オーデッド隊、西へ! その2
~ アムステラ軍・本部基地の通路 ~
本部基地ともなると主要通路はかなり幅広く、行き交う人々もそれなりに多い。
その雑踏の中に居た若い男女連れが、少し先を行く男に気付いて彼を呼び止めた。
その雑踏の中に居た若い男女連れが、少し先を行く男に気付いて彼を呼び止めた。
「よぉ、影狼の隊長。久しぶりだな」と、軽薄なノリで声を掛けたのは金髪の偉丈夫。
「これは丁度良い。貴公に苦情があったのだ」と、険しい顔になって言い放ったのはターバンを巻いた美女。
「これは丁度良い。貴公に苦情があったのだ」と、険しい顔になって言い放ったのはターバンを巻いた美女。
声を掛けられた隊長はどう対応するかと瞬時戸惑い「パン殿・・・苦情とは?」と、美女の要件を先に問うた。
「貴公の部下が与太話を吹いた所為で、先日エド様を危険に晒したのだぞ。今後は注意して貰おう!」
「おいおい。サンジェルマンの野郎の件なら、俺様は油断して無かったぜ。だから奴には勝った。それだけの事さ」
「おいおい。サンジェルマンの野郎の件なら、俺様は油断して無かったぜ。だから奴には勝った。それだけの事さ」
(事の経緯に関しては、SS作品『コッペリオン-Marionette Princess-』を参照)
パンの苦言に対して、ランカスター男爵家の若き当主、エドウィン・ランカスター少佐は自信満々にそう言い放った。
だが、首を傾げて次の科白を継ぐ。
だが、首を傾げて次の科白を継ぐ。
「だがな? 後で聞いたんだが、あの時の戦闘は敵の力量を測るのが目的だったそうじゃないか」
「その割にゃ、バドスの奴が勘違いする様な速攻で決めたってのは、アンタの仕事にしちゃ珍しくないか?」
「確かに、エド様の言われる通りですね。何故、速攻で倒したのか。納得の行く理由を説明して貰いたいものです」
「その割にゃ、バドスの奴が勘違いする様な速攻で決めたってのは、アンタの仕事にしちゃ珍しくないか?」
「確かに、エド様の言われる通りですね。何故、速攻で倒したのか。納得の行く理由を説明して貰いたいものです」
(事の経緯に関しては、SS作品『対決!秘剣VS妖拳』を参照)
2人からそう問われた影狼隊隊長は少し思案した後、例え話でエドに答える。
「ランカスター卿。例えば、貴公が美女とデートの待ち合わせをしていたとしよう」「・・・お、おう。それで?」
「で、そこへ来たポン引き(風俗店の客引き)に『兄ちゃん、良い娘が居ますぜ』と言われたら?」「張っ倒す!」
「だろう? ま、そういう事だ」「・・・おぉ、なるほど! それなら仕方ないな!」
「で、そこへ来たポン引き(風俗店の客引き)に『兄ちゃん、良い娘が居ますぜ』と言われたら?」「張っ倒す!」
「だろう? ま、そういう事だ」「・・・おぉ、なるほど! それなら仕方ないな!」
横でその会話を聞いていたパンは額を押さえ、呻きながら天井を仰いだ。
「おい、どうしたんだ? パン」
「・・・いえ、何でもありません。酷い例えでしたが、不本意ながら理解してしまいました」
「・・・いえ、何でもありません。酷い例えでしたが、不本意ながら理解してしまいました」
影狼隊隊長は素知らぬ顔で話を続ける。
「ともあれ、丁度良かった。話のついでと言っては難だが、我等も連中の情報を収集している最中でね」
「丁度、当事者からも話を聞きたいと思っていた処だ。そちらの都合が良ければ、少々聞かせて貰えると有難い」
「丁度、当事者からも話を聞きたいと思っていた処だ。そちらの都合が良ければ、少々聞かせて貰えると有難い」
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~ アムステラ軍・駐屯地の会議室 ~
「ぬははははっ! 大軍師にして大・天・才っ! カエデ・モミジ様が練った会心の作戦をとくと見るが良いっ!」
オーデッド隊の主要メンバーや助っ人達が一堂に会して、作戦会議を開いている。
そしてハイテンションで作戦地図を指し示す赤毛の少女が、(自称)大天才の科学者・カエデ・モミジである。
そしてハイテンションで作戦地図を指し示す赤毛の少女が、(自称)大天才の科学者・カエデ・モミジである。
実際、彼女は技術や知識を豊富に備えては居るのだが、如何せん活用する本人の気質が浮ついて居るので、失敗も多い。
とはいえ腐っても貴族階級、かつ(ポカミスさえしなければ一応)有能なので、差し引けばプラス収支ではある、多分。
とはいえ腐っても貴族階級、かつ(ポカミスさえしなければ一応)有能なので、差し引けばプラス収支ではある、多分。
作戦地図上には、2つの部隊が各々の目的地へ向かう図が描かれている。
片方の部隊はアムステラ軍の標準機・羅甲を中心とした大部隊であり、もう一方はごく小規模な部隊。
片方の部隊はアムステラ軍の標準機・羅甲を中心とした大部隊であり、もう一方はごく小規模な部隊。
「・・・カエデ様? こっちの大部隊には羅甲しか居ないみたいだが?」
「そうだな。ってか、ここに居る面子では俺とダードルしか入って無いぞ?」
「そうだな。ってか、ここに居る面子では俺とダードルしか入って無いぞ?」
と、口々に問うダードルとジモンド。両者共に乗機はカスタマイズされた羅甲である。
とはいえ仕様は全く異なる。ダードル機は砲戦型。砲撃で射程内の敵を仕留め、防御は装備した大盾で行うスタイル。
ジモンド機は強襲型。ジェットブースターの加速で突撃、チェーンブレイドで縦横無尽に敵陣を切り裂く。
とはいえ仕様は全く異なる。ダードル機は砲戦型。砲撃で射程内の敵を仕留め、防御は装備した大盾で行うスタイル。
ジモンド機は強襲型。ジェットブースターの加速で突撃、チェーンブレイドで縦横無尽に敵陣を切り裂く。
「私は小隊の方を率いるのか。しかし標的が2ヶ所? これはどういった意図なのかな?」と、オーデッドも尋ねる。
カエデは薄い胸を張り、得意げな顔でそれらの疑問に答える。
「目標拠点の近くに別の敵拠点があったのでな。だからまずは部隊を分けて、囮攻撃を仕掛けるのじゃ」
「羅甲中心の部隊で敵の目を引いて、相手がそちらに気を取られた隙に別働隊で強襲する訳じゃな」
「幸い敵情報などを沢山貰えておるし、仲間も多いからの。かなり柔軟な対応が出来ると思うのじゃ」
「羅甲中心の部隊で敵の目を引いて、相手がそちらに気を取られた隙に別働隊で強襲する訳じゃな」
「幸い敵情報などを沢山貰えておるし、仲間も多いからの。かなり柔軟な対応が出来ると思うのじゃ」
カエデは作戦盤を操作。今度は地球側の特機を4機、表示する。
まず1機目は、長い腕とバケツの様な頭部を持った蒼い細身の機体である。
残る3機は同型機か? 正確に言えば、真紅と純白の機体は姉妹機と言える程、似通って居るのだが・・・
残る1機、どす黒い機体は先の2機とはやや意匠が異なっている。
残る3機は同型機か? 正確に言えば、真紅と純白の機体は姉妹機と言える程、似通って居るのだが・・・
残る1機、どす黒い機体は先の2機とはやや意匠が異なっている。
「今回の戦闘で注意すべきはこの4機の特機じゃな。加えて今回は、皆が既に知っておる奴も参戦するじゃろう」
そう言いながら彼女が次に表示したのは、アイルランド空軍の特機・フェルグスであった。
「このとんがり帽子の事は説明するまでも無いのぉ。こ奴が出たら空戦隊の出番じゃな!」
「無論。大技術者でもある我は、こ奴のミサイル対策装備を既に用意しておる・・・称賛の言葉も絶賛受付中じゃよ?」
「で、奴が出たら。まずはアーマード・超ハイパースペシャル絢雨カスタム改・天才仕様で飛び道具を封じてみせるのじゃ!」
「無論。大技術者でもある我は、こ奴のミサイル対策装備を既に用意しておる・・・称賛の言葉も絶賛受付中じゃよ?」
「で、奴が出たら。まずはアーマード・超ハイパースペシャル絢雨カスタム改・天才仕様で飛び道具を封じてみせるのじゃ!」
そこへライゴウが口を挟む。
「格闘戦に持ち込めるのなら、拙者が足止めの任を受けましょうぞ」
「とんがり帽子とやらにも、我が虚空格闘術の切れ味を存分に見せてやるでござるよ」
「とんがり帽子とやらにも、我が虚空格闘術の切れ味を存分に見せてやるでござるよ」
しかしそれに割り込む様に、ザイードが挙手して発言。話の流れを変える。
「カエデ様。チト初手に戻りますがね。大部隊とはいえ羅甲だけの囮で、奴らは上手く食いついて来ますかねぇ?」
その問いに対し、自信満々の高笑いを返してからカエデは答える。
「何、心配無用じゃ。その為のダードルとジモンドよ。お主らは地味に目立つからのぉ」
「おう、任せて貰おう! 射程内の敵を派手に焼き尽くしてやるぜ」
「あぁ。俺もひと暴れしてやるさ。・・・だがな、『地味に目立つ』って何だよソリャ」
「おう、任せて貰おう! 射程内の敵を派手に焼き尽くしてやるぜ」
「あぁ。俺もひと暴れしてやるさ。・・・だがな、『地味に目立つ』って何だよソリャ」
「うむ、期待しておるぞよ。では、後は遊撃隊などの細かい点を詰めていくとしようかの」
そう言いながらカエデは画面を作戦地図に戻す。そして、この襲撃作戦の打ち合わせはしばらく続いた・・・。
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~ フランス・技術開発教導団所属の旗艦 ~
「偵察機から入電! 羅甲の大部隊が我が軍の基地へと進行中! 現場の映像、出ます!」
モニターに映し出された前線の映像。丁度、基地の守備隊が羅甲部隊と交戦を始めた所であった。だが、戦況は芳しくない。
僚機からやや離れた位置に居た6型が、不意に画面外から現れた羅甲に斬られて爆散。その羅甲は再び画面外へと消えた。
別の位置では、密集体勢にあった7型が次々と砲火を浴びて連鎖爆発していった。
僚機からやや離れた位置に居た6型が、不意に画面外から現れた羅甲に斬られて爆散。その羅甲は再び画面外へと消えた。
別の位置では、密集体勢にあった7型が次々と砲火を浴びて連鎖爆発していった。
「・・・あ。この羅甲には見覚えがある」
そう呟いた乙女は、アイルランド空軍所属のシンシア・オコーナーである。
彼女は丁度、教導団との技術提携の為にフランスへ赴いて居た所であり、この戦闘騒ぎに巻き込まれた形である。
彼女は丁度、教導団との技術提携の為にフランスへ赴いて居た所であり、この戦闘騒ぎに巻き込まれた形である。
「この突進する羅甲とは以前、KGFと共同戦線を張った時に何度か交戦した事がある」
「ほう。確かその時のデータを頂いてましたね。敵は確かオーデッドとかいう貴族が率いる部隊だとか?」
「そう。・・・えーっと、やっぱり居た。あそこの盾を持った砲戦型羅甲を見て。あの盾に描かれてるのがオーデッドの機体」
「ふむ・・・」
「ほう。確かその時のデータを頂いてましたね。敵は確かオーデッドとかいう貴族が率いる部隊だとか?」
「そう。・・・えーっと、やっぱり居た。あそこの盾を持った砲戦型羅甲を見て。あの盾に描かれてるのがオーデッドの機体」
「ふむ・・・」
シンシアの言を受け、思案する教導団の長・ローラン=ド=アトレーユ大佐。
彼は技術仕官上がりの軍人であり、しかも所謂マッド・サイエンティストの部類に入る変人だが、その戦略眼は確かであり
本人にやる気さえあれば一流の指揮官にもなれる逸材である。
彼は技術仕官上がりの軍人であり、しかも所謂マッド・サイエンティストの部類に入る変人だが、その戦略眼は確かであり
本人にやる気さえあれば一流の指揮官にもなれる逸材である。
「あの程度の羅甲部隊だけならば、先行した『蒼雷騎士団』と援軍で派遣したゲバール君の部隊で対処できる筈だ」
「まぁ、この状況ならあの御仁が暴走する要素は少ないと・・・思いたいね」
「まぁ、この状況ならあの御仁が暴走する要素は少ないと・・・思いたいね」
「だが、先程シンシア君が言ったオーデッド機を始め、特機が未だ姿を見せて居ない」
「これには何らかの罠があると見て良いだろうね」
「これには何らかの罠があると見て良いだろうね」
「そこでベロニカ君、リリィ君。君らには伏兵の対応に回って貰おう」「了解しました」「はーい」
「それとシンシア君。緊急事態という事で、悪いが君にも協力して貰おう」「わかった」
「それとシンシア君。緊急事態という事で、悪いが君にも協力して貰おう」「わかった」
フランス軍の切り札たりうる新鋭機を擁する技術開発教導団が、オーデッド隊の迎撃に入った。
汎用機部隊に加え、デュランダール、2機のコッペリオン、ピグマリオン、そしてフェルグスと特機級が揃った迎撃隊。
対するオーデッド隊は未だ羅甲部隊しか姿を見せていない。
汎用機部隊に加え、デュランダール、2機のコッペリオン、ピグマリオン、そしてフェルグスと特機級が揃った迎撃隊。
対するオーデッド隊は未だ羅甲部隊しか姿を見せていない。
この戦闘は、一体いかなる展開を見せるのであろうか・・・