オーデッド隊、西へ! その6
~ 快王・トワイスの回想 ~
実際に『彼』と出会った時に感じたのは、まるで鏡でも見ているかの様な奇妙な感覚だった。
外見や性分はまるで違うのだが、妙に馴染みのある何らかの要素を感じたのだ。上手くは言えないが。
外見や性分はまるで違うのだが、妙に馴染みのある何らかの要素を感じたのだ。上手くは言えないが。
「・・・君がここまで強くなったきっかけというのは一体、何なのだろうな?」
手合わせや武術談議に興じた後の雑談。何故だろうか。フトそんな疑問が湧いた瞬間、思わずそれを口走っていた。
そう問われた『彼』も、こんな質問は予想して居なかった・・・筈なのだが。ごく自然に応じてきた。
そう問われた『彼』も、こんな質問は予想して居なかった・・・筈なのだが。ごく自然に応じてきた。
「・・・そうだな。貴公は『心を読む怪物』の民話を知っているかな?」
「一応は知っている・・・と、思う」
「まぁ、同工異曲の民話も色々とあるからな。その怪物は『サトリ』とも呼ばれている」
「一応は知っている・・・と、思う」
「まぁ、同工異曲の民話も色々とあるからな。その怪物は『サトリ』とも呼ばれている」
さて、どう説明しようかと少し考え込む風を見せた後、『彼』は話を続けた。
「粗筋を言えば『ある男がサトリに出会って、考えてる事を全て見透かされた』」
「『しかし、燃えてた竹が弾けたなどの偶然で、サトリを欺く事が出来た』という内容だな」
「要は『読めない行動で、サトリを撃退した』という話なのだが・・・」
「『しかし、燃えてた竹が弾けたなどの偶然で、サトリを欺く事が出来た』という内容だな」
「要は『読めない行動で、サトリを撃退した』という話なのだが・・・」
そう言いつつ、『彼』は2本の指を立てた。
「私はな。この話を初めて聞いた時に二つの想いを抱いたのだよ」「・・・二つ?」
怪訝な顔で問い返したトワイスに対し、影狼隊隊長は静かに答えた。
「あぁ。一つは『サトリになってみたい』という想いだ」「ほう・・・では、もう一つは?」
「それは『偶然には頼らず、真っ向からサトリをも欺きたい』という想いだ」「・・・」
「それは『偶然には頼らず、真っ向からサトリをも欺きたい』という想いだ」「・・・」
そうか。この男、つまり『サトリをも欺くサトリ』になりたいというのか。
それで解った。ケブレ家の武術収集はいわば、武術における『サトリ』になる事を目標にしているとも言える。
手法は違えど、目の前の男も『サトリ』を目指している。ならば歪なれど似た『鏡像』だと感じたのは、むしろ当然か。
それで解った。ケブレ家の武術収集はいわば、武術における『サトリ』になる事を目標にしているとも言える。
手法は違えど、目の前の男も『サトリ』を目指している。ならば歪なれど似た『鏡像』だと感じたのは、むしろ当然か。
様々な想いが駆け巡って居たトワイスであるが、その入り混じった想いを表す言葉が見つからなかった。
だから一言、こう言ったのだった。
だから一言、こう言ったのだった。
「・・・贅沢な想いだな」「あぁ、そうだな」そう短く応じて、影狼隊隊長は静かに笑った。
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~ 奇襲への奇襲迎撃 ~
「では、お手並み拝見と行こうか」
影色の妖爪鬼が無造作に鉤爪による連続突きを放ち、純白のコッペリオンを狙う。
対するコッペリオンも、優美とすら言える動きでその攻撃を軽々と回避する。
対するコッペリオンも、優美とすら言える動きでその攻撃を軽々と回避する。
(「・・・うん、行ける! 結構速いけど、あの人(パン)ほどじゃない!」)
異様な弧を描く腕が苛烈な連続薙ぎ払いを繰り出すが、コッペリオンはそれも避ける。
(「アレッ? 動きが・・・見える。何でだろう。こんな奇妙な動きなのに・・・あ。足捌きが上手いなぁ」)
いつしかそれは、奇怪なダンスと化していた。
うねる黒蛇の如き両腕が、蛇の顎の如き鋭い鉤爪が、純白のコッペリオン目掛けて繰り出される。
妖爪鬼は奇怪なステップを踏みつつ、コッペリオンを付け狙う。しかし、その軽やかな舞を捉える事が出来ない。
うねる黒蛇の如き両腕が、蛇の顎の如き鋭い鉤爪が、純白のコッペリオン目掛けて繰り出される。
妖爪鬼は奇怪なステップを踏みつつ、コッペリオンを付け狙う。しかし、その軽やかな舞を捉える事が出来ない。
(「ハードロックを伴奏に、ワルツを踊ってるみたいな変な感じだけど。少しは慣れてきたかな、うん」)
変幻自在な攻撃を繰り出し続ける妖爪鬼。コッペリオンも反撃する余裕こそ無いが、その攻撃を全て避け続ける。
観客の居ない野外舞台で、奇怪な舞踏劇が繰り広げられる・・・。
観客の居ない野外舞台で、奇怪な舞踏劇が繰り広げられる・・・。
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~ フランス軍基地・撃退戦の状況 ~
少々時間を遡り、ベロニカと銃指威&麟駆が交戦している頃。
「うっひゃひゃ~っ! リリィちゅわ~ん、見てる~ぅ? この俺様の、カッコイイ雄姿を!」
「彼女なら見てませんよ。いいから、口では無く身体を動かして下さい、ゲバール君」
「ちぇーっ。リリィちゃんとペアで戦えたら、俺様の能力は100倍にはなるのに!!」
「その場合、リリィ君の能力が1/100に低下しますから、元の値を考慮したら明らかにマイナスですね」
「彼女なら見てませんよ。いいから、口では無く身体を動かして下さい、ゲバール君」
「ちぇーっ。リリィちゃんとペアで戦えたら、俺様の能力は100倍にはなるのに!!」
「その場合、リリィ君の能力が1/100に低下しますから、元の値を考慮したら明らかにマイナスですね」
羅甲隊を追撃するゲバールと通話しながら、ローランは思案する。
おだてたら意外と有能なゲバールと、戦線に復帰したサンジェルマン率いる蒼雷騎士団によって基地攻防戦は優位。
おだてたら意外と有能なゲバールと、戦線に復帰したサンジェルマン率いる蒼雷騎士団によって基地攻防戦は優位。
「・・・いや、予断は許さないですね。羅甲隊も敗走というには統制が取れすぎている」
2方面での攻防を見守るローランの懸念を裏付けるかの様に、戦局が動いた。
小規模部隊が襲撃して来た方は撃退成功・・・いや、違う。主力の2機が基地の方へと目標を変更している。
小規模部隊が襲撃して来た方は撃退成功・・・いや、違う。主力の2機が基地の方へと目標を変更している。
「しかも、ベロニカ君がアンノウンに足止めされたか。シンシア君も・・・武装が少々厳しいかな」
そして、基地攻防戦の方も・・・追撃戦が、一転して乱戦模様と化していた。
「ぎえぇぇーっ! いきなり反撃して来やがった! ジャン、そこで踏ん張れ! ポール、ポルナレフを援護してやれ!」
「我輩に続け! 奴らの陣に風穴を開けてくれよう!」
「我輩に続け! 奴らの陣に風穴を開けてくれよう!」
「羅甲隊の皆は足止め重視! 敵は倒さんかてえぇから、泥仕合に持ち込みや!」
「ダードル君、バケツ頭にブチかまして出鼻を挫いたり!」
「ジモンド君、敵増援の横っ腹を削る様に駆け抜けしゃんせ!」
「ゾラ君、ステイシー君、敵左翼の足狙いで攪乱しなんし!」
「ダードル君、バケツ頭にブチかまして出鼻を挫いたり!」
「ジモンド君、敵増援の横っ腹を削る様に駆け抜けしゃんせ!」
「ゾラ君、ステイシー君、敵左翼の足狙いで攪乱しなんし!」
デサンドールから送られる戦況を見ながら、普段よりも早口に、矢継ぎ早で指示を飛ばすグレモリー。
元は廓出身とはいえ、人気花魁であったが故に人並以上の教養も身に着けていた彼女は、軍人としての知識も磨いており
指揮系統でもオーデッドを支える事が出来るのであった。
元は廓出身とはいえ、人気花魁であったが故に人並以上の教養も身に着けていた彼女は、軍人としての知識も磨いており
指揮系統でもオーデッドを支える事が出来るのであった。
俯瞰地図上、敵基地へ高速で向かう操兵アイコンを見てグレモリーは呟く。
「釣り出した敵はわっちらで食い止めるさかい、後は任せましたえ。オーデッドクン」
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~ フランス軍別拠点・交戦中 ~
真紅のコッペリオンと対峙する晶烈華・改が、右手で金の長剣、左手で銀の長剣を抜き放ち、構えを取る。
「君の動きを見るに、特に流派の無い実戦剣法の様だな」
「そして武装は剣と盾か・・・丁度良い。一つ実地に試させて貰おう」
「そして武装は剣と盾か・・・丁度良い。一つ実地に試させて貰おう」
そう独り言ちているトワイスの言動に構わず、コッペリオンは盾を構えて突進。剣で刺突を放つ。
しかし、晶烈華・改は双剣を同時に繰り出してそれらを迎撃した。
しかし、晶烈華・改は双剣を同時に繰り出してそれらを迎撃した。
右腕の金星丸は、コッペリオンが掲げる盾を斜め上から強かに叩き伏せ、突進の勢いを殺す。
左腕の銀星丸は、コッペリオンのエネルギーソードを斜め下から跳ね上げ、その刺突を逸らす。
左腕の銀星丸は、コッペリオンのエネルギーソードを斜め下から跳ね上げ、その刺突を逸らす。
双剣を振り抜いた勢いを乗せ、身を沈めながら時計回りに翻転。金星丸がコッペリオンの右脇腹を横薙ぎで襲う!
これは辛くもエネルギーソードで弾いたが、金星丸の陰から銀星丸の刺突も繰り出される!
これも辛うじてエネルギーシールドで受け流すが、今度は戻って来た金星丸の袈裟斬りが振り下ろされる!
これは辛くもエネルギーソードで弾いたが、金星丸の陰から銀星丸の刺突も繰り出される!
これも辛うじてエネルギーシールドで受け流すが、今度は戻って来た金星丸の袈裟斬りが振り下ろされる!
右へ左へと翻転する晶烈華・改が繰り出す金と銀の光芒は、執拗に真紅のコッペリオンへと絡み付く。
そして、コッペリオンが繰り出そうとする攻撃を封じながら、徐々に傷を刻んで行く。
そして、コッペリオンが繰り出そうとする攻撃を封じながら、徐々に傷を刻んで行く。
「『(仮称)双剣相殺・旋獄(そうけんそうさい・せんごく)』まだ開発中の技だが、そう簡単に破らせはしない・・・」
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~ フランス軍別拠点・上空 ~
荒光を撃退したフェルグスは、地上を見下ろす。
銃指威と麟駆は、新たに現れた操兵に掴まれ、基地に向かって高速で侵攻中。
コッペリオンは、新たに現れた操兵と交戦中。その猛攻に抑え込まれて居る様だ。
コッペリオンは、新たに現れた操兵と交戦中。その猛攻に抑え込まれて居る様だ。
敵を追うか? 助太刀するか? いや、距離的には『助太刀してから追う』のがベストか。瞬時にそこまで判断した時。
ブ ァ オ ォ ォ ン ッ ッ !!
謎の爆裂音が空中で響いた。現在防衛中の軍拠点の、遥か上空に居た操兵が発した音であった。
その機体は逆落としに急降下している。もしや爆撃か?
その機体は逆落としに急降下している。もしや爆撃か?
「私は大丈夫! 良いから行けっ!」「・・・判った!」
地上のベロニカも状況を瞬時に把握。爆撃を阻止するのが最善と判断し、それをシンシアに託した。
「アーマーパージ。空中舞踏、最大出力」伸ばした刃翼を外して剣としたフェルグスは、全身の装甲を剥落させた。
アーマーパージにより更なる高速機動が可能となるのだが、耐久力は大幅に低下。武装も双剣のみとなる。
どのみち先程の一連の戦闘により大半の武装を失なっており、双剣の代わりに刃翼を保持。
どのみち先程の一連の戦闘により大半の武装を失なっており、双剣の代わりに刃翼を保持。
「これで・・・間に合わせる!」遥か前方で急降下している操兵に、超高速機動で迫るフェルグス。
軽量化により重力制御の負担を緩和された機体は、世界最速のウインドスラッシャーに匹敵する勢いで飛翔する!
敵操兵が最適な爆撃位置に到達するのと、フェルグスがそこに到達するのはほぼ一緒のタイミング。
敵操兵が最適な爆撃位置に到達するのと、フェルグスがそこに到達するのはほぼ一緒のタイミング。
「でも・・・ギリギリね」そう。前倒しで爆撃された場合、爆発に巻き込まれる覚悟で爆弾を破壊せねばならない!
しかしその時。前方の操兵から通信が入る。
「済まない。これはフェイクだ」
急降下する操兵が弧を描き、地面と水平に飛行する。もはや爆撃の意図は感じられない。
そのままフェルグスの軌道と直角に機動を取り、みるみるうちに戦場から離脱してゆく。
そのままフェルグスの軌道と直角に機動を取り、みるみるうちに戦場から離脱してゆく。
「気を惹く為だとはいえ、余りこういうフェイクは使いたく無かったな」
「元々爆撃をする気は無い。だが、それらしく見せないと食い付いてくれない。厄介な話だ」
「元々爆撃をする気は無い。だが、それらしく見せないと食い付いてくれない。厄介な話だ」
戦場からの離脱に無事、成功した塵撤。
バイパー・セグはバイザーを上げ、おもむろに噛みタバコを噛み締めて一息付いた。
バイパー・セグはバイザーを上げ、おもむろに噛みタバコを噛み締めて一息付いた。
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~ フランス軍別拠点・交戦中 ~
「流石にかなり消耗が激しいな・・・」
トワイスは独り言ちる。『旋獄』は、相手の攻撃を封殺する『獄』から派生した技である。
だが、双剣で各々『獄』を繰り出し、翻転する勢いに乗せて連続攻撃を叩き込むその性質上、多大な集中力を要する。
だが、双剣で各々『獄』を繰り出し、翻転する勢いに乗せて連続攻撃を叩き込むその性質上、多大な集中力を要する。
バイパー・セグがフェルグスを釣り出してくれたお陰で1対1の状況は続くが、そろそろ決着を急がねばなるまい。
その時、真紅のコッペリオンは銀星丸の牽制攻撃を受けつつも、強引にエネルギーソードを振りかぶった。
「その厄介な剣を折ってやるっ!」ベロニカが雄叫びを上げる。
「愚かな。この剣は折れぬ・・・もう折らせもせぬ」トワイスは静かに応える。
晶烈華・改は銀星丸を振り上げ、勢い良く振り下ろされるエネルギーソードを迎撃する。
その精妙な迎撃は攻撃の勢いを受け流し、それによって生まれた隙に容赦無く付け込むであろう。
その精妙な迎撃は攻撃の勢いを受け流し、それによって生まれた隙に容赦無く付け込むであろう。
だが。それは攻撃を『受け止めた』場合である。コッペリオンが振り下ろしたエネルギーソードは突然、消滅したのだ!
「何ぃっ!」トワイスは思わず叫ぶ。その瞬間、脳裏に浮かんだのは『焼けて弾けた竹』のイメージ。
コッペリオンが左腕を突き出す。その腕から伸びるは、エネルギーシールドでは無くソード!
右腕の金星丸を構えるが、受けが間に合わず脇腹に擦過傷。
右腕の金星丸を構えるが、受けが間に合わず脇腹に擦過傷。
「 う お ぉ ぉ ぉ ー っ !! 」バシバシバシバシバシバシ!
コッペリオンは両拳にピンポイントバリアを纏わせ、凄まじい連打を繰り出す!
しかし晶烈華・改は、双剣の鍔でその猛攻を悉く(ことごとく)弾く!
しかし晶烈華・改は、双剣の鍔でその猛攻を悉く(ことごとく)弾く!
「ここまでだ!」だが、一連の攻撃を受け流した晶烈華・改は跳び下がって間合いを空ける。
「あれだけの大口を叩いておいて反撃されるとは。私は『サトリ』として、まだまだ未熟だという事だな」
「だが、足止めの役は果たした。勝負はしばし預けておこう。さらばだ!」
「だが、足止めの役は果たした。勝負はしばし預けておこう。さらばだ!」
晶烈華・改は背中から翼を広げ、そのまま飛び去って行った。
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~ フランス・技術開発教導団所属の旗艦 ~
「ベロニカ君、シンシア君。現状を考えると君達にはそのまま、そこの拠点防衛をして貰いましょう」
「残念ながら基地防衛は無理そうです。防衛隊の主力が引き離され過ぎましたからね」
「さて、リリィ君の状況はどうなっているやら・・・」
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~ コッペリオンvs妖爪鬼 ~
「さて。そろそろ決着を付けようか」「そうですね♪」
奇怪なダンスは未だに続く。妖爪鬼の攻撃は悉く回避されてるが、コッペリオンにも攻撃を仕掛ける余裕が無い。
・・・いや。コッペリオンの右腕に、エネルギーフィールドが収束し始めている。
・・・いや。コッペリオンの右腕に、エネルギーフィールドが収束し始めている。
これは収束エネルギー砲を放つ予兆。『溜め撃ち』のチャージ状態である。
「ほう・・・溜め撃ちか。だが、撃つ暇を与えると思うのかね?」
「貴方のダンスは大体覚えました♪ 次は私が踊る番ですよ♪」
「それはどうかな・・・」
「貴方のダンスは大体覚えました♪ 次は私が踊る番ですよ♪」
「それはどうかな・・・」