『連れてけー!連れてけー!!』
「誰が連れて行くか。悪夢の元」
「誰が連れて行くか。悪夢の元」
ごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろ
部屋の中を、女幽霊が転げまわっている
…幽霊なのに、質量を持っているような音を立てても良いものなのだろうか
部屋の中を、女幽霊が転げまわっている
…幽霊なのに、質量を持っているような音を立てても良いものなのだろうか
『うー、チャラチャラたちがいないとつまんないー!』
「他の部屋に入ってる連中もいるだろうが。それと、俺はまたこの部屋使う可能性はあるし」
「他の部屋に入ってる連中もいるだろうが。それと、俺はまたこの部屋使う可能性はあるし」
駄々をこねる女幽霊を、金髪の青年が説得している
その間に、黒服は少女の引越しの準備を手伝っていた
元、彼女が住んでいた家も、「怪奇同盟」によって修復され、そちらの荷物などもあるが、それは既にまとめている
後は、こちらに持ち込んでいた荷物だけだ
その間に、黒服は少女の引越しの準備を手伝っていた
元、彼女が住んでいた家も、「怪奇同盟」によって修復され、そちらの荷物などもあるが、それは既にまとめている
後は、こちらに持ち込んでいた荷物だけだ
「…うん、これで全部ね」
「あなたの分の荷物は?」
「うん?……あぁ、俺は大した荷物ないから」
「あなたの分の荷物は?」
「うん?……あぁ、俺は大した荷物ないから」
そう言って、青年は肩から下げた鞄をぽん、と軽く叩いた
いくつかの「首塚」の拠点を回って生活していた青年
荷物も、あちらこちらに点在していて、尚且つ必要最低限の物しか持っていないのだ
一箇所に長く留まるという生活を…この青年は元住んでいた家を飛び出して以来、送っていなかった
いくつかの「首塚」の拠点を回って生活していた青年
荷物も、あちらこちらに点在していて、尚且つ必要最低限の物しか持っていないのだ
一箇所に長く留まるという生活を…この青年は元住んでいた家を飛び出して以来、送っていなかった
「それでは、いきましょうか」
「えぇ」
『むー……たまには顔出してよねー。ご飯作ってよねー』
「幽霊の癖に飯要求すんな。今度供え物は持ってきてやるから」
『乾いて冷たくなったご飯は嫌ー』
「えぇ」
『むー……たまには顔出してよねー。ご飯作ってよねー』
「幽霊の癖に飯要求すんな。今度供え物は持ってきてやるから」
『乾いて冷たくなったご飯は嫌ー』
わかったわかった、と言って青年は少女の荷物も抱えて、部屋を出た
…何だかんだで、面倒見のいい青年だと思う
口では文句を言っても、見捨てる事ができない
青年は黒服をお人好しだと言うが、黒服から見れば、青年とてお人好しだ
……とまれ、引越しの荷物を抱えて
三人は、幽霊マンションを後にしたのだった
…何だかんだで、面倒見のいい青年だと思う
口では文句を言っても、見捨てる事ができない
青年は黒服をお人好しだと言うが、黒服から見れば、青年とてお人好しだ
……とまれ、引越しの荷物を抱えて
三人は、幽霊マンションを後にしたのだった
…そして、たどり着いた新居
「薔薇十字団」で…と言うより、そこに所属しているカーバンクルの契約者が用意してくれた家だ
三人で暮らすのに、丁度良い広さと部屋数を持っている
家に入ると、大柄な無表情の男性がぬぅ、と現れ…荷物を、持って行ってくれた
「薔薇十字団」で…と言うより、そこに所属しているカーバンクルの契約者が用意してくれた家だ
三人で暮らすのに、丁度良い広さと部屋数を持っている
家に入ると、大柄な無表情の男性がぬぅ、と現れ…荷物を、持って行ってくれた
「あぁ、警戒しなくていいよ。引越し業者みたいなものだと思ってくれればいいから」
そう言って声をかけてきたのは、カーバンクルの契約者
その腕には、いつもとおりカーバンクルが抱かれている
その腕には、いつもとおりカーバンクルが抱かれている
「すみません、引越しの手伝いまで…」
「いいんだよ。これくらいはやらせてよ」
「いいんだよ。これくらいはやらせてよ」
黒服が小さく頭を下げると、カーバンクルの契約者はそう言って笑った
くぅ、と抱かれたカーバンクルが、耳をぱたぱたとさせながら鳴き声を上げる
くぅ、と抱かれたカーバンクルが、耳をぱたぱたとさせながら鳴き声を上げる
「…黒服?この人は…」
「今後、私のバックアップをしてくださる方です」
「はじめまして。君たちが、彼と契約してくれたんだね?」
「今後、私のバックアップをしてくださる方です」
「はじめまして。君たちが、彼と契約してくれたんだね?」
ありがとう、とカーバンクルの契約者は、少女と青年に笑いかけた
カーバンクルの契約者からしてみれば、二人は友人の恩人なのだ
カーバンクルの契約者からしてみれば、二人は友人の恩人なのだ
「荷物は、ゴーレムがどんどん持っていってくれるから。ゆっくりすればいいと思うよ」
…あの大柄な男性は、ゴーレムだったか
恐らく、「薔薇十字団」から派遣されていると言う、カーバンクル契約者の身辺警護をしている存在なのだろう
まぁ、ゴーレムだとわかれば、あの無表情も納得だ
恐らく、「薔薇十字団」から派遣されていると言う、カーバンクル契約者の身辺警護をしている存在なのだろう
まぁ、ゴーレムだとわかれば、あの無表情も納得だ
「…あ、そうだ。これ」
「……?」
「……?」
す、と
カーバンクル契約者が、黒服に小さなカードのような物を差し出す
その表面には、コミカルな…ゴブリンのような生物の顔が描かれていた
カーバンクル契約者が、黒服に小さなカードのような物を差し出す
その表面には、コミカルな…ゴブリンのような生物の顔が描かれていた
「『ゴブリンマーケット』へのチケットだよ。霊薬の類は『薔薇十字団』からも補充させられるけど…ちょっと時間がかかるから。もし、緊急に必要になったら、『ゴブリンマーケット』に行って購入した方が早いかもしれない」
「……何から何まで、すみません」
「……何から何まで、すみません」
小さく、黒服は苦笑する
かつて幼かった少年は、もうこんなにも大人になって…外見の年齢では、既に逆転してしまっている
この友人の善意のお陰で、黒服は少女と青年と、共に生活する場所をすぐに手に入れる事ができた
かつて幼かった少年は、もうこんなにも大人になって…外見の年齢では、既に逆転してしまっている
この友人の善意のお陰で、黒服は少女と青年と、共に生活する場所をすぐに手に入れる事ができた
契約者だから、と言うのもあるが
そうじゃなくとも、やはり、二人の事が心配だ
特に、少女の方に関して……この間の宴会の発言にて、やや、彼女の食生活が心配になってきた
食生活に関しては、実際の所、この黒服もあまり褒められたものではない食生活を送って入るのだが
……その点に関しては、青年が一緒に暮らしてくれるのなら、きっと大丈夫だろう
そうじゃなくとも、やはり、二人の事が心配だ
特に、少女の方に関して……この間の宴会の発言にて、やや、彼女の食生活が心配になってきた
食生活に関しては、実際の所、この黒服もあまり褒められたものではない食生活を送って入るのだが
……その点に関しては、青年が一緒に暮らしてくれるのなら、きっと大丈夫だろう
「それじゃあ、僕はこれで…………あれ?どうしたの?」
「あ、いえ、その…」
「あ、いえ、その…」
…おや
少女が、カーバンクル契約者をじっと見て…
………いや
じっと見ている対象は、カーバンクルの方か?
契約者に抱かれて、カーバンクルはくー?と鳴き声をあげて首をかしげている
少女が、カーバンクル契約者をじっと見て…
………いや
じっと見ている対象は、カーバンクルの方か?
契約者に抱かれて、カーバンクルはくー?と鳴き声をあげて首をかしげている
「カーバンクルが気になる?」
「あ、えっと…」
「あ、えっと…」
…どうやら、その通りのようだ
カーバンクルは愛らしい外見をしているから
撫でて見たい、くらいは思ったのかもしれない
少女は、じっとカーバンクルを見つめている
カーバンクルは愛らしい外見をしているから
撫でて見たい、くらいは思ったのかもしれない
少女は、じっとカーバンクルを見つめている
…その時
「な、黒服、荷物運び終わったみたいだぞ」
ゴーレムについていって、荷物を運んでいた青年が戻ってきた
…その瞬間
契約者に抱かれていたカーバンクルが、ひくひくと鼻先を動かした
そして
…その瞬間
契約者に抱かれていたカーバンクルが、ひくひくと鼻先を動かした
そして
「っあ」
っぴょん
契約者の腕を飛び降りたカーバンクル
そのまま、短い脚でてちてちてちてち、駆け抜けて
契約者の腕を飛び降りたカーバンクル
そのまま、短い脚でてちてちてちてち、駆け抜けて
「へ?………うわっ!?」
ぴょーーん!と
青年の顔面に、飛び掛った
突然の事に対応し切れなかったのか、青年はそのままカーバンクルに押し倒されるように倒れこむ
どごっ!と凄い音がしたが……頭を打ってないだろうか?
青年の顔面に、飛び掛った
突然の事に対応し切れなかったのか、青年はそのままカーバンクルに押し倒されるように倒れこむ
どごっ!と凄い音がしたが……頭を打ってないだろうか?
「だ、大丈夫ですか?」
「あ、あぁ……って、うわっ!?」
「あ、あぁ……って、うわっ!?」
ふんふんふんふん
青年に鼻先を近づけていたカーバンクル
それが、突然ぺろり、と青年の顔を舐めた
くぅ、と鳴き声をあげながら、まるで犬が飼い主にじゃれ付くように、ぺろぺろと舐めている
青年に鼻先を近づけていたカーバンクル
それが、突然ぺろり、と青年の顔を舐めた
くぅ、と鳴き声をあげながら、まるで犬が飼い主にじゃれ付くように、ぺろぺろと舐めている
「っうわ、くすぐった……!?っちょ、やめ…っ」
「な、なんでこんなに懐かれてるのよ?」
「な、なんでこんなに懐かれてるのよ?」
青年に、やや嫉妬の視線を向けている少女
…初対面の相手のはずなのに、本当にどうして?
己の契約都市伝説が他人に懐いている様子に、やや驚いている様子の契約者だったが…
……ぽん、と彼は手を打った
…初対面の相手のはずなのに、本当にどうして?
己の契約都市伝説が他人に懐いている様子に、やや驚いている様子の契約者だったが…
……ぽん、と彼は手を打った
「あ、そうか。カーバンクル、なぜか僕の作ったお菓子は食べてくれないけど、甘い物が好きだから。何か、甘い匂いでもさせてたんじゃない?」
「甘い匂い?」
「った、確かに、甘いもん作るバイト終わらせてから来てはいるけど………っひゃ!?おま、どこ舐めて…っ!?」
「甘い匂い?」
「った、確かに、甘いもん作るバイト終わらせてから来てはいるけど………っひゃ!?おま、どこ舐めて…っ!?」
くぅ、とカーバンクルは甘い匂いに引かれるように、青年を舐め続けている
……と、言うか
この契約者、青年を助ける気はないのか
恐らく、自分の可愛いペットが懐くなんて珍しいな、くらいの視線で見ているのだろうが
これでは、青年も迷惑だろうに
少女は少女で、カーバンクルに懐かれている青年に、やや嫉妬の視線を送っているし
……と、言うか
この契約者、青年を助ける気はないのか
恐らく、自分の可愛いペットが懐くなんて珍しいな、くらいの視線で見ているのだろうが
これでは、青年も迷惑だろうに
少女は少女で、カーバンクルに懐かれている青年に、やや嫉妬の視線を送っているし
…黒服は小さく苦笑して、青年を助けるべく、カーバンクルに近づいたのだった
終われ