彼への謝罪から
頭痛でも振り払うかのように黒服は頭を振り、青年に向き直った。
「ではお話を」
あぁ、と頷きつつ今度本格的に眠らせておいた方がいいんじゃないかと考え、青年は言う。
「まずは報告をしようか。この宴会が終わったら≪夢の国≫、夢子ちゃんがこの町を離れるらしい」
言った途端に黒服は心配気な顔になる。
「彼女が? やはり罪の意識がこの町での生活を邪魔しているのですか?」
「いや、『≪夢の国≫は世界中に夢を与えなくちゃいけないから』。らしいな」
彼女らしい。と、つい漏れ出た笑いとともに青年が言うと、黒服は驚いた顔で一瞬時を止め、やがて安堵の吐息をする。
「そうですか」
微笑みながら言う黒服に青年はん、と頷く。
「彼女のしたいようにすればいい、と言うのが俺と契約者、リカちゃんの意見だな。これが彼女なりの贖罪なのだろう」
契約者はなんだかんだで最後の最後にごねそうだがなと苦笑しながら言うと、黒服も同じような顔をした。
「彼女は今、どちらに?」
「ん、あの子は今契約者と共にこのビルの一室に居る。将門公に話をつけてな、俺と夢子ちゃんがあの戦いでどんな位置にいたのかは教えない代わりに、という条件で参加したんだ。それでもあの子のことを知ってるモノがいたらまずいんで一室使わせてもらった」
「そうなんですか」
「もしよければ行ってくれると彼女も喜ぶ」
そう言って青年は居場所のメモを渡す。
「いただきます」
メモを受け取る黒服に、
「あの子に対して辛い過去があるのに受け取ってくれるか」
わずかに身にあった緊張がほぐれるのを感じつつ、青年は言う。
「あの子が悪いわけではないですから」
当たり前のように言う黒服に青年はそうだな。と答え、
「皆がそう思ってくれるなら幸せなんだがな」
思わずぼやいた。
「思ってくれなかった方がいたんですか?」
黒服の言葉にあぁ、と言い、
「秋祭り三日目に≪赤いはんてん≫の子に少し、ね」
まあ一応赦してくれたみたいだし、と言って青年は話題を切る。
そして、
「あと、もう一つ」
言って指を一本立てた。
「ではお話を」
あぁ、と頷きつつ今度本格的に眠らせておいた方がいいんじゃないかと考え、青年は言う。
「まずは報告をしようか。この宴会が終わったら≪夢の国≫、夢子ちゃんがこの町を離れるらしい」
言った途端に黒服は心配気な顔になる。
「彼女が? やはり罪の意識がこの町での生活を邪魔しているのですか?」
「いや、『≪夢の国≫は世界中に夢を与えなくちゃいけないから』。らしいな」
彼女らしい。と、つい漏れ出た笑いとともに青年が言うと、黒服は驚いた顔で一瞬時を止め、やがて安堵の吐息をする。
「そうですか」
微笑みながら言う黒服に青年はん、と頷く。
「彼女のしたいようにすればいい、と言うのが俺と契約者、リカちゃんの意見だな。これが彼女なりの贖罪なのだろう」
契約者はなんだかんだで最後の最後にごねそうだがなと苦笑しながら言うと、黒服も同じような顔をした。
「彼女は今、どちらに?」
「ん、あの子は今契約者と共にこのビルの一室に居る。将門公に話をつけてな、俺と夢子ちゃんがあの戦いでどんな位置にいたのかは教えない代わりに、という条件で参加したんだ。それでもあの子のことを知ってるモノがいたらまずいんで一室使わせてもらった」
「そうなんですか」
「もしよければ行ってくれると彼女も喜ぶ」
そう言って青年は居場所のメモを渡す。
「いただきます」
メモを受け取る黒服に、
「あの子に対して辛い過去があるのに受け取ってくれるか」
わずかに身にあった緊張がほぐれるのを感じつつ、青年は言う。
「あの子が悪いわけではないですから」
当たり前のように言う黒服に青年はそうだな。と答え、
「皆がそう思ってくれるなら幸せなんだがな」
思わずぼやいた。
「思ってくれなかった方がいたんですか?」
黒服の言葉にあぁ、と言い、
「秋祭り三日目に≪赤いはんてん≫の子に少し、ね」
まあ一応赦してくれたみたいだし、と言って青年は話題を切る。
そして、
「あと、もう一つ」
言って指を一本立てた。
訊きたいことがあってな。
そう言って青年は黒服に近づき、声をひそめ、
「あの戦闘の時に湯水のように使わせてもらったが、≪夢の国≫をいろんな呪いから救ったあのパワーストーンの製作者はこの場にいるだろうか?」
「彼女ですか?」
「ああ、って女性なのか?」
「あ、はい」
青年はだとしたらこんな怪しげな宴には参加しないだろうか。と考え、それでも一応黒服に確認してみることにした。
「もしこの場にいなければまた今度合わせてくれればいいんだが、少し探してみてくれないか?」
「少し待っていてください、探してみます」
そう言うと黒服は会場全体を見まわし、
「――いらっしゃいました」
「お、居たか」
思ったよりすぐに見つけられた。
「いわば≪夢の国≫に対する最功労者の一人だしな。いる確率は高いと思ってたが、」
居てくれてよかった。思い、黒服の視線を辿って見てみると、
「っ!」
向こうさんと目があった。
「ん?」
「どうしましたか?」
「いや……」
黒服さんは違和感を感じなかった? あの人はたぶんずっとこちらを見ていたと思うんだが、気のせい、もしくわ――
「偶然か」
疑問顔の黒服に「いや、」と手を挙げなんでもないと制し、会場の隅で誰かに話し掛けるわけでもなく、静かに酒を口にする一人の女性へと、歩を向けることにした。
そう言って青年は黒服に近づき、声をひそめ、
「あの戦闘の時に湯水のように使わせてもらったが、≪夢の国≫をいろんな呪いから救ったあのパワーストーンの製作者はこの場にいるだろうか?」
「彼女ですか?」
「ああ、って女性なのか?」
「あ、はい」
青年はだとしたらこんな怪しげな宴には参加しないだろうか。と考え、それでも一応黒服に確認してみることにした。
「もしこの場にいなければまた今度合わせてくれればいいんだが、少し探してみてくれないか?」
「少し待っていてください、探してみます」
そう言うと黒服は会場全体を見まわし、
「――いらっしゃいました」
「お、居たか」
思ったよりすぐに見つけられた。
「いわば≪夢の国≫に対する最功労者の一人だしな。いる確率は高いと思ってたが、」
居てくれてよかった。思い、黒服の視線を辿って見てみると、
「っ!」
向こうさんと目があった。
「ん?」
「どうしましたか?」
「いや……」
黒服さんは違和感を感じなかった? あの人はたぶんずっとこちらを見ていたと思うんだが、気のせい、もしくわ――
「偶然か」
疑問顔の黒服に「いや、」と手を挙げなんでもないと制し、会場の隅で誰かに話し掛けるわけでもなく、静かに酒を口にする一人の女性へと、歩を向けることにした。