C 症状・疾病別の初期対応
小項目
- 心肺(機能)停止,失神,意識障害,麻痺,ショック,けいれん,けいれん重積状態,激しい頭痛,高熱,低体温,眼痛,眼の損傷,めまい,呼吸困難,喀血,激しい胸痛・背部痛,激しい腹痛・腰痛,嘔吐,急性消化管出血,下痢,誤飲,誤嚥,尿閉,激しい陰嚢内容痛,血尿,激しい四肢の疼痛,創傷,熱傷,急性中毒,重症感染症,産科領域の救急(流・早産,正期産),精神化領域の救急
102C21
55歳の男性。夜間,突然の呼吸困難のため搬入された。5年前に拡張型心筋症の診断を受けている。喘鳴が著明で泡沫状でピンク色の喀痰排出があった。マスクで酸素投与(6l/分)を開始した。呼吸数 23/分。脈拍 124/分,整。血圧 98/78mmHg。動脈血ガス分析:pH 7.28,PaO2 68Torr,PaCO2 52Torr。胸部エックス線写真は両側肺門部を中心に蝶形陰影を呈する。
まず投与するのはどれか。
a アルブミン
b 重炭酸ナトリウム
c プロプラノロール
d プレドニゾロン
e フロセミド
× a
× b
× c
× d
○ e
正解 e
102C22
中年の男性。意識がないため搬入された。呼名に反応はない。呼吸は規則的。脈拍 108/分,整。血圧 160/94mmHg。頚動脈と橈骨動脈とは触知可能。四肢体幹の皮膚には冷汗と著明な湿潤とがある。浮腫は認めない。
まず行う検査はどれか。
a 血糖
b 心電図
c 胸部単純CT
d 動脈血ガス分析
e 腹部超音波検査
○ a
× b
× c
× d
× e
正解 a
102C30,102C31
次の文を読み,30,31の問いに答えよ。
72歳の女性。突然の頭痛のため搬入された。
現病歴: 2時間前に突然の後頭部痛と嘔気とが出現した。
既往歴: 40歳代から高血圧症で降圧薬を服用中である。
生活歴: 特記すべきことはない。
家族歴: 父親が高血圧。母親が大腸癌。
現症: 意識は清明。身長 150cm,体重 37.2℃。脈拍 68/分,整。血圧 164/88mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。神経学的に異常はない。
検査所見: 尿所見:蛋白(-),糖(-)。血液所見:赤血球 415万,Hb 13.0g/dl,Ht 38%,白血球 17000(桿状核好中球 4%,分葉核好中球 78%,好酸球 1%,好塩基球 0%,単球 5%,リンパ球 12%),血小板 18万。血液生化学所見:血糖 181mg/dl,総蛋白 6.9g/dl,アルブミン 4.2g/dl,尿素窒素 14.0mg/dl,クレアチニン 0.4mg/dl,総コレステロール 194mg/dl,総ビリルビン 1.2mg/dl,AST 23IU/l, ALT 20IU/ml,LDH 223IU/l(基準 176~353),ALP 243IU/l(基準 260以下),Na 141mEq/l,K 4.2mEq/l,Cl 102mEq/l。
30 診察中に全身のけいれんが起こり,持続している。
投与すべき薬剤はどれか。
a モルヒネ
b ジアゼパム
c アトロピン
d プレドニゾロン
e サクシニルコリン
× a
○ b
× c
× d
× e
正解 b
31 入院時の頭部単純CTを別に示す。

最も考えられるのはどれか。
a 髄膜炎
b 脳出血
c 脳腫瘍
d 脳梗塞
e くも膜下出血
× a
× b
× c
× d
○ e
正解 e
102F21
53歳の男性。狭心症の精査目的で通院中である。外来の待合室で様子がおかしくなった。意識はなく,あえぐような不規則な呼吸をしている。
直ちに持参するよう依頼するのはどれか。
a 自動体外式除細動器(AED)
b 心エコー装置
c 人工呼吸器
d 心臓ペースメーカー
e 胸腔ドレナージチューブ
○ a
× b
× c
× d
× e
正解 a
102F22
33歳の女性。急性の呼吸困難のため搬入された。3年前に喘息を発症し,近医で治療を受けていた。最近鼻閉がみられるので耳部咽喉科を受診したところ鼻ポリープを指摘された。本日歯痛が出現したので,家にある痛み止めを服用したところ重篤な呼吸困難が出現した。入院後直ちに酸素吸入とβ刺激薬投与を行った。
次に投与するのはどれか。
a 抗菌薬
b 抗コリン薬
c 喀痰溶解薬
d 抗ヒスタミン薬
e 副腎皮質ステロイド薬
× a
× b
× c
× d
○ e
正解 e
102F30,102F31
次の文を読み,30,31の問いに答えよ。
27歳の経産婦。分娩後の出血と意識レベルの低下とのため搬入された。
現病歴: 妊娠38週時に陣痛が発来し,分娩のため近医に入院した。陣痛が増強し,入院18時間後,吸引分娩によって3040gの男児を娩出した。胎盤娩出直後から凝血塊を混じる出血とともに呼吸困難と気分不良とを訴え,次第に意識レベルが低下した。
妊娠・分娩歴: 1経妊,1経産,25歳児,妊娠39週で回旋異常のため,帝王切開によって3200gの男児を娩出した。
既往歴: 特記すべきことはない。
現症: 呼びかけに反応するが意識は混濁している。体温 37.3℃。呼吸数 38/分,浅。脈拍 132/分,整。血圧 70/52mmHg。顔面は蒼白。心音と呼吸音とに異常を認めない。子宮底は臍上1cm,軟,自発痛と圧痛とはない。腟鏡診で腟壁と子宮腟部とに異常はなく,外子宮口から流動性に富む血液の流出が続いている。
検査所見: 尿所見:蛋白(±),糖(-)。濃縮尿。
30 診断上重要でない徴候はどれか。
a 頻脈
b 発熱
c 低血圧
d 頻呼吸
e 意識混濁
○ a
× b
○ c
○ d
○ e
正解 b
31 緊急性が低い検査はどれか。
a 脳波
b 血球検査
c 交差適合試験
d 動脈血ガス分析
e 凝固・線溶検査
× a
○ b
○ c
○ d
○ e
正解 a
102H26
40歳の男性。仕事中,大量に吐血して搬入された。意識は清明。体温 36.1℃。脈拍 120/分,整。血圧 76/50mmHg。顔面は蒼白。腹部は平坦,軟。上腹部に圧痛を認めるが,筋性防御は認めない。血液所見:赤血球 260万,Hb 8.4g/dl,Ht 25%,白血球 12000,血小板 23万。
対応として適切でないのはどれか。
a 酸素投与
b 静脈路確保
c 膀胱カテーテル挿入
d 上部消化管造影
e 上部消化管内視鏡検査
○ a
○ b
○ c
× d
○ e
正解 d
102H37,102H38
次の文を読み,37,38の問いに答えよ。
10か月の乳児。けいれんを起こしたため搬入された。
現病歴: 2日前の朝から38.5℃の発熱と喘鳴とがあり,抗菌薬と鎮咳去痰薬の投与を受けた。今朝から機嫌が悪く,昼過ぎから全身性強直間代性けいれんを起こした。来院時けいれんは停止していたが,けいれんの持続時間は40分間であった。
既往歴: 特記すべきことはない。
発達歴: 特記すべきことはない。
家族歴: 母親が子供のころにけいれんを起こしたことがある。
現症: 呼びかけても開瞼しない。身長 73cm,体重 9.2kg。体温 38.8℃,呼吸数 36/分。心拍数 120/分,整。皮膚に発疹を認めない。眼瞼結膜に貧血を認めない。咽頭に発赤を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦,軟で,右肋骨弓下に感を1cm触知する。四肢の腱反射は軽度亢進している。
37 本児について単純型熱性けいれんに当てはまらないのはどれか。
a 発症年齢
b けいれんの型
c けいれん時の体温
d けいれんの家族歴
e けいれんの持続時間
○ a
○ b
○ c
○ d
× e
正解 e
38 まず行うべき検査はどれか。
a 脳波
b 頭部単純CT
c 脳脊髄液検査
d 動脈血ガス分析
e 胸部エックス線撮影
× a
○ b
× c
× d
× e
正解 b
101D12
45歳の男性。出勤中に起きた激しいめまいと吐き気とを主訴に来院した。1年前に転勤となり,通勤に1時間半かかるようになった。慣れない仕事でしかも上司との関係が悪く,出勤に負担を感じるようになった。半年前からは,なかなか寝つけず,朝も早く目が覚めてしまうようになり,倦怠感が強く出勤がつらくなってきた。職場では,午前中は特に,頭が重く感じられ仕事の能率が上がらないために,夜遅くまで職場に残って仕事をしなければならなくなっていた。1か月前からは,食欲がなくなり,何をしても楽しいと感じられなくなった。
この患者で最も注意すべき症状はどれか。
a 幻聴
b 過呼吸
c 被害妄想
d 自殺念慮
e 記銘力低下
× a
× b
× c
○ d
× e
正解 d
診断 うつ病
101D13
10か月の乳児。1時間前に紙巻タバコ1本を食べたことを主訴に来院した。意識は傾眠傾向で,顔色は不良である。
対応として適切なのはどれか。
a 輸液
b 胃洗浄
c 経過観察
d 緩下薬投与
e 人工乳投与
× a
○ b
× c
× d
× e
正解 b
診断 タバコ誤飲による急性ニコチン中毒
101D14
40歳の女性。夜間当直に電話をかけてきた。当直医(A医師)と患者との会話を以下に示す。
医師「当直医のAです。どうしましたか」
患者「眼が痛いのです」
医師「もう少し詳しく話してもらえますか」
患者「目薬と間違えて,他の薬を目にさしてしまいました」
医師「何の薬ですか」
患者「液状の水虫薬です」
医師「どれくらい前ですか」
患者「さしたばかりです」
医師「痛みはどんな感じですか」
患者「しみるように痛みます」
医師「病院まではどれくらいで来られますか」
患者「夫の運転する車で30分で着きます」
指示として適切なのはどれか。
a 「そのまま急いで来てください」
b 「目を冷やしながら来てください」
c 「水道水で目を洗ってから来てください」
d 「薄めたお酢で目を洗ってから来てください」
e 「2,3時間様子をみて痛みが続けば来てください」
× a
× b
○ c
× d 禁忌
× e
正解 c
診断 誤点眼による角結膜障害の疑い
101D37,101D38
次の文を読み,37,38の問いに答えよ。
31歳の妊婦。性器出血を主訴に来院した。
現病歴: 妊娠28週時に無痛性の少量性器出血を認めたが,自然に止血したため放置していた。妊娠29週6日,早朝排尿後に凝血塊を混じた中等量の性器出血があり入院となった。妊娠初期の血液検査と子宮頸部細胞診とで異常を認めなかった。腹痛はない。
既往歴: 4回経妊,2回経産,2回自然流産。27歳時に第2子を回旋異常のため緊急帝王切開で分娩した。
現症: 意識は清明。顔貌は正常。身長 160cm,体重 67kg。体温 36.4℃。呼吸数 18/分。脈拍 84/分,整。血圧 118/72mmHg。胸部に異常はない。両下腿の脛骨稜に浮腫はない。子宮底長 28cm。胎児は第2頭位。腟鏡診で子宮腟部は紫藍色を呈し,外子宮口から少量の出血がみられる。子宮頸部は軟で,子宮口の開大は認めない。内診では児頭を明確に触れず,腟円蓋部と児頭との間に柔軟・弾力性の海綿様組織を触れる。来院時の胎児心拍数陣痛図で心拍数は130~140/分で,胎動に伴う一過性頻脈がある。子宮収縮を認めない。
検査所見: 尿所見:蛋白 1+,糖(-),潜血 1+。血液所見:赤血球 342万,Hb 9.8g/dl,Ht 27%,白血球 11600,血小板 28万。CRP 0.1mg/dl。
37 診断に最も有用なのはどれか。
a 腹部エックス線単純撮影
b 腹部単純CT
c 経腟超音波検査
d コルポスコピィ
e 腹部MRI
× a 禁忌
× b 禁忌
○ c
× d
× e
正解 c
38 対応として適切なのはどれか。
a 安静
b 抗凝固薬投与
c 輸血
d 分娩誘発
e 帝王切開
○ a
× b
× c
× d 禁忌
× e
正解 a
診断 前置胎盤
101D41,101D42
次の文を読み,41,42の問いに答えよ。
42歳の男性。頻回の嘔吐を主訴に来院した。
現病歴: 2か月前から食後に上腹部膨満感が出現し,1週前から時々嘔吐するようになった。上腹部に重圧感を自覚することもあり,一昨日から嘔吐が頻回になり,黒っぽい便が出ている。吐物は食物残渣のみで,血液の混入はない。
既往歴: 28歳時,十二指腸潰瘍に罹患し服薬治療を受けていたが,再発を繰り返していた。
現症: 意識は清明。身長 170cm,体重 54kg。体温 36.9℃。呼吸数 12/分。脈拍 124/分,整。血圧 98/58mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦で,上腹部に圧痛を認める。腸雑音は正常である。
検査所見: 尿所見:蛋白(-),糖(-)。血液所見:赤血球 242万,Hb 6.5g/dl,Ht 20%,血小板 39万。血清生化学所見:総蛋白 6.5g/dl,アルブミン 3.8g/dl,尿素窒素 42mg/dl,クレアチニン 0.9mg/dl,AST 38IU/l,ALT 33IU/l,LDH 360IU/l(基準 176~353)。
41 この患者の血清電解質で最も著しい異常がみられるのはどれか。
a ナトリウム
b カリウム
c クロール
d カルシウム
e 燐
× a
× b
○ c
× d
× e
正解 c
42 まず行う検査はどれか。
a 上部消化管内視鏡検査
b 大腸内視鏡検査
c 腹部血管造影
d 腹部CT
e 腹部超音波検査
○ a
× b
× c
× d
× e
正解 a
診断 十二指腸潰瘍
100E28
有機溶剤による急性中毒症状はどれか。
a けいれん
b 粘血便
c 高熱
d 喀血
e 尿閉
○ a
× b
× c
× d
× e
正解 a
100D17
53歳の男性。朝食直後に上腹部の激痛が突然出現したため救急車で搬入された。1週前から右上腹部不快感が空腹時に出現し,食事によって軽減していた。体温 38.5℃。脈拍 104/分,整。血圧 110/60mmHg。腸雑音は消失し,腹部全体が板状硬化を呈していた。血液所見:赤血球 520万,Hb 15.1g/dl,白血球 14300,血小板 46万。胸部エックス線写真を別に示す。
この患者の処置で最も適切なのはどれか。
a H2受容体拮抗薬静注
b 塩酸モルヒネ筋注
c 抗コリン薬静注
d 抗菌薬静注
e 緊急手術
× a
× b
× c
× d
○ e
正解 e
診断 十二指腸潰瘍穿孔による腹膜炎
100D18
58歳の男性。会議で発言中に突然倒れ,救急車で搬入された。同僚が心肺蘇生を施行したが,7分後救急隊到着時には心肺停止状態(心電図では心室細動)であった。救急救命士によって除細動(200ジュール,1回)されたがモニターでは心静止であった。ラリンゲアルマスクで気道確保され,バッグによる人工呼吸と心臓マッサージとを施行され,用手換気で良好な胸郭の動きが確認される。心電図モニターでは心静止である。右前腕静脈に静脈路を確保した。
この時点で標準的に用いられるのはどれか。
a リドカイン
b エピネフリン
c プロカインアミド
d ノルエピネフリン
e イソプロテレノール
× a
○ b
× c
× d
× e
正解 b
診断 心静止
100D19
2歳の男児。ボタン型電池を誤飲し来院した。頸胸部エックス線単純写真で食道入口部に電池が停留しているのを確認した。
適切な処置はどれか。
a 経鼻栄養チューブ挿入
b 内視鏡下摘出
c 頸部切開手術
d 気管切開術
e 経過観察
× a
○ b
× c
× d
× e 禁忌
正解 b
診断 誤飲による食道異物
100D29
2歳の男児。4時間前に紙巻きタバコを約1cm誤飲したため来院した。症状はない。
最も適切な対応はどれか。
a 胃洗浄を行う。
b 水を飲ませる。
c 牛乳を飲ませる。
d 緩下薬を投与する。
e 無処置で観察する。
× a
× b
× c
× d
○ e
正解 e
診断 タバコ誤飲
100D35,100D36
次の文を読み,35,36の問いに答えよ。
38歳の男性。直下型地震で倒壊した家屋の下敷きになり救急車で搬入された。
現病歴: 地震で倒れた柱に両側下肢を挟まれ,救助隊が到着するまで身動きができなかった。両側下肢に激痛がある。尿は出ていない。
現症: 意識は混濁。身長 177cm,体重 72kg。体温 37.1℃。脈拍 112/分,整。血圧 76/32mmHg。皮膚は蒼白で冷たい。頸静脈拍動が臥位で認められない。両側下肢に皮下出血と腫脹とを認める。救出から搬入まで尿は出ておらず,入院後にカテーテルの導尿によって10mlの尿が得られた。
検査所見: 尿所見:色調はコーラ色,蛋白 1+,糖(-),潜血 1+。血液所見:赤血球 310万,Hb 11.2g/dl,Ht 30%,白血球 13700,血小板 34万。血清生化学所見:総蛋白 6.5g/dl,アルブミン 4.5g/dl,尿素窒素 40mg/dl,クレアチニン 2.5mg/dl,尿酸 8.0mg/dl,総ビリルビン 0.9mg/dl,AST 700単位,ALT 140単位,CK 10200単位(基準 10~40),Na 135mEq/l,K 7.1mEq/l,Cl 111mEq/l。心電図でT波の増高が認められる。
35 尿がコーラ色なのは何を含んでいるためか。
a ビリルビン
b ポルフィリン
c ミオグロビン
d ウロビリノゲン
e メトヘモグロビン
× a
× b
○ c
× d
× e
正解 c
36 輸液として最も適切なのはどれか。
a 生理食塩液
b 脂肪栄養液
c アミノ酸栄養液
d 5%ブドウ糖液
e カリウム含有低張液
○ a
× b
× c
× d
× e 禁忌
正解 a
診断 クラッシュ症候群
100D37,100D38
次の文を読み,37,38の問いに答えよ。
68歳の男性。下腹部の痛みと尿が出ないこととを主訴に来院した。
現病歴: 3年前から頻尿,残尿感および排尿困難があったが放置していた。2時間前に自宅で晩酌をしていたところ,下腹部に痛みが出現し,触ると痛みが増強した。排尿ができず,痛みも持続している。
既往歴: 5年前から高脂血症を指摘されているが放置している。
生活歴: 喫煙 20本/日を30年間。飲酒晩酌程度。
現症: 意識は清明。身長 163cm,体重 65kg。体温 36.5℃。脈拍 100/分,整。血圧 156/90mmHg。上腹部はほぼ平坦で,肝・脾は触知しない。下腹部は軽度膨隆しており,正中に腫瘤を触知し,同部に圧痛を認める。下肢に浮腫を認めない。骨盤部超音波写真を別に示す。
37 この患者にまず行うのはどれか。
a 浣腸
b 導尿
c 酸素療法
d 静脈路確保
e 利尿薬投与
× a
○ b
× c
× d
× e
正解 b
38 考えられるのはどれか。
a 尿路結石
b 尿路感染症
c 前立腺肥大症
d 汎発性腹膜炎
e 急性糸球体腎炎
× a
× b
○ c
× d
× e
正解 c
診断 前立腺肥大症を基礎疾患にもち,飲酒により引き起こされた急性尿閉
100D39,100D40
次の文を読み,39,40の問いに答えよ。
58歳の男性。夜間の呼吸困難のため救急車で搬入された。
現病歴: 4年前に狭心症と診断され、アスピリンと硝酸薬とを服薬していたが,半年前から中断していた。3か月前から駅の階段を昇るとき軽度の胸痛を感じていた。2日前冷汗を伴う前胸部絞扼感が数時間持続し,自宅での安静で軽快した。しかし,昨夜就寝後呼吸困難のため覚醒した。横になると呼吸困難が再発するので眠れず,午前3時に来院した。
既往歴: 8年前に糖尿病を指摘された。
現症: 意識は清明。身長 169cm,体重 75㎏。呼吸数 28/分。脈拍 104/分,整。血圧 102/88mmHg。頸静脈の怒張を認めるが,心雑音はない。両側下肺野にcoarse cracklesを聴取する。右肋骨弓下に圧痛を認める。両側下腿に浮腫を認める。
検査所見: 尿所見:蛋白 1+,糖 2+。血液所見:赤血球 430万,Hb 14.2g/dl,Ht 42%,白血球 9500,血小板 30万。血清生化学所見:血糖 150mg/dl,HbA1c 8.8%(基準 4.3~5.8),総蛋白 7.0g/dl,尿素窒素 26mg/dl,クレアチニン 1.2mg/dl,総コレステロール 224mg/dl,トリグリセライド 190mg/dl,総ビリルビン 0.8mg/dl,AST 60単位,ALT 34単位,LDH 620単位(基準 176~353),CK 960単位(基準 10~40),Na 148mEq/l,K 4.6mEq/l,Cl 103mEq/l。経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉 96%(酸素 3l/分投与下)。入院時の胸部エックス線写真と心電図とを別に示す。
39 この患者の病態の原因はどれか。
a 肺炎
b 狭心症
c 心筋梗塞
d 拡張型心筋症
e 大動脈解離
× a
× b
○ c
× d
× e
正解 c
40 この患者にまず必要な治療薬はどれか。
a 血糖降下薬
b フロセミド
c リドカイン
d カルシウム拮抗薬
e ノルエピネフリン
× a
○ b
× c
× d
× e
正解 b
診断 急性心筋梗塞(前壁)と両心不全
100D41,100D42
次の文を読み,41,42の問いに答えよ。
58歳の男性。激しい頭痛と嘔気とを主訴に来院した。
現病歴: 最近多忙で睡眠不足が続いていた。仕事中にこれまで経験したことがない激しい頭痛が起き,嘔気も伴った。横になって安静にしていたが,6時間後でも頭痛は軽快していない。
既往歴: 40歳時から健診を受け,毎年高血圧を指摘されているが,治療はしていない。
現症: 顔貌は苦悶状で,頭をおさえて「痛い,痛い」と言い,時に嘔気も訴えている。体温 36.9℃。脈拍 92/分,整。血圧 182/102mmHg。頸部の前屈で強い抵抗を認める。心雑音はなく,呼吸音にも異常を認めない。腹部はほぼ平坦で,肝・肺を触知せず,圧痛を認めない。下肢に浮腫を認めない。四肢に明らかな麻痺はない。深部腱反射は正常で,病的反射は認めない。
検査所見: 尿所見:蛋白(-),糖(-)。血液所見:赤血球 420万,Hb 13.0g/dl,Ht 36%,白血球 6800,血小板 21万。CRP 0.2mg/dl。
41 最も考えられるのはどれか。
a 片頭痛
b 脳梗塞
c 脳出血
d 急性髄膜炎
e くも膜下出血
× a
× b
× c
× d
○ e
正解 e
42 この疾患の診断でまず行うのはどれか。
a 頭部単純CT
b 脳脊髄液検査
c 頭部単純MRI
d 凝固・線溶検査
e 頸動脈超音波検査
○ a
× b
× c
× d
× e
正解 a
診断 くも膜下出血