アットウィキロゴ

the 12th drop

力の代償




  ~8月2日 3:50~




「ハァ、ハァ…!」

伶は苦しさを感じて目を覚ました。
辺りを見回す。
寝る前と同じく公園にいた。

アレから1日しか経っていないのに、懐かしさを感じる。

全てが始まった場所。

あのとき殺された場所。

無意識のうちにたどり着いた場所。

「ヅ、ァガ…」

   苦しい。  
 苦しい。   苦しい。
      苦しい。
   苦しい。   苦しい。
     苦しい。
  苦しい。   苦しい。
      苦しい。
 苦しい。  
   苦しい。 苦しい。
      苦しい。
  苦しい。    苦しい。
     苦しい。
 苦しい。  苦しい。
   苦しい。

血が足りない。

つっかかってきた若者たちを殺したとき、手のひらから飛び出した杭。
あれは血でできたものだった。
その分だけ血を失い、体が正常に機能しなくなっている。

このままでは死ぬ。

輸血パックを手に入れるために病院へと向かおうとした、そのときーー

「やぁ~っと見つけたぜぃ、椎名伶」

「ーーーオ前は!」

自分を殺した男。

新しい目的ができたせいですっかり忘れていた。

(殺シてやる!!)

その男に向かって走り出す。

      ドサッ

「ぁぐ!?」

地面に倒れる。

伶の嫌いな、青々とした草に匂いがした。

走れない。

「おいおい、無茶すんなよ」

「うるさい!亜実を…俺の家族を殺したのもお前か!?」

「あ~、ホントご愁傷様。
 でもそれ俺らじゃないから。つーかむしろ敵?」

…敵?

コイツらの、敵!?

「誰だ!誰が殺したんだ!!」

「それを知ってどうする?」

「決まってるだろ。復讐するんだよ…!」

復讐する。
亜実を殺したヤツを殺す!!

「じゃあ俺らの仲間になれ」

「…ハァ?」

「復讐もしやすいだろうし、何よりもーーー    」



…今、なんて言った?

まさか。

いくらなんでもーー


「聞こえなかったのか?
 俺らの仲間になれば、妹を生き返らしてやる」


唖然とする。

「ほ、本当に…?」

「お前次第だ」


倒れたまま、少年は。


ただの一瞬も迷うことなく悪魔の手をとった。



最終更新:2007年09月21日 23:29