力の代償
~8月2日 3:50~
「ハァ、ハァ…!」
伶は苦しさを感じて目を覚ました。
辺りを見回す。
寝る前と同じく公園にいた。
アレから1日しか経っていないのに、懐かしさを感じる。
全てが始まった場所。
あのとき殺された場所。
無意識のうちにたどり着いた場所。
「ヅ、ァガ…」
苦しい。
苦しい。 苦しい。
苦しい。
苦しい。 苦しい。
苦しい。
苦しい。 苦しい。
苦しい。
苦しい。
苦しい。 苦しい。
苦しい。
苦しい。 苦しい。
苦しい。
苦しい。 苦しい。
苦しい。
血が足りない。
つっかかってきた若者たちを殺したとき、手のひらから飛び出した杭。
あれは血でできたものだった。
その分だけ血を失い、体が正常に機能しなくなっている。
このままでは死ぬ。
輸血パックを手に入れるために病院へと向かおうとした、そのときーー
「やぁ~っと見つけたぜぃ、椎名伶」
「ーーーオ前は!」
自分を殺した男。
新しい目的ができたせいですっかり忘れていた。
(殺シてやる!!)
その男に向かって走り出す。
ドサッ
「ぁぐ!?」
地面に倒れる。
伶の嫌いな、青々とした草に匂いがした。
走れない。
「おいおい、無茶すんなよ」
「うるさい!亜実を…俺の家族を殺したのもお前か!?」
「あ~、ホントご愁傷様。
でもそれ俺らじゃないから。つーかむしろ敵?」
…敵?
コイツらの、敵!?
「誰だ!誰が殺したんだ!!」
「それを知ってどうする?」
「決まってるだろ。復讐するんだよ…!」
復讐する。
亜実を殺したヤツを殺す!!
「じゃあ俺らの仲間になれ」
「…ハァ?」
「復讐もしやすいだろうし、何よりもーーー 」
…今、なんて言った?
まさか。
いくらなんでもーー
「聞こえなかったのか?
俺らの仲間になれば、妹を生き返らしてやる」
唖然とする。
「ほ、本当に…?」
「お前次第だ」
倒れたまま、少年は。
ただの一瞬も迷うことなく悪魔の手をとった。
最終更新:2007年09月21日 23:29