【トワイスは伝記を読む】
『俺達の司令官、クラケット様はバカな人だったよ』
『臆病で見栄っ張りで戦術もゴリ押しだけでヘボいしギャグも寒い』
『でも俺みたいな奴を部隊に入れてくれた。外見で人を差別しない人だった』
『そんな誰でも受け入れる人だから敵の事もホイホイ受け入れて、そして死んだ』
『本当にバカな人だ。だが俺はあの人に恩がある。ただのバカとして歴史に残したくはない』
『山の怪獣をやり過ごし、獣どもの連携を耐え抜き、レアメタルを回収し増援と合流する』
『俺は、クラケット様の最後の任務を成功として報告したい。回収は任せたぞ』
『聞け!この星に住む獣の子らよ!アムステラ先発隊は未だ沈まず!』
『我が名はトパーズ。氷の騎士トパーズ・ケブレを恐れぬならかかってこい!』
◇◇◇
【トワイスはテレビを見る】
「ふう・・」
トワイスは伝記に栞を挟みそっと閉じた。
彼の先祖であるトパーズ・ケブレは歴史家によって様々な評価をされている人物だ。
先程読んでいた伝記では情に厚く勇気ある人物として書かれているが、
別の資料では己の出世の為に上司を見殺しにして手柄を奪った卑劣な男と記述されている。
確実に言えるのはトパーズが氷の騎士と呼ばれ敵に容赦の無い人物だった事、
そして、前線司令官死亡後の立て直しとレアメタル回収の功績でケブレ家を上流貴族へと引き上げた事。
彼の先祖であるトパーズ・ケブレは歴史家によって様々な評価をされている人物だ。
先程読んでいた伝記では情に厚く勇気ある人物として書かれているが、
別の資料では己の出世の為に上司を見殺しにして手柄を奪った卑劣な男と記述されている。
確実に言えるのはトパーズが氷の騎士と呼ばれ敵に容赦の無い人物だった事、
そして、前線司令官死亡後の立て直しとレアメタル回収の功績でケブレ家を上流貴族へと引き上げた事。
「この人物の評価を決めるにはもっと資料を読み込む必要があるな」
トワイスが次の資料に手を伸ばそうとした時だった。
パタパタパタ
トワイスの長い耳が迫る足音を捉えた。この足音には覚えがある。
「おるかー?」
ゴキャア ガシャアン!
ノックもせず部屋の扉をロックごと強引に横にスライドさせる。
傾いた扉を蹴飛ばし乗り込んできたのはご存知ルルミーだった。
傾いた扉を蹴飛ばし乗り込んできたのはご存知ルルミーだった。
「ルルミー、何で(何でここにいる?)」
「今たまたま任務でお前と同じ国にいたからさー」
「何で(扉壊した)」
「お前ならこんなの十分で直せるだろ?」
「何(何の用だ?敵襲か?)」
「おもしれ―モン見つけたから教えに来ただけ。安心しろ」
「今たまたま任務でお前と同じ国にいたからさー」
「何で(扉壊した)」
「お前ならこんなの十分で直せるだろ?」
「何(何の用だ?敵襲か?)」
「おもしれ―モン見つけたから教えに来ただけ。安心しろ」
ルルミーとトワイスは共にアムステラと代表する大規模流派の出身という事もあり、
小さい頃から交流があり、それなりにツーカーの仲だった。
トワイスの質問を先読みしサクサク答えていくとルルミーは部屋内のテレビの存在を確認し電源を入れる。
チャンネルを切り替えていくと修斗ファイトの番組が映された。
小さい頃から交流があり、それなりにツーカーの仲だった。
トワイスの質問を先読みしサクサク答えていくとルルミーは部屋内のテレビの存在を確認し電源を入れる。
チャンネルを切り替えていくと修斗ファイトの番組が映された。
「よし、ちょうど始まるトコだな」
「ルルミー、一体何が始まるんだ?」
「あー、やっぱり知らないんだな。次の試合お前が出るぞ」
「・・・はあ?」
「ルルミー、一体何が始まるんだ?」
「あー、やっぱり知らないんだな。次の試合お前が出るぞ」
「・・・はあ?」
トワイズは番組の内容を確認する、過去に自分が出場してしまった大会の再放送ではない。
そして、アレより後に試合に出た記憶も無い。
というかコレ生放送だ、リングにトワイスがいるはずが無い。ここにいるのだから。
そして、アレより後に試合に出た記憶も無い。
というかコレ生放送だ、リングにトワイスがいるはずが無い。ここにいるのだから。
「本日のメインイベントぅー、謎の新人ファイター二名の30分一本勝負、まずは赤コーナーから出てこいやッ」
ルルミー達にはすっかりお馴染みとなった遠藤ボイスが響き渡ると修斗運搬用のコンテナが開き白い騎士型の機体が入場する。
コーナーにたどり着くと機体から長い耳と鎧を付けた銀髪の男が降りて来た。
コーナーにたどり着くと機体から長い耳と鎧を付けた銀髪の男が降りて来た。
「赤コーナァァァァ、本日がデビュー戦、AV男優のトワイスゥー!」
「乳首マインスイーパー!俺がトワイスなのは確定的に明らか」
「乳首マインスイーパー!俺がトワイスなのは確定的に明らか」
男は両手を自分の胸元まで持っていき一発ギャグをかまいてから自己紹介をした。
観客席からは「来た、メイン古代戦士来た、これで勝つる」と声援が飛んでいる。
観客席からは「来た、メイン古代戦士来た、これで勝つる」と声援が飛んでいる。
◇◇◇
【トワイスは困惑する】
「~~~~~!!!」
トワイスは歯を食いしばりながら自分の太ももをバシバシ叩いて必死に耐えていた。
自分のパチモン、それも『AV男優のトワイス』などというふざけきった存在が本物に与えるダメージたるや。
自分のパチモン、それも『AV男優のトワイス』などというふざけきった存在が本物に与えるダメージたるや。
「AV男優のトワイスだと・・・!」
「ギャハハハハハ!マジでトワイスの偽物がデビューしやがった!
スペルデルフィンに対するデメキンとかそういう感じのアレだ!」
「ギャハハハハハ!マジでトワイスの偽物がデビューしやがった!
スペルデルフィンに対するデメキンとかそういう感じのアレだ!」
ルルミーは他人事だからノリノリである。
「ルルミー、君の差し金か?」
「落ち着けよカナディアンガール。出禁になってるアタシにそんな事は出来ん。
アレはトワイス人気を利用したタニヤマの策だな」
「よし、抗議に行ってくる!!」
「落ち着けよカナディアンガール。出禁になってるアタシにそんな事は出来ん。
アレはトワイス人気を利用したタニヤマの策だな」
「よし、抗議に行ってくる!!」
立ち上がりダッシュで現場に行こうとするトワイスだったが、ルルミーに首根っこ捕まれストップした。
「邪魔をするな」
「落ち着けっての。これを見たお前が修斗ファイト界に戻って来るのまで計算に入れた策だ。
つーか、抗議に行ったりしてみろ。テッシン元帥にぶん殴られっぞ」
「く・・・それもそうか」
「落ち着けっての。これを見たお前が修斗ファイト界に戻って来るのまで計算に入れた策だ。
つーか、抗議に行ったりしてみろ。テッシン元帥にぶん殴られっぞ」
「く・・・それもそうか」
抗議に行くのを諦めて着席。トワイスはじっとここでテレビを見て偽物の出来栄えを観察する事にした。
「しかし、私の偽者はまったく似てないな」
「んな事ねーだろ。配色は正反対だがパーツはいい感じじゃね?スプレーで色を塗りなおせば大体トワイスだ」
「いや似てない」
「んな事ねーだろ。配色は正反対だがパーツはいい感じじゃね?スプレーで色を塗りなおせば大体トワイスだ」
「いや似てない」
ルルミーの言う通り、男優トワイスは本物に割と似ていた。偶然の一致だろうが攻防のバランスの良い
大剣使いの騎士といった風貌で耳〈無論付け耳である)の長さもほぼ一緒だった。
大剣使いの騎士といった風貌で耳〈無論付け耳である)の長さもほぼ一緒だった。
「似てないって」
トワイスも口では認めないが完成度が高いパチモンレスラーだった。
トワイスの人気がある内にもっと稼ごうとするタニヤマの本気が伺える。
トワイスの人気がある内にもっと稼ごうとするタニヤマの本気が伺える。
「それで、私の偽者は誰と戦うんだ?イロモノ枠対決って事でインパラさんとか?」
「お前インパラさん好きだな。でも違う。対戦相手も新人だけどこっちは試合開始までシークレットになってた」
「こういう場合、普通はネタキャラの男優の私をシークレットにするんじゃないのか?」
「だよなー。とすると引退したレジェンドレスラーを新人扱いで復活させたとか、そんなトコか?
あ、対戦相手入場するぞ。さあ誰がトワイスと戦うんだ?」
「お前インパラさん好きだな。でも違う。対戦相手も新人だけどこっちは試合開始までシークレットになってた」
「こういう場合、普通はネタキャラの男優の私をシークレットにするんじゃないのか?」
「だよなー。とすると引退したレジェンドレスラーを新人扱いで復活させたとか、そんなトコか?
あ、対戦相手入場するぞ。さあ誰がトワイスと戦うんだ?」
リング前に置かれたコンテナ、男優トワイスが出て来たのとは反対側の搬入口が開き、
ムササビを思わせる形状の機体がリングイン。
中から緑色のサバイバル服を着た短髪の日系人が降りてきて挨拶をする。
ムササビを思わせる形状の機体がリングイン。
中から緑色のサバイバル服を着た短髪の日系人が降りてきて挨拶をする。
「俺の名はAV男優のルルミー。コードネームはコンバットルルミー。鉱物は焼きビーフンだ」
「青コオオオオナアアア!同じく本日がデビュー戦、AV男優のルルミーィー!!!」
「乳首マインスイーパー!」
「青コオオオオナアアア!同じく本日がデビュー戦、AV男優のルルミーィー!!!」
「乳首マインスイーパー!」
活舌が良いのか悪いのか判断しづらい独特の声色で男優ルルミーが男優トワイスと同じポーズをした。
◇◇◇
【ルルミーも困惑する】
「~~~~~!!!」
ルルミーは顔を真っ赤にして床を転がる。彼女の受けたダメージはトワイスのそれ以上だった。
トワイスを笑う為に来たのに、自分までダメージを受けるとか完全に予想外。
しかも男優のルルミーは性別からして間違ているという似せる気のないシロモノだ。
トワイスを笑う為に来たのに、自分までダメージを受けるとか完全に予想外。
しかも男優のルルミーは性別からして間違ているという似せる気のないシロモノだ。
「~~~~~あ、よっこらセックス」
ゴロゴロ転がって部屋を半周し破壊した入口の前で起き上がると一気に駆けだそうとする。
「ちょっと抗議行ってくる!」
「落ち着けルルミー、行ってもテッシン元帥にしばかれるだけだ」
「落ち着けルルミー、行ってもテッシン元帥にしばかれるだけだ」
トワイスが首根っこをひっつかんでルルミーの外出を阻み、抗議は未遂に終わった。
「それにしても、似ているなあ」
「似てねえ!!」
「服と髪と肌の色はそっくりじゃないか。全身整形すればほぼルルミーになるぞ」
「つまり似てねえって事だろうが!」
「似てねえ!!」
「服と髪と肌の色はそっくりじゃないか。全身整形すればほぼルルミーになるぞ」
「つまり似てねえって事だろうが!」
ルルミーの言う通り男優ルルミーは配色以外本物に全く似てなかった。
大会一つ台無しにしたルルミーに対する、タニヤマの本気の嫌がらせという事が実によく伝わってくる。
大会一つ台無しにしたルルミーに対する、タニヤマの本気の嫌がらせという事が実によく伝わってくる。
「トワイス、あのさ」
「何だ」
「落ち着いて試合見ようか。案外戦ってみるとマトモな選手かもしれないし」
「そうだな、なんせメインイベントなんだ、戦えばマトモだきっとたぶん」
「何だ」
「落ち着いて試合見ようか。案外戦ってみるとマトモな選手かもしれないし」
「そうだな、なんせメインイベントなんだ、戦えばマトモだきっとたぶん」
ルルミー達は祈るようにしてテレビを見続ける事にした。
男優二人がマトモな選手の可能性は限りなく低いが二人が抗議に行きたい気持ちを抑えるには
もう彼らが案外マトモである事に賭けるしか無かったのだ。
ルルミーもトワイスもこの部屋にお互いがいなければとっくに部屋を抜け出していただろう。
そして二人が見守る中・・・
男優二人がマトモな選手の可能性は限りなく低いが二人が抗議に行きたい気持ちを抑えるには
もう彼らが案外マトモである事に賭けるしか無かったのだ。
ルルミーもトワイスもこの部屋にお互いがいなければとっくに部屋を抜け出していただろう。
そして二人が見守る中・・・
カーン!
始まりのゴングがなった。
AV男優のトワイス〈機体名:黄金鉄塊) VS AV男優のルルミー〈機体名:冥紅)
- 開始。