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the 5th drop

迎え




~およそ一時間前~




暗い室内。
うっすらと輝いているのは、大きなテレビの画面のみ。

その光は部屋の主を照らしだしていた。

腰まで届く美しい髪に、透き通るような白い肌。

その幼さが残る顔は少女としか言いようがなくてーーー

『ーーーまた、椎葉さんは胸を貫かれておりーー』

画面には中性的な顔立ちをした少年の写真が写っていた。
何を思ったのか、少女はある人物を呼ぶ。

「ユッピー!!ちょっと来てー!」

しばらくして男が入って来る。
その髪はひどいくせ毛で、男は使い古したつなぎを着ていた。

「はいはい~っと。どうかしたか?」

「この椎葉ってコ、ユッピーが殺したんだよね?」

「ああ、多分そうだけど…」

ユッピーと呼ばれた男は少し顔をしかめる。
あまり自信がないからだ。
自分が殺した人間の顔などいちいち覚えてはいない。

「これさっき録画したニュースなんだけどさー、逃げ出したみたいだよ。このコ」

「へぇ~」

嫌な予感がする。
しかも悪いことに、この男の嫌な予感はよく的中する。

「このコタイプだからさー、覚醒してたら連れてきて♪」

「‥‥‥」

「ダメ?」

少女が上目づかいで訴えかけてくる。

やっぱり。
めんどくさいことになった。

「わかりましたよ、我らが女神さま」

それだけ言って、男は部屋から出ていく。

「ありがとーユッピー!!」

残されたのは一人の少女。

それはもっとも神に近く、もっとも神からかけ離れた少女。

その微笑みは、まさに女神そのものだった。




そして一時間ほど経ち、ユッピーと呼ばれた男はとある研究所にいた。

「お取り込み中悪いね、お嬢ちゃん。
 俺は由良〈ユラ〉。ていうか、血の弾丸って言った方がいい?」

言葉が出ない。
セバスチャンの頭がこっちを見つめているような気がする。

「あー、どうも部外者っぽいな。まあ俺のことは気にすんな。あんたに用はないし」

血の弾丸は美鈴の横を通って、透明な壁の前で立ち止まった。

「うわホントに生きてるよコイツ」

言いながら、男が自らの血に濡れた左手をかざすとーーー

(無理だ。だってーー)

‘ズッ’

(ーーだってあの壁は、戦車が突っ込んだってーーー)

3mほど、壁が崩れ去った。
それはまるで、紙をマシンガンで撃ち抜いたかのように。

「迎えにきたぜ、椎葉伶。」

そして、少年は初めてこちらに目を向ける。

一瞬の戸惑いの後、その口は大きく歪んだ。


     「お前は…」


   部屋と同じように。


   輝いて、
         ーー白く

   濁って、
         ーー白く

   狂って、
     ーーひたすら白く


    少年は告げる。

  あのときと同じ言葉を。


「お前は、俺が殺してやる!」



最終更新:2007年09月21日 23:28