんだか急速に自分が誰だか分からなくなって来たけれど、
名を聞かれたらムチャウと答えるアタイです」
「よかったな意識戻って。その…俺のせいでこんな事になって悪かった」
「えっ」
「なんだか急速に自分が誰だか分からなくなって来たけれど、
名を聞かれたらムチャウと答えるアタイです」
「よかったな意識戻って。その…俺のせいでこんな事になって悪かった」
「えっ」
ムチャウの頭が大混線。自分には部族の女性達とモヒカンに襲われていた人以外に
女の知り合いなんて居ない。こんな女性はムチャウの脳内メモリーには存在しない。
いや、可能性が一つだけあった。
女の知り合いなんて居ない。こんな女性はムチャウの脳内メモリーには存在しない。
いや、可能性が一つだけあった。
「槍とモヒカンの合体方法は?」
「グリップ部分差し込んで右か左に回す」
「お前…倉庫番の小太り軍人か!!」
「そっちじゃねえ!!」
「グリップ部分差し込んで右か左に回す」
「お前…倉庫番の小太り軍人か!!」
「そっちじゃねえ!!」
マサイの戦士…ムチャウだよね。そういう事にしておこう。
パイロット試験を終えた彼は男とか人間とかマサイとか色んなものを一辺にやめていた。
おまけに一緒に槍に取り込まれていた二人も同じ様に変化していた。
取り敢えずおっぱいサイズは自分の大勝利。アフリカの日差しを見てもここがどこかは分からない。
パイロット試験を終えた彼は男とか人間とかマサイとか色んなものを一辺にやめていた。
おまけに一緒に槍に取り込まれていた二人も同じ様に変化していた。
取り敢えずおっぱいサイズは自分の大勝利。アフリカの日差しを見てもここがどこかは分からない。